以下、図面を参照しながら、本発明による貼付剤貼付用補助器具の好適な実施形態について詳細に説明する。尚、図中、同一又は相当部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図1は、本実施形態に係る貼付剤貼付用補助器具(以下、「補助器具」という。)10の上方からの斜視図である。図2は補助器具10の六面図である。図3は、補助器具10の下方からの斜視図である。
尚、本実施形態に係る補助器具10は、図4(a)に示すような貼付剤50を貼付するのを補助する際に用いられる。この貼付剤50は、粘着剤層52上に、剥離シート54、56、58を有する。剥離シート54(第1部分)と剥離シート58との間の切れ目55、及び剥離シート56(第2部分)と剥離シート58との間の切れ目57は、波形である。
本実施形態に係る補助器具10は、図1に示すとおり、断面が略U字状である本体12を備えている。本体12は、矩形のベース部14と2つの互いに対面する側片部16、18とからなっている。ベース部14、側片部16、18は、弾性変形可能な適当な材料、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂などから形成されている。
ベース部14は矩形の板状であり、面全体がほぼ平坦であるので、例えばベース部14を机などに置く際は、安定させることができる。
2つの側片部16、18は、図2の(b)、(e)に示すように、互いに相反する方向に湾曲している。また側片部16、18は図2の(d)、(f)に示すように、左右の端縁が凹レンズ状に湾曲している。これは、側片部16、18が弾性変形しやすいようにするためである。また、側片部16、18の自由端部間の距離は、無負荷状態(自然状態)で貼付剤50の長辺の長さよりも短くされている。
側片部16、18は、自由端部側に貼付剤取付部20、22を有する。貼付剤取付部20、22は、図5に示すように、2つの側片部16、18を互いに接近させ、中央で合わせた時に貼付剤取付部20、22がちょうど面で接するように、側片部16、18の湾曲した面に対して外側に広がるように角度を持って設けられている。貼付剤取付部20、22のそれぞれの自由端部の形状は、貼付剤50における剥離シート54、58間の切れ目55及び剥離シート56、58間の切れ目57の波形と相補的な波形となっている。
各貼付剤取付部20、22は、その他方の貼付剤取付部22、20に面する側の表面上に貼付剤50の剥離シートを付着させるための付着部24、26をそれぞれ含む。付着部24、26は、付着及び剥離を繰り返すことができる材料から形成されているため、貼付剤50の剥離シート54、58の付着及び剥離を何度も行うことができる。このような材料としては、例えば、TGシート(商品名、清和産業社製)を用いることができ、この材料は汚れても水洗いでき元の状態に再生させることができる。尚、本補助器具10を最初に使用する前の状態では、付着部24、26には適当な保護シートが剥離可能に付着され、付着部24、26の付着力が汚れ等により低下しないようにしておくことが好ましい。
ベース部14と側片部16及び18とは、別個独立の板状部材から構成されていてもよく、その場合、分離可能に組み付けることができる構造となる。かかる場合、ベース部14となる板状部材(以下、「ベース部板状部材」と呼ぶ)の長辺28、30には、そのベース部板状部材に垂直に側片部16、18となる板状部材(以下、「側片部板状部材」と呼ぶ)をそれぞれ差し込むことのできる溝を有する。ベース部板状部材の溝の内部には凸部31が、側片部板状部材には前記凸部31に相補的な孔33がそれぞれ設けられている。側片部板状部材をベース部板状部材の溝に差し込んだ時に、前記凸部31が孔33にはめ込まれることで、貼付作業中に分解することのないように組み立てることができ、また、不要な時には容易に分解することができる。
次に、上述したような構成の補助器具の使用方法を説明する。
補助器具10の付着部24、26に保護シートが付着している場合は予め剥離しておく。図4(a)に示す貼付剤50の中央の剥離シート58を剥離し、露出した粘着剤層52が外側になるようにして貼付剤50を二つに折る(図4(b))。そして、貼付剤50に付着したままの一方の剥離シート54の波形と、貼付剤取付部20の波形とを合わせるようにして、剥離シート54と貼付剤取付部20とを接触させると、剥離シート54は付着部24に剥離可能に付着する。この後に、図5に示すように、2つの側片部16及び18を互いに接近させていき、もう一方の剥離シート56の波形と、貼付剤取付部22の波形とを合わせるようにして、剥離シート56と貼付剤取付部22とを接触させ、剥離シート56を付着部26に剥離可能に付着させる。次いで、側片部16、18にかけていた力を取り除くと、本体12、特に側片部16、18の弾性復元力により側片部16、18が元の状態(図1の状態)に戻ろうとし、貼付剤50の剥離シート54、56が粘着剤層52から剥離していく。最終的には、補助器具10の自由端部間の距離が、無負荷状態で貼付剤50の長辺の長さよりも短いことによって、貼付前に貼付剤50の剥離シート54、56が、貼付剤取付部20、22から脱落することがない。また、粘着剤層52が上方に露出した状態となり、かつ、粘着剤層52が貼付剤取付部20、22間に張った状態となる(図6)。
続いて、図7に、上記の方法で貼付剤50を保持させた補助器具10を用いて、肩へ貼付する場合の方法を示す。まず、図7(a)に示すように、貼付剤50を保持させた補助器具10のベース部14側を持ち、露出した粘着剤層52を所望の位置にあてる。次いで、図7(b)に示すように、補助器具10をゆっくり押し込む。この時、貼付剤50の剥離シート54、56が付着した側片部16、18が左右に押し開かれるので、剥離シート54、56の全面が貼付剤50から剥離され、貼付剤の粘着剤層52の全体が患部に貼付される。この間、貼付剤50は、貼付剤取付部20、22間で張力をかけられた状態に保持されているので、シワになりにくい。最後に、図7(c)に示すように、補助器具10を肩の外側にずらして外し、貼付作業が終了する。このように、本実施形態の補助器具10を用いれば、貼付剤50から剥離シート54,58を除去することが容易である。また、貼付剤に弛みや捻れが生じにくいため、貼付剤50の粘着剤層52同士が付着したりシワが発生したりすることなく、きれいに貼付することができる。貼付作業中に貼付剤50の粘着剤層52に直接触れることなく貼付することが可能である。
本実施形態の補助器具10は、さらに持ち手32を接続して用いてもよい。例えば、持ち手32は、図8に示すように、持ち手32の軸方向を、ベース部14の側片部16、18が組み付けられた方向とし、ベース部14の、側片部16、18を組み付ける側の反対側の面に沿うように接続されるようにするとよい。図示の実施形態では、持ち手32及びベース部14は、互いに接続及び分離することが容易にできる構造を有している。
持ち手32の軸上には、図8に示すように、持ち手32を持ちやすくし、かつ、持ち手32を補強するためのリブ34を有する。リブ34は、持ち手32の、ベース部14に接する面の反対側の面に垂直に設けられている。また、持ち手32の、ベース部14に接続する側とは反対側の先端の両側には、一体成型されたクリップ部36を有する。
図9は、このような補助器具10に持ち手32を接続した場合の、肩への貼付方法を示す斜視図である。持ち手32を接続していない場合と同様に貼付剤50を補助器具10に保持させた後、持ち手32をつかんで患部に貼付剤50を貼付することができる。これにより、患部に手が直接届きにくい場合にも、貼付作業を容易に行うことができる。
補助器具10として使用しない時には、図10に示すように、持ち手32の端部の左右にあるクリップ部36を利用して、側片部16、18の貼付剤取付部20、22を挟んでおくこともできる。これにより、補助器具10をコンパクトに保持することが可能となり、収納等に便利となる。また、側辺部16、18の自由端部間の距離が一定に保たれるので、付着部24,26同士が接触し、それにより付着部24、26の付着力の低下が防止される。
本発明の補助器具10は、上述の実施形態に限定されない。例えば、上述の使用方法では肩に貼付剤50を貼付する場合を述べたが、側片部16、18を広げられる部位、例えば腕、背中等に貼付剤50を貼付するためにも使用できる。
なお、本発明の補助器具10は、ベース部14及び側片部16、18が一体成型されていてもよい。また、本体12の全体的な外観形状を略円筒状等、種々の筒状体形状とすることもできる。また、側片部16、18の左右の端縁は、内側に湾曲していなくてもよく、直線状や波形などの様々な形状をしていてもよい。側片部16、18の面も、湾曲していなくてもよい。貼付剤取付部20、22は、外側に付着部24、26を有し、内側に折れ曲がるようになっていてもよい。貼付剤取付部20、22の自由端部の形状は、波形でなくてもよい。
また、適用される貼付剤50は、図4に示されるものだけでなく、図11に示すような剥離シート60の切れ目62が1本だけのものであってもよく、また、その切れ目62が波形でなく例えば直線状のものでもよい。その場合、側片部16、18の自由端部の形状は剥離シート60の切れ目62の形状に合わせて直線などでもよい。図11の貼付剤50を用いる場合、まず切れ目62で剥離シート60を第1部分60aと第2部分60bとに切り離し、切れ目62に沿うそれぞれの端部を貼付剤取付部20、22の付着部24,26に付着させる。以降は上記と同様にして貼付を行うこととなる。
側片部16、18の自由端部の外側には、半円状の摘み部38を備えていてもよい。摘み部38を外側に引っ張ることで、貼付剤を保持させた側片部16、18を指で容易に外側に広げることができる。