以下、本発明の実施形態の一例を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態が適用された印刷システム10の概略構成の一例を示すブロック図である。図示するように、印刷システム10は、印刷装置100と、情報処理装置(PC)200と、アクセスポイント(AP)300と、を備える。本実施形態では、情報処理装置200は、予めアクセスポイント300と無線通信可能に設定済みであり、情報処理装置200とアクセスポイント300との間でLAN等のコンピューターネットワーク(以下では「ネットワーク」とよぶ)が構築されている。また、印刷装置100は、情報処理装置200とアクセスポイント300との間で構築されているネットワークには接続されておらず、情報処理装置200とは有線ケーブル(例えば、USBケーブル)を介して通信可能である。本発明は、印刷装置100を情報処理装置200とアクセスポイント300との間で構築されているネットワークに接続(追加)するための設定に関し、印刷装置100がネットワークに正常に接続できているか否かについての診断(以下では「ネットワーク診断)とよぶ)を行うものである。
<印刷装置100>
印刷装置100は、一般的な印刷処理を実行するプリンターとして機能する。印刷装置100は、図示するように、CPU110と、RAM120と、ROM130と、操作パネル140と、USBインターフェイス(I/F)150と、ネットワークインターフェイス(I/F)160と、印刷エンジン170と、を備えている。もちろん、印刷装置100の構成は上記に限られない。
CPU110は、他のユニットを制御して印刷装置100の各種機能を実現する演算装置である。CPU110は、ROM130などのメモリーに格納された所定のプログラムをRAM120にロードして実行することにより各種機能を実現する。
CPU110は、例えば、情報処理装置200からの要求(設定要求)に応じて、ネットワーク(情報処理装置200とアクセスポイント300との間で構築されているネットワーク)に接続するための設定を行う。また、情報処理装置200からの要求(ネットワーク診断要求)に応じて、ネットワーク診断を実行し、診断結果を情報処理装置200に通知する。
RAM120は、各種プログラム、データなどを一時的に格納し、CPU110による演算時のワークメモリーとして使用される。
ROM130は、FlashROM等の書き換え可能な記憶媒体であり、各種プログラムを格納する。例えば、ROM130は、印刷装置100をネットワークに接続するための設定を行うプログラムや、ネットワーク診断を行うプログラムなどを格納する。
操作パネル140は、液晶ディスプレイ、タッチパネルなどを備え、メッセージ等を表示し、ユーザーからの指示を受け付ける。例えば、操作パネル140は、ネットワーク診断の結果を表示することができる。
USBインターフェイス150は、USBケーブルを介して、接続されている情報処理装置200とのデータのやりとり(受信、送信)を制御する。
ネットワークインターフェイス160は、アクセスポイント300とのデータのやりとり(受信、送信)を制御し、アクセスポイント300を介して情報処理装置200と通信を行う。
印刷エンジン170は、CPU110からの指示に従って、CPU110から出力された印刷対象のデータ(印刷データ)を印刷する。
図2は、印刷システム10の機能構成図である。図示するように、印刷装置100は、設定部101と、診断部102と、通信部103と、印刷実行部104と、を有する。
設定部101は、印刷装置100をネットワーク(情報処理装置200とアクセスポイント300との間で構築されているネットワーク)に接続するための設定を行う。例えば、設定部101は、情報処理装置200から設定要求を受け付けると、受け付けた設定要求に応じた設定を行い、設定完了の通知を情報処理装置200に送信する。
診断部102は、ネットワーク診断を実行する。例えば、診断部102は、情報処理装置200からネットワーク診断要求を受け付けるとネットワーク診断を開始する。ネットワーク診断の実行中、診断部102は、情報処理装置200からアクセスポイント300を介して送信されたパケットを受信する。そして、診断部102は、設定部101で行われた設定でアクセスポイント300と正常に通信できるか否かについて、印刷装置100の状態から診断する。それから診断部102は、診断結果を情報処理装置200に通知する。なお、情報処理装置200から送信されるパケットは、印刷装置100の存在を確認するためのパケットである。
第1の通信部103は、有線ケーブル(例えば、USBケーブル)を介した情報処理装置との通信制御を行う。例えば、第1の通信部103は、他の各機能部(設定部101、診断部102、印刷実行部105)が情報処理装置200と行うUSB通信を制御する。
第2の通信部104は、アクセスポイント300を介した情報処理装置200との通信制御を行う。ここで、第2の通信部104の通信方式は、電波を用いた無線方式である。なお、電波に限らず、赤外線でもよい。そして、第2の通信部104は、例えば、情報処理装置200からブロードキャストされた所定のパケットの受信などを制御する。
印刷実行部105は、印刷対象の印刷データ(例えば、情報処理装置200から送信された印刷データ)を印刷する。具体的には、印刷実行部104は、印刷データとともに受信した印刷コマンドに従って、印刷エンジン170や印字ヘッド(不図示)を制御し、印字処理を実行する。
本実施形態が適用された印刷装置100は、以上のような構成からなる。ただし、印刷装置100の構成はこれに限定されない。例えば、印刷装置100は、さらに、ファクシミリ機能などを有する複合機、コピー機能を有する複写機であってもよい。
また、上記した各構成要素は、印刷装置100の構成を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分類したものである。構成要素の分類の仕方や名称によって、本願発明が制限されることはない。印刷装置100の構成は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。また、各構成要素の処理は、1つのハードウェアで実行されてもよいし、複数のハードウェアで実行されてもよい。
<情報処理装置200>
図1に戻り、情報処理装置200は、印刷装置100のホストコンピューターとして機能する。情報処理装置200は、図示するように、CPU210と、RAM220と、ROM230と、出力装置240と、キーボード、マウス等からなる入力装置250と、USBインターフェイス(I/F)260と、ネットワークインターフェイス(I/F)270と、を備える一般的なコンピューターである。
CPU210は、他のユニットを制御して情報処理装置200の各種機能を実現する演算装置である。CPU210は、ROM230やハードディスク(不図示)などの記憶媒体に格納された所定のプログラムをRAM220にロードして実行することにより各種機能を実現する。
CPU210は、例えば、ネットワークの設定要求やネットワーク診断要求を、有線ケーブル(例えば、USBケーブル)を介して印刷装置100に通知する。
RAM220は、各種プログラム、データなどを一時的に格納し、CPU210による演算時のワークメモリーとして使用される。
ROM230は、FlashROM等の記憶媒体であり、各種プログラムを格納する。例えば、ROM230は、印刷装置100を制御するためのドライバープログラムなどを格納する。
出力装置240は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどから構成される。出力装置240には、各種設定画面(例えば、ネットワークの設定画面、印刷設定画面など)を表示する。
入力装置250は、キーボードやマウスなどから構成される。入力装置250は、ユーザーからの指示を受け付ける。
USBインターフェイス260は、有線ケーブル(例えば、USBケーブル)を介して、接続されている印刷装置100とのデータのやりとり(受信、送信)を制御する。
ネットワークインターフェイス270は、アクセスポイント300とのデータのやりとり(受信、送信)を制御し、アクセスポイント300を介して印刷装置100と通信を行う。
また、図2の機能構成図に示すように、情報処理装置100は、設定管理部201と、診断管理部202と、第1の通信部203と、第2の通信部204と、を有する。
設定管理部201は、アクセスポイント300との間のネットワークについての設定内容を管理する。また、設定管理部201は、印刷装置100を当該ネットワークに接続(追加)する場合には、印刷装置100に対して当該ネットワークの設定内容を提供する。
診断管理部202は、印刷装置100において実行されるネットワーク診断について管理する。例えば、診断管理部202は、情報処理装置200に対してネットワーク診断要求を行う。また、診断管理部202は、印刷装置100でネットワーク診断が実行されている間、印刷装置100の存在を確認するために、アクセスポイント300を介して所定のパケットを繰り返し送信する。
第1の通信部203は、有線ケーブル(例えば、USBケーブル)を介した印刷装置100との通信制御を行う。例えば、第1の通信部203は、他の各機能部(設定管理部201、診断管理部202)が印刷装置100と行うUSB通信を制御する。
第2の通信部204は、アクセスポイント300を介した印刷装置100との通信制御を行う。ここで、第2の通信部204の通信方式は、電波を用いた無線方式である。なお、電波に限らず、赤外線でもよい。そして、第2の通信部204は、例えば、印刷装置100に対して所定のパケットをブロードキャストする制御を行う。
本実施形態が適用された情報処理装置200は、以上のような構成からなる。ただし、情報処理装置200の構成はこれに限定されない。例えば、情報処理装置200は、携帯電話、PDA、ゲーム機といった携帯端末であってもよい。
また、上記した各構成要素は、情報処理装置200の構成を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分類したものである。構成要素の分類の仕方や名称によって、本願発明が制限されることはない。情報処理装置200の構成は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。また、各構成要素の処理は、1つのハードウェアで実行されてもよいし、複数のハードウェアで実行されてもよい。
<アクセスポイント300>
アクセスポイント300は、一般的なアクセスポイントであり、印刷装置100と情報処理装置200とを接続する電波中継器である。なお、アクセスポイント300は、ルーター機能を備えるものであってもよい。
次に、上記構成からなる印刷システム10の特徴的な動作について説明する。
<タイミングチャート(概要)>
図3は、本実施形態の印刷システム10で実行される処理の概要を説明するためのタイミングチャートである。
印刷システム10で実行される処理は、ネットワーク設定を行う「設定フェーズ」と、ネットワーク診断を行う「診断フェーズ」からなる。なお、図中の実線矢印は、有線ケーブル(USBケーブル)を介した有線通信を示し、破線矢印は、アクセスポイント300を介した無線通信を示す。
「設定フェーズ」では、情報処理装置200の設定管理部201は、印刷装置100に対して、ネットワークの設定要求を行う(ステップS1)。
図4(A)は、ステップS1における印刷システム10の状況を示す図である。図示するように、設定管理部201は、有線ケーブル(例えば、USBケーブル)を介して、設定要求のための設定要求情報を印刷装置100に送信する。ここで、設定要求情報には、情報処理装置200とアクセスポイント300の間のネットワークで設定されているSSID(Service Set Identifier)、Security Type、パスワードなどが含まれている。
このとき、印刷装置100の設定部101は、設定管理部201からの設定要求(情報)を、第1の通信部103を介して受け付ける。
設定部101は、設定要求を受け付けると、設定要求情報に含まれている設定値を反映する処理を行う(ステップS2)。具体的には、設定部101は、ステップS1で受信した設定要求情報に含まれているSSID、Security Type、パスワードなどを、ネットワークの設定値として所定の記憶素子(レジスターなど)に登録する。これとともに、設定部101は、アクセスポイント300と情報処理装置200の間のネットワークで設定されている、通信方式(インフラストラクチャーモード、アドホックモードなど)、無線モード(例えば、IEEE802.11b/g/nなど)、セキュリティ方式、MACアドレスフィルタリング、暗号方式(例えば、WEP、WPAなど)、セキュリティキー、設定方式(DHCP設定、Auto−IP設定、手動設定)、デフォルトゲートウェイ(ルーター機能を有するアクセスポイント300)に割り当てられているIPアドレス、などの各種情報を所定の記憶素子に登録する。
そして、設定部101は、ネットワークの設定が完了した旨を情報処理装置200に通知する(ステップS3)。例えば、設定部101は、第1の通信部103および有線ケーブル(USBケーブル)を介して、設定完了を示す所定データを情報処理装置200に送信する。
なお、設定部101は、ステップS2の処理を終了後、設定管理部201から受け付けた設定値に基づくネットワークへの接続を試みるようにしてもよい。
図4(B)は、設定値に基づいてネットワークへの接続を試みる場合の印刷システム10の状況を示す図である。図示するように、印刷装置100は、無線通信によりアクセスポイント300への接続を試みる。
このとき、ネットワークに接続できた場合には、ステップS3に移行し、設定フェーズを終了する。その後、印刷システム10では診断フェーズに処理が移行する。ただし、ネットワークに接続できた場合には、設定フェーズが終了後、以降の診断フェーズを行わないようにしてもよい。なお、図4(C)は、ネットワークに接続できた場合の印刷システム10の状況を示す図である。
また、ネットワークに接続できなかった場合には、ステップS3の処理後、診断フェーズに移行する。
図4(D)は、ネットワークに接続ができなかった場合の印刷システム10の状況を示す図である。図示するように、印刷装置100は、アクセスポイント300に接続できなかった場合には、ユーザーに適切な対処方法を提供するため、診断フェーズに移行する。
図3に戻り、「診断フェーズ」では、情報処理装置200の診断管理部202は、印刷装置100にネットワーク診断要求を行う(ステップS4)。
図5(A)は、ステップS4における印刷システム10の状況を示す図である。図示するように、診断管理部202は、有線ケーブル(例えば、USBケーブル)を介して、ネットワーク診断要求のためのネットワーク診断要求情報を印刷装置100に送信する。
このとき、印刷装置100の診断部102は、情報処理装置200からのネットワーク診断要求(情報)を、第1の通信部103を介して受け付ける。
また、診断管理部202は、ステップS4でネットワーク診断要求を行った後、アクセスポイント300を介して、所定のパケットをブロードキャストする(ステップS6)。そして、診断管理部202は、印刷装置100からネットワーク診断の結果が通知されるまで、ステップS6の処理を繰り返し実行する。
図5(B)は、ステップS6における印刷システム10の状況を示す図である。図示するように印刷装置100のネットワーク設定が正しければ、診断管理部202から送信されたパケットは第2の通信部104で受信することができる。
一方、印刷装置100の診断部102は、ステップS4でネットワーク診断要求を受け付けると、ネットワーク診断を実行する(ステップS5)。ここで、診断部102は、電波状況を含む物理層状況や、IPアドレスの設定状況を含むIP層状況に加え、ステップS6で診断管理部202から送信されたパケットの受信状態を判定して、印刷装置100がネットワークに正常に接続されているか否か診断する。なお、ネットワーク診断のより具体的な処理については後述する。
ネットワーク診断が終了すると、診断部102は、ステップS5での診断結果を、情報処理装置200に通知する(ステップS7)。
図5(C)は、ステップS7における印刷システム10の状況を示す図である。図示するように、印刷装置100の診断部102で診断された結果は、有線ケーブル(USBケーブル)を介して、情報処理装置200に通知される。ここで、情報処理装置200に通知する診断結果には、ステップS5で判定(取得)された電波状況、ネットワークの接続に失敗した原因と考えられる設定(項目名など)、ネットワーク接続を可能にするための対処方法が含まれている。ここでの対処方法の詳細については後述する。なお、印刷装置100の診断部102で診断された診断結果は、印刷装置100に印刷させるようにしてもよい。
以上のように、本実施形態の印刷システム10では、「設定フェーズ」と「診断フェーズ」の処理が実行され、印刷装置100のネットワーク設定、ネットワーク診断を行うことができる。
次に、上記のステップS4〜S7の「診断フェーズ」について詳細に説明する。
図6は、本実施形態の印刷装置100で実行される「診断フェーズ」の処理を説明するためのフローチャートである。
上述したように、印刷装置100の診断部102は、診断管理部202からネットワーク診断要求を受け付けると、ネットワーク診断を開始する。
ネットワーク診断を開始すると、診断部102は、接続しようとしているアクセスポイント300のSSIDと同一のSSIDが複数存在するか否か判別する(ステップS101)。具体的には、診断部102は、設定値として登録されているSSIDを所定の記憶素子(レジスターなど)から読み出し、ネットワークインターフェイス(例えば、無線LANアダプター)160で検出される電波(アクセスポイント300から出力されるビーコンを含む)から得られるSSIDと比較する。このとき、診断部102は、一致するSSIDが複数存在する場合には、接続しようとしているアクセスポイント300のSSIDと同一のSSIDが複数存在すると判定する。一方、一致するSSIDが複数存在しない場合には、接続しようとしているアクセスポイント300のSSIDと同一のSSIDが複数存在しないと判定する。
診断部102は、接続しようとしているアクセスポイント300のSSIDと同一のSSIDが複数存在すると判定した場合には(ステップS101;No)、警告をユーザーに通知するためのデータを診断結果(データ)に付加する(ステップS102)。そして、処理をステップS103に移行する。
一方、診断部102は、接続しようとしているアクセスポイント300のSSIDと同一のSSIDが複数存在しないと判定した場合には(ステップS101;Yes)、処理をステップS103に移行する。
ステップS103に処理が移行すると、診断部102は、接続しようとしているアクセスポイント300の有無、電波状況を確認する(ステップS103)。
図7は、ステップS103(電波状況の診断フェーズ)の具体的な処理について説明するためのフローチャートである。
図示するように、処理がステップS103に移行すると、まず、診断部102は、接続しようとしているアクセスポイント300から出力される電波について、電波強度が所定の基準値以上であるか否か判別する(ステップS1031)。ここで、電波強度の基準値は、印刷装置100がアクセスポイント300と通信を行うのに十分な電波強度の値に設定されている。
診断部102は、電波強度が所定の基準値未満であると判定した場合には(ステップS1031;No)、処理をステップS1035に移行する。一方、診断部102は、電波強度が所定の基準値以上であると判定した場合には(ステップS1031;Yes)、処理をステップS1032に移行する。
そして、診断部102は、接続しようとしているアクセスポイント300から出力される電波について、ノイズ強度が所定の基準値未満であるか否か判別する(ステップS1032)。ここで、ノイズ強度の基準値は、印刷装置100とアクセスポイント300との通信を阻害するのに十分なノイズ強度の値に設定されている。
診断部102は、ノイズ強度が所定の基準値以上であると判定した場合には(ステップS1032;No)、処理をステップS1035に移行する。一方、診断部102は、ノイズ強度が所定の基準値未満であると判定した場合には(ステップS1032;Yes)、処理をステップS1033に移行する。
それから、診断部102は、一定以上の電波強度を有し、近傍(所定の範囲内)のチャンネルを用いている、他の電波(SSID)が存在するか否か判別する(ステップS1033)。ここで、一定以上の電波強度とは、例えば、ステップS1031の判別に用いられた基準値以上の電波強度とする。また、近傍のチャンネルとは、例えば、接続しようとしているアクセスポイント300から出力される電波のチャンネルを基準として±2チャンネル内のチャンネルとする。
診断部102は、他の電波(SSID)が存在すると判定した場合には(ステップS1033;Yes)、処理をステップS1035に移行する。一方、診断部102は、他の電波(SSID)が存在しないと判定した場合には(ステップS1033;No)、処理をステップS1034に移行する。
次に、診断部102は、上記のステップS1031、S1032、S1033で判別(確認)した結果を所定のメモリー(例えば、RAM120)に記憶する(ステップS1034)。その後、診断部102は、処理をステップS1035に移行する。
処理がステップS1035に移行すると、診断部102は、確認回数が所定回数(例えば、10回)に到達したか否か判別する(ステップS1035)。具体的には、診断部102は、処理がステップS1035に移行する毎に、所定のカウンタ値をインクリメントし、カウンタ値が所定回数と一致する場合には、確認回数が所定回数に到達したと判定する。一方、診断部102は、カウンタ値が所定回数未満である場合には、確認回数が所定回数に到達していないと判定する。
診断部102は、確認回数が所定回数に到達していないと判定した場合には(ステップS1035;No)、処理をステップS1031に戻す。これにより、所定回数、上記の確認処理(S1031、S1032、S1033)を繰り返すことができる。
一方、診断部102は、確認回数が所定回数に到達していると判定した場合には(ステップS1035;Yes)、処理をステップS1036に移行する。
処理がステップS1036に移行すると、診断部102は、ステップS1031、S1032、ステップS1033で取得した電波状況の統計結果に基づいて、印刷装置100のアクセスポイント300への接続について成否を判別する(ステップS1036)。例えば、診断部102は、上記のステップS1031の結果がYes、ステップS1032の結果がYes、かつ、ステップS1033の結果がNoであった合計回数(OK回数)が所定回数(例えば、3回)以上である場合には、OK(成功)と判定する。一方、それ以外の場合には、NG(失敗)と判定する。
図8(A)は、ステップS1036における判別に用いる確認結果400の概略データ構造を示す図である。図示するように、確認結果400には、「3回」というデータが予め格納されている。ステップS1036では、診断部102は、ステップS1031の結果がYes、ステップS1032の結果がYes、かつ、ステップS1033の結果がNoであった合計回数(OK回数)と、確認結果400に格納されているデータと、を比較して判別を行う。
なお、ステップS1036での判別方法は、上記の例に限定されない。例えば、診断部102は、上記のステップS1031の結果がYes、ステップS1032の結果がYes、かつ、ステップS1033の結果がNoであった合計回数(OK回数)の割合が所定の割合(例えば、3/10)以上である場合にOK(成功)と判定し、それ以外の場合にNG(失敗)と判定するようにしてもよい。
図8(B)は、ステップS1036において変形例の判別方法で判別を行う場合に用いる確認結果400の概略データ構造を示す図である。図示するように、確認結果400には、「3/10」というデータが予め格納されている。ステップS1036では、診断部102は、ステップS1031の結果がYes、ステップS1032の結果がYes、かつ、ステップS1033の結果がNoであった合計回数(OK回数)の割合を算出し、ここで算出した割合と、確認結果400に格納されているデータと、を比較して判別を行う。
図7に戻り、診断部102は、OK(成功)と判定した場合には(ステップS1036;OK)、接続可能なアクセスポイント300が存在するとみなし、処理をステップS105に移行する。一方、診断部102は、NG(失敗)と判定した場合には(ステップS1036;NG)、接続可能なアクセスポイント300が存在しないとみなし、処理をステップS104に移行する。
図6に戻り、処理がステップS104に移行すると、診断部102は、印刷システム10における通信方式がインフラストラクチャーモードであるかアドホックモードであるか判別する(ステップS104)。例えば、診断部102は、設定部101によって登録された通信方式を識別するデータを用いて、インフラストラクチャーモードであるかアドホックモードであるか判定する。
診断部102は、アドホックモードであると判定した場合には(ステップS104;アドホック)、この場合に応じた所定の対処方法をユーザーに報知する。
図9は、ユーザーに報知する対処方法の一覧を示す図である。図示するように、ステップS104において、アドホックモードであると判定された場合には、番号「3」に対応する文言、すなわち「所定のネットワーク(SSID)が見つかりません。接続するパソコンのネットワーク(SSID)を確認してください。不明なときはネットワーク設定を行った方にご確認ください」という文言をユーザーに報知する。
ここで、対処方法をユーザーに報知する場合、印刷実行部104は、診断部102からの指示に基づいて上記の文言を印刷する。
図10は、対処方法をユーザーに報知するための出力例500を示す図である。図示するように、印刷実行部104は、ネットワークの状態(network status)や診断結果(Check Network Connection)を印刷媒体に印刷するとともに、対処方法を所定の欄510に印刷する。例えば、ステップS104において、アドホックモードであると判定された場合には、所定の欄510には、図9の番号「3」に対応する文言が印刷される。なお、ネットワークの状態には、ステップS1031〜ステップ1033で確認(取得)された電波状況を示す情報が含まれており、診断結果には、ネットワークへの接続に失敗した原因と考えられる設定の項目名が含まれている。
また、診断部102は、対処方法を印刷実行部104に印刷させるとともに、操作パネル140に表示してもよい。また、診断部102は、対処方法を印刷させずに、有線ケーブル(USBケーブル)を介して、情報処理装置200に通知するようにしてもよい。
ところで、図6のステップS104において、診断部102は、インフラストラクチャーモードであると判定した場合には(ステップS104;インフラ)、この場合に応じた所定の対処方法をユーザーに報知する。具体的には、診断部102は、図9の番号「2」に対応する文言、すなわち「所定のネットワーク(SSID)が見つかりません。アクセスポイントの電源およびネットワーク(SSID)を確認してください。不明なときはネットワーク設定を行った方にご確認ください」という文言をユーザーに報知する。
また、ステップS105に処理が移行すると、診断部102は、無線モードの確認を行う(ステップS105)。具体的には、診断部102は、設定部101によって登録された無線規格(例えば、IEEE802.11b/g/n)が、アクセスポイント300との無線規格に一致しているか否か判別する。
ここで、診断部102は、無線規格が一致しない場合には(ステップS105;NG)、この場合に応じた所定の対処方法をユーザーに報知する。具体的には、診断部102は、図9の番号「4」に対応する文言、すなわち「異なる無線規格が使用されている可能性があります。プリンターやアクセスポイント、パソコンの無線規格がIEEE802.11b/n/gに設定されているか確認してください。不明なときはネットワーク設定を行った方にご確認ください」という文言をユーザーに報知する。
一方、診断部102は、無線規格が一致する場合には(ステップS105;OK)、処理をステップS106に移行する。
そして、診断部102は、セキュリティ方式の確認を行う(ステップS106)。具体的には、診断部102は、設定部101によって登録されたセキュリティ方式が印刷装置100の仕様範囲内であるか否か判別する。
ここで、診断部102は、セキュリティ方式が印刷装置100の仕様範囲外である場合には(ステップS106;NG)、この場合に応じた所定の対処方法をユーザーに報知する。具体的には、診断部102は、図9の番号「5」に対応する文言、すなわち「セキュリティの種類を確認してください。不明なときはネットワーク設定を行った方にご確認ください」という文言をユーザーに報知する。
一方、診断部102は、セキュリティ方式が印刷装置100の仕様範囲内である場合には(ステップS106;OK)、処理をステップS107に移行する。
そして、診断部102は、MACアドレスフィルタリング設定の確認を行う(ステップS107)。具体的には、診断部102は、設定部102によって登録されたMACアドレスフィルタイングの情報を用いて、印刷装置100のMACアドレスがフィルタリングされているか否か判別する。
ここで、診断部102は、印刷装置100のMACアドレスがフィルタリングされている場合には(ステップS107;NG)、この場合に応じた所定の対処方法をユーザーに報知する。具体的には、診断部102は、図9の番号「6」に対応する文言、すなわち「アクセスポイントに管理者としてログインし、MACアドレスフィルタリング機能が有効に設定されていないか確認してください。有効に設定されていると、事前に登録されたMACアドレス以外は接続できません。不明なときはネットワーク設定を行った方にご確認ください」という文言をユーザーに報知する。
一方、診断部102は、印刷装置100のMACアドレスがフィルタリングされていない場合には(ステップS107;OK)、処理をステップS108に移行する。
そして、診断部102は、設定部101によって登録された暗号方式がWEPであるか否か判別する(ステップS108)。ここで、診断部102は、暗号方式がWEPではない場合には(ステップS108;No)、処理をステップS109に移行する。
そして、診断部102は、セキュリティキーの確認を行う(ステップS109)。具体的には、診断部102は、設定部101によって登録されたセキュリティキーを用いて、セキュリティキーの不整合が起こっているか否か判別する。
ここで、診断部102は、セキュリティキーの不整合が起こっている場合には(ステップS109;NG)、この場合に応じた所定の対処方法をユーザーに報知する。具体的には、診断部102は、図9の番号「7」に対応する文言、すなわち「セキュリティキーを確認してください。不明なときはネットワーク設定を行った方にご確認ください」という文言をユーザーに報知する。
一方、診断部102は、セキュリティキーの不整合が起こっていない場合には(ステップS109;OK)、IP層の下位層(物理層状況)の診断を終え、IP層(IP層状況)の診断を行うために処理をステップS110に移行する。
また、診断部102は、暗号方式がWEPである場合には(ステップS108;Yes)、WEPの仕様上、WEPキーの不整合は判断できないため、ステップS109の処理を行わずにIP層の下位層の診断を終え、IP層の診断を行うために処理をステップS110に移行する。
図11は、IP層の診断処理(前半)について説明するためのフローチャートである。
図示するように、ステップS110に処理が移行すると、診断部102は、IPアドレスの確認を行う(ステップ110)。具体的には、診断部102は、印刷装置100に有効なIPアドレスが割り当てられているか否か判別する。
ここで、診断部102は、印刷装置100に有効なIPアドレスが割り当てられていない場合には(ステップS110;NG)、所定時間が経過していない間は(ステップS111;No)、有効なIPアドレスが割り当てられるまで繰り返しステップS110の確認を行う。ただし、所定時間が経過しても、有効なIPアドレスが割り当てられない場合には(ステップS111;Yes)、この場合に応じた所定の対処方法をユーザーに報知する。具体的には、診断部102は、図9の番号「8」に対応する文言、すなわち「IPアドレスが割り当てられていません。ネットワーク機器の設定を確認してください。不明なときはネットワーク設定を行った方にご確認ください」という文言をユーザーに報知する。
一方、診断部102は、印刷装置100に有効なIPアドレスが割り当てられている場合には(ステップS110;OK)、処理をステップS112に移行する。
そして、診断部102は、IPアドレスについての詳細設定の確認処理を開始する(ステップ112)。まず、診断部102は、設定部101に登録された設定方式の情報を参照して、DHCP設定、Auto−IP設定、手動設定、のいずれの設定方式が指定されているのかを判別する。
ここで、診断部102は、DHCP設定が指定されている場合には(ステップS112;DHCP)、同一ネットワーク内でユニークなIPアドレスがほぼ確実に割り当てられているため、上記の設定フェーズでなされた設定に問題はないとみなして、本フローを終了する。
また、診断部102は、Auto−IP設定が指定されている場合には(ステップS112;Auto−IP)、Listen探索(受身探索)を行う(ステップS113)。ここで、Listen探索とは、上記のステップS6の処理に対応し、診断部102は、診断管理部202からブロードキャストされた所定のパケットを受信すると、診断管理部202に対して応答する(PING)。
このとき、診断部102は、所定時間(例えば、60秒)の間に当該パケットを受信して、診断管理部202に応答できた場合には(ステップS114;Yes)、上記の設定フェーズでなされた設定に問題はないとみなして、本フローを終了する。
一方、診断部102は、所定時間の間に当該パケットを受信できなかった場合には(ステップS114;No)、処理をステップS117に移行する。
処理がステップS117に移行すると、診断部102は、設定部101によって登録された暗号方式がWEPであるか否か判別する(ステップS117)。ここで、診断部102は、暗号方式がWEPである場合には(ステップS117;Yes)、処理をステップS118に移行する。
そして、診断部102は、ステップS114の所定時間の間に何らかのパケットを受信したか否か判別する(ステップS117)。そして、診断部102は、何のパケットも受信していない場合には(ステップS117;No)、この場合に応じた所定の対処方法をユーザーに報知する。具体的には、診断部102は、図9の番号「13」に対応する文言、すなわち「以下を確認してください。不明なときは設定を行った方にご確認ください。・プリンターのセキュリティキーの入力が正しいか。・アクセスポイントに複数のセキュリティキーが設定されている場合、最初(1番目)のインデックスのセキュリティキーがプリンターに設定されているか。・プリンターを利用するための機器との接続およびネットワーク設定が正しいか。」という文言をユーザーに報知する。
一方、診断部102は、ステップS117において暗号方式がWEPではない場合(ステップ117;No)、又は、ステップS118において何らかのパケットを受信した場合(ステップS118;Yes)には、この場合に応じた所定の対処方法をユーザーに報知する。具体的には、診断部102は、図9の番号「9」に対応する文言、すなわち「プリンターを利用するための機器との接続およびネットワーク設定を確認してください。EpsonNet Setupで設定し直すことをお勧めします。不明なときはネットワーク設定を行った方にご確認ください。」という文言をユーザーに報知する。
また、診断部102は、ステップS112において、手動設定が指定されている場合には(ステップS112;手動設定)、処理をステップS115に移行する。
そして、診断部102は、設定部101に登録されたデフォルトゲートウェイ(ルーター機能を有するアクセスポイント300)に割り当てられているIPアドレスを参照して、デフォルトゲートウェイのIPアドレスが、一意に決められていないIPアドレス(例えば、「0.0.0.0」)、又は、自分自身を指すIPアドレス(例えば、「127.0.0.1」)であるか否か判別する(ステップS115)。
ここで、診断部102は、デフォルトゲートウェイのIPアドレスが、一意に決められないIPアドレス、又は、自分自身を指すIPアドレスである場合には(ステップS115;Yes)、デフォルトゲートウェイに割り当てられているIPアドレスは利用可能と判断して、処理をステップS113に移行し、上述した処理と同様に処理を進める。
一方、診断部102は、デフォルトゲートウェイのIPアドレスが、一意に決められていないIPアドレスでもなく、自分自身を指すIPアドレスでもない場合には(ステップS115;No)、処理をステップS116に移行する。
そして、診断部102は、デフォルトゲートウェイ(アクセスポイント300)に対して、所定のパケットをユニキャストし(PING)、デフォルトゲートウェイとのネットワーク疎通を確認する(ステップS116)。具体的には、診断部102は、デフォルトゲートウェイに割り当てられているIPアドレスを送信先として所定のIPパケットを発行し、所定時間内にデフォルトゲートウェイ(アクセスポイント300)から応答があるか否か判別する。
ここで、診断部102は、デフォルトゲートウェイから所定時間内に応答があれば(ステップS116;Yes)、上記の設定フェーズでなされた設定に問題はないとみなして、本フローを終了する。
一方、診断部102は、デフォルトゲートウェイから所定時間内に応答がなければ(ステップS116;No)、処理をステップS119に移行する。
図12は、IP層の診断処理(後半)について説明するためのフローチャートである。
図示するように、処理がステップS119に移行すると、診断部102は、ステップS113と同様のListen探索(受身探索)を行う(ステップS119)。
このとき、診断部102は、所定時間(例えば、60秒)の間に当該パケットを受信して、情報処理装置200に応答できた場合には(ステップS120;Yes)、この場合に応じた所定の対処方法をユーザーに報知する。具体的には、診断部102は、図9の番号「11」に対応する文言、すなわち「プリンターのデフォルトゲートウェイの設定を確認してください。不明なときは設定を行った方にご確認ください。」という文言をユーザーに報知する。
一方、診断部102は、所定時間の間に当該パケットを受信できなかった場合には(ステップS120;No)、処理をステップS121に移行する。
処理がステップS121に移行すると、診断部102は、設定部101によって登録された暗号方式がWEPであるか否か判別する(ステップS121)。ここで、診断部102は、暗号方式がWEPである場合には(ステップS121;Yes)、処理をステップS122に移行する。
そして、診断部102は、ステップS120の所定時間の間に何らかのパケットを受信したか否か判別する(ステップS122)。そして、診断部102は、何のパケットも受信していない場合には(ステップS122;No)、この場合に応じた所定の対処方法をユーザーに報知する。具体的には、診断部102は、図9の番号「12」に対応する文言、すなわち「以下を確認してください。不明なときは設定を行った方にご確認ください。・プリンターのセキュリティキーの入力が正しいか。・アクセスポイントに複数のセキュリティキーが設定されている場合、最初(1番目)のインデックスのセキュリティキーがプリンターに設定されているか。・プリンターのIPアドレス、サブネットマスク、デフォルトゲートウェイの設定が正しいか。」という文言をユーザーに報知する。
一方、診断部102は、ステップS121において暗号方式がWEPではない場合(ステップ121;No)、又は、ステップS122において何らかのパケットを受信した場合(ステップS122;Yes)には、この場合に応じた所定の対処方法をユーザーに報知する。具体的には、診断部102は、図9の番号「10」に対応する文言、すなわち「プリンターを利用するための機器との接続、およびプリンターのIPアドレス、サブネットアドレス、デフォルトゲートウェイの設定を確認してください。EpsonNet Setupで設定し直すことをお勧めします。不明なときはネットワーク設定を行った方にご確認ください。」という文言をユーザーに報知する。
上記の各タイミング(フローの番号「2」〜「13」に対応するタイミング)で対処方法を報知後(すなわち診断結果を通知後S7)、診断部102は、本フローを終了する。
以上の処理により、従来よりも信憑性が高いネットワーク診断を行うとともに、ユーザーに対してより適切な対処方法を提示する技術を提供することができる。
なお、上記した各フローの各処理単位は、印刷システム10を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものである。処理ステップの分類の仕方やその名称によって、本願発明が制限されることはない。印刷システム10が行う処理は、さらに多くの処理ステップに分割することもできる。また、1つの処理ステップが、さらに多くの処理を実行してもよい。
また、上記の実施形態は、本発明の要旨を例示することを意図し、本発明を限定するものではない。多くの代替物、修正、変形例は当業者にとって明らかである。
<第1の変形例>
例えば、上記の実施形態では、アクセスポイント300を介した無線通信によって、印刷装置100をネットワークに接続(追加)している。しかし、本発明は、これに限定されず、ネットワークケーブル(例えば、LANケーブル)を介した有線通信によって、印刷装置100をネットワークに接続(追加)するようにしてもよい。
この場合、印刷装置100のネットワークインターフェイス160には、ネットワークケーブルが接続される。そして、ネットワークインターフェイス160は、ネットワークケーブルを介して、アクセスポイント300とデータのやりとり(受信、送信)を行う。また、情報処理装置200のネットワークインターフェイス270には、ネットワークケーブルが接続される。そして、ネットワークインターフェイス270は、ネットワークケーブルを介して、アクセスポイント300とデータのやりとり(受信、送信)を行う。ただし、情報処理装置200のネットワークインターフェイス270は、上記実施形態と同様に、アクセスポイント300と無線通信によってデータのやりとりを行うようにしてもよい。
また、印刷装置100の第2の通信部104は、ネットワークケーブルを介してアクセスポイント300との通信制御を行う。例えば、第2の通信部104は、情報処理装置200からブロードキャストされた所定のパケットの受信などを制御する。また、情報処理装置200の第2の通信部204は、ネットワークケーブル(或いは、電波)を介してアクセスポイント300との通信制御を行う。
図13は、有線通信により印刷装置100をネットワークに接続(追加)する場合における、印刷装置100で実行される「診断フェーズ」の処理を説明するためのフローチャートである。
図示するように、印刷装置100の診断部102は、診断管理部202からネットワーク診断要求を受け付けると、ネットワーク診断を開始する。
ネットワーク診断を開始すると、診断部102は、ネットワークインターフェイス160に接続されているネットワークケーブルの接続確認を行う(ステップS201)。具体的には、診断部102は、アクセスポイント300からネットワークインターフェイス160に供給される物理信号がリンク状態であるか否か判別する。
ここで、診断部102は、ネットワークインターフェイス160に供給される物理信号がリンク状態ではない場合には(ステップS201;NG)、この場合に応じた所定の対処方法をユーザーに報知する。具体的には、診断部102は、図9の番号「1」に対応する文言、すなわち「ネットワークケーブルの接続と、ネットワーク機器の電源を確認してください。」という文言をユーザーに報知する。
一方、診断部102は、ネットワークインターフェイス160に供給される物理信号がリンク状態である場合には(ステップS201;OK)、物理層状況の診断を終え、処理をステップS202に移行する。
図14は、有線通信により印刷装置100をネットワークに接続(追加)する場合における、IP層の診断処理(前半)について説明するためのフローチャートである。
図示するように、ステップS202に処理が移行すると、IPアドレスの確認を行う(ステップS202)。具体的には、診断部102は、印刷装置100に有効なIPアドレスが割り当てられているか否か判別する。
ここで、診断部102は、印刷装置100に有効なIPアドレスが割り当てられていない場合には(ステップS202;NG)、所定時間が経過していない間は(ステップS203;No)、有効なIPアドレスが割り当てられるまで繰り返しステップS202の確認を行う。ただし、所定時間が経過しても、有効なIPアドレスが割り当てられない場合には(ステップS202;Yes)、この場合に応じた所定の対処方法をユーザーに報知する。具体的には、診断部102は、図9の番号「8」に対応する文言、すなわち「IPアドレスが割り当てられていません。ネットワーク機器の設定を確認してください。不明なときはネットワーク設定を行った方にご確認ください」という文言をユーザーに報知する。
一方、診断部102は、印刷装置100に有効なIPアドレスが割り当てられている場合には(ステップS202;OK)、処理をステップS204に移行する。
そして、診断部102は、IPアドレスについての詳細設定の確認処理を開始する(ステップS204)。まず、診断部102は、設定部101に登録された設定方式の情報を参照して、DHCP設定、Auto−IP設定、手動設定、のいずれの設定方式が指定されているのかを判別する。
ここで、診断部102は、DHCP設定が指定されている場合には(ステップS204;DHCP)、同一ネットワーク内でユニークなIPアドレスがほぼ確実に割り当てられているため、上記の設定フェーズでなされた設定に問題はないとみなして、本フローを終了する。
また、診断部102は、Auto−IP設定が指定されている場合には(ステップS204;Auto−IP)、Listen探索(受身探索)を行う(ステップS207)。
このとき、診断部102は、所定時間(例えば、60秒)の間に診断管理部202からブロードキャストされた所定のパケットを受信して、応答できた場合には(ステップS208;Yes)、上記の設定フェーズでなされた設定に問題はないとみなして、本フローを終了する。
一方、診断部102は、所定時間の間に当該パケットを受信できなかった場合には(ステップS208;No)、この場合に応じた所定の対処方法をユーザーに報知する。具体的には、診断部102は、図9の番号「9」に対応する文言、すなわち「プリンターを利用するための機器との接続およびネットワーク設定を確認してください。EpsonNet Setupで設定し直すことをお勧めします。不明なときはネットワーク設定を行った方にご確認ください。」という文言をユーザーに報知する。
また、診断部102は、ステップS204において、手動設定が指定されている場合には(ステップS204;手動設定)、処理をステップS205に移行する。
そして、診断部102は、設定部101に登録されたデフォルトゲートウェイ(ルーター機能を有するアクセスポイント300)に割り当てられているIPアドレスを参照して、デフォルトゲートウェイのIPアドレスが、一意に決められていないIPアドレス(例えば、「0.0.0.0」)、又は、自分自身を指すIPアドレス(例えば、「127.0.0.1」)であるか否か判別する(ステップS205)。
ここで、診断部102は、デフォルトゲートウェイのIPアドレスが、一意に決められないIPアドレス、又は、自分自身を指すIPアドレスである場合には(ステップS205;Yes)、デフォルトゲートウェイに割り当てられているIPアドレスは利用可能と判断して、処理をステップS207に移行し、上述した処理と同様に処理を進める。
一方、診断部102は、デフォルトゲートウェイのIPアドレスが、一意に決められていないIPアドレスでもなく、自分自身を指すIPアドレスでもない場合には(ステップS205;No)、処理をステップS206に移行する。
そして、診断部102は、デフォルトゲートウェイ(アクセスポイント300)に対して、所定のパケットをユニキャストし(PING)、デフォルトゲートウェイとのネットワーク疎通を確認する(ステップS206)。具体的には、診断部102は、デフォルトゲートウェイに割り当てられているIPアドレスを送信先として所定のIPパケットを発行し、所定時間内にデフォルトゲートウェイ(アクセスポイント300)から応答があるか否か判別する。
ここで、診断部102は、デフォルトゲートウェイから所定時間内に応答があれば(ステップS206;Yes)、上記実施形態の設定フェーズでなされた設定に問題はないとみなして、本フローを終了する。
一方、診断部102は、デフォルトゲートウェイから所定時間内に応答がなければ(ステップS206;No)、処理をステップS209に移行する。
図15は、有線通信により印刷装置100をネットワークに接続(追加)する場合における、IP層の診断処理(後半)について説明するためのフローチャートである。
図示するように、処理がステップS209に移行すると、診断部102は、ステップS207と同様のListen探索(受身探索)を行う(ステップS209)。
このとき、診断部102は、所定時間(例えば、60秒)の間に診断管理部202からブロードキャストされた所定のパケットを受信して、応答できた場合には(ステップS210;Yes)、この場合に応じた所定の対処方法をユーザーに報知する。具体的には、診断部102は、図9の番号「11」に対応する文言、すなわち「プリンターのデフォルトゲートウェイの設定を確認してください。不明なときは設定を行った方にご確認ください。」という文言をユーザーに報知する。
一方、診断部102は、所定時間の間に当該パケットを受信できなかった場合には(ステップS210;No)、この場合に応じた所定の対処方法をユーザーに報知する。具体的には、診断部102は、図9の番号「10」に対応する文言、すなわち「プリンターを利用するための機器との接続、およびプリンターのIPアドレス、サブネットアドレス、デフォルトゲートウェイの設定を確認してください。EpsonNet Setupで設定し直すことをお勧めします。不明なときはネットワーク設定を行った方にご確認ください。」という文言をユーザーに報知する。
以上より、本第1の変形例では、ネットワークケーブル(例えば、LANケーブル)を介した有線通信によって、印刷装置100をネットワークに接続(追加)する場合にも、従来よりも信憑性が高いネットワーク診断を行うことが可能となり、ユーザーに対してより適切な対処方法を提示することもできる。
<第2の変形例>
また、上記実施形態及び第1の変形例では、情報処理装置200側から印刷装置100に対して、ネットワーク診断要求(S4)を行い、その後、情報処理装置200の診断管理部202は、所定のパケットを印刷装置100にブロードキャストしている。しかし、本発明は、これに限定されず、印刷装置100側から情報処理装置200に対して、所定のパケットをブロードキャストするように要求(以下では「診断補助要求」とよぶ)してもよい。
図16は、印刷装置100側から情報処理装置200に診断補助要求する場合における、印刷システム10で実行される処理の概要を説明するためのタイミングチャートである。
図示するように、上記実施形態及び第1の変形例と同様の「設定フェーズ(S11〜S13)」を終了後、印刷装置100の診断部202は、情報処理装置200に診断補助要求を行う(ステップS14)。
図17(A)は、ステップS14における印刷システム10の状況を示す図である。図示するように、診断部202は、有線ケーブル(例えば、USBケーブル)を介して、診断補助要求のための診断補助要求情報を情報処理装置100に送信する。ここで、診断補助要求情報には、印刷装置100に割り当てられているIPアドレスなどが含まれている。
このとき、情報処理装置200の診断管理部202は、印刷装置100からの診断補助要求(情報)を、第1の通信部203を介して受け付ける。
そして、診断管理部202は、ステップS14で診断補助要求を受け付けると、アクセスポイント300を介して、所定のパケットをブロードキャストする(ステップS16)。そして、診断管理部202は、印刷装置100からネットワーク診断の結果が通知されるまで、ステップS16の処理を繰り返し実行する。なお、ステップS16では、診断管理部202は、所定のパケットをブロードキャストする代わりに、診断補助要求に含まれている印刷装置100のIPアドレスに対して、所定のパケットをユニキャストしてもよい。
図17(B)は、ステップS16における印刷システム10の状況を示す図である。図示するように印刷装置100のネットワーク設定が正しければ、診断管理部202から送信されたパケットは第2の通信部104で受信することができる。
一方、印刷装置100の診断部102は、ステップS14で診断補助要求を行った後、ネットワーク診断を実行する(ステップS15)。ここで、診断部102は、電波状況を含む物理層状況や、IPアドレスの設定状況を含むIP層状況に加え、ステップS16で診断管理部202から送信されたパケットの受信状態を判定して、印刷装置100がネットワークに正常に接続されているか否か診断する。
ネットワーク診断が終了すると、診断部102は、ステップS15での診断結果を、情報処理装置200に通知する(ステップS17)。
図17(C)は、ステップS17における印刷システム10の状況を示す図である。図示するように、印刷装置100の診断部102で診断された結果は、有線ケーブル(USBケーブル)を介して、情報処理装置200に通知される。ここで、情報処理装置200に通知する診断結果には、上記実施形態及び第1の変形例と同様に、ネットワーク接続を可能にするための対処方法が含まれている。また、上記実施形態及び第1の変形例と同様に、印刷装置100の診断部102で診断された診断結果は、印刷装置100に印刷させるようにしてもよい。
以上のように、本第2の変形例の印刷システム10では、「設定フェーズ」と「診断フェーズ」の処理が実行され、印刷装置100のネットワーク設定、ネットワーク診断を行うことができる。
そして、本第2の変形例では、上記実施形態のステップS113及びステップS119の処理が異なる。また、同様に、本第2の変形例では、上記第1の変形例のステップS207及びステップS209の処理が異なる。
具体的には、本第2の変形例では、ステップS113、ステップ119、ステップS207、ステップS209で、Listen探索の代わりに、リクエスト・リプライ探索(積極的探索)を行う。ここで、リクエスト・リプライ探索とは、上記のステップS14、ステップS16の処理に対応し、診断部102は、情報処理装置200に対して診断補助要求を行い、これに応答して診断管理部202からブロードキャストされた所定のパケットを待つ。そして、診断部102は、当該パケットを受信すると、診断管理部202に対して応答する(PING)。
以上より、本第2の変形例では、印刷装置100側では、情報処理装置200からのネットワーク診断要求を待つことなく、情報処理装置200に対して所定のパケットのブロードキャスト(或いは、ユニキャスト)を要求(診断補助要求)することができる。
<第3の変形例>
また、上記実施形態、上記第1の変形例、及び、上記第2の変形例では、図7に示す電波状況の確認処理(ステップS103)において、各確認処理(ステップS1031〜S1033)を、必ず所定回数(10回)繰り返すようにしている。しかし、本発明は、これに限定されない。例えば、最初の(1回目)の各確認処理(ステップS1031〜S1033)において、ステップS1031で確認した電波強度が所定の基準値(例えば、上記実施形態で説明した基準値よりも高い値)を超えていた場合には、2回目以降の各確認処理を実行せずに、ステップS1036に移行し、OK(成功)と判定するようにしてもよい。一方、最初の(1回目)の各確認処理(ステップS1031〜S1033)において、ステップS1031で確認した電波強度が所定の基準値(例えば、上記実施形態で説明した基準値よりも高い値)を超えていない場合には、所定回数(10回)、各確認処理を繰り返す。
これにより、明らかに電波状況が良好なときは、不要な繰り返し処理を省くことが可能となり、ネットワーク診断処理を高速に行うことができる。
<第4の変形例>
また、上記実施形態、及び、上記第2〜第3の変形例では、IP層の診断過程(図11、図12のフロー実行時)で、IPアドレスの設定に関連する対処方法(図9の「8」〜「13」に対応)をユーザーに報知している。しかし、本発明は、これに限定されない。例えば、IP層の診断過程であっても、IPアドレスの設定(IP層状況)に関連する対処方法のみでなく、電波状況を示す情報、電波状況に問題がある可能性を示唆する対処方法をユーザーに報知するようにしてもよい。
(第1の報知方法)
具体的には、診断部102は、IPアドレスの設定に関連する対処方法(図9の「8」〜「13」)をユーザーに報知するタイミングで、図9の番号「14」に対応する文言(すなわち「ただし、電波の受信状況が原因の可能性もあります。ご確認ください。」という文言)などをユーザーに報知する。
(第2の報知方法)
また、第1の報知方法とは別に、診断部102は、IPアドレスの設定に関連する対処方法(図9の「8」〜「13」)をユーザーに報知するタイミングで、再度、ステップS1031〜ステップS1033の処理を実行して電波状況を取得(確認)する。そして、診断部102は、取得した電波状況に問題がある場合に、当該電波状況を示す情報、図9の番号「14」に対応する文言などをユーザーに報知するようにしてもよい。ここで、電波状況に問題がある場合とは、例えば、「ステップS1031の結果がYes、ステップS1032の結果がYes、かつ、ステップS1033の結果がNo」ではない場合を指す。
(第3の報知方法)
また、第1、第2の報知方法とは別に、診断部102は、ステップS1034で記憶しておいた電波状況を所定のメモリーから取得し、取得した電波状況に問題がある場合に、当該電波状況を示す情報、図9の番号「14」に対応する文言などをユーザーに報知するようにしてもよい。ここで、電波状況に問題がある場合とは、電波状況のOK回数から求めた信頼度が所定基準以下、例えば、「ステップS1031の結果がYes、ステップS1032の結果がYes、かつ、ステップS1033の結果がNoであった合計回数(OK回数)が所定範囲内(例えば、3回〜5回)」である場合を指す。
これにより、IP層の診断時に電波状況が悪化してIPアドレスの確認などができない場合であっても、電波状況に問題がある可能性など(IP層の診断結果以外の情報)をユーザーに報知することができる。すなわち、本第4の変形例の印刷システム10では、時間経過にともなう電波状況の変化を考慮した、適切な対処方法をユーザーに報知することができる。
<第5の変形例>
また、上記実施形態、及び、上記第2〜第4の変形例では、電波状況にかかわらず所定の対処方法をユーザーに報知している。しかし、本発明は、これに限定されない。例えば、電波状況に応じて、ユーザーに報知する対処方法を変更するようにしてもよい。
具体的には、上記のステップS1031において、診断部102は、接続しようとしているアクセスポイント300から出力される電波ついて、電波強度判定テーブル600を用いて電波強度を分類する。
図18は、電波強度判定テーブル600の概略データ構造の一例を示す図である。
図示するように、電波強度判定テーブル600は、電波強度がX値未満である場合に「低(悪い)」と分類し、電波強度がX値以上Y値未満である場合に「中(良くも悪くもない)」と分類し、電波強度がY値以上である場合に「高(良い)」と分類する。
この電波強度判定テーブル600を用いることにより、診断部102は、ステップS1031において、接続しようとしているアクセスポイント300から出力される電波の電波強度を、「低」、「中」、「高」と分類することができる。もちろん、本発明は、3段階に分類することに限定されず、2段階、4段階以上に分類するようにしてもよい。
そして、診断部102は、ステップS1034において、ステップS1031で取得(確認)した電波強度とともに、分類した電波強度の程度(「低」、「中」、「高」)を対応付けて所定のメモリーに記憶する。
また、診断部102は、電波以外の状況が悪い場合には、この場合に対応する対処方法(図9の「4」〜「13」)をユーザーに報知するタイミングで、所定のメモリーから電波強度の程度(「低」、「中」、「高」)を読み出す。そして、診断部102は、電波強度の程度が「高」である場合には、上記実施形態の場合と同様に、電波以外の状況が悪い場合の対処方法(図9の「4」〜「13」)をそのままユーザーに報知する。また、診断部102は、電波強度の程度が「中」である場合には、電波状況が悪い場合の対処方法(図9の「2」又は「3」)とともに、電波以外の状況が悪い場合の対処方法(図9の「4」〜「13」)をユーザーに報知する。また、診断部102は、電波強度の程度が「低」である場合には、電波以外の状況が悪い場合の対処方法(図9の「4」〜「13」)に代えて、電波状況が悪い場合の対処方法(図9の「2」又は「3」)をユーザーに報知する。
これにより、本第5の変形例の印刷システム10では、電波状況に応じて、より適切な対処方法をユーザーに報知することができる。
なお、本発明は、電波強度を分類することに限定されず、電波強度、ノイズ強度、近隣チャンネルの他の電波(SSID)の有無、などの結果を総合して、電波状況を分類するようにしてもよい。そして、本第5の変形例で説明した「電波強度」を「電波状況」に置き換えてもよい。
また、印刷装置100の第2の通信部104と、情報処理装置200の第2の通信部204と、の間で行われる通信は、無線通信であれば電波通信に限られず、赤外線通信や超音波通信など他の通信であってもよい。そして、診断部102は、それぞれの通信に用いる赤外線や超音波などの伝送路の状況の診断を行ってもよい。