JP5432974B2 - 炭素繊維複合材料の製造方法及び炭素繊維複合材料 - Google Patents

炭素繊維複合材料の製造方法及び炭素繊維複合材料 Download PDF

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Description

本発明は、カーボンナノファイバーを用いた炭素繊維複合材料の製造方法及び炭素繊維複合材料に関する。
本発明者他が先に提案した炭素繊維複合材料の製造方法によれば、エラストマーを用いることで、これまで困難とされていたカーボンナノファイバーの分散性を改善し、エラストマーにカーボンナノファイバーを均一に分散させることができた(例えば、特許文献1参照)。このような炭素繊維複合材料の製造方法によれば、エラストマーとカーボンナノファイバーを混練し、剪断力によって凝集性の強いカーボンナノファイバーの分散性を向上させている。より具体的には、エラストマーとカーボンナノファイバーとを混合すると、粘性を有するエラストマーがカーボンナノファイバーの相互に侵入し、かつ、エラストマーの特定の部分が化学的相互作用によってカーボンナノファイバーの活性の高い部分と結合し、この状態で、分子長が適度に長く、分子運動性の高い(弾性を有する)エラストマーとカーボンナノファイバーとの混合物に強い剪断力が作用すると、エラストマーの変形に伴ってカーボンナノファイバーも移動し、さらに剪断後の弾性によるエラストマーの復元力によって、凝集していたカーボンナノファイバーが分離されて、エラストマー中に分散していた。このように、マトリックスへのカーボンナノファイバーの分散性を向上させることで、高価なカーボンナノファイバーを効率よく複合材料のフィラーとして用いることができるようになった。
カーボンナノファイバーを配合した熱可塑性樹脂組成物の製造方法として、エラストマーにカーボンナノファイバーを混合して複合ペレットを得た後、熱可塑性樹脂と混合する方法が提案されていた(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、単にエラストマーとカーボンナノファイバーとを混合してもカーボンナノファイバーは凝集塊のままであり、それを熱可塑性樹脂に混合してもカーボンナノファイバーの補強効果はほとんど得ることができない。
また、エラストマーにカーボンナノファイバーをエラストマーの弾性を利用して均一に分散させて混合物を得た後、その混合物を熱可塑性樹脂にさらに混合し、低温で混練りすることによってカーボンナノファイバーを分散させる熱可塑性樹脂組成物の製造方法が提案された(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、ほとんどのカーボンナノファイバーは解繊されてエラストマー中に分散させることはできるが、カーボンナノファイバーを熱可塑性樹脂相の中にまで分散させることは難しかった。
特開2005−97525号公報 特開2005−46184号公報 特開2007−154157号公報
本発明の目的は、カーボンナノファイバーが分散した炭素繊維複合材料の製造方法及び炭素繊維複合材料を提供することにある。
本発明にかかる炭素繊維複合材料の製造方法は、
エチレン−プロピレン−ジエン共重合体と、ポリプロピレン樹脂と、カーボンナノファイバーと、を第1の温度で混練して第1の混合物を得る工程(a)と、
前記工程(a)で得られた前記第1の混合物を第2の温度で1分間以上20分間以下混練する工程(b)と、
を含み、
前記第2の温度は、前記ポリプロピレン樹脂の融解温度(Tm)よりも高温であって、前記第1の混合物におけるエチレン−プロピレン−ジエン共重合体及びポリプロピレン樹脂と同じ配合割合のポリマー成分についてJIS K6394に基づいて動的粘弾性試験を行って得られた貯蔵弾性率(E’)が0.01MPa以上10MPa以下の範囲における温度に対する貯蔵弾性率(E’)の減少割合が0.001MPa/℃以上1MPa/℃以下であるゴム状弾性率を示す温度範囲であり、
前記第1の温度は、前記第2の温度の上限温度よりも20℃以上200℃以下高い温度であることを特徴とする。
本発明にかかる炭素繊維複合材料の製造方法によれば、第2の温度で1分間以上20分間以下混練することによって、カーボンナノファイバーの凝集体を解繊し、かつ、ポリプロピレン樹脂全体に均一に分散させた炭素繊維複合材料を得ることができる。
本発明にかかる炭素繊維複合材料の製造方法において、
前記弾性混練工程に配合されるカーボンナノファイバーは、前記ポリマー成分100質量部に対して0.1質量部以上100質量部以下を配合することができる。
本発明にかかる炭素繊維複合材料の製造方法は、
エチレン−プロピレン−ジエン共重合体にカーボンナノファイバーを混合させ、かつ、せん断力によって分散させて複合エラストマーを得る工程(c)と、
前記複合エラストマーとポリプロピレン樹脂とを第1の温度で混練して第2の混合物を得る工程(d)と、
前記工程(d)で得られた前記第2の混合物を第2の温度で1分間以上20分間以下混
練する工程(e)と、
を含み、
前記第2の温度は、前記ポリプロピレン樹脂の融解温度(Tm)よりも高温であって、前記第2の混合物におけるエチレン−プロピレン−ジエン共重合体及びポリプロピレン樹脂と同じ配合割合のポリマー成分についてJIS K6394に基づいて動的粘弾性試験を行って得られた貯蔵弾性率(E’)が0.01MPa以上10MPa以下の範囲における温度に対する貯蔵弾性率(E’)の減少割合が0.001MPa/℃以上1MPa/℃以下であるゴム状弾性率を示す温度範囲であり、
前記第1の温度は、前記第2の温度の上限温度よりも20℃以上200℃以下高い温度であり、
前記工程(c)において配合されるカーボンナノファイバーは、前記ポリマー成分100質量部に対して0.1質量部以上15質量部以下であることを特徴とする。
本発明にかかる炭素繊維複合材料の製造方法によれば、第2の温度で1分間以上20分間以下混練することによって、カーボンナノファイバーの凝集体を解繊し、かつ、ポリプロピレン樹脂全体に均一に分散させた炭素繊維複合材料を得ることができる。
本発明にかかる炭素繊維複合材料の製造方法において、
前記カーボンナノファイバーは、平均直径が9nm以上110nm以下の多層カーボンナノチューブであることができる。
本発明にかかる炭素繊維複合材料は、前記炭素繊維複合材料の製造方法において得られたことを特徴とする。
ポリプロピレン樹脂及びポリマー成分における温度(T)−貯蔵弾性率(E’)のグラフである。 図1の温度(T)−貯蔵弾性率(E’)のグラフにおける160℃〜175℃の範囲を部分的に拡大したグラフである。 密閉式混練機を用いた炭素繊維複合材料の製造方法を模式的に示す図である。 オープンロールを用いた炭素繊維複合材料の製造方法における工程(c)を模式的に示す図である。 オープンロールを用いた炭素繊維複合材料の製造方法における工程(c)を模式的に示す図である。 オープンロールを用いた炭素繊維複合材料の製造方法における工程(c)を模式的に示す図である。 密閉式混練機を用いた炭素繊維複合材料の製造方法における工程(d)及び(e)を模式的に示す図である。 実施例1,2及び比較例1のポリマー成分における温度(T)−貯蔵弾性率(E’)のグラフである。 実施例1,2及び比較例1のポリマー成分における温度(T)−貯蔵弾性率(E’)のグラフである。 実施例2の炭素繊維複合材料サンプルの引張破断面における電子顕微鏡写真である。 実施例2の炭素繊維複合材料サンプルの引張破断面における電子顕微鏡写真である。 実施例3の炭素繊維複合材料サンプルの引張破断面における電子顕微鏡写真である。 実施例3の炭素繊維複合材料サンプルの引張破断面における電子顕微鏡写真である。 実施例8の炭素繊維複合材料サンプルの引張破断面における電子顕微鏡写真である。 実施例8の炭素繊維複合材料サンプルの引張破断面における電子顕微鏡写真である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明の一実施の形態にかかる炭素繊維複合材料の製造方法は、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体と、ポリプロピレン樹脂と、カーボンナノファイバーと、を第1の温度で混練して第1の混合物を得る工程(a)と、前記工程(a)で得られた前記第1の混合物を第2の温度で1分間以上20分間以下混練する工程(b)と、を含み、前記第2の温度は、前記ポリプロピレン樹脂の融解温度(Tm)よりも高温であって、前記第1の混合物におけるエチレン−プロピレン−ジエン共重合体及びポリプロピレン樹脂と同じ配合割合のポリマー成分についてJIS K6394に基づいて動的粘弾性試験を行って得られた貯蔵弾性率(E’)が0.01MPa以上10MPa以下の範囲における温度に対する貯蔵弾性率(E’)の減少割合が0.001MPa/℃以上1MPa/℃以下であるゴム状弾性率を示す温度範囲であり、前記第1の温度は、前記第2の温度の上限温度よりも20℃以上200℃以下高い温度であることを特徴とする。
本発明の一実施の形態にかかる炭素繊維複合材料の製造方法は、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体にカーボンナノファイバーを混合させ、かつ、せん断力によって分散させて複合エラストマーを得る工程(c)と、前記複合エラストマーとポリプロピレン樹脂とを第1の温度で混練して第2の混合物を得る工程(d)と、前記工程(d)で得られた前記第2の混合物を第2の温度で1分間以上20分間以下混練する工程(e)と、を含み、前記第2の温度は、前記ポリプロピレン樹脂の融解温度(Tm)よりも高温であって、前記第2の混合物におけるエチレン−プロピレン−ジエン共重合体及びポリプロピレン樹脂と同じ配合割合のポリマー成分についてJIS K6394に基づいて動的粘弾性試験を行って得られた貯蔵弾性率(E’)が0.01MPa以上10MPa以下の範囲における温度に対する貯蔵弾性率(E’)の減少割合が0.001MPa/℃以上1MPa/℃以下であるゴム状弾性率を示す温度範囲であり、前記第1の温度は、前記第2の温度の上限温度よりも20℃以上200℃以下高い温度であり、前記工程(c)において配合されるカーボンナノファイバーは、前記ポリマー成分100質量部に対して0.1質量部以上15質量部以下であることを特徴とする。
炭素繊維複合材料の製造方法に用いるポリプロピレン樹脂は、炭素繊維複合材料におけるマトリックス材料であって、プロピレンを重合した熱可塑性樹脂であるが、他のモノマーとの共重合体も含むことができる。ポリプロピレン樹脂としては、ホモポリマー、ランダムコポリマー、ブロックコポリマーを用いることができる。また、ポリプロピレン樹脂として、官能基を導入した変性ポリプロピレン樹脂を採用することができる。官能基としては、マレイン酸基、フマル酸基、アクリル酸基等のカルボン酸を例示することができ、官能基の付加量は0.1重量%以上10重量%以下程度であることができる。変性プロピレン樹脂としては、例えば無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂を用いることもできる。ポリプロピレン樹脂のメルトフローレート(MFR)(ASTM D1238に準拠、230℃、2.16kg、15分間)は、0.1g以上100g以下であることができる。
炭素繊維複合材料の製造方法に用いるエチレン−プロピレン−ジエン共重合体は、合成ゴムであるエチレン・プロピレンゴムの一種であり、略称としてEPDMを用いる。エチレン−プロピレン−ジエン共重合体は特に限定されるものではないが、カーボンナノファイバーの分散性を考慮すると、例えば、重量平均分子量は通常5万以上であることができ、さらに7万以上、特に10万以上50万以下程度のものを用いることができる。エチレン−プロピレン−ジエン共重合体の分子量がこの範囲であると、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体分子が互いに絡み合い、相互につながっているので、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体は、凝集したカーボンナノファイバーの相互に侵入しやすく、したがってカーボンナノファイバー同士を分離する効果が大きくなる傾向がある。エチレン−プロピレン−ジエン共重合体の分子量が5000より小さいと、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体分子が相互に充分に絡み合うことができず、後に説明する工程でせん断力をかけてもカーボンナノファイバーを分散させる効果が小さくなる傾向がある。また、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体の分子量が500万より大きいと、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体が固くなりすぎて加工性が低下する傾向がある。なお、ポリプロピレン樹脂とエチレン−プロピレン−ジエン共重合体とは比較的相溶性がよいので、カーボンナノファイバーを含まなければ相分離することなく全体に均質な混合物を得ることができる。
炭素繊維複合材料の製造方法に用いるポリマー成分は、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体及びポリプロピレン樹脂であるが、これら以外に他のエラストマーや他の熱可塑性樹脂などを少量含むことができる。このような他のエラストマーや他の熱可塑性樹脂としては、カーボンナノファイバーの分散性を低下させないために、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体及びポリプロピレン樹脂に対して相溶性を有するものを選択することができる。
炭素繊維複合材料におけるポリプロピレン樹脂100質量部に対してエチレン−プロピレン−ジエン共重合体を5質量部以上50質量部以下含むことができ、さらに10質量部以上30質量部以下含むことができ、特に10質量部以上20質量部以下含むことができる。ポリプロピレン樹脂に対してエチレン−プロピレン−ジエン共重合体の配合量を増加させることによって、ゴム状弾性率を表す温度領域が広くなることが予想されるが、ゴム成分であるエチレン−プロピレン−ジエン共重合体が増えすぎると例えば炭素繊維複合材料の室温における貯蔵弾性率が低下する等のポリプロピレン樹脂としての物性が損なわれることになる。
炭素繊維複合材料の製造方法に用いるポリマー成分について、工程(b)における第2の温度をあらかじめ測定することができる。第2の温度は、ポリプロピレン樹脂の融解温度(Tm)よりも高温であって、ポリマー成分におけるゴム状弾性率を示す温度範囲である。ここで、第2の温度は、ポリマー成分の各ポリマーの種類や配合割合によって変わるので、目的とする炭素繊維複合材料におけるポリマー成分と同じポリマーの種類及び混合比で予備混合物を作成し、その予備混合物について第2の温度を調べることができる。第2の温度は、ポリマー成分の混合物に対して、例えば動的粘弾性測定(DMA)を用いて、温度変化に対する貯蔵弾性率(E’)を測定することによって確認することができる。動的粘弾性測定(DMA)は、熱分析の一手法であり、JIS K7244に基づいて動的粘弾性試験を行うことで、温度変化に対する貯蔵弾性率(E’)を測定することができる。
図1は、ポリプロピレン樹脂及びポリマー成分における温度(T)−貯蔵弾性率(E’)のグラフである。図2は、図1の温度(T)−貯蔵弾性率(E’)のグラフにおける160℃〜175℃の範囲を部分的に拡大したグラフである。
図1及び図2の破線は、本実施の形態に用いることができる一例のポリプロピレン樹脂単体の試料について動的粘弾性測定(DMA)を行なった測定結果である。貯蔵弾性率(E’(MPa))は、温度(T(℃))の上昇にしたがって徐々に小さくなり、融解温度(160℃)付近において貯蔵弾性率(E’(MPa))が急激に小さくなり、ポリプロピレン樹脂単体の貯蔵弾性率はそのまま0.01MPa以下になる。これに対して、本実
施の形態に用いることができるポリプロピレン樹脂とエチレン−プロピレン−ジエン共重合体との混合物の一例の試料について同様に測定すると、図1及び図2に実線で示すように、やはり融解温度付近において貯蔵弾性率(E’(MPa))が急激に小さくなるが、特に図2において示すように、0.01MPa以上10MPa以下の貯蔵弾性率(E’(MPa))の範囲内において、この例では167℃〜171℃の間において貯蔵弾性率が温度にあまり依存しない、グラフがほぼ横軸と平行になる範囲(この場合は約4℃の温度範囲)が存在する。この貯蔵弾性率の横軸と平行になる温度範囲においては、混合物はゴム状弾性率を有すると考えられ、このようにして表れる温度範囲が第2の温度である。第2の温度においては、貯蔵弾性率(E’(MPa))が0.01MPa以上10MPa以下の範囲における温度に対する貯蔵弾性率(E’)の減少割合が0.001MPa/℃以上1MPa/℃以下である。第2の温度においては、さらに0.001MPa/℃以上0.5MPa/℃以下であることができ、特に0.001MPa/℃以上0.3MPa/℃以下であることができる。温度に対する貯蔵弾性率(E’)の減少割合が0.001MPa/℃以上1MPa/℃以下であれば、混合物がゴム状弾性率を有すると推測できる。また、第2の温度は、成形性の観点から連続する3℃以上の温度範囲を有することができ、さらに、連続する4℃以上の温度範囲を有することができる。
炭素繊維複合材料の製造方法に用いるカーボンナノファイバーは、平均直径(繊維径)が0.4nm以上230nm以下であることができ、さらにカーボンナノファイバーは、平均直径(繊維径)が9nm以上110nm以下であることができ、特に9nm以上20nm以下または60nm以上110nm以下であることができる。カーボンナノファイバーは、その平均直径が比較的細いため、比表面積が大きく、マトリックスであるポリマー成分との表面反応性が向上し、カーボンナノファイバーを解繊し、全体に分散させることができると、ポリマー成分をカーボンナノファイバーによって少量でも効果的に補強することができる。平均直径(繊維径)が0.4nm以上230nm以下であるカーボンナノファイバーを用いることで、ポリマー成分を補強することができる。カーボンナノファイバーは、その表面におけるポリマー成分との反応性を向上させるために、酸化処理することもできる。なお、本発明の詳細な説明においてカーボンナノファイバーの平均直径及び平均長さは、電子顕微鏡による例えば5,000倍の撮像(カーボンナノファイバーのサイズによって適宜倍率は変更できる)から200箇所以上の直径及び長さを計測し、その算術平均値として計算して得ることができる。
炭素繊維複合材料におけるカーボンナノファイバーの配合量は、所望の特性に応じて適宜配合することができる。炭素繊維複合材料においてポリマー成分100質量部に対してカーボンナノファイバー0.1質量部以上100質量部以下を配合することができる。ポリマー成分100質量部に対するカーボンナノファイバーの配合量を0.1質量部以上100質量部以下とすることによって、カーボンナノファイバーによるポリマー成分の補強効果を得ることが期待される。また、炭素繊維複合材料には、カーボンナノファイバー以外にポリマー成分に一般に用いられている補強用充填材を用いることができる。ここで、「質量部」は、特に指定しない限り「phr」を示し、「phr」は、parts per hundred of resin or rubberの省略形であって、ゴム等に対する添加剤等の外掛百分率を表すものである。
カーボンナノファイバーは、炭素六角網面のグラファイトの1枚面(グラフェンシート)を巻いて筒状にした形状を有するいわゆる多層カーボンナノチューブ(MWNT:マルチウォールカーボンナノチューブ)であり、平均直径が9nm以上20nm以下のカーボンナノファイバーとしては、例えばバイエルマテリアルサイエンス社のバイチューブ(Baytubes)C150P及びC70P並びにナノシル(Nanocyl)社のNC−7000などを挙げることができ、平均直径が60nm以上110nm以下のカーボンナノファイバーとしては、例えば保土谷化学工業社のNT−7などを挙げることができる。また、部分的にカーボンナノチューブの構造を有する炭素材料も使用することができる。なお、カーボンナノチューブという名称の他にグラファイトフィブリルナノチューブ、気相成長炭素繊維といった名称で称されることもある。
カーボンナノファイバーは、気相成長法によって得ることができる。気相成長法は、触媒気相合成法(Catalytic Chemical Vapor Deposition:CCVD)とも呼ばれ、炭化水素等のガスを金属系触媒の存在下で気相熱分解させて未処理の第1のカーボンナノファイバーを製造する方法である。より詳細に気相成長法を説明すると、例えば、ベンゼン、トルエン等の有機化合物を原料とし、フェロセン、ニッケルセン等の有機遷移金属化合物を金属系触媒として用い、これらをキャリアーガスとともに高温例えば400℃以上1000℃以下の反応温度に設定された反応炉に導入し、浮遊状態あるいは反応炉壁に第1のカーボンナノファイバーを生成させる浮遊流動反応法(Floating Reaction Method)や、あらかじめアルミナ、酸化マグネシウム等のセラミックス上に担持された金属含有粒子を炭素含有化合物と高温で接触させてカーボンナノファイバーを基板上に生成させる触媒担持反応法(Substrate Reaction Method)等を用いることができる。平均直径が9nm以上20nm以下のカーボンナノファイバーは触媒担持反応法によって得ることができ、平均直径が60nm以上110nm以下のカーボンナノファイバーは浮遊流動反応法によって得ることができる。カーボンナノファイバーの直径は、例えば金属含有粒子の大きさや反応時間などで調節することができる。平均直径が9nm以上20nm以下のカーボンナノファイバーは、窒素吸着比表面積が10m/g以上500m/g以下であることができ、さらに100m/g以上350m/g以下であることができ、特に、150m/g以上300m/g以下であることができる。
本発明の一実施の形態にかかる炭素繊維複合材料の製造方法は、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体と、ポリプロピレン樹脂と、カーボンナノファイバーと、を第1の温度で混練する工程(a)と、前記工程(a)で得られた第1の混合物を第2の温度で1分間以上20分間以下混練して第1の混合物を得る工程(b)と、を含む。炭素繊維複合材料の製造方法について以下詳細に説明する。
図3は、密閉式混練機を用いた炭素繊維複合材料の製造方法を模式的に示す図である。
密閉式混練機60は、チャンバー64内で回転する第1のロータ61と、第2のロータ62と、を有する。第1のロータ61と第2のロータ62とは、所定の間隔で配置され、回転することによってポリマー成分とフィラーとを混練することができる。第1のロータ61および第2のロータ62は、互いに反対方向(例えば、図中の矢印で示す方向)に所定の速度比で回転している。第1のロータ61と第2のロータ62との速度、第1、第2のロータ61,62とチャンバー64の内壁部との間隔などによって所望の剪断力を得ることができる。密閉式混練機60は、チャンバー64を所定温度に調節する図示しない加熱機構を有することができる。このような密閉式混練機60としては、バンバリーミキサー、ニーダー、ブラベンダーなどの公知の密閉式混練機を採用することができる。
工程(a)は、密閉式混練機60のチャンバー64を第1の温度に加熱して、所定配合割合のポリプロピレン樹脂52、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体30、カーボンナノファイバー80を順に投入口63から投入し、第1の温度で混練することができる。第1の温度は、第2の温度の上限温度よりも20℃以上200℃以下高い温度である。さらに、第1の温度は、第2の温度の上限温度よりも20℃以上100℃以下高い温度であることができ、特に、20℃以上50℃以下高い温度であることができる。特に、第1の温度は、ポリプロピレン樹脂の溶融する温度以上であることができる。第1の温度が第2の温度の上限温度よりも20℃以上200℃以下高い温度であることによって、工程(a)によって混合されたポリプロピレン樹脂52とエチレン−プロピレン−ジエン共重合体30とが混練後に目視で相分離が確認できない程度まで十分に混練することができる。工程(a)によって得られた第1の混合物は電子顕微鏡観察すると部分的に海−島構造を示していてもよい。工程(a)の第1の温度における混練によっては、ポリマー成分が溶融状態にあるため弾性を有しておらず、カーボンナノファイバーを均一に分散することはできない。
次に、密閉式混練機60のチャンバー64を第2の温度に設定して、第1の温度から第2の温度へ温度を下げる。このとき、チャンバー64内から第1の混合物を取り出してもよいし、取り出さずにそのままチャンバー64内で混練しながら降温してもよいし、第2の温度に設定した別の密閉式混練機に第1の混合物を投入し、混練してもよい。工程(b)は、チャンバー64が第2の温度に設定された状態で工程(a)において得られた第1の混合物をさらに1分間以上20分間以下混練する弾性混練工程を行ない、炭素繊維複合材料を得る。第2の温度においてチャンバー64内のポリマー成分は、ゴム状弾性率を有しているので、混練によるせん断力によって弾性変形して、カーボンナノファイバー80をポリマー成分中に均一に分散することができる。また、ポリマー成分は工程(b)の弾性混練において粘性とカーボンナノファイバーとの化学的相互作用と、を有しているため、第2の温度におけるポリマー成分の弾性を利用してカーボンナノファイバーをポリマー成分中に均一に分散することができる。また、弾性混練を行う時間は、1分間以上20分間以下であったが、さらに、3分間以上15分間以下であることができ、特に、5分間以上10分間以下であることができる。弾性混練を行う時間が1分間以上20分間以下であることによって、カーボンナノファイバーの凝集体を解繊し、かつ、ポリプロピレン樹脂全体に均一に分散させた炭素繊維複合材料を得ることができる。
工程(a)の後に工程(b)を実施する場合、カーボンナノファイバー80は、ポリマー成分100質量部に対して0.1質量部以上100質量部以下を配合することができ、さらに0.1質量部以上60質量部以下を配合することができ、特に0.1質量部以上30質量部以下を配合することができる。カーボンナノファイバーの配合量がポリマー成分100質量部に対して0.1質量部以上であるとポリマー成分を補強することができ、100質量部以下であると加工することができる。
また、炭素繊維複合材料の製造方法は、前記工程(a)より前に、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体にカーボンナノファイバーを混合させ、かつ、せん断力によって分散させて複合エラストマーを得る工程(c)をさらに含む方法を採用することもできる。この場合、本発明の一実施の形態にかかる炭素繊維複合材料の製造方法は、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体にカーボンナノファイバーを混合させ、かつ、せん断力によって分散させて複合エラストマーを得る工程(c)と、前記複合エラストマーとポリプロピレン樹脂とを第1の温度で混練して第2の混合物を得る工程(d)と、前記工程(d)で得られた前記第2の混合物を第2の温度で1分間以上20分間以下混練する工程(e)と、を含む。工程(c)において配合されるカーボンナノファイバーは、ポリマー成分100質量部に対して0.1質量部以上15質量部以下であることができる。工程(c)を含む炭素繊維複合材料の製造方法について、図4〜図7を用いて詳細に説明する。
図4〜図6は、オープンロールを用いた炭素繊維複合材料の製造方法における工程(c)を模式的に示す図である。図7は、密閉式混練機を用いた炭素繊維複合材料の製造方法における工程(d)及び(e)を模式的に示す図である。
図4〜図6に示すように、2本ロールのオープンロール2における第1のロール10と第2のロール20とは、所定の間隔d、例えば0.5mm以上1.5mm以下の間隔で配置され、図4〜図6において矢印で示す方向に回転速度V1,V2で正転あるいは逆転で回転する。
まず、図4に示すように、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体30を第1のロール10に巻き付け素練りを行ない、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体の分子鎖を適度に切断してフリーラジカルを生成する。素練りによって生成されたエチレン−プロピレン−ジエン共重合体のフリーラジカルがカーボンナノファイバーと結びつきやすい状態となる。
次に、図5に示すように、工程(c)は、第1のロール10に巻き付けられたエチレン−プロピレン−ジエン共重合体30のバンク34に、カーボンナノファイバー80及び必要に応じて図示していない充填剤を投入し、混合して混合物を得る。工程(c)の混合は、例えば低温で混練する第1の混練の後にロールを昇温して第2の混練を行なうことができる。第1の混練の温度は、例えば0℃以上50℃以下であることができ、さらに10℃以上20℃以下であることができる。第2の混練の温度は、例えば第1の混練の温度よりも50℃以上100℃以下高い温度、すなわち50℃以上150℃以下であることができる。工程(c)において、カーボンナノファイバーは小さな凝集塊のまま全体に分散するだけであって、カーボンナノファイバーの凝集塊を解繊することがほとんどできていない。なお、工程(c)は、オープンロール法に限定されず、例えば密閉式混練法あるいは多軸押出し混練法を用いることもできる。
さらに、図6に示すように、工程(c)は、第1のロール10と第2のロール20とのロール間隔dを、例えば0.5mm以下、より好ましくは0mm以上0.5mm以下の間隔に設定し、混合物36をオープンロール2に投入して薄通しを行なう。薄通しの回数は、例えば1回以上10回以下程度行なうことができる。このように狭いロール間から押し出された複合エラストマー50は、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体の弾性による復元力で図6のように大きく変形し、その際にエチレン−プロピレン−ジエン共重合体と共にカーボンナノファイバーが大きく移動する。薄通しして得られた複合エラストマー50は、例えばさらにロールで圧延されて所定厚さのシート状に分出しすることができる。この薄通しの工程では、できるだけ高い剪断力を得るために、ロール温度を例えば0℃以上50℃以下、より好ましくは5℃以上30℃以下の比較的低い温度に設定して行われ、混合物36及び複合エラストマー50の実測温度も0℃以上50℃以下に調整されることができる。
エチレン−プロピレン−ジエン共重合体にカーボンナノファイバーを剪断力によって分散させる工程(c)は、前記オープンロール法に限定されず、密閉式混練法あるいは多軸押出し混練法を用いることもできる。
次に、図7に示すように、工程(d)及び(e)は、工程(c)で得られた複合エラストマー50と、ポリプロピレン樹脂52と、を密閉式混練機60内の投入口64に投入し、混練し、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体とポリプロピレン樹脂とカーボンナノファイバーとを含む炭素繊維複合材料を得ることができる。図7の密閉式混練機60は、図3と同様であり、工程(d)及び(e)は、工程(d)において複合エラストマー50とポリプロピレン樹脂52とを投入する以外は前記工程(a)及び前記工程(b)における混練温度や混練時間も同様であるので詳細な説明は省略する。
このようにして得られた炭素繊維複合材料を一般に採用される成形加工例えば、射出成形法、トランスファー成形法、プレス成形法、押出成形法、カレンダー加工法などによって所望の形状に成形することで得ることができる。
このように成形された炭素繊維複合材料は、ポリマー成分をカーボンナノファイバーが補強することによって、剛性を含む引張試験特性を向上させ、引き裂き疲労試験においては、破断するまでの寿命(引張り回数)が長くなることができる。引き裂き疲労試験は、材料の耐摩耗性の評価としても用いることができる。
工程(c)の後、前記工程(a)及び前記工程(b)に対応する工程(d)及び工程(e)を実施する場合、カーボンナノファイバーは、ポリマー成分100質量部に対して0.1質量部以上15質量部以下を配合することができ、さらに0.1質量部以上5質量部以下を配合することができ、特に0.1質量部以上4質量部以下を配合することができる。カーボンナノファイバーの配合量がポリマー成分100質量部に対して0.1質量部以上であるとポリマー成分を補強することができ、相溶性のよいポリマー同士であれば15質量部以下であってもカーボンナノファイバーをポリマー成分中に均一に分散させることができる。相溶性のよいポリマーの組み合わせとしては、変性ポリプロピレン樹脂と変性エチレン−プロピレン−ジエン共重合体の組み合わせなどがある。
上記のように、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できよう。したがって、このような変形例はすべて、本発明の範囲に含まれるものとする。
(1)第2の温度の測定
以下、本発明の実施例について述べるが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例1〜10及び比較例1〜におけるポリマー成分について、JIS K7244に基づいて動的粘弾性試験(DMA)を行い、温度変化に対する貯蔵弾性率(E’)を求め、第2の温度を測定した。図8、9に動的粘弾性試験(DMA)の測定結果を示した。
図8、9において、「PP」は日本ポリプロ社製ブロックタイプポリプロピレン樹脂(グレード:ノバテックTMPP BC03N、表1〜4における「PP」)単体の測定結果であり、「A」は三井化学社製エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(グレード:三井EPT3092M、表1〜4における「EPDM」)と三井化学社製変性ポリプロピレン樹脂(グレード:アドマーQE800、表1〜4における「変性PP」)の混合物サンプルAについて動的粘弾性測定(DMA)を行なった測定結果であり、「B」は三井化学社製エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(グレード:三井EPT3092M)と日本ポリプロ社製ブロックタイプポリプロピレン樹脂(グレード:ノバテックTMPP BC03N)の混合物サンプルBについて動的粘弾性測定(DMA)を行なった測定結果であり、「C」は三井化学社製変性エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(グレード:タフマーMH7020、表1〜4における「変性EPDM」)と三井化学社製変性ポリプロピレン樹脂(グレード:アドマーQE800)の混合物サンプルCについて動的粘弾性測定(DMA)を行なった測定結果である。
図8,9の結果からグラフがほぼ横軸と並行になる領域(貯蔵弾性率(E’)が0.01MPa以上10MPa以下であって、かつ、温度に対する貯蔵弾性率(E’)の減少割合が0.001MPa/℃以上1MPa/℃以下である)が各混合物サンプルの第2の温度である。各混合物サンプルの配合量は、表1に示した。
(2)実施例1〜6のサンプルの作製
工程(a):密閉式混練機のチャンバーを表2に示した第1の温度に加熱して、表2に示した所定配合割合のポリプロピレン樹脂、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、カーボンナノファイバーを順に投入し、第1の温度で混練して第1の混合物を得た。表2、3における「CNT」は、平均直径が67nmの保土谷化学工業社の多層カーボンナノファイバーNT−7であり、「第1の温度」は200℃であり、「CNTの配合量」はポリマー成分を100質量部としたときのカーボンナノファイバーの配合量である。第1の温度は、表1に示した第2の温度よりも20℃以上高い温度であって、かつ、混練後にポリプロピレン樹脂とエチレン−プロピレン−ジエン共重合体との混合物が目視して相分離が確認できなかった温度に設定した。
工程(b):次に、工程(a)で用いた密閉式混練機のチャンバーを(1)で測定された第2の温度(表2に示した)に設定して、第1の温度から第2の温度へ温度を下げた。このとき、チャンバー内から第1の混合物は取り出さずにそのままチャンバー内で混練しながら降温した。チャンバーが第2の温度まで降温した状態でさらに10分間、弾性混練を行なった。混練後の炭素繊維複合材料を真空下で180℃、5分間加圧成型して、実施例1〜6の炭素繊維複合材料サンプルを得た。実施例1〜6の炭素繊維複合材料のシート状サンプルを目視で観察したところ、ポリプロピレン樹脂成分とエチレン−プロピレン−ジエン共重合体成分との相分離は確認できなかった。
また、比較例1〜は、工程(a)を経ずに、密閉式混練機のチャンバーを(1)で測定された第の温度(表3に示した)に設定して、原料をチャンバーに投入し、5分間、弾性混練を行なった。混練後の樹脂組成物を真空下で180℃、5分間加圧成型して、比較例1〜の樹脂組成物サンプルを得た。比較例1〜の樹脂組成物のシート状サンプルを目視で観察したところ、ポリプロピレン樹脂成分とエチレン−プロピレン−ジエン共重合体成分との相分離は確認できなかった。
(3)物理試験
実施例1〜6及び比較例1〜のサンプルをJIS K−7113−1のダンベル1号形状に打ち抜いた試験片について、島津製作所社製オートグラフAG−Xの引張試験機を用いて、23±2℃、引張速度10mm/minでJIS K7127に基づいて引張試験を行い、引張強さ(TS(MPa))、切断時伸び(Eb(%))及び降伏点引張応力
(σy(MPa))を測定した。
また、実施例1〜6及び比較例1〜のサンプルについて、測定温度が25℃、100℃、150℃における貯蔵弾性率を測定した。貯蔵弾性率(表2,3において「E’(25℃)(MPa)」で示した)は、短冊形(40×1×2(巾)mm)に切り出した試験片について、SII社製の動的粘弾性試験機DMS6100を用いて、チャック間距離20mm、測定温度−100〜300℃、動的ひずみ±0.05%、周波数1HzでJIS
K7244に基づいて動的粘弾性試験を行い測定した。
配合Aの実施例1は、配合Aの比較例2に比べて、引張強さ(TS(MPa))、切断時伸び(Eb(%))及び降伏点引張応力(σy(MPa))の値が大きかった。配合B
の実施例2は、配合Bの比較例1に比べて、引張強さ(TS(MPa))、切断時伸び(Eb(%))及び降伏点引張応力(σy(MPa))の値が大きかった。配合Cの実施例3〜6は、配合Cの比較例3に比べて、引張強さ(TS(MPa))、切断時伸び(Eb(%))及び降伏点引張応力(σy(MPa))の値が大きかった。
また、実施例1〜6の引張試験で破断したサンプルの破断面を電子顕微鏡で観察したところ、カーボンナノファイバーは全体に分散されており、カーボンナノファイバーの凝集体や海−島構造の相分離は確認できなかった。図10〜図11は配合Bのポリマー成分である実施例2の破断面であり、図12〜図13は配合Cのポリマー成分である実施例3の破断面であった。なお、電子顕微鏡の倍率は、図10及び図12が250倍、図11及び図13が10,000倍であった。また、図示しないが、実施例1、4〜6の顕微鏡観察も図10〜図13とほぼ同様の結果であった
(4)実施例7〜10のサンプルの作製
工程(c):オープンロール(ロール温度10〜20℃、ロール間隔0.5mm〜1.0mm)に、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体を投入し、表4に示す配合に従って、カーボンナノファイバーをエチレン−プロピレン−ジエン共重合体に投入し、15分間混合した後、混合物をロールから取り出した。次に、その混合物をオープンロール(ロール温度10〜20℃、ロール間隔0.1mm)に巻きつけ、5分間の混練りを行い、混合物をロールから取り出した。さらに、その混合物をロール間隔0.1mmに設定したオープンロールで薄通しを繰り返し5回行なって複合エラストマーを得た。工程(c)における、2本のロールの表面速度比は1.1とした。
工程(d):次に、密閉式混練機のチャンバーを表4に示した第1の温度に加熱して、工程(c)で得られた複合エラストマーと、ポリプロピレン樹脂と、をチャンバーに投入し、第1の温度で混練して第2の混合物を得た。表4における「CNT」は、平均直径が67nmの保土谷化学工業社の多層カーボンナノファイバーNT−7であり、「第1の温度」は、上記(2)と同様に設定した。
工程(e):さらに、工程(d)で用いた密閉式混練機のチャンバーを(1)で測定された第2の温度(表4に示した)に設定して、第1の温度から第2の温度へ温度を下げた。このとき、チャンバー内から工程(d)で得られた第2の混合物は取り出さずにそのままチャンバー内で混練しながら降温した。チャンバーが第2の温度まで降温した状態でさらに5分間、弾性混練を行なった。混練後の炭素繊維複合材料を真空下で180℃、5分間加圧成型して、実施例7〜10の炭素繊維複合材料サンプルを得た。実施例7〜10の炭素繊維複合材料のシート状サンプルを目視で観察したところ、ポリプロピレン樹脂成分とエチレン−プロピレン−ジエン共重合体成分との相分離は確認できなかった。
(5)物理試験
実施例7〜10のサンプルをJIS K−7113−1のダンベル1号形状に打ち抜いた試験片について、島津製作所社製オートグラフAG−Xの引張試験機を用いて、23±2℃、引張速度10mm/minでJIS K7127に基づいて引張試験を行い、引張強さ(TS(MPa))、切断時伸び(Eb(%))及び降伏点引張応力(σy(MPa))を測定した。
また、実施例7〜10のサンプルについて、測定温度が25℃、100℃、150℃における貯蔵弾性率を測定した。貯蔵弾性率(表2,3において「E’(25℃)(MPa)」で示した)は、短冊形(40×1×2(巾)mm)に切り出した試験片について、SII社製の動的粘弾性試験機DMS6100を用いて、チャック間距離20mm、測定温度−100〜300℃、動的ひずみ±0.05%、周波数1HzでJIS K7244に基づいて動的粘弾性試験を行い測定した。
配合Aの実施例8は、配合Aの比較例2に比べて、引張強さ(TS(MPa))、切断時伸び(Eb(%))及び降伏点引張応力(σy(MPa))の値が大きかった。配合Bの実施例7は、配合Bの比較例1に比べて、引張強さ(TS(MPa))、切断時伸び(Eb(%))及び降伏点引張応力(σy(MPa))の値が大きかった。配合Cの実施例9,10は、配合Cの比較例3に比べて、引張強さ(TS(MPa))、切断時伸び(Eb(%))及び降伏点引張応力(σy(MPa))の値が大きかった。
また、実施例7〜10の引張試験で破断したサンプルの破断面を電子顕微鏡で観察したところ、カーボンナノファイバーは全体に分散されており、カーボンナノファイバーの凝集体や海−島構造の相分離は確認できなかった。図17〜図18は配合Aのポリマー成分である実施例7の破断面であった。なお、電子顕微鏡の倍率は、図17が250倍、図18が10,000倍であった。また、図示しないが、実施例8〜10の顕微鏡観察も図17〜図18とほぼ同様の結果であった。
2 オープンロール、10 第1のロール、20 第2のロール、30 エチレン-プロピレン-ジエン共重合体、34 バンク、36 混合物、50 複合エラストマー、52 ポリプロピレン樹脂、60 密閉式混練機、61 第1のロータ、62 第2のロータ、63 投入口、64 チャンバー、80 カーボンナノファイバー、V1,V2 回転速度

Claims (5)

  1. エチレン−プロピレン−ジエン共重合体と、ポリプロピレン樹脂と、カーボンナノファイバーと、を第1の温度で混練して第1の混合物を得る工程(a)と、
    前記工程(a)で得られた前記第1の混合物を第2の温度で1分間以上20分間以下混練する工程(b)と、
    を含み、
    前記第2の温度は、前記ポリプロピレン樹脂の融解温度(Tm)よりも高温であって、前記第1の混合物におけるエチレン−プロピレン−ジエン共重合体及びポリプロピレン樹脂と同じ配合割合のポリマー成分についてJIS K6394に基づいて動的粘弾性試験を行って得られた貯蔵弾性率(E’)が0.01MPa以上10MPa以下の範囲における温度に対する貯蔵弾性率(E’)の減少割合が0.001MPa/℃以上1MPa/℃以下であるゴム状弾性率を示す温度範囲であり、
    前記第1の温度は、前記第2の温度の上限温度よりも20℃以上200℃以下高い温度である、炭素繊維複合材料の製造方法。
  2. 請求項1において、
    前記弾性混練工程に配合されるカーボンナノファイバーは、前記ポリマー成分100質量部に対して0.1質量部以上100質量部以下を配合される、炭素繊維複合材料の製造方法。
  3. エチレン−プロピレン−ジエン共重合体にカーボンナノファイバーを混合させ、かつ、せん断力によって分散させて複合エラストマーを得る工程(c)と、
    前記複合エラストマーとポリプロピレン樹脂とを第1の温度で混練して第2の混合物を得る工程(d)と、
    前記工程(d)で得られた前記第2の混合物を第2の温度で1分間以上20分間以下混練する工程(e)と、
    を含み、
    前記第2の温度は、前記ポリプロピレン樹脂の融解温度(Tm)よりも高温であって、前記第2の混合物におけるエチレン−プロピレン−ジエン共重合体及びポリプロピレン樹脂と同じ配合割合のポリマー成分についてJIS K6394に基づいて動的粘弾性試験を行って得られた貯蔵弾性率(E’)が0.01MPa以上10MPa以下の範囲における温度に対する貯蔵弾性率(E’)の減少割合が0.001MPa/℃以上1MPa/℃以下であるゴム状弾性率を示す温度範囲であり、
    前記第1の温度は、前記第2の温度の上限温度よりも20℃以上200℃以下高い温度であり、
    前記工程(c)において配合されるカーボンナノファイバーは、前記ポリマー成分100質量部に対して0.1質量部以上15質量部以下である、炭素繊維複合材料の製造方法。
  4. 請求項1〜のいずれか1項において、
    前記カーボンナノファイバーは、平均直径が9nm以上110nm以下の多層カーボンナノチューブである、炭素繊維複合材料の製造方法。
  5. 請求項1〜のいずれか1項で得られた炭素繊維複合材料。
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