JP5432912B2 - ステントデリバリーシステム - Google Patents
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Description
以下血管を例に説明するが、これに限定されるものではない。
ステントとしては、金属線材、あるいは金属管を加工した円筒状のものが一般的である。カテーテルなどに細くした状態で装着され、生体内に挿入され、目的部位で何らかの方法で拡張させ、その管腔内壁に密着、固定することで管腔形状を維持する。ステントは、機能および留置方法によって、自己拡張型ステントとバルーン拡張型ステントに区別される。バルーン拡張型ステントはステント自体に拡張機能はなく、バルーンの上にマウントしたステントを目的部位に挿入した後、バルーンを拡張させ、バルーンの拡張力によりステントを拡張(塑性変形)させ目的管腔の内面に密着させて固定する。このタイプのステントでは、上記のようなステントの拡張作業が必要になる。一方、自己拡張型ステントはステント自体に拡張機能を持たせたものであり、細く縮めた状態として生体内に挿入し、目的部位で開放することで自ら元の拡張された状態に戻り管腔内壁に密着、固定して管腔形状を維持する。
自己拡張型ステントはその多くは下肢の血管や頚動脈といったペリフェラル領域において使用されており、例えば、特表平11−505441号公報(特許文献1)に示すような形態を備えるものがある。
略円筒形状に形成され、生体内挿入時には中心軸方向に圧縮され、生体内留置時には外方に拡張して圧縮前の形状に復元可能なステントと、ガイドワイヤルーメンを有するシャフト部と、前記ステントを先端部内に収納したシースとを備え、かつ前記ステントが前記シャフト部上の先端付近に位置するステントデリバリーシステムであって、前記ステントデリバリーシステムは、一端部および他端部が該シャフト部に固定され、中間部が前記ステントの基端部に係留されたステント基端部固定用線材と、該ステント基端部固定用線材を破断し、前記ステントの係留を解除するための破断部材とを有し、前記破断部材により破断された前記ステント基端部固定用線材は、前記一端部および前記他端部の前記シャフト部への固定状態が維持され、前記ステントに残留しないものとなっているステントデリバリーシステム。
また、図示する実施例のステントデリバリーシステム1は、生体内留置時には外方に拡張して圧縮前の形状に復元可能なステント10と、ステント10を先端部内に収納したシース2と、シース2を摺動可能に挿通し、ステント10をシース2の先端より放出するためのシャフト部3とを備える。ステント10は、シース2の先端側を向く先端部と基端側を向く基端部を備え、さらに、基端部を除き少なくとも基端側に突出する屈曲自由端を実質的に持たず、シース2からの先端部の露出後にシース2を移動させることにより、露出先端部をシース2に再収納可能なものが用いられている。ステントデリバリーシステム1は、ステントデリバリーシステムの先端にて一端が開口し、他端がシース2のステント収納部位より基端側にて開口するガイドワイヤルーメン61を有する。シャフト部3は、一端部5aおよび他端部5bがシャフト部3に固定され、中間部5cがステント10の基端部に係留されたステント基端部固定用線材5と、ステント基端部固定用線材5を破断し、ステント10の係留を解除するための破断部材7とを備えている。
シース2は、図1ないし図7に示すように、シースチューブ21と、シースチューブ21の基端に固定されたシースハブ22を備える。
シースチューブ21は、図1ないし図7に示すように、管状体であり、先端および後端は開口している。先端開口は、ステント10を体腔内の狭窄部に留置する際、ステント10の放出口として機能する。ステント10は、この先端開口より押し出されることにより応力負荷が解除されて拡張し圧縮前の形状に復元する。シースチューブ21の先端部は、ステント10を内部に収納するステント収納部位21aとなっている。また、シースチューブ21は、ステント収納部位21aより基端側に設けられた側孔23を備えている。側孔23は、ガイドワイヤを外部に導出するためのものである。
シースチューブ21の外径としては、0.5〜4.0mm程度が好ましく、特に、0.8〜2.0mmが好ましい。また、シースチューブ21の内径としては、0.2〜1.8mm程度が好ましい。シースチューブ21の長さは、300〜2500mm、特に、300〜2000mm程度が好ましい。
シースチューブ21の形成材料としては、シースチューブに求められる物性(柔軟性、硬度、強度、滑り性、耐キンク性、伸縮性)を考慮して、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、PTFE、ETFE等のフッ素系ポリマー、さらには、熱可塑性エラストマーが好ましい。熱可塑性エラストマーとしては、ナイロン系(例えば、ポリアミドエラストマー)、ウレタン系(例えば、ポリウレタンエラストマー)、ポリエステル系(例えば、ポリエチレンテレフタレートエラストマー)、オレフィン系(例えば、ポリエチレンエラストマー、ポリプロピレンエラストマー)の中から適宜選択される。
また、シースチューブ21の基端部には、図1ないし図3および図7に示すように、シースハブ22が固定されている。シースハブ22は、図7に示すように、シャフト部3を摺動可能、かつ液密に保持するシール部材25を備えている。また、シースハブ22は、サイドポート24を備えている。
シースハブ22の構成材料としては、硬質もしくは半硬質材料が使用される。硬質もしくは半硬質材料としては、ポリカーボネート、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレンコポリマー)、スチレン系樹脂[例えば、ポリスチレン、MS樹脂(メタクリレート−スチレン共重合体)、MBS樹脂(メタクリレート−ブチレン−スチレン共重合体)]、ポリエステルなどの合成樹脂、ステンレス鋼、アルミもしくはアルミ合金などの金属が使用できる。
また、シール部材25および後述する弾性リング69の構成材料としては、弾性材料が使用される。弾性材料としては、ウレタンゴム、シリコーンゴム、ブタジエンゴムなどの合成ゴム、ラテックスゴムなどの天然ゴムなどのゴム類、オレフィン系エラストマー(例えば、ポリエチレンエラストマー、ポリプロピレンエラストマー)、ポリアミドエラストマー、スチレン系エラストマー(例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンコポリマー、スチレン−イソプレン−スチレンコポリマー、スチレン−エチレンブチレン−スチレンコポリマー)、ポリウレタン、ウレタン系エラストマー、フッ素樹脂系エラストマーなどの合成樹脂エラストマー等が使用される。
また、シースハブ22の先端部には、シースハブの先端より先端側に延びる補強部材26,27が設けられている。
この実施例では、ステント基端部固定用線材5は、熱破断性ステント基端部固定用線材であり、破断部材7は、熱破断部材となっている。なお、このようなものに限定されるものではなく、ステント基端部固定用線材5および破断部材7は、ステントを電気的、機械的、もしくは水圧などにより破断し、シャフト部3より離脱させるものであってもよい。
そして、この実施例では、シャフト部3は、シース2のステント収納部位より基端側の側部にて開口するガイドワイヤルーメンの基端側開口を備え、シース2は、ステント収納部位より基端側に設けられたシース側孔を備え、シース側孔および基端側開口より、ガイドワイヤを挿通可能となっている。
シャフト本体33は、先端部が、先端チューブ31の基端部に固定された先端部と、所定長基端側に伸びる本体部と、シャフトハブ30より突出する基端部とを有している。そして、この実施例では、シャフト本体33は、先端チューブ31に固定された部分の先端部が、小径部となっており、本体部および基端部は、小径部より、外径が大きいものとなっている。そして、この実施例では、シャフト本体33の先端部は、熱収縮チューブ63により、先端チューブ31の側面に固定されている。
シャフト部3の長さは、400〜2500mm程度が好ましく、特に、400〜2200mmが好ましい。また、シャフト本体33の本体部の外径としては、1.0〜2.5mm程度が好ましく、特に、1.0〜2.0mmが好ましい。また、先端チューブ31の長さは、10〜400mm程度が好ましく、特に、50〜350mmが好ましく、外径は、0.2〜2.0mm程度が好ましい。また、ルーメン61の内径としては、0.2〜2.0mm程度が好ましく、特に、0.3〜1.0mmが好ましい。
さらに、シャフト部3のうち、シース2より突出する可能性のある部分の外面は、潤滑性を有していることが好ましい。このために、例えば、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマーをコーティング、または固定してもよい。また、シャフト部3の外面全体に上記のものをコーティング、または固定してもよい。さらに、ガイドワイヤとの摺動性を向上させるために、シャフト部3の内面にも上記のものをコーティング、または固定してもよい。
そして、シャフト本体33は、シース2内を貫通し、シース2の後端開口より突出している。シャフト本体33の基端部には、図1ないし図3および図8に示すように、シャフトハブ30が固着されている。この実施例では、シャフト本体33には、図7に示すように、固定リング66が固定されている。また、シャフトハブ30には、シャフトハブ30より先端側に伸びる基端チューブ34が固定されている。そして、基端チューブ34の先端部が固定リング66に固定されている。また、基端チューブ34の基端(シャフトハブ30の内部)には、弾性リング69が固定されている。さらに、この実施例では、固定リング66より所定長先端側に第2の固定リング68が設けられている。そして、固定リング66と第2の固定リング68間には、中間チューブ67が配置されている。中間チューブ67は、シャフト本体33およびシースチューブ21のいずれにも固定されておらず、かつ、固定リング66および第2の固定リング68と当接可能なものとなっている。このような中間チューブを設けることにより、シースの摺動が良好なものとなる。中間チューブ67としては、低摩擦性表面を有するものが好ましい。具体的には、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、PTFE、ETFE等のフッ素系ポリマーなどにより形成されたチューブが好ましい。
さらに、図4ないし図6および図9に示すように、シャフト部3は、一端部5aおよび他端部5bが該シャフト部に固定され、中間部5cがステント10の基端部に係留された熱破断性ステント基端部固定用線材5と、ステント基端部固定用線材5を破断し、ステント10の係留を解除するための熱破断部材7とを備えている。
特に、この実施例では、図9に示すように、ステント10として、基端側の結合部16に設けられたステント基端部固定用線材挿通用の複数の小孔18を略環状に備えるものが用いられており、さらに、ステント基端部固定用線材5の中間部5cは、ステント10の複数の小孔18を順に貫通し、全体として、複数の小孔18を環状に挿通するものとなっている。よって、ステント10は、ステント基端部固定用線材5により、シャフト部3に係留(固定)されており、ステント基端部固定用線材5が破断(切断)されないかぎり、シャフト部3より離脱しないものとなっている。
そして、シャフト部3は、ステント基端部固定用線材5を破断し、ステント10の係留を解除するための熱破断部材7を備えている。この実施例では、熱破断部材7は、破断用発熱部36と、発熱部に先端部が接続され、かつシャフト本体33の基端部まで伸びる電気ケーブル64,65と、電気ケーブル64,65と接続され、かつ、シャフト本体33の基端部に形成された電源供給器との接続部35を備えている。特に、この実施例では、熱破断部材7の破断用発熱部36は、シャフト本体33の先端に固定されており、電気ケーブル64,65は、シャフト本体33の外面に固定された状態にてシャフト本体33の基端部まで伸びている。
そして、シャフト本体33の基端部には電源供給器(図示しない)との接続部35が形成されている。接続部35は、シャフト本体33の基端部の外面に形成され、ケーブル64と電気的に接続された第1の電極部37と、ケーブル65と接続された第2の電極38とを備える。また、この実施例では、第1の電極37と第2の電極38間を絶縁するための絶縁部39を備えている。熱破断性ステント基端部固定用線材5の一部、この実施例では、他端部5bより所定長中間部よりの部分が、破断用発熱部36に被包されており、接続部35の第1の電極部37と第2の電極38に与えられる電力により、破断用発熱部36が発熱し、当該部分にて熱破断性ステント基端部固定用線材5を溶融破断する。
使用するステントとしては、基端側屈曲部の頂点もしくは頂点付近が他の線状要素と結合することにより、自由端を持たないものとなっているものであってもよい。また、使用するステントとしては、図10および図11に示すようなものであってもよい。図10は、本発明のステントデリバリーシステムに使用される生体内留置用ステントの一例の正面図である。図11は、図10の生体内留置用ステントの展開図である。
このステント10は、ステントの一端側から他端側まで軸方向に延びかつステントの周方向に複数配列された波状ストラット13,14と、各隣り合う波状ストラットを接続するとともに所定長軸方向に延びる1つもしくは複数の接続ストラット15とを備え、さらに、波状ストラット13,14の端部は、近接する波状ストラットの端部と結合されている。
この実施例のステント10は、略円筒形状に形成され、生体内挿入時には中心軸方向に圧縮され、生体内留置時には外方に拡張して圧縮前の形状に復元するいわゆる自己拡張型ステントとなっている。
第2波状ストラット14もステントの中心軸にほぼ平行に軸方向に延びるものとなっている。そして、第2波状ストラット14は、ステントの周方向に複数本配列されており、各第2波状ストラット14は、各第1波状ストラット間に配列されている。第2波状ストラット14の数としては、3本以上であることが好ましく、特に、3〜8本程度が好適である。さらに、複数本の第2波状ストラット14は、ステントの中心軸に対してほぼ等角度となるように配置されていることが好ましい。また、第2波状ストラット14の数は、第1波状ストラットの数と同じとなっている。
そして、このステント10は、各隣り合う第1波状ストラット13と第2波状ストラット14とを接続するとともに所定長軸方向に延びる1つもしくは複数の接続ストラット15を備えている。特に、この実施例のステント10では、接続ストラット15は、一方の波状ストラットの変曲点付近に一端を有し、隣接する他方の波状ストラットの頂点付近からこの頂点を若干越えた領域に他端を有し、軸方向に延びかつ他方の波状ストラットの頂点と同じ方向に湾曲している。具体的には、図11に示すように、接続ストラット15は、ステント10の周方向の一方側に向かう頂点を有する湾曲した第1の接続ストラット15aとステント10の周方向の他方側に向かう頂点を有する湾曲した第2の接続ストラット15bとからなる。また、接続ストラット15は、円弧状に湾曲するとともに、ステント10の周方向に近接する第1波状ストラット13または第2波状ストラット14の湾曲部の円弧とほぼ同じ半径を有するものとなっている。
そして、結合部16には、図10ないし図12に示すように、放射線不透過性マーカー17が取り付けられている。この実施例では、結合部16は、図12に示すように、端部方向に所定距離離間して平行に延びる2本のフレーム部16a、16bを備えており、放射線不透過性マーカー17は、2本のフレーム部16a、16bのほぼ全体もしくは一部を被包するものとなっている。また、放射線不透過性マーカー17は、薄い直方体状のもので、2本のフレーム部16a、16bを内部に収納し、かつ中央部が窪むことにより、2本のフレーム部16a、16bに固定されている。放射線不透過性マーカーの形成材料としては、イリジウム、プラチナ、金、レニウム、タングステン、パラジウム、ロジウム、タンタル、銀、ルテニウム、及びハフニウムからなる元素の群から選択された一種のもの(単体)もしくは二種以上のもの(合金)が好適に使用できる。
さらに、ステント10は、基端部側となる各接合部16に、ステント基端部固定用線材挿通用の小孔18を備えている。この小孔18は、ステントの中心方向に向かって延びるものとなっている。なお、ステント基端部固定用線材挿通用の小孔18は、線材5の離脱性を高めるための低摩擦性内面もしくは易離脱性形態を有していることが好ましい。低摩擦性内面は、内面を平滑面とすることもしくは低摩擦性材料を被覆することなどにより形成できる。
ステント10の構成材料としては、超弾性金属が好適である。超弾性金属としては、超弾性合金が好適に使用される。ここでいう超弾性合金とは一般に形状記憶合金といわれ、少なくとも生体温度(37℃付近)で超弾性を示すものである。特に好ましくは、49〜53原子%NiのTi−Ni合金、38.5〜41.5重量%ZnのCu−Zn合金、1〜10重量%XのCu−Zn−X合金(X=Be,Si,Sn,Al,Ga)、36〜38原子%AlのNi−Al合金等の超弾性金属体が好適に使用される。特に好ましくは、上記のTi−Ni合金である。また、Ti−Ni合金の一部を0.01〜10.0%Xで置換したTi−Ni−X合金(X=Co,Fe,Mn,Cr,V,Al,Nb,W,Bなど)とすること、またはTi−Ni合金の一部を0.01〜30.0%原子で置換したTi−Ni−X合金(X=Cu,Pb,Zr)とすること、また、冷間加工率または/および最終熱処理の条件を選択することにより、機械的特性を適宜変えることができる。また、上記のTi−Ni−X合金を用いて冷間加工率および/または最終熱処理の条件を選択することにより、機械的特性を適宜変えることができる。使用される超弾性合金の座屈強度(負荷時の降伏応力)は、5〜200kg/mm2(22℃)、より好ましくは、8〜150kg/mm2、復元応力(除荷時の降伏応力)は、3〜180kg/mm2(22℃)、より好ましくは、5〜130kg/mm2である。ここでいう超弾性とは、使用温度において通常の金属が塑性変形する領域まで変形(曲げ、引張り、圧縮)させても、変形の解放後、加熱を必要とせずにほぼ圧縮前の形状に回復することを意味する。
そして、ステントは、圧縮時の直径が、0.5〜1.8mm程度が好適であり、特に、0.6〜1.4mmがより好ましい。また、ステントの非圧縮時の長さは、5〜200mm程度が好適であり、特に、8.0〜100.0mmが好ましい。また、ステントの非圧縮時の直径は、1.5〜6.0mm程度が好適であり、特に、2.0〜5.0mmがより好ましい。さらに、ステントの肉厚としては、0.05〜0.40mm程度が好適であり、特に、0.05〜0.15mmが好適である。波状ストラットの幅は、0.01〜1.00mmが好適であり、0.05〜0.2mmが特に好ましい。波状ストラットの表面は滑らかに加工されていることが好ましく、電解研磨による平滑化がより好ましい。また、ステントの半径方向強度は、0.1〜30.0N/cmが好ましく、0.5〜5.0N/cmであることが特に好ましい。
【0026】
次に、本発明のステントデリバリーシステムの作用について、図9、図16ないし図18を用いて説明する。
ステント10の全体が、シース2に収納された状態では、図9に示す状態となっている。そして、シース2を基端側に摺動させることにより、ステント10は、図16に示すように、シース2の先端開口より露出する。シース2より露出したステント10は、自己拡張力により拡張し、圧縮前の形態に復元しようとする。しかし、このステントデリバリーシステムでは、ステント10の基端部は、熱破断性ステント基端部固定用線材5によりシャフト部3に係留されているため、拡張できず、図16の状態となる。ステント10の配置位置の再調整が必要な場合には、シース2を先端方向に摺動させることにより、ステント10をシース内に再収納可能である。そして、ステント10が目的部位に配置されていることを確認した後、シャフト部3に接続されている電源供給器(図示せず)を作動させて、破断用発熱部36を発熱させることにより、ステント基端部固定用線材5を破断する。これにより、 ステント10の基端部は、熱破断性ステント基端部固定用線材5による係留が解除され、図17に示すように、基端部も拡張する。その後、ステントがリリースされたステントデリバリーシステム1(シース2とシャフト部3)を基端方向に移動させることにより、図18に示すように、ステント10を係留していたステント基端部固定用線材5の中間部5cは、ステントより離脱する。なお、中間部5cを含む破断されたステント基端部固定用線材5は、その一端がシャフト部3に固定されているため(具体的には、図17および図18に示すように、破断されたステント基端部固定用線材5の一端部5aおよび他端部5bのシャフト部3への固定状態が維持されるため)、生体内に放出されることもステントに残留することもない。
(1) 略円筒形状に形成され、生体内挿入時には中心軸方向に圧縮され、生体内留置時には外方に拡張して圧縮前の形状に復元可能なステントと、ガイドワイヤルーメンを有するシャフト部と、前記ステントを先端部内に収納したシースとを備え、かつ前記ステントが前記シャフト部上の先端付近に位置するステントデリバリーシステムであって、
前記ステントデリバリーシステムは、一端部および他端部が該シャフト部に固定され、中間部が前記ステントの基端部に係留されたステント基端部固定用線材と、該ステント基端部固定用線材を破断し、前記ステントの係留を解除するための破断部材とを有し、前記破断部材により破断された前記ステント基端部固定用線材は、前記一端部および前記他端部の前記シャフト部への固定状態が維持され、前記ステントに残留しないものとなっているステントデリバリーシステム。
このため、ステントは、ステント基端部固定用線材を破断するまで、基端部がシャフト部に係留されているため、シースからの排出時に飛び出すことがない。また、シースよりステントを排出後においても、ステント基端部固定用線材の破断前であれば、シース内に再収納可能であり、ステントの配置位置を修正することができ、ステントを目的とする部位に確実に配置可能である。
さらに、ステント基端部固定用線材が、シャフト部に固定された一端部および他端部より、バネ状ストッパーを構成するコイルの間隙を通過してステント方向に延びるものであれば、線材の位置が安定するため、線材によるステントの固定が確実となり、また、線材のステントからの離脱も良好なものとなる。
(2) 前記ステントは、基端部に設けられた前記ステント基端部固定用線材挿通用の複数の小孔を略環状に備え、前記ステント基端部固定用線材の前記中間部は、前記ステントの前記複数の小孔を環状に挿通している上記(1)に記載のステントデリバリーシステム。
(3) 前記ステントは、基端部に位置する複数の基端方向屈曲部を備え、前記ステント基端部固定用線材の前記中間部は、前記ステントの前記複数の基端方向屈曲部を環状に挿通している上記(1)に記載のステントデリバリーシステム。
(4) 前記シャフト部は、前記ガイドワイヤルーメンを有する先端チューブと、該先端チューブの基端側に先端部が固定されたシャフト本体とを備え、前記破断部材は、前記シャフト本体の先端部に設けられている上記(1)ないし(3)のいずれかに記載のステントデリバリーシステム。
(5) 前記ステントは、前記シースの先端側を向く先端部と基端側を向く基端部を備え、さらに、前記基端部を除き少なくとも基端側に突出する屈曲自由端を実質的に持たず、前記シースからの前記先端部の露出後に前記シースを移動させることにより、前記露出先端部を前記シースに再収納可能なものである上記(1)ないし(4)のいずれかに記載のステントデリバリーシステム。
(7) 前記熱破断部材は、破断用発熱部と、該発熱部に先端部が接続され、かつ前記シャフト本体の基端部まで伸びる電気ケーブルと、該電気ケーブルと接続され、かつ、前記シャフト本体の基端部に形成された電源供給器との接続部を備えている上記(6)に記載のステントデリバリーシステム。
(8) 前記シャフト部は、前記シースのステント収納部位より基端側の側部にて開口するガイドワイヤルーメンの基端側開口を備え、前記シースは、前記ステント収納部位より基端側に設けられたシース側孔を備え、該シース側孔および前記基端側開口より、ガイドワイヤを挿入可能となっている上記(1)ないし(7)のいずれかに記載のステントデリバリーシステム。
(9) 前記ステントは、前記ステント基端部固定用線材が破断し、前記ステントの係留が解除されるまで、前記シースに再収納可能である上記(1)ないし(8)のいずれかに記載のステントデリバリーシステム。
(10) 前記ステント基端部固定用線材は、熱可塑性樹脂製ファイバーである上記(1)ないし(9)のいずれかに記載のステントデリバリーシステム。
(12) 前記基端側ストッパーは、前記シャフト部に巻き付けられたバネ状ストッパーである上記(11)に記載のステントデリバリーシステム。
(13) 前記ステント基端部固定用線材は、前記シャフト部に固定された前記一端部および前記他端部より、前記バネ状ストッパーを構成するコイルの間隙を通過して前記ステント方向に延びるものである上記(12)に記載のステントデリバリーシステム。
(14) 前記ステントの前記ステント基端部固定用線材挿通用の小孔は、前記線材の離脱性を高めるための低摩擦性内面もしくは易離脱性形態を有している上記(2)ないし(13)のいずれかに記載のステントデリバリーシステム。
(15) 前記ステントは、基端側屈曲部の頂点もしくは頂点付近が他の線状要素と結合することにより、自由端を持たないものとなっている上記(1)ないし(14)のいずれかに記載のステントデリバリーシステム。
(16) 前記ステントは、該ステントの一端側から他端側まで軸方向に延びかつ前記ステントの周方向に複数配列された波状ストラットと、各隣り合う前記波状ストラットを接続するとともに所定長軸方向に延びる1つもしくは複数の接続ストラットとを備え、さらに、前記波状ストラットの端部は、近接する波状ストラットの端部と結合されている上記(1)ないし(15)のいずれかに記載のステントデリバリーシステム。
(17) 前記接続ストラットは、円弧状に湾曲する上記(16)に記載のステントデリバリーシステム。
(18) 前記ステントは、すべての前記波状ストラットの一端側および他端側の端部を近接する前記波状ストラットの端部と結合する結合部を備え、前記一端側の結合部と前記他端側の結合部では、結合する前記波状ストラットの組み合わせが異なるものとなっている上記(16)または(17)に記載のステントデリバリーシステム。
Claims (18)
- 略円筒形状に形成され、生体内挿入時には中心軸方向に圧縮され、生体内留置時には外方に拡張して圧縮前の形状に復元可能なステントと、ガイドワイヤルーメンを有するシャフト部と、前記ステントを先端部内に収納したシースとを備え、かつ前記ステントが前記シャフト部上の先端付近に位置するステントデリバリーシステムであって、
前記ステントデリバリーシステムは、一端部および他端部が該シャフト部に固定され、中間部が前記ステントの基端部に係留されたステント基端部固定用線材と、該ステント基端部固定用線材を破断し、前記ステントの係留を解除するための破断部材とを有し、前記破断部材により破断された前記ステント基端部固定用線材は、前記一端部および前記他端部の前記シャフト部への固定状態が維持され、前記ステントに残留しないものとなっていることを特徴とするステントデリバリーシステム。 - 前記ステントは、基端部に設けられた前記ステント基端部固定用線材挿通用の複数の小孔を略環状に備え、前記ステント基端部固定用線材の前記中間部は、前記ステントの前記複数の小孔を環状に挿通している請求項1に記載のステントデリバリーシステム。
- 前記ステントは、基端部に位置する複数の基端方向屈曲部を備え、前記ステント基端部固定用線材の前記中間部は、前記ステントの前記複数の基端方向屈曲部を環状に挿通している請求項1に記載のステントデリバリーシステム。
- 前記シャフト部は、前記ガイドワイヤルーメンを有する先端チューブと、該先端チューブの基端側に先端部が固定されたシャフト本体とを備え、前記破断部材は、前記シャフト本体の先端部に設けられている請求項1ないし3のいずれかに記載のステントデリバリーシステム。
- 前記ステントは、前記シースの先端側を向く先端部と基端側を向く基端部を備え、さらに、前記基端部を除き少なくとも基端側に突出する屈曲自由端を実質的に持たず、前記シースからの前記先端部の露出後に前記シースを移動させることにより、前記露出先端部を前記シースに再収納可能なものである請求項1ないし4のいずれかに記載のステントデリバリーシステム。
- 前記ステント基端部固定用線材は、熱破断性ステント基端部固定用線材であり、前記破断部材は、熱破断部材である請求項1ないし5のいずれかに記載のステントデリバリーシステム。
- 前記熱破断部材は、破断用発熱部と、該発熱部に先端部が接続され、かつ前記シャフト本体の基端部まで伸びる電気ケーブルと、該電気ケーブルと接続され、かつ、前記シャフト本体の基端部に形成された電源供給器との接続部を備えている請求項6に記載のステントデリバリーシステム。
- 前記シャフト部は、前記シースのステント収納部位より基端側の側部にて開口するガイドワイヤルーメンの基端側開口を備え、前記シースは、前記ステント収納部位より基端側に設けられたシース側孔を備え、該シース側孔および前記基端側開口より、ガイドワイヤを挿入可能となっている請求項1ないし7のいずれかに記載のステントデリバリーシステム。
- 前記ステントは、前記ステント基端部固定用線材が破断し、前記ステントの係留が解除されるまで、前記シースに再収納可能である請求項1ないし8のいずれかに記載のステントデリバリーシステム。
- 前記ステント基端部固定用線材は、熱可塑性樹脂製ファイバーである請求項1ないし9のいずれかに記載のステントデリバリーシステム。
- 前記シャフト部は、前記ステントが配置されている部位の基端付近に位置し、前記ステントの基端方向への移動を規制する基端側ストッパーを備えている請求項1ないし10のいずれかに記載のステントデリバリーシステム。
- 前記基端側ストッパーは、前記シャフト部に巻き付けられたバネ状ストッパーである請求項11に記載のステントデリバリーシステム。
- 前記ステント基端部固定用線材は、前記シャフト部に固定された前記一端部および前記他端部より、前記バネ状ストッパーを構成するコイルの間隙を通過して前記ステント方向に延びるものである請求項12に記載のステントデリバリーシステム。
- 前記ステントの前記ステント基端部固定用線材挿通用の小孔は、前記線材の離脱性を高めるための低摩擦性内面もしくは易離脱性形態を有している請求項2ないし13のいずれかに記載のステントデリバリーシステム。
- 前記ステントは、基端側屈曲部の頂点もしくは頂点付近が他の線状要素と結合することにより、自由端を持たないものとなっている請求項1ないし14のいずれかに記載のステントデリバリーシステム。
- 前記ステントは、該ステントの一端側から他端側まで軸方向に延びかつ前記ステントの周方向に複数配列された波状ストラットと、各隣り合う前記波状ストラットを接続するとともに所定長軸方向に延びる1つもしくは複数の接続ストラットとを備え、さらに、前記波状ストラットの端部は、近接する波状ストラットの端部と結合されている請求項1ないし15のいずれかに記載のステントデリバリーシステム。
- 前記接続ストラットは、円弧状に湾曲する請求項16に記載のステントデリバリーシステム。
- 前記ステントは、すべての前記波状ストラットの一端側および他端側の端部を近接する前記波状ストラットの端部と結合する結合部を備え、前記一端側の結合部と前記他端側の結合部では、結合する前記波状ストラットの組み合わせが異なるものとなっている請求項16または17に記載のステントデリバリーシステム。
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