JP5432094B2 - 光学スケールの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、位置検出装置に用いられる反射型スケールの反射膜に欠陥が生じないように反射膜を形成する光学スケールの製造方法に関する。
従来から直線変位や角度変位の精密な測定を行うことができる位置検出装置として、光学スケールと検出ヘッドを備えた光学式変位測定装置が知られている。この光学式変位測定装置は、工作機械や半導体製造装置等の可動部の相対位置を高精度に検出することができる。
光学式変位測定装置は、一般に、可動部の変位を検出する部材に固定され、回折格子が形成された光学スケールと、この光学スケールの変位を検出する検出ヘッドとを備えている。検出ヘッドは、光学スケールに沿って移動可能とされている。
検出ヘッドは、光学スケールに光ビームを照射する光源と、光学スケールを透過又は光学スケールで反射された回折光を検出するための光検出部とを有しており、光検出部で受光した光信号の変化によって光学スケールの移動を検出する。この光学式変位測定装置では、光学スケールの変位によって、工作機械や半導体製造装置等の可動部の変位を知ることができる。
ここで、このような光学式変位測定装置に用いられる光学スケールとして、特許文献1には、スケール基材上にホログラム格子、反射膜、接着剤、保護基材の順で積層されて形成されたものが記載されている。このような反射膜を有する光学スケールでは、反射膜が形成されていない欠陥部分があると、この部分において信号の欠陥が生じてしまい、測定精度が低下してしまう。また、この光学スケールでは、反射膜によってホログラム格子と接着剤とが接していないが、反射膜に欠陥があると、ホログラム格子と接着剤の材質が異なる場合に、過度に熱がかかると、この欠陥部分を介して、両樹脂が反応してしまい、変形する場合がある。この樹脂の歪みは、エンコーダの出力欠陥となり、光学スケールとしては欠陥品となってしまう。即ち、このような光学スケールにおいて、反射膜の上下のホログラム格子と接着剤が反応しないように、反射膜がバリアの役割を果たせば良いが、膜に欠陥があると、反射膜のバリア性が無くなってしまい、欠陥品となってしまい、測定精度が低下してしまう。
反射膜は、回折格子が形成された樹脂層上に対して、スパッタ法により金属膜を成膜することにより形成することができる。そこで、光学スケールを製造方法において、欠陥のない反射膜をスパッタ法により形成可能とすることが求められている。
特開2000−121392号公報
そこで、本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、反射膜をスパッタ法により成膜し、欠陥のない反射膜を有する光学スケールの製造方法を提供することを目的とする。
上述した目的を達成する本発明に係る光学スケールの製造方法は、少なくともベース基材と、ベース基材上に形成された回折格子を有する回折格子膜と、この回折格子膜上に形成された反射膜とを有する光学スケールの製造方法であり、ベース基材に成膜した回折格子膜上に、スパッタ法により第1の反射膜を成膜し、この第1の反射膜に対して欠陥除去手段で該第1の反射膜の欠陥部分を除去した後、第1の反射膜上にスパッタ法により第2の反射膜を成膜する。
本発明では、回折格子膜上に、スパッタ法により第1の反射膜を成膜した後、この第1の反射膜に対して欠陥除去手段で第1の反射膜の欠陥部分を除去し、除去後に、第1の反射膜上にスパッタ法により第2の反射膜を成膜することによって、第1の反射膜の欠陥部分を第2の反射膜によって覆うことができる。これにより、本発明では、回折格子膜上に形成した第1の反射膜及び第2の反射膜によって反射膜を構成することによって、反射膜全体において欠陥なく光学スケールを製造することができる。
本発明を適用した光学スケールの製造方法によって得られた光学スケールの断面図であり、(A)は、回折状態を示す断面図であり、(B)は、光学スケールの一部断面図である。 反射膜の成膜方法を説明する断面図であり、第1の反射膜を成膜した状態を示す断面図である。 反射膜の成膜方法を説明する断面図であり、第1の反射膜の欠陥部分の除去を説明する断面図である。 反射膜の成膜方法を説明する断面図であり、第1の反射膜を成膜した状態を示す断面図である。 反射膜の成膜方法を説明する断面図であり、第2の反射膜の欠陥部分の除去を説明する断面図である。 第1及び第2の反射膜を形成した状態を示す一部拡大断面図である。 本発明を適用した光学スケールの製造方法によって得られた樹脂密着膜を設けた光学スケールの断面図である。 密着膜を設けた光学スケールの断面図であり、(A)は、光学スケールの断面図であり、(B)は、同光学スケールの一部拡大断面図である。 密着膜及び反射膜の成膜方法を説明する断面図であり、第1の密着膜を成膜した状態を示す断面図である。 密着膜及び反射膜の成膜方法を説明する断面図であり、第1の密着膜の欠陥部分の除去を説明する断面図である。 密着膜及び反射膜の成膜方法を説明する断面図であり、第2の密着膜及び第1の反射膜を成膜した状態を示す断面図である。 密着膜及び反射膜の成膜方法を説明する断面図であり、第1の反射膜の欠陥部分の除去を説明する断面図である。 密着膜及び反射膜の成膜方法を説明する断面図であり、第2の反射膜を成膜した状態を示す断面図である。
以下、本発明を適用した光学スケールの製造方法について、図面を参照して詳細に説明する。
位置検出システムでは、例えば直線変位を測定するものである場合、図1(A)に示すように、長尺状からなり、回折格子4が形成された光学スケール1と、この光学スケール1と相対的に移動可能なエンコーダ2とを備える。位置検出システムでは、光学スケール1に形成された回折格子4の物理的な凹凸にレーザ光を照射し、光学スケール1とエンコーダ2との相対位置変化に伴う回折光の位相の回転をエンコーダ2にて読み取り、位置を検出する。この位置検出システムは、分解能がnm以下であり、優れたものである。
このような位置検出システムに用いられる光学スケール1は、図1(B)に示すように、測定軸X方向に長尺状のベース基材3と、このベース基材3上に矩形状の回折格子4が形成された回折格子膜5と、この回折格子膜5上に形成された反射膜6と、この反射膜6上に形成された接着膜7と、この接着膜7を介して積層された保護用基材8とを備える。反射膜6は、回折格子膜5上に形成された第1の反射膜6aと、第1の反射膜6aに形成された第2の反射膜6bとからなる。
光学スケール1を製造するにあたって、回折格子膜5上に反射膜6が形成されていなかったり、反射膜6が浮いているといった欠陥がないように反射膜6が形成されていれば、信号の欠陥が生じることを防止でき、測定精度の低下を防止することができる。
そこで、本発明の光学スケール1の製造方法では、スパッタ法により欠陥のない反射膜6を形成する。先ず、ベース基材3上に、回折格子膜5を形成する。回折格子膜5は、レジストや乳剤を塗布し、それにホログラム露光や、レーザ描画、マスク等で露光し、現像して形成する。
次に、回折格子膜5上に反射膜6をスパッタ法により形成する。先ず、図2(A)に示すように、例えば金属等のターゲット9を用いて、回折格子膜5上に金属からなる第1の反射膜6aをスパッタ法により成膜する。第1の反射膜6aの膜厚は、10nm程度である。この第1の反射膜6aを成膜する際に、回折格子膜5上に埃や塵があると、その埃や塵上に金属膜が成膜される。このため、第1の反射膜6aには、塵や埃によって回折格子膜5に対する密着性が悪くなり、剥がれやすい欠陥部分10が発生する。
そこで、図2(B)に示すように、回折格子膜5上に第1の反射膜6aを成膜した後、スパッタ装置のチャンバーから第1の反射膜6aが成膜されたベース基材3を取り出して、欠陥除去手段として例えばエアブロウ装置11を用い、このエアブロウ装置11のエアを第1の反射膜6aに吹き付けてエアブロウすることによって、第1の反射膜6aの欠陥部分10及び埃や塵を除去する。これにより、第1の反射膜6aの欠陥部分10は除去され、第1の反射膜6aが形成されていない部分12が発生する。なお、ベース基材3をチャンバーから取り出すことによって、第1の反射膜6aの表面が酸化されるが、反射膜6の特性に特に影響はない。
次に、図2(C)に示すように、第1の反射膜6aが形成されている回折格子膜5上に、金からなる第2の反射膜6bをスパッタ法により成膜する。第2の反射膜6bを成膜する際においても、第1の反射膜6a上にある埃や塵によって、第1の反射膜6aに対する第2の反射膜6bの密着性が悪くなり、剥がれやすい欠陥部分13が発生する。そこで、図2(D)に示すように、第2の反射膜6bに対しても、エアブロウ装置11によって、第2の反射膜6bの欠陥部分13を除去する。これにより、第2の反射膜6bの欠陥部分13は除去され、第2の反射膜6bが形成されていない部分14が発生する。
第2の反射膜6bを成膜した状態では、図3に示すように、第1の反射膜6a上及び第1の反射膜6aの欠陥部分10が除去された第1の反射膜6aが形成されていない部分12に第2の反射膜6bが成膜されている。したがって、第2の反射膜6bを成膜することによって、第1の反射膜6aが形成されていない部分12に第2の反射膜6bが成膜されることになる。また、第2の反射膜6bが形成されていない部分14には、先に成膜した第1の反射膜6aが形成されている。したがって、回折格子膜5上には、第1の反射膜6a上に第2の反射膜6bが形成され、又は第1の反射膜6a若しくは第2の反射膜6bが形成されているため、欠陥無く反射膜6が形成される。
次に、反射膜6上に保護用基材8を貼り合せるための接着膜7を形成する。接着膜7は、反射膜6に接着剤を塗布して形成する。
そして、接着膜7を介して保護用基材8を貼り合せることによって、光学スケール1を製造する。
この光学スケール1の製造方法では、回折格子膜5上に形成する反射膜6を2段階に分け、第1の反射膜6aを成膜した後、この第1の反射膜6aの欠陥部分10を除去した後、第2の反射膜6bを成膜することによって、第1の反射膜6a上に第2の反射膜6bが形成され、又は第1の反射膜6a若しくは第2の反射膜6bが形成されるため、回折格子膜5上に反射膜6が形成されていないといった欠陥部分がなく、反射膜6を形成することができる。したがって、この光学スケール1の製造方法によって得られた欠陥のない反射膜6を有する光学スケール1を用いることによって、信号の欠陥が生じず、測定精度を向上させることができる。
また、この光学スケール1の製造方法では、反射膜6に欠陥を生じさせないため、回折格子膜5と接着膜7とが反応しないように両者を分けるバリアの役割を反射膜6が十分に果たすことができ、回折格子膜5と接着膜7との反応による変形を防止でき、熱に対する耐性が高く、耐環境性に優れた光学スケール1を得ることができる。
なお、上述した光学スケール1の製造方法では、反射膜6を2段階に分けて成膜したが、このことに限定されず、3段階以上に分けて成膜してもよい。また、欠陥除去手段として、上述したエアブロウ装置11に限定されず、欠陥を除去することができれば、他の方法を用いることができる。他の方法としては、例えば、クリーンワイプ布で払拭する方法や超音波洗浄等が挙げられる。
ここで、上述した光学スケール1の製造方法では、ベース基材3、回折格子膜5、反射膜6、接着膜7、保護用基材8が具体的に以下のような構成の光学スケール1を製造することができる。
ベース基材3には、測定軸X方向に長尺状なガラスやセラミック等の一般に光学スケールのベース基材を用いることができる。
回折格子膜5には、例えば、アクリル系、エポキシ系等の紫外線硬化型樹脂、アクリル系、エポキシ系等の熱硬化型樹脂、及び電子線やX線等によって活性化する各種エネルギー線硬化型樹脂等のレジストや乳剤等を用いることができる。回折格子4は、回折格子4の凸部の頂点から凹部の底辺までの光学的深さが概ね参照波長(λ)の1/4であることが好ましい。回折格子4の深さがλ/4である場合には、0次回折光の反射強度が反射防止の効果のため小さくなり、そのエネルギーが1次回折光他へ分散されるため、回折光の効率を上げることができる。したがって、回折格子4の最適な深さは、入射光の角度により決定されるが、おおむね波長の1/4である。
回折格子膜5は、膜厚が10μm以下、更に好ましくは3μm以下である。ここで、回折格子膜5の膜厚とは、図1(B)に示す、回折格子膜5のベース基材3側の面5aから回折格子4の凸部の頂点までの距離をいう。回折格子膜5の膜厚が10μm程度であれば、厚さムラは膜厚の半分以下にすることができ、容易に膜厚ムラの発生を抑え、均一にすることができる。更に、膜厚が3μm以下では、膜厚ムラを十分に小さく、更に均一にすることができる。ベース基材3のガラスの面精度のレベルが、現実的に±10μm程度なので、回折格子膜5の膜厚を10μm程度にすることがひとつの目安となる。
反射膜6を構成する第1の反射膜6a及び第2の反射膜6bは、回折格子膜5上に形成され、エンコーダ2で用いるレーザ光源の波長に対しての反射率が高い物が好ましい。反射膜6としては、一般に反射率の高い金属膜を用いるが、同時に膜の信頼性も必要となる。例えば、790nm等の近赤外で用いる場合には、赤色の反射率が高い金属膜が好ましく、金、白金、銅、銅合金、アルミ、アルミ合金、銀、銀合金等の金属膜等によって形成され、実用上、銀パラジウム合金で形成することが好ましい。前述の金属膜の中でも、純金属の金、プラチナ、銅、銀等は、反射が高いものであり、銅合金や銀合金等は、酸化や硫化して膜が改質しないものである。金とプラチナは、合金でなくても酸化等に対する耐性は十分に高いものである。金等は、信頼性が高く、成膜もしやすくて扱いやすい材料である。また、金やプラチナは、高価であるが、耐環境特性は良いものである。銀合金は、硫化を抑えた銀パラジウム合金等が実用上適し、エンコーダ2の790nmのレーザ光に対する反射率も、金と同様95%を超えており、スパッタターゲットの金額は1/10以下で低コストである。例えば、エンコーダ2の構成が回折格子面にレーザ光が2回当たる場合には、反射率がエンコーダ2の出力に与える影響は二乗で効いてくるようになる。このようなエンコーダ2の構成の場合、反射率が高いほど良いが、例えば、反射率が70%に落ちた反射面ではエンコーダ出力は49%にまで低下してしまうため、実用上、70%以上の反射率、より好ましくは90%以上である。また、回折格子膜5と反射膜6の密着性を向上させるために、回折格子膜5と反射膜6との間にCrやTi、Si、SiOx等の密着膜を設けることが好ましい。
接着膜7は、反射膜6と保護用基材8との間に介在し、反射膜6上に保護用基材8を接着する。接着膜7には、エンコーダ2から出射されるレーザ光及び回折光を透過させるため、エポキシ系等の透明な接着剤を用いる。接着膜7としては、反射膜6及び保護用基材8に対して密着性の良いものを用いることが好ましい。接着膜7は、ガラスとの密着が良く、透明性がある樹脂を選べばよいので、選択肢は広い。例えば、エポキシ系の透明接着剤であれば、多くの場合、ガラスとの密着性は十分に良好である。また、反射膜6と接着膜7との間の密着、又は反射膜6の上に付く何らかの保護膜と反射膜6との間の密着が問題となる場合は、前述の材料と同じく、Cr、Ti、Si、SiOx等の密着層を反射膜6の最上層に薄く成膜すると効果がある。
保護用基材8は、接着膜7を介して反射膜6上に積層され、回折格子膜5及び反射膜6の剥がれや割れ、外部部品との接触等により傷が付くことを防止するものである。保護用基材8は、回折格子膜5及び反射膜6の全体を覆うことができるように、ベース基材3と同様に、測定軸X方向に長尺状に形成されている。保護用基材8には、エンコーダ2から出射されるレーザ光及び回折光を透過させるため、ガラス等の透明な部材を用いる。
このような構成からなる光学スケール1では、上述した光学スケール1の製造方法により製造され、欠陥が無く反射膜6が形成されているため、信号に欠陥が生じることなく、高精度に測定することができる信頼性の高いものである。
上述した光学スケール1において、ベース基材3と回折格子膜5との間に、図4に示すように、樹脂密着膜15を設けてもよい。光学スケール1は、ガラスのベース基材3とガラスの保護用基材8とによって、回折格子膜5や反射膜6が挟み込まれている。回折格子膜5は、樹脂で出来ており、反射膜6と保護用基材8の間にはやはり樹脂の接着膜7がある。ガラスが例えば石英ガラスの場合には、熱膨張は0.5×10−6(1/℃)程度であり、樹脂の熱膨張は、ガラスの熱膨張の2桁から3桁大きくなる。その為、光学スケール1に熱等がかかった場合には、樹脂はガラスよりも大きく膨張し、ガラスから外側へはみ出そうとする。その際に回折格子膜5や接着膜7と、ガラスからなるベース基材3や保護用基材8との界面にて大きな剪断力が働き、回折格子膜5や接着膜7のガラスに対する密着力がその剪断力に耐えられなくなるとガラス界面で剥離が生じる。
一方、回折格子膜5の反射膜面では、反射膜6が上下を回折格子膜5と接着膜7の樹脂で挟まれており、その両者の熱膨張は同程度であるため、反射膜面では大きな剪断力は働かず、ほとんどの場合、この界面での剥離は生じない。樹脂の熱膨張による剪断力は、樹脂の外側ほど大きいため、光学スケール1の外周から剥離が発生する。
光学スケール1では、ベース基材3や保護用基材8から回折格子膜5や接着膜7が剥離することを防止するために、回折格子膜5や接着膜7とベース基材3や保護用基材8との密着性を向上させなくてはならない。ガラスからなるベース基材3や保護用基材8に対する樹脂からなる回折格子膜5や接着膜7の密着性を向上させる手法として、シランカップリング剤でガラス面を処理する方法がある。また、図4に示すように、ベース基材3と回折格子膜5との間に、樹脂密着膜15を設ける方法がある。この手法は、回折格子膜5に紫外線硬化型樹脂を用い、回折格子4の型が形成されたスタンパ等に樹脂を塗布し、樹脂を硬化させることで、回折格子4と回折格子膜5とを同時に形成する、フォトポリマリゼーションなどの転写で回折格子膜5を形成する場合に適している。この紫外線硬化型樹脂は、スタンパの形状が精密に転写できること、スタンパからの離型性が良いこと。スタンパを傷めないこと、硬化時間が短いこと、経時変化が無いこと等、それぞれの要求レベルが高いものである。
ベース基材3と回折格子膜5との間に介在する樹脂密着膜15は、ガラスとの密着が良い接着剤等を用いる。樹脂密着膜15は、ベース基材3上に塗布することによって、形成することができる。接着剤としては、回折格子膜5の樹脂との密着が十分よければ、その界面での剥離を防止できる。また、樹脂密着膜15が1層あるので、樹脂密着膜15と回折格子膜5の界面での剪断力は、ガラスからなるベース基材3の界面での剪断力より小さくなるため、回折格子膜5の剥離を防止できる。その他の密着改善の手法として、ベース基材3と回折格子膜5との間に、Cr膜やSiOx膜を設ける方法がある。特に、SiOxでxを1.5から1.9程度にしておくと、ガラスのベース基材3と樹脂の回折格子膜5の密着性は向上する。なお、接着膜7については、上述したように、エポキシ系の透明接着剤等のガラスとの接着性がよいものを用いることで、保護用基材8との界面における剥離を防止できる。
また、上述した光学スケール1では、回折格子膜5上に直接反射膜を成膜したが、反射膜6の回折格子膜5に対する密着性を向上させるために、図5に示す光学スケール20に示すように、回折格子膜5と反射膜6との間に密着膜21を設けるようにしてもよい。この光学スケール20は、測定軸X方向に長尺状のベース基材3と、このベース基材3上に矩形状の回折格子4が形成された回折格子膜5と、この回折格子膜5上に形成された密着膜21と、この密着膜21を介して回折格子膜5に形成された反射膜6と、この反射膜6上に形成された接着膜7と、この接着膜7を介して積層された保護用基材8とを備える。なお、光学スケール20について、光学スケール1と同様の構成については同一符号を付して詳細な説明を省略する。
この光学スケール20の製造方法は、先ず、光学スケール1の製造方法と同様に、ベース基材3上にレジストや乳剤を塗布し、それにホログラム露光や、レーザ描画、マスク等で露光し、現像して回折格子膜5を成膜する。
次に、図6(A)に示すように、回折格子膜5上に例えばクロム(Cr)等のターゲット22を用い、第1の密着膜21aをスパッタ法により膜厚10nm程度に成膜する。この成膜工程では、第1の密着膜21aを成膜する際に回折格子膜5上に埃や塵があると、その埃や塵上に第1の密着膜21aが成膜される。第1の密着膜21aは、塵や埃によって回折格子膜5に対する密着性が悪くなる等、剥離しやすくなる。また、第1の密着膜21aをCr等で形成した場合には、膜の応力が強く、スパッタ装置のチャンバー内で剥離しやすいものとなる。特に、成膜時にCrターゲット22近傍でのフレーク飛びが生じる。つまり、Cr成膜では、フレーク等による欠陥が生じ易くなる。このように、第1の密着膜21aには、埃や塵、フレーク等による欠陥部分23が発生する。
そこで、図6(B)に示すように、回折格子膜5上に第1の密着膜21aを成膜した後、スパッタ装置のチャンバーから第1の密着膜21aが成膜されたベース基材3を取り出して、欠陥除去手段のエアブロウ装置24によって、第1の密着膜21aの欠陥部分23を除去する。これにより、第1の密着膜21aの欠陥部分23は除去されるが、第1の密着膜21aが形成されていない部分25が発生する。なお、ベース基材3をチャンバーから取り出すことによって、第1の密着膜21aの表面が酸化され、酸化層が形成される。
次に、図6(C)に示すように、第1の密着膜21aが形成されている回折格子膜5上に、例えばクロム等のターゲット22を用い、第2の密着膜21bを薄く成膜し、連続して、金属等のターゲット9を用い、第1の反射膜6aを薄く成膜する。第2の密着膜21b及び第1の反射膜6aの膜厚は、10nm程度である。ここで、第1の密着膜21aの表面に酸化層が形成されているため、仮にこの第1の密着膜21a上に第1の反射膜6aを成膜した場合、第1の密着膜21aと第1の反射膜6aとの界面での密着性が劣ってしまう。そこで、第1の密着膜21aの酸化層が形成された表面に、第2の密着膜21bを薄く成膜することで、第1の密着膜21aの酸化層が形成された表面を第2の密着膜21bで覆い、続けて、第2の密着膜21b上に第1の反射膜6aを薄く成膜する。これにより、第1の密着膜21aの表面は第2の密着膜21bで覆われ、且つ第2の密着膜21bの成膜後にベース基材3をチャンバーから取り出さないため、第2の密着膜21bの表面が酸化されることはほとんどなく、酸化層は少ないため、この第2の密着膜21b上に第1の反射膜6aを成膜することで、第2の密着膜21bと第1の反射膜6aの密着性は高く、密着膜21と反射膜6との界面の密着性が劣ることを防止できる。
次に、図6(D)に示すように、第1の反射膜6aを成膜した後、スパッタ装置のチャンバーから第1の反射膜6aが成膜されたベース基材3を取り出して、欠陥除去手段のエアブロウ装置24によって、金属膜の密着力が弱い欠陥部分10を吹き飛ばして除去する。これにより、第1の反射膜6aの欠陥部分10は除去されるが、第1の反射膜6aが形成されていない部分12が発生する。なお、ベース基材3をチャンバーから取り出すことによって、第1の反射膜6aの表面が酸化されるが、反射膜6の特性には影響がない。
次に、図6(E)に示すように、第1の反射膜6a及び第1の反射膜6aが形成されていない部分12に、例えば金属のターゲット9を用い、第2の反射膜6bをスパッタ法により膜厚80nm程度に成膜する。第2の反射膜6bを成膜する際においても、第1の反射膜6a上にある埃や塵によって、第1の反射膜6aに対する密着性が悪くなる等、剥がれやすい欠陥部分13が発生する。そこで、図示しないが、第2の反射膜6bに対しても、エアブロウ装置24等の欠陥除去手段によって、金属膜の欠陥部分13を除去する。これにより、第2の反射膜6bが形成されていない部分14が発生する。
第2の反射膜6bを成膜し、欠陥部分13を除去した状態では、上述した光学スケール1の製造方法と同様に(図3参照)、第1の反射膜6a上及び欠陥部分10が除去されて第1の反射膜6aが形成されていない部分12には第2の反射膜6bが成膜されている。また、第2の反射膜6bが形成されていない部分14には、先に成膜した第1の反射膜6aが形成されている。したがって、回折格子膜5上には、第1の反射膜6a及び第2の反射膜6b、又は第1の反射膜6a若しくは第2の反射膜6bが形成されているため、欠陥無く反射膜6が形成される。
そして、反射膜6上に接着膜7を成膜し、接着膜7を介して保護用基材8を貼り合せることによって、光学スケール20を製造することができる。
この光学スケール20の製造方法では、表面に酸化層が形成された第1の密着膜21a上に、第2の密着膜21bを薄く成膜した後、連続して、この第2の密着膜21b上に第1の反射膜6aを薄く成膜し、第1の反射膜6a上に第2の反射膜6bを成膜することによって、密着膜21と反射膜6との界面における密着性が劣ることを防止できる。また、この光学スケール20の製造方法では、上述した光学スケール1と同様に、反射膜6を2段階に分け、第1の反射膜6aを成膜し、この第1の反射膜6aの欠陥部分を除去した後、第2の反射膜6bを成膜することによって、第1の反射膜6a上及び第1の反射膜6aが形成されていない部分12に第2の反射膜6bが形成されるため、回折格子膜5上に反射膜6が形成されていないといった欠陥部分がなく、反射膜6を形成することができる。したがって、この光学スケール20の製造方法では、回折格子膜5上に欠陥がない反射膜6が形成され、更に密着膜21によって回折格子膜5と反射膜6とのの密着性が良い光学スケール20を製造することができる。この光学スケール20の製造方法によって得られた光学スケール20を用いることによって、信号の欠陥が生じず、測定精度を向上させることができる。
また、この光学スケール20の製造方法では、反射膜6に欠陥がないため、回折格子膜5と接着膜7とが反応しないように両者を分けるバリアの役割を十分に果たすことができ、回折格子膜5と接着膜7との反応による変形を防止することができ、熱に対する耐性が高く、耐環境性に優れた光学スケール20を得ることができる。
また、上述した製造方法は、回折格子が矩形状の光学スケール1、20を製造する方法を説明したが、回折格子が正弦波状の光学スケールにも適用することができる。また、上述した製造方法によって得られた光学スケール1、20は、測定機器や工作機械、半導体製造装置の可動部の相対位置を検出することに用いることができる。
1 光学スケール、2 エンコーダ、3 ベース基材、4 回折格子、5 回折格子膜、6 反射膜、6a 第1の反射膜、6b 第2の反射膜、7 接着膜、8 保護用基材、9 ターゲット、10 欠陥部分、11 エアブロウ装置、12 第1の反射膜が形成されていない部分、13 欠陥部分、14 第2の反射膜が形成されていない部分

Claims (2)

  1. 少なくともベース基材と、上記ベース基材上に形成された回折格子を有する回折格子膜と、この回折格子膜上に形成された反射膜とを有する光学スケールの製造方法において、
    上記ベース基材に成膜した回折格子膜上に、スパッタ法により第1の反射膜を成膜し、この第1の反射膜に対して欠陥除去手段で該第1の反射膜の欠陥部分を除去した後、第1の反射膜上にスパッタ法により第2の反射膜を成膜する光学スケールの製造方法。
  2. 上記光学スケールは、上記回折格子膜と上記反射膜との間に密着膜を有し、
    上記第1の反射膜を成膜する前に、上記回折格子膜上に第1の密着膜を成膜し、この第1の密着膜に対して上記欠陥除去手段で該第1の密着膜の欠陥部分を除去した後、第1の密着膜上に第2の密着膜を成膜し、続けて、上記第1の反射膜を成膜する請求項1記載の光学スケールの製造方法。
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