以下、本発明に係る回路基板固定装置および回路基板検査装置の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
最初に、図1に示す検査装置1の構成について説明する。検査装置1は、回路基板検査装置の一例であって、同図に示すように、固定装置2、プロービング装置3および制御部4を備えて、回路基板100に対する電気的検査を実行可能に構成されている。なお、回路基板100は、一例として、矩形に形成された基板本体と、基板本体の表面に形成された導体パターン(図示せず)とで構成されている。
固定装置2は、回路基板固定装置の一例であって、図2に示すように、基台5、接離機構13、クランプ機構14a〜14d(合成方向可動クランプ機構の一例であって、以下、区別しないときには「クランプ機構14」ともいう)、センタークランプ機構15a,15b(以下、区別しないときには「センタークランプ機構15」ともいう)、補助クランプ機構16a,16b(以下、区別しないときには「補助クランプ機構16」ともいう)、コンプレッサ17(図1参照)および電磁弁18(同図参照)を備えて構成されている。
基台5は、図2に示すように、基台本体11および一対の梁部材12a,12b(以下、区別しないときには「梁部材12」ともいう)を備えて構成されている。基台本体11は、同図に示すように、一例として、略長方形の板状に形成されている。また、基台本体11の中央部には、略矩形の開口部11aが形成されている。梁部材12は、図2,3,4に示すように、全体として長尺の板状に形成されている。また、梁部材12には、図3〜図6に示すように、クランプ機構14における後述する本体部41を収容する2つの凹部91、および後述するセンタークランプ機構15の本体部44が嵌め込まれる1つの凹部92が形成されている。凹部91は、図5,6に示すように、開口面積が本体部41よりもやや大形で平面視が略矩形(長方形状)に形成されている。具体的には、凹部91は、図5に示すように、本体部41を収容した状態において、本体部41の側面41a〜41dと凹部91の内周壁91a〜91dとの間にそれぞれ2mm程度の隙間401が生じる大きさに形成されている。なお、図5では、クランプ機構14bにおける後述するスライド部42および回動部43を取り外した状態を図示している。
また、梁部材12は、図2に示す基台本体11の第1方向Aとその長さ方向とが一致するようにして、基台本体11にスライド可能に配設されている。具体的には、梁部材12aは、同図に示す基台本体11の第2方向B(第1方向Aに直交する方向)に沿って基台本体11における開口部11aの縁部に配設されたレール21a,21b上を移動可能なスライダー22a,22bにその両端部が固定されている。また、梁部材12bは、レール21a,21b上を移動可能なスライダー22c,22dにその両端部が固定されている。
接離機構13は、図2に示すように、モータ31、ベルト32a〜32c(以下、区別しないときには「ベルト32」ともいう)、回転軸33およびプーリ34a〜34f(以下、区別しないときには「プーリ34」ともいう)を備えて構成されている。モータ31は、制御部4の制御に従って駆動軸31aを回転させる。ベルト32aは、同図に示すように、モータ31の駆動軸31aに取り付けられているプーリ34aと回転軸33に取り付けられているプーリ34bとの間に架け渡されて、駆動軸31aのトルク(回転力)を回転軸33に伝達する。また、ベルト32b,32cは、タイミングベルト(歯付きベルト)であって、回転軸33に取り付けられているプーリ34cと基台本体11に取り付けられているプーリ34dとの間、および回転軸33に取り付けられているプーリ34eと基台本体11に取り付けられているプーリ34fとの間にそれぞれ架け渡されている。
また、ベルト32b,32cは、上側(図2における紙面手前側)の所定部位がスライダー22a,22bに形成されているラック(図示せず)に噛合すると共に、下側(同図における紙面奥側)の所定部位がスライダー22c,22dに形成されているラックに噛合している。この構成により、回転軸33が矢印X1の向きに回転したときには、スライダー22a,22bが矢印B1の向きに移動させられると共に、スライダー22c,22dが矢印B2の向きに移動させられる。また、それとは逆に回転軸33が矢印X2の向きに回転したときには、スライダー22a,22bが矢印B2の向きに移動させられると共に、スライダー22c,22dが矢印B1の向きに移動させられる。つまり、接離機構13は、スライダー22a,22bに両端部が固定されている梁部材12a、およびスライダー22c,22dに両端部が固定されている梁部材12bを、レール21a,21bの長さ方向における中央部(後述する補助クランプ機構16a,16bの固定位置)を中心として互いに接離するように第2方向Bに沿って移動させる。
クランプ機構14a,14bは、第1クランプ機構に相当し、図2に示すように、梁部材12aにおけるセンタークランプ機構15aを挟んで互いに離間する位置にそれぞれ配置されて、回路基板100における第1方向Aに沿った縁部の一方(例えば、図14に示す縁部102a)をクランプ可能に構成されている。また、クランプ機構14c,14dは、第2クランプ機構に相当し、図2に示すように、梁部材12bにおけるセンタークランプ機構15bを挟んで互いに離間する位置であって、かつ各クランプ機構14a,14bに対して一対一で対向する位置にそれぞれ配置されて、回路基板100における第1方向Aに沿った縁部の他方(例えば、図14に示す縁部102b)をクランプ可能に構成されている。
また、クランプ機構14a〜14dは、図7に示すように、本体部41、スライド部42および回動部43を備えてそれぞれ構成されている。なお、クランプ機構14a,14dとクランプ機構14b,14cとでは、これらを構成する各構成要素(特にエアシリンダ51〜53,55やバネ61〜65)が左右対称に配置されている点を除いて同様に構成されている。このため、図5,7および後述する図8〜10,15,16では、各クランプ機構14a〜14dを代表してランプ機構14bを図示して説明する。本体部41は、同図に示すように、平面視が略矩形(長方形状)の板状に形成されている。また、本体部41は、図3〜図5に示すように、梁部材12に形成されている凹部91内にその下側部分(図4参照)が収容されている。また、本体部41は、挿通孔41e,41e(図5参照)に挿通されたねじ402,402(図3参照)によって上下方向(厚み方向)への移動が規制されている。
この場合、図5に示すように、本体部41が凹部91内に収容された状態では、本体部41の側面41a〜41dと凹部91の内周壁91a〜91dとの間にそれぞれ2mm程度の隙間401が生じている。また、この本体部41では、挿通孔41e,41eの直径が、ねじ402の直径よりも2mm程度大きく形成されている。このため、本体部41は、凹部91内において隙間401の分だけ、第1方向A、第2方向B、および第1方向Aと第2方向Bとを合成した合成方向(具体的には、図15に示す回動方向Fや、図16に示す梁部材12の長さ方向に対して傾斜する傾斜方向G)に沿って梁部材12に対して(つまり、基台5に対して)移動することが可能となっている。
また、本体部41は、固定装置2を用いて回路基板100を固定する際に、回路基板100における縁部の一面101a(図10参照)側をその先端部204(同図における左上側の部分)で支持する。また、本体部41には、図7に示すように、スライド部42を嵌め込み可能な凹部93が形成されている。
また、図5に示すように、本体部41には、シリンダ51,55およびバネ61,64,65が配設されている。エアシリンダ51は、第1押圧部に相当し、第1方向Aに沿って基台本体11の開口部11a(図2参照)の中央部から離反する向き(クランプ機構14a,14cにおいては同図に示す矢印A2の向き、クランプ機構14b,14dにおいては同図に示す矢印A1の向き)に本体部41を押圧する。具体的には、エアシリンダ51は、同図に示すように、シリンダ51aおよびピストン51bを備えている。シリンダ51aは、第1シリンダに相当し、本体部41に形成されて、本体部41における第2方向Bに沿った側面のうちの基台本体11の中央部側に位置する側面(クランプ機構14a,14cにおいては同図に示す側面41a、クランプ機構14b,14dにおいては同図に示す側面41c)に開口部を有する平面視円形の穴で構成されている。この場合、シリンダ51aの形成位置は、上記した側面における基台本体11の中央部側に位置する端部側に規定されている。また、シリンダ51aの底部には、エア供給用の挿通孔51cが形成され、挿通孔51cには、エアカプラ51e(図7参照)が接続されている。
ピストン51bは、図5に示すように、シリンダ51a内に収容されて、挿通孔51cを介してのシリンダ51a内への空気の供給および供給停止によってシリンダ51a内をスライドする。この場合、シリンダ51aの開口部側へのピストン51bのスライドに伴い、ピストン51bに取り付けられているロッド51dの先端部が、第2方向Bに沿った凹部91の内周壁のうちのシリンダ51aが形成されている本体部41の側面に対向する内周壁(クランプ機構14a,14cにおいては同図に示す内周壁91a、クランプ機構14b,14dにおいては同図に示す内周壁91c)を押圧し、この反力によって本体部41が、第1方向Aに沿って基台本体11の中央部から離反する向きに押圧される。バネ61は、本体部41におけるシリンダ51aが形成された側面とは逆側の側面(クランプ機構14a,14cにおいては同図に示す側面41c、クランプ機構14b,14dにおいては同図に示す側面41a)に形成された平面視円形の穴に収容されて、第1方向Aに沿って基台本体11の中央部側に向かう向き(クランプ機構14a,14cにおいては同図に示す矢印A1の向き、クランプ機構14b,14dにおいては同図に示す矢印A2の向き)に本体部41を押圧する。
エアシリンダ55は、第2押圧部に相当し、第2方向Bに沿って基台本体11(開口部11a)の中央部から離反する向き(クランプ機構14a,14bにおいては図5に示す矢印B2の向き、クランプ機構14c,14dにおいては同図に示す矢印B1の向き)に本体部41を押圧する。具体的には、エアシリンダ55は、同図に示すように、シリンダ55aおよびピストン55bを備えている。シリンダ55aは、第2シリンダに相当し、本体部41に形成されて、本体部41における第1方向Aに沿った側面のうちの基台本体11の中央部側に位置する側面(クランプ機構14a,14bにおいては同図に示す側面41d、クランプ機構14c,14dにおいては同図に示す側面41b)に開口部を有する平面視円形の穴で構成されている。この場合、シリンダ55aの形成位置は、上記した側面における第1方向Aに沿って基台本体11の中央部から離反する端部側に規定されている。また、シリンダ55aの底部には、エア供給用の挿通孔55cが形成され、挿通孔55cには、エアカプラ55e(図7参照)が接続されている。
ピストン55bは、図5に示すように、シリンダ55a内に収容されて、挿通孔55cを介してのシリンダ55a内への空気の供給および供給停止によってシリンダ55a内をスライドする。この場合、シリンダ55aの開口部側へのピストン55bのスライドに伴い、ピストン55bに取り付けられているロッド55dの先端部が、第1方向Aに沿った凹部91の内周壁のうちのシリンダ55aが形成されている本体部41の側面に対向する内周壁(クランプ機構14a,14bにおいては同図に示す内周壁91d、クランプ機構14c,14dにおいては同図に示す内周壁91b)を押圧し、この反力によって本体部41が、第2方向Bに沿って基台本体11の中央部から離反する向きに押圧される。バネ64,65は、本体部41におけるシリンダ55aが形成された側面とは逆側の側面(クランプ機構14a,14bにおいては同図に示す側面41b、クランプ機構14c,14dにおいては同図に示す側面41d)に形成された平面視円形の穴にそれぞれ収容されて、第2方向Bに沿って基台本体11の中央部側に向かう向き(クランプ機構14a,14bにおいては同図に示す矢印B1の向き、クランプ機構14c,14dにおいては同図に示す矢印B2の向き)に本体部41を押圧する。なお、エアシリンダ51,55(つまり、第1押圧部および第2押圧部)によって移動機構19が構成される。
スライド部42は、図7に示すように、第2方向Bに沿ってスライド可能に本体部41の凹部93に嵌め込まれている(本体部41に配設されている)。また、スライド部42は、一対のエアシリンダ52および一対のバネ62を備えて構成されて、凹部93を構成する本体部41の基端部208側の壁面202に向けて各エアシリンダ52のロッド52aを突出(または突出解除)させことによって第2方向Bに沿ってスライドする。また、スライド部42は、エアシリンダ52にエアが供給されていない状態では、図8示すように、バネ62の弾性力によって本体部41の基端部208側に向けて付勢されている。
また、スライド部42は、図7に示すように、第1方向Aと平行な回動軸71aを支点(中心)として回動可能に回動部43を支持するヒンジ部71、一対のエアシリンダ53およびバネ63を備えて構成されている。この場合、ヒンジ部71によって支持された回動部43の基端部209側の下面203に向けて各エアシリンダ53のロッド53aを突出(または突出解除)させることにより、本体部41の先端部204と回動部43の先端部205とが接離する方向(同図に示す矢印Cの方向)に回動部43が回動させられる。
回動部43は、押圧部に相当し、固定装置2を用いて回路基板100を固定する際に、図10に示すように、その先端部205と本体部41の先端部204とが互いに近接する向き(同図に示す矢印C1の向き)に上記したエアシリンダ53によって回動させられることにより、回路基板100における縁部の他面101bをその先端部205で押圧して本体部41の先端部204と共に回路基板100の縁部をクランプする。また、回動部43は、エアシリンダ53にエアが供給されていない状態では、図8に示すように、バネ63の弾性力によって本体部41の先端部204からその先端部205が離間する姿勢に維持されている。
センタークランプ機構15は、図4に示すように、本体部44、並びに上記したスライド部42および回動部43を備えて構成されている。本体部44は、エアシリンダ51,55およびバネ61,64,65を備えていない点を除いて、上記した本体部41とほぼ同様に構成されている。また、本体部44は、梁部材12の凹部91に嵌め込まれた状態で梁部材12における長さ方向の中央部に固定されて(第1方向Aおよび第2方向Bへの移動が規制されて)、回路基板100の縁部をクランプする。つまり、センタークランプ機構15は、本体部44が第1方向Aおよび第2方向Bにスライドしない点を除いて、クランプ機構14と同様に構成されている。
各補助クランプ機構16は、図2に示すように、開口部11aを挟んで互いに対向するようにして、開口部11aの縁部における基台本体11の幅方向の中央部(固定位置)に固定されている。また、補助クランプ機構16は、クランプ機構14およびセンタークランプ機構15によってクランプされる回路基板100の縁部を除く他の縁部をクランプ可能に構成されている。具体的には、補助クランプ機構16は、図11に示すように、本体部81、スライド部82および回動部83を備えて構成されている。本体部81は、図13に示すように、固定装置2を用いて回路基板100を固定する際に、回路基板100における縁部の一面101a側をその先端部206で支持する。また、本体部81には、スライド部82を嵌め込み可能な凹部94が形成されている。
スライド部82は、図11に示すように、第1方向Aに沿ってスライド可能に本体部81の凹部94に嵌め込まれている。また、スライド部82は、同図に示すように、第2方向Bと平行な回動軸を中心として回動部83を回動可能に支持するヒンジ部(図示せず)を備えて構成されている。回動部83は、スライド部82のヒンジ部に取り付けられて、図13に示すように、本体部81の先端部206とその先端部207とが近接する向き(同図に示す矢印E1の向き)に回動させられたときに、回路基板100における縁部の他面101bを先端部207で押圧して本体部81の先端部206と共に回路基板100をクランプする。
また、補助クランプ機構16は、図11に示すように、エアシリンダ54およびバネ66,67を備えて構成されている。この場合、エアシリンダ54のロッド54aを突出(または突出解除)させることにより、凹部94に配設されたスライド部82が同図に示す第1方向Aに沿って移動させられると共に、スライド部82に配設された回動部83が同図に示す矢印Eの方向に回動させられる。また、エアシリンダ54にエアが供給されていない状態では、同図に示すように、バネ66,67の弾性力により、スライド部82が本体部81の基端部210側に位置して、両先端部207,206が互いに離間する姿勢に回動部83が維持されている。
コンプレッサ17は、エア(圧縮空気)を供給する。電磁弁18は、図外のエアチューブによってコンプレッサ17、エアシリンダ51のエアカプラ51e(図7参照)、エアシリンダ52のエアカプラ52b(同図参照)、エアシリンダ53のエアカプラ53b(同図参照)、エアシリンダ55のエアカプラ55e(同図参照)およびエアシリンダ54のエアカプラ54b(図11参照)に連結されており、制御部4の制御に従い、エアチューブおよび各エアカプラ51e,52b,53b,54b,55eを介しての各エアシリンダ51〜54に対するコンプレッサ17からのエアの供給および供給停止を行う。
プロービング装置3は、図1に示すように、回路基板100の導体パターンに接触させる検査用プローブ301と、制御部4の制御に従って検査用プローブ301を移動させるプロービング機構302とを備えて構成されている。制御部4は、電磁弁18を制御して各エアシリンダ51〜55に対するエアの供給および供給停止を行う。また、制御部4は、プロービング装置3のプロービング機構302を制御することにより、検査用プローブ301を回路基板100の導体パターンに接触させる。さらに、制御部4は、検査部として機能し、検査用プローブ301を介して入力した電気信号Sに基づいて電気的検査を実行する。
次に、検査装置1を用いて回路基板100を検査する方法について、添付図面を参照して説明する。
まず、図外の操作部を操作して、回路基板100の大きさ等の各種設定値を入力する。次いで、制御部4が、モータ31を制御して、予め規定された回転方向に予め規定された回転数だけ駆動軸31aを回転させる。続いて、駆動軸31aのトルクがベルト32aを介して回転軸33に伝達されて回転軸33が回転し、これに伴ってベルト32b,32cが牽引されて、各スライダー22a〜22dおよび梁部材12a,12bが、回路基板100の大きさに対応する移動量だけ矢印B1または矢印B2の向きに移動させられる。次いで、図14に示すように、各クランプ機構14における本体部41の先端部204、各センタークランプ機構15における本体部44の先端部204a、および各補助クランプ機構16における本体部81の先端部206に、回路基板100における縁部102a〜102d(以下、区別しないときには「縁部102」ともいう)の一面101a(同図における紙面奥側の面)を当接させるようにして載置する。
続いて、操作部を操作して測定を開始させる。この際に、コンプレッサ17が、エアの供給を開始する。次いで、制御部4が、電磁弁18を制御して、クランプ機構14およびセンタークランプ機構15のエアシリンダ52にエアを供給させる。この際に、図9に示すように、各エアシリンダ52のロッド52aが本体部41における基端部208側の壁面202に向けて(クランプ機構14a,14bにおいては図2に示す矢印B1の向きに、クランプ機構14c,14dにおいては同図に示す矢印B2の向きに)突出し、これに伴い、スライド部42が本体部41の先端部204側(クランプ機構14a,14bにおいては同図に示す矢印B2の向き、クランプ機構14c,14dにおいては同図に示す矢印B1の向き)にスライドさせられる。続いて、制御部4は、電磁弁18を制御して、クランプ機構14およびセンタークランプ機構15のエアシリンダ53にエアを供給させる。この際に、図10に示すように、各エアシリンダ53のロッド53aが同図に示す矢印D1の向きに突出して回動部43の基端部209側(同図における右下側の部位)の下面203を押圧し、これに伴って回動部43が同図に示す矢印C1の向きに回動させられる。これにより、回動部43の先端部205が回路基板100の他面101bを押圧する結果、回動部43の先端部205と本体部41(本体部44)の先端部204(先端部204a)とによって回路基板100の縁部がクランプされる。
この場合、このクランプ機構14(およびセンタークランプ機構15)では、回動部43の基端部209側の下面203にエアシリンダ53のロッド53aを突出させて直接押圧することによって回動軸71aを支点として回動部43を回動させて回路基板100をクランプしている。このため、エアシリンダ53によって回動部43の基端部209側を強く押圧することで、回動部43の先端部205をその幅方向の全域に亘って十分に強い力でしかも均一に回路基板100に押し当てることができる結果、回路基板100を確実にクランプすることが可能となっている。したがって、このクランプ機構14では、回路基板100をクランプしているクランプ機構14(クランプ機構14が配設されている梁部材12)を、後述するように接離機構13によって第2方向Bに沿って強い力で引っ張ったとしても、回路基板100がクランプ機構14から外れる事態を確実に防止することが可能となっている。
続いて、制御部4は、電磁弁18を制御して、各補助クランプ機構16のエアシリンダ54にエアを供給させる。この際に、図12に示すように、補助クランプ機構16aにおけるエアシリンダ54のロッド54aがスライド部82側に向けて突出し、これに伴ってロッド54aの先端部に取り付けられている押圧部材54cが回動部83のベアリング83aを押圧し、これによってスライド部82および回動部83が前方(補助クランプ機構16aにおいては図2に示す第1方向A2の向き、補助クランプ機構16bにおいては同図に示す第1方向A1の向き)に移動させられる。次いで、ロッド54aがさらに突出したときには、図13に示すように、回動部83が同図に示す矢印E1の向きに回動させられる。これにより、回動部83の先端部207が回路基板100の他面101bを押圧する結果、本体部81の先端部206と回動部83の先端部207とによって回路基板100の縁部がクランプされる。
続いて、制御部4は、モータ31を制御して、図14に示すように、駆動軸31aを矢印X1の向きに回転させる。この際に、駆動軸31aのトルクがベルト32aを介して回転軸33に伝達されて回転軸33が矢印X1の向きに回転し、これに伴ってベルト32b,32cが牽引されて、各スライダー22a,22bおよび梁部材12aが矢印B1の向きに移動させられると共に、スライダー22c,22dおよび梁部材12bが矢印B2の向きに移動させられる。これにより、回路基板100が矢印B1,B2の向き(外向き)に引っ張られる結果、回路基板100において第1方向Aに沿って皺が生じているときにはその皺が矯正される。
次いで、制御部4は、電磁弁18を制御して、各クランプ機構14におけるエアシリンダ51のシリンダ51a、およびエアシリンダ55のシリンダ55aにエアを供給させる。この際に、図15に示すように、シリンダ51a内に収容されているピストン51bがシリンダ51aの開口部側にスライドする。このスライドに伴い、ピストン51bに取り付けられているロッド51dの先端部が、梁部材12の凹部91における第2方向Bに沿った内周壁(クランプ機構14a,14cにおいては同図に示す内周壁91a、クランプ機構14b,14dにおいては同図に示す内周壁91c)を押圧し、この反力により、本体部41が、第1方向Aに沿って基台本体11の中央部から離反する向きに押圧される。
また、エアシリンダ55のシリンダ55aに対するエアの供給により、図15に示すように、シリンダ55a内に収容されているピストン55bがシリンダ55aの開口部側にスライドする。このスライドに伴い、ピストン55bに取り付けられているロッド55dの先端部が、梁部材12の凹部91における第1方向Aに沿った内周壁(クランプ機構14a,14bにおいては同図に示す内周壁91d、クランプ機構14c,14dにおいては同図に示す内周壁91b)を押圧し、この反力によって本体部41が、第2方向Bに沿って基台本体11の中央部から離反する向きに押圧される。
ここで、この固定装置2では、本体部41と、本体部41が収容されている凹部91との間に隙間401が生じて、本体部41が、第1方向A、第2方向B、および第1方向Aと第2方向Bとを合成した合成方向に沿って基台5に対して移動可能に構成されている。このため、上記したように、第1方向Aに沿って基台本体11の中央部から離反する向きに押圧され、かつ第2方向Bに沿って基台本体11の中央部から離反する向きに押圧された本体部41は、例えば、本体部41におけるエアシリンダ55の配設位置側が基台本体11の中央部から離反する回動方向(第1方向Aおよび第2方向Bを合成した合成方向の一例であって、クランプ機構14a,14dにおいては右回りの回動方向、クランプ機構14b,14cにおいては左回りの回動方向(図15に示す回動方向F))に沿って回動させられたり、または、図16に示すように、傾斜方向G(第1方向Aおよび第2方向Bを合成した合成方向の他の一例)に沿って基台本体11の中央部から離反しつつ移動させられたりする。このため、各クランプ機構14によってクランプされている回路基板100は、第1方向Aに沿った外向きに引っ張られることに加えて、第2方向Bに沿った外向きにも引っ張られる。この結果、回路基板100の第2方向Bに沿って皺が生じているときには、その皺が確実に矯正されることに加えて、上記した接離機構13による引っ張り(梁部材12a,12bの第2方向Bに沿った移動)によってもなお第1方向Aに沿った皺が矯正されていない場合においても、その皺が確実に矯正される。
また、この固定装置2では、各クランプ機構14が、第1方向Aおよび第2方向Bを合成した合成方向に個別に移動可能に構成されているため、回路基板100における第2方向Bに沿った皺などの変形がクランプ機構14の近傍において部分的に生じているときには、そのクランプ機構14における合成方向に沿った移動のうちの第1方向Aに沿った移動成分によって、その変形を個別に矯正することが可能なことに加えて、第1方向Aに沿った皺などの変形がクランプ機構14の近傍において部分的に生じているときにおいても、そのクランプ機構14における合成方向に沿った移動のうちの第2方向Bに沿った移動成分によって、その変形を個別に矯正することが可能となっている。さらに、上記した接離機構13による引っ張りに起因して、回路基板100における第2方向Bに沿った縁部の中央部に弛みが生じたとしても(図17参照)、各クランプ機構14における合成方向に沿った移動のうちの第2方向Bに沿った移動成分によって、その弛みを確実に矯正することが可能となっている。
次いで、制御部4は、プロービング装置3のプロービング機構302を制御することにより、検査用プローブ301を移動させて回路基板100における検査対象の導体パターンに接触させる。この場合、回路基板100に皺などの変形が生じていたとしても、上記したように固定装置2によってその変形が確実に矯正されているため、検査対象の導体パターンに検査用プローブ301が確実に接触される。
続いて、制御部4は、検査用プローブ301を介して入力した電気信号Sに基づいて電気的検査を実行する。この後、回路基板100についての検査を終了したときには、制御部4は、電磁弁18を制御して、各エアシリンダ51〜55に対するエアの供給を停止する。これにより、クランプ機構14およびセンタークランプ機構15における回動部43の先端部205、並びに補助クランプ機構16における回動部83の先端部207が、バネ63,66の弾性力によって本体部41,44,81の先端部204,205,206から離間する向きにそれぞれ回動させられて、各クランプ機構14,15,16による回路基板100のクランプが解除される。また、バネ61,64,65の弾性力により、本体部41が、上記した回動方向とは逆の回動方向(クランプ機構14a,14dにおいては左回りの回動方向、クランプ機構14b,14cにおいては右回りの回動方向)に回動させられて、初期状態となる。
このように、この固定装置2および検査装置1では、回路基板100における第1方向Aに沿った縁部102をクランプして第1方向Aに沿って移動可能な複数のクランプ機構の少なくとも1つが、第1方向Aと第1方向Aに直交する第2方向Bとを合成した合成方向に沿って移動可能な合成方向可動クランプ機構としてのクランプ機構14で構成され、移動機構19がそのクランプ機構14を合成方向に沿って移動させる。このため、この固定装置2および検査装置1によれば、クランプ機構14によってクランプしている回路基板100の縁部102を第1方向Aに沿った向きおよび第2方向Bに沿った向きの双方に向けて個別に引っ張ることができる。したがって、この固定装置2および検査装置1によれば、回路基板100における第2方向Bに沿った皺などの変形がクランプ機構14の近傍において部分的に生じているときには、そのクランプ機構14における合成方向に沿った移動のうちの第1方向Aに沿った移動成分によって、その変形を個別に矯正することが可能なことに加えて、第1方向Aに沿った皺などの変形がクランプ機構14の近傍において部分的に生じているときにおいても、そのクランプ機構14における合成方向に沿った移動のうちの第2方向Bに沿った移動成分によって、その変形を個別に矯正することができる。また、回路基板100における第2方向Bに沿った縁部の中央部に弛みが生じたとしても、第1方向Aに沿った縁部の端部をクランプ機構14でクランプしてクランプ機構14を合成方向に沿って移動させることで、クランプ機構14における合成方向に沿った移動のうちの第2方向Bに沿った移動成分によってその弛みを確実に矯正することができる。したがって、この固定装置2および検査装置1によれば、弛みの発生を防止しつつ回路基板100の変形を確実に矯正することができる。
また、この固定装置2および検査装置1では、回路基板100における第1方向Aに沿った1つの縁部102aの複数箇所をそれぞれクランプする複数の(例えば2つの)クランプ機構(上記の例ではクランプ機構14a,14b)と、これらのクランプ機構にそれぞれ対向配置されて回路基板100における縁部102aに対向する他の1つの縁部102bの複数箇所をそれぞれクランプする複数のクランプ機構(上記の例ではクランプ機構14c,14d)とを備え、互いに対向するクランプ機構の少なくとも一方(つまり、上記の例ではクランプ機構14a,14b、クランプ機構14a,14d、クランプ機構14b,14c、クランプ機構14c,14d、クランプ機構14a,14b,14c、クランプ機構14a,14b,14d、クランプ機構14a,14c,14d、クランプ機構14b,14c,14dおよびクランプ機構14a,14b,14c,14dのうちのいずれかの組み合わせ)が合成方向可動クランプ機構で構成されている。このため、この固定装置2および検査装置1によれば、回路基板100における互いに対向するクランプ機構によってクランプされている複数の部位において皺などの変形が部分的に生じている場合においてもそれらの変形を個別に矯正することができる。
また、この固定装置2および検査装置1では、互いに対向するクランプ機構(上記の例ではクランプ機構14a,14bおよびクランプ機構14c,14d)の双方が合成方向可動クランプ機構で構成されている。つまり、この固定装置2および検査装置1では、全てのクランプ機構14が合成方向可動クランプ機構で構成されている。このため、この固定装置2および検査装置1によれば、回路基板100における互いに対向するクランプ機構によってクランプされている複数の部位において皺などの変形が部分的に生じているときに、その部位を2つのクランプ機構14で引っ張ることができるため、これらの変形をより確実に矯正することができる。
さらに、この固定装置2および検査装置1によれば、接離機構13によって互いに接離させられる一対の梁部材12を備えて基台5を構成し、一方の梁部材12における長さ方向に沿ってクランプ機構14a,14bを配置し、他方の梁部材12における長さ方向に沿ってクランプ機構14c,14dを配置したことにより、クランプ機構14a,14bとクランプ機構14c,14dとを同じ移動量で接離させることができるため、例えば、第1方向Aに沿った皺などの変形が回路基板100の両端部の間の全範囲に亘って一様に生じているときには、この変形を均等に引き伸ばして矯正することができる。
さらに、この固定装置2および検査装置1によれば、各梁部材12における長さ方向の中央部に固定されたセンタークランプ機構15を挟んで互いに離間した位置にクランプ機構14を2つずつ配設したことにより、センタークランプ機構15を中心として第1方向Aに沿ってセンタークランプ機構15から離反する方向に各クランプ機構14の本体部41を移動させることで、回路基板100を第1方向Aに沿って均等に引っ張ることができる。このため、例えば、第1方向Aに沿って湾曲するような変形が回路基板100に生じていたとしても、回路基板100を十分に平坦な状態に矯正することができる。
さらに、この固定装置2および検査装置1によれば、回路基板100の第2方向Bに沿った縁部をクランプする補助クランプ機構16を備えて、接離機構13が、補助クランプ機構16の固定位置を中心として互いに接離するように両梁部材12の双方を第2方向Bに沿って移動させることにより、回路基板100を第2方向Bに沿って均等に引っ張ることができる。このため、例えば、第2方向Bに沿って湾曲するような変形が回路基板100に生じていたとしても、回路基板100を十分に平坦な状態に矯正することができる。
また、この固定装置2および検査装置1では、梁部材12に形成された凹部91内に移動可能に収容された本体部41を備えてクランプ機構14が構成され、本体部41を第1方向Aに沿って押圧するエアシリンダ51と、本体部41を第2方向Bに沿って押圧するエアシリンダ55とを備えて移動機構19が構成されて、エアシリンダ51,55による本体部41の押圧によってクランプ機構14が合成方向に沿って移動される。このため、この固定装置2および検査装置1によれば、移動機構19を簡易に構成することができる。
また、この固定装置2および検査装置1では、本体部41における第2方向Bに沿った側面に開口部を有して本体部41に形成されたシリンダ51aと、シリンダ51a内への空気供給によって第1方向Aに沿ってシリンダ51a内をスライドするピストン51bとを備えてエアシリンダ51が構成され、本体部41における第1方向Aに沿った側面に開口部を有して本体部41に形成されたシリンダ55aと、シリンダ55aへの空気供給によって第2方向Bに沿ってシリンダ55a内をスライドするピストン55bとを備えてエアシリンダ55が構成されている。つまり、この固定装置2および検査装置1では、エアシリンダ51,55が本体部41に内蔵されている。したがって、この固定装置2および検査装置1によれば、エアシリンダ51,55を本体部41の外部に配設する構成と比較して、クランプ機構14を十分に小形化することができる。
また、この検査装置1によれば、上記の固定装置2を備えたことにより、回路基板100に皺などの変形が生じていたとしても、固定装置2によってその変形を確実に矯正することができるため、検査対象の導体パターンに検査用プローブ301を確実に接触させることができる結果、検査を正確に行うことができる。
なお、本発明は、上記の構成に限定されない。例えば、1つのエアシリンダ51と1つのエアシリンダ55とを用いて本体部41を押圧する構成例について上記したが、エアシリンダ51およびエアシリンダ55の数は、1つに限定されず、任意に変更することができる。また、本体部41の内部に形成したシリンダ51a,55aおよびシリンダ51a,55a内に収容したピストン51b,55bを備えてエアシリンダ51,55を構成した例、つまり本体部41にエアシリンダ51,55を内蔵した構成例について上記したが、本体部41とは別体としたエアシリンダ51,55を構成本体部41の外部、(例えば、本体部41の上面)に配設する構成を採用することもできる。また、エアシリンダ51,55に代えて、モータおよびボールねじを備えた機構や、油圧シリンダなどを第1押圧部および第2押圧部として用いることもできる。また、第1押圧部および第2押圧部による本体部41に対する押圧によって本体部41を移動させる構成例について上記したが、モータ等の回転機構によって本体部41を直接回転させて回動方向Fに沿って移動させる構成や、傾斜方向Gに沿った向きに本体部41を押圧して本体部41をその向きに移動させる構成を採用することもできる。
また、各梁部材12にクランプ機構14を2つずつ配設した構成例について上記したが、梁部材12に配設するクランプ機構14の数は2つに限定されず、3つ以上の任意の数に規定することができる。また、全てのクランプ機構14を合成方向可動クランプ機構で構成した例について上記したが互いに対向する一対のクランプ機構14のうちの少なくとも一方だけを合成方向可動クランプ機構で構成する、具体的には、クランプ機構14a,14b、クランプ機構14a,14d、クランプ機構14b,14c、クランプ機構14c,14d、クランプ機構14a,14b,14c、クランプ機構14a,14b,14d、クランプ機構14a,14c,14d、およびクランプ機構14b,14c,14dのうちのいずれかの組み合わせに係る各クランプ機構14を合成方向可動クランプ機構で構成することができる。また、全てのクランプ機構14のうちの1つだけを合成方向可動クランプ機構で構成することもできる。
また、接離機構13が、補助クランプ機構16の固定位置を中心として互いに接離するように両梁部材12の双方を第2方向に沿って移動させる構成例について上記したが、両梁部材12のいずれか一方だけを移動させる構成を採用することもできる。また、補助クランプ機構16を備えた構成例について上記したが、補助クランプ機構16を備えていない構成を採用することができる。