JP5430788B1 - 生物粒子計数方法、生物粒子計数器及び浄水監視システム - Google Patents

生物粒子計数方法、生物粒子計数器及び浄水監視システム Download PDF

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Abstract

【課題】浄水処理の対象となる水中に含まれる生物粒子を藍藻もしくはその他の藻類として各個数を計数することができる技術を提供する。
【解決手段】浄水場等で水源502から取水し、塩素注入設備512(凝集剤注入設備508)で塩素を注入した後、沈殿池510やろ過池514を経由し所定の時間が経過した水を生物粒子計数器550に分流する。ここでは、分流した水に所定の波長の光を照射して、その光の作用により水に含まれる生物粒子が放出する蛍光を選択的に分離して受光し、受光した蛍光の強度に基づいて個々の生物粒子を藍藻、もしくはその他の藻類として計数する。
【選択図】図1

Description

本発明は、水中に含まれる藻類の種類別の個数を計数する生物粒子計数方法及び生物粒子計数器、並びにこの生物粒子計数器を備えた浄水監視システムに関する。
例えば、浄水場のような水道設備では、しばしば原水中に藻類が大量に発生し、ろ過閉塞・異臭味・濁度障害などの問題を引き起こすことがある。こうした問題を未然に防ぐためには、原水中に含まれる藻類の量を監視し、状況に応じて沈殿処理や塩素処理等の対処が必要となる。ここで、藍藻とその他の藻類(緑藻・珪藻等)とでは採るべき方法が異なることから、藍藻とその他の藻類の個数濃度を常時監視して、種類に応じた処理法を選択することが望まれている。
原水中の藻類の量を監視するにあたっては、かつてより適宜採取した原水の試料を生物顕微鏡(蛍光顕微鏡を含む)で観察し、そこに存在する藻類の種類を目視で判別してきた。しかしこの方法は、試料の採取から観察、判別に至るまでの時間のみならず、監視者には熟練した技能が必要とされるため、連続的な監視には適していない。
そうした中、生物顕微鏡によらずに水中の藻類の個数濃度を自動的に測定する手法がいくつか提案されている。この手法を用いたものとして、例えば、藻類に含まれるクロロフィルa及びフィコシアニンによって発せられる蛍光パルスを検出している先行技術がある(特許文献1参照)。この先行技術によれば、試料水中に含まれる藻類全体の個数を計数することができる。
また、別の先行技術においては、試料水中に含まれる藍藻、藻類全体及び微粒子全体の個数をそれぞれ区別して計数している(特許文献2参照)。
この先行技術では特に、藍藻に含まれているフィコシアニンから発せられる蛍光によって藍藻を検出し、またクロロフィルaから発せられる蛍光によって藻類全体を検出することで、藍藻の個数及び藻類全体の個数を計数している。この先行技術によれば、藍藻とその他の藻類とを区別して計数し、両者の個数濃度を監視することができる。
特開2000−241335号公報 特開2000−338030号公報
しかしながら、前者の先行技術(特許文献1)に示された方法では、水中の藻類全体の個数を計数することはできても、その内訳、すなわち藍藻とその他の藻類のそれぞれの個数を把握することは不可能である。したがって、この方法を採用しても、藻類の大量発生時にその種類に応じた処理法を選択することができない。
また、後者の先行技術(特許文献2)によれば、藍藻とその他の藻類の各個数を計数できるので、藻類の種類に応じた処理法の選択は可能となる反面、この技術を採用しようとすると、計数に必要となる装置が高価になるという問題が生じる。なぜなら、藻類に励起光を照射した場合に発せられる蛍光のピーク波長は、その種類によって異なるため、両者を検出するには必然的に2つの蛍光受光系が必要となるからである。
そこで本発明は、大がかりな装置を用いることなく、水中に存在する藍藻及びその他の藻類の各個数を計数することができる技術の提供を課題としている。
上記の課題を解決するため、本発明は以下の解決手段を採用する。
本発明の生物粒子計数方法及び生物粒子計数器では、例えば浄水処理等の対象となる水に塩素を注入した後、所定の時間を置いてから、その水に所定の波長の光を照射して、その光の作用により水に含まれる生物粒子が放出する蛍光を選択的に分離して受光し、受光した蛍光の強度に基づいて個々の生物粒子を藍藻、もしくはその他の藻類として計数する。
例えば、浄水場で行われる浄水処理の対象となる水に塩素を加えると、その殺菌作用により水中に含まれる生物粒子の活力(生命力)が弱まり、総じて水中の生物粒子が放出する蛍光の強度は時間の経過とともに低下する。このとき藻類については、それが藍藻であるか、その他の藻類(例えば緑藻、珪藻等)であるかによって蛍光強度が低下する速度(時間特性)に顕著な隔たりがある。そこで、本発明ではこの性質に注目し、水に塩素を加えてから所定の時間が経過した後に生物粒子の蛍光強度を測定することにより、その低下の度合いに基づいて個々の生物粒子を藍藻として計数するか、もしくはその他の藻類として計数することができる。
このように本発明によれば、浄水過程にある水中に含まれる生物粒子が放出する蛍光の強度に基づいて、個々の生物粒子を藍藻又はその他の藻類として計数することができる。よって、浄水場で本発明を用いて生物粒子の計数を行い、その計数結果に応じて凝集剤や塩素等の薬品の注入量を適量に制御すれば、水質の効率的な監視及び調整を実現することが可能となる。
加えて本発明では、生物粒子がその体内に有している1種類の自家蛍光物質に着目して、塩素注入後の時間経過に伴う蛍光の強度変化を観察することから、蛍光受光系はその種類に対応した1つのみで足りる。よって複数の光学系を用いる高価な装置を必要としないため、コストを抑制できるという点でも非常に有益である。
また、本発明の生物粒子計数方法及び生物粒子計数器では、受光した蛍光の強度が所定の閾値以下ならばその生物粒子を藍藻として計数し、所定の閾値を超えるならばその他の藻類として計数することができる。
ここで、所定の閾値は、塩素注入後の藍藻による蛍光強度の時間特性に基づいて設定してもよい。
上記の態様によれば、藍藻により放出される蛍光について塩素注入後の時間経過に伴う蛍光強度の変化を測定し、その結果に基づいて予め定められた閾値を基準として生物粒子の計数を行う。したがって、水中に含まれる藍藻及びその他の藻類の各個数を現実に近い状態で、より高精度に計数することが可能となる。
以上に示した全ての態様において、好ましくは、注入する塩素の濃度に基づいて待機する所定の時間が決定される。例えば、浄水場における塩素注入時の一般的な濃度(具体的には、塩素濃度2〜3ppm)である場合には、塩素注入後に3時間〜8時間を置いてから、個々の生物粒子を藍藻、もしくはその他の藻類として計数する。
例えば、浄水場において浄水処理の対象となる水に上述した濃度の塩素(具体的には、塩素濃度2〜3ppm)を注入した後に、水中に含まれる生物粒子が放出する蛍光の時間経過に伴う強度変化の変化を観察すると、生物粒子が藍藻である場合は、その蛍光強度は低下傾向に転じた後、3〜8時間を経過した辺りからその傾向が鈍化して、蛍光強度の分布は概ね一定の値以下に収束する。
これに対し、生物粒子が緑藻である場合には、蛍光強度の低下速度が藍藻に比してはるかに緩慢で、その蛍光強度は時間経過とともに徐々に低下していき、最終的に分布が一定の値以下に収束するまでに塩素注入から20時間程度を要する。
このような蛍光強度の時間特性(注入する塩素の濃度に応じた時間特性)を踏まえ、塩素を注入した後に藍藻の有する蛍光の強度が前記所定の閾値を下回ってから、その他の藻類に残存する蛍光の強度が前記所定の閾値を下回るまでの所要時間内に対象となる水を計測することで、計測の精度を向上させることができる。
また、さらに好ましくは、塩素を注入して所定の時間を置いた水に330nm〜460nmの波長の光を照射する。
このような態様によれば、全ての藻類がその体内に有しているクロロフィルaを励起させ易く、ひいてはクロロフィルaによる蛍光が放出され易くなる。
そして、上述したいずれかの態様に係る生物粒子計数器を備える浄水監視システムは、河川や湖沼・ダム湖等の水源から取り入れた水を対象として浄水処理を行う浄水場にて、最初に塩素が注入された後の水が所定の時間を置いて次工程に移される水路上に生物粒子計数器が設置されている。
上記の浄水処理システムによれば、浄水場において浄水処理の途上にある水中の生物粒子の個数を藻類の種類(藍藻とその他の藻類)に分けてリアルタイムに計数することができる。これにより、浄水場において水中の生物粒子の個数を常時監視しつつ、その計数結果に応じて適切な対処を施すことが可能になる。
なお好ましくは、生物粒子計数器を浄水場においてろ過池の出口付近に設置するものとする。
浄水場における幾段に及ぶ浄水処理工程のうち、ろ過池は水に含まれる微細な浮遊物を砂や砂利の層を通して取り除き水をきれいにする役割を担う場所であり、塩素はこの凝集剤注入設備及びろ過池の直前で注入されるのが一般的である。
その一方で、藍藻による蛍光強度には上述したような時間特性があり、塩素を注入すると蛍光強度が低下し始めるが、注入後に所定の時間(注入する塩素の濃度に応じて異なる)を経過した辺りから低下速度が落ち着き始め、その後も蛍光強度に基づく分布状況に大きな変化は見られず、分布は概ね一定の値以下に収束する。
このように、凝集剤注入設備(第1塩素注入含む)で塩素注入された水がろ過池を通過するまでに要する時間と、藍藻による蛍光強度が一定の値以下に収束している時間帯であり、濁質の影響が少ないことから、ろ過池の出口付近に生物粒子計数器を設置すれば、好適なタイミングで生物粒子の計数を行うことができ、精度の高い結果を得ることが可能となる。
以上のように本発明の生物粒子計数方法及び生物粒子計数器によれば、対象となる水中に含まれる生物粒子を藍藻もしくはその他の藻類として、種類別にそれぞれの個数を計数することができる。これにより、例えば浄水場においては、その計数結果に応じて凝集剤や塩素等の薬品の注入量を適量に制御し、効率的な水質管理を実現することが可能となる。
また、蛍光受光系が1つのみで足り、複雑で高価な装置を必要としないため、それだけコストを抑制することができる。
浄水場における生物粒子検査に関するシステムについての説明図である。 生物粒子計数器の一実施形態を示す概略構成図である。 蛍光係数処理の手順例を示すフローチャートである。 データ収集処理の手順例を示すフローチャートである。 データ解析処理の手順例を示すフローチャートである。 解析処理の手順例を示すフローチャートである。 蛍光用受光装置からの出力信号の一例を示す図である。 解析結果出力処理の手順例を示すフローチャートである。 報知処理の手順例を示すフローチャートである。 生物粒子の計数結果の報知の一例を示す図である。 藍藻の試料に対する塩素注入後の時間経過に伴う蛍光及び散乱光の強度分布を示す散布図である。 緑藻の試料に対する塩素注入後の時間経過に伴う蛍光及び散乱光の強度分布を示す散布図である。 混合前の各試料の濃度及び等量混合試料の濃度予測値をまとめた表である。 混合試料に対する塩素注入後の時間経過に伴う蛍光及び散乱光の強度分布を示す散布図である。 混合試料に対する塩素注入後の時間経過に伴う実測値をまとめた表である。 生物粒子計数器を備えた浄水監視システムの一例を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照しながら説明する。
図1は、浄水場における水中の生物粒子を計測しつつ、浄水処理を行う浄水システム500について説明する概略図である。
図1に示すように、浄水場において浄水システム500による浄水処理の過程で塩素が注入された水は、生物粒子計数器550によってその中に含まれる生物粒子の検出が行われ、検出された生物粒子は一定の基準に基づいて藍藻として、或いは藍藻以外の藻類として夫々の個数が計数される。浄水システム800及び生物粒子計数器550について具体的に説明する。
〔浄水システム〕
浄水システム500は、例えば一般的な浄水場の設備を用いて実現することができる。公知のように一般的な浄水場では、河川や湖沼、ダム湖等の各種の水源502から取水し、その原水が沈砂池504、着水井504、さらに凝集剤注入設備508へと移行されて凝集剤と共に塩素が注入される。その後、水は沈殿池510に貯められた後、塩素注入設備512を通り塩素が注入(投入)される。塩素注入後の水はろ過池514にてろ過された後、別の塩素注入設備516を通り再び塩素が注入される。このようにして浄水処理された水は配水池518から送水装置520へ移され、給水管から各家庭へ送られる。
また浄水システム500は、凝集剤注入設備508及び2つの塩素注入設備512,516に付随して塩素供給装置530、塩素混入制御装置540及び中央監視制御装置560を備えている。このうち塩素供給装置530は、凝集剤注入設備508及び各塩素注入設備512,516にて注入される塩素(塩素水)の供給源である。供給された塩素水は、塩素混入制御装置540で供給量(流量)を調整され、凝集剤注入設備508及び各塩素注入設備512,516に送られる。また中央監視制御装置560は、塩素混入制御装置540による塩素の供給量を制御している。
本実施形態では、上記の浄水システム500において、例えばろ過池514の出口付近に生物粒子計数器550を設置し、ろ過池514を経て次工程に移行する水中の生物粒子数を自動的に計数している。生物粒子計数器550は、特に水中に含まれる藻類の個数をリアルタイムで計数し、その結果を中央監視制御装置560に適時(随時)通知する。これにより、水中に含まれる生物粒子数の変化に応じて中央監視制御装置560が塩素混入制御装置540による塩素供給量を動的に制御することができる。
以下、浄水システム500による浄水処理の流れについて概略的に説明する。
〔沈砂池〕
一般には、沈砂池504を備えていない浄水場が多いが、ここでは沈砂池504を備えていると想定する。沈砂池504では、水源502から取水した原水が溜められる。例えば、水源502が河川である場合、取水した原水には大きなゴミや砂、土等が含まれている。そこで、沈砂池504において原水を溜めている間に、大きなゴミが取り除かれ、砂や土が沈砂池504の底に沈められ、ある程度の浄化が行われる。大きなゴミや砂、土等が除去された水は、取水ポンプ等により次に着水井506に送水される。
〔着水井〕
着水井506では、沈砂池504から送水された水が溜められる。ここで、複数の水源502から原水が取水される場合、各水源に対応した複数の沈砂池504に溜められた水が、この着水井506により統合されることとなる。そして、この着水井506により汲み上げられた水の水位や水量に基づいて、次の凝集剤注入設備508に送水する水の流量が調整される。
〔凝集剤注入設備(第1の塩素注入設備含む)〕
凝集剤注入設備508では、主に着水井806から送水された水に凝集剤が注入される。また、消毒に用いられる次亜塩素酸ナトリウム(以下、塩素とする)等が注入される。したがって、水に含まれる生物粒子は注入された塩素の作用により減少することとなる。なお、凝集剤は、例えば、ポリ塩化アルミニウム等である。凝集剤との混合に撹拌装置を使用することで、細かい砂や土等を凝集剤と混合しやすくしている。また、撹拌速度を調整することで小さな汚れや濁り等といった種類別に凝集させ、沈みやすいかたまりにしている。凝集剤や塩素が混合された水は、次に沈殿池510に送水される。
〔沈殿池〕
沈殿池510では、凝集剤注入設備508において混合された凝集剤により、水中に含まれる小さな汚れや濁り成分が固まって沈殿する。この小さな汚れには、ゴミ、泥、有機物、プランクトン等が含まれる。固まりとなった沈殿物が除去された水や沈殿地510に溜まっている上澄水は、次に第1の塩素注入設備512に送水される。
〔第2の塩素注入設備〕
塩素注入設備512では、浄水処理の状況に応じて、沈殿池510から送水された水に、塩素供給装置530から塩素混入制御装置840を経て塩素が再び注入される。したがって、塩素注入設備512を通る水に含まれる生物粒子は注入された塩素の作用により減少することとなる。塩素消毒された水は、次にろ過池514に送水される。
〔ろ過池〕
ろ過池514では、塩素注入設備512から送水された水が砂や砂利の中を通され、さらに細かいゴミや濁り成分等がろ過される。ろ過された水は、次に第2の塩素注入設備516に送水される。
〔第3の塩素注入設備〕
塩素注入設備516では、浄水処理の状況に応じて、ろ過池514から送水された水に、塩素供給装置530から塩素混入制御装置540を経て塩素がさらに注入され、塩素消毒が行われる。したがって、塩素注入設備516を通る水に含まれる生物粒子はさらに減少することとなる。なお、送水される末端(例えば、家庭の蛇口)までの浄水の安全性を保つため、この塩素消毒は重要な浄水処理となり、人体に影響を及ぼす可能性のある生物粒子を殺菌するのに十分な量の塩素が注入されることとなる。最終的に塩素消毒された浄水は、次に配水池518に送水される。
〔配水池〕
配水池518では、塩素注入設備516から送水された浄水が溜められる。ここで、これまでの浄水処理により製造された浄水の水質が調査される。
〔送水装置〕
送水装置520は、例えば、加圧式の送水ポンプであり、配水池518に溜められる浄水を各地域の配水地に向け配水管を通して送り出す装置である。
以上のように、浄水システム500により、水源502から取水された原水は、複数の浄水処理工程を通じて浄水となる。そして浄水は、配水池518から送水装置520により送水され各家庭に供給される。
次に、浄水システム500による浄水処理工程での塩素消毒について具体的に説明する。
〔塩素供給装置〕
上記の塩素供給装置530は、例えば、貯蔵タンクであり、塩素消毒の際に使用される塩素を貯蔵している。図示した例では、1つの塩素供給装置530から凝集剤注入設備508及び2つの塩素注入設備512,516に分流して塩素の供給を行っているが、各浄水池に1つずつ塩素供給装置530を備えてもよい。塩素供給装置530から供給される塩素は配水管を通して個々の凝集剤注入設備508及び塩素注入設備512,516に供給されることとなるが、その配水管の途中に備えられる塩素混入制御装置540により注入される塩素の流量が調整される。
〔塩素混入制御装置〕
塩素混入制御装置540には、塩素供給装置530から各配水管を通して供給される塩素の流量を調整する調整バルブ542,544,546が備えられている。
例えば、調整バルブ542は塩素供給装置530から凝集剤注入設備508の間の配水管に接続され、調整バルブ546は塩素供給装置530から塩素注入設備516の間の配水管に接続される。調整バルブ542,546は、各配水管を流れる塩素の流量を調整する。なお、調整バルブ542,544,546による調整は、中央監視制御装置560からの指示に基づいて行われる。
以上のようにして、凝集剤注入設備508及び塩素注入設備512,516にて水に塩素が注入され、水の塩素消毒が行われることになる。
〔生物粒子計数器〕
生物粒子計数器550は、光検出システム1及び蛍光計数システム2を内蔵する他、操作部552,554、報知ディスプレイ556等を備えている。このうち光検出システム1は、対象物(ここでは水中の生物粒子)に光を照射し、対象物からの散乱光や蛍光を検出して検出信号を出力する機能を有する。また蛍光計数システム2は、光検出システム1から出力された検出信号に基づいて蛍光数をカウントする機能を有する。また、操作部552は例えば複数種類のボタンから構成されており、他の操作部554はコントローラから構成されている。コントローラとしての操作部554は、浄水管理者等が行う生物粒子計数器550への操作を受け付けることができる。また、報知ディスプレイ556は、例えば、入力情報、操作情報、計数結果等を表示することができる。生物粒子計数器550は、上記のようにろ過池514の出口付近に配置され、塩素注入設備512で塩素が注入されたのちろ過池514を通過してきた水の一部を分流し、その分流した水に含まれる生物粒子数、具体的には藍藻及びその他の藻類の個数を計数する。
〔分流装置〕
分流装置570は、例えば、ろ過池514の出口付近から水を分流して生物粒子計数器550に導く配水管の他、必要に応じて吸引ポンプ(図示しない)や配水管内の流量を調整する流量調整バルブ等(図示しない)により構成される。そして、生物粒子計数器550により検査された水は、図示しない排水管から排水される。なお、吸引ポンプ、流量調整バルブ等を必要とする場合は、それらを生物粒子計数器550の排水管に設けるとよい。これにより、例えば生物粒子計数器550に安定して水を導けない場合であっても、容易にその調整が可能となる。
次に、生物粒子計数器550の構成要素及び生物粒子の有無の判定、藍藻及び藍藻以外の藻類の計数等について具体的に説明する。
図2は、一実施形態の生物粒子計数器の構成を概略的に示す図である。
図2に示すように、生物粒子計数器550は主に、上記の光検出システム1及び蛍光計数システム2から構成されている。これらシステム1,2により、水中の対象物のうち生物粒子(例えば、微生物等)を検出及び計数することができる。
なお、本実施形態における検出(計数)可能な生物粒子は、例えば、粒径0.1μm〜数100μmの大きさの生物粒子であり、具体的には、藻類などの植物プランクトンである。また、生物粒子に照射する光は紫外線領域から青色の可視光領域にあり、植物プランクトンの体内(細胞内)に存在する代謝に必要となる物質(クロロフィル等)から発せられる蛍光を指標として検出する。
〔光検出システム〕
光検出システム1は、例えば、発光装置10、照射光学レンズ系20、対象流動装置30、第1集光光学レンズ系40、遮光装置50、散乱光選択光学装置60、遮光壁65、蛍光選択光学装置70、第2集光光学レンズ系80、蛍光用受光装置90、第3集光光学レンズ系100、散乱光用受光装置110から構成されている。これらの構成要素により、対象物に光を照射し、対象物からの散乱光や蛍光を検出することができる。以下、各構成要素について具体的に説明する。
〔発光装置(照射手段)〕
発光装置10は、例えば、半導体レーザーダイオード(半導体LED素子を含む。以下、レーザーダイオードとする)から構成されている。レーザーダイオード10によりレーザー光が発振され、生物粒子を含む水に照射される。レーザーダイオード10が発振するレーザー光の波長は、生物粒子の細胞内に存在する蛍光を発することができる物質(以下、蛍光物質とする)に対応して決定される。ここで、蛍光物質は、照射される光のエネルギーを吸収して励起状態に遷移しやすい励起波長を有している。その励起波長はその物質によって異なっており、さらに、励起状態から基底状態に戻る際に放出する蛍光の波長も蛍光物質によって異なっている。クロロフィルaの励起波長スペクトルは約430nmの波長をピークにした分布をしており、クロロフィルaを励起させるために照射するレーザー光の波長は330nm〜460nmが適している。
したがって、多くの蛍光を生物粒子から放出させるために、照射されるレーザー光の波長は励起波長に対応して決定され、本実施形態では405nmの波長を有するレーザー光がレーザーダイオード10から発振されるものと想定する。この405nmの波長を有するレーザー光を照射することにより、クロロフィルaによる蛍光が生物粒子から放出されることになる。
〔照射光学レンズ系〕
照射光学レンズ系20は、例えば、複数種類の光学レンズから構成されている。例えば、コリメーターレンズ、両凸レンズ、シリンドリカルレンズから構成されており、発光装置10から発振されたレーザー光を平行光線に調整し、対象物に照射している。
〔対象流動装置〕
対象流動装置30(フローセル)は、例えば、合成石英やサファイア等で作成された中空の四角柱の筒部32から構成され、対象物(生物粒子35又は非生物粒子37)を含んだ水33が下から上(又は上から下)に流動する構造をしている。発光装置10から発振されたレーザー光31は、筒部32の水が流動する中空領域に照射されて検出領域が形成される。
この検出領域において、レーザー光31がフローセル30内を流動する水33の分子や対象物(生物粒子35又は非生物粒子37)と相互作用を起こすこととなる。
生物粒子35に入射するレーザー光31の波長が405nmであるので、生物粒子35からの散乱光も405nmの波長で放出されることとなる。そして、レーザー光31が生物粒子35の細胞内のクロロフィルaによって吸収されると、630nm〜710nmの波長域にある蛍光が放出される。ここで、生物粒子35から放出される散乱光又は蛍光は、周囲に放出されることとなる。
なお、非生物粒子37に入射したレーザー光31による散乱光は、生物粒子35から放出される散乱光と同様である。
このように、生物粒子35や非生物粒子37とレーザー光31とが相互作用することにより、生物粒子35や非生物粒子37からの散乱光、又は生物粒子35からの蛍光が放出される。そして、それらの光は複数の集光レンズ系や波長選択光学装置を経て受光装置により検出されることになる。ここで、散乱光の強度すなわち散乱光の光量は、生物粒子35や非生物粒子37の大きさに依存し、大きいほど光量も多くなる。また、生物粒子35からの蛍光は、生物粒子35の細胞内のクロロフィルaの量だけでなく、レーザー光31の光量(強度)にも依存し、レーザー出力を高めてフローセル30に多くのレーザー光31を照射すれば、生物粒子35や非生物粒子37からの散乱光、生物粒子35からの蛍光も増加することとなる。
〔遮光装置〕
遮光装置50は、例えば、レーザートラップから構成されている。このレーザートラップ50は、レーザーダイオード10から発振され、フローセル30内で相互作用を起さずに通過したレーザー光31を遮光する。遮光することで、その通過したレーザー光31が様々な場所で反射などを起こして、生物粒子35による散乱光や蛍光の検出のノイズとなることを抑制する。
〔第1集光光学レンズ系〕
第1集光光学レンズ系40は、例えば、複数の光学レンズから構成されている。この第1集光光学レンズ系40は、レーザー光31の進行方向(光軸)に対して約90度の角度の位置に設置される。この第1集光光学レンズ系40により、フローセル30内における生物粒子35や非生物粒子37からの散乱光及び生物粒子35からの蛍光が集光される。なお、これら生物粒子35からの側方散乱光及び蛍光をなるべく多く集光するために、レンズ口径は大きい方が好ましく、生物粒子35からの散乱光や蛍光を検出する検出装置が備えられる位置(距離)に対応して決定される。
〔散乱光選択光学装置〕
散乱光選択光学装置60は、例えば、ダイクロイックミラーから構成されている。本実施形態のダイクロイックミラー60は、410nmよりも長い波長の光を透過させ、410nmよりも短い波長の光を反射させる。このように光の波長で分離する基準となる特定の波長をカットオフ波長と称する。しがたって、フローセル30内で405nmのレーザー光31により散乱された生物粒子35や非生物粒子37からの散乱光の波長は主に405nmであるため、ダイクロイックミラー60により生物粒子35や非生物粒子37からの散乱光を反射することができる。そして、反射された生物粒子35や非生物粒子37からの散乱光は、次に第3集光光学レンズ系100に集光され、散乱光用受光装置110に結像されることとなる。
一方、フローセル30内を流動する生物粒子35から放出されるクロロフィルaの蛍光については、約670nmをピークにした波長分布をしているため、ダイクロイックミラー60に反射されることなくほぼ全てが透過することとなる。そして、透過する蛍光は、次に蛍光選択光学装置70へ進むこととなる。
なお、ダイクロイックミラー60の基準となるカットオフ波長は410nmに限定されることなく、レーザー光31により散乱された生物粒子35又は非生物粒子37からの散乱光が反射され、生物粒子35からの蛍光が透過される波長であればよい。
〔蛍光選択光学装置〕
蛍光選択光学装置70は、例えば、光学フィルターから構成されている。本実施形態においては、約670nmをピークとする蛍光スペクトルを有するクロロフィルaを指標とするため、600nmの波長(カットオフ波長)よりも長い波長の光を透過させるロングパスフィルタ70が備えられている。
なお、蛍光選択光学装置70におけるカットオフ波長は600nmに限定されることなく、蛍光よりも短い波長であって生物粒子35から放出される蛍光以外の光(水によるラマン散乱光など)を十分に分離することができる波長を選択してもよい。また、蛍光選択光学装置70は、特定波長よりも長い波長を透過するロングパスフィルタに限定されることなく、特定の波長域の光を透過するといったバンドパスフィルタ、あるいは、特定波長よりも長い波長の光を透過させて特定波長よりも短い波長の光を反射させるダイクロイックミラーから構成されてもよい。
〔第2集光光学レンズ系〕
第2集光光学レンズ系80は、例えば、複数の光学レンズから構成されている。この第2集光光学レンズ系80は、ロングパスフィルタ70を透過してきた光の進行方向(光軸)上に設置される。この第2集光光学レンズ系80により、ロングパスフィルタ70を透過してきた蛍光35が集光され、蛍光用受光装置90の入射面に結像されることとなる。
〔蛍光用受光装置(受光手段)〕
蛍光用受光装置90は、例えば、半導体受光素子(フォトダイオードPhoto Diode:PD)又はフォトダイオードよりも感度のよい光電子増倍管(フォトマルチプライヤーチューブPhoto Multiplier Tube:PMT)から構成されている。これらフォトダイオードやフォトマルチプライヤーチューブ(以下、フォトマルとする)は受光した光を電流にし、受光した光量に応じた電流を出力する。なお、受光した光の光量によって出力する電流の大きさが変化し、受光した光の光量が多ければ多いほど、電流の大きさが大きくなる。なお、フォトマル90から出力される電気信号(出力電流に応じた電圧値)は、次に蛍光計数システム2に入力される。
〔遮光壁〕
遮光壁65は、ダイクロイックミラー60の透過側からフォトマル90までの光路を囲う筒状の構造物から構成されている。この遮光壁65により、ダイクロイックミラー60を透過してきた光(蛍光)以外の光がフォトマル90に入射することを防ぐことができる。例えば、対象物からの散乱光や水によるラマン散乱光が光検出システム1内で反射して、この光路に回り込まないように遮蔽することができる。図示していないが、ダイクロイックミラー60の反射側から散乱光用受光装置110までの光路などにも同様に遮光壁を設けてもよい。
〔第3集光光学レンズ系〕
第3集光光学レンズ系100は、例えば、複数の光学レンズから構成されている。この第3集光光学レンズ系100は、ダイクロイックミラー60によって反射された光の進行方向(光軸)上に設置される。
〔散乱光用受光装置〕
散乱光用受光装置110は、例えば、フォトダイオード又はフォトマルから構成される。ここで、散乱光用受光装置110に入射する光は、ダイクロイックミラー60により反射された410nmより短い波長の光であって、具体的には、フローセル30内を流動する生物粒子35や非生物粒子37により散乱された散乱光である。これら生物粒子35や非生物粒子37による散乱光は、生物粒子35から放出される蛍光よりも光量が多いため、フォトマルではなく安価なフォトダイオードでも十分に検出することができる。本実施形態においては、このフォトダイオード110が備えられ、ダイクロイックミラー60により反射された生物粒子35や非生物粒子37による散乱光を受光する。フォトダイオード110が受光した光は、その光量に応じた電気信号に変換され、その電気信号がフォトダイオード110から出力されることとなる。フォトダイオード110からの出力信号は、次に蛍光計数システム2に入力される。
上記のように生物粒子計数器550は、例えば浄水場において最初の塩素注入設備(凝集剤注入設備508)により水に対して塩素が注入された(注入工程)後、ろ過池514に貯められた状態で6〜8時間程度を置いた(待機工程)後の水を対象として計数を行う。このため、光検出システム1による光の照射と受光(受光工程)は、待機工程を経た後の水に対して行われる。そして蛍光計数システム2は、光検出システム1から出力された信号に基づき、藍藻及びその他の藻類に分けて生物粒子を計数する(計数工程)。
〔蛍光計数システム(計数手段)〕
蛍光計数システム2は、例えば、検出信号処理部200、データ処理部300、報知部400から構成されている。また、図3は、蛍光計数処理の手順例を示すフローチャートである。以下の説明により、生物粒子計数器550を用いた生物粒子計数方法の詳細についても明らかとなる。
検出信号処理部200は、例えば、光検出システム1からの出力信号、すなわち、蛍光用受光装置(フォトマル)90からの出力信号と散乱光用受光装置(フォトダイオード)110からの出力信号をそれぞれ受信して増幅し、アナログ信号からデジタル信号へのA/D変換を行って、A/D変換後の信号を出力する処理等を行う(データ収集処理ステップS100)。
データ処理部300は、例えば、検出信号処理部200でA/D変換された蛍光信号(信号A)及び散乱光信号(信号B)を受信し、受信した信号A及び信号Bに基づいて生物粒子35が藍藻なのか、藍藻以外の藻類なのかを推定し(データ解析処理ステップS200)、藍藻及び藍藻以外の藻類の各個数の計数結果を出力する(解析結果出力処理ステップS300)等を行う。
報知部400は、例えば、データ処理部300により解析された結果を文字や音声によって知らせたり、他の機器などに報知信号を出力したりする(報知処理ステップS400)。
以下、各構成要素及びその処理について具体的に説明する。
〔検出信号処理部〕
検出信号処理部200は、例えば、蛍光用出力信号処理装置210と、散乱光用出力信号処理装置220から構成される。さらに、蛍光用出力信号処理装置210は、例えば、第1増幅器212、第1アナログ/デジタル変換器214から構成され、散乱光用出力信号処理装置220は、例えば、第2増幅器222、第2アナログ/デジタル変換器224から構成される。
〔データ収集処理〕
図4は、データ収集処理の手順例を示すフローチャートである。
まず、蛍光用出力信号処理装置210は、まず蛍光用受光装置(フォトマル)90から出力されたアナログ信号を受信し(出力信号受信処理ステップS110)、受信したアナログ信号を第1増幅器212が増幅する(出力信号増幅処理ステップS120)。そして、増幅されたアナログ信号を第1アナログ/デジタル変換器214がデジタル信号(信号A)に変換する(出力信号A/D変換処理ステップS130)。
同様に、散乱光用出力信号処理装置220は、まず散乱光用受光装置(フォトダイオード)110から出力されたアナログ信号を受信し(出力信号受信処理ステップS110)、受信したアナログ信号を第2増幅器222が増幅する(出力信号増幅処理ステップS120)。そして、増幅されたアナログ信号を第2アナログ/デジタル変換器224がデジタル信号(信号B)に変換する(出力信号A/D変換処理ステップS130)。
その後、デジタル信号に変換された信号A及び信号Bは蛍光用出力信号処理装置210及び散乱光用出力信号処理装置220から出力される(変換信号出力処理ステップS140)。出力された信号A及び信号Bは、次にデータ処理部300に入力される。
〔データ処理部〕
データ処理部300は、例えば、データ収集装置310、データ解析装置320、結果出力装置330から構成されている。また、データ収集装置310は、例えば、データを記憶するメモリ(RAM)から構成されている。
〔データ解析処理〕
図5は、データ解析処理の手順例を示すフローチャートである。
まず、データ処理部300は、蛍光用出力信号処理装置210及び散乱光用出力信号処理装置220から出力される信号A及び信号Bを受信する(変換信号受信処理ステップS210)。受信された信号A及び信号Bは、そのままデータ収集装置(メモリ)310に記憶される。
次に、メモリ310に記憶された信号A及び信号Bを用いて解析処理(解析処理ステップS220)が行われる。
〔データ解析装置〕
データ解析装置320は、例えば、メモリ310に記憶されたデータ(信号A及び信号B)を解析する計算回路(例えば、CPU322)及び計算処理内容(プログラム、閾値データ)等が予め記憶されたメモリ324(ROM)から構成されている。
〔解析処理〕
図6は、解析処理の手順例を示すフローチャートである。
まず、メモリ310に記憶された信号Bに対し、CPU322により予めメモリ324に記憶された閾値データ(電圧値)との比較を行う。具体的には、信号Bの電圧値が閾値TB1以上か否かが判定される(ステップS222)。信号TB1の電圧値が閾値B以上であると判定された場合(ステップS222:Yes)、散乱光用受光装置フォトダイオード110に生物粒子35又は非生物粒子37からの散乱光が入射し検出されたことを表している。一方、信号Bの電圧値が閾値TB1以上でないと判断された場合(ステップS222:No)、入射した散乱光を発した生物粒子35又は非生物粒子37は検出対象外の粒子であることを表しており、何もせずに解析処理を終了する。
次に、メモリ310に記憶された信号Aに関して、CPU322により予めメモリ324に記憶された閾値データ(電圧値)と比較される。具体的には、信号Aの電圧値が閾値T以上か否かが判定される(ステップS223)。信号Aの電圧値が閾値T以上であると判定された場合(ステップS223:Yes)、蛍光用受光装置90に生物粒子35からの蛍光が入射し検出されたことを表している。一方、信号Aの電圧値が閾値T以上でないと判断された場合(ステップS223:No)、対象外の粒子であることを表しており、何もせずに解析処理を終了する。次に、記憶された信号Aの電圧値が閾値T以下か否かが判定される(ステップS224)。信号Aの電圧値が閾値T以下であると判定された場合(ステップS224:Yes)、蛍光用受光装置フォトマル90に入射し検出された蛍光が藍藻により放出されたと推定されるものであることを表しており、藍藻フラグをONにする処理が行われる(ステップS226)。一方、信号Aの電圧値が閾値T以下でないと判定された場合(ステップS224:No)、蛍光用受光装置フォトマル90に入射し検出された蛍光が藍藻以外の藻類により放出されたと推定されるものであることを表しており、その他フラグをONにする処理が行われる(ステップS228)。
なお、解析処理によってONにセットされた藍藻フラグ及びその他フラグのフラグ信号は、次に結果出力装置330に送信される。
上記解析処理について、蛍光用受光装置及び散乱光用受光装置から出力された信号A及び信号Bに基づいて、放出された蛍光が藍藻によるものであるか、もしくは藍藻以外の藻類によるものであるかの判定をどのように行っているのかを、以下でより具体的に説明する。
〔蛍光用受光装置及び散乱光用受光装置からの出力信号の一例〕
図7は、蛍光用受光装置及び散乱光用受光装置からの出力信号の一例を示す図である。
図7中の上段に示される信号は、蛍光用受光装置のフォトマル90から出力された検出信号に対応する信号Aの時間変化分布である。また、図7中の下段に示される信号は、散乱光用受光装置のフォトダイオード110から出力された検出信号に対応する信号Bの時間変化分布を示している。ここで、上下段ともに縦軸は信号A,信号Bそれぞれの光強度を示し、このうち上段には信号Aについての2つの閾値T,Tを、また、下段には信号Bについての2つの閾値TB1,TB2を合わせて示している。また、上下段ともに横軸は時刻を示し、右に進むほど時間が経過していることを示している。なお、図7中の上下段に示されている信号A及び信号Bの分布は、タイミング調整された分布であると想定する。
例えば、信号Bについては閾値TB1を設定し、信号Aについては閾値T,Tを設定した場合の各時点における解析処理を追跡してみる。時刻t1に受信した信号Bの電圧値は閾値TB1より大きいため、データ解析装置320のCPU322は、信号Bの電圧値が閾値TB1以上であると判定する(ステップS222:Yes)。すなわち、時刻t1に、散乱光用受光装置のフォトダイオード110に生物粒子35又は非生物粒子37からの散乱光が入射し検出されたことを意味する。
また、これと同じタイミングで受信した信号Aの電圧値は閾値Tより大きいため、CPU322は蛍光が生物粒子のものであると判定し(ステップS223:Yes)、かつ閾値Tより小さいため、CPU322は、信号Aの電圧値が閾値T以下であると判定し(ステップS224:Yes)、藻類フラグをONにセットする(ステップS226)。これにより、時刻t1に蛍光用受光装置のフォトマル90に入射し検出された蛍光は、藍藻により放出されたものとして処理される。
さらに時刻t4に受信した信号Bの電圧値は閾値TB1より大きいため、データ解析装置320のCPU322は、信号Bの電圧値が閾値TB1以上であると判定する(ステップS222:Yes)。また、同じタイミングで受信した信号Aの電圧値は閾値Tより大きいため、CPU322は蛍光が生物粒子のものであると判定し(ステップS223:Yes)かつ閾値Tより大きいため、CPU322は、信号Aの電圧値が閾値T以下ではないと判定し(ステップS224:No)、その他フラグをONにセットする(ステップS228)。これにより、時刻t4に蛍光用受光装置のフォトマル90に入射し検出された蛍光は、藍藻以外の藻類により放出されたものとして処理される。
このようなメカニズムにより、信号A及び信号Bにより、各受光装置に入射した生物粒子35の存在を検出し、その生物粒子35を藍藻であるか、もしくは藍藻以外の藻類であるものとして判定することができる。
ここで、信号A及び信号Bの大きさは各受光装置90,110に入射する光量に対応しており、散乱光の強度は生物粒子35又は非生物粒子37の大きさに対応している。したがって、信号Aの大きさに基づいて藍藻であるか否かを判定することの他に、信号Bの大きさに基づいて生物粒子35又は非生物粒子37の大きさを測定することも可能である。
例えば、生物粒子35の大きさ(0.3μm以上、0.5μm以上、…)に対応する複数の閾値(TB1、TB2、…)が予めメモリ324に記憶されていると想定した場合に、時刻t5の信号Bは、閾値TB1より大きく、かつ、閾値TB2より小さいことから、生物粒子35の大きさは0.3μm〜0.5μmであると測定することもできる。これらの閾値TB1,TB2は所望により決めればよい。また所望により、生物粒子の大きさに対応するフラグを別途設けてもよい。
本実施形態では、変換信号受信処理(図5中、ステップS210)で受信した信号A及び信号Bをデータ収集装置310に記憶し、記憶されたデータに対して解析処理(図5中、ステップS220)を行っているが、受信した信号を記憶することなく、これらを各閾値(T,T,TB1,TB2)と逐次比較することにより、生物粒子35が藍藻であるか否かの判定を行ってもよい。図7に示す例では、全てのタイミングで信号Aが閾値Tを超えているが、非生物粒子37の場合、その信号Aの電圧値は閾値Tより小さくなるので、非生物粒子37を生物粒子35として計数してしまうことはない。
なお、個々の生物粒子を信号Aの電圧値が閾値T以下ならば藍藻として判定し、閾値Tより大きいならば藍藻以外の藻類として判定することの根拠については、さらに詳しく後述する。
上記のように藍藻フラグ又はその他フラグがONにセットされると、次に解析結果出力処理(図3中、ステップS300)により生物粒子35の計数処理が行われる。
〔結果出力装置〕
解析結果出力装置330は、データ解析装置320により解析された生物粒子35の個数を計数し、その計数値を報知部400に送信する装置である。
〔解析結果出力処理〕
図8は、解析結果出力処理の手順例を示すフローチャートである。
まず、解析結果出力装置330は、まずデータ解析装置320よりフラグ信号(藍藻フラグ又はその他フラグ)を受信する。そして、藍藻フラグがONにセットされているか否かを判定する(ステップS310)。藍藻フラグがONである場合(ステップS310:Yes)、検出された生物粒子35が藍藻であるとして、藍藻カウント数を1加算する(ステップS320)。そして、藻類カウント数を報知部400に送信する(ステップS330)。
藍藻フラグがONでない場合(ステップS310:No)は、その他フラグがONにセットされているか否かを判定する(ステップS340)。その他フラグがONである場合(ステップS340:Yes)、検出された生物粒子35が藍藻以外の藻類であるとして、その他カウント数を1加算する(ステップS350)。そして、その他カウント数を報知部400に送信する(ステップS360)。
その他フラグがONでない場合(ステップS340:No)は、何もせずに解析結果出力処理を終了する。
ここで、図示していないリセットボタンやスタートボタンが押下された場合に、カウント数をリセットする処理をステップS310の前に実行してもよい。また、受信したフラグ信号(大きさフラグ)に基づいて、生物粒子35の大きさ別に生物粒子35の計数を行ってもよい。
〔報知部〕
報知部400は、例えば、表示装置410、スピーカ420から構成されている。
〔報知処理〕
図9は、報知処理の手順例を示すフローチャートである。
報知部400は、まず結果出力装置330により送信されたカウント数を受信する(ステップS410)。次に、受信したカウント数を表示装置410に表示して、生物粒子計数結果の表示を更新する(ステップS420)。表示装置410への表示は、藍藻及びその他の藻類の個数を生物粒子の粒径の大きさ別に行ってもよい。また、カウントを1ずつ増加させるような表示形態でもよく、所定の時間毎(例えば、5秒間隔)に更新されたカウント数を表示する形態でもよい。
また、報知部400は、スピーカ420から報知音を出力する(ステップS430)。報知音については、計数値の増加頻度に対応して出力態様(報知音の出力回数、報知音の高低等)を変化させてもよい。なお、これらの報知形態の他にも、報知部400が例えば外部出力端子を備え、端子を通して別の装置にデータを出力してもよい。
図10は、生物粒子35の計数結果を報知する表示装置及びスピーカの一例を示す図である。この例では、表示装置として表示パネル410及びスピーカ420を備えるのとする。このうち表示パネル410は、生物粒子35の種類及び大きさ別に計数結果を報知する。またスピーカ420は、生物粒子35が検出されたことを音で報知する。表示パネル410はさらに、例えば、生物粒子35の大きさの基準を示す「サイズ(μm)」の表示部と、大きさ別に検出した藍藻及びその他の藻類の個数を示す「藍藻(個)」「その他(個)」の表示部からなる。
図10の例では、生物粒子35の大きさの基準を示す「サイズ(μm)」の表示部に予め2つの値「≧0.3」「≧0.5」が表示されている。このうち「≧0.3」の表示は、粒径0.3μm以上の生物粒子35の種類別のカウント数として藍藻が13183個、その他の藻類が6218個計数されたことが示されている。なお、各種表示の形態は所望により決めればよい。
〔藻類の種類を蛍光用受光装置からの出力信号の大きさに基づいて判定する根拠〕
データ処理部300のデータ解析装置320が行う解析処理(図5中、ステップS220)では、検出された個々の生物粒子について、蛍光用受光装置からの出力信号である信号Aの電圧値が閾値T以下ならば藍藻として、閾値Tより大きいならば藍藻以外の藻類として、種類別に個数を計数する旨は既に述べた通りである。このように信号Aの値に基づいて藻類の種類を判定する根拠について、以下に実測データを例示して詳しく説明する。
図11は、藍藻2種(シネココッカス及びミクロキスティス)の試料に対して塩素を注入した場合の時間経過に伴う蛍光及び散乱光の強度分布の時間経過による変化を示す散布図である。図11中(A)はシネココッカスについての変化を示し、図11中(B)はミクロキスティスについての変化を示す。いずれについても、混合によって塩素濃度を24ppmとした試料について、塩素注入時点を起点として、段階的に時間が経過した後の生物粒子による蛍光及び散乱光の強度を散布図により示している。ここで、散布図中にプロットされている各ドットは個々の生物粒子に該当する。また散布図中、その蛍光及び散乱光の強度変化により各ドットの位置が移動する。なお、蛍光及び散乱光の強度が測定限界(上限)を超える場合、当該ドットを各軸の上限(右端及び上端)線上にプロットした(以降の図12,図14も同様)。
図11中〔塩素注入前〕の散布図を見ると、塩素注入前の散布度は種類により異なり、(A)のシネココッカスは散布度が大きく、蛍光強度が高い方にまで分布が広がっている。一方で(B)のミクロキスティスは、シネココッカスに比べると散布度が小さく、分布が蛍光強度の低い方に集中しており、蛍光強度の高い方にはあまり分布が見られない。
しかし、塩素を注入して10分経過後の分布を示す図11中(A)の〔10分〕の散布図では、塩素注入前の分布に比べると蛍光強度の高い方の分布はほとんど見られなくなっており、シネココッカスの蛍光強度が急速に低下していることが見て取れる。そして、図11中(B)の〔10分〕の散布図によれば、ミクロキスティスの分布は塩素注入前よりは多少拡散した様子が見られるものの、こちらも蛍光強度の高い方にはほとんど分布していないことが分かる。
図11中(A)の〔20分後〕及び(B)の〔20分後〕の散布図によれば、生物粒子の蛍光強度がさらに弱まって、シネココッカス、ミクロキスティス共に、分布がより下方に密集していることが分かる。さらに時間が経過した図11中(A)の〔30分後〕及び(B)の〔30分後〕の散布図では、各々の10分前の分布と比べてさほど大きな変化は見られない。シネココッカス、ミクロキスティスともに、分布が散布図の下方に位置し、生物粒子の蛍光強度が一定の値以下に収束している。
こうした散布図の変化から明らかなように、藍藻の蛍光強度は、塩素を注入すると急速に強度が低下し始めた後、約20分を過ぎた辺りから強度の低下速度が鈍化して、蛍光強度の分布がある一定の値以下に収束するという時間特性を有していることが分かる。
次に図12は、混合によって塩素濃度を24ppmとした緑藻(クロレラ)の試料の場合の時間経過に伴う蛍光及び散乱光の強度分布を示す散布図の変化を示している。
図12中〔塩素注入前〕の散布図を見ると、蛍光強度の高い方に多くのドットが分布している一方、蛍光強度が低い方にはあまり分布しておらず、散布図の上側の密度が高い。塩素注入前の状態では、緑藻の蛍光強度は藍藻に比べて強いことが分かる。
図12中〔40分後〕の散布図では、塩素注入前に比べると分布が少し下に移動しており、時間の経過とともに蛍光強度が多少は低下したことが見受けられるが、この段階では依然として広範囲に分布が広がっている。さらに時間が経過した〔120分後〕の散布図では、散布図の下方に分布が密集しており、この段階では蛍光強度が一定の値以下に収束している。
このように、緑藻の蛍光強度は、藍藻の場合とは異なり、塩素を注入してから緩やかなスピードで徐々に低下していく。そして、藍藻の蛍光強度の低下速度が鈍化する塩素注入後約20分を超えた時点では、緑藻の蛍光強度はさほど低下していないことが分かる。
図13は、測定に用いた各試料に含まれる蛍光粒子の個数濃度をまとめた表である。
図13中(A)の表には、藍藻2種(シネココッカス及びミクロキスティス)並びに緑藻(クロレラ)の各試料10ml中に含まれる蛍光粒子の個数がまとめられている。例えば、シネココッカスの試料10ml中には、粒径0.3μm以上の蛍光粒子が26767個、粒径0.5μm以上の蛍光粒子が15710個含まれることを示している。
図13中(B)の表には、上述の3種類の試料を等量ずつ混合した10mlの混合試料に含まれる蛍光粒子の個数がまとめられている。混合試料に含まれる種類毎の蛍光粒子数は、同図中(A)の表に示された各試料中の蛍光粒子数の3分の1ずつであるとして計算されている。例えば、同図中(A)の表によれば、緑藻の試料10ml中には粒径0.3μm以上の蛍光粒子が19013個含まれており、同図中(B)の表から、混合試料にはこの3分の1に当たる6338個の緑藻の蛍光粒子が含まれることが分かる。また、混合試料中の藍藻2種の個数についても同様に算出されている。
なお、同図中(B)の表に示された個数は、混合試料に塩素を注入した後の時間経過に伴う蛍光強度の変化を観察する際に、藍藻及びその他の藻類の個数の予測値として機能する。
図14は、藍藻2種(シネココッカス及びミクロキスティス)並びに緑藻(クロレラ)の各試料を等量ずつ混合した場合の時間経過に伴う蛍光及び散乱光の強度分布の時間経過による変化を示す散布図である。
図14中〔塩素注入前〕の散布図は、3種類の各試料を等量ずつ混合した段階での生物粒子の分布であり、図11中(A),(B)及び図12の各々の〔塩素注入前〕の散布図においてサンプルデータを3分の1に減らした場合の図を重ね合わせた分布に近いと考えられる。この段階では散布度が大きく、生物粒子の分布は蛍光強度の高い方から低い方まで広範囲にわたっている。
塩素を注入してから20分が経過した図14中〔20分後〕の散布図では、依然として広範囲に分布している中で、散布図の下方すなわち蛍光強度の低い方に分布密度の高い箇所が見受けられる。これは、先に述べた藍藻の蛍光強度の時間特性によるものであって、注入した塩素の作用で藍藻の蛍光強度が急速に低下したことにより、蛍光強度が弱くなった粒子が集中してできた分布であると考えられる。一方、緑藻は、塩素の作用による蛍光強度の低下速度が藍藻よりも遅いため、この時点では蛍光強度があまり低下していないと考えられる。よって、この散布図からは、散布図の下方に分布が集中しているのが藍藻の蛍光粒子であり、その他の広範囲に分布しているのが緑藻の蛍光粒子である、との推定を下すことができる。
さらに時間が経過した図14中〔30分後〕の散布図は、〔20分後〕の散布図と比べてさほど大きな変化が見られない。またいずれの時点においても、散布図の下方に密集する分布は、蛍光強度が図中に示した一定の値(閾値T)以下に収まっている。
このように、塩素を注入してから20分が経過すると、藍藻であると推定される粒子の蛍光強度は一定の値(閾値T)以下に落ち着く。
そこで、蛍光強度が閾値T以下の粒子を藍藻であると推定し、蛍光強度が閾値Tを超える粒子を緑藻(藍藻以外の藻類)であると推定して、蛍光粒子の個数を計数した結果をまとめたのが図15の表である。
図15中(A)の表には、混合試料10ml中に含まれる粒径0.3μm以上の蛍光粒子数の予測値と値Tを基準として藍藻もしくは緑藻(藍藻以外の藻類)であると推定して計数した結果が、図15中(B)の表には、混合試料10ml中に含まれる粒径0.5μm以上の蛍光粒子に対して同図中(A)の表と同様に計数した結果が、それぞれまとめられている。
ここで「予測値」とした値は、図13中(B)の表に示した混合試料10ml中の蛍光粒子総数であり、一定の蛍光強度(閾値T)を境界として計数される蛍光粒子の予測数を意味する。蛍光強度が閾値T以下の粒子を藍藻と推定し、蛍光強度が閾値Tを超える粒子を緑藻(藍藻以外の藻類)と推定して計数した蛍光粒子の個数がもし予測値に近似していれば、この推定の妥当性が客観的に立証されることになる。そして、対象となる水に含まれる実際の蛍光粒子数及びその種類別の内訳が不明な状況下でも、閾値Tを基準とした推定に基づく種類別の計数を行うことにより、藻類の種類別個数を高い精度で把握することが可能となる。
そこで、上述した推定の妥当性を検証してみる。
混合試料への塩素注入前、及び塩素注入後に約10分間隔で蛍光粒子の蛍光強度を測定した結果を確認すると、図15中(A)及び(B)のいずれの場合においても、「塩素注入前」及び「10分後」の段階では、蛍光強度が値A以下であって藍藻として計数された個数、値Aを超えていて緑藻として計数された個数のいずれもが、予測値から大きく離れた値を示している。
しかし、「20分後」の段階になると、緑藻の個数が予測値に大幅に近づき、さらに時間が経過した「30分後」及び「40分後」の段階でも、個数に多少の変動は見られるものの、依然として予測値に近い値を示している。これは、「塩素注入前」及び「10分後」の段階では緑藻として計数されていた蛍光粒子の一部が、時間の経過とともに蛍光強度が閾値T以下に低下し、その後の段階では藍藻として計数されたためである。
一方、緑藻の個数が予測値に大幅に近づいた「20分後」及びそれ以降の「30分後」、「40分後」の段階における藍藻の個数は、緑藻と同様に安定した値の推移を見せており、予測値に近い値を示している。
したがって、この測定結果から、塩素を注入してから一定時間経過後については上述した推定の妥当性が立証された。すなわち、塩素の注入後の藍藻による蛍光強度の時間特性に基づいて求めた閾値Tを基準として、塩素を注入してから20分後、30分後、40分後に、蛍光強度が値T以下の蛍光粒子を藍藻として、閾値Tを超える蛍光粒子を緑藻(藍藻以外の藻類)として各個数を計数すれば、実測値に近い高精度な計数結果を得ることができるのである。
なお、ここでは藍藻及び緑藻についての実測データを例に挙げているが、塩素注入後の比較的短時間(20分〜40分)で蛍光強度が大幅に低下する時間特性は「藍藻」についてのみ顕著であり、緑藻をはじめとして珪藻などを含む「その他の藻類」については、おしなべて「藍藻」ほど顕著な時間特性を示さない。したがって本実施形態によれば、塩素注入後の所定時間経過後における生物粒子の蛍光強度に基づき、生物粒子が藍藻であるか、その他の藻類であるかを分けて計数することができる。
このように、本実施形態によれば、藍藻により放出される蛍光の強度の時間特性に着目し、浄水過程の水中に含まれる生物粒子35が放出する蛍光の強度に基づいて、個々の生物粒子35を藍藻として、もしくは藍藻以外の藻類としてそれぞれの個数を高精度に計数し、その結果を表示装置410に表示された文字やスピーカ420から出力される報知音によって知ることができる。また、報知部400が発する報知信号を他の機器に送信して連携することが可能となる。
〔生物粒子計数器を備えた浄水監視システム〕
次に、この生物粒子計数器550を備えた浄水監視システムの構成例(図1とは別の形態)について説明する。
図16は、生物粒子計数器を備えた浄水監視システムの構成例を示す図である。
上述した藍藻についての蛍光強度の時間特性を、浄水場における水質管理の場面で活用することができる。浄水場において、凝集剤注入設備508で塩素が注入された水は、沈殿池510を経由して塩素注入設備512を通り再度塩素が注入されて、ろ過池514に送水されることになる。沈殿池510及びろ過池514を通過するまでの時間は、凝集剤注入設備508からそれぞれ4〜5時間及び6〜8時間である。また、一般には浄水場で使用する塩素水の濃度は2〜3ppmである。その一方で、藍藻の蛍光は先述のような時間特性を有しており、浄水場での塩素水の濃度に換算すると、実験と同様の効果を得るためには塩素を注入してから3〜8時間が適していることになる。塩素注入後このような時間帯を経過するタイミングであれば、閾値Tを基準として藍藻及び緑藻(藍藻以外の藻類)を高精度に計数することができる。
よって、塩素が注入された水が沈殿池510やろ過地514を通過するタイミングと、計数が可能なタイミングとが一致していることを利用し、浄水システム500において生物粒子計数器550を沈殿池510やろ過池514の出口付近またはその後方に設置すれば、好適なタイミングで計数を行い、藍藻及び藍藻以外の藻類の各個数について精度の高い計数を行うことが可能となる。また、ろ過池514の通過後であれば、沈殿池510に比べ濁質がより少なくなりその影響もより低減するので、より高精度な計数が可能となる。
なお、生物粒子計数器550(図中符号550x,550y)の設置場所は、沈殿池510やろ過地514の後方に限定されず、塩素注入後に適切な時間が経過した水を分流して計数可能な場所に設置してもよい。例えば、凝集剤注入設備508は、水に混ざっている細かい砂や土等を固めて沈めるために凝集剤及び塩素を注入する場所である。凝集剤注入設備508で塩素が注入されて一定の時間を経過した水を分流できる場所に生物粒子計数器550を設置すれば、やはり藍藻及び藍藻以外の藻類の各個数について精度の高い計数を行うことが可能となる。
塩素注入設備512の後方に設置された生物粒子計数器550x又は凝集剤注入設備508の後方に設置された生物粒子計数器550yは、例えば有線/無線LAN等のネットワーク570を介して中央監視制御装置560と接続されている。生物粒子計数器550x、550yによる計数結果は、その報知部400によってネットワーク570を経由して中央監視制御装置560に送信される。
中央監視制御装置560は、受信した計数結果に基づいて、リアルタイムに塩素の供給量を決定し、その決定内容に基づいて塩素混入制御装置における各調整バルブ542、544、546の調整を行うことにより塩素混入を制御することができる。
このように、生物粒子計数器550を備えた浄水監視システムによれば、浄水処理工程の水に塩素が注入されてから所定の時間が経過した好適なタイミングで、生物粒子計数器550を用いて水中に存在する藍藻及び藍藻以外の藻類の粒子個数を計数することができる。また、生物粒子計数器550がネットワーク570を介して中央監視制御装置560と連携し、生物粒子計数器550による計数結果に応じて、凝集剤や塩素等の薬品の注入量を制御することにより、効率的浄水処理や水質な監視を実現することが可能となる。
なお、生物粒子計数器550は、浄水場に限定されることなく、水質の管理が必要となる他の場面においても利用可能である。例えば、藻類が繁殖する恐れがあり水質の監視及び浄水処理が必要となるプール等の施設において、消毒用の塩素を注入後に所定の時間が経過してから、生物粒子計数器550を用いることができる。
1 光検出システム
2 蛍光計数システム
10 発光装置(レーザーダイオード)
20 照射光学レンズ系
30 対象流動装置(フローセル)
35 生物粒子
37 非生物粒子
40 第1集光光学レンズ系
50 遮光装置(レーザートラップ)
60 散乱光選択光学装置(ダイクロイックミラー)
65 遮光壁
70 蛍光選択光学装置(ロングパスフィルタ)
80 第2集光光学レンズ系
90 蛍光用受光装置(フォトマル)
100 第3集光光学レンズ系
110 散乱用受光装置(フォトダイオード)
200 検出信号処理部
300 データ処理部
400 報知部
500 浄水システム
512 塩素注入設備
514 ろ過池
530 塩素供給装置
540 塩素混入制御装置
550 生物粒子計数器
560 中央監視制御装置
570 ネットワーク

Claims (10)

  1. 対象となる水に塩素を注入する注入工程と、
    前記塩素の注入後に所定の時間を置く待機工程と、
    前記待機工程を経た前記水に向けて所定の波長の光を照射し、前記光の作用により前記水に含まれる生物粒子が放出する蛍光を選択的に分離して受光する受光工程と、
    前記受光した蛍光の強度に基づいて個々の前記生物粒子を藍藻として計数するか、もしくはその他の藻類として計数する計数工程とを含み、
    前記所定の時間は、藍藻の有する蛍光の強度が所定の閾値を下回ってから、その他の藻類に残存する蛍光の強度が所定の閾値を下回るまでの所要時間内に設定されており、
    前記計数工程では、
    前記受光した蛍光の強度が前記所定の閾値以下である場合に前記生物粒子を藍藻として計数し、前記受光した蛍光の強度が前記所定の閾値を超える場合に前記生物粒子をその他の藻類として計数することを特徴とする生物粒子計数方法。
  2. 請求項に記載の生物粒子計数方法において、
    前記計数工程では、
    塩素の注入後の藍藻による蛍光強度の時間特性に基づき、前記所定の閾値が設定されることを特徴とする生物粒子計数方法。
  3. 請求項1又は2に記載の生物粒子計数方法において、
    前記待機工程では、
    注入する塩素の濃度に基づき前記所定の時間が決定されることを特徴とする生物粒子計数方法。
  4. 請求項1からのいずれかに記載の生物粒子計数方法において、
    前記受光工程で照射される光の前記所定の波長は、330nm〜460nmであることを特徴とする生物粒子計数方法。
  5. 注入後に所定の時間を置いた水を対象として所定の波長の光を照射する照射手段と、
    前記照射された光の作用により前記水に含まれる生物粒子が放出する蛍光を選択的に分離して受光する受光手段と、
    前記受光された蛍光の強度に基づいて個々の前記生物粒子を藍藻として計数するか、もしくはその他の藻類として計数する計数手段とを備え、
    前記所定の時間は、藍藻の有する蛍光の強度が所定の閾値を下回ってから、その他の藻類に残存する蛍光の強度が所定の閾値を下回るまでの所要時間内に設定されており、
    前記計数手段は、
    前記受光された蛍光の強度が前記所定の閾値以下である場合に前記生物粒子を藍藻として計数し、前記受光された蛍光の強度が前記所定の閾値を超える場合に前記生物粒子をその他の藻類として計数することを特徴とする生物粒子計数器。
  6. 請求項に記載の生物粒子計数器において、
    前記計数手段は、
    塩素の注入後の藍藻による蛍光強度の時間特性に基づき、前記所定の閾値が設定されることを特徴とする生物粒子計数器。
  7. 請求項5又は6に記載の生物粒子計数方法において、
    前記所定の時間は、
    注入する塩素の濃度に基づいて決定されることを特徴とする生物粒子計数器。
  8. 請求項からのいずれかに記載の生物粒子計数器において、
    前記照射手段は、
    330nm〜460nmの波長域にある光を照射することを特徴とする生物粒子計数器。
  9. 水源から取り入れた水を対象として浄水処理を行う浄水場にて、最初に塩素が注入された後の水が所定の時間を置いて次工程に移される水路上に請求項からのいずれかに記載の生物粒子計数器が設置されていることを特徴とする浄水監視システム。
  10. 請求項に記載の浄水監視システムにおいて、
    前記生物粒子計数器は、
    浄水場のろ過池の出口付近に設置されていることを特徴とする浄水監視システム。
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