JP5429724B2 - スペクトル幅狭窄化方法、および、光学素子ならびに光源装置 - Google Patents

スペクトル幅狭窄化方法、および、光学素子ならびに光源装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5429724B2
JP5429724B2 JP2012512858A JP2012512858A JP5429724B2 JP 5429724 B2 JP5429724 B2 JP 5429724B2 JP 2012512858 A JP2012512858 A JP 2012512858A JP 2012512858 A JP2012512858 A JP 2012512858A JP 5429724 B2 JP5429724 B2 JP 5429724B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
light
optical
pulsed light
value
light source
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2012512858A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2011136220A1 (ja
Inventor
典彦 西澤
泰之 小関
一良 伊東
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Osaka University NUC
Original Assignee
Osaka University NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Osaka University NUC filed Critical Osaka University NUC
Priority to JP2012512858A priority Critical patent/JP5429724B2/ja
Publication of JPWO2011136220A1 publication Critical patent/JPWO2011136220A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5429724B2 publication Critical patent/JP5429724B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02FOPTICAL DEVICES OR ARRANGEMENTS FOR THE CONTROL OF LIGHT BY MODIFICATION OF THE OPTICAL PROPERTIES OF THE MEDIA OF THE ELEMENTS INVOLVED THEREIN; NON-LINEAR OPTICS; FREQUENCY-CHANGING OF LIGHT; OPTICAL LOGIC ELEMENTS; OPTICAL ANALOGUE/DIGITAL CONVERTERS
    • G02F1/00Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics
    • G02F1/35Non-linear optics
    • G02F1/39Non-linear optics for parametric generation or amplification of light, infrared or ultraviolet waves
    • G02F1/395Non-linear optics for parametric generation or amplification of light, infrared or ultraviolet waves in optical waveguides
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B6/00Light guides; Structural details of arrangements comprising light guides and other optical elements, e.g. couplings
    • G02B6/02Optical fibres with cladding with or without a coating
    • G02B6/02214Optical fibres with cladding with or without a coating tailored to obtain the desired dispersion, e.g. dispersion shifted, dispersion flattened
    • G02B6/02219Characterised by the wavelength dispersion properties in the silica low loss window around 1550 nm, i.e. S, C, L and U bands from 1460-1675 nm
    • G02B6/02247Dispersion varying along the longitudinal direction, e.g. dispersion managed fibre
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02FOPTICAL DEVICES OR ARRANGEMENTS FOR THE CONTROL OF LIGHT BY MODIFICATION OF THE OPTICAL PROPERTIES OF THE MEDIA OF THE ELEMENTS INVOLVED THEREIN; NON-LINEAR OPTICS; FREQUENCY-CHANGING OF LIGHT; OPTICAL LOGIC ELEMENTS; OPTICAL ANALOGUE/DIGITAL CONVERTERS
    • G02F1/00Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics
    • G02F1/35Non-linear optics
    • G02F1/3511Self-focusing or self-trapping of light; Light-induced birefringence; Induced optical Kerr-effect
    • G02F1/3513Soliton propagation
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01SDEVICES USING THE PROCESS OF LIGHT AMPLIFICATION BY STIMULATED EMISSION OF RADIATION [LASER] TO AMPLIFY OR GENERATE LIGHT; DEVICES USING STIMULATED EMISSION OF ELECTROMAGNETIC RADIATION IN WAVE RANGES OTHER THAN OPTICAL
    • H01S3/00Lasers, i.e. devices using stimulated emission of electromagnetic radiation in the infrared, visible or ultraviolet wave range
    • H01S3/05Construction or shape of optical resonators; Accommodation of active medium therein; Shape of active medium
    • H01S3/06Construction or shape of active medium
    • H01S3/063Waveguide lasers, i.e. whereby the dimensions of the waveguide are of the order of the light wavelength
    • H01S3/067Fibre lasers

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Nonlinear Science (AREA)
  • Optics & Photonics (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Dispersion Chemistry (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Electromagnetism (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Plasma & Fusion (AREA)
  • Optical Modulation, Optical Deflection, Nonlinear Optics, Optical Demodulation, Optical Logic Elements (AREA)

Description

本発明は、パルス光のスペクトル幅を狭窄するスペクトル幅狭窄化方法、および、このスペクトル幅狭窄化方法を用いて入射光のスペクトル幅を狭窄して出力光として射出する光学素子、ならびに、スペクトル幅が狭窄されたパルス光を照射する光源に関する。
光計測や光エレクトロニクスの分野において、広帯域に波長を変えることができる波長可変光源の重要性が高まっている。
従来からの波長可変光源としての半導体レーザーは、可変できる波長帯域が利得帯域に制限されるために、大きく波長を変化させることはできなかった。また、回折格子を回転させて波長を変化させるなどの手段を用いることも提案されているが、この場合には機械的な掃引が必要となり、高速に波長を変換することができなかった。
このような課題を解決するために、光学系の調整をすることなく波長を変化させることができる光源として、フェムト秒(fs)オーダーの超短光パルスレーザー光源と、生成された超短光パルス波の波長特性を調整する調整器と、調整器で特性が調整された超短光パルス波が入射される光ファイバとを備えたものが提案されている(特許文献1)。
この特許文献1に記載の波長可変光源は、自己位相変調と波長分散の相互作用であるソリトン効果を用いるものであり、光ファイバ中で理想的なソリトンパルスとなっていく光パルスが光ファイバを伝搬することで、光ファイバのソリトン自己周波数シフト効果によってパルス波長が長波長側にシフトしていくことを利用するものである。そして、光ファイバの長さと光ファイバに入射させる超短光パルス波の強度を調整することで波長のシフト量をコントロールして、生成される超短光パルス波の中心波長を所望のものとすることができる。
特開2000−105394号公報
光断層計測や分光分析、光通信、非線形顕微鏡には、光源としてパルス光を照射するパルス光源が用いられている。このような光学装置の光源として用いられるパルス光源としては、広帯域に、かつ、高速度で波長を変化させることができるよう求められると共に、計測結果や分析結果の精度を向上させるために、照射されるパルス光のスペクトル幅が狭帯域であることが必要となる。
しかし、上記特許文献1に記載された従来の波長可変光源は、照射される光が超短光パルス光であることもあって、得られるパルス光のスペクトル幅は20nm程度となっていた。例えば、パルス幅がフェムト秒(fs)〜ピコ秒(ps)程度の超短光パルス波を、光断層装置の光源から照射されるパルス光として用いる場合には、測定精度などの観点から1nm程度のスペクトル幅であることが好ましく、上記特許文献1に記載の光源で得られるスペクトル幅20nmという数値は、高い測定精度を得る上では決して十分なものではなく、より狭いスペクトル幅を実現できる光源が求められていた。
また、光断層計測装置をはじめとする光学装置に用いられるパルス光としては、出力パルス光のノイズ成分である台座成分(ペデスタル成分)を小さくした、きれいな出力パルス波を得る必要がある。このため、入力パルス波のスペクトル幅を狭窄するに当たっては、スペクトル幅の狭窄化度合いが十分高いことだけではなく、得られた狭窄化パルス波が、ノイズの少ないきれいな波形であることが重要となる。
本発明は、上記した従来の課題を解決して、波長可変光源から照射された超短光パルス波にも適応することができ、ノイズ成分が少ない狭スペクトル幅の出力パルス波を得ることができるスペクトル幅狭窄化方法、および、この狭窄化方法を用いた光学素子、光源装置を得ることを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のスペクトル幅狭窄化方法は、入射パルス光に対する二次分散値(β2)の平均値が負であり、かつ、前記二次分散値(β2)の絶対値が前記入射パルス光の伝搬方向に増加する分散特性を備えた光導波手段を用いて、前記光導波手段の内部で前記入射パルス光にソリトン効果を生じさせることにより、前記入射パルス光のスペクトル幅を狭窄して出力パルス光とすることを特徴とする。
また、本発明の光学素子は、入射パルス光に対する二次分散値(β2)の平均値が負であり、かつ、前記二次分散値(β2)の絶対値が前記入射パルス光の伝搬方向に増加する分散特性を備え、前記入射パルス光にソリトン効果を生じさせてそのスペクトル幅を狭窄して出力パルス光とすることを特徴とする。
さらに、本発明の光源装置は、パルス光を生成するパルス光生成装置と、前記生成されたパルス光の強度を調整するアンプと、上記本発明にかかる光学素子とを備え、スペクトル幅が狭窄化されたパルス光を放射することを特徴とする。
本発明のスペクトル幅狭窄化方法によれば、所定の分散特性を有する光導波手段を用いることで、入射パルス光にソリトン効果を生じさせて、高い狭窄化率で狭窄化された、かつ、ノイズとなる台座成分の小さな出力パルス光を得ることができる。
また、本発明の光学素子は、上記本発明のスペクトル幅狭窄化方法を用いて、広い波長範囲の入射パルス光を、高い狭窄化率で狭窄化した、かつ、ノイズとなる台座成分の小さな出力パルス光とすることができる。
さらに、本発明の光源装置は、スペクトル幅が狭く、かつ、ノイズ成分の小さなソリトンパルス光を出力パルス光として照射することができる。
本発明のスペクトル幅狭窄化方法を説明するための図である。 本発明の光学素子の実施形態にかかる櫛状分布ファイバを形成した、通信用光ファイバの光学特性を示す図である。図2(a)は波長と二次分散値(β2)の関係を示し、図2(b)は波長と非線形係数の関係を示す。 本発明の光学素子の実施形態にかかる、櫛状分布ファイバにおける分散特性の変化を説明するための図である。図3(a)は二次分散値(β2)の絶対値が小さい状態を示し、図3(b)は二次分散値(β2)の絶対値が中間的な大きさの場合を示し、図3(c)は二次分散値(β2)の絶対値が大きな値の場合を示す。 本発明の光学素子の実施形態にかかる櫛状分布ファイバの概略構成を示すイメージ図である。 本発明の光学素子の実施形態にかかる櫛状分布ファイバの二次分散値(β2)特性を示す図である。 本発明の光学素子によってスペクトル幅が狭窄化された、超短光パルス波の入射パルス光と出力パルス光のスペクトル幅を示す図である。 本発明の光源装置の第1の実施形態にかかる狭スペクトル幅パルス光を照射する光源装置の概略構成を示すブロック図である。 本発明の光源装置の第2の実施形態としての、波長可変で狭スペクトル幅のパルス光が得られる光源装置の概略構成を示すブロック図である。 本発明の光源装置の第2の実施形態にかかる、波長可変で狭スペクトル幅のパルス光が得られる光源装置における、スペクトル幅狭窄化の状況を示す図である。図9(a)がパルス光生成装置で生成されたパルス光を示し、図9(b)が光源装置からの出力パルス光を示す。 本発明の光源装置の第2の実施形態にかかる、波長可変で狭スペクトル幅のパルス光が得られる光源装置から照射された出力パルス光の、パルス中心波長と、スペクトル幅および台座成分抑圧比との関係を示す図である。
本発明のスペクトル幅狭窄化方法は、入射パルス光に対する二次分散値(β2)の平均値が負であり、かつ、前記二次分散値(β2)の絶対値が前記入射パルス光の伝搬方向に増加する分散特性を備えた光導波手段を用いて、前記光導波手段の内部で前記入射パルス光にソリトン効果を生じさせることにより、前記入射パルス光のスペクトル幅を狭窄して出力パルス光とする。
このようにすることで、光導波手段内を伝搬するパルス光は、ソリトンパルスの特性を保とうとするソリトン効果によって、スペクトル幅が小さくなっていく。したがって、入射パルス光の中心波長やパルス強度に合わせて、光導波手段における二次分散値(β2)の絶対値の増加度合いを最適化することで、高い狭窄率を実現し台座成分が抑えられた出力パルス光を得ることができる。
また、本発明のスペクトル幅狭窄化方法において、前記光導波手段として光ファイバを用いることが好ましい。光ファイバは、入射パルス光を効率よく伝搬することができ、所望の分散特性を比較的容易に付与することができる。
さらに、前記光導波手段が、前記二次分散値(β2)の異なる光ファイバを複数本接続して形成されていることが好ましい。二次分散値(β2)の異なる複数本の光ファイバを接続することで、所望の分散特性を持った光導波手段を1本の光ファイバで実現するよりも容易に得ることができる。
さらにまた、前記光導波手段が、互いに異なる前記二次分散値(β2)を有する複数本の光ファイバを、それぞれの長さの割合が異なるように組み合わせて順次接続することで、前記二次分散値(β2)の絶対値が前記入射パルス光の伝搬方向に増加する分散特性を有するように構成されていることが好ましい。このようにすることで、特殊な二次分散値(β2)を有する光ファイバを改めて製造することなく、市販の光ファイバを用いて所望の分散特性を有する光導波手段を実現することができる。
また、本発明の光学素子は、入射パルス光に対する二次分散値(β2)の平均値が負であり、かつ、前記二次分散値(β2)の絶対値が前記入射パルス光の伝搬方向に増加する分散特性を備え、前記入射パルス光にソリトン効果を生じさせてそのスペクトル幅を狭窄して出力パルス光とすることを特徴とする。
このようにすることで、本発明のスペクトル幅狭窄化方法を適用できる光学素子として、高い狭窄率を実現し台座成分が抑えられた出力パルス光を得ることができる。
また、本発明の光学素子においても、前記二次分散値(β2)の異なる複数本の光ファイバを、前記入射パルス光の伝搬方向に接続して形成されていることや、互いに異なる前記二次分散値(β2)を有する複数本の光ファイバを、それぞれの長さの割合が異なるように組み合わせて順次接続することで、前記二次分散値(β2)の絶対値が前記入射パルス光の伝搬方向に増加する分散特性を有するように構成されていることにより、所望の分散特性を有する光学素子を容易に実現することができる。
さらに、本発明の光源装置は、パルス光を生成するパルス光生成装置と、前記生成されたパルス光の強度を調整するアンプと、本発明にかかる光学素子とを備え、スペクトル幅が狭窄化されたパルス光を放射する。
このようにすることで、本発明のスペクトル幅の狭窄化方法を適用して、スペクトル幅が狭く、かつ、ノイズ成分の小さなソリトンパルス光を出力パルス光として照射できる光源装置を実現することができる。
さらに、前記パルス光生成装置が、短パルスレーザー光源と、光強度調整器と、波長可変光ファイバとを有し、前記光強度調整器により前記波長可変光ファイバに入射される短パルスレーザー光の強度を調整することで、生成されるパルス光の波長を変更できる波長可変光源であることが好ましい。このようにすることで、広帯域にかつ高速で波長を可変することができる狭スペクトル幅光源を実用化することができる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
(スペクトル幅狭窄化方法)
最初に、本発明のスペクトル幅狭窄化方法についてその原理と内容とを説明する。
図1は、本発明のスペクトル幅狭窄化方法の原理を説明するイメージ図である。
図1に示すように、本発明のスペクトル幅狭窄化方法では、入力パルス光としてのソリトン波1を、狭窄化を行うための光学素子である光導波手段2に入射することにより、スペクトル幅が狭窄された出力パルス波3を得るものである。
光導波手段2は、図1にその特性を示すように、入射されたパルス光の伝搬方向である長さ方向に対して、波長分散の二次分散値(β2)の絶対値が大きくなるような分散特性を有している。なお、図1では、二次分散値(β2)の絶対値のみを示しているが、本発明のスペクトル幅狭窄化方法に用いられる光導波手段2としては、全体の二次分散値(β2)の平均値が負の値を示すものに限られるという制約がある。したがって、光導波手段2の二次分散値(β2)は、入力されたパルス波の伝搬方向の距離、すなわち長さ方向において、より大きな負の値に変化していくものであると表現することができる。
このような分散特性を有する光導波手段2に入力されたソリトン波1は、ソリトン効果によってソリトン波形を保ったまま伝搬し、スペクトル幅が狭窄化される。
ソリトン波は、下記数1として示すソリトン次数(N)を表す式を用いて表現することができる。
Figure 0005429724
ここで、上記式の右辺における分子は、パルス光の自己位相変調を示し、同じく上記式の右辺における分母は、波長分散として表されている。上記したように、全体としての二次分散値(β2)の平均値が負であり、かつ、入力パルス波の伝搬方向に二次分散値(β2)の絶対値が大きくなっていく分散特性を有する光導波手段2にソリトン波1を入射させると、光導波手段の非線形効果と波長分散との相互作用によって、入力されたパルス波は時間波形を保ったまま伝搬してソリトン波形を保とうとする。このため、ソリトン次数が0.5〜1.5のパルス波を光導波手段内に導入した場合には、上記式の値、すなわち「N」の値が1に収斂されていく。光導波手段2の二次分散値(β2)の絶対値は、パルス波が伝搬する方向に大きくなっていくため、入力されたソリトン波1はソリトンパルスの特性を保つために時間半値全幅(TFWHM)の値が大きくなり、結果としてスペクトル幅が狭窄化されるのである。
このように、本発明のスペクトル幅狭窄化方法では、二次分散値(β2)の絶対値が大きくなるような分散特性を有する光導波手段内をパルス波が伝搬していくことにより、ソリトン効果によってそのスペクトル幅が狭窄化される。したがって、入力されるパルス波の波長や強度と、スペクトル幅狭窄化を行う光導波手段の長さに合わせて、二次分散値(β2)の分布を調整することにより、入力されたパルス波1のスペクトル幅を狭窄化することができる。
また、本発明のスペクトル幅狭窄化方法は、パルス波がソリトン波形を保とうとする作用を用いてスペクトル幅を狭窄化するものであるため、出力パルス波3はきれいな孤立波となる。このため、得られる出力パルス波3は、ノイズとなる台座成分(ペデスタル成分)が小さい理想的な波形に近いものを得ることができる。
(光学素子)
次に、本発明のスペクトル幅狭窄化方法に用いられる光導波手段、すなわち、本発明の光学素子の具体例について実施形態として説明する。
本実施形態の光学素子は、入射パルス光に対する二次分散値(β2)の平均値が負であり、二次分散値(β2)の絶対値が入射パルス光の伝搬方向に増加する分散特性を備えている光導波手段として、光ファイバを用いるものである。
光ファイバは、コア部とクラッド部の材質や直径などによって、さまざまな分散特性を付与することができる。このため、入射パルス光に対する二次分散値(β2)の平均値が負であり、かつ、パルス光の伝搬方向にその絶対値が増加する光ファイバを製作することは不可能ではない。しかし、分散特性を連続的に変化させることは困難であるため、1本のファイバで所望の分散特性を実現するのではなく、二次分散値(β2)が負の値を有する異なる複数本の光ファイバを、それぞれの二次分散値(β2)の絶対値が徐々に大きくなるように連続して接続して、接続された光ファイバ全体としての分散特性を所望のものとすることができる。このようにすることで、ファイバの接合面では光伝達ロスが生じるものの、一つ一つの光ファイバはその全長にわたって一定の分散特性を有していればよいため、分散特性を連続的に変化させた光学素子の製造を極めて容易に行うことができる。
なお、ファイバの二次分散値(β2)を所定のものとする具体的な方法としては、ガラス材料への添加物と添加濃度の調整による屈折率の大きさの調整、断面での屈折率分布の調整、微細構造を用いた断面構造の制御などが考えられ、例えば、コア径が大きなファイバほど、二次分散値(β2)の絶対値を大きなものとすることができる。
本実施形態の光学素子は、光ファイバを用いて、より簡易に所望の分散特性を有する光導波手段を実現する方法として、櫛状分布ファイバを用いている。この櫛状分布ファイバは、2つの異なる分散特性を有する光ファイバを、その長さの比が異なるように交互に接続することで、光ファイバの長さ方向における二次分散値(β2)を変化させるものである。
図2は、本実施形態の光学素子である櫛状分布ファイバに用いたファイバの光学特性を示す図である。
本実施形態の櫛状分布ファイバとしては、入力パルス波形として中心波長1620nmの超短光パルス波を用いたことから、中心波長に対する二次分散値(β2)が負の値で、かつ、その絶対値が比較的小さい第1のファイバとして、情報通信用ファイバとして市販されている分散シフトファイバ(以下「DSF」と称する。)を用い、二次分散値(β2)の絶対値が比較的大きな第2のファイバとして、同じく情報通信用ファイバとして市販されているシングルモードファイバ(以下、「SMF」と称する。)を用いた。
より具体的には、DSFとして、株式会社フジクラの情報通信用ファイバ「FutureGuide−DS 分散シフトシングルモードファイバ」(商品名)を用い、SMFとして、同じく株式会社フジクラの情報通信用ファイバ「FutureGuide−SM シングルモードファイバ」(商品名)を用いた。
図2(a)は、本実施形態の櫛状分布ファイバとして用いた、DSFとSMFの、入力パルス波の中心波長に対する二次分散値(β2)の変化を示す図である。
なお、図2(a)において示す二次分散値(β2)は、上記したソリトン次数(N)を表す式から導かれたものであって、図中に示すように単位が[ps/km]として示されるものである。これは、一般に光ファイバの分散値特性として線材メーカーのカタログに波長分散(D)として示されている、単位を[ps/nm/km]として示す分散値とは異なるため、注意が必要である。特に、本実施形態で使用する二次分散値(β2)では、その値が「+」の場合が正常分散、値が「−」の場合が異常分散であるのに対し、波長分散(D)では、値が「−」の場合が正常分散、値が「+」の場合が異常分散となり、その特性が全く逆となることに留意する必要がある。
図2(a)に示すように、本実施形態の光学素子である櫛状分布ファイバに用いられたるDSFとSMFとは、いずれも入力パルスの中心波長である1620nmにおいて負の二次分散値(β2)を示していて、その絶対値は、SMFの方がDSFよりも大きくなっている。
なお、本発明の第2の光源装置として後述するように、本実施形態の光学素子である櫛状分布ファイバを用いてスペクトル幅を狭窄化する入力波の中心周波数が変化する場合に、櫛状分布ファイバからの出力波形を広い中心周波数帯域においてノイズ成分であるペデスタルの小さいものとするためには、図2(a)として示した、入力パルスの中心波長の変化に対する二次分散値(β2)の変化が、より平坦な特性を示すファイバを用いることが好ましい。
図2(b)は、本実施形態の櫛状分布ファイバに用いたDSFとSMFの、入力パルス波の中心波長に対する非線形係数の変化を示す図である。
図2(b)に示すように、本実施形態の光学素子である櫛状分布ファイバに用いられたDSFとSMFでは、入力パルスの中心波長である1620nm近傍における非線形係数の値は、DSFの値の方がSMFの値よりも大きくなっている。なお、本実施形態の光学素子において、スペクトル幅の狭窄化に関しては、非線形係数の分布自体にはそれほど大きな意味はなく、通常の範囲であれば問題ない。
図3は、本実施形態の櫛状分布ファイバにおいて、2つのファイバDSFとSMFとの長さの比を異ならせることで、所定の二次分散値(β2)を得ることができる原理を示している。
なお、図3(a)から図3(c)の各図においては、図中左側に二次分散値(β2)の絶対値の値が大きなSMF11を、図中右側に二次分散値(β2)の絶対値の値が小さなDSF12を配した状態を示している。また、各図の上段がSMF11とDSF12との長さの比率を示すイメージ図、各図の下段が二次分散値(β2)の絶対値の大きさを示す図である。さらに、図3において、図3(a)、図3(b)、および、図3(c)は、順にパルス光の入力端部側、中間部分、出力端部側での櫛状分布ファイバ10の状態を示している。また、櫛状分布ファイバ10としての構成が分かりやすくなるように、各図の上段に示した長さをイメージする図では、DSF12のみにハッチングを入れている。
図3(a)に示すように、櫛状分布ファイバ10のパルス光入力端部側では、上段に示すように二次分散値(β2)の絶対値の大きなSMF11の長さの割合を全体の約20%に、二次分散値(β2)の絶対値の小さなDSF12の長さの割合を全体の約80%としている。このようにすると、図3(a)に示した所定区間のファイバの二次分散値(β2)の平均値13は、図3(a)の下段に示すとおり長さの割合の大きなDSF12に引きずられる形で低下した、比較的小さな値となる。
図3(b)に示すように、櫛状分布ファイバ10の中間部分では、上段に示すように二次分散値(β2)の絶対値の大きなSMF11の長さの割合を全体の約75%に、二次分散値(β2)の絶対値の小さなDSF12の長さの割合を全体の約25%としている。このようにすると、図3(b)に示した所定区間のファイバの二次分散値(β2)の平均値13は、図3(b)の下段に示すとおり長さの割合の大きなSMF11に引きずられる形で比較的大きな値となる。
さらに、図3(c)に示すように、櫛状分布ファイバ10のパルス光出力端部側では、上段に示すように二次分散値(β2)の絶対値の大きなSMF11の長さの割合を全体の約90%に、二次分散値(β2)の絶対値の小さなDSF12の長さの割合を全体の約10%としている。このようにすると、図3(c)に示した所定区間のファイバの二次分散値(β2)の平均値13は、図3(c)の下段に示すとおりさらに大きな値となる。
このように、櫛状分布ファイバ10を構成するSMF11とDSF12の長さの割合を変化させることで、該当部分での二次分散値(β2)の値の大きさをコントロールすることができる。図3(a)、図3(b)、および、図3(c)の各図に示したとおり、二次分散値(β2)の絶対値が大きなSMF11の割合を大きく、二次分散値(β2)の絶対値が小さなDSF12の割合を小さくしていくことで、所定区間における二次分散値(β2)の絶対値の平均値の値を徐々に大きくしていくことができ、櫛状分布ファイバ10の全体としてみた場合には、入力されたパルス波の伝搬方向にしたがって、二次分散値(β2)の絶対値が大きくなるような分散特性を有した光学素子を得ることができる。
図4は、本実施形態の櫛状分布ファイバ10の全体構成を示すイメージ図である。図4は、図3(a)、図3(b)、図3(c)における各図の上段と同じく、SMF11とDSF12との長さの変化を示していて、図3の各図と同様にDSF12にのみハッチングを入れている。
図4に示すように、本実施形態の櫛状分布ファイバ10は、図4中の左端に位置するパルス波入力端部10a側から、図4中の右端に位置するパルス波出力端部10b側へと向かうパルス波の伝搬方向に沿って、二次分散値(β2)の絶対値の大きなSMF11の割合が増加して、二次分散値(β2)の絶対値の小さなDSF12の割合が低下している。このようにすることで、パルス波の伝搬方向に沿って、ファイバの各部分での二次分散値(β2)の絶対値の大きさが大きくなっていく光学素子を実現することができる。
なお、図4に示すように、本実施形態の櫛状分布ファイバ10では、二次分散値(β2)の絶対値の大きなSMF11と二次分散値(β2)の絶対値の小さなDSF12とを、その長さの割合を変えながら交互に配置している。しかし、本実施形態の櫛状分布ファイバ10では、パルス光の伝搬方向に2種のファイバSMF11とDSF12との長さの割合の平均値が所望の二次分散値(β2)の分布特性を備えていればよいため、図4に示したように2種のファイバを交互に配置することが必須の要件とはならない。このため、原理的には、第1の区間でSMF11の後にDSF12を配置し、次の第2の区間ではDSF12の後にSMF11を配置することもできる。
このように2種のファイバSMF11とDSF12との配置順を異ならせる場合には、同種のファイバが連続する部分では、融着による損失が生じないように連続する2本のファイバを合わせた長さと同じ長さの1本のワイヤを用いることがより好ましい。しかし、連続して配置される同種のワイヤの合計の長さが長い場合には、その部分での平均の二次分散値(β2)の値が所定の値とならず、ファイバ内を伝搬するパルス光に対して、正しいパルス幅狭窄化効果を与えられなくなる場合も生じうるので注意が必要となる。
また、図3および図4では、説明の便宜上一対のSMFとDSFとの組み合わせにおける長さ、すなわち、平均値で所定の二次分散値(β2)を得るための一対のファイバを合わせた長さが、櫛状分布ファイバ10の全長にわたっていずれも一定であるように例示している。しかし、本実施形態の櫛状分布ファイバ10において、このように一組のファイバを合わせた長さが、櫛状分布ファイバ10の全長にわたって同じであることは必須の要件ではない。本実施形態の櫛状分布ファイバ10の所定部分の二次分散値(β2)は、その部分でのSMF11とDSF12との比率において決まるため、櫛状分布ファイバ10の長さ方向における一組のファイバの長さの和が変化しても、当該部分における二次分散値(β2)はその平均値となって所望のものとすることができるからである。
図5は、本実施形態の櫛状分布ファイバの長さ方向における、各部分の二次分散値(β2)の値の変化と、櫛状分布ファイバを構成するSMFとDSFとの長さの比から求まる各部分での平均の二次分散値(β2)の値を示した図である。
図5に示すように、本実施形態の櫛状分布ファイバは、二次分散値(β2)の値が約−5であるSMFと、二次分散値(β2)の値が約−28であるDSFとから構成されているため、実線で示す実際の二次分散値(β2)の値は、「−5」と「−28」との間で繰り返し変化している。一方で、図5中に「黒丸」で示すSMFとDSFの二次分散値(β2)の平均値は、パルス波の伝搬方向にしたがって、「−(負)」の値を取りながら徐々にその値が小さく、言い換えれば絶対値が大きくなっている。
このようにして、本実施形態の櫛状分布ファイバでは、740mの全長において、二次分散値(β2)の平均値を徐々に小さく(絶対値は大きく)変化させて、二次分散値(β2)の値が−6から−28へと変化する光学素子を得ることができる。
発明者らが確認したところ、図5中に「黒丸」で示したSMFとDSFの二次分散値(β2)の平均値の変化の割合としては、例えば、二次分散値(β2)が「A(初期値)−B(定数)/L(長さ)」の関係を満たすように、長さ方向において長さの逆数で減少するように変化させることが好ましい。 図6は、図4にイメージ図を、また、図5に二次分散値(β2)の分布を示した本実施形態の櫛状分布ファイバによるスペクトル幅の狭窄効果を示す図である。
図6に示すように、本実施形態の櫛状分布ファイバ10では、入射パルス波である中心波長が1620nmのソリトン波21が、櫛状分布ファイバを伝搬してスペクトル幅が狭窄化され、図6中に点線で示す出力波形22が得られる。
本実施形態の櫛状分布ファイバ10によって、入射パルス波21のスペクトル幅(半値幅)13.8nmに対して、出力パルス波22のスペクトル幅(半値幅)は0.72nmに狭窄化されており、その狭窄率は19であった。また、本実施形態の櫛状分布フィルタにおける狭窄化によって生じたパルス波形の台座成分22bの大きさは、スペクトルのピークから−18.0dBであった。
このように本実施形態の櫛状分布ファイバによる狭窄化で、超短光パルス波に対する大幅な、かつ、ノイズ成分の少ないスペクトル幅の狭窄化を実現し得ることが確認できた。
なお、光導波手段である光学素子が、そのパルス波の伝搬方向における二次分散値(β2)のどのような分布特性を有することが好ましいかを検討する場合には、光ファイバにおけるパルス伝搬を計算して、最適設計をするのが好ましい。一般に、より良いスペクトル形状のパルス光を得るためには、伝搬中のパルスがN=1のソリトンの条件からあまり大きくはずれないように、平均の分散値を穏やかに変化させていく必要がある。
さらに、上記櫛状分布ファイバの説明として、二次分散値(β2)が異なる2種類の通信用ファイバを用いてその長さの割合を変え、櫛状分布ファイバ全体として所望の分散特性を得るものについて説明した。しかし、本実施形態の櫛状分布ファイバとしては、このような2種類のファイバを用いるものに限らず、3種類以上の二次分散値(β2)を有するファイバを組み合わせ、それぞれの長さの比率を変えることで、所定の二次分散値(β2)特性を有する櫛状分布ファイバを実現することができる。
また、1本の櫛状分布ファイバを形成する上で用いられる複数の二次分散値(β2)特性を有するファイバとしては、常に同じ種類のファイバのみを用いる必要はなく、櫛状分布ファイバの長さ方向の各部分で、適切な二次分散値(β2)特性を有する異なる種類のファイバを組み合わせて、当該部分の二次分散値(β2)を所望のものとすることができる。
(光源装置)
次に、本発明の光源装置について具体例を挙げて説明する。
図7は、本発明の光源装置の第1の実施形態である、短パルス光であり狭スペクトル光を照射できる光源装置30の全体構成を示すブロック図である。
図7に示すように、本実施形態の光源装置は、パルス光を生成するパルス光生成装置である超短光パルスレーザー31と、超短光パルスレーザー31で生成された超短光パルス波の強度を調整するアンプ32と、光導波手段としての上記光学素子の実施形態として説明した櫛状分布ファイバ33とを備えている。なお、超短光パルスレーザー31と、アンプ32の間には、この間の超短光パルス波のカップリングを図るレンズ34が、また、アンプ35と櫛状分布ファイバ33との間には、アンプ32から出力された超短光パルス波を、光ファイバである櫛状分布ファイバ33に適切に入射するためのレンズ35が配置されている。
超短光パルスレーザー31は、Er(エルビウム)添加超短パルスファイバレーザーなどが利用でき、例えば上記光学素子の実施形態で説明した中心波長1560nm、パルス幅は200fs(フェムト秒)で、繰り返し周波数は50MHzに設定されている。
アンプ32は、利得の大きさを変化させることができる光増幅器であり、Er添加超短パルスファイバレーザーである超短光パルスレーザー31から出力されたパルス光を、例えば希土類添加ファイバの利得で増幅することができる。
櫛状分布ファイバ33は、上記光学素子の実施形態で説明したものと同じく、一般的な通信用ファイバであるSMFとDSFとが所定の長さの割合で交互に接続されて構成された、全長760mのファイバを利用することができる。
なお、本実施形態の光源装置においては、パルス光生成装置としてパルス間隔がフェムト秒(fs)オーダーの超短光パルスを生成するレーザー装置を例示したが、本実施形態のパルス光生成装置としてはこのような超短光パルスレーザーに限らず、パルス間隔がピコ秒(ps)オーダーからマイクロ秒(μs)オーダーのパルス光源を用いることができる。
また、パルス光生成装置である超短光パルスレーザー31で生成されたパルス光のエネルギーが、光導波手段である櫛状分布ファイバ33での狭窄化に十分な強度である場合には、入射パルス光を増幅するためのアンプ32が不要であることは言うまでもなく、また、カップリング用のレンズ34および35は、本来必要に応じて用いられるものであり、本実施形態の光源装置に必須のものではない。
図8は、本実施形態の第2の光源装置である、出力パルス波の中心波長を変えることができ、射出されるパルス光のスペクトル幅が狭い光源装置100の全体構成を示すブロック図である。
図8に示すように、本実施形態の第2の光源装置100は、パルス光生成装置である、出力パルス波の波長変換が可能な波長可変光源51と、波長可変光源51から出力されたパルス波の強度を調整するアンプ52、さらに、光導波部材である櫛状分布ファイバ53とを有している。なお、波長可変光源51と、アンプ52の間には、この間のレーザービーム光のカップリングを図るレンズ54が、また、アンプ52と櫛状分布ファイバ53との間には、アンプ52から出力された短パルスレーザー光を、光ファイバである櫛状分布ファイバに適切に入射するためのレンズ55が適宜必要に応じて配置される。
本実施形態の第2の光源装置100における波長可変光源51としては、特許文献1に記載された従来の光源を用いることができる。
具体的には、波長可変光源51は、短パルスレーザー光源としてのErドープ超短光パルスファイバレーザー41と、Erドープ超短光パルスファイバレーザー41からの出力光エネルギーを増加させるErドープファイバアンプ42、Erドープファイバアンプ42からの出力光の位相を変換するλ/2の波長板43、偏光ビームスプリッタ44、λ/2の波長板45、パルス波をファイバに入射させるためのカップリング用レンズ46、波長変換を行う光ファイバ47を有している。
この波長可変光源51は、ソリトン自己周波数シフト効果によってパルス波長が長波長側にシフトしていくことを利用して照射パルスの中心波長をより長波長側にシフトするものであり、具体的には、光ファイバに入射させる短パルスレーザー光の強度を調整することで波長のシフト量をコントロールして、生成される短パルスレーザー光の波長を所望のものとすることができる。
なお、図8に示した波長可変光源51では、Erドープ超短光パルスファイバレーザー41から照射されたパルス光を、Erドープファイバアンプ42、λ/2波長板43、偏向ビームスプリッタ44を用いて波長変換する光ファイバ47に入射するパルス光の強度を調整した例を示したが、図8において点線部48で示したこの部分は図示した構成には限られず、短パルス光の強度を変調できる他の強度変調器を用いることができる。また、λ/2の波長板45、および、カップリング用レンズ46は本来的に適宜必要に応じて用いるものであり、省略することができる。
このように、本実施形態の第2の光源装置100は、特許文献1に記載された超短光パルスの中心波長が変更できる波長可変光源51から射出されたパルス光を、スペクトル幅を狭窄化する本発明にかかる光学素子としての櫛状分布ファイバ53に入射させることで、スペクトル幅が狭く、かつ、中心波長を変更できる超短光パルス光を射出することができる。
本実施形態の第2の光源装置100における、波長可変光源51から射出されたパルス光と、櫛状分布ファイバ53からの出力光の特性を図9に示す。
図9(a)は、第2の光源装置100における波長可変光源51から射出されるパルス光を示している。
本実施形態の第2の光源装置100では、波長可変光源51のErドープ超短光パルスファイバレーザーから中心波長が1560nm、パルス幅が200fs、強度30mWのパルス光を生成し、これを、Erドープファイバアンプ42、λ/2波長板43、偏向ビームスプリッタ44を用いて強度変換して波長変換するファイバ47に入射させる。このとき、出力パルス波形を、図9(a)に示すように、中心波長が1620nmの基本波形aから波形b、c、d、e、fとそれぞれ50nmずつ長波長側にシフトさせた。なお、波長可変光源51において波長変換するファイバ47に入力するパルス強度を徐々に高くしているため、出力波形の強度も長波長側にいくにつれてシフトしている。このように、入力強度の調整により、出力パルスの中心波長を連続に調整することができる。
図9(a)のa〜fの各パルス波形の上に記載された数値が、それぞれのパルス波の半値幅を示している。図9(a)より明らかなように、パルス波a〜fの半値幅は、12.3nm〜14.9nmの範囲となっている。
図9(b)は、本実施形態の第2の光源装置100における、櫛状分布ファイバ53からの出力波形、すなわち、第2の光源装置100からの出力パルス波のパルス波形を示している。
図9(b)に示すように、櫛状分布ファイバ53で狭窄化されたパルス波形は、各波形の上に記載されている半値幅が示すとおり、スペクトル幅が0.64nm〜0.71nmと大幅に狭窄化されていることが分かる。
また、本実施形態の第2の光源装置100では、櫛状分布ファイバ53の二次分散値(β2)特性を、1620nmの入力パルス波aが最適に狭窄化される条件として調整したため、中心波長が1620nmからより長波長側にシフトするにつれて、ノイズ成分であるペデスタル成分が増大している。しかし、図9(b)にa〜fの各出力パルス波として示すとおり、各パルス波における台座成分(ペデスタル成分)は大きくはなく、超短光パルスでかつ中心波長可変の光源として、各種光学測定機器の光源として、極めて良好な出力波形特性を有していることが分かる。
図10は、本実施形態の第2の光源装置100における、櫛状分布ファイバ53に入射されて出力されるパルス波の中心波長と、出力波形の特性との関係を示す図である。図10において、入射/出力パルス波の中心波長とスペクトル幅(半値幅)との関係を実線gで、入射/出力パルス波の中心波長とノイズ成分である台座成分(ペデスタル成分)の抑圧比との関係を点線hで示している。
図10から、本実施形態の第2の光源装置100から出力される出力パルス波は、その中心波長が1620nmから1870nmに変化しても、スペクトル幅がほぼ一定の極めて狭スペクトルのものであることが分かる。また、櫛状分布ファイバの二次分散値(β2)特性を、中心波長が1620nmのパルス波に適合させたため、中心波長が長波長側にシフトするにつれてサイドローブである台座成分の値は大きくなってしまうものの、中心波長が1870nmまでの間において台座成分の抑圧比は出力パルス波のピークに対して約12dB以下の水準を保ち、中心波長を変更しても、ノイズ成分の少ない安定した出力パルス波を得ることができることが分かる。
以上、本実施形態の光源装置として、出力パルス光の中心波長が固定されたものと、中心波長が可変のものについて説明した。このように、本実施形態の光源装置によれば、入射されるパルス光に応じてノイズ成分が少なく狭スペクトル化された出力光を生成できる本発明にかかる光学素子を用いることで、選択されたパルス光生成手段から出力されるパルス波のスペクトル幅を狭窄化して、光源装置の光出力とすることができる。このため、光計測や光エレクトロニクスの分野において必要とされる、広帯域に波長を変えることができ、かつ、得られるパルス光のスペクトル幅が小さい光源装置を得ることができる。
なお、上記光源装置の実施形態として、製作が容易な櫛状分布ファイバを光導波手段として用いる例についてのみ説明したが、本実施形態の光源装置はこれに限られず、光導波手段として上記本発明のさまざまな光学素子を用いることができることは言うまでもない。
以上、本発明のスペクトル幅狭窄化方法、光学素子、光源装置について、それぞれ具体例を示して説明してきた。
上記各説明では、光導波手段として光ファイバを用いたものについてのみ説明したが、本発明の光導波手段としては光ファイバに限らず、導波路デバイスやフォトニック結晶デバイスなど、その内部を光が伝搬でき、かつ、所定の二次分散値(β2)特性を付与することができる各種の光学素子を用いることができる。
また、上記説明において、光導波手段に入力されるパルス光として、ソリトン次数(N)が0.5〜1.5のものを用いる場合についてのみ説明したが、入力パルス波のソリトン次数(N)は0.5〜1.5の範囲に限らない。しかし、入力パルス波のソリトン次数(N)が0.5よりも小さい場合や、逆に1.5よりも大きい場合には、台座成分が大きく残ると考えられ、スペクトルは幅狭窄化できるものの、光計測などに用いられるパルス波としては、実用面での精度はそれほど高いものではないと考えられる。
本発明のスペクトル狭窄化方法の原理を用いた光学素子およびこの光学素子によりスペクトルの狭窄化が行われた光源装置は、ノイズ成分の少ない狭スペクトル幅のパルス光を照射できるため、例えば、医療診断用高解像度光コヒレンストモグラフィ(OCT)に利用することができる。本実施形態にかかる光源を用いた超高分解能高速OCTは、眼科、呼吸器科、その他医療分野において、非侵襲であることからその応用展開が期待できる。また、医療分野以外にも、工業製品の内部検査や観察手段としての利用も考えられる。
特に、本発明のスペクトル狭窄化方法の原理を用いた光学素子およびこの光学素子によりスペクトルの狭窄化が行われた光源装置は、狭いスペクトル線幅とノイズ成分である台座成分の抑圧が可能であるため、OCTに利用することで高い感度(S/N比)と深い観察深度を実現することができる。
さらに、分光計測分野への応用として、環境、排ガス、排水、水質検査、燃焼室内検査やプラズマ計測などを行う計測機器の光源とすることができる。また、レーザー顕微鏡、多光子顕微鏡の光源として、生体組織や細胞観察をするものへの応用や、光通信、光信号処理に用いられる光源としても利用することができる。
このような分光計測分野に、本発明のスペクトル狭窄化方法の原理を用いた光学素子およびこの光学素子によりスペクトルの狭窄化が行われた光源装置を用いることで、狭いスペクトル幅により分解能を向上することができ、また、ノイズ成分である台座成分が小さいために感度を向上させることができる。
以上説明したように、本発明のスペクトル幅狭窄化方法、および、光学素子ならびに光源装置は、医療用OCTおよび光計測、光エレクトロニクスの分野をはじめとする各種光学分野において幅広い用途が期待できる。

Claims (9)

  1. 入射パルス光に対する二次分散値(β2)の平均値が負であり、かつ、前記二次分散値(β2)の絶対値が、前記入射パルス光の伝搬方向にその増加分が漸減しながら増加する分散特性を備えた光導波手段を用いて、前記光導波手段の内部で前記入射パルス光にソリトン効果を生じさせることにより、前記入射パルス光のスペクトル幅を狭窄して出力パルス光とすることを特徴とするスペクトル幅狭窄化方法。
  2. 前記光導波手段として光ファイバを用いる請求項1に記載のスペクトル幅狭窄化方法。
  3. 前記光導波手段が、前記二次分散値(β2)の異なる光ファイバを複数本接続して形成されている請求項2に記載のスペクトル幅狭窄化方法。
  4. 前記光導波手段が、互いに異なる前記二次分散値(β2)を有する複数本の光ファイバを、それぞれの長さの割合が異なるように組み合わせて順次接続することで、前記二次分散値(β2)の絶対値が、前記入射パルス光の伝搬方向にその増加分が漸減しながら増加する分散特性を有するように構成されている請求項3に記載のスペクトル幅狭窄化方法。
  5. 入射パルス光に対する二次分散値(β2)の平均値が負であり、かつ、前記二次分散値(β2)の絶対値が、前記入射パルス光の伝搬方向にその増加分が漸減しながら増加する分散特性を備え、
    前記入射パルス光にソリトン効果を生じさせてそのスペクトル幅を狭窄して出力パルス光とすることを特徴とする光学素子。
  6. 前記二次分散値(β2)の異なる複数本の光ファイバを、前記入射パルス光の伝搬方向に接続して形成されている請求項5に記載の光学素子。
  7. 互いに異なる前記二次分散値(β2)を有する複数本の光ファイバを、それぞれの長さの割合が異なるように組み合わせて順次接続することで、前記二次分散値(β2)の絶対値が、前記入射パルス光の伝搬方向にその増加分が漸減しながら増加する分散特性を有するように構成されている請求項6に記載の光学素子。
  8. パルス光を生成するパルス光生成装置と、
    前記生成されたパルス光の強度を調整するアンプと、
    請求項5〜7のいずれか1項に記載の光学素子とを備え、
    スペクトル幅が狭窄化されたパルス光を照射することを特徴とする光源装置。
  9. 前記パルス光生成装置が、短パルスレーザー光源と、光強度調整器と、波長可変光ファイバとを有し、前記光強度調整器により前記波長可変光ファイバに入射される短パルスレーザー光の強度を調整することで、生成されるパルス光の波長を変更できる波長可変光源である請求項8に記載の光源装置。
JP2012512858A 2010-04-28 2011-04-26 スペクトル幅狭窄化方法、および、光学素子ならびに光源装置 Active JP5429724B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012512858A JP5429724B2 (ja) 2010-04-28 2011-04-26 スペクトル幅狭窄化方法、および、光学素子ならびに光源装置

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010103592 2010-04-28
JP2010103592 2010-04-28
JP2012512858A JP5429724B2 (ja) 2010-04-28 2011-04-26 スペクトル幅狭窄化方法、および、光学素子ならびに光源装置
PCT/JP2011/060162 WO2011136220A1 (ja) 2010-04-28 2011-04-26 スペクトル幅狭窄化方法、および、光学素子ならびに光源装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2011136220A1 JPWO2011136220A1 (ja) 2013-07-22
JP5429724B2 true JP5429724B2 (ja) 2014-02-26

Family

ID=44861518

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012512858A Active JP5429724B2 (ja) 2010-04-28 2011-04-26 スペクトル幅狭窄化方法、および、光学素子ならびに光源装置

Country Status (4)

Country Link
US (1) US9075284B2 (ja)
EP (1) EP2565708B1 (ja)
JP (1) JP5429724B2 (ja)
WO (1) WO2011136220A1 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5807859B2 (ja) * 2011-04-27 2015-11-10 国立大学法人名古屋大学 スペクトル計測装置およびスペクトル計測方法
WO2015174819A2 (en) * 2014-05-16 2015-11-19 Mimos Berhad Method for producing narrow spectral linewidths
JP2018004722A (ja) * 2016-06-28 2018-01-11 国立大学法人宇都宮大学 広帯域レーザー出力装置

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000105394A (ja) * 1998-09-29 2000-04-11 Japan Science & Technology Corp 波長可変短パルス光発生装置及び方法
JP2006171677A (ja) * 2004-11-19 2006-06-29 Japan Science & Technology Agency 光パルス圧縮装置、光パルス発生装置及び光パルス圧縮方法

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7151880B2 (en) * 2000-12-28 2006-12-19 Prysmian Cavi E Sistemi Energia S.R.L. Dispersion-managed optical soliton transmission system
WO2004049054A1 (ja) * 2002-11-21 2004-06-10 The Furukawa Electric Co., Ltd. 光伝送システムにおける光源、波形整形器、光パルス列発生装置、及び 光再生システム
US7869680B2 (en) * 2004-07-02 2011-01-11 Olambda, Inc. Nonlinearity compensation in a fiber optic communications system
JP5023575B2 (ja) * 2006-06-23 2012-09-12 株式会社日立製作所 アンチスクイズド光生成器
JP5729895B2 (ja) * 2008-01-29 2015-06-03 キヤノン株式会社 光パルス圧縮器

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000105394A (ja) * 1998-09-29 2000-04-11 Japan Science & Technology Corp 波長可変短パルス光発生装置及び方法
JP2006171677A (ja) * 2004-11-19 2006-06-29 Japan Science & Technology Agency 光パルス圧縮装置、光パルス発生装置及び光パルス圧縮方法

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
JPN6013057091; Optical Fiber Technology Vol.15,No.5-6, 200910, 438-441 *

Also Published As

Publication number Publication date
EP2565708A1 (en) 2013-03-06
JPWO2011136220A1 (ja) 2013-07-22
US20130088770A1 (en) 2013-04-11
EP2565708A4 (en) 2013-03-06
WO2011136220A1 (ja) 2011-11-03
EP2565708B1 (en) 2016-05-25
US9075284B2 (en) 2015-07-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6701259B2 (ja) 光学測定システム及び方法
US8556824B2 (en) Production of optical pulses at a desired wavelength using soliton self-frequency shift
JP3546917B2 (ja) 超短光パルスの伝達装置、発生装置および伝達方法
EP1517173B1 (en) A nonlinear optical device
EP2086074A2 (en) Pulse laser apparatus, terahertz measuring apparatus, and therahertz tomographic apparatus
EP3019899A1 (en) Supercontinuum generation in microstructured optical fibers by tapering and tailoring of zero-dispersion wavelength (s)
US8861073B2 (en) Optical fiber delivery system for delivering optical short pulses and optical fiber delivery method
JP2007088470A (ja) 大きなモードエリアファイバと高次モードを使う短パルスレーザ
JP6112289B2 (ja) 光断層計測装置
JP2008122278A (ja) テラヘルツ分光・イメージング装置
WO2007105692A1 (ja) 光ファイバおよび広帯域光源
JP4897730B2 (ja) 連続スペクトルの波長端を越えた光生成を含む光連続スペクトル源
JP5860647B2 (ja) 非線形光学装置、多光子顕微鏡および内視鏡
JP5429724B2 (ja) スペクトル幅狭窄化方法、および、光学素子ならびに光源装置
KR101997895B1 (ko) 주파수 천이 쓸림 광원 시스템 및 이를 적용한 장치
JP5807859B2 (ja) スペクトル計測装置およびスペクトル計測方法
Namihira et al. Design of highly nonlinear dispersion flattened hexagonal photonic crystal fibers for dental optical coherence tomography applications
JP4960467B2 (ja) 非線形光学装置、多光子顕微鏡および内視鏡
JP2008084904A (ja) 光出力装置および光出力方法
KR101716372B1 (ko) 초광대역 광원 기반 파장 훑음 광원
Begum et al. Broadband supercontinuum spectrum generated highly nonlinear photonic crystal fiber applicable to medical and optical communication systems
Grande Femtosecond high power Tm: Ho fiber laser at 2050 nm
JP2012141422A (ja) 短光パルスの光ファイバ伝送装置および光ファイバ伝送方法
Jalali Low-loss High-dispersion Technology; Enabling Component for Ultrafast Real-time Imaging using Amplified Dispersive Fourier Transform

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20131121

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20131125

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5429724

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250