JP5429362B2 - 交流tig溶接方法 - Google Patents

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Description

本発明は、逆極性と正極性とを交互に繰り返してアーク溶接を行う交流TIG溶接方法に関する。
近年、環境への配慮から、軽量かつリサイクル性に優れたアルミニウム材やマグネシウム材が建造物や車両等で多く利用され、その接合を形成する場合に交流TIG溶接装置が多く利用されている。交流TIG溶接装置は、逆極性と正極性とを交互に繰り返してアーク溶接を行うものである(例えば、特許文献1参照)。
特に、大型建造物を生産する作業現場では、大電流を用いて作業を行う必要がある。大電流交流溶接では、特に出力ケーブルを延長したような場合に、交流溶接の極性反転の時のスイッチングの際に発生するサージ電圧が大きくなる。このサージ電圧の大きさにより、2次インバータを構成する半導体素子が破損する場合があるといった問題があった。
そのため、従来から、半導体素子の保護のため、極性反転する前に低い電流(例えば100A以下)に制御し、この低い電流の状態で極性反転のスイッチングを行い、これにより発生するサージ電圧を低く抑える対策が実施されてきた。
しかし、作業者のミスやワーク精度やジグ精度が悪いような場合、溶接作業中にTIG電極と溶接対象物とが接触する場合(この場合を「電極短絡」もしくは「短絡」と呼ぶ)がある。そして、短絡中はアーク中に比べて溶接電流の低下度が緩やかになる。そのため、短絡が生じていると極性反転前に十分電流が低下しないまま極性反転が発生する場合がある。この交流溶接の極性反転の時のスイッチングの際に発生するサージ電圧の大きさによりTIG溶接装置を構成する2次インバータの構成要素である半導体素子が破損する場合があるといった問題があった。
次に、図8と図9を用いて、従来から慣用されている交流TIG溶接装置の動作に関して説明する。なお、図8は従来の交流TIG溶接装置の概略構成を示す図であり、図9は従来の交流TIG溶接装置における溶接電流波形の時間変化を示す図である。
図8のように構成された交流TIG溶接装置について、図9を用いてその動作を説明する。なお、以下の説明では、逆極性期間と正極性期間とを交互に繰り返して溶接を行う非消耗電極式の交流TIG溶接装置を用いた例について説明する。
図8において、交流TIG溶接装置101は、溶接出力部102と、溶接制御部103と、電流検出部104と、設定部107と、第1の計時部108と、を備えている。そして、交流TIG溶接装置101は、電極109を備える溶接トーチ110と溶接対象物である母材112に電気的に接続されており、電極109と母材112との間に電力を供給することにより電極109と母材112との間にアーク111を発生させるものである。
また、溶接電流波形の時間変化を示す図9において、TENは正極性期間、TEPは逆極性期間、TP1は正極性ピーク期間、TB1は正極性ベース期間、TP2は逆極性ピーク期間、TB2は逆極性ベース期間を示している。また、IENPは正極性ピーク電流、IEPPは逆極性ピーク電流、IENBは正極性ベース電流、IEPBは逆極性ベース電流、IEN1は極性反転前溶接電流(短絡中の正極性期間の電流)、IEP1は極性反転前溶接電流(短絡中の逆極性期間の電流)を示している。また、E1は短絡が発生した時点、E2はアークが再発生した時点を示している。
図8において、交流TIG溶接装置101の溶接出力部102は、外部から給電される商用電源(例えば、3相200V等)を入力としている。溶接出力部102は、溶接制御部103からの制御信号に基づいて溶接出力部102の内部に設けられた図示しない1次インバータ動作及び2次インバータ動作を行い、正極性と逆極性とを適正に切り替えて溶接に適した溶接電圧や溶接電流を出力する。
1次インバータは、通常、PWM(Pulse Width Modulation)動作やフェーズシフト動作により駆動される図示しないIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)や、図示しないMOSFET(Metal−Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)や、図示しない1次整流ダイオードや、平滑用電解コンデンサや、電力変換用変圧器等で構成される。
また、2次インバータは、通常、図示しないIGBTを用いたハーフブリッジやフルブリッジで構成され、出力極性を切り替えるものである。
ここで、正極性とは、アークプラズマ中の電子の移動方向が、電極109から母材112へ向かう方向であり、電極109がマイナスであって母材がプラスの場合をいう。また、逆極性とは、アークプラズマ中の電子の移動方向が、母材112から電極109へ向かう方向であり、電極109がプラスであって母材112がマイナスの場合をいう。
CPU等で構成される設定部107は、正極性ピーク期間TP1(例えば、9.5msec)、正極性ベース期間TB1(例えば、0.5msec)、逆極性ピーク期間TP2(例えば、3.81msec)、逆極性ベース期間TB2(例えば、0.47msec)、正極性ピーク電流IENP(例えば、400A)、逆極性ピーク電流IEPP(例えば、−400A)、正極性ベース電流IENB(例えば100A)、逆極性ベース電流IEPB(例えば、−100A)を設定し、溶接制御部103へ出力するものである。なお、設定は、各パラメータを作業者が入力するようにして設定するようにしても良いし、別途設定する設定電流(実効値あるいは平均値)や周波数に基づいてテーブルや数式等により自動的に設定されるようにしても良い。
CPU等で構成される第1の計時部108は、正極性期間及び逆極性期間の開始からの時間を計時するものであり、CT等で構成される電流検出部104は、溶接電流を検出するものである。
溶接制御部103は、設定部107の出力と、第1の計時部108が計時する経過時間と、電流検出部104が検出する溶接電流値に基づいて、出力指令信号を溶接出力部102へ出力する。溶接制御部103は、正極性ピーク期間中は正極性ピーク電流を、正極性ベース期間中は正極性ピーク電流よりも低い正極性ベース電流を、逆極性ピーク期間中は逆極性ピーク電流を、逆極性ベース期間中は逆極性ピーク電流よりも低い(絶対値が小さい)逆極性ベース電流を出力する出力指令信号を溶接出力部102へ出力する。
溶接出力部102は、溶接制御部103からの出力指令信号に基づき、2次インバータの動作により正極性期間中は正極性期間として動作し、電極109から母材112へ電子が移動する方向に出力極性を切り替える。逆極性期間中は、逆極性期間として動作し、母材112から電極109へ電子が移動する方向に出力極性を切り替える。
また、溶接出力部102は、1次インバータの動作により、正極性ピーク期間中は正極性ピーク電流(例えば、400A)を出力し、正極性ベース期間中は正極性ベース電流(例えば、100A)を出力する。そして、溶接出力部102は、逆極性ピーク期間中は逆極性ピーク電流(例えば、−400A)を出力し、逆極性ベース期間中は逆極性ベース電流(例えば、−100A)を出力する。
溶接出力部102が出力する溶接電流や溶接電圧は、交流TIG溶接装置101に接続されている溶接トーチ110に給電され、タングステン等で構成されるTIG電極である電極109の先端とアルミニウム材等の溶接対象物である母材112との間でアーク111が発生し、交流TIG溶接を行う。
次に、図9を用いて、従来の交流TIG溶接中の動作及び溶接電流波形について説明する。
図9に示すように、短絡が発生した時点E1に至るまでは、正極性期間TENにおいて、正極性ピーク期間TP1が完了して正極性ベース期間TB1に移行した際に、溶接電流は、正極性ピーク電流IENP(例えば400A)から正極性ベース電流IENB(例えば100A)まで低下する。正極性ベース期間TB1が終了すると、溶接電流は、逆極性期間TEPに移行する。
また、逆極性期間TEPにおいて、逆極性ピーク期間TP2が完了して逆極性ベース期間TB2に移行した際に、溶接電流は、逆極性ピーク電流IEPP(例えば、−400A)から逆極性ベース電流IEPB(例えば、−100A)まで低下する。逆極性ベース期間TB2が終了すると、溶接電流は、正極性期間TENに移行する。
このように、極性反転の前に、目標指令値である正極性ベース電流IENBや逆極性ベース電流IEPBまで溶接電流が低下することで、極性反転の際の2次インバータのスイッチングにより発生するサージ電圧は低く抑えられる(例えば、300V程度)。これにより、溶接出力部102の2次インバータを構成する半導体素子が破損することがない。
次に、図9を用いて、従来の交流TIG溶接中に電極109と母材112の短絡が発生した場合の溶接電流波形の動作について説明する。
図9に示すように、短絡が発生した時点E1以降の短絡中での正極性期間TENにおいて、正極性ピーク期間が完了して正極性ベース期間に移行した際に、溶接電流が正極性ベース電流IENBとなるように指令がされていたとする。しかしながら、溶接電流は、正極性ピーク電流IENP(例えば、400A)から正極性ベース電流IENB(例えば、100A)まで低下できない。そして、溶接電流は、正極性ベース電流IENBよりも大きい極性反転前溶接電流IEN1(例えば、300A)までしか低下せず、極性反転前溶接電流IEN1(例えば、300A)の状態で逆極性期間に移行する。なお、この理由については後述する。
また、電極109と母材112の短絡が継続している場合、逆極性期間TEPにおいて、逆極性ピーク期間が完了して逆極性ベース期間に移行した際に、溶接電流は、逆極性ベース電流IEPBとなるように指令がされていたとする。しかしながら、溶接電流は、逆極性ピーク電流IEPP(例えば、−400A)から逆極性ベース電流IEPB(例えば、−100A)まで低下できない。そして、溶接電流は、逆極性ベース電流IEPBよりも大きい、極性反転前溶接電流IEP1(例えば、−300A)までしか低下せず、極性反転前溶接電流IEP1(例えば、−300A)の状態で正極性期間に移行する。なお、この理由について以下に示す。
例えば、逆極性ピーク電流IEPP(例えば、−400A)から逆極性ベース電流IEPB(例えば、−100A)まで溶接電流を急峻に上げる必要がある場合、溶接出力部102の1次インバータは停止し、溶接出力部102は電圧出力0Vを出力する。そのため、アーク中はアーク抵抗により溶接電流は急峻に増大する。しかし、電極109と母材112とが短絡している短絡中では、アーク抵抗が0となることで、溶接電流は急峻には増大しなくなる。そのため、極性反転前の溶接電流が、目標指令値の正極性ベース電流IENBや逆極性ベース電流IEPBまで増大することができない。
そして、このように電極109と母材112が短絡している短絡中では、目標指令値である正極性ベース電流IENBや逆極性ベース電流IEPBよりも高い絶対値の電流である極性反転前溶接電流IEN1や極性反転前溶接電流IEP1の状態で極性反転が発生する。そのため、2次インバータのスイッチングにより発生するサージ電圧が高くなり(例えば、600V程度)、2次インバータを構成する半導体素子が破損する恐れがある。
なお、交流TIG溶接装置101の出力側に延長ケーブルが接続されてケーブルが延長されて使用されるような場合(例えば、長さ40m)、ケーブルのもつインダクタンスが大きくなる。そのため発生するサージ電圧はさらに高くなり、半導体素子が破損する危険はより高くなる。
以上のように、従来技術では、交流TIG溶接の大電流が流れる作業中に電極109と母材112の短絡が発生すると、溶接電流の絶対値が急峻に低下することができないため、極性反転前の溶接電流の絶対値を目標指令値の正極性ベース電流IENBや逆極性ベース電流IEPBまで低下できない。そして、そのため、目標指令値である正極性ベース電流IENBや逆極性ベース電流IEPBよりも高い絶対値の電流である極性反転前溶接電流IEN1や極性反転前溶接電流IEP1の状態で極性反転が発生する。
従って、2次インバータのスイッチングにより発生するサージ電圧が高くなり(例えば、600V程度)、2次インバータを構成する半導体素子が破損するといった問題があった。
上述のように、従来の交流TIG溶接装置は、大電流(例えば、300A以上、500A以下の電流)が流れる作業中に電極と母材の短絡が発生すると、極性反転前に溶接電流が十分に低下できない状態で極性反転が行われる。このため、2次インバータのスイッチングにより発生するサージ電圧が高くなり、2次インバータを構成する半導体素子が破損する恐れがあるといった課題があった。
特開平2−235574号公報
本発明は、大電流が流れる溶接中に電極と母材との短絡が発生した場合でも、インバータを構成する半導体素子が破損することを抑制する高品質の交流TIG溶接方法を提供する。
上記課題を解決するために、本発明の交流TIG溶接方法は、正極性期間と逆極性期間とを交互に繰り返して溶接を行う交流TIG溶接方法であって、溶接中にTIG電極と溶接対象物との接触を検出し、上記TIG電極と上記溶接対象物とが接触している場合には、一方の極性期間から他方の極性期間への転流を禁止するものである。
以上のように、本発明によれば、溶接中にTIG電極と溶接対象物との接触が発生した場合でも、短絡中は極性反転を禁止することにより、極性反転時のスイッチングが原因となって発生するサージ電圧が発生しない。これにより、半導体素子が破損することを防ぐことができる高い品質の交流TIG溶接を実現できる。
図1は、本発明の実施の形態1における交流TIG溶接方法で用いる交流TIG溶接装置の概略構成を示す図である。 図2は、本発明の実施の形態1における交流TIG溶接方法において溶接電流波形の時間変化を示す図である。 図3は、本発明の実施の形態2における交流TIG溶接方法で用いる交流TIG溶接装置の概略構成を示す図である。 図4は、本発明の実施の形態2における交流TIG溶接方法において溶接電流波形の時間変化を示す図である。 図5は、本発明の実施の形態2における交流TIG溶接方法において溶接電流波形の時間変化を示す図である。 図6は、本発明の実施の形態3における交流TIG溶接方法で用いる交流TIG溶接装置の概略構成を示す図である。 図7は、本発明の実施の形態3における交流TIG溶接方法において溶接電流波形の時間変化を示す図である。 図8は、従来の交流TIG溶接装置の概略構成を示す図である。 図9は、従来の交流TIG溶接装置における溶接電流波形の時間変化を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。以下の図面においては、同じ構成要素については同じ符号を付しているので説明を省略する場合がある。
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態1における交流TIG溶接方法で用いる交流TIG溶接装置の概略構成を示す図であり、図2は、本実施の形態1における交流TIG溶接方法において溶接電流波形の時間変化を示す図である。図1のように構成された交流TIG溶接装置について、図2の溶接電流波形の時間変化を用いてその動作を説明する。
以下、逆極性期間と正極性期間とを交互に繰り返して溶接を行う非消耗電極式の交流TIG溶接装置を例として説明する。
図1に示すように、交流TIG溶接装置1は、溶接出力部2と、溶接制御部3と、電流検出部4と、電圧検出部5と、AS判定部6と、設定部7と、第1の計時部8と、を備えて構成されている。ここで、溶接出力部2は、溶接出力を行う。溶接制御部3は、溶接出力部2を制御する。電流検出部4は、溶接電流を検出する。電圧検出部5は、溶接電圧を検出する。AS判定部6は、電圧検出部5の検出結果に基づいて、電極9と母材12とが短絡している短絡状態であるのか、または、電極9と母材12との間でアークが発生しているアーク状態であるのかを検出する。設定部7は、溶接条件等を設定する。第1の計時部8は、時間を計時する。
そして、交流TIG溶接装置1は、電極9を備える溶接トーチ10と溶接対象物である母材12に電気的に接続されており、電極9と母材12との間に電力を供給することにより、電極9と母材12との間にアーク11を発生させるものである。
また、電流波形を示す図2において、TENは正極性期間、TEPは逆極性期間、TP1は正極性ピーク期間、TB1は正極性ベース期間、TP2は逆極性ピーク期間、TB2は逆極性ベース期間、TEN1は正極性期間中で短絡が発生するまでの期間を示している。
また、IENPは正極性ピーク電流、IEPPは逆極性ピーク電流、IENBは正極性ベース電流、IEPBは逆極性ベース電流、IEP2は溶接電流(短絡中の逆極性期間終了時の電流)、IEPBABSは逆極性ベース電流の絶対値、IEPPABSは逆極性ピーク電流の絶対値を示している。
また、E1は短絡発生した時点、E2はアーク再生した時点、E6は逆極性期間が完了した時点を示している。
図1において、交流TIG溶接装置1の溶接出力部2は、外部から給電される商用電源(3相200V等)を入力とし、溶接制御部3からの出力に基づいて溶接出力部2内の図示しない1次インバータ動作及び2次インバータ動作を行う。これにより、溶接出力部2は、正極性と逆極性とを適正に切り替えて溶接に適した溶接電圧や溶接電流を出力する。
1次インバータは、通常、PWM(Pulse Width Modulation)動作やフェーズシフト動作により駆動される図示しないIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)や、図示しないMOSFET(Metal−Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)や、図示しない1次整流ダイオードや、平滑用電解コンデンサや、電力変換用変圧器等で構成される。
また、2次インバータは、通常、図示しないIGBTを用いてハーフブリッジやフルブリッジで構成され、出力極性を切り替えるものである。
ここで、正極性とは、アークプラズマ中の電子の移動方向が、電極9から母材12へ向かう方向であり、電極9がマイナスであって母材がプラスの場合をいう。また、逆極性とは、アークプラズマ中の電子の移動方向が、母材12から電極9へ向かう方向であり、電極9がプラスであって母材12がマイナスの場合をいう。
CPU等で構成される設定部7は、正極性ピーク期間TP1(例えば、9.5msec)、正極性ベース期間TB1(例えば、0.5msec)、逆極性ピーク期間TP2(例えば、3.81msec)、逆極性ベース期間TB2(例えば、0.47msec)、正極性ピーク電流IENP(例えば、400A)、逆極性ピーク電流IEPP(例えば、−400A)、正極性ベース電流IENB(例えば、100A)、逆極性ベース電流IEPB(例えば、−100A)を設定し、溶接制御部3へ出力する。なお、設定は、各パラメータを作業者が入力するようにして設定するようにしても良いし、別途設定する設定電流(実効値あるいは平均値)や周波数に基づいてテーブルや数式等により自動的に設定されるようにしても良い。
CPU等で構成される第1の計時部8は、正極性期間の開始からの時間及び逆極性期間の開始からの時間を計時する。CT等で構成される電流検出部4は、溶接電流を検出する。
溶接制御部3は、設定部7の出力と、第1の計時部8が計時する経過時間と、電流検出部4が検出する溶接電流値に基づいて、正極性ピーク期間中は正極性ピーク電流を、正極性ベース期間中は正極性ピーク電流よりも低い正極性ベース電流を、逆極性ピーク期間中は逆極性ピーク電流を、逆極性ベース期間中は逆極性ピーク電流よりも低い(絶対値が小さい)逆極性ベース電流を出力する出力指令信号を溶接出力部2へ出力する。
溶接出力部2は、溶接制御部3からの出力指令信号に基づき、2次インバータの動作により正極性期間中は正極性期間として動作し、電極9から母材12へ電子が移動する方向に出力極性を切り替える。逆極性期間中は、逆極性期間として動作し、母材12から電極9へ電子が移動する方向に出力極性を切り替える。
また、溶接出力部2は、1次インバータの動作により、正極性ピーク期間中は正極性ピーク電流(例えば、400A)を出力し、正極性ベース期間中は正極性ベース電流(例えば、100A)を出力し、逆極性ピーク期間中は逆極性ピーク電流(例えば、−400A)を出力し、逆極性ベース期間中は逆極性ベース電流(例えば、−100A)を出力する。
溶接出力部2が出力する溶接電流や溶接電圧は、交流TIG溶接装置1に接続されている溶接トーチ10に給電され、タングステン等で構成されるTIG電極である電極9の先端とアルミニウム材等の溶接対象物である母材12との間でアーク11が発生し、交流TIG溶接を行う。
CT等で構成され交流TIG溶接装置1の出力端子間電圧を測定する電圧検出部5は、溶接電圧を検出する。
CPU等で構成されるAS判定部6は、電圧検出部5からの電圧検出信号を入力して電圧検出信号の絶対値を算出する。そして、電圧検出信号の絶対値が、アーク中と判定している間に予め設定される検出レベル(例えば、10V)に達した(低下した)場合を考える。この場合には、電極9と溶接対象物である母材12とが接触している(電極短絡もしくは短絡と呼ぶ)と判定し、AS信号を短絡判定(ローレベル)とする。また、短絡中と判定している間に予め設定される検出レベル(例えば、15V)に達した(増加した)場合を考える。この場合には、電極9と溶接対象物である母材12との接触(短絡)が開放してアークが発生した(アーク再生もしくはアーク中と呼ぶ)と判定し、AS信号をアーク判定(ハイレベル)とする。
溶接出力部2を制御する溶接制御部3は、短絡中か、または、アーク中かを示す、AS判定部6が出力するAS信号を入力する。AS信号が短絡判定(ローレベル)の場合は、溶接制御部3は、一方の極性期間から他方の極性期間への転流を行うタイミングになったとしても、一方の極性期間から他方の極性期間への転流を禁止するように溶接出力部2を制御する。そして、AS信号として短絡判定(ローレベル)が継続している場合には、転流禁止を維持する。
また、AS信号がアーク判定(ハイレベル)の場合で、一方の極性期間から他方の極性期間への転流を行うタイミングとなった場合には、溶接制御部3は、一方の極性期間から他方の極性期間への転流を可能とするように溶接出力部2を制御する。また、詳細は後述するが、短絡判定して転流禁止を維持した状態において、アーク判定となった場合にも、溶接制御部3は、一方の極性期間から他方の極性期間への転流を可能とするように溶接出力部2を制御する。
次に、図2を用いて、交流TIG溶接中に短絡が発生した場合に、一方の極性期間から他方の極性期間への転流を禁止する動作及び溶接電流波形について説明する。
図2において、短絡が発生した時点E1に至るまでは、正極性期間TENにおいて、正極性ピーク期間TP1が完了して正極性ベース期間TB1に移行した際に、溶接電流は、正極性ピーク電流IENP(例えば、400A)から正極性ベース電流IENB(例えば、100A)まで低下し、正極性ベース期間TB1が終了すると逆極性期間TEPに移行する。
また、逆極性期間TEPにおいて、逆極性ピーク期間TP2が完了して逆極性ベース期間TB2に移行した際に、溶接電流の絶対値は、逆極性ピーク電流IEPP(例えば、−400A)から逆極性ベース電流IEPB(例えば、−100A)まで低下し、逆極性ベース期間TB2が終了すると正極性期間TENに移行する。
図2に示す短絡が発生した時点E1以降の短絡中においては、正極性期間TENにおいて、正極性ピーク期間TP1が完了して正極性ベース期間TB1に移行して溶接電流を正極性ベース電流IENBとなるように指令がされていたとする。この場合でも、正極性ピーク電流IENP(例えば、400A)から正極性ベース電流IENB(例えば、100A)まで電流は低下できず、正極性ベース電流IENBよりも大きい、極性反転前溶接電流IEN2(例えば、300A)までしか低下せずに正極性期間TENが完了する。なお、電極9と母材12との短絡中に電流が低下し難い理由は、交流TIG溶接の大電流が流れる作業中に電極109と母材112の短絡が発生すると、溶接電流が急峻に低下することができないためである。この理由は、図9を用いて背景技術で説明したものと同様である。
そして、正極性期間TENの終了時点でも、時点E1から引き続き電極9と母材12とが短絡している状態であるので、AS判定部6は短絡判定しており、溶接制御部3は他方の極性期間への転流を禁止する。図2の場合では、正極性から逆極性の転流が禁止される。
このように、極性の転流が禁止されているため、高い電流状態で極性反転が行われることがなく、極性反転のための2次インバータのスイッチングにより発生するサージ電圧は発生しない。故に、2次インバータを構成する半導体素子が破損する恐れはない。
そして、図2に示すように、極性反転がないまま溶接指令は逆極性期間に移行する(実際の電流は極性反転無し)。このとき、逆極性ピーク電流(極性反転無し)には、逆極性ピーク電流の絶対値IEPPABS(例えば、400A)が適用される。また、逆極性ベース電流(極性反転無し)には、逆極性ベース電流の絶対値IEPBABS(例えば、100A)が適用される。
逆極性ピーク期間(極性反転無し)が完了して逆極性ベース期間(極性反転無し)に移行した際の溶接電流は、逆極性ベース電流IEPBABSとなるように指令がされていたとする。この場合でも、溶接電流は、逆極性ピーク電流の絶対値IEPPABS(例えば、400A)から逆極性ベース電流の絶対値IEPBABS(例えば、100A)まで低下できない。そして、溶接電流は、逆極性ベース電流の絶対値IEPBABSよりも大きい値である極性反転前溶接電流IEP2(例えば、300A)までしか低下せず、この状態で正極性期間TENに移行する。
このとき、時点E1から引き続き電極9と母材12とが短絡している状態であるので、AS判定部6は短絡判定しており、溶接制御部3は他方の極性期間への転流を禁止する。
そして、このように極性の転流が禁止されているため、電流が高い状態で極性反転が行われることがなく、極性反転のための2次インバータのスイッチングにより発生するサージ電圧は発生しない。故に、2次インバータを構成する半導体素子が破損する恐れはない。
次に、図2を用いて、交流TIG溶接中に短絡が発生して転流禁止を継続しており、その後、短絡が開放してアークが発生(アーク再生)した場合に、一方の極性期間から他方の極性期間への転流を可能とする動作及び溶接電流波形について説明する。
図2に示すアーク再生した時点E2において、電極9と母材12との短絡が開放してアークが発生した状態となったので、AS判定部6はアーク判定となり、転流を可能とする。
溶接制御部3は、正極性期間と逆極性期間とを予め決められた所定のタイミングで繰り返す基準タイミングの電流波形となるように電流を制御する。
ここでは、アーク再生した時点E2の次回の正極性から逆極性への転流の基準タイミングを待ち、正極性期間TENが完了した時点E5において、正極性から逆極性に転流するように溶接制御部3が溶接出力部2を制御することで転流を行う。
なお、時点E5は既にアーク中であり、逆極性への転流前の電流は、図2に示すように十分低下するため、2次インバータのスイッチングによるサージ電圧の問題は発生しない。
なお仮に、図2に示す時点E4でアークが再生した場合には、逆極性期間TEPが完了した時点E6では転流させずに、次回の正極性から逆極性への転流の基準タイミングを待ち、正極性期間TENが完了した時点E5において転流させるように制御する。
以上のように、溶接中にTIG電極である電極9と溶接対象物である母材12とが短絡していることを検出して短絡判定している場合に、一方の極性期間から他方の極性期間へ転流することを禁止する。これにより、高い電流の状態で極性反転することを防ぎ、極性反転の際の2次インバータのスイッチングにより発生する高いサージ電圧が発生することを抑制することができる。その結果、2次インバータを構成する半導体素子が破損することを防ぐことができる。
また、2次インバータの破損保護の目的のため、交流TIG溶接装置に過電圧保護回路が設置されている場合、従来の交流TIG溶接装置101では、電極109と母材112との短絡時にも転流を行うので高いサージ電圧が発生し易い。そのために、過電圧保護回路が動作して交流TIG溶接装置101が停止し易くなり、溶接作業効率が低下する。しかし、本実施の形態1の交流TIG溶接装置1では、電極9と母材12との短絡時には転流を禁止するので高いサージ電圧が発生することを抑制できる。そのために、過電圧保護回路が動作して交流TIG溶接装置1が停止してしまうことを抑制でき、溶接作業効率が低下することを防ぐことができる。
すなわち、本発明の交流TIG溶接方法は、正極性期間と逆極性期間とを交互に繰り返して溶接を行う交流TIG溶接方法であって、溶接中にTIG電極と溶接対象物との接触を検出し、TIG電極と溶接対象物とが接触している場合(短絡している場合)には、一方の極性期間から他方の極性期間への転流を禁止するものである。
この方法により、短絡中は極性反転を禁止することにより、極性反転時のスイッチングが原因となって発生するサージ電圧が発生しない。これにより、半導体素子が破損することを防ぐことができる高い品質の交流TIG溶接を実現できる。
また、溶接中にTIG電極と溶接対象物との接触を検出した後、TIG電極と溶接対象物との接触が開放してアークが発生するまでは、TIG電極と溶接対象物とが接触した時点の電流を維持する方法としてもよい。
この方法により、高い電流状態で極性反転が行われることがなく、極性反転のための2次インバータのスイッチングにより発生するサージ電圧は発生しない。これにより、2次インバータを構成する半導体素子が破損する恐れはない。
また、溶接中にTIG電極と溶接対象物との接触を検出すると、TIG電極と溶接対象物との接触を検出した時点の電流値よりも低い電流値に電流を低減する方法としてもよい。
この方法により、高い電流状態で極性反転が行われることがなく、極性反転のための2次インバータのスイッチングにより発生するサージ電圧は発生しない。これにより、2次インバータを構成する半導体素子が破損する恐れはない。
また、溶接中にTIG電極と溶接対象物との接触を検出した後に、TIG電極と溶接対象物との接触の開放を検出すると、一方の極性期間から他方の極性期間への転流を可能とする方法としてもよい。
この方法により、高い電流の状態で極性反転することを防ぎ、極性反転の際の2次インバータのスイッチングにより発生する高いサージ電圧が発生することを抑制することができる。その結果、2次インバータを構成する半導体素子が破損することを防ぐことができる。
また、溶接中にTIG電極と溶接対象物との接触を検出した後に、TIG電極と溶接対象物との接触の開放を検出すると、予め決められている正極性期間と逆極性期間の基準タイミングの電流波形となるように電流を制御する方法としてもよい。
この方法により、高い電流の状態で極性反転することを防ぎ、極性反転の際の2次インバータのスイッチングにより発生する高いサージ電圧が発生することを抑制することができる。その結果、2次インバータを構成する半導体素子が破損することを防ぐことができる。
なお、本実施の形態1では、正極性期間に短絡が発生した場合を例にして説明したが、逆極性期間に短絡が発生した場合にも同様の制御を行うことで同様の効果を奏することができる。
(実施の形態2)
図3は本発明の実施の形態2における交流TIG溶接装置の概略構成を示す図であり、図4は本発明の実施の形態2における溶接電流波形の時間変化を示す図であり、図5は本発明の実施の形態2における溶接電流波形の時間変化を示す図である。
本実施の形態2では、逆極性期間と正極性期間とを交互に繰り返して溶接を行う非消耗電極式の交流TIG溶接装置を例にして説明する。図3に示すような構成を有する交流TIG溶接装置について、図4と図5の溶接電流波形を用いてその動作を説明する。
図3において、交流TIG溶接装置21は、電極9と母材12とが短絡している時の電流を設定するための短絡中低減電流設定部13を備えている。この短絡中低減電流設定部13を備えている点が、実施の形態1の図1に示す交流TIG溶接装置1と異なる点である。
また、図4と図5において、ISは、電極9と母材12が短絡している時の電流である短絡中低減電流を示している。
図3において、CPU等で構成される短絡中低減電流設定部13は、AS判定部6の出力であるAS信号と電流検出部4の出力である電流信号を入力し、電極9と母材12との短絡を検出した時点の電流値よりも低い電流値である短絡中低減電流ISを設定する。
溶接制御部3は、AS判定部6の出力であるAS信号と、短絡中低減電流設定部13の出力を入力し、電極9と母材12との短絡中は、短絡中低減電流ISとなるように溶接電流を制御する。
なお、本実施の形態2の交流TIG溶接装置21では、短絡を検出した時点の電流検出部4による出力電流に基づいて短絡中低減電流ISを算出設定する。なお、溶接制御部3が保持する溶接電流指令から短絡中低減電流ISを算出設定するようにしても良い。
また、予め設定される電流値(例えば、100A)と短絡を検出した時点の溶接電流値との低い方を設定するようにしても良く、予め設定される1より小さい係数(例えば、0.5)と短絡を検出した時点の溶接電流値とを乗算した値を設定するようにしても良い。
次に、図4を用いて、交流TIG溶接中の時点E1において電極9と母材12との短絡が発生した場合に、一方の極性期間から他方の極性期間への転流を禁止する動作及び溶接電流波形について説明する。
図4に示す短絡が発生した時点E1において、AS判定部6は電極9と母材12との短絡を検出して短絡判定する。溶接制御部3はAS判定部6の出力に基づいて一方の極性期間である短絡を検出した時点の極性期間から他方の極性期間への転流を禁止する。図4の例では、正極性から逆極性への転流が禁止される。
電極9と母材12との短絡中は、短絡を検出した時点の電流値(図4の場合には正極性ピーク電流IENPである400A)よりも低い電流値であり、短絡中低減電流設定部13により設定された短絡中低減電流IS(例えば、100A)に低減するように、溶接電流は溶接制御部3により制御される。
次に、図4を用いて、短絡が発生して転流を禁止している状態でアークが再生した場合に、転流を許可する動作及び溶接電流波形について説明する。
図4に示すアークが再生した時点E2において、AS判定部6はアーク判定となり、転流が許可され、短絡を検出した極性期間(ここでは正極性期間TEN)とは反対の極性期間(逆極性期間TEP)の開始からの電流波形から電流制御を開始するように、溶接電流が溶接制御部3により制御される。
なお、アーク再生した時点E2以降の電流の制御に関し、図5に示すように、アーク再生した時点E2において、短絡を検出した極性期間(ここでは正極性期間TEN)の開始からの電流波形から電流制御を開始するように溶接制御部3により溶接電流が制御されるようにしてもよい。
以上のように、本実施の形態によれば、溶接中に短絡判定した場合に、他方の極性期間への転流を禁止することで、実施の形態1と同様に、極性反転の際の2次インバータのスイッチングにより発生する高いサージ電圧の発生を抑制する。これにより、2次インバータを構成する半導体素子が破損することを防ぐことができる。
また、短絡継続中は、短絡検出時の電流よりも低い短絡中低減電流ISに電流を低減することで、不要な電極の消耗や損傷を防ぐことができる。
また、アーク再生直後に通常の交流溶接に移行するため、正常溶接状態への復帰が早く、溶接欠陥が発生しにくい。
すなわち、本発明の交流TIG溶接方法は、正極性期間と逆極性期間とを交互に繰り返して溶接を行う交流TIG溶接方法であって、溶接中にTIG電極と溶接対象物との接触を検出し、TIG電極と溶接対象物とが接触している場合(短絡している場合)には、一方の極性期間から他方の極性期間への転流を禁止する方法としている。そして、溶接中にTIG電極と溶接対象物との接触を検出した後に、TIG電極と溶接対象物との接触の開放を検出すると、一方の極性期間から他方の極性期間への転流を可能とする方法としている。そして、溶接中にTIG電極と溶接対象物との接触を検出した後に、TIG電極と溶接対象物との接触の開放を検出すると、TIG電極と溶接対象物との接触を検出した極性期間の開始からの電流波形と同じ電流波形となるように電流を制御する方法としてもよい。
この方法により、極性反転の際の2次インバータのスイッチングにより発生する高いサージ電圧の発生を抑制する。これにより、2次インバータを構成する半導体素子が破損することを防ぐことができる。
また、溶接中にTIG電極と溶接対象物との接触を検出した後に、TIG電極と溶接対象物との接触の開放を検出すると、TIG電極と溶接対象物との接触を検出した極性期間とは反対の極性期間の開始からの電流波形と同じ電流波形となるように電流を制御する方法としてもよい。
この方法により、極性反転の際の2次インバータのスイッチングにより発生する高いサージ電圧の発生を抑制する。これにより、2次インバータを構成する半導体素子が破損することを防ぐことができる。
なお、本実施の形態2では、正極性期間に短絡が発生した場合を例にして説明したが、逆極性期間に短絡が発生した場合にも同様の制御を行うことで同様の効果を奏することができる。
(実施の形態3)
図6は本発明の実施の形態3における交流TIG溶接装置の概略構成を示す図であり、図7は本発明の実施の形態3における溶接電流波形の時間変化を示す図である。
本実施の形態3では、逆極性期間と正極性期間とを交互に繰り返して溶接を行う非消耗電極式の交流TIG溶接装置を例にして説明する。図6に示すような構成を有する交流TIG溶接装置31について、図7の溶接電流波形を用いてその動作を説明する。
図6において、交流TIG溶接装置31は、短絡発生時溶接出力停止時間設定部14と、短絡が発生してからの時間を計時する第2の計時部15を備えている。この短絡発生時溶接出力停止時間設定部14と第2の計時部15を備えている点が、実施の形態1の図1に示す交流TIG溶接装置1と異なる点である。
また、図7において、TRESは、短絡発生時に溶接出力を停止する時間を示している。E3は、短絡発生からTRES経過した時点を示している。
図6において、CPU等で構成される短絡発生時溶接出力停止時間設定部14は、短絡が発生してからの経過時間の閾値であり、溶接中に電極9と母材12との接触が所定の期間継続した場合には、溶接出力を停止する所定期間である短絡発生時溶接出力停止時間TRESを設定する。CPU等で構成される第2の計時部15は、短絡が発生してからの時間を計時する。
溶接制御部3は、AS判定部6、短絡発生時溶接出力停止時間設定部14および第2の計時部15の出力を入力する。溶接中に電極9と母材12との接触(短絡)が所定の期間である短絡発生時溶接出力停止時間TRES(例えば、1sec)の間継続した場合には、溶接制御部3は、溶接出力部2を制御して溶接出力を停止する。
次に、図7を用いて、交流TIG溶接中に時点E1で電極9と母材12との短絡が発生した場合に、一方の極性期間から他方の極性期間への転流を禁止する動作及び溶接電流波形について説明する。
図7に示す短絡が発生した時点E1において、電圧検出部5の出力に基づいてAS判定部6は、電極9と母材12とが短絡したことを検出して短絡判定する。そうすると溶接制御部3は、AS判定部6の出力に基づいて他方の極性期間への転流を禁止する。図7の例では、正極性から逆極性への転流が禁止される。
電極9と母材12との短絡を検出した後、電極9と母材12との短絡が開放してアークが発生するまでは、溶接制御部3は、短絡が発生した時点E1での電流値(ここでは、正極性ピーク電流IENPの値)を維持するように溶接電流を制御する。
なお、溶接制御部3は、AS判定部6、短絡発生時溶接出力停止時間設定部14および第2の計時部15との出力を入力し、短絡が発生した時点E1から、短絡発生時溶接出力停止時間TRES(例えば、1sec)の間短絡が継続した場合には、溶接出力を停止する。
このように、長時間の短絡が発生した場合に、異常として判定し、溶接出力を停止する。これにより、異常な短絡電流が継続して流れ続けることが無く、安全に溶接作業をすることができる。
以上のように、本実施の形態3によれば、溶接中に短絡判定した場合に、他方の極性期間への転流を禁止する。これにより、極性反転の際の2次インバータのスイッチングにより発生する高いサージ電圧の発生を防ぎ、2次インバータを構成する半導体素子が破損することを防ぐことができる。
すなわち、本発明の交流TIG溶接方法は、正極性期間と逆極性期間とを交互に繰り返して溶接を行う交流TIG溶接方法であって、溶接中にTIG電極と溶接対象物との接触を検出し、TIG電極と溶接対象物とが接触している場合(短絡している場合)には、一方の極性期間から他方の極性期間への転流を禁止する方法としている。そして、溶接中にTIG電極と溶接対象物との接触が所定の期間継続した場合には、溶接出力を停止する方法としてもよい。
この方法により、異常な短絡電流が継続して流れ続けることが無く、安全に溶接作業をすることができる。
なお、短絡発生時溶接出力停止時間TRESは、予め設定される固定値でもよく、出力溶接電流に基づいた値としてもよい。なお、本実施の形態3では、正極性期間に短絡が発生した場合を例にして説明したが、逆極性期間に短絡が発生した場合にも同様の制御を行うことで同様の効果を奏することができる。
以上のように、本願発明は、大電流による溶接中に電極と溶接対象物との接触が発生した場合でも、短絡中は出力極性反転を禁止する。これにより、極性反転のスイッチングで発生するサージ電圧が発生することがないとともに半導体素子が破損することを防ぐことができる。したがって、例えば交流TIG溶接施工を行う自動車業界や建設業界といった、特にアルミニウム材やマグネシウム材を用いた生産を行う業界における交流TIG溶接方法として産業上有用である。
1,21,31 交流TIG溶接装置
2 溶接出力部
3 溶接制御部
4 電流検出部
5 電圧検出部
6 AS判定部
7 設定部
8 第1の計時部
9 電極
10 溶接トーチ
11 アーク
12 母材
13 短絡中低減電流設定部
14 短絡発生時溶接出力停止時間設定部
15 第2の計時部

Claims (8)

  1. 正極性期間と逆極性期間とを交互に繰り返して溶接を行う交流TIG溶接方法であって、溶接中にTIG電極と溶接対象物との接触を検出し、
    前記TIG電極と前記溶接対象物とが接触している場合には、一方の極性期間から他方の極性期間への転流を禁止する交流TIG溶接方法。
  2. 溶接中に前記TIG電極と前記溶接対象物との接触を検出した後、前記TIG電極と前記溶接対象物との接触が開放してアークが発生するまでは、前記TIG電極と前記溶接対象物とが接触した時点の電流を維持する請求項1記載の交流TIG溶接方法。
  3. 溶接中に前記TIG電極と前記溶接対象物との接触を検出すると、前記TIG電極と前記溶接対象物との接触を検出した時点の電流値よりも低い電流値に電流を低減する請求項1記載の交流TIG溶接方法。
  4. 溶接中に前記TIG電極と前記溶接対象物との接触を検出した後に、前記TIG電極と前記溶接対象物との接触の開放を検出すると、一方の極性期間から他方の極性期間への転流を可能とする請求項1から3のいずれか1項に記載の交流TIG溶接方法。
  5. 溶接中に前記TIG電極と前記溶接対象物との接触を検出した後に、前記TIG電極と前記溶接対象物との接触の開放を検出すると、前記TIG電極と前記溶接対象物との接触を検出した極性期間における通常の波形と同じ電流波形となるように電流を制御する請求項4記載の交流TIG溶接方法。
  6. 溶接中に前記TIG電極と前記溶接対象物との接触を検出した後に、前記TIG電極と前記溶接対象物との接触の開放を検出すると、前記TIG電極と前記溶接対象物との接触を検出した極性期間とは反対の極性期間の開始からの電流波形と同じ電流波形となるように電流を制御する請求項4記載の交流TIG溶接方法。
  7. 溶接中に前記TIG電極と前記溶接対象物との接触を検出した後に、前記TIG電極と前記溶接対象物との接触の開放を検出すると、予め決められている正極性期間と逆極性期間の基準タイミングの電流波形となるように電流を制御する請求項4記載の交流TIG溶接方法。
  8. 溶接中に前記TIG電極と前記溶接対象物との接触が所定の期間継続した場合には、溶接出力を停止する請求項1から7のいずれか1項に記載の交流TIG溶接方法。
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