JP5427968B1 - 銅合金板および、それを備える放熱用電子部品 - Google Patents

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Abstract

【課題】高強度、高導電性および優れた加工性を兼ね備えた銅合金および、それを備える放熱用電子部品を提供する。
【解決手段】本発明の銅合金板は、0.01〜0.5質量%のFeを含有し、さらにPを含有し、このPの質量%濃度(%P)に対するFeの質量%濃度(%Fe)の割合(%Fe/%P)を1.0〜6.0とし、残部が銅およびその不可避的不純物から成り、65%IACS以上の導電率、および400MPa以上の0.2%耐力を有し、かつ、圧延方向に対し、平行な方向、直角な方向および、45°をなす方向のそれぞれのランクフォード値をr0、r90、r45としたときに、(r0+r90+2×r45)/4で定義される板厚異方性rが1.2以上であるものである。
【選択図】なし

Description

本発明は、放熱性、導電性および絞り加工性に優れる銅合金板に関し、詳細には端子、コネクタ、リレー、スイッチ、ソケット、バスバー、リードフレームなどの電子部品用途、特に、スマートフォンやパソコンなどに用いられる放熱性部品および高電流部品の用途に好適な銅合金板に関する。
スマートフォン、タブレットPCおよびパソコン等の電機・電子機器等には、端子、コネクタ、スイッチ、ソケット、リレー、バスバー、リードフレーム等の電気接続を得るための部品が組み込まれている。
近年、スマートフォン、タブレットPCおよびパソコンの小型化に伴い、電気・電子機器内の液晶部品またはICチップ等に通電した際の蓄熱が大きくなる傾向がある。蓄熱が大きい状態はICチップや基盤への熱的損傷が大きいため、放熱部品の放熱性が問題になっている。
従来、スマートフォン、タブレットPCおよびパソコン等の電気・電子機器内の放熱部品にはオーステナイト系ステンレス鋼および純アルミニウム等が主に使用されてきた。例えばスマートフォンやタブレットPCの液晶に付属の放熱部品(液晶フレーム)には、高い放熱性に加えて構造体としての強度および液晶への固定に必要な曲げ性または絞り加工性が求められている。
オーステナイト系ステンレス鋼は曲げ性および絞り加工性は良好であるが、熱伝導性が低く、それを補うため高価な熱伝導シート等を併用している。そのため放熱部品の単価が高くなる。一方、純アルミニウムおよびアルミニウム合金では曲げ性および絞り加工性は良好であるが熱伝導性および構造体としての強度が足りていない。
これに対し、銅合金のなかでもCu−Fe−P系合金は、熱伝導性と比例関係にあることが知られている導電率が比較的高く、しかも所要の強度を有するとともに、安価に製造できることから、特に、例えばJIS合金番号C1921(Cu−0.1質量%Fe−0.03質量%P)、C1940(Cu−2.4質量%Fe−0.1質量%P−0.1質量%Zn)等が、上記のような電気・電子機器の放熱部品としての実用に供されている。Cu−Fe−P系合金の改良技術は、例えば特許文献1〜5に開示されている。
特開2004−099978号公報 特開2005−139501号公報 特開2005−206891号公報 特開2006−083465号公報 特開2007−031794号公報
しかし、従来のCu−Fe−P合金では強度および熱伝導特性は高いものの、要求される曲げ性または絞り加工性、場合によってはその両方を満たしていなかった。
したがって、Cu−Fe−P合金で、強度および導電率を維持したまま曲げ性および絞り加工性を改善することは、工業的に極めて意義深いといえる。
そこで、本発明は、高強度、高導電および優れた絞り加工性および曲げ加工性を兼ね備えた銅合金板および、それを備える放熱用電子部品を提供することを課題とする。
本発明者らは、Cu−Fe−P系合金において、面内の3つの方位で測定したランクフォード値から求めた板厚異方性の値を制御することにより、絞り加工性および曲げ加工性が向上することを見出した。
以上の知見を背景に、以下の発明を完成させた。
本発明の銅合金板は、0.01〜0.5質量%のFeを含有し、さらにPを含有し、このPの質量%濃度(%P)に対するFeの質量%濃度(%Fe)の割合(%Fe/%P)を1.0〜6.0とし、残部が銅およびその不可避的不純物から成り、65%IACS以上の導電率、および400MPa以上の0.2%耐力を有し、かつ、圧延方向に対し、平行な方向、直角な方向および、45°をなす方向のそれぞれのランクフォード値をそれぞれr0、r90、r45としたときに、(r0+r90+2×r45)/4で定義される板厚異方性rが1.2以上としたものである。
本発明の銅合金板では、W曲げ試験における圧延平行方向(GW方向)および圧延直角方向(BW方向)の最小曲げ半径/板厚(MBR/t)が、MBR/t≦2.0で与えられるものとすることが好ましい。
なお、本発明の銅合金板では、0.5質量%以下のSnをさらに含有すること、1.0質量%以下のZnをさらに含有することがそれぞれ好ましく、また、Ag、Co、Ni、Cr、Mn、Mg、SiおよびBからなる群から選ばれる一種以上の元素を2.0質量%以下でさらに含有することが好ましい。
また、本発明の放熱用電子部品は、上記の何れかの銅合金板を備えるものである。
本発明によれば、高強度、高導電性および優れた絞り加工性を兼ね備えた銅合金板を提供することが可能である。この銅合金板は、端子、コネクタ、スイッチ、ソケット、リレー、バスバー、リードフレーム等の電子部品の素材として好適に使用することができ、スマートフォンやパソコンなどに用いられる放熱性部品および高電流部品の用途に好適な銅合金に関する。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の一実施形態に係る銅合金板は、0.01〜0.5質量%のFeおよび、Pを含有し、このPの質量%濃度(%P)に対するFeの質量%濃度(%Fe)の割合(%Fe/%P)を1.0〜6.0とし、残部が銅および不可避的不純物からなる組成を有するものであり、この銅合金板で、導電率を65%IACS以上とし、0.2%耐力を400MPa以上とし、ランクフォード値から求めた板厚異方性を1.2以上に調整する。このような特性を兼ね備える本発明の銅合金板は、放熱用電子部品の用途に好適である。
(合金成分濃度)
Fe濃度は0.01〜0.5質量%とする。Feが0.5質量%を超えると、65%IACS以上の導電率を得ることが難しくなる。Feが0.01質量%未満になると、400MPa以上の0.2%耐力を得ることが難しくなる。このような観点から、Fe濃度は0.05〜0.5とすることが好ましい。
本発明の銅合金には、Feに加えPを添加する。そして、このPの質量%濃度(%P)とFeの質量%濃度(%Fe)との比(%Fe/%P)が1.0〜6.0、好ましくは2.0〜5.0となるように調整する。%Fe/%Pをこのように調整することで、より高い導電率が得られる。
より具体的には、P濃度は0.01〜0.3質量%とすることが好ましい。Pには合金の製造プロセスにおいて、溶湯を脱酸する効果がある。また、Feと化合物を形成することにより、合金の導電率や強度を高める効果がある。
本発明のCu−Fe−P系合金には、0.5質量%以下のSnを添加することができる。Snには圧延の際の合金の加工硬化を促進し、合金の強度を改善する効果がある。
Snが0.5質量%を超えると、導電率の低下が大きくなる。Sn添加の効果を得るためには、Snの添加量を0.001質量%以上にすることが好ましい。より好ましいSn濃度の範囲は0.005〜0.3質量%、さらに好ましいSn濃度の範囲は0.01〜0.1質量%である。
なお、Snは溶銅中で酸化物を形成しにくいため、0.5質量%以下の濃度で添加する限り、Sn添加が合金の製造性や品質を悪化させることはない。
また、本発明のCu−Fe−P系合金には、Snめっきの耐熱剥離性を改善するために、1.0質量%以下のZnを添加することができる。Znが1.0質量%を超えると、導電率の低下が大きくなる。Zn添加の効果を得るためには、Znの添加量を0.001質量%以上にすることが好ましい。より好ましいZn濃度の範囲は0.01〜0.5質量%である。Znについても溶銅中で酸化物を形成しにくいため、1.0質量%以下の濃度で添加する限り、合金の製造性や品質を悪化させることはない。
さらに、本発明のCu−Fe−P系合金には、強度や耐熱性を改善するために、Ag、Co、Ni、Cr、Mn、Mg、SiおよびBからなる群から選ばれる一種以上の元素をさらに含有することができる。ただし、添加量が多すぎると、導電率が低下したり、製造性が悪化したりするので、添加量は総量で2.0質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以下に制限される。また、添加による効果を得るためには、添加量を総量で0.001質量%以上にすることが好ましい。
(導電率)
本発明では、JIS H0505に準拠して測定した導電率を65%IACS以上とする。導電率が65%IASC以上であれば、熱伝導率が良好であり、良好な放熱性を確保できる。
(0.2%耐力)
本発明では、銅合金板の0.2%耐力を400MPa以上とすることとし、この場合は、銅合金板が、構造材の素材として必要な強度を有しているといえる。
(絞り加工性)
試験片の圧延平行、直角、45°方向に、それぞれ2.5%の伸び歪を加え、試験片の長さおよび幅方向の寸法変化から、各方向のランクフォード値であるr0、r90、r45を求め、r=(r0+r90+2×r45)/4で定義される板厚異方性rを算出した。この板厚異方性rは、一般に値が大きいほど絞り加工性が良好であることが知られている。また、一般伸銅品の板厚異方性rは0.8〜1.1程度であり、この値が1.2以上となるように調整することで、優れた絞り加工性が得られる。
ここでいうランクフォード値は、JIS Z2254に規定されるものであり、上記の各ランクフォード値r0、r90、r45を測定するに当っては、JIS Z2254に準拠して行うものとする。ただし、本発明品は構造材として必要な強度を維持するため伸びが低く、負荷ひずみを2.5%としている。
(厚み)
製品の厚み、つまり板厚(t)は0.05〜2.0mmであることが好ましい。厚みが小さすぎると、十分な放熱性が得られなくなるため、放熱用電子部品の素材として不適である。一方で、厚みが大きすぎると、絞り加工および曲げ加工が困難になる。このような観点から、より好ましい厚みは0.08〜1.5mmである。厚みが上記範囲となることにより、放熱性に優れ、かつ、曲げ加工性を良好なものとすることができる。
(曲げ加工性)
銅合金板の最小曲げ半径(MBR)を、JIS H3130に準拠して測定するものとし、上記の板厚(t)に対する、この最小曲げ半径(MBR)の割合(MBR/t)は、2.0以下とすることが、良好な曲げ性を確保するとの観点から好ましい。より好ましくは、MBR/tを1.8以下とする。
(製造方法)
以下、本発明に係る銅合金板の好適な製造方法の一例について説明する。
純銅原料として電気銅等を溶解し、Fe、Pおよび必要に応じ他の合金元素を添加し、厚み30〜300mm程度のインゴットに鋳造する。このインゴットを例えば800〜1000℃の熱間圧延により厚み3〜30mm程度の板とした後、冷間圧延と再結晶焼鈍とを繰り返し、最終の冷間圧延で所定の製品厚みに仕上げ、最後に歪取り焼鈍を施す。最終冷間圧延後の伸びは、2%に満たないほど低いが、その後の歪取焼鈍により上昇する。
再結晶焼鈍では、圧延組織の一部または全てを再結晶化させる。また、適当な条件で焼鈍することにより、FeまたはFeとPとの化合物が析出し、合金の導電率が上昇する。
最終冷間圧延前の再結晶焼鈍では、銅合金板の平均結晶粒径を50μm以下に調整する。平均結晶粒径が大きすぎると、0.2%耐力を400MPa以上に調整することが難しくなる。
最終冷間圧延前の再結晶焼鈍の条件は、目標とする焼鈍後の結晶粒径および目標とする製品の導電率に基づき決定する。具体的には、バッチ炉または連続焼鈍炉を用い、炉内温度を350〜800℃として焼鈍を行えばよい。バッチ炉では350〜600℃の炉内温度において30分から30時間の範囲で加熱時間を適宜調整すればよい。連続焼鈍炉では450〜800℃の炉内温度において5秒から10分の範囲で加熱時間を適宜調整すればよい。一般的にはより低温でより長時間の条件で焼鈍を行うと、同じ結晶粒径でより高い導電率が得られる。
最終冷間圧延では、一対の圧延ロール間に材料を繰り返し通過させ、目標の板厚に仕上げてゆく。最終冷間圧延の総加工度を制御する。
総加工度R(%)は、R=(t0−t)/t0×100(t0:最終冷間圧延前の板厚、t:最終冷間圧延後の板厚)で与えられる。
総加工度Rは40〜99%、好ましくは45〜98.5、より好ましくは50〜98とする。Rが小さすぎると、0.2%耐力を400MPa以上に調整することが難しく、Rが大きすぎると、圧延材のエッジが割れることがある。
本発明の歪取焼鈍は、炉内で銅合金板を平板状に保持することができる連続焼鈍炉を用いて行う。バッチ炉の場合、コイル状に巻き取った状態で材料を加熱するため、加熱中に材料が塑性変形を起こし材料に反りが生じる。したがって、バッチ炉は本発明の歪取焼鈍に不適である。
圧延後の歪取焼鈍では、連続焼鈍炉内において材料に負荷される張力を1〜5MPa、より好ましくは2〜4MPaに調整する。張力が大きすぎると、板厚異方性rが低下し、1.2以上に調整することが困難となる。一方、張力が小さすぎると、焼鈍炉を通過中の材料が炉壁と接触して材料表面やエッジに傷が付くなど、生産性の低下を引き起こす可能性がある。
連続焼鈍炉において、炉内温度を300〜700℃、好ましくは350〜650℃とし、5秒から10分の範囲で加熱時間を適宜調整し、歪取焼鈍後の0.2%耐力(σ)を歪取焼鈍前の0.2%耐力(σ0)に対し10〜50MPa低い値、好ましくは15〜45MPa低い値に調整する。これにより、最終冷間圧延上がりにおいて低かった伸びが上昇するとともに、曲げ性が改善する。
本発明は、上述の歪取焼鈍に加えて、ランクフォード値から求めた板厚異方性r≧1.2なる特徴をCu−Fe−P系合金に付与することにより、絞り加工性および曲げ加工性を改善することを一つの特徴としているが、そのための製造条件を整理して示すと、以下の通りである。
a.歪取焼鈍において、(σ0−σ)=10〜50MPaに調整する。
b.歪取焼鈍における炉内張力を5MPa以下に調整する。
c.仕上圧延の総加工度を99%以下にする。
以上のようにして製造された銅合金板は、様々な板厚の伸銅品に加工されて、たとえば、スマートフォン、タブレットPCおよびパソコン等の電気・電子機器内の放熱用電子部品等として用いることができる。
以下に本発明の実施例を比較例と共に示すが、これらの実施例は本発明及びその利点をよりよく理解するために提供するものであり、発明が限定されることを意図するものではない。
溶銅に合金元素を添加した後、厚みが200mmのインゴットに鋳造した。インゴットを950℃で3時間加熱し、950℃で熱間圧延により厚み15mmの板にした。熱間圧延板表面の酸化スケールをグラインダーで研削、除去した後、焼鈍と冷間圧延を繰り返し、最終の冷間圧延で所定の製品厚みに仕上げた。最後に連続焼鈍炉を用い歪取焼鈍を行った。
最終冷間圧延前の焼鈍(最終再結晶焼鈍)は、バッチ炉を用い、加熱時間を5時間とし炉内温度を300〜700℃の範囲で調整し、焼鈍後の結晶粒径と導電率を変化させた。焼鈍後の結晶粒径の測定においては、圧延方向に直角な断面を鏡面研磨後に化学腐食し、切断法(JIS H0501(1999年))により平均結晶粒径を求めた。
最終冷間圧延では、総加工度および1パスあたりの加工度を制御した。また、最終冷間圧延後の材料の0.2%耐力を求めた。
連続焼鈍炉を用いた歪取り焼鈍では、炉内温度を500℃とし加熱時間を1秒から15分の間で調整し、焼鈍後の0.2%耐力を種々変化させた。また、炉内において材料に付加する張力を種々変化させた。なお、一部の材料については歪取焼鈍を省略した。
製造途中の材料および歪取焼鈍後の材料につき、次の測定を行った。
(成分)
歪取焼鈍後の材料の合金元素濃度をICP−質量分析法で分析した。
(0.2%耐力)
最終冷間圧延後および歪取焼鈍後の材料につき、JIS Z2241に規定する13B号試験片を引張方向が圧延方向と平行になるように採取し、JIS Z2241に準拠して圧延方向と平行に引張試験を行い、0.2%耐力を求めた。
(導電率)
歪取焼鈍後の材料から、試験片の長手方向が圧延方向と平行になるように試験片を採取し、JIS H0505に準拠し四端子法により20℃での導電率を測定した。
(板厚異方性)
試験片の圧延平行、直角、45°方向に、JIS Z2241に規定するJIS13B号試験片を採取した。この試験片に対し、引張試験器を用いてそれぞれ2.5%の伸び歪を加え、板厚異方性を算出した。
(MBR/t)
幅10mm×長さ30mmの短冊状の試験片を作製し、W曲げ試験(JIS H3130)によって行った。試験片採取方向は、圧延平行方向(GW)および圧延直角方向(BW)とし、割れの発生しない最小曲げ半径MBR(Minimum Bend Radius)と板厚tの比MBR/tにて評価した。
表1に評価結果を示す。なお、表1に示すところにおいて、最終再結晶焼鈍後の結晶粒径における「<10μm」の表記は、圧延組織の全てが再結晶化しその平均結晶粒径が10μm未満であった場合、および圧延組織の一部のみが再結晶化した場合の双方を含んでいる。
Figure 0005427968
表1に示すところから解かるように、発明例1〜23は、いずれも0.01〜0.5質量%のFeおよび、0.01〜0.3質量%のPを含有し、このPの質量%濃度(%P)に対するFeの質量%濃度(%Fe)の割合(%Fe/%P)を1.0〜6.0とし、また、最終再結晶焼鈍の結晶粒径が50μm以下、最終圧延の総加工度が40〜99%、歪取焼鈍における張力が1〜5MPaと規定の範囲になっているため、歪取焼鈍後の0.2%耐力が400MPa以上、導電率が65%以上、板厚異方性rが1.2以上で、放熱性、強度および加工性に良好な材料が得られている。さらに、発明例13、23以外は、最終圧延後の0.2%耐力と歪取焼鈍後における0.2%耐力の差が10〜50MPaであるため、曲げ加工性がGW、BW共に2.0以下で良好である。
一方、比較例1、2は、歪取焼鈍を行ったが、張力が規定範囲の上限を超えており、板厚異方性が1.2未満となり、絞り加工性が悪い。比較例3は、歪取焼鈍における0.2%耐力の低下量が過大であり、歪取焼鈍後の耐力が400MPa未満で、強度が不十分である。比較例4はFeの添加濃度が低すぎるため、耐力が400MPa未満で、強度が不十分である。
また、比較例5は、Feの添加濃度が過剰であり、導電率が65%未満となって、放熱性が悪い。比較例6、7は、Feの質量%濃度に対するPの添加濃度が規定範囲外のため、導電率が65%未満となって、放熱性が悪い。比較例8は、再結晶焼鈍における結晶粒径が50μmを超えているため、強度が不十分である。比較例9は、最終圧延における総加工度が40%未満となっているため、強度が不十分である。

Claims (6)

  1. 0.01〜0.5質量%のFeを含有し、さらにPを含有し、このPの質量%濃度(%P)に対するFeの質量%濃度(%Fe)の割合(%Fe/%P)を1.0〜6.0とし、残部が銅およびその不可避的不純物から成り、65%IACS以上の導電率、および400MPa以上の0.2%耐力を有し、かつ、圧延方向に対し、平行な方向、直角な方向および、45°をなす方向のそれぞれのランクフォード値をそれぞれr0、r90、r45としたときに、(r0+r90+2×r45)/4で定義される板厚異方性rが1.2以上である銅合金板。
  2. W曲げ試験における圧延平行方向(GW方向)および圧延直角方向(BW方向)の最小曲げ半径(MBR)の、板厚(t)に対する割合が、MBR/t≦2.0で与えられる請求項1に記載の銅合金板。
  3. 0.5質量%以下のSnをさらに含有する、請求項1または2に記載の銅合金板。
  4. 1.0質量%以下のZnをさらに含有する、請求項1〜3の何れか1項に記載の銅合金板。
  5. Ag、Co、Ni、Cr、Mn、Mg、SiおよびBからなる群から選ばれる一種以上の元素を2.0質量%以下でさらに含有する、請求項1〜4の何れか1項に記載の銅合金板。
  6. 請求項1〜5の何れか1項に記載の銅合金板を備える放熱用電子部品。
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