JP5427580B2 - 複合金属酸化物触媒及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、特定の組成及び結晶系を有する複合金属酸化物触媒及びその製造方法に関する。
近年、複合金属酸化物は、その金属の特性と、金属元素が原子レベルで空間特異的に配置された結晶構造の特性からなる協同効果を期待して研究され、注目を集めている。その手法は、多くの触媒材料でも応用され、多種多様な複合金属酸化物触媒が提案されており、その結晶構造、構成金属種、及びその構成金属の結晶構造内における位置は触媒活性に影響を与えることが知られている。モリブデンやバナジウム等の金属を含む複合金属酸化物触媒は、アルカンから不飽和ニトリルを合成するための触媒として注目されている。これらの金属を含む複合金属酸化物触媒の中には、低級炭化水素のアンモ酸化反応の触媒として用いた場合、目的生成物の収率が比較的高いものがあることが報告されている。
特許文献1には、少なくともモリブデン、バナジウム、アンチモン、酸素を含む複合酸化物が、特定のユニットセルパラメータを有し、X線回折によってある特定の位置にピークを示す複合金属酸化物の結晶体がアルカンの気相接触アンモ酸化反応によるニトリルの製造に用いることができることが記載されている。また、その結晶体は斜方晶型であることも記載されている。
特許文献2には、これまで報告されている斜方晶型ではなく、モリブデンとバナジウムと酸素のみからなる三方晶系の複合金属酸化物が、斜方晶型と同じ金属組成の複合金属酸化物よりも低い温度で、アクロレインを効率的に転化し、アクリル酸を合成できることが記載されている。
特開平10−330343号公報 特開2008−68217号公報
本発明者らが検討したところによると、上記特許文献2に記載されたような三方晶系の触媒は、気相接触アンモ酸化反応の触媒として使用する場合、金属成分が同じ斜方晶のものと比較して、原料の転化率が高い傾向にある。しかしながら、特許文献2に記載されたような、モリブデンとバナジウムという金属成分を二成分しか含まない複合金属酸化物の触媒性能は、十分に満足できるものではない。斜方晶の複合金属酸化物同士で比較すると、モリブデンとバナジウムという二成分系と比べて、Te、Sb等の第三の金属成分を含有する複合金属酸化物の中には、気相接触アンモ酸化反応の触媒としてより好適な性能を示すものがある。そこで、モリブデン、バナジウムに加えて第三の金属成分を含有する複合金属酸化物であって、結晶系が三方晶系のものが得られれば、その複合金属酸化物は高いアンモ酸化活性を有する可能性があることに着目した。現在までのところ、結晶系が三方晶系の複合金属酸化物で、且つ、三成分以上の金属を含有するアンモ酸化反応用の触媒は知られていない。
上記事情に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、アルカン又はアルケンの気相接触アンモ酸化反応により対応する不飽和ニトリルを製造する際に用いられる複合金属酸化物触媒であって、目的生成物の選択性が高く、性能に優れた触媒を提供することである。
本発明者らは、アルカン又はアルケンから、対応する不飽和ニトリルを製造するためのアンモ酸化反応用触媒について鋭意検討した結果、結晶系が三方晶系であり、且つ、モリブデン、バナジウムからなる複合金属酸化物にTeやSb等の第三の金属成分をさらに添加することにより、同じ金属種を用いた斜方晶型複合金属酸化物よりも、高選択的に目的生成物が得られることを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明は以下の通りである。
[1]
アルカン又はアルケンのアンモ酸化反応に用いられる触媒であって、下記式(I)
Mo1abn (I)
(式中、Zは、Te、Sb、Nb、W、Ce、Ta、Ti、P、Biからなる群から選択される少なくとも1種類以上の金属元素を示し、a、bは、それぞれMo1原子あたりのV、Zの原子比を示し、0<a≦1、0<b≦1であり、nは構成金属の酸化状態によって決まる酸素の原子比を示す。)
で表される組成を有し、結晶系が三方晶である複合金属酸化物触媒。
[2]
下記式(I)
Mo1abn (I)
(式中、Zは、Te、Sb、Nb、W、Ce、Ta、Ti、P、Biからなる群から選択される少なくとも1種類以上の金属元素を示し、a、bは、それぞれMo1原子あたりのV、Zの原子比を示し、0<a≦1、0<b≦1であり、nは構成金属の酸化状態によって決まる酸素の原子比を示す。)
で表される組成を有し、結晶系が三方晶である複合金属酸化物触媒を製造する方法であって、
(1)Mo、Vを含む原料調合液を調製する工程と、
(2)前記原料調合液を加熱して結晶を生成させる工程と、
(3)前記加熱により生成した結晶に、Zを含むスラリー及び/又は溶液を接触させる工程と、
を有し、
前記工程(1)において調製した原料調合液のpHを酸性に保つことを含む、複合金属酸化物触媒の製造方法。
[3]
(4)前記工程(2)において生成した結晶を不活性ガス雰囲気下、200〜800℃で焼成する工程をさらに有する、上記[2]記載の複合金属酸化物触媒の製造方法。
[4]
上記[1]記載の複合金属酸化物触媒を用いてアルカン又はアルケンをアンモ酸化反応に供し、対応する不飽和ニトリルを製造する方法。
本発明により、アルカン又はアルケンの気相接触アンモ酸化反応により対応する不飽和ニトリルを製造する際に用いられる複合金属酸化物触媒であって、目的生成物の選択性が高く、性能に優れた触媒を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施の形態」と略記する。)について詳細に説明する。尚、本発明は、以下の本実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
[1]複合金属酸化物触媒
本実施の形態の複合金属酸化物触媒は、アルカン又はアルケンのアンモ酸化反応に用いられる触媒であって、下記式(I)
Mo1abn (I)
(式中、Zは、Te、Sb、Nb、W、Ce、Ta、Ti、P、Biからなる群から選択される少なくとも1種類以上の金属元素を示し、a、bは、それぞれMo1原子あたりのV、Zの原子比を示し、0<a≦1、0<b≦1であり、nは構成金属の酸化状態によって決まる酸素の原子比を示す。)
で表される組成を有し、結晶系が三方晶である。
Zは、Te、Sb、Nb、W、Ce、Ta、Ti、P、Biからなる群から選択される少なくとも1種類以上の金属元素を示し、好ましい成分としては、MoやVと組み合わせることでアルカン及びアルケンのアンモ酸化活性を向上させる有力な金属種として既に報告されている、Te、Sb、Nb、W、Ce、Biが挙げられる。複合金属酸化物触媒がこれらの金属元素を1種類以上含有する組成を有する場合、複合金属酸化物触媒の結晶構造中の特定部位にこれらの金属元素が挿入されるか、或いは、Mo及び/又はVと交換されて、金属元素の構造的な安定性が増すと考えられる。その結果、複合金属酸化物触媒の耐熱安定性が向上し、さらには、原料や目的生成物の分解を抑制する効果を期待できる。
Mo1原子あたりのVの原子比を示すaは、0<a≦1であり、好ましい範囲は0<a≦0.5である。複合金属酸化物触媒に含まれるVの比率が上記範囲であると、原料の分解及び燃焼が抑制される。
Mo1原子あたりのZの原子比を示すbは、0<b≦1であり、好ましい範囲は0<b≦0.7である。また、Zの酸化物は副反応を促進する可能性があるが、Zの比率が上記範囲である複合金属酸化物を合成する場合、仕込みのZ比率が高すぎないためZの酸化物が生成し難くなる。
本実施の形態の複合金属酸化物触媒の結晶系は三方晶である。本発明者は、式(I)で表される複合金属酸化物触媒について、同じ組成で結晶相のみ異なる複合金属酸化物触媒と比較した場合、三方晶のものは斜方晶のものよりも目的生成物の選択率が高く、特にプロパンからアクリロニトリルを合成するための触媒として用いた場合に選択率が顕著に高くなることを発見した。
結晶系が三方晶であることは、CuKα線をX線源として得られるX線回折図において、2θ=8.2°±0.2°、9.6°±0.2°、22.2°±0.2°、26.8°±0.2°、30.1°±0.2°、45.3°±0.2°の位置に主たる回折ピークを示すことによって確認することができる。
以下にX線回折の測定条件を示す。
X線源 :CuKα1+CuKα2
検出器 :シンチレーションカウンター
管電圧 :40kV
管電流 :200mA
発散スリット :1°
散乱スリット :1°
受光スリット :0.15mm
スキャン速度 :4°/min
サンプリング幅 :0.02°
スキャン方法 :2θ/θ法
X線回折の測定装置としては、RIGAKU RINT2500VHF/PCを用いることができる。
[2]複合金属酸化物触媒の製造方法
本実施の形態の複合金属酸化物触媒の製造方法は、
下記式(I)
Mo1abn (I)
(式中、Zは、Te、Sb、Nb、W、Ce、Ta、Ti、P、Biからなる群から選択される少なくとも1種類以上の金属元素を示し、a、bは、それぞれMo1原子あたりのV、Zの原子比を示し、0<a≦1、0<b≦1であり、nは構成金属の酸化状態によって決まる酸素の原子比を示す。)
で表される組成を有し、結晶系が三方晶である複合金属酸化物触媒を製造する方法であって、
(1)Mo、Vを含む原料調合液を調製する工程と、
(2)前記原料調合液を加熱して結晶を生成させる工程と、
(3)前記加熱により生成した結晶に、Zを含むスラリー及び/又は溶液を接触させる工程と、
を有し、
前記工程(1)において調製した原料調合液のpHを酸性に保つことを含む方法である。
(1)原料調合工程
工程(1)は、Mo、Vを含む原料調合液を調製する工程である。
工程(1)においては、水等の溶媒に、Mo、Vの原料を溶解、混合又は分散させて、原料調合液を得る。原料の溶解手順、混合手順又は分散手順としては特に限定されない。原料を同じ溶媒中で溶解、混合又は分散させてもよく、或いは原料を個別に溶媒中に溶解、混合又は分散させた後に両者を混合してもよい。また、必要に応じて加熱及び/又は攪拌してもよい。このようにして得られる原料調合液は均一な溶液であるか、若しくはスラリーである。
モリブデン(Mo)の原料としては、ヘプタモリブデン酸アンモニウム・6水和物に代表されるようなモリブデンを含有するイソポリ酸、三酸化モリブデン、二酸化モリブデン、リンモリブデン酸アンモニウム、ケイモリブデン酸アンモニウム等の一連のヘテロポリ酸類、及びこれらのアルカリ金属塩等を用いることが可能であるが、中でもヘプタモリブデン酸アンモニウム・6水和物を好適に用いることができる。
バナジウム(V)の原料としては、オキシ硫酸バナジウム・n水和物、酸化バナジウム類、塩化バナジウム、硫化バナジウム、ヨウ化バナジウム、水酸化バナジウム、水素化バナジウム等を用いることができるが、中でもオキシ硫酸バナジウム・n水和物を好適に用いることができる。
原料調合工程における具体的な手順の一例としては、初めに(ア)ヘプタモリブデン酸アンモニウム・6水和物を蒸留水に溶解させる。このときのMo含有水溶液の濃度範囲は10〜1.0×10-3mol/Lであることが好ましい。また、(ア)とは別に(イ)オキシ硫酸バナジウム・n水和物を蒸留水に溶解させる。このときのV含有水溶液の濃度範囲は5〜1.0×10-3mol/Lであることが好ましい。次に、(イ)の溶液を(ア)に加え十分に攪拌して原料調合液を調製する。また、ヘプタモリブデン酸アンモニウム・6水和物とオキシ硫酸バナジウム・n水和物を固体の状態で混合した後に蒸留水に溶解させて、攪拌してもよい。また、蒸留水は冷却した状態で、若しくは加熱した状態で原料に加えても何ら問題はない。
本実施の形態の製造方法においては、工程(1)で得られた原料調合液に酸を加えて、原料調合液のpHを酸性に保つ。このときのpHは1.0〜6.0が好ましく、1.7〜2.4がより好ましい。このときに添加する酸は、硫酸、硝酸、塩酸等の強酸水溶液が好ましく、また、強酸と種々の弱酸の混合した酸でpHを調整してもよい。こうして得られた溶液を、窒素に代表されるような不活性ガスで十分にバブリングして溶存酸素を系内から追い出し、オートクレーブに移す。オートクレーブは、酸性の水溶液に腐食されないものであり、かつ、後述する(2−1)水熱合成工程の条件に耐えうるものである限り、特に限定されない。例えば、SUS316製のボトルでもよいし、SUS製のボトルの内壁にフッ素コーティングが施されたボトルでもよいし、フッ素系の樹脂からなる容器が内包されたものでもよい。
(2)結晶生成工程
工程(2)は、前記原料調合液を加熱して結晶を生成させる工程であり、主に以下の(2−1)水熱合成工程と、(2−2)精製工程に別けられる。
(2−1)水熱合成工程
工程(1)で得られた原料調合液を110〜450℃に加熱し、1〜150時間程度保持すると、水熱合成反応が進行して、Mo及びVを含有する結晶性の固体が生成する。目的とする結晶性固体の純度及び収率を高くするという観点から、水熱合成反応の好ましい反応温度は110〜250℃である。また、加熱時間が短い場合には結晶の生成が見られず、時間が長すぎる場合には不純物の生成が増大する傾向にあるため、好ましい反応時間は10〜120時間である。反応が十分に進行したことは、X線回折(XRD)により確認することができる。オートクレーブの条件を200℃で4日間にしても、250℃で1日間にしても同じ構造を有する結晶性固体が析出する。
(2−2)精製工程
次に、オートクレーブを室温まで冷却した後、結晶性固体をろ別する。このとき、水溶性ジカルボン酸で結晶性固体を精製してもよい。ジカルボン酸としては、シュウ酸、酒石酸等を好適に用いることができる。具体的な手順の一例としては、得られた結晶性固体1gに対して1〜10g程度のシュウ酸を、シュウ酸1gにつき25mL程度の水で溶解し、その中に結晶性固体を入れて攪拌する。このとき、シュウ酸水溶液は40〜80℃程度に加熱してもよい。その後、ろ過を行い、得られた結晶を30〜200℃で、常圧若しくは減圧下で乾燥させる。
(4)焼成工程
工程(4)は、前記結晶を不活性ガス雰囲気下、200〜800℃で焼成する工程である。
結晶性固体を乾燥した後、結晶を後述する(3)接触工程にそのまま供してもよいが、接触工程の前に結晶性固体を焼成する工程を行うことが好ましい。接触工程前に結晶性固体を焼成しておくと、結晶性固体のより高い結晶化が促進される傾向にある。焼成は、回転炉、固定炉等で行うことが可能である。空気雰囲気下でも焼成することは可能であるが、複合金属酸化物を不飽和ニトリルの製造用触媒として使用する等の目的で金属の還元率を調整したい場合は、不活性ガス雰囲気で焼成することが好ましい。焼成温度は、200℃〜800℃が好ましい。十分に焼成するためには、数十分〜1日程度焼成するのが好ましく、1時間〜16時間がより好ましい。
(3)接触工程
工程(3)は、前記加熱により生成した結晶に、Zを含むスラリー及び/又は溶液を接触させる工程である。
工程(3)においては、結晶性固体を粉砕した後、これを、Z源を含むスラリー及び/又は溶液に接触させる。結晶性固体の粉砕には、メノウ鉢、乳鉢等を使用することができる。なお、本明細書中「接触」とは、固体と液体とが接触状態にあること言い、特に、固体の細孔に液体を入り込ませることを意味する。
ZがTeの場合には、Z源の例として、二酸化テルル、三酸化テルル、亜テルル酸、テルル酸等が挙げられ、中でも、溶解性と得られる触媒性能の観点から、テルル酸が好ましい。
ZがSbの場合には、Z源の例として、酸化アンチモン(III)、酸化アンチモン(IV)、酸化アンチモン(V)、メタアンチモン酸(III)、アンチモン酸(V)、アンチモン酸アンモニウム(V)、塩化アンチモン(III)、塩化酸化アンチモン(III)、硝酸酸化アンチモン(III)、アンチモンのアルコキシド、アンチモンの酒石酸塩等の有機酸塩等が挙げられ、中でも、塩酸水溶液への溶解性の観点から、酸化アンチモン(III)が好ましい。
ZがNbの場合には、Z源の例として、ニオブ酸、NbCl5、NbCl3、Nb(OC255等、が挙げられ、中でも、溶解性の観点から、ニオブ酸をジカルボン酸化合物溶液に溶解させて得られるニオブのジカルボン酸化合物の水溶液が好ましい。
ZがWの場合には、Z源の例として、酸化タングステン、酸化タングステン(III)、酸化タングステン(IV)、酸化タングステン(VI)、メタタングステン酸アンモニウム、リンタングステン酸、ケイタングステン酸、リンタングステン酸、ケイタングステン酸のアンモニウム塩、アルカリ金属塩等が挙げられる。これらのうち好ましいのはメタタングステン酸アンモニウムである。
ZがCeの場合には、Z源の例として、硝酸セリウム六水和物等の硝酸塩、塩化セリウム7水和物、セリウムの硫酸塩、炭酸塩等が挙げられる。
ZがTaの場合には、Z源の例として、タンタル酸、酸化タンタル、タンタルのアルコキシド、ほう化タンタル、五塩化タンタル、五臭化タンタル、五フッ化タンタル等が挙げられる。
ZがTiの場合には、Z源の例として、四塩化チタン、ほう化チタン、フッ化チタン、水酸化チタン、よう化チタン、酸化チタン(IV)硫酸塩水和物等が挙げられる。
ZがPの場合には、リン酸、リン酸二水素アンモニウム等が挙げられる。
ZがBiの場合には、Z源の例として、硝酸ビスマス、クエン酸ビスマス、酢酸ビスマス、塩化ビスマス、炭酸酸化ビスマス、次炭酸ビスマス、五フッ化ビスマス等が挙げられる。
Zを含むスラリー又は溶液に用いられる溶媒としては、一般的には水でよいが、Z源が水に対して溶解性が乏しい場合には、有機溶媒でも、酸と水の混合物でもよい。酸性水溶液を調製する場合、添加する酸は、硫酸、塩酸、硝酸等の無機酸でも、シュウ酸、リンゴ酸、コハク酸等の有機酸でも構わない。Z源の種類にも依るが、酸性水溶液のpHが1.0〜5.0程度になるように酸の添加量を調整することが好ましい。Z源溶液の濃度は5.0〜1.0×10-4mol/Lが好ましい。
粉砕した結晶性固体をZ源を含むスラリー及び/又は溶液に接触させる方法の一つである含浸は、固体と液体を接触させることによって実現できるが、均一にしみ込ませる観点で、接触させる液体の体積は固体の0.1〜10倍が好ましい。より適切な液体量を求めるためには、固体の細孔体積を計算によって求め、液体量を細孔体積の0.5〜2倍に設定するのが好ましい。なお操作性の観点からは、固体を入れた容器に液体を添加するのが好ましいが、液体中に固体を添加しても差し支えない。含浸は両者の接触によって達成できるが、より多くの細孔に十分な量の液体を入り込ませる観点で、結晶性固体とZを含むスラリー及び/又は溶液の混合物を撹拌した後、数分〜1時間程度静置するのが好ましい。
含浸操作後、得られた複合金属酸化物を乾燥することが好ましい。十分に乾燥できる限り、室温で乾燥しても、加温しても差し支えない。また常圧下で乾燥しても、減圧下で乾燥してもよい。さらに、乾燥した後、不活性ガス雰囲気下、200〜500℃の範囲で数時間加熱してもよい。
得られた複合金属酸化物触媒の同定は粉末X線回折によって行うことができる。粉末X線回折測定を行う際には、得られた結晶性固体をそのまま測定しても問題ないが、好ましくはメノウ鉢等を用いて結晶を細かく砕いた後に測定することが好ましい。
[3]不飽和ニトリルの製造方法
本実施の形態における複合金属酸化物触媒は、アルカン又はアルケンをアンモ酸化して対応する不飽和ニトリルを製造する反応において活性を示すが、中でも、プロパン又はイソブタンを気相接触アンモ酸化反応させて不飽和ニトリルを製造する際の触媒として特に好ましく利用することができる。
不飽和ニトリルの製造に用いるアルカン又はアルケンとアンモニアの原料は必ずしも高純度の必要はなく、工業グレードのガスを利用することができる。反応系に供給する酸素源としては、空気、酸素を富化した空気又は酸素を用いることができる。さらに、水蒸気、ヘリウム、アルゴン、炭酸ガス、窒素等を供給してもよい。
気相接触アンモ酸化反応の場合は、反応系に供給されるアンモニアのアルカン又はアルケンに対するモル比は、好ましくは0.1〜2.0、より好ましくは0.2〜1.2である。反応系に供給される分子状酸素は、アルカン又はアルケンに対するモル比として、好ましくは0.2〜10、より好ましくは0.4〜4である。反応圧力は、絶対圧で好ましくは0.01〜1Mpaである。反応温度は、好ましくは300〜550℃、より好ましくは350〜500℃である。接触時間は、好ましくは0.5〜8秒以内、より好ましくは0.5〜3秒以内である。反応は、固定床、流動床、移動床等の従来の方式を採用することができる。
実際の反応試験は、例えば、以下の手順に従って行うことができる。
触媒0.5gを内径4mmの固定床型反応管に充填し、反応温度440℃、プロパン:アンモニア:酸素:ヘリウム=1:1.2:2.8:10.6の原料混合ガスを流量F=20(mL/min)で流す。この時の圧力はゲージ圧で0.05kg/cm2である。接触時間は0.5秒であり、反応ガスの分析はガスクロマトグラフィーによって行う。
次に、実施例及び比較例を挙げて本実施の形態をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
プロパンの転化率、アクリロニトリルの選択率及び収率は、それぞれ次の定義に従う。
プロパン(Pn)転化率(%)=(反応したプロパンのモル数)/(供給したプロパンのモル数)×100
アクリロニトリル(AN)選択率(%)=(生成したアクリロニトリルのモル数)/(反応したプロパンのモル数)×100
アクリロニトリル(AN)収率(%)=(生成したアクリロニトリルのモル数)/(供給したプロパンのモル数)×100
X線回折の測定装置としてはRIGAKU RINT2500VHF/PCを用いて、以下の条件で測定を行った。
X線源 :CuKα1+CuKα2
検出器 :シンチレーションカウンター
管電圧 :40kV
管電流 :200mA
発散スリット :1°
散乱スリット :1°
受光スリット :0.15mm
スキャン速度 :4°/min
サンプリング幅 :0.02°
スキャン方法 :2θ/θ法
[実施例1]
ヘプタモリブデン酸アンモニウム・6水和物10.6gを蒸留水100mLに溶解させた(溶液(ア))。また、別にオキシ硫酸バナジウム・n水和物3.77gを蒸留水100mLに溶解させた(溶液(イ))。次に、溶液(イ)を溶液(ア)に加え、30分程度攪拌した。得られた原料調合液に2mol/Lの硫酸水溶液を加え、pHを2.1に調整した。得られた調合液を、1000cc/minで窒素を10分間バブリングし、調合液中の溶存酸素を系内から追い出した後、テフロン(登録商標)ボトルが内包されたオートクレーブに移した。オートクレーブに入れた調合液を175℃で一日間放置した後、室温まで冷却したところ、結晶性固体が析出した。この結晶性固体をろ別した後、減圧下で80℃に加熱しながら12時間程度乾燥させた。この結晶性固体を60℃に加熱した10質量%のシュウ酸水溶液100mL中に入れ、60℃で30分攪拌した。次いで、残存した固体を窒素下、400℃で2時間焼成した。このときの結晶性固体を(A)とする。本操作を繰り返すことにより、合計で50gの結晶性固体(A)を調製した。
その後、得られた結晶性固体(A)のうち0.7gに、0.75mLの水にテルル酸0.1gを溶解させたものを含浸させた。そのまま一日間50℃で保持し、常圧で乾燥させた後、さらに窒素下、400℃で2時間焼成することにより複合金属酸化物の結晶を得た。
<物質の同定>
X線回折により構造を解析したところ、得られた結晶は、2θ=8.2°、9.6°、12.6°、22.2°、26.8°、30.1°、45.3°にピークを有し、結晶系は三方晶であることがわかった。
<アンモ酸化反応>
この結晶性の複合金属酸化物を用いてプロパンのアンモ酸化反応を行ったところ、プロパン転化率は52.2%で、アクリロニトリル選択率は40.9%、アクリロニトリル収率は21.3%であった。
[比較例1]
ヘプタモリブデン酸アンモニウム・6水和物10.6gを蒸留水100mLに溶解させた(溶液(ア))。また、溶液(ア)とは別にオキシ硫酸バナジウム・n水和物3.77gを蒸留水100mLに溶解させた(溶液(イ))。次に、溶液(イ)を溶液(ア)に加え、30分程度攪拌した。得られた原料調合液に2mol/Lの硫酸水溶液を加え、pHを2.1に調整した。得られた調合液を、1000cc/minの窒素で10分間バブリングし、調合液中の溶存酸素を系内から追い出した後、テフロン(登録商標)ボトルが内包されたオートクレーブに移した。次に、175℃で一日放置した後、室温まで冷却して結晶性固体を得た。この結晶性固体を60℃に加熱した10質量%のシュウ酸水溶液100mL中で、30分攪拌した。残存した固体を窒素下、450℃で2時間焼成を行った。
<物質の同定>
X線回折により構造を解析したところ、得られた結晶は、2θ=8.1°、9.6°、12.5°、22.2°、26.7°、30.1°、45.1°にピークを有し、その結晶は三方晶であることがわかった。
<アンモ酸化反応>
得られた結晶性の複合金属酸化物固体を用いてプロパンのアンモ酸化反応を行ったところ、プロパン転化率は57.1%で、アクリロニトリル選択率は12.4%、アクリロニトリル収率は7.1%であった。
[比較例2]
ヘプタモリブデン酸アンモニウム・6水和物10.6gを蒸留水100mLに溶解させた(溶液(ア))。また、溶液(ア)とは別にオキシ硫酸バナジウム・n水和物3.77gを蒸留水100mLに溶解させた(溶液(イ))。次に、溶液(イ)を溶液(ア)に加え、30分程度攪拌した。得られた原料調合液に2mol/Lの硫酸水溶液を加え、pHを3.3に調整した。得られた調合液を、1000cc/minの窒素で10分間バブリングし、調合液中の溶存酸素を系内から追い出した後、テフロン(登録商標)ボトルが内包されたオートクレーブに移した。次に、175℃で一日放置した後、室温まで冷却して結晶性固体を得た。この結晶性固体を60℃に加熱した10質量%のシュウ酸水溶液100mL中で、30分攪拌した。残存した固体を窒素下、450℃で2時間焼成を行った。
<物質の同定>
X線回折により構造を解析したところ、得られた結晶は、2θ=6.5°、7.9°、9.0°、12.7°、22.2°、27.3°、28.3°にピークを有し、その結晶は斜方晶であることがわかった。
<アンモ酸化反応>
得られた結晶性の複合金属酸化物を用いてプロパンのアンモ酸化反応を行ったところ、プロパンの転化率55.2%で、アクリロニトリル選択率は17.0%、アクリロニトリル収率は9.4%であった。
[比較例3]
ヘプタモリブデン酸アンモニウム・6水和物10.6gを蒸留水100mLに溶解させた(溶液(ア))。また、溶液(ア)とは別にオキシ硫酸バナジウム・n水和物3.77gを蒸留水100mLに溶解させた(溶液(イ))。次に、溶液(イ)を溶液(ア)に加え、30分程度攪拌した。得られた原料調合液に2mol/Lの硫酸水溶液を加え、pHを2.1に調整した。得られた調合液を、1000cc/minの窒素で10分間バブリングし、調合液中の溶存酸素を系内から追い出した後、テフロン(登録商標)ボトルが内包されたオートクレーブに移した。次に、175℃で一日放置した後、室温まで冷却して結晶性固体を得た。この結晶性固体を60℃に加熱した10質量%のシュウ酸水溶液100mL中で、30分攪拌した。残存した固体を窒素下、450℃で2時間焼成を行った。その後、得られた結晶性固体0.7gに対して、0.75mLの水にテルル酸0.1gを溶解させたものを含浸させた。そのまま一日、50℃、常圧で乾燥させて複合金属酸化物の結晶を得た。
<物質の同定>
X線回折により構造を解析したところ、得られた結晶は、2θ=6.6°、7.8°、9.1°、12.7°、22.2°、27.4°、28.3°にピークを有し、その結晶は斜方晶であることがわかった。
<アンモ酸化反応>
得られた触媒を用いてプロパンのアンモ酸化反応を行ったところ、プロパンの転化率53.4%で、アクリロニトリル選択率は33.3%、アクリロニトリル収率は17.8%であった。
実施例1及び比較例1〜3の結果を表1に示す。
表1に示したように、結晶系が三方晶であり、且つ、モリブデン、バナジウムからなる複合金属酸化物に第三の金属成分であるTeさらに含む触媒(実施例1)は、目的生成物であるアクリロニトリルの選択率及び収率が高く、触媒性能に優れたものであった。
[実施例2]
1mol/Lの塩酸水溶液0.7mLに三酸化アンチモン0.029g(純度99.5%)を溶解させ、これを実施例1で得られた結晶性固体(A)0.7gに含浸させた。そのまま一日、50℃、常圧で乾燥させた後、さらに窒素下、400℃で2時間焼成することにより複合金属酸化物の結晶を得た。
<物質の同定>
X線回折による構造を明らかにしたところ、得られた結晶は、2θ=8.2°、9.6°、12.6°、22.2°、26.8°、30.1°、45.3°にピークを有し、結晶系は三方晶であることがわかった。
<アンモ酸化反応>
この結晶性の複合金属酸化物を用いてプロパンのアンモ酸化反応を行ったところ、プロパンの転化率45.2%で、アクリロニトリル選択率は35.0%、アクリロニトリル収率は15.8%であった。
[実施例3]
実施例1で得られた結晶性固体(A)0.7gに、蒸留水0.7mLにシュウ酸Nb水溶液3.192g(純度0.6%:シュウ酸/Nb=2.5)を溶解させたものを含浸させた。そのまま一日、50℃、常圧で乾燥させた後、さらに窒素下、400℃で2時間焼成することにより複合金属酸化物の結晶を得た。
<物質の同定>
X線回折による構造を明らかにしたところ、得られた結晶は、2θ=8.2°、9.7°、12.6°、22.2°、26.9°、30.1°、45.3°にピークを有し、結晶系は三方晶であることがわかった。
<アンモ酸化反応>
この結晶性の複合金属酸化物を用いてプロパンのアンモ酸化反応を行ったところ、プロパンの転化率40.3%で、アクリロニトリル選択率は35.2%、アクリロニトリル収率は14.2%であった。
[実施例4]
実施例1で得られた結晶性固体(A)0.7gに、蒸留水0.7mLにメタタングステン酸水溶液0.001g(純度:50%)を溶解させたものを含浸させた。そのまま一日、50℃、常圧で乾燥させた後、さらに窒素下、400℃で2時間焼成することにより複合金属酸化物の結晶を得た。
<物質の同定>
X線回折による構造を明らかにしたところ、得られた結晶は、2θ=8.2°、9.6°、12.7°、22.3°、26.8°、30.1°、45.3°にピークを有し、結晶系は三方晶であることがわかった。
<アンモ酸化反応>
この結晶性の複合金属酸化物を用いてプロパンのアンモ酸化反応を行ったところ、プロパンの転化率55.3%で、アクリロニトリル選択率は12.8%、アクリロニトリル収率は7.1%であった。
[実施例5]
実施例1で得られた結晶性固体(A)0.7gに、蒸留水0.7mLに硝酸セリウム六水和物0.001gを溶解させたものを含浸させた(純度98.0%)。そのまま一日、50℃、常圧で乾燥させた後、さらに窒素下、400℃で二時間焼成することにより複合金属酸化物の結晶を得た。
<物質の同定>
X線回折による構造を明らかにしたところ、得られた結晶は、2θ=8.1°、9.6°、12.6°、22.2°、26.8°、30.2°、45.3°にピークを有し、結晶系は三方晶であることがわかった。
<アンモ酸化反応>
この結晶性の複合金属酸化物を用いてプロパンのアンモ酸化反応を行ったところ、プロパンの転化率53.8%で、アクリロニトリル選択率は11.2%、アクリロニトリル収率は6.1%であった。
[実施例6]
実施例1で得られた結晶性固体(A)0.7gに、蒸留水0.7mLにタンタル酸0.001gを添加して90℃まで加熱したものを含浸させた。そのまま一日、50℃、常圧で乾燥させた後、さらに窒素下、400℃で2時間焼成することにより複合金属酸化物の結晶を得た。
<物質の同定>
X線回折による構造を明らかにしたところ、得られた結晶は、2θ=8.2°、9.6°、12.6°、22.2°、26.8°、30.1°、45.2°にピークを有し、結晶系は三方晶であることがわかった。
この結晶性の複合金属酸化物を用いてプロパンのアンモ酸化反応を行ったところ、プロパンの転化率39.8%で、アクリロニトリル選択率は10.2%、アクリロニトリル収率は4.1%であった。
[実施例7]
実施例1で得られた結晶性固体(A)0.7gに対して、蒸留水70mLに二酸化チタン0.2mg(純度100%)を分散させた後、そこから0.7mL分取したものを含浸させた。そのまま一日、50℃、常圧で乾燥させた後、さらに窒素下、400℃で2時間焼成することにより複合金属酸化物の結晶を得た。
<物質の同定>
X線回折による構造を明らかにしたところ、得られた結晶は、2θ=8.4°、9.6°、12.6°、22.3°、26.8°、30.1°、45.3°にピークを有し、結晶系は三方晶であることがわかった。
<アンモ酸化反応>
この結晶性の複合金属酸化物を用いてプロパンのアンモ酸化反応を行ったところ、プロパンの転化率54.6%で、アクリロニトリル選択率は13.0%、アクリロニトリル収率は7.1%であった。
[実施例8]
実施例1で得られた結晶性固体(A)0.7gに対して、蒸留水70mLにリン酸0.2mgを溶解させた水溶液から、0.7mLを分取したものを含浸させた。そのまま一日、50℃、常圧で乾燥させた後、さらに窒素下、400℃で2時間焼成することにより複合金属酸化物の結晶を得た。
<物質の同定>
X線回折による構造を明らかにしたところ、得られた結晶は、2θ=8.2°、9.6°、12.7°、22.2°、26.9°、30.1°、45.3°にピークを有し、結晶系は三方晶であることがわかった。
<アンモ酸化反応>
この結晶性の複合金属酸化物を用いてプロパンのアンモ酸化反応を行ったところ、プロパンの転化率50.0%で、アクリロニトリル選択率は17.4%で、アクリロニトリル収率は8.7%あった。
[実施例9]
実施例1で得られた結晶性固体(A)0.7gに対して、蒸留水70mLにクエン酸ビスマス1mgを溶解させた水溶液から、0.7mLを分取したものを含浸させた。そのまま一日、50℃、常圧で乾燥させた後、さらに窒素下、400℃で2時間焼成することにより複合金属酸化物の結晶を得た。
<物質の同定>
X線回折による構造を明らかにしたところ、得られた結晶は、2θ=8.3°、9.6°、12.6°、22.2°、26.9°、30.1°、45.2°にピークを有し、結晶系は三方晶であることがわかった。
この結晶性の複合金属酸化物を用いてプロパンのアンモ酸化反応を行ったところ、プロパンの転化率52.8%で、アクリロニトリル選択率は20.6%、アクリロニトリル収率は10.9%であった。
[実施例10]
実施例1で得られた結晶性固体(A)0.7gに対して、1mol/Lの塩酸水溶液0.7mLにシュウ酸Nb水溶液3.192g(純度0.6%:シュウ酸/Nb=2.5)と、三酸化アンチモン0.029g(純度99.5%)を溶解させたものを含浸させた。そのまま一日、50℃、常圧で乾燥させた後、さらに窒素下、400℃で2時間焼成することにより複合金属酸化物の結晶を得た。
<物質の同定>
X線回折による構造を明らかにしたところ、得られた結晶は、2θ=8.2°、9.7°、12.6°、22.2°、26.9°、30.1°、45.3°にピークを有し、結晶系は三方晶であることがわかった。
<アンモ酸化反応>
この結晶性の複合金属酸化物を用いてプロパンのアンモ酸化反応を行ったところ、プロパン転化率49.8%で、アクリロニトリル選択率は28.5%、アクリロニトリル収率は14.2%であった。
[実施例11]
実施例1で得られた結晶性固体(A)0.7gに対して、蒸留水0.7mLにシュウ酸Nb水溶液3.192g(純度0.6%:シュウ酸/Nb=2.5)と、テルル酸0.1g(純度100%)を溶解させたものを含浸させた。そのまま一日、50℃、常圧で乾燥させた後、さらに窒素下、400℃で2時間焼成することにより複合金属酸化物の結晶を得た。
<物質の同定>
X線回折による構造を明らかにしたところ、得られた結晶は、2θ=8.1°、9.6°、12.6°、22.2°、26.8°、30.2°、45.3°にピークを有し、結晶系は三方晶であることがわかった。
<アンモ酸化反応>
この結晶性の複合金属酸化物を用いてプロパンのアンモ酸化反応を行ったところ、プロパンの転化率51.0%で、アクリロニトリル選択率は34.8%、アクリロニトリル収率は17.7%であった。
[実施例12]
実施例1で得られた結晶性固体(A)0.7gに対して、1mol/Lの塩酸水溶液0.7mLにシュウ酸Nb水溶液3.192g(純度0.6%:シュウ酸/Nb=2.5)と、三酸化アンチモン0.029g(純度99.5%)、さらにメタタングステン酸水溶液0.001g(純度:50%)を溶解させたものを含浸させた。そのまま一日、50℃、常圧で乾燥させた後、さらに窒素下、400℃で2時間焼成することにより複合金属酸化物の結晶を得た。
<物質の同定>
X線回折による構造を明らかにしたところ、得られた結晶は、2θ=8.2°、9.7°、12.5°、22.3°、26.8°、30.1°、45.3°にピークを有し、結晶系は三方晶であることがわかった。
<アンモ酸化反応>
この結晶性の複合金属酸化物を用いてプロパンのアンモ酸化反応を行ったところ、プロパンの転化率48.0%で、アクリロニトリル選択率は31.5%、アクリロニトリル収率は15.1%であった。
[実施例13]
実施例1で得られた結晶性固体(A)0.7gに対して、蒸留水0.7mLにシュウ酸Nb水溶液3.192g(純度0.6%:シュウ酸/Nb=2.5)と、テルル酸0.1g(純度100%)、さらにメタタングステン酸水溶液0.001g(純度:50%)を溶解させたものを含浸させた。そのまま一日、50℃、常圧で乾燥させた後、さらに窒素下、400℃で2時間焼成することにより複合金属酸化物の結晶を得た。
<物質の同定>
X線回折による構造を明らかにしたところ、得られた結晶は、2θ=8.1°、9.7°、12.6°、22.2°、26.8°、30.0°、45.3°にピークを有し、結晶系は三方晶であることがわかった。
<アンモ酸化反応>
この結晶性の複合金属酸化物について、プロパンのアンモ酸化反応を行ったところ、プロパンの転化率52.0%で、アクリロニトリル選択率は35.7%、アクリロニトリル収率は18.5%であった。
[実施例14]
実施例1で得られた結晶性固体(A)0.7gに対して、1mol/Lの塩酸水溶液0.7mLにシュウ酸Nb水溶液3.192g(純度0.6%:シュウ酸/Nb=2.5)と、三酸化アンチモン0.029g(純度99.5%)、さらにメタタングステン酸水溶液0.001g(純度:50%)、硝酸セリウム六水和物0.001gを溶解させたものを含浸させた。そのまま一日、50℃、常圧で乾燥させた後、さらに窒素下、400℃で2時間焼成することにより複合金属酸化物の結晶を得た。
<物質の同定>
X線回折による構造を明らかにしたところ、得られた結晶は、2θ=8.1°、9.7°、12.6°、22.3°、26.8°、30.1°、45.2°にピークを有し、結晶系は三方晶であることがわかった。
<アンモ酸化反応>
この結晶性の複合金属酸化物を用いてプロパンのアンモ酸化反応を行ったところ、プロパンの転化率49.8%で、アクリロニトリル選択率は37.3%、アクリロニトリル収率は18.6%であった。
[実施例15]
実施例1で得られた結晶性固体(A)0.7gに対して、蒸留水0.7mLにシュウ酸Nb水溶液3.192g(純度0.6%:シュウ酸/Nb=2.5)と、テルル酸0.1g(純度100%)、さらにメタタングステン酸水溶液0.001g(純度:50%)、硝酸セリウム六水和物0.001gを溶解させたものを含浸させた。そのまま一日、50℃、常圧で乾燥させた後、さらに窒素下、400℃で2時間焼成することにより複合金属酸化物の結晶を得た。
<物質の同定>
X線回折による構造を明らかにしたところ、得られた結晶は、2θ=8.1°、9.6°、12.5°、22.3°、26.8°、30.1°、45.2°にピークを有し、結晶系は三方晶であることがわかった。
<アンモ酸化反応>
この結晶性の複合金属酸化物を用いてプロパンのアンモ酸化反応を行ったところ、プロパン転化率51.2%で、アクリロニトリル選択率は41.6%、アクリロニトリル収率は21.3%であった。
本発明は、アルカン又はアルケンをアンモ酸化し、対応する不飽和ニトリルを製造する際の複合金属酸化物触媒としての産業上利用可能性を有する。

Claims (4)

  1. アルカン又はアルケンのアンモ酸化反応に用いられる触媒であって、下記式(I)
    Mo1abn (I)
    (式中、Zは、Te、Sb、Nb、W、Ce、Ta、Ti、P、Biからなる群から選択される少なくとも1種類以上の金属元素を示し、a、bは、それぞれMo1原子あたりのV、Zの原子比を示し、0<a≦1、0<b≦1であり、nは構成金属の酸化状態によって決まる酸素の原子比を示す。)
    で表される組成を有し、結晶系が三方晶である複合金属酸化物触媒。
  2. 下記式(I)
    Mo1abn (I)
    (式中、Zは、Te、Sb、Nb、W、Ce、Ta、Ti、P、Biからなる群から選択される少なくとも1種類以上の金属元素を示し、a、bは、それぞれMo1原子あたりのV、Zの原子比を示し、0<a≦1、0<b≦1であり、nは構成金属の酸化状態によって決まる酸素の原子比を示す。)
    で表される組成を有し、結晶系が三方晶である複合金属酸化物触媒を製造する方法であって、
    (1)Mo、Vを含む原料調合液を調製する工程と、
    (2)前記原料調合液を加熱して結晶を生成させる工程と、
    (3)前記加熱により生成した結晶に、Zを含むスラリー及び/又は溶液を接触させる工程と、
    を有し、
    前記工程(1)において調製した原料調合液のpHを酸性に保つことを含む、複合金属酸化物触媒の製造方法。
  3. (4)前記工程(2)において生成した結晶を不活性ガス雰囲気下、200〜800℃で焼成する工程をさらに有する、請求項2記載の複合金属酸化物触媒の製造方法。
  4. 請求項1記載の複合金属酸化物触媒を用いてアルカン又はアルケンをアンモ酸化反応に供し、対応する不飽和ニトリルを製造する方法。
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