1.第一の実施形態
本発明に係る半導体冷却装置の第一の実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態においては、本発明に係る半導体冷却装置を、ハイブリッド駆動装置Hに備えられる制御装置10が有するスイッチング素子E1〜E14(図2を参照)の冷却を行うために用いる場合を例として説明する。ここで、ハイブリッド駆動装置Hは、車両の駆動力源として内燃機関及び回転電機MG1,MG2の双方を備えたハイブリッド車両用の駆動装置である。本実施形態においては、ハイブリッド駆動装置Hが本発明における「車両用駆動装置」に相当する。
1−1.ハイブリッド駆動装置の構成
まず、ハイブリッド駆動装置Hの構成について簡単に説明する。本実施形態に係るハイブリッド駆動装置Hは、図1に示すように、内燃機関と共に車両の駆動力源として機能する2つの回転電機MG1,MG2を、駆動装置ケース2(以下、単に「ケース2」と称する)の内部に収容して備えている。このハイブリッド駆動装置Hは、いわゆる2モータスプリットタイプのハイブリッド駆動装置として構成されており、内燃機関に駆動連結される入力軸と、第一回転電機MG1と、第二回転電機MG2と、動力分配装置と、カウンタギヤ機構Cと、出力用差動歯車装置DFと、を備えている。なお、図1においては、第一回転電機MG1、第二回転電機MG2、カウンタギヤ機構C、及び出力用差動歯車装置DFの外形のみを二点鎖線で示している。
図1に示すように、ケース2は、少なくとも第一回転電機MG1及び第二回転電機MG2の径方向外側の周囲を覆う外周壁部3aと、当該外周壁部3aの軸方向両側の端部において少なくとも径方向に延びて第一回転電機MG1及び第二回転電機MG2の軸方向両側を覆う端壁部3bと、を周壁部3として備えている。なお、図1には、端壁部3bとして、回転電機MG1,MG2の軸方向における一方側(紙面奥側)の壁のみを示している。外周壁部3aは、径方向に互いに隣接して配置された第一回転電機MG1、第二回転電機MG2、及び出力用差動歯車装置DFの外周面に沿ってこれらを覆うように、異形筒状に形成されている。ケース2は、アルミニウム等の金属材料を用いて形成されている。また、本実施形態においては、周壁部3を構成する外周壁部3aが、当該外周壁部3aの一部を貫通してケース2の内外を連通するように開口するケース開口部4(図4を参照)を有している。このケース開口部4に挿通された状態で、制御装置10の一部を構成するリアクトル14がケース2内に配置されている。
駆動伝達系の構成については図示を省略しているが、公知の各種の構成を採用することができる。本例では、入力軸は、内燃機関に駆動連結されると共に動力分配装置に駆動連結されている。動力分配装置は、本例ではサンギヤ、キャリヤ、及びリングギヤの3つの回転要素を備えたシングルピニオン型の遊星歯車機構により構成されており、サンギヤに第一回転電機MG1が、キャリヤに入力軸が駆動連結されている。動力分配装置は、内燃機関の駆動力(ここでは、「駆動力」は「トルク」と同義で用いている)を第一回転電機MG1とリングギヤに駆動連結された出力ギヤとに分配する。出力ギヤに分配されたトルク及び第二回転電機MG2のトルクは、カウンタギヤ機構C及び出力用差動歯車装置DFを介して車輪に伝達される。
ここで、第一回転電機MG1及び第二回転電機MG2は、それぞれケース2に固定されたステータと、そのステータの径方向内側に回転自在に支持されたロータと、を有している。第一回転電機MG1及び第二回転電機MG2は、それぞれ蓄電装置としてのバッテリB(図2を参照)に電気的に接続されている。なお、バッテリBは蓄電装置の一例であり、キャパシタ等の他の蓄電装置を用い、或いは複数種類の蓄電装置を併用することも可能である。また、バッテリBは、家庭用電源等の外部電源により充電可能な構成とすることができる。
第一回転電機MG1及び第二回転電機MG2は、それぞれ電力の供給を受けて動力を発生するモータ(電動機)としての機能と、動力の供給を受けて電力を発生するジェネレータ(発電機)としての機能を果たすことが可能とされている。ここで、第一回転電機MG1及び第二回転電機MG2は、ジェネレータとして機能する場合には、内燃機関のトルクや車両の慣性力により発電を行い、バッテリBを充電し、或いはモータとして機能する他方の回転電機MG1,MG2を駆動するための電力を供給する。一方、第一回転電機MG1及び第二回転電機MG2は、モータとして機能する場合には、バッテリBに充電された電力、或いはジェネレータとして機能する他方の回転電機MG1,MG2により発電された電力の供給を受けて力行する。本実施形態では、このような第一回転電機MG1及び第二回転電機MG2は、三相(本例では、U相、V相、及びW相)交流で駆動される回転電機とされている。これらの回転電機MG1,MG2は、制御装置10により制御される。
1−2.制御装置の電気回路の構成
次に、回転電機MG1,MG2を制御する制御装置10の電気回路の構成について説明する。図2に示すように、本実施形態においては、制御装置10は、2つのインバータ回路12,13と、これらに共通の1つの昇圧回路11と、を含んで構成される。昇圧回路11はバッテリBからの直流電力(電源電圧Vbを有する)を昇圧する。第一インバータ回路12は、昇圧回路11により昇圧された直流電力(システム電圧Vs(Vs>Vb)を有する)を交流電力に変換して第一回転電機MG1に供給する。第二インバータ回路12は、システム電圧Vsを交流電力に変換して第二回転電機MG2に供給する。
昇圧回路11は、リアクトル14と、上下一対のスイッチング素子E1,E2と、を備えている。ここでは、上下一対のスイッチング素子のうち、上段側のスイッチング素子を「上アーム素子」、下段側のスイッチング素子を「下アーム素子」と称する(以下、同様)。上アーム素子E1のエミッタは下アーム素子E2のコレクタに接続されると共に、リアクトル14を介してバッテリBの正極端子に接続されている。上アーム素子E1のコレクタは、昇圧回路11による昇圧後の電力が供給されるシステム電力線Lhに接続され、下アーム素子E2のエミッタは、バッテリBの負極端子につながる負極線Lgに接続されている。また、各スイッチング素子E1,E2には、フリーホイールダイオードD1,D2がそれぞれ並列接続されている。
各スイッチング素子E1,E2のそれぞれは、パワー制御ユニット(図示せず)から出力されるゲート駆動信号に従ってオンオフ動作(スイッチング動作)される。昇圧回路11は、下アーム素子E2がオンオフ動作されることにより生じるリアクトル14の誘導起電力により、バッテリBからの電源電圧Vbを所望のシステム電圧Vsまで昇圧する。なお、バッテリBの正極端子と負極端子との間には第一平滑コンデンサ15が並列に接続されており、バッテリBからの電源電圧Vbは平滑されて昇圧回路11に供給される。また、システム電力線Lhと負極線Lgとの間には第二平滑コンデンサ16が並列に接続されており、昇圧回路11からのシステム電圧Vsは平滑されて2つのインバータ回路12,13に供給される。一方、昇圧回路11は、上アーム素子E1がオンオフ動作されることにより生じるリアクトル14の誘導起電力により、インバータ回路12,13からの直流電力を降圧する。
第一インバータ回路12は、ブリッジ回路により構成され、複数のスイッチング素子E3〜E8を備えている。第一インバータ回路12は、第一回転電機MG1の各相のそれぞれについて上下一対のスイッチング素子を備えており、具体的には、U相について上アーム素子E3及び下アーム素子E4、V相について上アーム素子E5及び下アーム素子E6、並びにW相について上アーム素子E7及び下アーム素子E8、を備えている。各相用の上アーム素子E3、E5、E7のコレクタはシステム電力線Lhに接続され、各相用の下アーム素子E4、E6、E8のエミッタは負極線Lgに接続されている。また、各相用の上アーム素子E3、E5、E7のエミッタと各相用の下アーム素子E4、E6、E8のコレクタとが、第一回転電機MG1の各相のコイルにそれぞれ接続されている。また、各スイッチング素子E3〜E8には、フリーホイールダイオードD3〜D8がそれぞれ並列接続されている。
第二インバータ回路13は、ブリッジ回路により構成され、複数のスイッチング素子E9〜E14を備えている。第二インバータ回路13は、第二回転電機MG2の各相のそれぞれについて上下一対のスイッチング素子を備えており、具体的には、U相について上アーム素子E9及び下アーム素子E10、V相について上アーム素子E11及び下アーム素子E12、並びにW相について上アーム素子E13及び下アーム素子E14、を備えている。各相用の上アーム素子E9、E11、E13のコレクタはシステム電力線Lhに接続され、各相用の下アーム素子E10、E12、E14のエミッタは負極線Lgに接続されている。また、各相用の上アーム素子E9、E11、E13のエミッタと各相用の下アーム素子E10、E12、E14のコレクタとが、第二回転電機MG2の各相のコイルにそれぞれ接続されている。また、各スイッチング素子E9〜E14には、フリーホイールダイオードD9〜D14がそれぞれ並列接続されている。
なお、本実施形態では、各スイッチング素子E1〜E14として、IGBT(insulated gate bipolar transistor)を用いている。但し、これに限定されるわけではなく、MOSFET(metal oxide semiconductor field effect transistor)等の他のスイッチング素子を用いても好適である。本実施形態においては、各スイッチング素子E1〜E14が本発明における「半導体素子」に相当する。
スイッチング素子E3〜E8のそれぞれは、パワー制御ユニット(図示せず)から出力されるゲート駆動信号に従ってオンオフ動作(スイッチング動作)される。これにより、第一インバータ回路12は、昇圧後の直流電力(システム電圧Vsを有する)を交流電力に変換して第一回転電機MG1に供給し、第一回転電機MG1に駆動力を出力させる。同様に、スイッチング素子E9〜E14のそれぞれは、パワー制御ユニット(図示せず)から出力されるゲート駆動信号に従ってオンオフ動作(スイッチング動作)される。これにより、第二インバータ回路13は、昇圧後の直流電力(システム電圧Vsを有する)を交流電力に変換して第二回転電機MG2に供給し、第二回転電機MG2に駆動力を出力させる。
なお、第一インバータ回路12及び第二インバータ回路13は、それぞれ第一回転電機MG1及び第二回転電機MG2が発電機として機能する際には、ゲート駆動信号に従って各スイッチング素子がオンオフ動作され、発電により得られた交流電力を直流電力に変換してシステム電力線Lhを介して昇圧回路11に供給する。この直流電力は昇圧回路11により降圧されてバッテリBに蓄電される。
また、第一インバータ回路12と第一回転電機MG1との間に、第一電流センサ25が設けられている。第一電流センサ25は、第一回転電機MG1に供給される電流を検出する。また、第二インバータ回路13と第二回転電機MG2との間に、第二電流センサ26が設けられている。第二電流センサ26は、第二回転電機MG2に供給される電流を検出する。なお、本例では、三相全ての電流を計測する構成を示しているが、三相は平衡状態にあり瞬時値の総和はゼロであるので、二相のみの電流を計測し、CPU等の演算処理装置を用いて残りの一相の電流を演算により求める構成としても良い。
本実施形態においては、制御装置10は、図1及び図3に示すように、基本的にはケース2の外部において当該ケース2に直接的に取り付けられるカバー部材60の内部に配置されている。すなわち、制御装置10は、基本的にはケース2とカバー部材60との間の空間に配置される。但し、本実施形態では、制御装置10の一部を構成するリアクトル14に関しては、制御装置10の他の構成部品と分離されて、ケース2の内部に配置されている。ケース2の内部に配置される第一回転電機MG1、第二回転電機MG2、及びリアクトル14と、ケース2の外部に配置される制御装置10(リアクトル14を除く)とは、共通の端子台40(図2及び図4等を参照)に保持された接続部材57〜59を介して電気的に接続される。なお、図2においては、端子台40を概念的に一点鎖線で示している。
1−3.制御装置のハードウェア構成
次に、制御装置10のハードウェア構成について説明する。本実施形態においては、制御装置10(リアクトル14を除く)は、図3及び図4に示すように、スイッチング素子モジュール17〜19と、制御基板38と、を主要な構成部品として備えている。これらは、カバー部材60の内部に収容されている。また、カバー部材60の内部には、端子台40及び冷却器32も収容されている。これらは、図3に示すように、ケース2に近い側から端子台40、冷却器32、スイッチング素子モジュール17〜19、制御基板38の順に積層されている。以下、順に説明する。なお、以下の説明では、これらが積層される方向を積層方向Lとし、更に、当該積層方向Lのうち、端子台40側(図3における下側)を下側、制御基板38側(図3における上側)を上側とする。
端子台40は、少なくとも複数の接続部材57〜59を保持する部材である。図4に示すように、本実施形態では、端子台40は少なくとも、3つの平板状の第一接続部材57と、3つの平板状の第二接続部材58と、2つの平板状の第三接続部材59と、を保持している。なお、3つの第一接続部材57は第一回転電機MG1の三相のコイルに対応しており、3つの第二接続部材58は第二回転電機MG2の三相のコイルに対応している。また、2つの第三接続部材59はリアクトル14の入力端及び出力端に対応している。
端子台40は、全体として平板状に形成された矩形型の本体部41と、本体部41の上面及び下面に亘って接続部材57〜59の周囲を包囲して保持する複数の保持部42と、本体部41の四隅において上側に向かって突出して冷却器32を支持する複数の円柱状の支持部43と、を備えて構成されている。また、端子台40は、本体部41の中央部において、ケース2の外部側となる積層方向Lにおける上側に向かって凸状に***する***部44を更に備えている。この***部44の背面側(ケース2の内部側となる積層方向Lにおける下側)には、ケース2の外部側に向かって窪んだ凹部44a(図3を参照)が形成されている。本体部41、保持部42、支持部43、及び***部44は、非導電性の樹脂材料を用いて一体的に形成されている。なお、接続部材57〜59は、導電性の金属材料(例えば銅等)を用いて構成されている。
接続部材57〜59は、本体部41に直交して上下に貫通すると共にその両端部が露出した状態で、保持部42に保持されている。接続部材57〜59は、保持部42との間にシール部材等を介して液密状態で当該保持部42に保持されている。保持部42は、本体部41に対して上側では箱状に形成され、本体部41に対して下側では扁平な筒状に形成されている。そして、接続部材57〜59のうち、本体部41に対して上側又は下側に露出する部分が、第一回転電機MG1、第二回転電機MG2、リアクトル14、及びスイッチング素子ユニット17〜19等に接続される接続端子となる。
端子台40の本体部41に対して上側(カバー部材60の内部側)では、第一接続部材57には、バスバー21を介して第一スイッチング素子ユニット17が接続される。第二接続部材58には、バスバー22を介して第二スイッチング素子ユニット18が接続される。第三接続部材59には、バスバー23を介して第三スイッチング素子ユニット19が接続される。また、端子台40の本体部41に対して下側(ケース2の内部側)では、第一接続部材57には、リード線を介して第一回転電機MG1の三相のコイルが接続される。第二接続部材58には、リード線を介して第二回転電機MG2の三相のコイルが接続される。第三接続部材59には、バスバーを介してリアクトル14の入力端及び出力端が接続される。なお、本実施形態では、端子台40の本体部41の下側には、リアクトル14が固定されている。図3に示すように、リアクトル14は、その環状コアの一部が凹部44a内に収容された状態で端子台40に固定されている。
この端子台40は、ケース2に設けられたケース開口部4を覆うように、ケース2の上部に固定される。ここでは、端子台40は、ケース2のケース開口部4の周囲を取り囲むように平坦に形成された端子台載置面6に載置され、シール部材を介して液密状態でケース2に固定されている。なお、ケース2への固定をより強固とするため、端子台40は、ケース2に形成された支持突起7の上面にも当接した状態で固定されている。このとき、端子台40の本体部41の下側に固定されたリアクトル14は、ケース開口部4からケース2内に収容される。
端子台40の上には、冷却器32が固定されている。ここでは、冷却器32は、断熱部材31を介して端子台40の本体部41の四隅に形成された支持部43に固定されている。また、冷却器32は、上下一対の冷却室形成部材(下側冷却室形成部材33、上側冷却室形成部材34)を備えている。下側冷却室形成部材33の上に上側冷却室形成部材34が固定された状態で、下側冷却室形成部材33が支持部43に固定されている。また、上側冷却室形成部材34には上下に貫通する3つの開口が形成されており、これらを塞ぐようにスイッチング素子モジュール17〜19が上側冷却室形成部材34に固定されている。なお、スイッチング素子モジュール17〜19はヒートシンク20と一体化されており、このヒートシンク20が上側冷却室形成部材34の開口を塞ぐ状態で当該上側冷却室形成部材34に固定されている。
ここで、第一スイッチング素子モジュール17は、第一回転電機MG1を駆動するための第一インバータ回路12を内蔵している。第一スイッチング素子モジュール17は、第一インバータ回路12を構成するスイッチング素子E3〜E8や基板等を樹脂により一体成形して構成されている。第二スイッチング素子モジュール18は、第二回転電機MG2を駆動するための第二インバータ回路13を内蔵している。第二スイッチング素子モジュール18は、第二インバータ回路13を構成するスイッチング素子E9〜E14や基板等を樹脂により一体成形して構成されている。第三スイッチング素子モジュール19は、電源電圧Vbを昇圧するための昇圧回路11を内蔵している。第三スイッチング素子モジュール19は、昇圧回路11を構成するスイッチング素子E1,E2や基板等を樹脂により一体成形して構成されている。
これらのスイッチング素子モジュール17〜19に含まれるスイッチング素子E1〜E14は、オンオフ動作に伴って発熱する。そこで、この発熱するスイッチング素子E1〜E14を冷却するための冷却液が流通する冷却室Rが、冷却器32の内部、より具体的には下側冷却室形成部材33と上側冷却室形成部材34(ここでは、その上に固定されたヒートシンク20を含む)との間に形成されている。すなわち、下側冷却室形成部材33の上面及び上側冷却室形成部材34の下面の一方又は双方が、これらの合わせ面に対して所定位置で窪んで形成される内部空間として、冷却室Rが形成されている。なお、下側冷却室形成部材33及び上側冷却室形成部材34の外周部における合わせ面は、冷却液が漏出することがないようにシール部材により液密状態とされている。このように、その内部に単独で冷却室Rを有する冷却器32を備えていることで、例えばケース2と制御装置10を支持する部材(例えば、ケースフレーム等)との間に冷却室Rが形成されるように構成される場合と比較して、冷却室Rの周辺における冷却液のシール性能の保証が容易となっている。
冷却室Rの延在方向に沿って図3における左右に突出する2つの管状部材35が、上側冷却室形成部材34と一体的に形成されている。管状部材35は、それぞれ円筒状に形成されており、当該管状部材35の軸方向(図3の左右方向)の開口の一方が冷却室Rに連通している。これら2つの管状部材35を介して、冷却液循環回路CCを循環する冷却液が、冷却室Rへ流入し、冷却室Rから流出する。その際、冷却室Rにおいて、冷却液はヒートシンク20を介した熱伝導によりスイッチング素子E1〜E14を冷却する。なお、下側冷却室形成部材33は、アルミニウム等の金属材料を用いて形成されており、上側冷却室形成部材34及び管状部材35は、樹脂材料を用いて形成されている。
また、制御基板38が、支持部材37を介して冷却器32の下側冷却室形成部材33に固定されている。この制御基板38は、スイッチング素子モジュール17〜19の上側に配置されている。なお、図示はしていないが、断熱部材31と下側冷却室形成部材33との間、及びスイッチング素子モジュール17〜19と支持部材37との間の空間には、第一平滑コンデンサ15や第二平滑コンデンサ16、DC−DCコンバータ等の部品が適宜固定されている。
以上の説明から理解できるように、本実施形態においては、制御装置10を構成するスイッチング素子モジュール17〜19及び制御基板38等は、端子台40及び冷却器32を介して間接的にケース2に固定されている。そして、端子台40、冷却器32、スイッチング素子モジュール17〜19(スイッチング素子E1〜E14)、及び制御基板38に対して、これらを覆うように、積層方向Lに沿って上側からカバー部材60が被せられる。カバー部材60は、ケース2の支持壁部5の上部に平坦に形成されたカバー載置面8に載置され、シール部材を介して液密状態でケース2に固定される。
なお、本実施形態では、カバー部材60の着脱方向は積層方向Lに一致しているので、当該着脱方向は、管状部材35の延出方向N(図3における左右方向、以下では単に「延出方向N」と言う場合がある)に直交する方向となっている。このようにして、ケース2の外部には、回転電機MG1,MG2を制御する制御装置10(端子台40の下側に固定されてケース2内に配置されるリアクトル14を除く)と、次に説明する半導体冷却装置50と、が一体的に固定されている。本実施形態に係るハイブリッド駆動装置Hは、この半導体冷却装置50における、冷却液循環回路CCとの接続構造に大きな特徴を有している。以下では、この点について詳細に説明する。
1−4.半導体冷却装置と冷却液循環回路との接続構造
本実施形態に係る半導体冷却装置50は、スイッチング素子E1〜E14を冷却する冷却液が流通する冷却室Rをその内部に有する冷却器32と、冷却室Rに連通する流路を形成する管状部材35と、少なくともスイッチング素子E1〜E14(スイッチング素子モジュール17〜19)、冷却器32、及び管状部材35を収容するカバー部材60と、を備えて構成されている。また、カバー部材60は所定の面にカバー開口部62を有し、半導体冷却装置50は、当該カバー開口部62に固定される凹空間形成部材70を更に備えている。
カバー部材60は、ケース2の支持壁部5の上部に平坦に形成されたカバー載置面8(図4を参照)に載置されてケース2に固定され、積層方向Lで下向きに開口する直方体状に形成されている。カバー部材60は、ケース2に固定された状態で、ケース2との間の空間に少なくとも冷却器32及び管状部材35を収容している。また、カバー部材60は、ケース2との間の空間に、制御装置10の一部を構成すると共に半導体冷却装置50による冷却対象となるスイッチング素子E1〜E14(スイッチング素子モジュール17〜19)等も収容している。
カバー部材60は、その内部に収容される各部品に対して積層方向Lの上方を覆う平板状の上面と、各部品の四方を覆うように積層方向Lに対して略平行に延在する4つの平板状の側面と、を有する。本実施形態では、これら4つの側面のうち、冷却室Rの延在方向に沿った方向であって、かつ、回転電機MG1,MG2の軸方向に直交する方向(ここでは、図3の左右方向)の両側を覆うように延在し、互いに向かい合う2つの側面が開口形成面61とされている。本実施形態では、図3及び図5に示すように、それぞれ冷却室Rの延在方向に沿って図3における左右両側に向かって延出する2つの管状部材35の先端部35aよりも外側で、当該先端部35aに近接して2つの開口形成面61が配置されている。これら2つの開口形成面61には、それぞれ正面視で略円形状のカバー開口部62が設けられている。これらのカバー開口部62は、管状部材35の延出方向Nに沿って先端部35aの延長線上に設けられている。すなわち、開口形成面61のうち、管状部材35の先端部35aから当該管状部材35の延出方向Nに沿って延びる仮想延長線と交差する位置に、カバー開口部62がそれぞれ設けられている。それぞれのカバー開口部62は、当該交差する位置を中心として、管状部材35の外径の例えば2〜5倍程度の内径を有するように設けられている。このカバー開口部62には、後述する凹空間形成部材70が取り付けられて固定される。本実施形態においては、カバー開口部62が本発明における「開口部」に相当する。
冷却器32は、上下一対の冷却室形成部材33,34を備えて構成され、スイッチング素子E1〜E14を冷却する冷却液が流通する冷却室Rをその内部に有する。冷却器32を構成する上側冷却室形成部材34の上面に形成された開口に、ヒートシンク20と一体化されたスイッチング素子モジュール17〜19が固定されている。本実施形態では、スイッチング素子モジュール17〜19に含まれるスイッチング素子E1〜E14は、冷却室Rに面して同一平面(以下、「素子配置面P」と称する、図3を参照)上に配置されている。なお、本実施形態では、冷却室Rの延在面と素子配置面Pとが略平行となっており、また、冷却室Rの延在面及び素子配置面Pに直交する方向と積層方向Lとが平行となっている。
管状部材35は、中空管状に形成され、冷却室Rに接続されると共に冷却液循環回路CCにも接続される流路(流入路及び流出路)をその内周部に形成する。本実施形態では、素子配置面Pの延在方向に沿った方向であって、かつ、回転電機MG1,MG2の軸方向に直交する方向(ここでは、図3の左右方向)に沿うように、管状部材35の延出方向Nが設定され、これに応じて冷却室R内における冷却液の全体としての流通方向も管状部材35の延出方向Nと同じ方向に設定されている。本実施形態においては、ハイブリッド駆動装置Hが車体に固定された状態で、管状部材35の延出方向N及び素子配置面Pの延在方向は、鉛直方向(図1における上下方向)に対して傾斜している。なお、これらの方向は水平となっていても良い。このように、本実施形態では冷却液の全体としての流通方向と管状部材35の延出方向Nとが、素子配置面Pの延在方向に沿って互いに一致しているので、冷却液循環回路CCから供給される冷却液が管状部材35の内部及び冷却室R内を流通する際の圧力損失が少ない状態で、スイッチング素子モジュール17〜19(スイッチング素子E1〜E14)を効率的に冷却することが可能となっている。
なお、管状部材35のカバー部材60側の端部、つまり冷却室Rに接続される側とは反対側の先端部35aは、それぞれ2つの開口形成面61よりもカバー部材60の内部側で、開口形成面61に近接して配置されている。この管状部材35の先端部35aと開口形成面61との間の離間距離は、次に述べる凹空間形成部材70の円筒部71の、延出方向Nに沿った長さよりも短い値に設定されている。
凹空間形成部材70は、本実施形態においては、カバー開口部62に対してカバー部材60の外部側から当該カバー開口部62を挿通して取り付けられ、その一部がカバー部材60の内部側に収容される略円筒状の部材である。凹空間形成部材70は、樹脂材料を用いて形成されている。図5に示すように、本実施形態においては、凹空間形成部材70は、略円筒状の円筒部71と、当該円筒部71におけるカバー部材60の外部側(図5における左側)の軸方向端部から径方向外側に延びる鍔状部73と、を有する。ここで本例では、円筒部71は、カバー部材60の内部側(図5における右側)の軸方向端部から径方向内側に延びる円板部72を一体的に有している。円筒部71は、カバー開口部62の内径よりも小さい外径を有しており、カバー部材60の外部側からカバー開口部62を貫通し、円板部72を先頭としてカバー部材60の内部側の空間に進入可能である。円板部72はその径方向中央部に略円形状の貫通孔72aを有する。貫通孔72aの内径は管状部材35の外形よりも大きく、管状部材35は、カバー部材60の内部側から貫通孔72aを貫通し、先端部35aを先頭として円筒部71の径方向内側の空間に進入可能である。また、鍔状部73は、カバー開口部62の内径よりも大きい外径を有すると共に、周方向の全体に亘って開口形成面61に平行な平板状に形成されている。
また、本実施形態に係る凹空間形成部材70は、円筒部71の外周面に設けられた係止爪部75を更に有する。係止爪部75は、円筒部71の軸方向で鍔状部73よりもカバー部材60の内部側(図5における右側)であって、鍔状部73に隣接する位置に円筒部71と一体的に形成されている。なお、係止爪部75と鍔状部73とは、開口形成面61の厚みよりも僅かに大きい距離だけ離間して配置されている。また、本例では、円筒部71の周方向の複数箇所に、複数の係止爪部75が分散して形成されている。それぞれの係止爪部75は、カバー部材60の外部側(図5における左側)に向かうほど、円筒部71の径方向外側への突出高さが高くなるように形成されている。
円板部72を先頭として、カバー開口部62を貫通するように凹空間形成部材70がカバー部材60の内部側に徐々に挿入され、最終的に鍔状部73が開口形成面61に当接するまで凹空間形成部材70が挿入されたとき、係止爪部75は、鍔状部73との間に開口形成面61を挟持する。これにより、係止爪部75は、鍔状部73との協働により、鍔状部73と開口形成面61との間の、円筒部71の軸方向(延出方向N)に沿った相対移動を規制してこれらを互いに固定する。このようにして、開口形成面61のカバー開口部62に、凹空間形成部材70が取り付けられて固定される。なお、本実施形態においては、係止爪部75及び鍔状部73により、本発明における「固定機構F1」が構成されている。なお、このような固定機構F1によれば、延出方向Nに沿って凹空間形成部材70をカバー開口部60に挿入するという一動作だけで、凹空間形成部材70とカバー部材60とを固定することができる。よって、このような構成を採用した場合、製造工程を簡素化することができるという利点がある。
カバー開口部62に凹空間形成部材70が取り付けられた状態で、鍔状部73とカバー部材60(開口形成面61)との間にシール部材91が配置される。このようなシール部材91としては、例えば面シール用のOリング等を用いることができる。また、円筒部71の円板部72に形成された貫通孔72aの内周面と管状部材35の外周面との間にシール部材92が配置される。このようなシール部材92としては、例えばシールリップを有すると共に金属製の補強リングを有して構成された部材等を用いることができる。この部材は、車両用駆動装置等においてオイルシール等として一般的に用いられているものとすることができる。このようにして、凹空間形成部材70とカバー部材60との間、及び凹空間形成部材70と管状部材35との間、の双方が液密状態とされる。
また、図5及び図6に示すように、カバー開口部62に凹空間形成部材70が取り付けられた状態で、凹空間形成部材70は、開口形成面61に対してカバー部材60の内部側に窪んだ凹空間CSを、円筒部71の径方向内側に形成する。すなわち、開口形成面61に対してカバー部材60の内部側に窪んだ空間であって、かつ、円筒部71の内周面と当該内周面から連続する円板部72の面とにより区画される空間として、凹空間CSが形成される。この凹空間CSは、開口形成面61に対して物理的にはカバー部材60の内部側に配置されているが、その一方で、カバー部材60、凹空間形成部材70、及びそれらの間のシール構造によって区画される面(以下では、これを「シール面」と称する)に対しては、当該シール面の外部側に配置されている。
上記のとおり、本実施形態では、管状部材35の先端部35aと開口形成面61との間の離間距離は、凹空間形成部材70の円筒部71の延出方向Nに沿った長さよりも短い。そのため、カバー開口部62に凹空間形成部材70が取り付けられた状態で、管状部材35の先端部35aは、凹空間CS内に配置されることになる。そして、その凹空間CSはシール面に対してその外部側に配置されている。従って、管状部材35の先端部35aは、凹空間CS内でシール面に対してその外部側に露出している。そして管状部材35は、図5及び図6に示すように、シール面に対して外部側となる凹空間CS内において、冷却液循環回路CCの一部を画定する連結ホース89(例えば、ゴムホース等)に接続される。本例では、連結ホース89は、管状部材35に外挿されて接続されている。
本実施形態の構成では、管状部材35の先端部35aが、最終的に凹空間形成部材70により形成される凹空間CS内に配置され、開口形成面61に対して物理的にはカバー部材60の内部側に配置されるので、カバー開口部62に凹空間形成部材70を取り付ける前の状態で、管状部材35と干渉することなく、カバー部材60を積層方向Lに沿ってケース2に取り付けることができる。よって、ハイブリッド駆動装置Hの製造時において、ケース2に対して制御装置10及び半導体冷却装置50を一体化させる際の利便性(製造の容易性)を確保することが可能となっている。
特に、本実施形態のように、冷却液循環回路CCから供給される冷却液が管状部材35の内部及び冷却室R内を流通する際の圧力損失を低減する目的で、素子配置面Pの延在方向に沿うように、冷却液の全体としての流通方向と管状部材35の延出方向Nとの双方が設定される場合であって、素子配置面Pと直交する積層方向Lに沿ってカバー部材60が着脱される場合には、カバー部材60の着脱方向と管状部材35の延出方向Nとが直交することになる。この場合であっても、本実施形態では、カバー開口部62に凹空間形成部材70を取り付ける前の状態ではカバー部材60と管状部材35とが干渉しないので、カバー部材60を積層方向Lに沿ってケース2に容易かつ確実に取り付けることができ、特に有利である。
また、その後カバー部材60のカバー開口部62に凹空間形成部材70を取り付けることで、管状部材35の先端部35aを凹空間CS内に配置させ、当該管状部材35の先端部35aを、液密状態で一体化されるカバー部材60及び凹空間形成部材70に対してその外部側に露出させることができる。すなわち、管状部材35の先端部35aを、シール面に対してその外部側に露出させることができる。よって、管状部材35から連結ホース89を取り外す際に、管状部材35の先端部35aからこぼれる冷却液をシール面に対してその外部側に排出させることができる。これにより、補修等のサービス等に際して管状部材35から連結ホース89を取り外す際にも、カバー部材60の内部側での冷却液漏れを防止できる。従って、漏出する冷却液が、制御装置10に備えられるスイッチング素子E1〜E14等の電子部品に悪影響を及ぼすのを抑制することができる。
更に、管状部材35から連結ホース89を取り外した後に、シール面の外部側で管状部材35の先端部35aから、冷却室R等に残存する冷却液を十分に排出させることができる。これにより、その後カバー部材60を積層方向Lに沿って取り外すことを可能とするべく凹空間形成部材70を取り外す際にも、カバー部材60の内部側での冷却液漏れを効果的に抑制することができる。
また、連結ホース89を取り外した後は、凹空間形成部材70をカバー開口部62から取り外し、カバー部材60を積層方向Lに沿って適切にケース2から取り外すことができる。よって、本実施形態の構成では、ハイブリッド駆動装置Hにおける制御装置10の補修等のサービス時等においても、ケース2に対して制御装置10及び半導体冷却装置50を脱着させる際の利便性に優れている。
2.第二の実施形態
本発明に係る半導体冷却装置の第二の実施形態について、図7を参照して説明する。本実施形態においても、半導体冷却装置50は、ハイブリッド駆動装置Hに備えられる制御装置10が有するスイッチング素子E1〜E14の冷却を行うために用いられている。本実施形態に係る半導体冷却装置50の構成は、基本的には上記第一の実施形態と同様である。但し、本実施形態では、カバー開口部62に対して凹空間形成部材70を固定するための具体的構成が、上記第一の実施形態とは一部相違している。以下では、本実施形態に係る半導体冷却装置50について、上記第一の実施形態との相違点を中心に説明する。なお、特に明記しない点については、上記第一の実施形態と同様とする。
本実施形態においても、2つの開口形成面61には、それぞれ正面視で略円形状のカバー開口部62が設けられている。これらのカバー開口部62は、管状部材35の延出方向Nに沿って先端部35aの延長線上に設けられている。このカバー開口部62には、凹空間形成部材70が取り付けられて固定される。また、本実施形態においては、図7に示すように、カバー部材60は、開口形成面61に対してカバー部材60の内部側に折り返して形成される円筒状の折返部64を、カバー開口部62の周囲に有する。折返部64の内周面には、雌ネジ部65が設けられている。なお、本実施形態においては、カバー部材60がこのような折返部64を有するため、管状部材35の先端部35aと開口形成面61との間の離間距離は、延出方向Nに沿って、折返部64の長さよりも長く、かつ、凹空間形成部材70の円筒部71の長さよりも短い値に設定されている。
本実施形態においても、凹空間形成部材70は、円筒部71と鍔状部73とを有して構成されている。また、円筒部71は円板部72を一体的に有している。但し、本実施形態に係る凹空間形成部材70は、円筒部71の外周面に係止爪部75(図5を参照)を有していない。本実施形態に係る凹空間形成部材70は、そのような係止爪部75に代えて、雄ネジ部76を円筒部71の外周面に有している。円筒部71は、軸方向で円板部72側では、折返部64の内径(より具体的には、雄ネジ部76の山部の内径)よりも小さい外径を有しており、カバー部材60の外部側からカバー開口部62及び折返部64を貫通し、円板部72を先頭としてカバー部材60の内部側の空間に進入可能である。
また、本実施形態に係る凹空間形成部材70は、円筒部71の外周面に設けられた雄ネジ部76を更に有する。雄ネジ部76は、円筒部71の軸方向で鍔状部73よりもカバー部材60の内部側(図7における右側)であって、鍔状部73に隣接する位置に設けられている。なお、雄ネジ部76は、折返部64の内周面に設けられた雌ネジ部65と螺合するように設けられている。本実施形態においては、折返部64の内周面に設けられた雌ネジ部65と円筒部71の外周面に設けられた雄ネジ部76とにより、本発明における「螺合部」が構成されている。
円板部72を先頭として、カバー開口部62を貫通するように凹空間形成部材70がカバー部材60の内部側に徐々に挿入されると共に、更に円筒部71の雄ネジ部76と折返部64の雌ネジ部65とが螺合しながら締め付けられる。そして、最終的に鍔状部73が開口形成面61に当接するまで、凹空間形成部材70がねじ込まれながら挿入される。これにより、円筒部71の雄ネジ部76及び折返部64の雌ネジ部65は、鍔状部73との協働により、鍔状部73と開口形成面61との間の円筒部71の軸方向(延出方向N)の相対移動を規制してこれらを互いに固定する。このようにして、開口形成面61のカバー開口部62に、凹空間形成部材70が取り付けられて固定される。なお、本実施形態においては、円筒部71の雄ネジ部76、折返部64の雌ネジ部65、及び鍔状部73により、本発明における「固定機構F1」が構成されている。このような固定機構F1によれば、螺合部を締め付け或いは緩めることにより、凹空間形成部材70とカバー部材60との脱着を行うことができる。よって、このような構成を採用した場合、固定機構F1を破損させることなく、凹空間形成部材70とカバー部材60との脱着を可逆的に切り替えることができるという利点がある。
3.第三の実施形態
本発明に係る半導体冷却装置の第三の実施形態について、図8を参照して説明する。本実施形態においても、半導体冷却装置50は、ハイブリッド駆動装置Hに備えられる制御装置10が有するスイッチング素子E1〜E14の冷却を行うために用いられている。本実施形態に係る半導体冷却装置50の構成は、基本的には上記第一の実施形態と同様である。但し、本実施形態では、冷却液循環回路CCと管状部材35との接続構造に係る具体的構成が、上記第一の実施形態とは一部相違している。以下では、本実施形態に係る半導体冷却装置50について、上記第一の実施形態との相違点を中心に説明する。なお、特に明記しない点については、上記第一の実施形態と同様とする。
本実施形態においても、2つの開口形成面61には、それぞれ正面視で略円形状のカバー開口部62が設けられている。これらのカバー開口部62は、管状部材35の延出方向Nに沿って先端部35aの延長線上に設けられている。このカバー開口部62には、凹空間形成部材70が取り付けられて固定される。本実施形態においても、凹空間形成部材70は、円筒部71と鍔状部73とを有して構成されている。また、円筒部71は円板部72を一体的に有すると共に、その外周面に係止爪部75を有している。この係止爪部75は、鍔状部73と共に本発明における「第一固定機構F1」を構成している。
本実施形態に係る凹空間形成部材70は、円筒部71の内周面に設けられた第二の係止爪部77を更に有する。この係止爪部77は、円筒部71の軸方向における鍔状部73と同じ位置で、周方向に分散して複数形成されている。それぞれの係止爪部77は、カバー部材60の内部側(図8における右側)に向かうほど、円筒部71の径方向内側への突出高さが高くなるように形成されている。
本実施形態においては、半導体冷却装置50は、凹空間形成部材70により形成される凹空間CS内において管状部材35の先端部35aに接続される略円筒状の連結部材80を更に備える。連結部材80は、樹脂材料を用いて形成されている。連結部材80は、管状部材35の延出方向Nに沿って延びる略円筒状の本体部81と、当該本体部81におけるカバー部材60の外部側(図8における左側)の軸方向端部から更にカバー部材60の外部側に延びる突出部82と、を有する。本体部81は、凹空間形成部材70の円筒部71よりも小さい内径を有しており、カバー部材60の外部側から凹空間CS内に進入可能である。本体部81は、管状部材35の外径よりも大きい内径を有しており、管状部材35は、カバー部材60の内部側から先端部35aを先頭として連結部材80の径方向内側の空間に進入可能である。よって本例では、連結部材80は、管状部材35に外挿されて接続される。
また、連結部材80は、本体部81の外周面から凹空間形成部材70側となる径方向外側に向かって突出する突起部84と、本体部81におけるカバー部材60の外部側の軸方向端部から径方向外側に延びる径方向延在部85と、を更に有する。突起部84及び径方向延在部85は、本体部81に設けられたスリット部86の径方向外側に、周方向の全体に亘って形成されている。本実施形態では、突起部84は、凹空間形成部材70の円筒部71内周面に設けられた第二の係止爪部77に係合し、これらが係合した状態で更に鍔状部73と径方向延在部85とが接するように配置される。
これにより、係止爪部77は、突起部84、径方向延在部85、及び鍔状部73との協働により、凹空間形成部材70と連結部材80と間の、円筒部71の軸方向(延出方向N)に沿った相対移動を規制してこれらを互いに固定する。このようにして、凹空間CS内に露出する管状部材35の先端部35aに、連結部材80が取り付けられて固定される。連結部材80の本体部81の内周面と管状部材35の外周面との間には、シール部材94が配置される。このようなシール部材94としては、例えば軸シール用のOリング等を用いることができる。なお、本実施形態においては、鍔状部73、係止爪部77、突起部84、及び径方向延在部85により、本発明における「第二固定機構F2」が構成されている。
凹空間CS内に露出する管状部材35の先端部35aに連結部材80が取り付けられた状態で、連結部材80の突出部82は、開口形成面61に対して物理的にカバー部材60の外部側に配置される。当然ながら、突出部82はシール面に対しても、その外部側に配置される。そして連結部材80の突出部82は、シール面及び開口形成面61の双方に対してその外部側において、冷却液循環回路CCの一部を画定する連結ホース89に接続される。すなわち、管状部材35は、凹空間CS内において連結部材80に接続されると共に、当該連結部材80を介してシール面及び開口形成面61の双方に対してその外部側において、連結ホース89に接続される。本例では、連結ホース89は、連結部材80の突出部82に外挿されて接続されている。
このような接続構造によれば、連結部材80と連結ホース89との接続箇所となる突出部82を凹空間CSの外部に引き出すことができるので、空間的な制約を排除して、当該連結部材80と連結ホース89との接続のための作業を容易化することができるという利点がある。また、凹空間CS内において行われる作業は、樹脂材料で形成されて比較的剛性の高い連結部材80を延出方向Nに沿って抜き差しする作業だけとなり、比較的柔軟性の高い連結ホース89を抜き差しする作業を凹空間CS内で行う必要がなくなる。そのため、上記第一及び第二の実施形態のように凹空間CS内において管状部材35に対して直接的に連結ホース89を接続する場合と比較して、凹空間CSをそれほど広く確保する必要がなく、凹空間形成部材70を小型化できると共にカバー部材60の内部空間の容積を広く確保することができるという利点がある。
4.第四の実施形態
本発明に係る半導体冷却装置の第四の実施形態について、図9を参照して説明する。本実施形態においても、半導体冷却装置50は、ハイブリッド駆動装置Hに備えられる制御装置10が有するスイッチング素子E1〜E14の冷却を行うために用いられている。本実施形態では、カバー開口部62に対して凹空間形成部材70を固定するための具体的構成、及び冷却液循環回路CCと管状部材35との接続構造に係る具体的構成が、上記第一の実施形態とは相違している。以下では、本実施形態に係る半導体冷却装置50について、上記第一の実施形態との相違点を中心に説明する。なお、特に明記しない点については、上記第一の実施形態と同様とする。
本実施形態においても、2つの開口形成面61には、それぞれ正面視で略円形状のカバー開口部62が設けられている。これらのカバー開口部62は、管状部材35の延出方向Nに沿って先端部35aの延長線上に設けられている。このカバー開口部62には、凹空間形成部材70が取り付けられて固定される。
凹空間形成部材70は、本実施形態においては、カバー開口部62に対してカバー部材60の内部側から当該カバー開口部62の周囲に沿って取り付けられ、その全体がカバー部材60の内部側に収容されるように配置されている。凹空間形成部材70は、略円筒状の円筒部71と、当該円筒部71におけるカバー部材60側(図9における左側)の軸方向端部から径方向外側に延びる鍔状部73と、を有する。本実施形態では、円筒部71は円板部72を有しておらず、円筒部71の内周面と管状部材35の外周面との間にシール部材92が配置されている。本実施形態では、凹空間CSは、開口形成面61に対してカバー部材60の内部側に窪んだ空間であって、かつ、円筒部71の内周面とシール部材92とにより区画される空間として形成される。また、円筒部71の開口形成面61側の内周面には、雌ネジ部78が設けられている。
半導体冷却装置50は、凹空間形成部材70により形成される凹空間CS内において管状部材35の先端部35aに接続される略円筒状の連結部材80を更に備える。連結部材80は、樹脂材料を用いて形成されている。連結部材80は、管状部材35の延出方向Nに沿って延びる略円筒状の本体部81と、当該本体部81におけるカバー部材60の外部側(図9における左側)の軸方向端部から更にカバー部材60の外部側に延びる突出部82と、を有する。本体部81は、カバー開口部62及び凹空間形成部材70の円筒部71の内径よりも小さい外径を有しており、カバー部材60の外部側からカバー開口部62及び円筒部71を貫通してカバー部材60の内部側の空間に進入可能である。また、本体部81は、管状部材35の外径よりも大きい内径を有しており、管状部材35は、カバー部材60の内部側から先端部35aを先頭として連結部材80の径方向内側の空間に進入可能である。よって本例では、連結部材80は、管状部材35に外挿されて接続される。また、連結部材80は、開口形成面61に対してカバー部材60の外部側で本体部81から径方向外側に延びる径方向延在部85を更に有する。径方向延在部85は、カバー開口部62の内径よりも大きい外径を有すると共に、周方向の全体に亘って開口形成面61に平行な平板状に形成されている。
本体部81の冷却室R側の外周面には、雄ネジ部87が設けられている。雄ネジ部87は、凹空間形成部材70の円筒部71内周面に設けられた雌ネジ部78と螺合するように設けられている。本実施形態においては、凹空間形成部材70の円筒部71の内周面に設けられた雌ネジ部78と連結部材80の本体部81の外周面に設けられた雄ネジ部87とにより、本発明における「螺合部」が構成されている。
所定の治具等を用いて凹空間形成部材70をカバー開口部62の周囲に沿って仮固定した状態で、連結部材80の本体部81がカバー開口部62を貫通するようにカバー部材60の内部側に徐々に挿入されると共に、更に本体部81の雄ネジ部87と円筒部71の雌ネジ部78とが螺合しながら締め付けられる。そして、最終的に連結部材80の径方向延在部85と凹空間形成部材70の鍔状部73とが、所定圧以上でこれらの間に開口形成面61を挟持するまで、連結部材80がねじ込まれながら挿入される。これにより、本体部81の雄ネジ部87及び円筒部71の雌ネジ部78は、径方向延在部85及び鍔状部73との協働により、径方向延在部85と鍔状部73との間に開口形成面61を挟持してこれらを一体的に固定する。このようにして、開口形成面61のカバー開口部62に、凹空間形成部材70及び連結部材80が両側から一体的に取り付けられて固定される。なお、本実施形態においては、本体部81の雄ネジ部87、円筒部71の雌ネジ部78、径方向延在部85、及び鍔状部73により、本発明における「固定機構F1」が構成されている。
この際、凹空間CS内に露出する管状部材35の先端部35aに、連結部材80が取り付けられる。連結部材80の本体部81の内周面と管状部材35の外周面との間には、シール部材94が配置される。このようなシール部材94としては、例えばOリング等を用いることができる。凹空間CS内に露出する管状部材35の先端部35aに連結部材80が取り付けられた状態で、連結部材80の突出部82は、開口形成面61に対して物理的にカバー部材60の外部側に配置される。そして、突出部82は、シール面及び開口形成面61の双方に対してその外部側において、冷却液循環回路CCの一部を画定する連結ホース89に接続される。
5.その他の実施形態
最後に、本発明に係る半導体冷却装置及び車両用駆動装置の、その他の実施形態について説明する。なお、以下のそれぞれの実施形態で開示される特徴構成は、その実施形態でのみ適用されるものではなく、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される特徴構成と組み合わせて適用することも可能である。
(1)上記の各実施形態においては、カバー開口部62に凹空間形成部材70が取り付けられた状態で、鍔状部73とカバー部材60(開口形成面61)との間にシール部材91が配置される場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、凹空間形成部材70とカバー部材60との間を液密状態とすることができるのであれば、その他の構造を採用することも可能である。例えば図10に示すように、カバー部材60が、開口形成面61に対してカバー部材60の内部側に折り返して形成される円筒状の折返部64をカバー開口部62の周囲に有すると共に、円筒部71の外周面と折返部64の内周面との間にシール部材91(例えば、軸シール用のOリング等)が配置される構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
この図10の例においては、円筒部71の外周面に設けられる係止爪部75と鍔状部73とは、折返部64の延出方向Nに沿った長さに相当する距離だけ離間して配置されている。カバー開口部62を貫通して凹空間形成部材70がカバー部材60の内部側に徐々に挿入され、最終的に鍔状部73が開口形成面61に当接するまで凹空間形成部材70が挿入されたとき、係止爪部75は、鍔状部73との間に折返部64を挟持する。この場合も、上記第一の実施形態と同様に、係止爪部75及び鍔状部73により、本発明における「固定機構F1」が構成されている。なお、図10においては、上記の各実施形態において説明した各部材と同様の機能を有する部材には同一の符号を付して、その説明を適宜省略している。
(2)上記の各実施形態においては、鍔状部73とカバー部材60との間に配置されるシール部材91が面シール用のOリング等により構成され、円筒部71(円板部72)の内周面と管状部材35の外周面との間に配置されるシール部材92が車両用駆動装置等においてオイルシール等として一般的に用いられている部材(ここでは、これを「オイルシール様部材」と称する)により構成される場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、凹空間形成部材70とカバー部材60との間、及び凹空間形成部材70と管状部材35との間、の双方が適切に液密状態とされていれば良く、シール部材91,92としては、オイルシール様部材、Oリング、Xリング等を適宜組み合わせて用いることも可能である。
(3)上記の各実施形態においては、円筒部71の外周面に設けられた係止爪部75や、折返部64の内周面と円筒部71の外周面との間に設けられた螺合部(雌ネジ部65及び雄ネジ部76)等を有して固定機構(第一固定機構)F1が構成されている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、鍔状部73とカバー部材60との間の相対移動を規制してこれらを互いに固定することができるような機構であれば、固定機構(第一固定機構)F1の具体的構成は任意の構成を採用することが可能である。そのような固定機構(第一固定機構)F1として、例えば鍔状部73とカバー部材60との間に設けられる接着層(例えば、エポキシ樹脂系等の接着剤による接着層)を採用することも、本発明の好適な実施形態の一つである。この場合、鍔状部73と接着層との間の接着面、及びカバー部材60と接着層との間の接着面により、シール部材91を用いることなく凹空間形成部材70とカバー部材60との間を液密状態とすることも可能である。
(4)上記第三の実施形態においては、第二固定機構F2が、凹空間形成部材70の円筒部71の内周面に設けられた第二の係止爪部77と、連結部材80の本体部81の外周面から凹空間形成部材70側となる径方向外側に向かって突出する突起部84と、を有する場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、例えば第二固定機構F2が、連結部材80の本体部81の外周面に設けられた係止爪部と、凹空間形成部材70の円筒部71の内周面から連結部材80側となる径方向内側に向かって突出する突起部と、を有する構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。或いは、第二固定機構F2が、凹空間形成部材70の円筒部71の内周面と連結部材80の本体部81の外周面との間に設けられた螺合部を有する構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
(5)上記第一及び第二の実施形態においては、連結ホース89が、管状部材35に外挿されて接続されている場合を例として説明した。また、上記第三及び第四の実施形態においては、連結ホース89が、連結部材80の突出部82に外挿されて接続されている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、例えば連結ホース89が、管状部材35や連結部材80の突出部82に対して、内挿されて接続された構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
(6)上記第三及び第四の実施形態においては、連結部材80が、管状部材35に外挿されて接続される場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、例えば連結部材80が、管状部材35に内挿されて接続される構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
(7)上記の各実施形態においては、2つの管状部材35が、冷却室Rの延在方向に沿って図3における左右両側に、反対向きに延出している場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、例えば2つの管状部材35が、冷却室Rの延在方向に沿って同じ向きに延出する構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。この場合、カバー部材60の4つの側面のうちの1つのみが開口形成面61とされる。或いは、2つの管状部材35が、冷却室Rの延在方向に沿って互いに直交する向きに延出する構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。この場合、カバー部材60の4つの側面のうち、互いに隣接する2つの側面がそれぞれ開口形成面61とされる。なお、2つの管状部材35が、冷却室Rの延在方向に沿って互いに交差する向きに延出する構成とすることも可能である。
(8)上記の各実施形態においては、2つの管状部材35が、冷却室Rの延在方向に沿って延出している場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、例えば2つの管状部材35が、冷却室Rの延在方向に直交して、カバー部材60の着脱方向(本例では、積層方向Lに一致する)に沿って延出する構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。或いは、2つの管状部材35が、冷却室Rの延在方向に直交して(積層方向Lに沿って)上方又は下方に延出した後、屈曲して冷却室Rの延在方向に沿って延出する構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。なお、これらの場合において、2つの管状部材35が、冷却室Rの延在方向に交差して延出する構成とすることも可能である。
(9)上記の各実施形態においては、カバー部材60の着脱方向(積層方向Lに一致)が、管状部材35の延出方向Nに直交する方向とされている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、本発明は、カバー部材60の着脱方向が管状部材35の延出方向Nに交差する方向とされている構成に好適に適用することができる。なお、この場合、管状部材35の延出方向Nに対するカバー部材60の着脱方向の傾斜角度は、管状部材35の先端部の35aの位置、並びにカバー開口部62の位置及び大きさとの関係で、カバー部材60が脱着される際に管状部材35の先端部35aとカバー部材60とが干渉しない程度の角度に設定されていると好適である。
(10)上記の各実施形態においては、ハイブリッド駆動装置Hが、2つの回転電機MG1,MG2を備えると共に2モータスプリットタイプのハイブリッド駆動装置として構成されている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、例えば第二回転電機MG2を備えることなく、1モータスプリットタイプのハイブリッド駆動装置とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。また、駆動伝達系の構成も任意であり、例えば動力分配装置に代えて変速機構等を備え、いわゆる1モータパラレルタイプのハイブリッド駆動装置とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
(11)上記の各実施形態においては、ケース2の外部に、回転電機MG1,MG2を制御する制御装置10と半導体冷却装置50とが一体的に固定されている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、例えばケース2と制御装置10及び半導体冷却装置50とが分離した状態で車体に固定された構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。但し、この場合であっても、制御装置10と半導体冷却装置50とは一体的に設けられていることが好ましい。
(12)上記の各実施形態においては、本発明に係る車両用駆動装置を、車両の駆動力源として内燃機関及び回転電機MGの双方を備えたハイブリッド車両用のハイブリッド駆動装置Hに適用した場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、車両の駆動力源として回転電機のみを備えた電動車両用の駆動装置に本発明を適用することも可能である。この場合においても、本発明に係る半導体冷却装置を、当該電動車両用の駆動装置に備えられる制御装置が有するスイッチング素子等の半導体素子の冷却を行うために用いると好適である。
(13)上記の各実施形態においては、半導体冷却装置50が、回転電機MG1,MG2を制御する制御装置10に備えられるインバータ回路12,13を構成するスイッチング素子E1〜E14を冷却対象としている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、例えば制御装置10に含まれる他の半導体素子(例えば、フリーホイールダイオードD1〜D14)が半導体冷却装置50による冷却対象とされた構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。或いは、回転電機MG1,MG2を制御する制御装置10に備えられるインバータ回路12,13以外の他の電気回路に含まれる、他の半導体素子が半導体冷却装置50による冷却対象とされた構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
(14)その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、本願の特許請求の範囲に記載された構成及びこれと均等な構成を備えている限り、特許請求の範囲に記載されていない構成の一部を適宜改変した構成も、当然に本発明の技術的範囲に属する。