JP5423253B2 - 電極活物質の製造方法 - Google Patents

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Description

この発明は、一般的には電極活物質の製造方法に関し、特定的にはマンガン含有リチウム遷移金属複合酸化物からなる非水電解質二次電池用電極活物質の製造方法に関する。
高いエネルギー密度を有する二次電池として、リチウムイオンを正極と負極との間で移動させることにより、充放電を行うようにした二次電池が用いられている。
このような二次電池において、一般的に正極活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO)というリチウム含有遷移金属複合酸化物が用いられている。近年、コバルト酸リチウムに代わる高性能の正極活物質として、リチウムにコバルト、ニッケル、マンガン等の遷移金属を反応させたリチウム含有遷移金属複合酸化物が研究されている。特にコストや資源等の観点から、遷移金属として少なくともマンガンを含むリチウム含有遷移金属複合酸化物が正極活物質として注目されている。
たとえば、特開平7−142065号公報(以下、特許文献1という)では、リチウムとマンガンを含む正極活物質の製造方法として、リチウムとマンガンの非晶質クエン酸錯体を焼成することにより活物質を得る方法が提案されている。非晶質クエン酸錯体は、水酸化リチウムと酢酸マンガンとクエン酸の混合水溶液を作製し、この混合水溶液を加熱脱水することにより得られる。このとき、加熱脱水時における結晶質の偏析を防ぐために、加熱温度を一定温度範囲内に設定することが好ましく、さらに加熱中に撹拌することは好ましくないとされている。
また、特開平8−227713号公報(以下、特許文献2という)では、リチウムとマンガンを含む正極活物質の製造方法として、リチウム化合物とマンガン化合物の混合物をクエン酸と反応させて得られる複合クエン酸塩を焼成することにより複合金属酸化物を得る方法が提案されている。具体的には、一つの実施例として、炭酸リチウムと炭酸マンガンを純水中に分散させて60℃に加温した後、クエン酸を加えて撹拌することにより、クエン酸塩のスラリーを作製している。このクエン酸塩のスラリーを濾別した後に乾燥し、仮焼成し、この仮焼成粉末を焼成することにより正極活物質が作製されている。
さらに、特開平10−188986号公報(以下、特許文献3という)では、LiMn系正極活物質の製造方法として、酸性リチウム塩と酸性マンガン塩とクエン酸とによりクエン酸錯体の水溶液を生成し、このクエン酸錯体の水溶液を脱水して前駆体を生成し、この前駆体を焼成することにより正極活物質を得る方法が提案されている。具体的には、酢酸リチウムなどの酸性リチウム塩と、酢酸マンガンなどの酸性マンガン塩と、クエン酸を用いて水溶液を作製し、この水溶液を加熱脱水してクエン酸錯体を得ている。このとき、加熱中における結晶質の偏析を抑えるために加熱条件を限定することが好ましいとされている。
なお、特開2006−93067号公報(以下、特許文献4という)では、リチウム、コバルト、ニッケルおよびマンガンを含む正極活物質の製造方法として、リチウム、コバルト、ニッケルおよびマンガンの各有機酸塩を混合して溶解し、さらに有機バインダーを添加した混合溶液を噴霧熱分解した後、酸素雰囲気でアニールすることにより正極活物質を得る方法が提案されている。ここで、各金属の有機酸塩を合成に使用される有機酸としては、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸などが用いられる。
特開平7−142065号公報 特開平8−227713号公報 特開平10−188986号公報 特開2006−93067号公報
ところで、LiMnやLiNiO、LiCoO、Li(Ni,Co,Mn)Oといった二次電池用正極活物質では、正極活物質を構成する粉体において組成が均一であることと、結晶性が高いことが電池特性を向上させるのに有効である。このために溶液合成法を採用して正極活物質としての粉体を作製することが多い。溶液合成法のうち、特に有機酸錯体法が安全で簡便な手法であるので用いられている。この有機酸錯体法では、出発原料としての塩を水などの溶媒中に溶かし、この溶液にクエン酸などのオキシカルボン酸を加えて錯体を合成し、この錯体を含む溶液を加熱して乾燥(脱水)した後、得られた錯体を焼成することによって、粉体が作製される。
この有機酸錯体法において、出発原料としての塩と有機酸が溶けた水溶液を加熱して脱水することが多いが、この加熱時に水溶液中に析出粉が生成することがある。この析出粉は水溶液中の金属成分の一部と有機成分とから構成される。この析出粉が生成すると、溶液法の利点の一つである「各金属元素が原子レベルで均一に混合されている」という状態を達成することができなくなる。すなわち、特定の金属成分が析出粉中に偏析し、それ以外の成分は溶媒中に溶解した状態になる。このため、最終的に得られる粉体において組成が均一でなくなる。
そこで、水溶液の加熱中における析出粉の生成を抑えるために、特許文献1と特許文献3に記載されているように、加熱脱水条件を限定する必要がある。また、特許文献2では、クエン酸塩のスラリーが作製されているが、結晶質の固形分、すなわち析出粉が水溶液中に存在していると考えられるので、水溶液の加熱中における析出粉の生成が抑制されていない。
なお、特許文献4では、合成に使用される有機酸としてリンゴ酸を用いた例が示されている。また、混合溶液を噴霧熱分解した後、酸素雰囲気でアニールすることにより正極活物質を作製している。このように噴霧熱分解とアニールという異なった2回の熱処理工程が行われるので、工程が複雑になり、また大規模な設備が必要になるという問題がある。
そこで、本発明の目的は、溶液の加熱脱水中における析出粉の生成を抑制することができ、かつ、簡単な工程で合成することが可能な、マンガン含有リチウム遷移金属複合酸化物からなる電極活物質の製造方法を提供することである。
本発明者は、従来技術の問題点を解決するために鋭意研究を重ねた結果、有機酸としてリンゴ酸を用いることにより、上記の目的を達成できることを見出した。この知見に基づいて、本発明に従った電極活物質の製造方法は、次のような特徴を備えている。
この発明に従った電極活物質の製造方法は、少なくともマンガンおよびリチウムを含むマンガン含有リチウム遷移金属複合酸化物からなる電極活物質の製造方法であって、以下の工程を備える。
(A)少なくともマンガンおよびリチウムを含有する出発原料をリンゴ酸に溶解する溶解工程。
(B)溶解工程で得られた溶液を加熱脱水することによりゲル化するゲル化工程。
(C)ゲル化工程で得られたゲル体を加熱することにより焼成する焼成工程。
この発明の電極活物質の製造方法では、溶解工程で出発原料をリンゴ酸に溶解させて溶液を作製しているので、その後工程で溶液を加熱しても、加熱中において析出粉が生成するのを抑制することができる。このため、ゲル化工程で完全に脱水するまで、透明な溶液状態、すなわち、出発原料を構成する各元素が原子レベルで均一に混合された状態を維持することができる。これにより、ゲル体を加熱することにより、最終的に得られる粉体において組成が均一に維持される。また、溶解工程で出発原料をリンゴ酸に溶解させて溶液を作製した後、簡単な工程でマンガン含有リチウム遷移金属複合酸化物を合成することができる。
本発明の電極活物質の製造方法において、出発原料が、酢酸マンガン・四水和物、および、炭酸マンガンからなる群より選ばれた少なくとも一種を含有することが好ましい。
また、本発明の電極活物質の製造方法において、出発原料が、炭酸リチウムを含有することが好ましい。
この場合、この発明の電極活物質の製造方法によって最終的に得られるマンガン含有リチウム遷移金属複合酸化物は、組成が均一であるので、二次電池用電極活物質に適用すると、電池特性を向上させることができる。
本発明によれば、加熱中において析出粉が生成するのを抑制することができるので、最終的に得られる粉体において組成が均一に維持されるだけでなく、溶解工程で出発原料をリンゴ酸に溶解させて溶液を作製した後、簡単な工程でマンガン含有リチウム遷移金属複合酸化物、すなわち電極活物質を合成することができる。
本発明の製造方法によって作製された電極活物質の一例であるLiMn粉のX線回折によるピーク強度の一つの例を示す図である。 本発明の製造方法によって作製された電極活物質の一例であるLi(Ni0.5Mn0.5)O粉のX線回折によるピーク強度の一つの例を示す図である。
本発明の電極活物質の製造方法の一つの実施の形態では、リチウムイオン二次電池用正極活物質に用いられる、少なくともマンガンおよびリチウムを含むマンガン含有リチウム遷移金属複合酸化物として、LiMn系、または、LiMO(M=Ni、MnおよびCoのいずれか1種以上でMnを必ず含む)系が製造される。たとえば、LiMnO、Li(Ni,Mn)O、Li(Ni,Co,Mn)Oなどが作製される。
上記の酸化物を作製するために、まず、出発原料として上記の金属を含む各金属塩をリンゴ酸に溶解する。
出発原料としては、リンゴ酸に溶解する上記の金属を含む酸化物、炭酸塩、無機酸塩、有機酸塩、塩化物などがあげられる。具体的には、マンガンの原料として、酢酸マンガン・四水和物、炭酸マンガン、硝酸マンガン・六水和物、塩化マンガン・四水和物、硫酸マンガン・五水和物、などがあげられる。リチウムの原料として、炭酸リチウム、水酸化リチウム・一水和物、酢酸リチウム・二水和物、などがあげられる。ニッケルの原料として、酢酸ニッケル・四水和物、塩化ニッケル・六水和物、硝酸ニッケル・六水和物、硫酸ニッケル・六水和物、塩基性炭酸ニッケル、酢酸ニッケル・四水和物、などがあげられる。コバルトの原料として、酢酸コバルト・四水和物、炭酸コバルト、塩化コバルト・六水和物、硝酸コバルト・六水和物、硫酸コバルト・七水和物、などがあげられる。出発原料は、特に限定されるものではなく、リンゴ酸に溶解することができ、上記の金属を含む金属塩であれば、本発明の効果を得ることが可能である。
その後、得られた溶液を加熱脱水することによりゲル化する。得られたゲル体を加熱することにより焼成する。
本発明の電極活物質の製造方法の実施の形態では、溶解工程で出発原料である各金属塩をリンゴ酸に溶解させて溶液を作製しているので、その後工程で溶液を加熱しても、加熱中において金属成分を含む析出粉が生成するのを抑制することができる。このため、ゲル化工程で完全に脱水するまで、透明な溶液状態、すなわち、各金属塩を構成する各金属元素が原子レベルで均一に混合された状態を維持することができる。これにより、ゲル体を加熱することにより、最終的に得られる粉体において組成が均一に維持される。また、溶解工程で各金属塩をリンゴ酸に溶解させて溶液を作製した後、簡単な工程でマンガン含有リチウム遷移金属複合酸化物を合成することができる。したがって、最終的に得られるマンガン含有リチウム遷移金属複合酸化物は、組成が均一であるので、二次電池用電極活物質に適用すると、電池特性を向上させることができる。
以下、本発明の電極活物質を作製した実施例について説明する。
(実施例1)
出発原料である金属塩として、炭酸リチウムと酢酸マンガン・四水和物を準備した。これらの金属塩を、有機酸としてのクエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸のそれぞれに溶解させて、有機酸錯体法により、LiMn粉の合成を試みた。
まず、焼成後に6g(約0.1モル)のLiMn粉が得られるように所定量の炭酸リチウムと酢酸マンガン・四水和物を準備した。
各金属塩の混合物に加える各有機酸の量は、LiMnに対して1〜5モル当量とした。溶媒としては、使用した各有機酸を溶解するのに十分な量として150gの純水を使用した。
次に、炭酸リチウムを容量が500ccのビーカーに入れた後、所定量の純水と各有機酸をビーカーに入れ、マグネチックスターラーにて撹拌することによって、炭酸リチウムを溶解させた。
このとき、クエン酸、リンゴ酸、または、乳酸を用いた場合は常温で炭酸リチウムが溶解したが、酒石酸を用いた場合は溶液を80℃の温度に加熱することによって炭酸リチウムの溶解が可能であった。
その後、酢酸マンガン・四水和物をビーカーに入れて撹拌することによって、酢酸マンガン・四水和物粉を溶解させた。
そして、一旦、水溶液が透明になったことを確認した後に、水溶液を撹拌しながら、130℃の温度に加熱した。
各有機酸についての結果を表1に示す。表1中、○印が記されている条件は加熱中に析出粉が生成することなく、透明な溶液のまま脱水し、ゲル化した条件であり、×印が記されている条件は加熱中に析出粉が生成したものである。
Figure 0005423253
表1に示す結果から、有機酸としてリンゴ酸を用いた場合、加熱中に析出粉が生成することなく、透明な溶液のまま脱水し、ゲル化したことがわかる。
クエン酸を用いた場合の水溶液について、加熱中に析出した粉体をろ過し、洗浄した後に、誘導結合プラズマ発光分析法(Inductively coupled plasma atomic emission spectrometry; ICP−AES)で組成分析を行った結果、金属成分としてマンガンが検出され、析出粉中にリチウムはほとんど含まれていなかった。
これに対して、リンゴ酸を用いた場合の水溶液については、リンゴ酸の添加量に関わらず、加熱中において析出粉の生成が見られず、加熱脱水後において透明なゲル体が得られた。このゲル体をマントルヒーターにて450℃の温度で加熱した。その後、800℃の温度で3時間、大気中で焼成することによって、LiMn粉を得た。
この粉体の生成相をX線回折で調べた結果を図1に示す。図1に示すように、リンゴ酸の添加量が1〜5モル当量の範囲で得られたいずれの粉体も、LiMnの単相であることがわかった。
ところで、有機酸錯体法によれば、オキシカルボン酸のカルボキシル基(−COOH)または水酸基(−OH)に溶液中の金属イオンが配位する。これにより、溶液が安定化し、各金属イオンが原子レベルで均一に混合した状態が安定に保たれる。
しかしながら、上記の結果によれば、有機酸としてクエン酸、酒石酸、乳酸を用いると、溶液の加熱中に析出粉が生成し、溶液が濁ってしまう。析出粉はリチウムをほとんど含まないマンガン系の粉体になっているため、クエン酸、酒石酸、乳酸はマンガンと水に溶けにくい(イオン化しにくい)化合物を作りやすいと考えられる。一方、リチウムは溶媒中に溶けたままであるため、上記の析出粉が生成すると、マンガンとリチウムが分離してしまうことになる。
これに対して、リンゴ酸を有機酸として用いると、加熱しても析出粉が生成し難く、安定な水溶液を得ることができる。これにより、上記の有機酸錯体法の本来の特徴を発揮することができるので、リチウムとマンガンが原子レベルで均一に混合した状態を保ち続けることができる。
(実施例2)
実施例1においては、出発原料であるマンガン塩として酢酸マンガン・四水和物を用いたが、実施例2では、その代わりに炭酸マンガンを用いた。有機酸としてはクエン酸とリンゴ酸のみを用いて、有機酸錯体法によるLiMn粉の合成を試みた。その他の実験条件は実施例1と同じにした。
溶解工程では、炭酸リチウムを純水と有機酸に溶解させた後、炭酸マンガンをビーカーに入れた。炭酸マンガンは常温では溶解しないので、水溶液を撹拌しながら80℃の温度に加熱した。
その結果、リンゴ酸を使用した水溶液については、炭酸マンガンが溶解して均一な水溶液が得られ、その後、130℃の温度で水溶液を加熱しても、加熱中において析出粉の生成が見られなかった。
これに対し、クエン酸を使用した水溶液については、80℃の温度で水溶液を加熱したが、加熱中において炭酸マンガンが一旦溶け始めるものの、最後まで溶けず、濁った溶液のままであった。
この結果から、炭酸マンガンは加熱しないと溶解しないが、クエン酸を用いた水溶液の場合は、加熱中に炭酸マンガンの溶解と、マンガン系粉体の析出とが同時に起こると考えられる。この両者の反応の間では、析出粉の生成の方が優勢であると考えられ、クエン酸を用いた水溶液の場合は、最後まで透明な水溶液を得られないことがわかる。
(実施例3)
出発原料である金属塩として、炭酸リチウムと酢酸ニッケル・四水和物と酢酸マンガン・四水和物を準備した。これらの金属塩を、有機酸としてのクエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸のそれぞれに溶解させて、有機酸錯体法により、Li(Ni0.5Mn0.5)O粉の合成を試みた。
まず、焼成後に10g(約0.2モル)のLi(Ni0.5Mn0.5)O粉が得られるように所定量の各金属塩を準備した。
各金属塩の混合物に加える各有機酸の量は、Li(Ni0.5Mn0.5)Oに対して0.33〜4モル当量とした。溶媒としては、使用した各有機酸を溶解するのに十分な量として250gの純水を使用した。
次に、実施例1と同様にして炭酸リチウムを溶解させた後に、酢酸ニッケル・四水和物と酢酸マンガン・四水和物を、この順にビーカーに入れた。これらの粉体は撹拌により容易に溶解した。そして、すべての粉体が溶解して透明な水溶液が得られたことを確認した後、水溶液を撹拌しながら130℃の温度に加熱した。
各有機酸についての結果を表2に示す。表2中、○印が記されている条件は加熱中に析出粉が生成することなく、透明な溶液のまま脱水し、ゲル化した条件であり、×印が記されている条件は加熱中に析出粉が生成したものである。
Figure 0005423253
表2に示す結果から、有機酸としてリンゴ酸を用いた場合、加熱中に析出粉が生成することなく、透明な溶液のまま脱水し、ゲル化したことがわかる。
クエン酸を用いた場合の水溶液について、加熱中に析出した粉体をろ過し、洗浄した後にICP−AESで組成分析を行った結果、析出粉から金属成分としてマンガンが検出され、リチウムとニッケルは析出粉にはほとんど含まれていないことがわかった。
一方、酒石酸、乳酸水を用いた場合の水溶液について、上記と同様にして、析出粉の組成分析を行った結果、析出粉から金属成分としてニッケルとマンガンがほぼ1:1の比率で検出され、リチウムは析出粉にはほとんど含まれていないことがわかった。
これに対して、リンゴ酸を用いた場合の水溶液については、リンゴ酸の添加量に関わらず、加熱中において析出粉の生成が見られず、加熱脱水後において透明なゲル体が得られた。このゲル体をマントルヒーターにて450℃の温度で加熱した。その後、900℃の温度で20時間、酸素中で焼成することによって、Li(Ni0.5Mn0.5)O粉を得た。
この粉体の生成相をX線回折で調べた結果を図2に示す。図2に示すように、リンゴ酸の添加量が0.33〜4モル当量の範囲で得られたいずれの粉体も、Li(Ni0.5Mn0.5)Oの単相であることがわかった。
以上のことから、リンゴ酸を有機酸として用いると、実施例1に記載した作用効果と同様の作用効果を得ることができ、加熱しても析出粉が生成し難く、安定な水溶液を得ることができる。これにより、上記の有機酸錯体法の本来の特徴を発揮することができるので、リチウムとニッケルとマンガンが原子レベルで均一に混合した状態を保ち続けることができる。
(実施例4)
出発原料である金属塩として、炭酸リチウムと酢酸ニッケル・四水和物と酢酸マンガン・四水和物と酢酸コバルト・四水和物を準備した。これらの金属塩を、有機酸としてのクエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸のそれぞれに溶解させて、有機酸錯体法により、Li(Ni1/3Co1/3Mn1/3)O粉の合成を試みた。
まず、焼成後に5g(約0.1モル)のLi(Ni1/3Co1/3Mn1/3)O粉が得られるように所定量の各金属塩を準備した。
各金属塩の混合物に加える各有機酸の量は、Li(Ni1/3Co1/3Mn1/3)Oに対して1〜4モル当量とした。溶媒としては、使用した各有機酸を溶解するのに十分な量として150gの純水を使用した。
次に、実施例1と同様にして、炭酸リチウムを溶解させた後に、酢酸ニッケル・四水和物と酢酸コバルト・四水和物と酢酸マンガン・四水和物を、この順にビーカーに入れた。これらの粉体は撹拌により容易に溶解した。すべての粉体が溶解して透明な水溶液が得られたことを確認した後に、水溶液を撹拌しながら、130℃の温度に加熱した。
各有機酸についての結果を表3に示す。表3中、○印が記されている条件は加熱中に析出粉が生成することなく、透明な溶液のまま脱水し、ゲル化した条件であり、×印が記されている条件は加熱中に析出粉が生成したものである。
Figure 0005423253
表3に示す結果から、有機酸としてリンゴ酸を用いた場合、加熱中に析出粉が生成することなく、透明な溶液のまま脱水し、ゲル化したことがわかる。
リンゴ酸を用いた場合の水溶液については、リンゴ酸の添加量に関わらず、加熱中において析出粉の生成が見られず、加熱脱水後において透明なゲル体が得られた。このゲル体をマントルヒーターにて450℃の温度で加熱した。その後、900℃の温度で20時間、酸素中で焼成することによって、Li(Ni1/3Co1/3Mn1/3)O粉を得た。この粉体の生成相を、実施例1と同様にしてX線回折で調べた結果、リンゴ酸の添加量が1〜4モル当量の範囲で得られたいずれの粉体も、Li(Ni1/3Co1/3Mn1/3)Oの単相であることがわかった。
今回開示された実施の形態と実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は以上の実施の形態と実施例ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正や変形を含むものであることが意図される。
本発明の電極活物質の製造方法は、加熱中において析出粉が生成するのを抑制することができるので、最終的に得られるマンガン含有リチウム遷移金属複合酸化物において組成が均一に維持されるだけでなく、溶解工程で出発原料をリンゴ酸に溶解させて溶液を作製した後、簡単な工程でマンガン含有リチウム遷移金属複合酸化物を合成することができるので、たとえば、非水電解質二次電池の製造に有用な電極活物質を得ることができる。

Claims (3)

  1. 少なくともマンガンおよびリチウムを含むマンガン含有リチウム遷移金属複合酸化物からなる電極活物質の製造方法であって、
    少なくともマンガンおよびリチウムを含有する出発原料をリンゴ酸に溶解する溶解工程と、
    前記溶解工程で得られた溶液を加熱脱水することによりゲル化するゲル化工程と、
    前記ゲル化工程で得られたゲル体を加熱することにより焼成する焼成工程とを備えた、電極活物質の製造方法。
  2. 前記出発原料が、酢酸マンガン・四水和物、および、炭酸マンガンからなる群より選ばれた少なくとも一種を含有する、請求項1に記載の電極活物質の製造方法。
  3. 前記出発原料が、炭酸リチウムを含有する、請求項1または請求項2に記載の電極活物質の製造方法。
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