JP5415058B2 - 熱伝導性樹脂組成物およびそれからなる成形体 - Google Patents

熱伝導性樹脂組成物およびそれからなる成形体 Download PDF

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Description

本発明は、ポリアミド樹脂と、窒化ホウ素と、アラミド繊維とを含有し、熱伝導性、絶縁性、耐衝撃性および耐熱性に優れた樹脂組成物およびそれからなる成形体に関するものである。
従来、成形用の原料としては、ポリプロピレン(PP)、ABS、ポリアミド(PA6、PA66など)、ポリエステル(PET、PBTなど)、ポリカーボネート(PC)等の樹脂が知られているが、近年、耐熱性、機械的強度、耐薬品性、加工性の優れた液晶ポリエステル(LCP)やポリフェニレンスルフィド(PPS)等の樹脂が、各種電子機器、電子部品、機械部品などの用途に広く使用されるようになってきた。
一方、最近の電子機器においては、高性能化、小型化および軽量化に伴い、各種の電子部品で発生する熱を効果的に外部へ放散させる熱対策が非常に重要な課題になっており、その構成材料である樹脂成形材料の放熱性改良を求める声が大きくなってきている。従来、樹脂成形材料の放熱性を改良する手段としては、熱伝導率の高い充填材料(窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、炭化ケイ素、黒鉛等)を配合する方法が知られている。例えば、特許文献1には熱可塑性樹脂に黒鉛粉末を充填した熱伝導性樹脂成形品が、特許文献2にはポリフェニレンスルフィド樹脂に酸化マグネシウムや酸化アルミニウムを充填した樹脂製放熱板が記載されている。しかしながら、高熱伝導性樹脂組成物を得るためには、充填材を多量に添加する必要が有り、そのために耐衝撃性が極端に低下して非常に脆い材料となってしまい、また、黒鉛系充填材料を配合した場合は絶縁性が低下してしまい、用途が限られてしまうという問題があった。
このような充填材が多量に添加された樹脂組成物の耐衝撃性を改善する方法として、耐衝撃性改良剤の添加が提案されており、例えば、特許文献3にはポリカーボネート系樹脂と熱伝導性充填材からなる樹脂組成物に耐衝撃改良剤としてエラストマーを配合することが記載されている。しかし、実施例にエラストマーとしてコアがブタジエン/スチレンで
シェルがアクリルのコアシェル型の耐衝撃性改良剤を添加することが記載されているものの、具体的に耐衝撃性の改善についての記載はない。
また、特許文献4にはゴム強化樹脂および/またはオレフィン系樹脂と黒鉛粒子とエラストマー成分を含む耐衝撃改良剤からなる耐衝撃性、熱伝導性に優れた樹脂組成物が提案されている。しかしながらゴム強化樹脂やオレフィン系樹脂に加え、エラストマー成分を添加することによって耐熱性が低くなってしまうという問題がある。
また、一般的に樹脂の耐衝撃性を改善する方法として、ガラス繊維、カーボン繊維等の繊維状強化材の添加が知られているが、充填材が多量に添加された樹脂組成物に対しては耐衝撃改善効果が得られないものであった。
特開昭62−131033号公報 特開2001−151905号公報 特開2007−99798号公報 特開2007−238917号公報
本発明は、上記の問題点を解消するものであり、熱伝導性、絶縁性、耐衝撃性および耐熱性に優れた樹脂組成物、およびそれより得られる成形体を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ポリアミド樹脂と、窒化ホウ素と、アラミド繊維とを特定の割合で配合することによって前記課題が解決されることを見いだし、本発明に到達した。
すなわち本発明の要旨は、下記の通りである。
(1)ポリアミド樹脂(A)と、窒化ホウ素(B)と、アラミド繊維(C)とを含有し、ポリアミド樹脂がナイロン12またはナイロン6であって、ポリアミド樹脂(A)と窒化ホウ素(B)との質量比(A/B)が15/85〜60/40であり、アラミド繊維(C)の含有量が、ポリアミド樹脂(A)と窒化ホウ素(B)との合計100質量部に対して、3〜20質量部であることを特徴とする熱伝導性樹脂組成物。
(2)熱伝導率が5W/m・K以上、体積抵抗率が1010Ωcm以上、ノッチ付アイゾッド衝撃強度が60J/m以上、荷重1.8MPa下での荷重たわみ温度が100℃以上であることを特徴とする(1)記載の樹脂組成物。
(3)窒化ホウ素(B)が、平均粒径1〜200μmの六方晶系結晶構造を有する鱗片状であることを特徴とする(1)または(2)記載の樹脂組成物。
(4)アラミド繊維(C)の平均繊維長が1〜15mmであることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(5)(1)〜(4)のいずれかに記載の樹脂組成物を成形してなる熱伝導性樹脂成形体。
本発明によれば、熱伝導性、絶縁性、耐衝撃性および耐熱性に優れた樹脂組成物、およびそれより得られる成形体が提供される。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に使用されるポリアミド樹脂(A)は、ポリドデカミド(ナイロン12)またはポリカプラミド(ナイロン6)であることが必要である。
本発明に用いるポリアミド樹脂(A)の相対粘度は特に限定されないが、溶媒として96質量%濃硫酸を用いて温度が25℃で濃度が1g/dlの条件で測定した相対粘度が、1.6〜2.8の範囲であることが好ましい。相対粘度が1.6より小さいと成形体とした時に機械的特性や耐熱性が劣る場合がある。また2.8より大きいと高粘度のため成形加工性が低下する。
本発明の樹脂組成物は窒化ホウ素(B)を含有する。窒化ホウ素(B)を含有することにより、樹脂組成物の絶縁性を低下させずに熱伝導性を向上させることができる。ポリアミド樹脂(A)と窒化ホウ素(B)との質量比(A/B)は、15/85〜60/40であることが必要であり、30/70〜50/50であることが好ましい。窒化ホウ素(B)の配合量が40質量%未満では十分な熱伝導性を得ることができなくなる場合があり、85質量%を超えると、流動性が低下するため成形加工時の負荷が高くなりすぎ操業性が低下する場合がある。
窒化ホウ素の平均粒径は、1〜200μmであることが好ましく、5〜100μmであることがさらに好ましい。平均粒径が1μm未満では分散不良により凝集塊が生じやすくなり、均一な成形品が得られず、機械的物性が低下したり熱伝導性にバラツキが生じたりすることがある。平均粒径が200μmを超えると樹脂組成物中に高濃度に充填することが困難になり、成形品表面が粗くなることがある。
窒化ホウ素の結晶系は、特に限定されるものではなく、六方晶系、立方晶系、その他いずれの結晶構造の窒化ホウ素であっても適用可能である。なかでも、六方晶系結晶構造を有する窒化ホウ素は、熱伝導率が大きいので好ましい。
また、窒化ホウ素(B)の形態としては、球状、粉状、繊維状、針状、鱗片状、ウィスカ状、マイクロコイル状、ナノチューブ状などが挙げられる。成形体としたときに面方向に配向しやすく、その結果、熱伝導率を高めることができることから、窒化ホウ素(B)の形態は鱗片状であることが好ましい。
窒化ホウ素(B)はポリアミド樹脂(A)との密着性を向上させるため、シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤等、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルジメトキシメチルシランなどのアミノシラン系、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリリシドキシプロピルエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシシラン系、イソプロピルトリステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネートなどのチタン系カップリング剤等のカップリング剤で表面処理を施してもよい。これらは単独で使用しても、併用してもよい。
本発明で用いられるアラミド繊維(C)とは、全芳香族ポリアミド繊維のことであり、パラ系アラミド繊維とメタ系アラミド繊維とが知られている。いずれも本発明において好ましく用いられるが、加熱収縮が少なく、高耐熱性、高強度であるパラ系アラミド繊維が特に好ましい。パラ系アラミド繊維としては、例えば、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維(東レ・デュポン社製、商品名「ケブラー」、帝人テクノプロダクツ社製、商品名「トワロン」)、コポリパラフェニレン−3,4′−オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維(帝人テクノプロダクツ社製、商品名「テクノーラ」)、メタ系アラミド繊維としては、例えば、ポリメタフェニレンイソフタルアミド繊推(米国デュポン社製、商品名「ノーメックス」、帝人テクノプロダクツ社製、商品名「コーネックス」)等の市販品を用いることができる。アラミド樹脂は、単独で使用してもよいし、二種類以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
アラミド繊維(C)の平均繊維長は、1〜15mmであることが好ましく、2〜10mmであることがさらに好ましい。平均繊維長が1mm未満では、十分な耐衝撃性改善効果が得られない。平均繊維長が長いほど耐衝撃性改善効果が大きくなるが、平均繊維長が15mmを超えると流動性の低下が大きく、成形性などの点で好ましくない。
アラミド繊維(C)の平均繊維径は、1〜50μmであることが好ましく、3〜25μmであることがさらに好ましい。繊維径が1μm未満では、十分な耐衝撃性改善効果が得られず、繊維径が50μmを超えると成形性などの点で好ましくない。
本発明の樹脂組成物において、アラミド繊維(C)の含有量は、ポリアミド樹脂(A)と窒化ホウ素(B)との合計100質量部に対して、3〜20質量部であることが必要であり、7〜15質量部であることが好ましい。アラミド繊維(C)の含有量が3質量部未満では十分な補強効果が得られない。アラミド繊維(C)の配合量が20質量部を超えると、流動性が低下するため成形性が悪化し、加えて、成形時に繊維が表面に浮いてくるため外観上も悪くなることがある。
本発明の樹脂組成物には、その特性を大きく損なわない限りにおいて、顔料、熱安定剤、酸化防止剤、耐候剤、難燃剤、可塑剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、充填材、結晶核材等を添加することができる。
熱安定剤や酸化防止剤としては、たとえばヒンダードフェノール類、リン化合物、ヒンダードアミン、イオウ化合物、銅化合物、アルカリ金属のハロゲン化物等が挙げられる。
難燃剤としては、ハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤、無機系難燃剤が使用できるが、環境を配慮した場合、非ハロゲン系難燃剤の使用が望ましい。非ハロゲン系難燃剤としては、リン系難燃剤、水和金属化合物(水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等)、窒素含有化合物(メラミン系、グアニジン系)、無機系化合物(硼酸塩、Mo化合物等)が挙げられる。
無機充填材としては、タルク、層状珪酸塩、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ワラストナイト、シリカ、ケイ酸カルシウム、黒鉛、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カルシウム、アルミノ珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、ガラスバルーン、三酸化アンチモン、ゼオライト、ハイドロタルサイト等が挙げられる。有機充填材としては、澱粉、セルロース微粒子、木粉、おから、モミ殻、フスマ等の天然に存在するポリマーやこれらの変性品が挙げられる。
無機結晶核材としては、タルク、カオリン等が挙げられ、有機結晶核材としては、ソルビトール化合物、安息香酸およびその化合物の金属塩、燐酸エステル金属塩、ロジン化合物等が挙げられる。
なお、本発明の熱伝導性樹脂組成物にこれらを混合する方法は特に限定されない。
また、本発明の樹脂組成物には、本発明の趣旨を逸脱しない範囲であれば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、ポリ(アクリル酸)、ポリ(アクリル酸エステル)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(メタクリル酸エステル)、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、およびそれらの共重合体等の樹脂を添加してもよい。
本発明では機械的強度、耐熱性等の諸特性をさらに向上させるためにアラミド繊維(C)以外の繊維状充填材を配合することも可能である。アラミド繊維(C)以外の繊維状充填材の具体例としては、ガラス繊維、炭素繊維、黒鉛化炭素繊維、金属繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硅素繊維、硼素繊維、チタン酸カリウム繊維、ケナフに代表される天然繊維等が挙げられ、ガラス繊維、炭素繊維が好ましい。ガラス繊維は機械的特性、耐熱性、コスト面で優れている。炭素繊維は機械的特性、耐熱性に加え樹脂組成物の熱伝導率をさらに高めることができる。これら繊維状充填材は、1種または2種以上併用することができる。
本発明の樹脂組成物は、ポリアミド樹脂(A)と、窒化ホウ素(B)と、アラミド繊維(C)とを、さらには必要に応じて各種添加物を、一般的な押出機、例えば一軸押出機、二軸押出機、ロール混錬機、ブラベンダー等を用いて溶融混練することにより製造することができる。このとき、スタティックミキサーやダイナミックミキサーを併用することも効果的である。混練状態をよくするためには二軸押出機を使用することが好ましい。窒化ホウ素(B)とアラミド繊維(C)の添加方法としては、特に限定されるものではないが、押出機において、ホッパーから、あるいは、サイドフィーダーを用いて添加することができる。また、窒化ホウ素(B)とアラミド繊維(C)をマスターバッチ加工することで、成形時にベース樹脂で希釈し、使用することもできる。
本発明の樹脂組成物はポリアミド樹脂(A)と、窒化ホウ素(B)と、アラミド繊維(C)とを特定の質量比率で含有するものであり、その熱伝導率は、目的とする最終製品の要求性能によって適宜設計すればよいが、5W/m・K以上、さらには7W/m・K以上とすることができる。また同様に樹脂組成物の体積抵抗率は、1010Ωcm以上、さらには1012Ωcm以上とすることができ、ノッチ付アイゾッド衝撃強度は、60J/m以上、さらには70J/m以上とすることができ、荷重1.8MPa下での荷重たわみ温度は、100℃以上、さらには140℃以上とすることができる。
このような熱伝導率、絶縁性、衝撃強度、荷重たわみ温度を有する樹脂組成物は、家電・OA機器分野および自動車分野などの高放熱性や軽量化・省エネルギーが期待される分野に好適に用いることができる。
本発明の樹脂組成物は、射出成形、圧縮成形、押出し成形、トランスファー成形、シート成形など通常公知の溶融成形法を用いて所望の形状に成形して成形体とすることができる。
本発明の樹脂組成物を成形してなる成形体の具体例としては、半導体素子、抵抗などの封止材料、コネクター、ソケット、リレー部品、コイルボビン、光ピックアップ、発振子、コンピュータ関連部品等の電気・電子部品、VTR、テレビ、アイロン、エアコン、ステレオ、掃除機、冷蔵庫、炊飯器、照明器具等の家庭電気製品部品、放熱シートやヒートシンク、ファンなどの電子部品からの熱を外部に逃すための放熱部材、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジングなど照明器具部品、コンパクトディスク、レーザーディスク、スピーカー等の音響製品部品、光ケーブル用フェルール、携帯電話機、固定電話機、ファクシミリ、モデム等の通信機器部品、分離爪、ヒータホルダー等の複写機、印刷機関連部品、インペラー、ファン歯車、ギヤ、軸受け、モーター部品及びケース等の機械部品、自動車用機構部品、エンジン部品、エンジンルーム内部品、電装部品、内装部品等の自動車部品、マイクロ波調理用鍋、耐熱食器等の調理用器具、航空機、宇宙機、宇宙機器用部品、センサー類部品等が挙げられる。また、電気絶縁性にも優れるため配線基板などに応用することもできる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。実施例および比較例の樹脂組成物の評価に用いた測定法は次のとおりである。
(1)曲げ強度、曲げ弾性率:
ASTM規格D−790に準拠して、変形速度1mm/分で荷重をかけ、曲げ強度、曲げ弾性率を測定した。
(2)衝撃強度:
ASTM規格D−256に準拠して、ノッチ付試験片を用いてアイゾッド衝撃強度を測定した。
(3)荷重たわみ温度(DTUL):
ASTM規格D−648に準拠し、荷重1.8MPaで熱変形温度測定した。
(4)熱伝導率:
熱伝導率λは、熱拡散率α、密度ρおよび比熱Cpを下記方法により求め、その積として次式で算出した。
λ=αρCp
λ:熱伝導率(W/m・K)
α:熱拡散率(m/sec)
ρ:密度(g/m
Cp:比熱(J/g・K)
熱拡散率αは(1)で作製した曲げ試験片の樹脂流れ方向について、レーザーフラッシュ法熱定数測定装置TC−7000(アルバック理工社製)を用いレーザーフラッシュ法にて測定した。
密度ρは電子比重計ED−120T(ミラージュ貿易社製)を用いて測定した。
比熱Cpは示差走査熱量計DSC―7(パーキンエルマー社製)を用い、昇温速度10℃/分の条件で測定した。
(5)絶縁性:
ASTM規格D−257に準拠して、体積抵抗率を測定し、1010Ωcm以上を○、1010Ωcm未満を×とした。
本発明の実施例と比較例で用いた原料を以下に示す。
(1)樹脂
・PA12:ポリアミド12(アルケマ社製リルサンAMN、相対粘度2.3、密度1.01g/cm
・PA6:ポリアミド6(ユニチカ社製A1030BRL、相対粘度2.6、密度1.13g/cm
・PP:ポリプロピレン(日本ポリプロ社製MA1B、密度0.9g/cm
・LCP:液晶ポリエステル(上野製薬社製A5000、密度1.41g/cm
(2)熱伝導性充填材
・BNA:六方晶系鱗片状窒化ホウ素(電気化学社製SGP、平均粒径15μm、密度2.26g/cm
・BNB:六方晶系鱗片状窒化ホウ素(ESK製Boronid S9、平均粒径9μm、密度2.26g/cm
・Gr:鱗片状黒鉛(日本黒鉛工業社製CB150、平均粒径40μm、密度2.25g/cm
(3)アラミド繊維
・AR1:コポリパラフェニレン−3,4′−オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維(帝人テクノプロダクツ社製テクノーラ、平均繊維径12μm、平均繊維長3mm)
・AR2:コポリパラフェニレン−3,4′−オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維(帝人テクノプロダクツ社製テクノーラ、平均繊維径12μm、平均繊維長1mm)
・AR3:コポリパラフェニレン−3,4′−オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維(帝人テクノプロダクツ社製テクノーラ、平均繊維径12μm、平均繊維長0.5mm)
・AR4:ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維(帝人テクノプロダクツ社製トワロン、平均繊維径12μm、平均繊維長3mm)
・AR5:メタ系アラミド繊維(帝人テクノプロダクツ社製コーネックス、平均繊維径12μm、平均繊維長1mm)
(4)エラストマー
・SEBS:スチレン−ブタジエン水添ポリマー(旭化成ケミカルズ社製タフテックM1943)
(5)繊維状充填材
・GF:ガラス繊維(オーウェンスコーニング社製JAFT692、平均繊維径10μm、平均繊維長3mm)
実施例1
二軸押出機(東芝機械製:TEM26SS、スクリュ径26mm)の主ホッパーに、ポリアミド12樹脂(PA12)36質量部と窒化ホウ素(BNA)64質量部とをドライブレンドした物を供給し、260℃で溶融した。途中サイドフィーダーよりアラミド繊維(AR1)10質量部を供給し、十分に溶融混練しストランド状に押出して冷却固化した後、ペレット状に切断し樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を十分に乾燥した後、射出成形機(東芝機械製:EC−100型)を用いてシリンダ温度260℃、金型温度100℃、射出時間20秒、冷却時間10秒で射出成形し評価用の成形体を得た。得られた成形体を用いて各評価を行なった。その結果を表1に示す。
実施例2〜14、比較例1〜12
ポリアミド樹脂(A)、窒化ホウ素(B)、アラミド繊維(C)およびその他の樹脂と充填材をそれぞれ表1に示す種類と量に変えた以外は実施例1と同様にして樹脂組成物を得て、これを射出成形して各種物性を測定した。評価結果をまとめて表1に示す。なお、ガラス繊維はアラミド繊維と同様にサイドフィーダーにより途中から供給し、それ以外の原料はドライブレンドして主ホッパーより供給して溶融混練を実施した。
表1から明らかなように、実施例1〜14においては、ポリアミド樹脂(A)と窒化ホウ素(B)とアラミド繊維(C)を特定の割合で配合したため、熱伝導性、絶縁性、耐衝撃性、耐熱性に優れた樹脂組成物が得られた。
一方、比較例1〜4では、アラミド繊維(C)が配合されていないか、または配合量が少ないため、得られた樹脂組成物の耐衝撃性は低いものであった。比較例5では、アラミド繊維(C)の配合量が多すぎるため、混練ができず、樹脂組成物が得られなかった。
比較例6では、窒化ホウ素(B)が配合されていないため、得られた樹脂組成物の熱伝導性は低いものであった。比較例7では、窒化ホウ素(B)の代わりに鱗片状黒鉛を配合したところ、熱伝導率、耐衝撃性は高いものであったが、導電性が高くなった。
比較例8で、アラミド繊維(C)の代わりにガラス繊維を配合したところ、得られた樹脂組成物の耐衝撃性は低いものであった。比較例9、10で、アラミド繊維(C)の代わりにスチレン−ブタジエン水添ポリマーを配合したところ、樹脂組成物は、耐衝撃性改善効果が得られないだけでなく、曲げ強度も低下してしまった。
比較例11、12では、ポリアミド樹脂(A)の代わりにポリプロピレン樹脂または液晶ポリエステル樹脂をベース樹脂として使用したため、アラミド繊維(C)の補強効果が十分に得られず、樹脂組成物の耐衝撃性は低いものであった。

Claims (5)

  1. ポリアミド樹脂(A)と、窒化ホウ素(B)と、アラミド繊維(C)とを含有し、ポリアミド樹脂がナイロン12またはナイロン6であって、ポリアミド樹脂(A)と窒化ホウ素(B)との質量比(A/B)が15/85〜60/40であり、アラミド繊維(C)の含有量が、ポリアミド樹脂(A)と窒化ホウ素(B)との合計100質量部に対して、3〜20質量部であることを特徴とする熱伝導性樹脂組成物。
  2. 熱伝導率が5W/m・K以上、体積抵抗率が1010Ωcm以上、ノッチ付アイゾッド衝撃強度が60J/m以上、荷重1.8MPa下での荷重たわみ温度が100℃以上であることを特徴とする請求項1記載の樹脂組成物。
  3. 窒化ホウ素(B)が、平均粒径1〜200μmの六方晶系結晶構造を有する鱗片状であることを特徴とする請求項1または2記載の樹脂組成物。
  4. アラミド繊維(C)の平均繊維長が1〜15mmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物を成形してなる熱伝導性樹脂成形体。
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