JP5413863B2 - 劇症1型糖尿病の検査方法及び検査試薬 - Google Patents
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Description
って行われている。この基準によれば、血液検査の項目である、高γグロブリン血症、高IgG血症、自己抗体のいずれかを認める、ことが診断の十分条件になっている。さらに、
高IgG血症のなかでも、IgG4サブクラスが特異的に上昇するとの報告があり、自己抗体と
しては抗核抗体、リウマチ因子が陽性になることもある、としている。
−A抗体及びSS−B抗体)及びリウマチ因子の測定を行わなければならず、非常に高コストとなることが問題となっている。また、これら検査項目は他疾患でも上昇、あるいは陽性となり、その診断的特異性は乏しい。さらに、本疾患は上記診断基準に従って診断したとしても膵癌との鑑別が非常に困難であり、不必要な手術が行われていると言う現実があるため、両疾患の確実な鑑別法が望まれている。
ェリン(LF)抗体及びカルボニックアンヒドラーゼII(CAII)抗体の活性があることを見出している。しかしながら、AIPにおける抗体陽性率はそれぞれ73%、53.8%と臨床的感度に欠けており、方法的な信頼性・再現性も乏しく、診断や鑑別診断には不適当である(非特許文献1、2)。
薬時期の決定に必要であるが、先に述べた理由と同様に、検査費用が高コストであることが問題となっている。
提示された、「劇症1型糖尿病診断基準」により診断されている。それによれば、検体検
査として、HbA1C、血糖値、尿中または血中C-ペプチドを測定する。さらに、参考所見と
して、GAD抗体、IA-2抗体などの自己抗体が陰性であることを確認し、血中膵外分泌酵素
の上昇を見ることになっている。
望ましいが、良い除外診断のためのFT1DMの検査マーカーがなく、検査項目数が多いため
、実際には鑑別診断がなされていないと言うのが現状である。
ョックタンパク質の一種であるHSP10に対する抗体が存在することを見出し、本発明を完
成した。
(1) 検体中の、HSP10と免疫学的に反応する抗体を検出することにより自己免疫性
膵炎を検査することを特徴とする自己免疫性膵炎の検査方法。
(2) 検体中の、HSP10と免疫学的に反応する抗体を検出することにより劇症1型糖
尿病を検査することを特徴とする劇症1型糖尿病の検査方法。
上記(1)〜(2)の検査方法においては、前記抗体と免疫学的に反応する抗原を用いることにより前記抗体を検出することが好ましい。
上記(1)〜(2)の検査方法に用いるための検査試薬を提供する。
に、特異的なマーカーがなく、また除外診断のための検査項目数が多いために実際には行われていない。しかし、本発明による測定を行えば、わずか1項目の測定で確定診断及び鑑別診断を行うことができる。またイムノクロマト法をはじめとした簡易検査方法に本測定法を応用すれば、さらに迅速にその場で劇症1型糖尿病の診断を行うことができる。このようにして、従来は死に至っていた患者(さらに患者の胎児)を早期診断、救命することができるとともに、検査にかかる費用の削減及び重症化することによる医療費の削減に大きく寄与する。
本発明検査方法は、検体中の、HSP10と免疫学的に反応する抗体(以下、「抗HSP10抗体
」とも表記する)を検出することにより自己免疫性膵炎(AIP)もしくは劇症1型糖尿病(FT1DM)を検査することを特徴とする。
いる免疫学的方法が好ましい。免疫学的方法としては、一般に広く使用されているELISA
法が挙げられる。
たは動物から精製したHSP10分子を使用できる。リコンビナント技術によりHSP10分子を調製してもよい。例えば、ヒトHSP10をコードする塩基配列が公知である(GenBankアクセッション番号NM_002157。コードされるアミノ酸配列を配列番号1に示す。また、検体に存
在する抗HSP10抗体と免疫学的に反応するものである限り、HSP10分子の部分断片を使用することもできる。
した抗IgG抗体を結合させ、酵素の反応により検出する方法が挙げられる。
の抗HSP10抗体を含む標準試料により検量線を作成して検量線により濃度を求めてもよい
。
本発明検査方法によれば、AIPやFT1DMが疑われる場合において、1項目の測定により特異的にAIPやFT1DMを検査できる。
りである。
、緩衝液等を必要に応じ含んでいてもよく、キットとして提供することもできる。
酵素標識抗HSP10抗体溶液、基質液、及び、反応停止液を含むキットとすることができる
。また、イムノクロマト法のキットでは、反応デバイス及び展開液を含むキットとすることができる。
ヒト膵臓cDNAライブラリー(λTriplEx2ヒト膵臓ラージインサートcDNAライブラリー、BD Bioscience Clontech)及びE. coli XL-1コンピテント細胞(BD Bioscience Clontech)を用いた。プレート上のプラークを、10 mMイソプロピル-β-D-チオガラクト
シド(IPTG)に予め浸したニトロセルロース膜に転写し、0.05% Tween 20を含むTris緩衝食塩水(TBST)で洗浄し、1%ウシ血清アルブミンを含むTris緩衝食塩水でブロッキングした。膜を、慢性膵炎(AIP)患者(67歳、男性)から提供された血清(TBSTで500倍に希釈)と共に、一晩、4℃でインキュベートした。TBSTで4回洗浄し、ヤギセイヨウワサビペルオキシダーゼ結合抗ヒトIgG(American Qualex、TBSTで2000倍に希釈)と、室温で30
分、反応させた。TBSTで4回洗浄し、3,3'-ジアミノベンチジンで陽性反応を検出した。
して、陽性クローンを得た。
(配列番号2)及びアンチセンスプライマー5'- CTTCGAAT TCTCAGTCTACGTACTTTCC -3'(
配列番号3)を用いてPCRで増幅した。PCR産物をBamHI及びEcoRIで消化し、pTrcHisB (Invitrogen)に連結した。挿入cDNAの配列決定及びホモロジー検索により、10クローンの
うち一つはヒトHSP10の配列に一致した。Monziniら(Biochim. Biophys. Acta. 1218:478-480, 1994)によりクローニングされたヒトHSP10の配列と比較した結果、全長のコード配
列を含んでいた。
参考例1に示すように、スクリーニングに用いたAIP患者のIgGは、HSP10を認識した。E. coli BL21を用いて、ヒスチジンタグを付けたHSP10を調製した。具体的には、配列決定後、プラスミドをE. coli BL-21 (Novagen)にトランスフェクトし、組換えタンパク質は
、1 mM IPTGで誘導して生成させ、His Bondカラムクロマトグラフィーにより精製した。
ジフルオリド(PVDF)膜への転写を、Biochem. Biophys. Res. Commun. 190:774-779, 2006に記載された方法を下記のように改変して行った。膜を、2%BSA及び2%ヤギ血清を含むTris緩衝食塩水(TBS)でブロックし、0.1%BSAを含むTBSで1000倍に希釈したAIP患者の血清と
室温で1時間インキュベートした。TBSTで5回洗浄し、ヤギセイヨウワサビペルオキシダーゼ結合抗ヒトIgG(American Qualex、1%BSAで2000倍に希釈)と、室温で30分、反応
させた。参考例1と同様にして陽性反応を検出した。
認識したが、健常人の血清(レーン2及び3)は認識しなかった。患者の血清を組換えタンパク質と4℃で一晩、予めインキュベートすると免疫染色は消失した(図1(b)、はめ込み図)。
緩衝食塩水(PBST)で3回洗浄し、リン酸緩衝液中10%ウシ血清アルブミン(BSA)溶液の200
μlと共に30分インキュベートした。PBSTで洗浄後、測定に用いた。測定は、患者の血清
を、1%BSAで200倍に希釈して3連で行った。結合した抗体を、ヤギセイヨウワサビペルオキシダーゼ結合抗ヒトIgG(American Qualex、1%BSAで2000倍に希釈)と、室温で30分、反応させた。PBSTで洗浄後、プレートを、1-Step Slow TMB-ELISA (PIERCE) 100μlと
共に30分インキュベートした。100μlの1 M H2SO4を加えて反応を停止し、450nmの吸光度を測定した。
参考例のELISAを用いて種々の膵臓疾患患者(AIP 12例、アルコール性慢性膵炎 13例、膵腫瘍[膵臓癌2例、膵菅内乳頭腫瘍(IPMT)6例])及び健常人(71例)におけるヒトHSP10に対する自己抗体の存在率を測定した(図2)。健常人の平均値+3SDを超えるときを陽
性としたとき、AIP患者(治療前)は12例中10例(95%)でHSP10に対して陽性であった。し
かし、その他の血清では、健常人で1例陽性になった他は全て陰性であった。また、コルチコステロイドで治療したAIP患者では8例中5例(63%)が陰性となった。
た。
参考例2のELISAを用いて種々の型のDM患者(劇症1型DM 16例、急性1型DM 40例、2
型糖尿病 50例)、FT1DM患者の第1度近親者 21例、橋本病患者54例及び健常人 71例におけるヒトHSP10に対する自己抗体の存在率を測定した(図3)。FT1DM患者16例中13例(81%)で陽性を示した。しかし、急性発症1型DM患者及び健常人では、低頻度で検出された
(それぞれ、10%及び2%)。2型糖尿病患者では全て陰性であった。代表的な器官特異
的自己免疫疾患である橋本病の患者では1例(2%)が陽性であった。FT1DM発症患者の第1度近親者では1例(5%)で本抗体が陽性であった。
上記ELISAを用いて、AIP患者及びFT1DM患者における抗HSP10抗体の経時変化を調べた。AIP患者(2例)では12〜14月、FT1DM患者(2例)では7〜10週、それぞれ経過を観察した。三連で行われた測定結果を図4に示す。AIP患者では、発症時から陽性であり、コ
ルチコステロイド治療を開始するまで陽性が継続し、コルチコステロイド治療を開始後、
抗体価が低下または消失した(図4(a))。FT1DM患者では、発症時は陽性であったが
、経過と共に抗体価が低下した(図4(b))。
Claims (3)
- 検体中の、HSP10と免疫学的に反応する抗体を検出することにより劇症1型糖尿病を検査
することを特徴とする劇症1型糖尿病の検査方法。 - 前記抗体と免疫学的に反応する抗原を用いることにより前記抗体を検出する請求項1に記載の検査方法。
- 前記抗体と免疫学的に反応する抗原を含む、請求項1記載の検査方法に用いるための検査試薬。
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