JP5411700B2 - テトラアザポルフィリン混合物、これを用いた光学フィルター及び表示装置 - Google Patents
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Description
テトラアザポルフィリン化合物は、波長570nm〜605nm付近に強い極大吸収を有し、その吸収波長幅が比較的狭いため、近年上記した目的の光学フィルターへの応用が盛んに検討されている(特許文献3〜7)。
例えば、特許文献3、4には、テトラ(tert−ブチル)テトラアザポルフィリン銅錯体(下記化合物A)や、テトラ(tert−ブチル)テトラアザポルフィリンバナジル錯体(下記化合物B)を用いる光学フィルターが開示されている。
これらのテトラアザポルフィリン化合物を用いた光学フィルターは、不要な光を選択的に除去し必要な光をできるだけ透過し、発光色を改善するのに適したシャープな吸収を有している。しかしながら、ディスプレイの使用環境下において、照明などの光源の種類によってディスプレイの画面色が変化し、不適切に着色してしまう場合がある。その為、使用環境によらずディスプレイ画面が適切な色調となるように、一般的な各光源によるディスプレイ画面色の着色を抑制することが求められている。
即ち、本発明は、
(1) 下記一般式(1):
で表されるテトラアザポルフィリン化合物から選ばれた少なくとも2種の化合物を含有してなるテトラアザポルフィリン混合物であって、
当該少なくとも2種の化合物が、Y1〜Y4中、水素原子以外の置換基の数が異なるテトラアザポルフィリン混合物に関する。
(3) 濃度0.01g /Lトルエン溶液の光路長10mmで測定した吸収スペクトル図において、波長500nm以上700nm以下の範囲における最大の吸収ピークの半値幅が20nm以上45nm未満であることを特徴とする(1)または(2)に記載のテトラアザポルフィリン混合物が好ましい。
のテトラ(tert−ブチル)テトラアザポルフィリン銅錯体を含むことを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のテトラアザポルフィリン混合物が好ましい。
(5) (1)〜(3)いずれかに記載のテトラアザポルフィリン混合物と、式(2)で表されるテトラ(tert−ブチル)テトラアザポルフィリン銅錯体の含有比が8:2から5:5の範囲であることを特徴とする、(4)に記載のテトラアザポルフィリン混合物が好ましい。
(6) (1)〜(5)いずれかに記載のテトラアザポルフィリン混合物を含有する光学フィルターに関する。
(7) プラズマディスプレイパネル用のフィルターである、(6)記載の光学フィルターが好ましい。
(8)(6)または(7)に記載の光学フィルターを具備した表示装置に関する。
さらに、本発明は、
(9) 光学フィルターを具備した表示装置であって、
該光学フィルターの含有する色素は、濃度0.01g/Lトルエン溶液の光路長10mmにて測定した吸収スペクトル図において、波長500nm以上700nm以下の範囲における最大吸収ピークの半値幅が20nm以上45nm未満であり、
外光光源に標準光源F 6、F10、D65を用い、表示画面を黒表示として当該画面の色度をa*b*色座標上にプロットし、各光源下での色度点を結んだ図形の面積が0より大きく10以下である表示装置。
(10)前記いずれの標準光源下においても、黒表示とした表示画面のa*値が0以下である(9)記載の表示装置が好ましい。
(11)光学フィルターに含まれる色素が(1)記載のテトラアザポルフィリン混合物である(9)または(10)に記載の表示装置に関する。
本発明のテトラアザポルフィリン混合物は、下記一般式(1):
〔式中、X1〜X4はそれぞれ独立に、炭素数6以下の第三級飽和炭化水素基であり、Y1〜Y4はそれぞれ独立に、水素原子;フェノキシ基;または置換基として置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルコキシ基、置換もしくは非置換のアリールオキシ基またはハロゲン原子を有するフェノキシ基を表す。ただしY1〜Y4のすべてが水素原子であることはない。〕
で表されるテトラアザポルフィリン化合物から選ばれた少なくとも2種の化合物を含有してなるテトラアザポルフィリン混合物であって、
当該少なくとも2種の化合物が、Y1〜Y4中、水素原子以外の置換基の数が異なるテトラアザポルフィリン混合物である。
本発明のテトラアザポルフィリン混合物は、前記一般式(1)において、Y1〜Y4中、水素原子以外の置換基の数が異なる少なくとも2種の化合物を含む。
Ya〜Ydの中でも好ましいもの、具体例等は前記したY1〜Y4の好ましいもの、具体例等から水素原子を除いたものと同じである。
本発明のテトラアザポルフィリン混合物は、前記した4種の化合物のうち少なくとも2種の化合物を含む。
(1)前記[化合物1]
(2)前記[化合物2の異性体1]および/または[化合物2の異性体2]
(3)前記[化合物3]
(4)前記[化合物4]
[化合物2の異性体1]と[化合物2の異性体2]とは吸収ピーク位置に大きな差がないため、これら2つの異性体の混合物はピークがシャープであり、適度の半値幅とするためには更に他の化合物である[化合物1]、[化合物3]および/または[化合物4]を含む必要がある。本発明のテトラアザポルフィリン混合物は、前記[化合物4]を必ず含むものが好ましく、[化合物3]及び[化合物4]を必ず含むものが特に好ましい。また、[化合物4]を、混合物全体の50重量%以上80重量%未満含むものが好ましい。
なお、前記一般式(1)で表されるテトラアザポルフィリン化合物において、上記4種の化合物1〜4にはX1〜X4、Y1〜Y4の置換位置が異なる位置異性体が含まれる。
これらの位置異性体は相互の吸収ピーク位置に大差がなく、これら異性体はその混合物であってもピークは比較的シャープである。これに対して、本発明の置換基数(水素原子以外)の異なるテトラアザポルフィリン混合物は吸収ピークが適度にブロードである。
/ Lトルエン溶液の光路長10mmで測定した吸収スペクトル図において、波長500nm以上700nm以下の範囲、好ましくは波長550nm以上650nm以下の範囲、より好ましくは波長570nm以上610nm以下の範囲における最大の吸収ピークの半値幅が好ましくは20nm以上45nm未満、より好ましくは22nm以上40nm未満であり、とりわけ24nm以上38nm未満であることが特に好ましい。
なお、本明細書において半値幅とは半値全幅のことであり、上記吸収スペクトル図において最大吸収ピークにおける吸収係数値(εg)の1/2の値にて引いた横軸に並行な直線と当該ピークとにより形成される2つの交点の間の距離(nm)で表される。
また、グラム吸光係数(εg)が小さいと、光学フィルターとした時の耐光性が低下するため、グラム吸光係数(εg)は70,000以上が好ましい。
さらに、光学フィルターとして、表示装置に設置した場合について述べる。
表示装置の表示画面を黒表示とした時、外光光源の種類による表示画面の色変化が少ないことが好ましい。表示画面の色は、a*b*色度で表せる。各外光光源下での表示画面(表示は黒表示)の色度をa*b*色座標上にプロットし、各光源下での色度点を結んだ図形の面積が小さいほど、外光光源が変わることによる表示画面の色変化が少ないと言える。外光光源に標準光源F 6、F10、D65を用いて、表示画面(表示は黒表示)の色度をa*b*色座標上にプロットし、各光源下での色度点を結んだ図形の面積が、0より大きく10以下であることが好ましい。なお、表示光源F
6、F10、D65はCIE標準で規定されている。
反応経路は、下記に示すとおりである。
DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)等の非プロトン系溶媒中で、化合物(II)を、化合物(II)の3〜7倍モル量、好ましくは3.5〜5倍モル量のN−ブロモコハク酸イミドと40〜120℃、好ましくは60〜80℃で、2〜24時間、好ましくは5〜16時間反応させることにより、式(III)で示される、化合物(III)を得ることができる。
なお、上記反応条件での製造の場合、化合物(III)は臭素原子の導入数が異なる化合物が生成し、通常これらの混合物として得られる。
また、前記テトラアザポルフィリン混合物中の4種化合物の組成比は、上記製造法における臭素原子導入数の異なる化合物(III)の混合比に大きく影響される。上記の反応条件下、とりわけ好ましい条件にて反応を行うことにより、前記4種の化合物を本発明の目的上好ましい組成比で含むテトラアザポルフィリン混合物が得られる。
また、構造の確認、同定等の目的のために、本発明のテトラアザポルフィリン混合物中の各々の化合物をシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー等の分離方法により単品として得ることができる。
前記表1における具体例の混合物及び化合物とは、本発明のテトラアザポルフィリン混合物及びこれから単離した単品の化合物を表す。
で表されるテトラアザポルフィリン化合物から選ばれた少なくとも2種の化合物を含有してなるテトラアザポルフィリン混合物であって、
当該少なくとも2種の化合物が、Y1〜Y4中、水素原子以外の置換基の数が異なるテトラアザポルフィリン混合物であり、光学フィルター用の色素として好適であるが、更に前記化合物(II)を特定の割合で含んでいることも好ましい。
上記比率で併用したテトラアザポルフィリン混合物は、特定の波長領域に適切な半値幅の吸収ピークを有することから、ディスプレイの色再現性向上ができ、且つ、光源による演色性の違いの影響を受け難いので、光学フィルター用の色素として特に好適である。
尚、混錬する際に可塑剤等の通常の樹脂成形に用いる添加剤を加えても良い。
使用される樹脂としては、脂肪族エステル系樹脂、アクリル系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン樹脂、芳香族エステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂肪族ポリオレフィン樹脂、芳香族ポリオレフィン樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニル系変成樹脂(PVA、EVA等)或いはそれらの共重合樹脂の樹脂モノマーが挙げられる。
溶媒としては、ハロゲン系、アルコール系、ケトン系、エステル系、脂肪族炭化水素系、芳香族炭化水素系、エーテル系溶媒、或いはそれらの混合物系等が挙げられる。
溶媒としては、ハロゲン系、アルコール系、ケトン系、エステル系、脂肪族炭化水素系、芳香族炭化水素系、エーテル系溶媒、或いはそれらの混合物系等が挙げられる。
塗料中には、酸化防止剤等の、通常塗料に用いるような添加物を加えても良い。
電磁波シールド材料としては、金属薄膜、酸化物半導体などからなる透明導電性薄膜、導電性メッシュ、導電性繊維などを用いることができる。中でも、金属薄膜と高屈折率透明薄膜を積層した多層積層膜、銅箔のフォトリソエッチングや印刷パターニングとメッキなどによって得られる導電性メッシュは、好適に用いることができる。これは、金属薄膜と高屈折率透明薄膜を積層した多層積層膜は近赤外線を反射するので、電磁波シールド機能と同時に近赤外線遮蔽機能も併せ持つことが可能であり、導電性メッシュは高い導電性を得ることができるので、高い電磁波シールド機能が得られ、厳しい電磁波規格にも対応することができる為である。
本発明の光学フィルターは、公知の光学フィルターと同様に加工して、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、陰極管表示装置(CRT)、蛍光表示管、電界放射型ディスプレイ等の色再現性を改善する光学フィルターとして用いることができる。
(実施例1)
テトラアザポルフィリン混合物No.1の合成
以下の操作によって、前記表1におけるテトラアザポルフィリン混合物No.1を合成した。
テトラ(tert−ブチル)テトラアザポルフィリン銅錯体6.00gとN−ブロモコハク酸イミド7.65gとを、DMF500mL中に加え、69〜71℃で10時間反応させた。反応混合物を水510mL中に排出し、生じた沈殿を濾過した。濾物を温水(80℃)100mLで3回洗浄した。乾燥後、上記テトラアザポルフィリン化合物の臭素化物8.78gを得た。
なお、使用したテトラ(tert−ブチル)テトラアザポルフィリン銅錯体は、特開2006−321925号公報実施例3に記載の方法に従って製造した。
得られたテトラアザポルフィリン化合物の臭素化物8.78gと、フェノール7.23g、炭酸カリウム10.65gをDMI45.8g中に加え、135〜145℃で5時間反応させた。反応混合物を水400mL中に排出し、100℃で1時間攪拌した。析出物を熱時濾過後、70℃の温水100mLで2回洗浄した。乾燥後、前記表1のテトラアザポルフィリン混合物No.1を7.59g得た。
また、この吸収スペクトルチャートにおける最大ピークの吸収極大波長(λmax)、グラム吸光係数(εg)、半値幅を表2に示す。
なお、全実施例、参考例及び比較例において吸収スペクトルの測定は、濃度0.01g/Lのトルエン溶液を、測定機器として(株)日立製作所製U-3500型自記分光光度計を使用し、光路長10mmで行った。
このテトラアザポルフィリン混合物No.1中の、前記表1の化合物No.1−1〜1−4の含有率をLC−MASSにて測定した。なお、No.1−2で表される2種のジフェノキシ置換体は、ほぼ同位置のピークを示した。結果を以下に示す。
化合物1−1:12% 化合物1−2:9% 化合物1−3:17% 化合物1−4:62%
テトラアザポルフィリン混合物No.1をシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン/ヘプタン=1/1)で分離を行い、化合物No.1−1〜1−4をそれぞれ単離した。結果を下記に示す。
化合物No.1−1(モノフェノキシ置換体)
濃紫色粉末、マススペクトル(M/e):692
トルエン溶液の吸収スペクトル図における最大ピークの吸収極大波長:588.5nm
化合物No.1−2(ジフェノキシ置換体)
濃紫色粉末、マススペクトル(M/e):784
トルエン溶液の吸収スペクトル図における最大ピークの吸収極大波長:592.0nm
化合物No.1−3(トリフェノキシ置換体)
濃紫色粉末、マススペクトル(M/e):876
トルエン溶液の吸収スペクトル図における最大ピークの吸収極大波長:595.5nm
化合物No.1−4(テトラフェノキシ置換体)
濃紫色粉末、マススペクトル(M/e):968
トルエン溶液の吸収スペクトル図における最大ピークの吸収極大波長:598.0nm
テトラアザポルフィリン混合物No.2の合成
実施例1において、フェノール7.23gの代わりにp−メチルフェノール8.31gを用いた以外は、実施例1と同様の操作を行い、前記表1のテトラアザポルフィリン混合物No.2を8.72g得た。
このもののトルエン溶液の吸収スペクトルチャートを図2に示す。
また、この吸収スペクトルチャートにおける最大ピークの吸収極大波長(λmax)、グラム吸光係数(εg)、半値幅を表2に示す。
このテトラアザポルフィリン混合物中の化合物No.2−1〜2−4の含有率は、化合物2−1:11% 化合物2−2:10% 化合物2−3:19% 化合物2−4:60%であった。
テトラアザポルフィリン混合物No.2を実施例1と同様の操作でカラムクロマトグラフィーによる化合物2−1〜2−4の分離を行った。結果を以下に示す。
化合物No.2−1(モノ(p−メチルフェノキシ)置換体)
濃紫色粉末、マススペクトル(M/e):706
トルエン溶液の吸収スペクトル図における最大ピークの吸収極大波長:589.0nm
化合物No.2−2(ジ(p−メチルフェノキシ)置換体)
濃紫色粉末、マススペクトル(M/e):812
トルエン溶液の吸収スペクトル図における最大ピークの吸収極大波長:592.5nm
化合物No.2−3(トリ(p−メチルフェノキシ)置換体)
濃紫色粉末、マススペクトル(M/e):918
トルエン溶液の吸収スペクトル図における最大ピークの吸収極大波長:596.5nm
化合物No.2−4(テトラ(p−メチルフェノキシ)置換体)
濃紫色粉末、マススペクトル(M/e):1024
トルエン溶液の吸収スペクトル図における最大ピークの吸収極大波長:600.0nm
テトラアザポルフィリン混合物No.3の合成
このもののトルエン溶液の吸収スペクトルチャートを、図3に示す。
また、この吸収スペクトルチャートにおける最大ピークの吸収極大波長(λmax)、グラム吸光係数(εg)、半値幅を表2に示す。
このテトラアザポルフィリン混合物中の化合物No.3−1〜3−4の含有率は、化合物3−1:12% 化合物3−2:10% 化合物3−3:18% 化合物3−4:60%であった。
テトラアザポルフィリン混合物No.3を実施例1と同様の操作でカラムクロマトグラフィーによる化合物3−1〜3−4の分離を行った。結果を以下に示す。
化合物No.3−1(モノ(p−tert−ブチルフェノキシ)置換体)
濃紫色粉末、マススペクトル(M/e):748
トルエン溶液の吸収スペクトル図における最大ピークの吸収極大波長:589.0nm
化合物No.3−2(ジ(p−tert−ブチルフェノキシ)置換体)
濃紫色粉末、マススペクトル(M/e):896
トルエン溶液の吸収スペクトル図における最大ピークの吸収極大波長:593.0nm
化合物No.3−3(トリ(p−tert−ブチルフェノキシ)置換体)
濃紫色粉末、マススペクトル(M/e):1044
トルエン溶液の吸収スペクトル図における最大ピークの吸収極大波長:597.5nm
化合物No.3−4(テトラ(p−tert−ブチルフェノキシ)置換体)
濃紫色粉末、マススペクトル(M/e):1192
トルエン溶液の吸収スペクトル図における最大ピークの吸収極大波長:601.5nm
テトラアザポルフィリン混合物No.4の合成
このもののトルエン溶液の吸収スペクトルチャートを、図4に示す。
また、この吸収スペクトルチャートにおける最大ピークの吸収極大波長(λmax)、グラム吸光係数(εg)、半値幅を表2に示す。
このテトラアザポルフィリン混合物中の化合物No.4−1〜4−4の含有率は、化合物4−1:11% 化合物4−2:11% 化合物4−3:17% 化合物4−4:61%であった。
テトラアザポルフィリン混合物No.4を実施例1と同様の操作でカラムクロマトグラフィーによる化合物4−1〜4−4の分離を行った。結果を以下に示す。
化合物No.4−1(モノ(p−メトキシフェノキシ)置換体)
濃紫色粉末、マススペクトル(M/e):722
トルエン溶液の吸収スペクトル図における最大ピークの吸収極大波長:589.5nm
化合物No.4−2(ジ(p−メトキシフェノキシ)置換体)
濃紫色粉末、マススペクトル(M/e):844
トルエン溶液の吸収スペクトル図における最大ピークの吸収極大波長:594.0nm
化合物No.4−3(トリ(p−メトキシフェノキシ)置換体)
濃紫色粉末、マススペクトル(M/e):966
トルエン溶液の吸収スペクトル図における最大ピークの吸収極大波長:598.5nm
化合物No.4−4(テトラ(p−メトキシフェノキシ)置換体)
濃紫色粉末、マススペクトル(M/e):1088
トルエン溶液の吸収スペクトル図における最大ピークの吸収極大波長:603.0nm
テトラアザポルフィリン混合物No.5の合成
実施例1において、フェノール7.23gの代わりにp−トリフルオロメチルフェノール12.46gを用いた以外は、実施例1と同様の操作を行い、前記表1のテトラアザポルフィリン混合物No.5を4.98g得た。
このもののトルエン溶液の吸収スペクトルチャートを、図5に示す。
また、この吸収スペクトルチャートにおける最大ピークの吸収極大波長(λmax)、グラム吸光係数(εg)、半値幅を表2に示す。
このテトラアザポルフィリン混合物中の化合物No.5−1〜5−4の含有率は、化合物5−1:11% 化合物5−2:9% 化合物5−3:17% 化合物5−4:63%であった。
テトラアザポルフィリン混合物No.5を実施例1と同様の操作でカラムクロマトグラフィーによる化合物5−1〜5−4の分離を行った。結果を以下に示す。
化合物No.5−1(モノ(p−トリフルオロメチルフェノキシ)置換体)
濃紫色粉末、マススペクトル(M/e):760
トルエン溶液の吸収スペクトル図における最大ピークの吸収極大波長:588.0nm
化合物No.5−2(ジ(p−トリフルオロメチルフェノキシ)置換体)
濃紫色粉末、マススペクトル(M/e):920
トルエン溶液の吸収スペクトル図における最大ピークの吸収極大波長:591.5nm
化合物No.5−3(トリ(p−トリフルオロメチルフェノキシ)置換体)
濃紫色粉末、マススペクトル(M/e):1080
トルエン溶液の吸収スペクトル図における最大ピークの吸収極大波長:594.5nm
化合物No.5−4(テトラ(p−トリフルオロメチルフェノキシ)置換体)
濃紫色粉末、マススペクトル(M/e):1240
トルエン溶液の吸収スペクトル図における最大ピークの吸収極大波長:597.5nm
化合物Aのトルエン溶液の吸収スペクトルチャートを図6に示す。
また、この吸収スペクトルチャートにおける吸収極大波長(λmax)、グラム吸光係数(εg)、半値幅を表2に示す。
特開2006−321925号公報実施例2に従ってテトラ(tert−ブチル)テトラアザポルフィリンバナジル錯体を合成した。これを比較試験用サンプルに用いた。
化合物Bのトルエン溶液の吸収スペクトルチャートを図7に示す。
また、この吸収スペクトルチャートにおける最大ピークの吸収極大波長(λmax)、グラム吸光係数(εg)、半値幅を表2に示す。
テトラ(tert−ブチル)テトラアザポルフィリン銅錯体6.00gとN−ブロモコハク酸イミド21.4gとを、DMF510mL中に加え、69〜71℃で10時間反応させた。反応混合物を、水400mL中に排出し、生じた沈殿を濾過した。濾物を80℃の温水100mLで3回洗浄した。乾燥後、テトラ(tert−ブチル)テトラブロモテトラアザポルフィリン銅錯体9.16gを得た。
得られたテトラブロモ体9.16gとn−ブタノール7.40g、炭酸カリウム13.8gを、DMI45.8g中に加え、135〜145℃で5時間反応させた。反応混合物を水400mL中に排出し、100℃で1時間攪拌した。析出物を熱時濾過後、70℃の温水100mLで2回洗浄した。乾燥後、化合物Cを8.12g得た。なお、ここで得られた化合物Cは、tert−ブチル基とn−ブチルオキシ基に関しての位置異性体の混合物である。
この化合物のトルエン溶液における吸収スペクトルチャートを図8に示す。
また、この吸収スペクトルチャートにおける最大ピークの吸収極大波長(λmax)、グラム吸光係数(εg)、半値幅を表2に示す。
実施例1で得たテトラアザポルフィリン混合物No.1と、参考例1で合成した化合物Aとを、重量比で6:4の割合で均一に混合してテトラアザポルフィリン混合物20gを製造した。
このテトラアザポルフィリン混合物のトルエン溶液の吸収スペクトルチャートを図9に示す。
また、この吸収スペクトルチャートにおける最大ピークの吸収極大波長(λmax)、グラム吸光係数(εg)、半値幅を表2に示す。
参考例2で合成した化合物Bと、参考例1で合成した化合物Aとを、重量比で6:4の割合で均一に混合してテトラアザポルフィリン混合物20gを製造した。
このテトラアザポルフィリン混合物のトルエン溶液の吸収スペクトルチャートを図10に示す。
また、この吸収スペクトルチャートにおける最大ピークの吸収極大波長(λmax)、グラム吸光係数(εg)、半値幅を表2に示す。
酢酸エチル/トルエン(50:50重量%)混合溶剤に、実施例6で作製した、テトラアザポルフィリン混合物No.1とテトラ(tert−ブチル)テトラアザポルフィリン銅錯体の6:4混合物を、濃度が2040ppmになるように溶解させ、アクリル系粘着剤用の色素入り希釈剤とした。アクリル系粘着剤と、この色素入り希釈剤を重量比で80:20となるように混合し、バッチ式ダイコーターでポリエチレンテレフタレートフィルム[帝人デュポンフィルム(株)製、厚さ75μm]上に乾燥膜厚25μmとなるように塗工し、乾燥させて光学フィルターを作製した。
なお、実施例7、8、及び比較例1乃至3において、光学フィルター作製の際の色素配合量は、色素による最大吸収波長における光学フィルターの透過率が、同じ25%となるようにしたものである。
この光学フィルターの波長領域300〜800nmの透過スペクトルを、分光光度計((株)島津製作所製 UV−3100)を用いて測定し、テトラアザポルフィリン混合物No.1とテトラ(tert−ブチル)テトラアザポルフィリン銅錯体の6:4混合物による最大吸収ピークの半値幅を測定したところ、33nmであった。
実施例7において、テトラアザポルフィリン混合物No.1とテトラ(tert−ブチル)テトラアザポルフィリン銅錯体の6:4混合物の代わりに、実施例2で作製したテトラアザポルフィリン混合物No.2を濃度が2020ppmになるように溶解させた以外は、実施例7と同様の操作を行って、光学フィルターを作製した。
実施例7と同様に、この光学フィルターの透過スペクトルを測定し、テトラアザポルフィリン混合物No.2の最大吸収ピークの半値幅を測定したところ、25nmであった。
実施例7において、テトラアザポルフィリン混合物No.1とテトラ(tert−ブチル)テトラアザポルフィリン銅錯体の6:4混合物の代わりに、参考例1で合成した化合物Aを濃度が1100ppmになるように溶解させた以外は実施例7と同様の操作を行って、光学フィルターを作製した。
実施例7と同様に、この光学フィルターの透過スペクトルを測定し、化合物Aによる最大吸収ピークの半値幅を測定したところ、18nmであった。
実施例7において、テトラアザポルフィリン混合物No.1とテトラ(tert−ブチル)テトラアザポルフィリン銅錯体の6:4混合物の代わりに、参考例2で合成した化合物Bを濃度が1150ppmになるように溶解させた以外は実施例7と同様の操作を行って、光学フィルターを作製した。
実施例7と同様に、この光学フィルターの透過スペクトルを測定し、化合物Bによる最大吸収ピークの半値幅を測定したところ、19nmであった。
実施例7において、テトラアザポルフィリン混合物No.1とテトラ(tert−ブチル)テトラアザポルフィリン銅錯体の6:4混合物の代わりに、参考例4で製造したテトラ(tert−ブチル)テトラアザポルフィリンバナジル錯体とテトラ(tert−ブチル)テトラアザポルフィリン銅錯体の6:4混合物を濃度が1270ppmになるように溶解させた以外は実施例7と同様の操作を行って、光学フィルターを作製した。
実施例7と同様に、この光学フィルターの透過スペクトルを測定し、テトラ(tert−ブチル)テトラアザポルフィリンバナジル錯体とテトラ(tert−ブチル)テトラアザポルフィリン銅錯体の6:4混合物による最大吸収ピークの半値幅を測定したところ、22nmであった。
ディスプレイの色再現性向上能については、分光放射輝度計(コニカミノルタホールディングス(株)社製 CS−1000)を用いて、RGB3原色表示の各色度座標(x、y)を測定した。色再現範囲は、RGB表示色度点をxy色座標上で結んだ三角形の面積で表せ、光学フィルター無しの場合のRGB表示色度点からなる三角形の面積に対してどのくらいか広がっているかを、面積比にて比較した。結果を表3に示す。
実施例7で作製した光学フィルターを紫外線カットアクリル板[厚さ2mm]にアクリル系透明粘着剤[厚さ25μm]を介して貼合した。
該光学フィルター付きアクリル板について、分光光度計((株)島津製作所製 UV−3100)にて光線透過率を測定した。最大吸収波長595nmにおける光線透過率は24.8%であった。
該光学フィルター付きアクリル板のアクリル板面側にキセノンランプ[照射強度50mW/cm2]を照射して耐光性試験を行ったところ、1000時間後の波長599nmでの透過率は24.0%であり、光学フィルターの劣化はほとんど見られなかった。
実施例7において、テトラアザポルフィリン混合物No.1とテトラ(tert−ブチル)テトラアザポルフィリン銅錯体の6:4混合物の代わりに、参考例3で合成した化合物Cを使用した以外は実施例7と同様に光学フィルターを作製した。この光学フィルターを紫外線カットアクリル板[厚さ2mm]にアクリル系透明粘着剤[厚さ25μm]を介して貼合した。
該フィルター付きアクリル板について、分光光度計((株)島津製作所製 UV−3100)にて光線透過率を測定した。最大吸収波長595nmにおける光線透過率は36.5%であった。
該光学フィルター付きアクリル板のアクリル板面側にキセノンランプ[照射強度50mW/cm2] を照射して耐光性試験を行ったところ、1000時間後の波長596nmでの透過率は64%であり、光学フィルターの劣化が見られた。
Claims (8)
- 濃度0.01g / Lトルエン溶液の光路長10mmで測定した吸収スペクトル図において、波長500nm以上700nm以下の範囲における最大の吸収ピークの半値幅が20nm以上45nm未満であることを特徴とする請求項1に記載のテトラアザポルフィリン混合物。
- 請求項1又は2に記載のテトラアザポルフィリン混合物と、式(2)で表されるテトラ(tert−ブチル)テトラアザポルフィリン銅錯体の含有比が8:2から5:5の範囲であることを特徴とする、請求項3に記載のテトラアザポルフィリン混合物。
- 請求項1〜請求項4のいずれかに記載のテトラアザポルフィリン混合物を含有する光学フィルター。
- プラズマディスプレイパネル用のフィルターである、請求項5記載の光学フィルター。
- 請求項5または6に記載の光学フィルターを具備した表示装置。
- 光学フィルターを具備した表示装置であって、
該光学フィルターの含有する色素が請求項1に記載のテトラアザポルフィリン混合物であり、濃度0.01g/Lトルエン溶液の光路長10mmにて測定した吸収スペクトル図において、波長500nm以上700nm以下の範囲における最大吸収ピークの半値幅が20nm以上45nm未満であり、
外光光源に標準光源F 6、F10、D65を用い、表示画面を黒表示として当該画面の色度をa*b*色座標上にプロットし、各光源下での色度点を結んだ図形の面積が0より大きく10以下であることを特徴とする表示装置。
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