JP5411648B2 - マスクブランク用基板の製造方法、マスクブランク用基板の製造装置、マスクブランクの製造方法、及び転写用マスクの製造方法 - Google Patents

マスクブランク用基板の製造方法、マスクブランク用基板の製造装置、マスクブランクの製造方法、及び転写用マスクの製造方法 Download PDF

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この発明は、半導体回路の回路パターンの原版となる転写用マスクの製造に使用されるマスクブランク用基板の製造方法、マスクブランク用基板の製造装置、マスクブランクの製造方法、及び転写用マスクの製造方法に関する。
従来、マスクブランク用基板の製造では、マスクブランク用基板(以下、単に「基板」と称する場合がある)の両方の主表面を最初に荒く研削(ラップ)した後に、研磨条件を変えながら複数回にわたって研磨(ポリッシュ)する。マスクブランク用基板の研削には、通常は図9に示す研削装置が用いられる。従来の研削装置は、金属製の研削面11を備えた上定盤10と、金属製の研削面21を備えた下定盤20と、下定盤20と一体化した内歯車22と、下定盤20と連動して回転する太陽歯車23と、複数の基板収容孔31を備えたキャリア30と、を備えている。なお、下定盤20と研削面21は、一体化されていてもよいし、軸受を介して相互に独立して回転するように構成されていてもよい。
図10に、キャリア30の平面図を示す。図10に示すように、キャリア30の外形は外歯車であり、その主表面内に基板40と同形状で基板40よりも少し大きい基板収容孔31を複数備える。また、キャリア30は、基板40と接触しても基板40に傷を生じさせないように、硬度の低い樹脂で作られている。また、基板40は基板収容孔31内に収容された状態で研削面11及び研削面21と接触することにより研削されるため、キャリア30は、基板40の研削を阻害しないように、基板40よりも薄く作られている。
従来の研削装置を用いて基板40を研削する時には、先ず、研削面21上に複数のキャリア30を、その外周に設けられた歯車が内歯車22及び太陽歯車23と噛み合うように配置する。次いで、各キャリア30の複数の基板収容孔31内に基板40をそれぞれ収容する。次いで、上定盤10を下定盤20に対向させながら降下させて、研削面11及び研削面21を基板40の両方の主表面(被研削面)に接触させる。次いで、基板40を研削面11及び研削面21で挟んだ状態で、上定盤10、下定盤20、及び太陽歯車23をそれぞれ所定の速度で回転させる。このように、キャリア30は、研削面11及び研削面21の間で内歯車22及び太陽歯車23と噛み合い、内歯車22及び太陽歯車23の回転から動力を得て、自転しながら太陽歯車23を中心として公転するいわゆる遊星運動を行う。この時、基板40の両被研削面と研削面11及び研削面21との間にシリコンカーバイド(SiC)微粒子等を含有した研削液(スラリー)を供給することにより、これらの微粒子を遊離砥粒として機能させて、基板40の両被研削面を同時に研削する。なお、下定盤20(内歯車22)の回転速度と太陽歯車23の回転速度とを変化させることにより、太陽歯車23を公転中心とするキャリア30の公転速度とキャリア30の自転速度とを調節することができる。また、上定盤10の回転方向は、図9に示すように、通常は下定盤20の回転方向と逆方向に設定される。これは、上定盤10を下定盤20と逆方向に回転させることにより、基板40の被研削面と研削面11との相対速度を高められるため、単位時間当たりの基板40の研削量を増やせるからである。
ところが、基板40が研削される時には、研削液中の遊離砥粒や基板40の被研削面から剥離した研削屑によって研削面11及び研削面21も同時に削られて磨耗する。そのため、従来の研削装置では、基板40の処理枚数が増えるに従って、研削面11及び研削面21の平坦度が劣化したり、研削面11及び研削面21の表面にうねりが発生したりしていた。その結果、従来の研削装置では、基板40の処理枚数が増えるに従って、単位時間
当たりの基板40の研削量が減少したり、基板40を所定の厚さ研削しても目的とする平坦度が得られなかったりする問題が発生していた。このような問題を解決するために、特許文献1に記載の技術が開発されている。
特開2008−254166号公報
しかし、特許文献1に記載の技術は、ダイヤモンド粒子を含む固定砥粒が研削面に配備された定盤を用いてガラス基板の主表面を研削する研削工程を行った後、研削に用いたキャリアとガラス修正リングとを置換して、研削工程と同様の処理を行うことにより、定盤の研削面のうねりを除去し、平坦度を修正するものである。つまり、特許文献1に記載の技術は、定盤の研削面の平坦度が劣化した後にそれを修正する技術であって、研削面の平坦度の劣化そのものを抑制する技術ではない。また、特許文献1に記載の技術は、定盤の研削面の平坦度を修正するために、毎回多くの時間を要する。そのため、特許文献1に記載の技術を工業的生産において利用すると、多大な時間を要する修正作業を頻繁に行う必要に迫られることから、従来の研削装置の生産能力を著しく低下させてしまう。
そこで、本発明者らは、従来の研削装置において、研削面11及び研削面21の平坦度が劣化していく過程を詳細に検討することにより、それらの平坦度が劣化するメカニズム及び要因を見出すに至った。すなわち、本発明者らは、研削面11及び研削面21が円運動を行いながら基板40を研削することが、研削面11及び研削面21の表面にうねり等を生じさせてその平坦度を劣化させる主な要因であるという結論に至った。
具体的には、次のとおりである。研削面11及び研削面21が円運動を行いながら基板40を研削すれば、研削面11及び研削面21において、それらの回転中心から遠ざかるほど線速度が速くなり、その線速度の増大に伴って単位時間当たりの基板40の研削量も増大する。そして、単位時間当たりの基板40の研削量が増えれば、研削液中の遊離砥粒による研削面11及び研削面21の単位時間当たりの磨耗量も増大する。つまり、研削面11及び研削面21が円運動を行いながら基板40を研削すれば、研削面11及び研削面21において、それらの回転中心からの距離に応じて磨耗量に差が生じることになり、この磨耗量の差が研削面11及び研削面21にうねり等を生じさせてそれらの平坦度を劣化させるということである。そして、このようなメカニズムで平坦度が劣化した研削面11及び研削面21によって基板40を研削すれば、必然的に基板40の平坦度は悪化する。
さらに、本発明者らは、研削後の基板40の平坦度が劣化することに関して鋭意検討を続けた結果、上記の研削面11及び研削面21の平坦度の劣化に起因しないメカニズムや要因にも想到した。すなわち、本発明者らは、キャリア30が基板収容孔31に基板40を収容したまま太陽歯車23を公転中心とした遊星運動を行うことが、研削後の基板40の平坦度を劣化させる要因の一つであることを見出した。つまり、キャリア30が基板収容孔31に基板40を収容したまま太陽歯車23を公転中心とした遊星運動をすれば、キャリア30の自転中心からの距離に応じて、基板40の被研削面上にキャリア30の自転による線速度の差が生じる。具体的には、図10に示すキャリア30の自転中心に近い基板40のI点とキャリア30の自転中心から遠い基板40のO点とでは、O点の方が研削面11及び研削面21に対する相対的な線速度が速いということである。したがって、キャリア30が基板収容孔31に基板40を収容したまま太陽歯車23を公転中心とした遊星運動をすれば、キャリア30の自転中心から遠ざかるに従って研削面11及び研削面21に対する相対的な基板40の線速度が速くなって単位時間当たりの基板40の研削量が
増えてしまい、その結果として基板40の平坦度が悪化する。
したがって、本発明が解決しようとする課題は、研削面の平坦度が劣化し難く、基板の被研削面の全面を均等に研削できる基板の研削方法及びその研削装置、ならびにその研削方法による基板からマスクブランク及び転写用マスクを製造する方法を提供することである。
上述の課題を解決するために第1の手段は、砥粒が固定された固定砥粒部を備える上定盤と、砥粒が固定された固定砥粒部を備える下定盤と、前記上定盤及び下定盤の両固定砥粒部に基板を接触させつつ保持するキャリアと、を具備するマスクブランク用基板の製造装置を用い、前記上定盤と前記下定盤にオービタル運動をさせている間に、前記上定盤の固定砥粒部における前記基板との接触面の全面と、前記下定盤の固定砥粒部における前記基板との接触面の全面とを、前記基板の各被研削面に接触させることを特徴とするマスクブランク用基板の製造方法である。
第2の手段は、前記固定砥粒部は、ダイヤモンド砥粒が固定されたものであることを特徴とする第1の手段にかかるマスクブランク用基板の製造方法である。
第3の手段は、前記上定盤のオービタル運動と前記下定盤のオービタル運動は、回転半径、回転速度、及び回転方向が同じであることを特徴とする第1または第2の手段にかかるマスクブランク用基板の製造方法である。
第4の手段は、前記キャリアは、前記上定盤と前記下定盤がオービタル運動をしている間に、往復動作することを特徴とする第1から第3のいずれかの手段にかかるマスクブランク用基板の製造方法である。
第5の手段は、前記上定盤と前記下定盤がオービタル運動をしている間において、前記上定盤の固定砥粒部における前記基板から瞬間的に離れている非接触面積の最大値が、前記上定盤の固定砥粒部によって研削される前記基板の被研削面の面積の10%以上であり、前記下定盤の固定砥粒部における前記基板から瞬間的に離れている非接触面積の最大値が、前記下定盤の固定砥粒部によって研削される前記基板の被研削面の面積の10%以上であることを特徴とする第1から第4のいずれかの手段にかかるマスクブランク用基板の製造方法である。
第6の手段は、固定砥粒部の平坦度の修正を行うときは、前記上定盤の固定砥粒部の前記基板との接触面と前記下定盤の固定砥粒部の前記基板との接触面とを直接接触させて擦り合わせて行うことを特徴とする第1の手段に係るマスクブランク用基板の製造方法である。
第7の手段は、砥粒が固定された固定砥粒部を備え、オービタル運動を行う上定盤と、砥粒が固定された固定砥粒部を備え、オービタル運動を行う下定盤と、前記上定盤および下定盤の両固定砥粒部に基板を接触させつつ保持するキャリアと、を具備し、前記上定盤及び前記下定盤がオービタル運動をしている間に、前記上定盤の固定砥粒部における前記基板との接触面の全面と、前記下定盤の固定砥粒部における前記基板との接触面の全面とがそれぞれ、前記基板に接触することを特徴とするマスクブランク用基板の製造装置である。
第8の手段は、前記上定盤の固定砥粒部と、前記下定盤の固定砥粒部と、前記キャリアにおける前記基板を保持する貫通孔とが同数であることを特徴とする第7の手段にかかる
マスクブランク用基板の製造装置である。
第9の手段は、前記上定盤および下定盤の両固定砥粒部は、ダイヤモンド砥粒が固定されたものであることを特徴とする第7または第8の手段にかかるマスクブランク用基板の製造装置である。
第10の手段は、前記上定盤のオービタル運動と前記下定盤のオービタル運動は、回転半径、回転速度、及び回転方向が同じであることを特徴とする第7から第9のいずれかの手段にかかるマスクブランク用基板の製造装置である。
第11の手段は、前記キャリアは、前記上定盤と前記下定盤がオービタル運動をしている間に、往復動作することを特徴とする第7から第10のいずれかの手段にかかるマスクブランク用基板の製造装置である。
第12の手段は、第1から第6のいずれかの手段にかかるマスクブランク用基板の製造方法によって製造したマスクブランク用基板の主表面に精密研磨を行い、さらに前記主表面上に、転写パターン形成用の薄膜を形成することを特徴とするマスクブランクの製造方法である。
第13の手段は、第12の手段にかかるマスクブランクの製造方法によって製造したマスクブランクにおける前記薄膜をパターニングして転写パターンを形成することを特徴とする転写用マスクの製造方法である。
本発明によれば、上定盤の固定砥粒部における基板との接触面すなわち研削面の全面と、下定盤の研削面の全面と、がそれぞれ基板の各被研削面に接触するため、上定盤の研削面の全面と下定盤の研削面の全面とがそれぞれ均等に磨耗することから、上定盤の研削面及び下定盤の研削面の表面平坦度が劣化し難くなる。その結果、本発明によれば、同一の研削装置による基板の処理枚数が増えても研削後の基板の表面平坦度が劣化し難いことから、上定盤の研削面及び下定盤の研削面の表面平坦度を修正するための作業の頻度を低下させることができるため、基板の研削装置の生産性を高めることができる。
また、本発明によれば、上定盤の研削面の面積及び下定盤の研削面の面積が基板の各被研削面の面積よりも小さいため、上定盤の研削面の全面及び下定盤の研削面の全面を基板の各被研削面に確実に接触させることができる。
また、本発明によれば、上定盤の固定砥粒部と下定盤の固定砥粒部とキャリアにおける基板を保持する貫通孔とが同数であるため、複数の基板を同時に、かつ、均等に研削することができる。
また、本発明によれば、上定盤の固定砥粒部及び下定盤の固定砥粒部はダイヤモンド砥粒が固定されたものであるため、単位時間当たりの基板の研削量を増やすことができる。
また、本発明によれば、上定盤のオービタル運動及び下定盤のオービタル運動の回転半径、回転速度、及び回転方向が同じであるため、上定盤と下定盤がオービタル運動をしている間は、上定盤と下定盤が鏡像関係を保ちながら正対することになる。その結果、本発明によれば、基板に上方向からかかる力と下方向からかかる力とが常に均衡することから、研削中の基板の挙動を安定させることができる。
また、本発明によれば、上定盤と下定盤がオービタル運動をしている間に、キャリアが
往復動作するため、上定盤の研削面及び下定盤の研削面と基板の各被研削面との相対位置が緩やかに変化する。その結果、本発明によれば、基板の各被研削面が上定盤の研削面及び下定盤の研削面の様々な部位と接触して研削されるため、上定盤の研削面及び下定盤の研削面におけるうねり等の表面特性が基板の各被研削面に転写され難くなる。
また、本発明によれば、上定盤と下定盤がオービタル運動をしている間に、上定盤の研削面及び下定盤の研削面における基板から瞬間的に離れている非接触面積の最大値が、基板の各被研削面の面積の10%以上であるため、上定盤の研削面及び下定盤の研削面が基板の各被研削面の周縁部と確実に接触することから、基板の被研削面の全面を均等に研削することができる。
また、本発明によれば、上定盤の研削面と下定盤の研削面とを直接接触させて擦り合わせるため、上定盤の研削面及び下定盤の研削面の表面平坦度やうねり等を短時間で修正することができる。その結果、本発明によれば、基板の研削装置の生産性を高めることができる。
図1は、本発明の一実施形態にかかるマスクブランク用基板の研削装置の構成を示す斜視図である。 図2は、図1のA−A鎖線に従って、上定盤の構成及びその近傍の構成を示す断面図である。 図3は、キャリアの構成を示す平面図である。 図4は、下定盤上に基板が配置された時の固定砥粒部(研削面)と基板との位置関係を示す平面図である。 図5は、下定盤のオービタル運動時における下定盤の研削面と基板との位置関係を説明する説明図であり、(a)は図4に示す1つの下定盤の研削面及びそれに対応する基板を示し、(b)〜(e)はそれぞれ(a)の状態から下定盤のオービタル運動が45°ずつ進んだ状態を示す。 図6は、実施例における同一バッチの基板主表面の平坦度の平均値を各バッチ間で比較した図である。 図7は、比較例における同一バッチの基板主表面の平坦度の平均値を各バッチ間で比較した図である。 図8は、本発明の他の実施形態にかかるキャリアの構成を示す平面図である。 図9は、従来のマスクブランク用基板の研削装置の主要部分の構成を示す概略図である。 図10は、図9に示す従来のキャリアの構成を示す平面図である。
<本発明の一実施形態>
以下、本発明の一実施形態を、図面を適宜参照しながら詳細に説明する。
本実施形態にかかるマスクブランク用基板の研削装置100は、図1に示すように、研削装置100を上下方向から支える骨格である2つのフレーム110、この2つのフレーム110にそれぞれ取り付けられた2つのモータ120、この2つのモータ120にそれぞれ取り付けられた2つの偏心連結部130、上定盤140、上定盤140に取り付けられた固定砥粒部であるダイヤモンドシート155、基板を保持するキャリア150、下定盤170、下定盤170に取り付けられたダイヤモンドシート165、キャリア150の両端を保持しつつキャリア150に往復動作させる2つのスライド装置180、及びキャリア150を2つのスライド装置180にそれぞれ固定する2つの固定プレート185を
備えている。
上側のフレーム110は、図示しない駆動装置に連結されており、この駆動装置から動力を得て鉛直方向に昇降する。上側のフレーム110が上方向に移動すれば、上側のフレーム110に連結されたモータ120、偏心連結部130、及び上定盤140も共に上方向に移動するため、キャリア150と上定盤140との間に大きな空間が形成される。この形成された空間を介して、基板160がキャリア150の基板収容孔151に収容されたり基板収容孔151から取り出されたりする。
図2に示すように、上側のモータ120は鉛直下向きに伸びるシャフト121を備えており、シャフト121はモータ120の直下に配置された偏心連結部130の中心に嵌め込まれて偏心連結部130と一体化している。そのため、シャフト121の回転に伴って偏心連結部130も回転する。また、偏心連結部130はその中心から外れた位置に鉛直下向きに伸びる偏心シャフト131を備えており、この偏心シャフト131は上定盤140の最上部に取り付けられた軸受ユニット141に回転自在に嵌め込まれている。軸受ユニット141は筐体149の最上部にある円筒部分に収容されており、軸受ユニット141の直下には空隙142が設けられている。このような構成により、モータ120による回転動力は、偏心連結部130及び偏心シャフト131を介して上定盤140に伝播されて、上定盤140自体を回転させることなく、すなわち上定盤140を自転させることなく、上定盤140のオービタル運動に変換される。なお、上定盤140のオービタル運動の回転半径は、シャフト121と偏心シャフト131との軸心間の距離であり、またその回転速度はシャフト121の回転速度と同一である。
また、上定盤140は、筐体149の内部に、軸受ユニット141、空隙142、複数の通気管143、複数のエアシリンダ144、複数の押下板145、複数の面調節ユニット146、及び摺接面プレート147を備えている。一方で、下定盤170は、上定盤140と同じ外形であって軸受ユニット141、空隙142、摺接面プレート147及び筐体149に相当する構成部材を備えるものの、通気管143、エアシリンダ144、押下板145、及び面調節ユニット146に相当する構成部材を備えていない。
なお、下側のフレーム110は駆動装置に連結されていないことを除いて上側のフレーム110と同じ構成であり、同様に下側のモータ120及び偏心連結部130も上側のモータ120及び偏心連結部130と同一の構成である。したがって、下側のフレーム110はその設置面に固定されており、下定盤170は上定盤140と同様にオービタル運動をする。
上定盤140の摺接面プレート147には、キャリア150における基板収容孔151の位置と対応するように、基板収容孔151と同数のダイヤモンドシート155が取り付けられている。同様に、下定盤170の上面(摺接面プレート147に相当する)にも、キャリア150における基板収容孔151の位置と対応するように、基板収容孔151と同数のダイヤモンドシート165が取り付けられる。また、図2に示すように、ダイヤモンドシート155、165は、基板160を基板収容孔151に収容した後に上定盤140を降下させた時に、正対するように、すなわち基板160の同じ範囲を上下方向から挟むように、摺接面プレート147及び下定盤170の上面に取り付けられる。なお、ダイヤモンドシート155、165は、その裏面に感圧性接着剤が塗布されているため、摺接面プレート147及び下定盤170の上面に容易に着脱できる。
上定盤140の内部において、通気管143は、図示しない圧縮機に接続されており、この圧縮機から送られてくる圧縮空気をエアシリンダ144に供給する。通気管143から圧縮空気が供給されると、エアシリンダ144は、押下板145を降下させて、面調節
ユニット146を鉛直下向きに押圧する。エアシリンダ144によって押圧された面調節ユニット146は、その直下の摺接面プレート147を押圧する。面調節ユニット146に押圧されると、摺接面プレート147には撓みが生じるため、摺接面プレート147の直下に取り付けられたダイヤモンドシート155が基板160により強く押し付けられるようになる。
図2に示すように、面調節ユニット146は、ダイヤモンドシート155の取り付け位置と正対するように、換言すれば面調節ユニット146の中心とダイヤモンドシート155の中心とが鉛直方向で重なるように、上定盤140の内部の構成部材に固定される。また、面調節ユニット146は、上定盤140において、全てのダイヤモンドシート155の直上にそれぞれ設置される。さらに、通気管143、エアシリンダ144、及び押下板145も、上定盤140における全ての面調節ユニット146の直上にそれぞれ設置される。そして、上定盤140に設置された複数のエアシリンダ144に圧縮機から圧縮空気を供給する時には、この圧縮機は、各エアシリンダ144に対して別々の圧力で圧縮空気を供給することができる。そのため、例えば、研削装置100によって同時に研削された複数の基板160の研削量を全て測定して、研削量の少なかった基板160が配置されていた位置にあるエアシリンダ144に供給する圧縮空気の圧力を選択的に高めることができる。このようにすれば、研削量が少なかった基板160の配置されていた位置における次回の基板160の研削量を選択的に増やすことができる。すなわち、研削装置100は、複数の基板160を同時に研削しながら基板160の研削量を個別にフィードバック制御できる。
図3に示すように、基板160はその主表面(被研削面)がほぼ正方形であり、キャリア150は基板160を収容する基板収容孔151を9つ備えている。基板収容孔151の形状は、基板160の被研削面の形状とほぼ同じでもよい。しかし、本実施形態では、作業者が基板160を基板収容孔151に配置したり基板収容孔151から取り出したりするときの作業効率を考慮して、作業者の指や取り出し治具で基板160を容易に掴めるように、また、何らかの理由で基板160の角部がキャリアに強く接触した場合に角部が欠けないように、基板収容孔151の四隅に略円形の切欠きを設けている。また、基板収容孔151の四辺の中央部に矩形の切欠きを設けている。
キャリア150における基板収容孔151同士の間の距離を短くするほど、キャリア150により多くの基板収容孔151を設けることができる。しかし、この距離が短すぎると、上定盤140及び下定盤170がオービタル運動をしている間に、ダイヤモンドシート155、165が隣接する基板収容孔151に収容された基板160に接触するようになる。ダイヤモンドシート155、165が隣接する基板収容孔151に収容された基板160に接触するときには、先ずダイヤモンドシート155、165の研削面の端部と基板160の端部とが接触するため、ダイヤモンドシート155、165が摺接面プレート147及び下定盤170の上面から部分的に剥離する場合がある。そこで、ダイヤモンドシート155、165が本来担当するはずの基板160のみを研削するように、基板収容孔151同士の間の距離は設定される。
また、キャリア150は、基板160との接触によって基板160に傷を発生させないように、基板160よりも低硬度の材料を用いて作成される。このような低硬度の材料として、例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、シリコン樹脂、またはフッ素樹脂が挙げられる。また、キャリア150は、基板160とダイヤモンドシート155、165との接触を阻害しないように、基板160よりも薄く作成される。また、キャリア150は、その両方の端部152をスライド装置180及び固定プレート185で挟持されることによって固定されている。そして、キャリア150は、ダイヤモンドシート165と接しないように、スライド装置180及び固定プレート185によって両側から張力をか
けられている。
上定盤140及び下定盤170がオービタル運動をして基板160が研削されている間に、キャリア150は、このオービタル運動の周期より遅い周期で往復動作を行う。キャリア150がこのような往復動作を行うことにより、基板160の被研削面とダイヤモンドシート155、165の研削面との接触部位が徐々にずれていくため、研削後の基板160の被研削面にダイヤモンドシート155、165のうねり等の表面特性が転写され難くなる。したがって、キャリア150がこのような往復動作を行うことによって、研削後の基板160の表面平坦度を一層高めることができる。
図3に示すキャリア150の9つの基板収容孔151に全て基板160を収容したときにおける基板160と下定盤170の上面に取り付けられたダイヤモンドシート165との位置関係を図4に示す。なお、図4では、キャリア150が省略されており、ダイヤモンドシート165は点線で示されている。図4に示すように、基板収容孔151に基板160を配置した段階では、ダイヤモンドシート165の一部が基板160と接触しないように、基板収容孔151とダイヤモンドシート165との位置関係が設定されている。なお、図示していないが、基板160とダイヤモンドシート155との位置関係は、基板160とダイヤモンドシート165との位置関係と鏡像関係にある。
そして、ダイヤモンドシート155、165を基板160に接触させたまま上定盤140及び下定盤170にオービタル運動をさせることにより、基板160の両方の被研削面を同時に研削する。この研削時における基板160とダイヤモンドシート165との相対的な位置関係を図5に示す。図5では、(a)が図4に示す状態に対応し、(b)〜(e)が(a)の状態から下定盤170のオービタル運動の回転角を45°ずつ順に進めた状態を示す。図5(a)の状態では、ダイヤモンドシート165の一部が基板160と接触していないものの、下定盤170のオービタル運動が進むに従って、ダイヤモンドシート165の研削面の全体が基板160と接触している。このように、上定盤140及び下定盤170がオービタル運動をしている間に、ダイヤモンドシート155における基板160との接触面の全面と、ダイヤモンドシート165における基板160との接触面の全面とがそれぞれ基板160に接触することにより、ダイヤモンドシート155、165の研削面の全面が均等に磨耗するようになる。その結果、研削装置100によって研削する基板160の処理枚数が増えても、研削後の基板160の研削面の表面平坦度の劣化を抑制することができる。したがって、研削装置100によれば、ダイヤモンドシート155、ダイヤモンドシート165の表面平坦度を修正するための作業を減らすことができるため、その生産性を高めることができる。
上定盤140及び下定盤170がオービタル運動をしている間に、ダイヤモンドシート155における基板160との接触面の全面と、ダイヤモンドシート165における基板160との接触面の全面とが、接触するようにするには、基板160のダイヤモンドシート155、165が正方形である場合、以下の条件に適合するようにすると確実である。ダイヤモンドシート155、165の一辺の長さをLa、基板160の一辺の長さをLq、上定盤140及び下定盤170のオービタル運動の回転半径をRとしたとき、
Figure 0005411648
Figure 0005411648
の関係が成り立つように、Lq、La、Rをそれぞれ設定することが好ましい。
図4及び図5では、ダイヤモンドシート155、165における基板160の研削面の形状が基板160の被研削面と同一のほぼ正方形であり、さらにその大きさは基板160の被研削面の面積よりも小さい場合について示している。
本実施形態では、上定盤140のオービタル運動と下定盤170のオービタル運動とにおける回転半径、回転速度、及び回転方向が同じであるため、オービタル運動時において上定盤140の挙動は下定盤170の挙動と鏡像関係にある。そのため、基板160とダイヤモンドシート155との相対的な位置関係を図示すれば、図5(a)〜(e)の左右を反転させたものになる。このように、本実施形態では、上定盤140と下定盤170がオービタル運動時に鏡像関係を維持し続けるため、基板160におけるダイヤモンドシート155との接触部分とダイヤモンドシート165との接触部分とは、鉛直方向で対向していることになる。したがって、本実施形態では、上定盤140及び下定盤170がオービタル運動をしている間に、基板160の所定の範囲がダイヤモンドシート155、165によって上下方向から均等に押圧されることになるため、基板160がダイヤモンドシート155、165の間で上下方向に振動したりすることを防止できる。その結果、研削装置100を用いれば、基板160の研削時における研削むらの発生を防止することができる。
上定盤140及び下定盤170のオービタル運動は、その回転速度が20〜100rpmであることが好ましい。この回転速度が20rpmよりも遅ければ、基板160の研削に時間がかかりすぎるため、工業的生産に適さなくなる。一方で、この回転速度が100rpmを超えると、上定盤140及び下定盤170の挙動が不安定になる。
スライド装置180によるキャリア150の往復動作の振幅距離は、上定盤140及び下定盤170のオービタル運動の回転直径よりも小さく、かつ、その往復動作の速度は、オービタル運動時の上定盤140及び下定盤170の線速度よりも遅いことが好ましい。このようにキャリア150の往復動作が上定盤140及び下定盤170のオービタル運動よりも緩慢であることにより、研削時の基板160の挙動を安定させることができ、研削後の基板160の表面平坦度を高めることができる。
研削装置100は、エアシリンダ144に供給する圧縮空気の圧力を変えることにより、ダイヤモンドシート155、165の研削面が基板160の被研削面に接触する圧力を調節できる。この接触圧力は、0.1〜1MPaであることが好ましい。この接触圧力が0.1MPa未満であれば、基板160の研削に時間がかかりすぎるため、工業的生産に適さなくなる。一方で、この接触圧力が1MPaを超えると、ダイヤモンドシート155、160が基板160を挟む力が強すぎるため、基板160がダイヤモンドシート155、165に引きずられるようになり、基板160から受ける力によってキャリア150が破損し易くなる。
ダイヤモンドシート155、165は、シート状の母材にダイヤモンド砥粒を電着固定
したりレジンボンドやメタルボンドで固定したりしたものである。ダイヤモンドシート155、165は、一般的に、含有するダイヤモンド砥粒が大きくなるほど、単位時間当たりの基板の研削量が増えるものの、研削後における基板の被研削面の表面平坦度が悪化する。したがって、ダイヤモンドシート155、165の選定には、研削条件及び研削後の基板の表面平坦度を総合的に考慮する必要がある。例えば、石英ガラスからなる基板の両方の被研削面にダイヤモンドシート155、165を0.4MPaで押し当てながらこの基板を30分間で3mm研削する場合には、平均粒径が10〜100μmのダイヤモンド砥粒を含有するダイヤモンドシート155、165を使用することが好ましい。
ダイヤモンドシート155、165によって基板160を研削している間に、上定盤140及び下定盤170の内部に設置された研削液供給管(図示しない)を介して、ダイヤモンドシート155、165の中央部から基板160の被研削面上に研削液が常時供給され続ける。研削液には、純水やエタノールアミンに代表される水溶性研削油を使用してもよいが、単位時間当たりの基板160の研削量を増やすために、シリコンカーバイド、シリカ、酸化セリウム、またはアルミナ等の微粒子を含有するスラリーを使用することが好ましい。なお、これらのスラリーを使用する場合には、ダイヤモンドシート155、165による基板160の研削を阻害しないために、ダイヤモンドシート155、165に含まれるダイヤモンド砥粒よりも小さい粒径の微粒子を含むスラリーを使用することが好ましい。
また、上定盤140と下定盤170がオービタル運動をしている間において、ダイヤモンドシート155における基板160から瞬間的に離れている非接触面積の最大値が、ダイヤモンドシート155によって研削される基板160の被研削面の面積の10%以上であること、ならびにダイヤモンドシート165における基板160から瞬間的に離れている非接触面積の最大値が、ダイヤモンドシート165によって研削される基板160の被研削面の面積の10%以上であることが好ましい。さらには、これらの非接触面積の最大値は、基板160の被研削面の10〜40%であることが好ましい。本実施形態では、図5(a)、(c)、及び(e)の状態においてこの非接触面積が最大となる。この非接触面積の最大値が基板160の被研削面の面積の10%以上であれば、基板160の被研削面の全面にダイヤモンドシート155、165を確実に接触させることができる。一方で、この非接触面積の最大値が基板160の被研削面の面積の40%を超えれば、ダイヤモンドシート155、165の研削面の面積が基板160の被研削面の面積より小さいため、ダイヤモンドシート155、165が基板160の被研削面の中央部と接触しなくなることから、基板160の被研削面に研削むらが生じ易くなる。また、この非接触面積の最大値が基板160の被研削面の面積の40%を超えれば、ダイヤモンドシート155、165における基板160との非接触面にかかっている荷重が全て基板160の被研削面の外周部分にかかるため、その外周部分の研削量だけが増加して研削後の基板160の表面平坦度が悪化する問題が生じる。
研削装置100では固定砥粒を用いて基板160を研削するため、基板160の処理枚数が増えるに従って、ダイヤモンドシート155、166の研削面が磨耗していく。そこで、研削装置100では、基板160を所定枚数処理した後に、ダイヤモンドシート155とダイヤモンドシート165を直接擦り合わせることにより、これらの表面平坦度を回復させる。なお、この際には、前記上定盤140のオービタル運動と前記下定盤170のオービタル運動は、回転半径、回転速度、または回転方向のうち、少なくとも1以上の条件は異ならせる必要がある。したがって、本実施形態によれば、特許文献1に記載の技術に比べて、短時間でダイヤモンドシート155、165の表面平坦度を回復させることができる。なお、本実施形態では、上定盤140及び下定盤170がオービタル運動を行うため、特許文献1に記載の技術と比べて、ダイヤモンドシート155、165の表面平坦度が劣化し難い上に、ダイヤモンドシート155、165が摺接面プレート147及び下
定盤170の上面に接着剤で固定されているため、ダイヤモンドシート155、165を短時間で交換できる。
研削装置100によって所定の厚さまで研削された基板160は、その後、研磨パッドとコロイダルシリカ等の遊離砥粒を用いて、所望の表面平坦度となるまでその被研削面を研磨される。そして、研磨後の基板160を酸性溶液中に浸漬して洗浄した後に、その被研磨面上に転写パターン形成用の薄膜をスパッタリング等の気相法で形成することにより、マスクブランクが製造される。本発明のマスクブランクには、バイナリ型のマスクブランク、位相シフトマスクブランク、反射型マスクブランク、インプリントモールド作製基板、およびインプリントモールド作製用のマスクブランクが含まれる。
本発明にかかる転写パターン形成用の薄膜としては、例えば、金属、金属窒化物、金属酸化物、窒化シリコン、酸窒化シリコン、炭化シリコン、シリサイド、窒化シリサイド、酸化シリサイド、または炭化シリサイドからなる薄膜が挙げられる。さらに、この金属の例としては、クロム、タンタル、モリブデン、チタン、ハフニウム、タングステンが挙げられる。また、このシリサイドの例としては、シリコンとクロム、タンタル、モリブデン、チタン、ハフニウム、またはタングステンとの化合物が挙げられる。
このマスクブランクの転写パターン形成用の薄膜上に公知の手段によってレジスト膜を形成し、このレジスト膜に電子ビームまたは紫外線を露光して現像することにより、この薄膜に転写パターンを形成する。本発明にかかる転写用マスクには、例えば、バイナリ型マスク、位相シフトマスク、反射型マスク、インプリントモールド、及びレチクルが含まれる。
<実施例>
公知の方法により製造された合成石英インゴットから、板状ガラスを切り出し、面取り加工、従来の研削装置を用いた主表面の研削加工を行い、約152.1mm×152.1mm×6.87mmの合成石英からなるガラス基板50枚を得た。次に、前記の実施形態で示した研削装置100を用い、マスクブランク用ガラス基板の表裏の両主表面の最終の研削を行った。具体的には、以下の条件で行った。
[研削条件]
上定盤回転数:50rpm,下定盤回転数:50rpm
研削時間:10分 ,研削圧力:0.1MPa
キャリアへの基板の配置枚数:5枚
固定砥粒部:ダイヤモンドシート(2.5mm角、有効高さ800μmの
固定砥粒ユニットを1.5mm間隔でシートに貼り付けた構造),
1枚当たりの大きさ 140mm×140mm
10枚(5枚ずつ上下定盤に両面テープで貼り付け)
基板研削量:35μm
同一の固定砥粒部(ダイヤモンドシート)でガラス基板50枚の研削を行った。すなわち、研削工程を10バッチ(セット)行った。研削された各ガラス基板について、主表面の平坦度を、波長変長レーザーを用いた波長シフト干渉計により測定した。その結果について、図6に示す。図6では、同一バッチで研削した5枚の基板における主表面の平坦度の平均値を、1バッチ目、3バッチ目、6バッチ目、8バッチ目、10バッチ目で比較したものである。バッチが進むにつれて、平坦度の平均値が悪化するような傾向は見当たらず、固定砥粒部の研削面(定盤研削面)における平坦度の悪化を抑制できていることが確認できた。
また、最も平坦度の悪いガラス基板でも、0.921μmであり、同じ固定砥粒部を用いて、10セット研削しても、平坦度が1.0μm以下のガラス基板を製造することは十分可能であることが確認された。
<比較例>
図9に示されるような従来の基板を遊星歯車運動させて研削を行う研削装置の上定盤および下定盤の研削面の全面に、上記実施例で用いたものと同じダイヤモンドシートをそれぞれ貼り付けた研削装置を準備した。この研削装置を用い、実施例で最終研削したものと同じ素材・寸法のガラス基板50枚に対し、表裏の両主表面の最終の研削を行った。具体的には、以下の条件で行った。
[研削条件]
上定盤回転数:50rpm,下定盤回転数:50rpm
研削時間:10分 ,研削圧力:0.4MPa
キャリアへの基板の配置枚数:5枚
固定砥粒部:実施例と同構造のダイヤモンドシート(大きさ:定盤と同サイズ)
基板研削量:35μm
同一の固定砥粒部(ダイヤモンドシート)でガラス基板50枚の研削を行った。すなわち、研削工程を10バッチ(セット)行った。研削された各ガラス基板について、主表面の平坦度を、波長変長レーザーを用いた波長シフト干渉計により測定した。その結果について、図7に示す。図7では、実施例と同様、同一バッチで研削した5枚の基板における主表面の平坦度の平均値を、1バッチ目、3バッチ目、6バッチ目、8バッチ目、10バッチ目で比較したものである。バッチが進むにつれて、平坦度の平均値が悪化する傾向が顕著に表れた。また、基板主表面の平坦度の平均値も6バッチ目で早くも2μm弱にまで悪化しており、後工程である主表面の研磨工程では改善できない平坦度になってしまっている。これらの結果から、従来から用いられている研削装置の定盤研削面にダイヤモンドシートのような固定砥粒を貼り付けただけでは、前記の課題を解決できないことが明らかである。
<本発明の他の実施形態>
本発明の他の実施形態について、図面を適宜参照しながら詳細に説明する。
図8に、本実施形態にかかるキャリア600の平面図を示す。キャリア600は、研削装置100において、キャリア150の代わりに使用されるものである。キャリア600は、その中央部に5つの円形のアダプタ収容孔610、このアダプタ収容孔610に収容される5つのアダプタ620、このアダプタ620の中央部に形成された基板収容孔630、および両側の端部652を備えている。キャリア600は、キャリア150と同様に、端部652がスライド装置180及び固定プレート185に挟持されることよってスライド装置180に固定される。アダプタ620は、アダプタ収容孔610内に回転自在に収容されており、その中央部に基板160を収容するための基板160の被研削面と同じほぼ正方形の基板収容孔630を備えている。
本実施形態では、キャリア150の代わりにキャリア600を使用するため、ダイヤモンドシート155、165は摺接面プレート147及び下定盤170の上面に、基板収容孔630の位置に対応するように取り付けられる。具体的には、ダイヤモンドシート155、165は、基板160が基板収容孔630に配置された時に、図5(a)に示す基板160との位置関係になるように、摺接面プレート147及び下定盤170の上面に取り付けられる。
上定盤140及び下定盤170がオービタル運動をしている間は、基板160は、ダイヤモンドシート155、165から動力を得て、アダプタ620と共に基板収容孔630内を回転する。基板160が基板収容孔630内を回転することにより、基板160の被研削面とダイヤモンドシート155、165の研削面との接触部位が変化し易くなり、ダイヤモンドシート155、165の研削面のうねり等の表面特性が基板160の被研削面に転写され難くなるため、研削後の基板160の表面平坦度が一層高くなる。
ここで、アダプタ収容孔610の直径(内径)は、アダプタ620の直径(外径)よりも1〜10mm大きいことが好ましい。これらの直径の差が1mm未満の場合は、基板160の研削時に使用されるスラリーや研削時に発生する研削屑がアダプタ収容孔610とアダプタ620との間に堆積して、アダプタ収容孔610内でアダプタ620が回転し難くなる。一方で、これらの直径の差が10mmを超えると、アダプタ収容孔610とアダプタ620との遊びが大きくなりすぎて、研削時に基板160がダイヤモンドシート155、165に引きずられてアダプタ収容孔610内を動き回るため、単位時間当たりの基板160の研削量が低下してしまう。
<本発明のさらに他の実施態様>
本発明の各実施形態では、固定砥粒部としてダイヤモンドシート155、165を使用する場合について説明したが、本発明はこの場合に限定されるものではなく、シリコンカーバイド微粒子やアルミナ微粒子を砥粒として含有する固定砥粒部を使用してもよい。
また、本発明の各実施形態では、キャリア150に9つの基板収容孔151が、またキャリア600に5つのアダプタ収容孔610が設けられる場合について説明したが、本発明はこの場合に限定されるものではなく、それらの数を適宜増減することができる。
また、本発明の各実施形態では、上定盤140及び下定盤170のオービタル運動における回転半径、回転速度、及び回転方向が同じである場合について説明したが、本発明はこの場合に限定されるものではなく、上定盤140のオービタル運動における回転半径、回転速度、及び回転方向と、下定盤170のオービタル運動における回転半径、回転速度、及び回転方向と、をそれぞれ別々に設定してもよい。ここで、本発明の他の実施形態においては、上定盤140のオービタル運動と下定盤170のオービタル運動との回転方向が同じである場合には、基板160がダイヤモンドシート155、165に引きずられてしまい、基板160の被研削面とダイヤモンドシート155、165の研削面とが擦れ合い難くなってしまうため、単位時間当たりの基板160の研削量が減少する。そこで、本発明の他の実施形態においては、基板160がダイヤモンドシート155、165に引きずられることを防止するために、上定盤140のオービタル運動における回転半径、回転速度、及び回転方向を、下定盤170のオービタル運動における回転半径、回転速度、及び回転方向と一致しないように設定することが好ましい。特に、本発明の他の実施形態では、上定盤140のオービタル運動の回転方向を下定盤170のオービタル運動の回転方向と逆方向に設定することが好ましい。
本発明は、基板の被研削面を極めて平坦、かつ、平坦にできるため、マスクブランクス用基板の研削に限らず、磁気ディスク用基板の研削にも利用できる。
100 研削装置
110 フレーム
120 モータ
121 シャフト
130 偏心連結部
131 偏心シャフト
140 上定盤
141 軸受ユニット
142 空隙
143 通気管
144 エアシリンダ
145 押下板
146 面調節ユニット
147 摺接面プレート
149 筐体
150、600 キャリア
151、630 基板収容孔
152、652 端部
155、165 ダイヤモンドシート
170 下定盤
180 スライド装置
185 固定プレート
610 アダプタ収容孔
620 アダプタ

Claims (13)

  1. 砥粒が固定された固定砥粒部を備える上定盤と、砥粒が固定された固定砥粒部を備える下定盤と、前記上定盤及び下定盤の両固定砥粒部に基板を接触させつつ保持するキャリアと、を具備するマスクブランク用基板の製造装置を用い、
    前記上定盤と前記下定盤にオービタル運動をさせている間に、前記上定盤の固定砥粒部における前記基板との接触面の全面と、前記下定盤の固定砥粒部における前記基板との接触面の全面とを、前記基板の各被研削面に接触させることを特徴とするマスクブランク用基板の製造方法。
  2. 前記固定砥粒部は、ダイヤモンド砥粒が固定されたものであることを特徴とする請求項1に記載のマスクブランク用基板の製造方法。
  3. 前記上定盤のオービタル運動と前記下定盤のオービタル運動は、回転半径、回転速度、及び回転方向が同じであることを特徴とする請求項1または2に記載のマスクブランク用基板の製造方法。
  4. 前記キャリアは、前記上定盤と前記下定盤がオービタル運動をしている間に、往復動作することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のマスクブランク用基板の製造方法。
  5. 前記上定盤と前記下定盤がオービタル運動をしている間において、
    前記上定盤の固定砥粒部における前記基板から瞬間的に離れている非接触面積の最大値が、前記上定盤の固定砥粒部によって研削される前記基板の被研削面の面積の10%以上であり、
    前記下定盤の固定砥粒部における前記基板から瞬間的に離れている非接触面積の最大値が、前記下定盤の固定砥粒部によって研削される前記基板の被研削面の面積の10%以上である、ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のマスクブランク用基板の製造方法。
  6. 固定砥粒部の平坦度の修正を行うときは、前記上定盤の固定砥粒部の前記基板との接触面と前記下定盤の固定砥粒部の前記基板との接触面とを直接接触させて擦り合わせて行うことを特徴とする請求項1に記載のマスクブランク用基板の製造方法。
  7. 砥粒が固定された固定砥粒部を備え、オービタル運動を行う上定盤と、
    砥粒が固定された固定砥粒部を備え、オービタル運動を行う下定盤と、
    前記上定盤および下定盤の両固定砥粒部に基板を接触させつつ保持するキャリアと、を具備し、
    前記上定盤及び前記下定盤がオービタル運動をしている間に、
    前記上定盤の固定砥粒部における前記基板との接触面の全面と、前記下定盤の固定砥粒部における前記基板との接触面の全面とがそれぞれ、前記基板に接触することを特徴とするマスクブランク用基板の製造装置。
  8. 前記上定盤の固定砥粒部と、前記下定盤の固定砥粒部と、前記キャリアにおける前記基板を保持する貫通孔とが同数であることを特徴とする請求項7に記載のマスクブランク用基板の製造装置。
  9. 前記上定盤および下定盤の両固定砥粒部は、ダイヤモンド砥粒が固定されたものであることを特徴とする請求項7または8に記載のマスクブランク用基板の製造装置。
  10. 前記上定盤のオービタル運動と前記下定盤のオービタル運動は、回転半径、回転速度、及び回転方向が同じであることを特徴とする請求項7から9のいずれかに記載のマスクブランク用基板の製造装置。
  11. 前記キャリアは、前記上定盤と前記下定盤がオービタル運動をしている間に、往復動作することを特徴とする請求項7から10のいずれかに記載のマスクブランク用基板の製造装置。
  12. 請求項1から6のいずれかに記載のマスクブランク用基板の製造方法によって製造したマスクブランク用基板の主表面に精密研磨を行い、さらに前記主表面上に、転写パターン形成用の薄膜を形成することを特徴とするマスクブランクの製造方法。
  13. 請求項12に記載のマスクブランクの製造方法によって製造したマスクブランクにおける前記薄膜をパターニングして転写パターンを形成することを特徴とする転写用マスクの製造方法。
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