JP5410145B2 - 医療用成形品 - Google Patents

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Description

本発明は、プロピレン樹脂組成物およびその成形品に関し、さらに詳しくは剛性と耐衝撃性、透明性のバランスに優れ、かつ透析型人工腎臓装置承認基準のうち、透析液供給部及び透析液回路の品質及び試験法 1(2)を満足する医療用成形品に関する。
プロピレン系重合体は、その優れた安全衛生性や成形加工性、力学特性の特徴を生かし、各種の医療機器・器具に使用されている。特に近年、人工透析用部材としての利用が散見されるようになってきており、その用途向け材料開発が行われてきた(例えば、特許文献1参照。)。
腎臓の機能が低下すると、人工腎臓と呼ばれる装置で、血液から水分や老廃物を取り出すとともに、血液が酸性にならないような調節が行なわれる。一般に、これを人工透析と言う。その概念を図1に、血液をきれいにするダイアライザーの詳細を図2に示す。
図1及び2において、まず、透析を受ける人の腕1の血管に針を刺し、血液ポンプ3で連続的に血液を取り出す。この血液ポンプ3は、ローラーを柔らかいチューブ2に押しつけながら回転することによって血液を一方向へ送ることができる。また、血液をきれいにする部分が、ダイアライザー5と呼ばれる用具である。このダイアライザー5に空気が入ると効率が悪くなったり、透析を受ける人の安全を守るために、空気が入らないようにエアートラップ4と呼ばれる筒がダイアライザーの前後に取り付けられている。ダイアライザー5では、半透膜を介して、血液から過剰な水や老廃物を排出し、血液をきれいにすることができる。その際、コンソール6という調節装置によって、透析液が正確にダイアライザー5へ送られ、内部の水や老廃物が混じった透析液が外部へ運び出される。コンソール6にはいろいろな警報も付いており、安全に人工透析ができるようになっている。
ダイアライザー5は、長さが30cmほどの円筒状のプラスチック製容器で構成されており、その中に、半透膜であるホローファイバー11という極めて細い糸が1万本程度、該容器に対し平行に束ねて収められている。ホローファイバー11はマカロニのように中心部に穴があいており、その穴の中を血液が流れ、ホローファイバー11の外側を透析液が流れている。ホローファイバー11は水や老廃物を、透析液へと通すように作られているので、連続的に血液を送ることによって血液をきれいにすることができる。
また、ダイアライザー5は、円筒状の外筒12と外筒12に蓋をするためのヘッダー13とから構成されている。両側のヘッダー13同士は、ホローファイバー11と結合しており、一方のヘッダー13の血液流入口7から血液が流れ込み、ホローファイバー11の中を血液が流れる際、血液中の水や老廃物がホローファイバー11の外側である透析液へ排出され、その後、もう一方のヘッダー13の血液流出口8から血液が流れ出る構造となっている。また、外筒12には、透析液の流入口9と透析液の流出口10が設けられており、ダイアライザー5内に透析液を循環させることにより水や老廃物を取り出す構造となっている。
現在、人工透析用部材であるこの様なダイアライザーの外筒やヘッダー部分は、ポリカーボネート(以下、PCと言う場合もある。)を素材とするものが主流である(例えば、特許文献2、3参照)。PCは、透明性や耐衝撃性に優れているため、ダイアライザーが稼動中、内部の状態が見えやすく安心して使用できる点、運搬や使用時において壊れ難いという点で優位な素材である。しかし、その反面、PCは、成形する前に乾燥工程を必要とするため作業効率が悪かったり、融点が高いため成形温度が高くエネルギー効率が悪いといった問題や、原料に起因する化学物質の溶出による悪影響や、高価格であるという問題も含んでいた。そのため、PCに代わる、優れた耐衝撃性、透明性および成形性を有し、透析型人工腎臓装置承認基準のうち、透析液供給部及び透析液回路の品質及び試験法 1(2)を満足し得る素材が望まれているのが現状であった。
人工透析用部材は、使い捨ての注射筒などと異なり、血液と長い時間接触する為、滑剤などの溶出する成分が含まれていると好ましくなく、透析型人工腎臓装置承認基準を満足する必要がある
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、透析型人工腎臓装置承認基準のうち、透析液供給部及び透析液回路の品質及び試験法 1(2)を満足し、かつ、耐衝撃性、透明性、成形性に優れた医療用成形品を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究の結果、特定のプロピレン系重合体を基材とし、特定の造核剤を用いたプロピレン系樹脂組成物は、透析型人工腎臓装置承認基準のうち、透析液供給部及び透析液回路の品質及び試験法 1(2)を満足し、優れた耐衝撃性、透明性および成形性を有する医療用成形品として好適であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、プロピレン系重合体(a)と密度が0.880〜0.910g/cm のポリエチレン(b)とのMFR比(ポリエチレン(b)のMFR/プロピレン系重合体(a)のMFR)が0.1〜1.0であり、プロピレン系重合体(a)60〜99重量部とポリエチレン(b)1〜40重量部から成る重合体混合物100重量部に対して、下記化学構造式(1)で示される造核剤(A)が0.1〜0.6重量部配合されているプロピレン系樹脂組成物からなり、放射線滅菌されていることを特徴とする医療用成形品が提供される。

[但し、nは、0〜2の整数であり、R1〜R5は、同一または異なって、それぞれ水素原子もしくは炭素数が1〜20のアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、カルボニル基、ハロゲン基およびフェニル基であり、R6は、炭素数が1〜20のアルキル基である。]
本発明の第の発明によれは、第1の発明においてポリエチレン(b)が、メタロセン触媒を用いて重合され、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が3.5未満であることを特徴とする医療用成形品が提供される。
本発明の第の発明によれば、第1もしくは第2の発明において重合体混合物100重量部に対し、滑剤が0.001〜0.5重量部の範囲で配合されたものであることを特徴とする医療用成形品が提供される。
本発明の第の発明によれば、第1〜のいずれかの発明において医療用成形品が、人工透析用部材であることを特徴とする医療用成形品が提供される。
さらに第の発明によれば、第の発明において、人工透析用部材が、ダイアライザーの外筒、ヘッダーおよび/またはキャップであることを特徴とする医療用成形品が提供される。
本発明の医療用成形品は、好ましくは特定の重合体混合物を基材とし、特定の造核剤を特定量用いたプロピレン系樹脂組成物からなり、透析型人工腎臓装置承認基準のうち、透析液供給部及び透析液回路の品質及び試験法 1(2)を満足し、かつ、耐衝撃性、透明性、成形性に優れたものであり、従来のポリカーボネート(PC)に比べて成形加工性に優れ、低い成形温度によって得ることができる。
人工透析の概念図である。 ダイアライザーの要部断面図である。
本発明は、プロピレン系重合体(a)とポリエチレン(b)とのMFR比(ポリエチレン(b)のMFR/プロピレン系重合体(a)のMFR)が0.05〜1.2であり、プロピレン系重合体(a)60〜99重量部とポリエチレン(b)1〜40重量部から成る重合体混合物100重量部に対し、特定の造核剤(A)を0.1〜0.6重量部配合し、かつ放射線滅菌されていることを特徴とする医療用成形品である。
以下、プロピレン系樹脂組成物を構成する成分、樹脂組成物の製造方法、及び医療用成形品について詳細に説明する。
[1]プロピレン系樹脂組成物を構成する成分
1.プロピレン系重合体(a)
本発明に用いられるプロピレン系重合体(a)は、プロピレン単独重合体であっても、プロピレン系共重合体であっても、あるいはこれらの混合物であってもよいが、放射線滅菌される場合、放射線照射後の物性保持性と透明性の観点から、ランダム共重合体が望ましい。
プロピレン系共重合体は、プロピレンとα−オレフィンとの共重合体であり、ランダム共重合体であってもブロック共重合体であってもどちらでも良いが、透明性の観点から、ランダム共重合体が望ましい。共重合に用いられるα−オレフィンは、プロピレンを除く炭素数2〜20のα−オレフィンがあげられ、例えばエチレン、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1等を例示できる。プロピレンと共重合されるα−オレフィンは一種類でも二種類以上用いてもよい。このうちエチレン、ブテン−1が好適である。より好ましくはエチレンが好適である。
具体的な共重合体の例を挙げると、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−エチレン−ジエン共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−ヘキセン−1共重合体、プロピレン−オクテン−1共重合体等を例示できる。このうちプロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体が特に好ましい。プロピレンと共単量体であるα−オレフインの量の構成割合は、重量比で70〜99/30〜1であることが好ましい。通常は、α−オレフィン量は、0.05〜10.0重量%、好ましくは0.1〜5.0重量%程度が好ましい。勿論重合段階で、EPRのようなゴム成分をソフトセグメントとして、ポリプロピレン主体の結晶相からなるハードセグメントへ導入した、いわゆるポリプロピレン系重合体アロイも使用できる。
プロピレン系重合体(a)、共重合体(a)のガラス転移温度は、−100〜20℃のものが挙げられる。
また、このようなプロピレン系重合体(a)は、二種以上混合して使用してもよい。
本発明で用いられるプロピレン系重合体(a)は、230℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレート(MFR)が、0.3〜100g/10分が望ましい。MFRがこの範囲にあると、樹脂組成物の剛性と耐衝撃性、成形温度に由来する高生産速度に適した樹脂組成物を与え、MFRが0.3g/10分未満では、成形が困難になり、一方、100g/10分を超えると、医療用成形品として良好な耐衝撃性が得られなくなる恐れがある。
ここで、230℃におけるMFRは、JIS K7210に準拠して230℃、2.16kg荷重下で測定する値である。
該プロピレン系重合体(a)として、プロピレン単独重合体を用いる場合のアイソタクチックペンタッド分率(mmmm)は、90%以上、好ましくは94%以上、より好ましくは97%以上が望ましい。アイソタクチックペンタッド分率(mmmm)が90%未満では、剛性および熱変形温度の低下に起因し、成形時に成形品が変形しやすくなる恐れがあり、逆に立体規則性が向上するほど、剛性や耐熱性も向上し、成形品の変形を防ぐことができる。
ここで、アイソタクチックペンタッド分率(mmmm)は13C−NMR法で測定する値である。
該プロピレン系重合体(a)として、プロピレンランダム共重合体(以下、ランダム共重合体ということがある。)を用いる場合の、ランダム共重合体中に占めるα−オレフィン量は、0.1〜10.0重量%が好ましい。0.1重量%未満だと透明性が不十分であり、かつ放射線滅菌処理した後の物性低下が著しくなる恐れがある。逆に10.0重量%を超えると、結晶性を示さなくなるので、剛性低下が著しく、医療用成形品として適さなくなる。
ここで、α−オレフィン含有量は、13C−NMRにより組成を検定したプロピレン共重合体を基準物質としてIR法で測定する値である。
また、本発明で好ましく用いられるランダム共重合体は、示差走査型熱量計のより得られる融解温度(ピーク値)が155℃以下であることが好ましく、より好ましくは125〜150℃である。融解温度(ピーク値)が155℃を超えると、超音波溶着法で外筒とヘッダーなどの部材を接合させることが困難となる。
ここで、示差走査型熱量計のより得られる融解温度(ピーク値)は、JIS K7121の「プラスチックの転移温度測定方法」に準拠し、測定する値である。
該プロピレン系重合体(a)として、ポリプロピレンセグメントとプロピレン共重合体セグメントとからなるプロピレン系ブロック共重合体(以下、ブロック共重合体ということがある。)を用いる場合、ブロック共重合体中に占めるポリプロピレンセグメントが70〜99重量%で、プロピレン共重合体セグメントが1〜30重量%が好ましく、ポリプロピレンセグメントが86〜98重量%で、プロピレン共重合体セグメントが2〜14重量%がより好ましい。この範囲にあると機械物性、耐衝撃性の観点から医療用成形品として適している。
この時、ポリプロピレンセグメントのアイソタクチックペンタッド分率(mmmm)は、90%以上、好ましくは94%以上、より好ましくは97%以上が望ましい。アイソタクチックペンタッド分率(mmmm)が90%未満では成形時に成形品が変形しやすくなる。
ここで、アイソタクチックペンタッド分率(mmmm)は13C−NMR法で測定する値である。
また、該プロピレン系重合体(a)として、α−オレフィン−プロピレン共重合体を1段目に重合した後、α−オレフィン含有量の異なるα−オレフィン−プロピレン共重合体を2段目に重合したプロピレン系ブロック共重合体(以下、これも含めてブロック共重合体ということがある。)であっても差し支えない。
ブロック共重合体に含まれる全α−オレフィン含有量は、0.5〜12重量%が好ましく、2〜9重量%がより好ましい。また、α−オレフィンとしては、エチレンが好ましい。α−オレフィン含有量がこの範囲内にあると、得られる樹脂組成物が耐衝撃性に適している。全α−オレフィン含有量が0.5重量%未満であると医療用成形品として耐衝撃性が不十分であり、12重量%を超えると剛性が不十分となる。
ここで、α−オレフィン含有量は、13C−NMRにより組成を検定したプロピレン共重合体を基準物質としてIR法で測定する値である。
プロピレン系重合体の製造方法としては、特に限定されないが、立体規則性触媒を使用する重合法が好ましい。立体規則性触媒としては、チーグラー触媒やメタロセン触媒などが挙げられる。
チーグラー触媒としては、三塩化チタン、四塩化チタン、トリクロロエトキシチタン等のハロゲン化チタン化合物、前記ハロゲン化チタン化合物とハロゲン化マグネシウムに代表されるマグネシウム化合物との接触物等の遷移金属成分とアルキルアルミニウム化合物又はそれらのハロゲン化物、水素化物、アルコキシド等の有機金属成分との2成分系触媒、更にそれらの成分に窒素、炭素、リン、硫黄、酸素、ケイ素等を含む電子供与性化合物を加えた3成分系触媒が挙げられる。
メタロセン触媒としては、(i)シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期表第4族の遷移金属化合物(いわゆるメタロセン化合物)と、(ii)メタロセン化合物と反応して安定なイオン状態に活性化しうる助触媒と、必要により、(iii)有機アルミニウム化合物とからなる触媒であり、公知の触媒はいずれも使用できる。メタロセン化合物は、好ましくはプロピレンの立体規則性重合が可能な架橋型のメタロセン化合物であり、より好ましくはプロピレンのアイソ規則性重合が可能な架橋型のメタロセン化合物である。
(i)メタロセン化合物としては、例えば、特開昭60−35007号、特開昭61−130314号、特開昭63−295607号、特開平1−275609号、特開平2−41303号、特開平2−131488号、特開平2−76887号、特開平3−163088号、特開平4−300887号、特開平4−211694号、特開平5−43616号、特開平5−209013号、特開平6−239914号、特表平7−504934号、特開平8−85708号の各公報に開示されている。
更に、具体的には、メチレンビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン1,2−(4−フェニルインデニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(4−メチルシクロペンタジエニル)(3−t−ブチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(2−メチル−4−t−ブチル−シクロペンタジエニル)(3’−t−ブチル−5’−メチル−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−フェニルインデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[4−(1−フェニル−3−メチルインデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(フルオレニル)t−ブチルアミドジルコニウムジクロリド、メチルフェニルシリレンビス[1−(2−メチル−4,(1−ナフチル)−インデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−ナフチル−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリレンビス[1−(2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−(3−フルオロビフェニリル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルゲルミレンビス[1−(2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルゲルミレンビス[1−(2−エチル−4−フェニルインデニル)]ジルコニウムジクロリドなどのジルコニウム化合物が例示できる。上記において、ジルコニウムをチタニウム、ハフニウムに置き換えた化合物も同様に使用できる。場合によっては、ジルコニウム化合物とハフニウム化合物等の混合物を使用することもできる。また、クロリドは他のハロゲン化合物、メチル、イソブチル、ベンジル等の炭化水素基、ジメチルアミド、ジエチルアミド等のアミド基、メトキシ基、フェノキシ基等のアルコキシド基、ヒドリド基等に置き換えることが出来る。
これらの内、インデニル基あるいはアズレニル基を珪素あるいはゲルミル基で架橋したメタロセン化合物が好ましい。
また、メタロセン化合物は、無機または有機化合物の担体に担持して使用してもよい。該担体としては、無機または有機化合物の多孔質化合物が好ましく、具体的には、イオン交換性層状珪酸塩、ゼオライト、SiO、Al、シリカアルミナ、MgO、ZrO、TiO、B、CaO、ZnO、BaO、ThO、等の無機化合物、多孔質のポリオレフィン、スチレン・ジビニルベンゼン共重合体、オレフィン・アクリル酸共重合体等からなる有機化合物、またはこれらの混合物が挙げられる。
(ii)メタロセン化合物と反応して安定なイオン状態に活性化しうる助触媒としては、有機アルミニウムオキシ化合物(たとえば、アルミノキサン化合物)、イオン交換性層状珪酸塩、ルイス酸、ホウ素含有化合物、イオン性化合物、フッ素含有有機化合物等が挙げられる。
(iii)有機アルミニウム化合物としては、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、ジアルキルアルミニウムハライド、アルキルアルミニウムセスキハライド、アルキルアルミニウムジハライド、アルキルアルミニウムハイドライド、有機アルミニウムアルコキサイド等が挙げられる。
プロピレン系重合体(a)の製造方法としては、上記触媒の存在下に、不活性溶媒を用いたスラリー法、溶液法、実質的に溶媒を用いない気相法や、あるいは重合モノマーを溶媒とするバルク重合法等が挙げられる。
例えば、スラリー重合法の場合には、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の不活性炭化水素又は液状モノマー中で行うことができる。重合温度は、通常−80〜150℃であり、好ましくは40〜120℃である。重合圧力は、1〜60気圧が好ましく、また得られるプロピレン系重合体の分子量の調節は、水素もしくは他の公知の分子量調整剤で行うことができる。重合は連続式又はバッチ式反応で行い、その条件は通常用いられている条件でよい。さらに重合反応は一段で行ってもよく、多段で行ってもよい。
また、プロピレン系重合体(a)に、メタロセン触媒を用いて製造した重合体を配合する場合、プロピレン系重合体(a)は、メタロセン触媒を用いて製造したものである方が、相溶性が良く、より好ましい。
2.ポリエチレン(b)
本発明に用いられるポリエチレン(b)は、材料のモルフォロジーを変化させ、透明性、低臭気性、剛性および低異物出現性を保持したまま、さらに耐衝撃性を向上させることができる。
このようなポリエチレン(b)は、密度が0.875〜0.920g/cm、好ましくは0.880〜0.910g/cmであるポリエチレンが望ましく、エチレン単独重合体でも構わないが、ポリエチレン(b)の30wt%以下、好ましくは15〜25wt%の範囲で、他のα−オレフィンを共重合させたものを用いると、耐衝撃性が良好となる。他のα−オレフィンの例としては、プロパン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン等を挙げることができる。
具体的なポリエチレン(b)の共重合体は、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ペンテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−3−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−1−ヘプテン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体、エチレン−1−デセン共重合体等を挙げることができる。
ポリエチレン(b)のガラス転移温度(Tg)は−130〜10のものが使用できるが、一般には、プロピレン系重合体(a)よりかなり低いので、これをプロピレン系重合体(a)へブレンドして、透明性を維持しつつ放射線照射後の耐衝撃性を改良するという試みが為されているが、期待以上の成果を達成できなかった。しかし、本発明の造核剤の併用はそのブレンド効果を助長するにおいて優れた効果が期待できる。
ポリエチレン(b)の190℃におけるMFRは、1〜60g/10分、好ましくは2〜40g/10分である。この範囲にあると、樹脂組成物を構成するプロピレン系重合体(a)とポリエチレン(b)との混合具合が良く、透明性に優れたバランスのとれた樹脂組成物を得ることができる。ポリエチレン(b)のMFRが1g/10分未満、または60g/10分を超えると、プロピレン系重合体(a)への分散が悪くなり、安定した組成物が得られなくなる。
ここで、190℃におけるMFRは、JIS K7210に準拠して190℃、2.16kg荷重下で測定した値である。
また、分子量分布の幅の指標である(重量平均分子量)/(数平均分子量)の値は、7.0未満が良く、好ましくは3.5未満で、更に好ましくは3.0未満であると、医療用成形品として剛性と耐衝撃性の物性バランスが良好となる。
ここで、(重量平均分子量)/(数平均分子量)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で定義されるものである。Mw/Mnの測定方法は、以下の通りである。
装置:ウオーターズ社製GPC 150C型
検出器:MIRAN 1A赤外分光光度計(測定波長、3.42μm)
カラム:昭和電工社製AD806M/S 3本
[カラムの較正は、東ソー製単分散ポリスチレン(A500,A2500,F1,F2,F4,F10,F20,F40,F288の各0.5mg/ml溶液)の測定を行い、溶出体積と分子量の対数値を2次式で近似した。]
測定温度:140℃
注入量:0.2ml
濃度:20mg/10mL
溶媒:オルソジクロロベンゼン
流速:1.0ml/min
また、試料の分子量は、ポリスチレンとポリエチレンの粘度式を用いて、ポリエチレンに換算した。ここでポリスチレンの粘度式の係数は、α=0.723、logK=−3.967であり、ポリエチレンは、α=0.723、logK=−3.407である。
また、ポリエチレン(b)をプロピレン系重合体(a)に混合する際、ポリエチレン(b)とプロピレン系重合体(a)とのMFR差が小さくなるほど、ポリエチレン(b)は、プロピレン系重合体(a)に微分散されたマトリックスとして存在する傾向があり、透明性が良好となるので望ましい。
具体的には、ポリエチレン(b)のMFR/プロピレン系重合体(a)のMFR比は、0.05〜1.2が好ましく、0.1〜1.0がさらに好ましい。この範囲は、本発明の医療用成形品としての透明性、異物の混入、臭気防止などの機能を適正に発現するためにおいても有意義であることが予測される。
また、ポリエチレン(b)の密度は、0.875〜0.920g/cm、好ましくは0.880〜0.910g/cmである。密度が0.875g/cm未満であると、ポリプロピレン(a)に配合した場合剛性と透明性が不十分となり、一方、0.920g/cmを超えると、透明性が著しく悪化する恐れがある。プロピレン系重合体(a)に対し、ポリエチレン(b)を配合すると、透明性を悪化させる傾向にあるが、プロピレン系重合体(a)との密度差が小さいもの及びポリエチレン(b)とプロピレン系重合体(a)のMFR比(ポリエチレン(b)のMFR/プロピレン系重合体(a)のMFR)が0.5に近いポリエチレン(b)を用いると、透明性悪化傾向を緩和させることができ、耐衝撃性を向上させることができる。
ここで、密度は、JIS K7112に準拠して測定する値である。
このようなポリエチレン(b)は、オレフィンの立体規則性重合触媒を用い、分子量調整を図りつつ、エチレンおよび必要に応じて他のα−オレフィンを共存させて重合することによって、製造することができる。具体的には、ポリエチレン(b)は、オレフィンの立体規則性重合触媒として、チーグラー触媒、フィリップス触媒、メタロセン触媒等の触媒を使用して、気相法、溶液法、高圧法、スラリー法等のプロセスで、エチレンと、必要に応じてプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン等のα−オレフィンとを共重合させて、製造することができるが、特に、(重量平均分子量)/(数平均分子量)を小さく、密度を低くするには、オレフィンの立体規則性重合触媒として、メタロセン触媒を用いて、高圧法、又は溶液法で製造されることが望ましい。
また、本発明に用いられるポリエチレン(b)は、本発明の効果を損なわない範囲で、1種または2種以上組み合わせて使用することができる。
このようなポリエチレン(b)は、市販品として、日本ポリエチレン(株)製のノバテックLLシリーズやハーモレックスシリーズ、カーネルシリーズ、三井化学(株)製のタフマーPシリーズやタフマーAシリーズ、(株)プライムポリマー製のエボリューシリーズ、住友化学(株)製のスミカセンE、EPシリーズ、エクセレンGMHシリーズなどが例示できる。
また、メタロセン触媒を用いて重合されたポリエチレン(b)としては、日本ポリエチレン(株)製のハーモレックスシリーズ、カーネルシリーズ、プライムポリマー製のエボリューシリーズ、住友化学(株)製のエクセレンFXシリーズ等が例示できる。
3.プロピレン系重合体(a)とポリエチレン(b)との配合割合
本発明において用いられる重合体混合物における、プロピレン系重合体(a)とポリエチレン(b)との配合割合は、プロピレン系重合体(a)が60〜99重量部、ポリエチレン(b)が40〜1重量部であり、好ましくは、プロピレン系重合体(a)が60〜99重量部、好ましくは80〜95重量部、ポリエチレン(b)が40〜1重量部、好ましくは20〜5重量部である。この範囲内であると、放射線照射後の耐衝撃性が優れる樹脂組成物となる。通常、ポリプロピレン系重合体(a)へポリエチレン(b)を、例えば20重量%混合したブレンド系混合物で見れば、混合物を溶融冷却すれば、まず融点の高いポリプロピレン系重合体(a)が結晶化し、次いで融点の低いポリエチレン(b)が結晶化する。そうすると、ポリプロピレン重合体(a)相に、ポリエチレン(b)が分離析出した、いわゆる海島構造になることが考えられる。そうすると、相分離構造になり、一方で、ポリプロピレン系重合体(a)球晶の発達を許すことにもなる。散乱、屈折による不透明になることも懸念されるが、さらには、異物の存在、臭気発生の原因になることが予測されるが、本発明の造核剤は、冷却条件にあまり左右されること無く、比較的高い温度領域で結晶化が開始され、多くの結晶発生核があるために、極端に大きな球晶が不規則に成長するというよりは、むしろ、多くの球晶が小さくなり、しかも均一になると推定できるが、そのメカニズムは詳細には解からない。このように、本発明の造核剤なるものは、ポリプロピレン系重合体(a)ばかりでなく、ポリプロピレン系重合体(a)にポリエチレン(b)を配合したブレンド系、ポリマーアロイにおいても有効に機能するといえる。
定量的な表示で説明をすることが難しいが、ポリエチレン(b)のMFR/プロピレン系重合体(a)のMFR比は、一応0.01〜3.0と広範囲に設定はできるが、好ましくは0.05〜1.2の範囲に、さらに好ましくは、0.1〜1.0と設定したことにより、ポリエチレン(b)とプロピレン系重合体(a)のMFRが非常に近接していることになり、その組成物の加工性が同じ状態にあるために有利であることが期待される。例えば、重合体のMFRの大小の傾向は、重合体の分子量の大小にも連動する傾向を示しており、重合体の融点の高低にも若干連動することも予想される。
例えば、(1)MFR:6g/10分のプロピレン系重合体(a)(PP)80重量部と、MFR:4g/10分のポリエチレン(b)(PE)を20重量部の重合体混合物の仕様のものと、(2)MFR:6g/10分のプロピレン系重合体(a)80重量部と、MFR:15g/10分のポリエチレン(b)を20重量部の重合体混合物の仕様のものとでは、前者の(1)の重合体混合物の方がMFRが分子量に代わる加工性の目安であるから、MFRが4、6という点で近接するばかりでなく、MFRの若干連動する分子量、融点も(1)の仕様に比べて近接するので、加工性においては勿論のこと、両重合体(a)(b)であるPP,PEの結晶化温度もより接近するので、PPとPEの結晶化開始温度の違いに起因する、まず、融点の高いPPが結晶化が開始して、次いでマトリックスの系がPEの結晶化温度の下がった状態になってから開始する為に、PPマトリックス中にPEが相分離した状態で配置されるということが若干是正されるために、微細結晶が安定に多く発生することが予測される。
このようなベスト仕様のプロピレン系樹脂組成物であるから、上記化学構造式(1)で示される造核剤(A)を0.1〜0.6重量部配合することだけで、非常に優れた透明性(ヘーズ)が達成できると予測される。
透明性(ヘイズ)という点で見れば、造核剤(A)を、0.2重量部より、多めに、0.4重量部配合することが有利であるが、造核剤(A)を、0.15、0.2、0.31、0.4、0.5、0.65、0.8、1.0、1.5重量部と単調に配合量を増加することが望まれるが、加工性の面から配慮しないと、加工における造核剤(A)の分解、揮発、アルデヒドなどの変性物などにより、臭気が発生して問題になる。しかし、本発明のポリエチレン(b)のMFR/プロピレン系重合体(a)のMFR比は、一応0.01〜3.0と広範囲に設定はできるが、好ましくは0.05〜1.2の範囲に、さらに好ましくは、0.1〜1.0という範囲にあるというような、重合体混合物に対する加工性の面からも配慮している為に有意であるとともに、特定仕様の重合体混合物であるから、造核剤(A)を0.1〜0.6重量部配合というように、比較的少量の配合量で透明性が達成できるという、両者が密接に関連することにより相乗的な作用を奏していることが予測できる。
本発明の特定仕様の重合体混合物の、特に造核剤(A)を0.1〜0.6重量部配合するという、比較的少量配合したにもかかわらず、特定の本発明の重合体混合物に対する結晶化温度を上げるために、成形サイクルをあげるというようなことも考えられるが、通常の成形加工の段階で、透明な成形物が容易に成形できるばかりでなく、これを医療用成形品として使用した場合に、例えば、造核剤(A)のブルーミングによる衛生、健康被害に対応ができるからである。また、医療用成形として、医療現場における長期的な使用において予期し得ない問題も発生する可能性もあるが、通常の医療現場の使用方法は、医療現場における、医療用成形品の、特に人工透析用モジュールなどの成形品においては放射線滅菌、医療用成形の煮沸殺菌、マイクロ波滅菌など、非常に過酷な環境に放置する場合があるということであるから、医療現場の環境汚染に対する配慮も必要になる。通常の医療用成形品では、医療用成形品の熱変形、寒冷地における落下などに対応した低温耐衝撃性も要求されるが、本発明の医療用成形品は十分に対応できる性質を備えている。
本発明の医療用成形品は、例えば重合体混合物に造核剤(A)を0.2重量部程度配合すれば、熱変形温度が、無添加の場合に、110〜120℃のものが、120〜130℃と向上することが予測される。曲げ弾性率においても造核剤(A)無添加の1000(MPa)程度のものが、20〜50%程度向上する。さらに、剛性に於いても向上するので、機械的特性も向上した医療用成形品となるので、例え薄肉成形品にしても、所定の性能、特性を備えているので、有利である。重合体混合物による仕様は、結晶部と非結晶部の境界部の屈折率の違いに起因する乱反射によるものが考えられるが、ポリエチレン(b)をメタロセン触媒を使用したものを使用すれば、より好ましい対応ができる。
特に医療用成形品に放射線滅菌を、場合によってはマイクロ波、煮沸などをした場合にも、若干の重合体混合物の劣化、架橋、変性、悪臭などの発生が想定されるが、本発明の製品は、透明性、機械的特性、および造核剤の耐ブルーミング、抗アルデヒド分解性などの衛生性も維持するという点からも、医療用材料として性能を備えている。
放射線滅菌後の医療用成形品の変化を見ても、透明性(ヘイズt=2mm)においては、殆ど変化が無く、IZOD衝撃(23℃ KJ/m)においても、若干低下する程度である。同様に熱変形温度(HDT0.45MPa)においても、放射線滅菌前後では極端な低下が見られない。しかし、重要なことは、造核剤の分解、長期保管した医療用成形品からのブルーミングが無いということは、本発明の用途をより確実なものにしている。
このようにプロピレン系重合体(a)とポリエチレン(b)との重合体混合物に於いて示す、後述する造核剤(A)を添加することによる作用効果の機能の発現は、プロピレン系重合体(a)、ポリエチレン(b)の本来有する結晶化などの固有の特性にもよるだろうが、ポリエチレン(b)のMFR/プロピレン系重合体(a)のMFR比は、0.05〜1.2が好ましく、0.1〜1.0というような特定量比にしたことにより有利に発現することが予測される。同様に、重合体混合物を構成する両者の関係として、混合量の割合をプロピレン系重合体(a)60〜99重量部、ポリエチレン(b)40〜1重量部という特定な範囲において、プロピレン系重合体(a)、およびポリエチレン(d)のMFR比を特定な範囲に選定したが故に適正に発現することが予測される。このMFR比を特定な範囲にしたということは、溶融混合性、加工性においてもほぼ共通する有利な条件を有することが予測されるばかりでなく、MFR比は、融点の異なるこのような二種類の樹脂混合物に起因して発生する結晶化温度の違いに基づいて発生する挙動の変化を是正していることも予測される。いずれにせよ、本発明においては、後述する造核剤(A)の透明性、造核剤機能を最も効果的に発現させるためにも、二種類の特定割合の重合体混合物において、上記のMFR比の範囲が最も効果的に機能するということであり、このような複合原因の副次的作用効果は、一元的に予測することができないが、本発明者らの知見に基づくものである。
さらに、ポリエチレン(b)の分子量分布(Mw/Mn)を、3.5未満とすることは、オリゴマー、低分子量含有量が少なく、べたつきがなく、成形時の臭気発生防止、成形品に悪臭、味覚に影響する溶出性物質の混入量が少ないというような公知の理由ばかりでなく、後述する造核剤(A)の特有の、透明性、剛性、耐衝撃性などの機能を発現するに於いて、非常に有利に作用するということである。
このような、プロピレン系重合体(a)、プロピレン系重合体(a)とポリエチレン(b)との重合体混合物に対して、後述する造核剤(A)を添加した場合において、加工時の高温において、造核剤の揮発、分解、偏りなどがなく、均一に分散するという親和性を有するということであり、樹脂の密接な関連性を有する非常に効果的に造核剤である。
本発明に用いられる重合体混合物には、プロピレン系重合体(a)およびポリエチレン(b)以外に、本願効果を阻害しない範囲で、他の重合体を配合してもよい。
4.造核剤(A)
本発明に用いられる造核剤(A)には、特に限定はないが、一般式(1)で示される化合物であり、中でも、一般式(2)で示される化合物が好ましく、化学構造式(3)で示される化合物がより好ましい。

[但し、nは、0〜2の整数であり、R1〜R5は、同一または異なって、それぞれ水素原子もしくは炭素数が1〜20のアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、カルボニル基、ハロゲン基およびフェニル基であり、R6は、炭素数が1〜20のアルキル基である。]

[但し、nは、0〜2の整数であり、R1、R2、R4、R5は水素原子であり、R3は、水素原子もしくは炭素数が1〜20のアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、カルボニル基、ハロゲン基およびフェニル基であり、R6は、炭素数が1〜20のアルキル基である。]
この様な造核剤としては、市販のものを用いることができる。具体的には、ミリケン(株)社製NX8000Jを挙げることができる。
本発明に用いられる造核剤(A)は、得られる成形品に優れた透明性を与え、溶出性が極めて少ないという特性を有する造核剤である。
本発明に用いられる造核剤(A)の配合量は、重合体混合物100重量部に対し、0.1〜0.6重量部であり、好ましくは0.2〜0.5重量部である。0.1重量部未満では十分な効果が得られ難く、0.6重量部以上を用いると、さらなる性能の向上が期待できないばかりか溶出しやすくなり、好ましくない。
本発明には、造核剤(A)以外に、他の造核剤として、ソルビトール系造核剤、有機リン酸塩系造核剤および芳香族燐酸エステル類、タルクなど既知の造核剤を添加することができ、造核剤の組み合わせ次第で相乗効果を期待できる場合がある。
5.中和剤
本発明においては、中和剤を配合することが望ましい。中和剤の具体例としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの金属脂肪酸塩、ハイドロタルサイト(商品名:協和化学工業(株)の下記一般式(9)で表されるマグネシウムアルミニウム複合水酸化物塩)、ミズカラック(下記一般式(10)で表されるリチウムアルミニウム複合水酸化物塩)などが挙げられる。特に、プレフィルドシリンジ、キット製剤、輸液バッグなど長期接液する部材として用いる場合には、接触する液体に溶出しないハイドロタルサイトやミズカラックが有利である。
Mg1−xAl(OH)(COx/2・mHO …(9)
[式中、xは、0<x≦0.5であり、mは3以下の数である。]
[AlLi(OH)X・mHO …(10)
[式中、Xは、無機または有機のアニオンであり、nはアニオン(X)の価数であり、mは3以下である。]
中和剤の配合量は、重合体混合物100重量部に対し、0.005〜0.2重量部の範囲が好ましく、0.01〜0.05重量部の範囲がより好ましい。
6.滑剤
本発明においては、滑剤を配合することが望ましい。滑剤としては、既知の滑剤が挙げられるが、ステアリン酸ブチルやシリコーンオイルが好ましい。具体的なシリコーンオイルとしては、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルヒドロジエンポリシロキサン、α−ωビス(3−ヒドロキシプロピル)ポリジメチルシロキサン、ポリオキシアルキレン(C〜C)ジメチルポリシロキサン、ポリオルガノ(C〜Cのアルキル基および/またはフェニル基)シロキサンとポリアルキレン(C〜C)グリコールの縮合物などが挙げられる。この中でもジメチルポリシロキサンとメチルフェニルポリシロキサンが好ましい。該滑剤は単独、又は複数用いても構わない。
ジメチルポリシロキサンなどのシリコーンを添加した場合、成形時に発生する傷を防止するだけでなく、シリンダー内やホットランナー内で発生する焼けを防止することができる。
滑剤の配合量は、重合体混合物100重量部に対し、0.001〜0.5重量部が好ましく、0.01〜0.15重量部がより好ましく、0.03〜0.1重量部が特に好ましい。0.001重量部未満では効果が期待できず、一方、0.5重量部を超えると、更なる効果が期待できないばかりか経済的に好ましくない。
7.その他の添加剤
本発明においては、上述した成分に加えて、プロピレン系重合体の安定剤などとして使用されている各種酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の添加剤を配合することができる。
具体的には、酸化防止剤としては、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−フォスファイト、ジ−ステアリル−ペンタエリスリトール−ジ−フォスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−フォスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジ−フォスフォナイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジ−フォスフォナイト等のリン系酸化防止剤、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)]メタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ハイドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ハイドロキシベンジル)イソシアヌレート等のフェノール系酸化防止剤、ジ−ステアリル−β,β’−チオ−ジ−プロピオネート、ジ−ミリスチル−β,β’−チオ−ジ−プロピオネート、ジ−ラウリル−β,β’−チオ−ジ−プロピオネート等のチオ系酸化防止剤等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等の紫外線吸収剤等が挙げられる。
光安定剤としては、n−ヘキサデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピぺリジル)セバケート、コハク酸ジメチル−2−(4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジル)エタノール縮合物、ポリ{[6−〔(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ〕−1,3,5−トリアジン−2,4ジイル]〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕}、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス〔N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ〕−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物等の光安定剤を挙げることができる。
さらに、放射線処理で変色がなく耐NOxガス変色性が良好な下記一般式(5)や下記一般式(6)で表されるアミン系酸化防止剤、5,7−ジ−t−ブチル−3−(3,4−ジ−メチル−フェニル)−3H−ベンゾフラン−2−オン等のラクトン系酸化防止剤、下記一般式(7)等のビタミンE系酸化防止剤を挙げることができる。
但し、放射線滅菌を行うにあたり、放射線滅菌後の着色の観点から、一般にフェノール系酸化防止剤は、添加しない方が好ましく、通常は、リン系酸化防止剤0.01〜0.2重量%(例えば旭電化工業(株)製 アデガスタブ2112)とヒンダードアミン系紫外線安定剤(略称はHALSで、例えばチバスペシャリティケミカルズ(株)製 TINUVIN622LD)0.01〜0.2重量%を組み合わせた処方で、放射線照射に対応させる。
また、人工透析用部材の1つであるダイアライザーの外筒とヘッダーとをレーザー溶着法により接合させる場合、溶着を容易にさせるために、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、顔料および有機染料などを配合しても良い。
なかでも、レーザー溶着させるためには、有機染料(クウォータルイミド)が好適であり、重合体混合物100重量部に対し、0.0001〜0.05重量部の範囲で用いられるのが望ましい。この様な有機染料としては、市販のものを用いることができる。具体的には、BASF社製Lumogen IR 788を挙げることができる。
さらに、その他に、帯電防止剤、スリップ剤、脂肪酸金属塩等の分散剤、高密度ポリエチレン、オレフィン系エラストマー、非オレフィン系エラストマー等を本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。
[2]プロピレン系樹脂組成物の製造方法
本発明に用いられるプロピレン系樹脂組成物は、プロピレン系重合体(a)、ポリエチレン(b)および造核剤(A)、または、必要に応じてポリエチレン(b)や他の添加剤とを、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、リボンブレンダー等に投入して混合した後、通常の単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、プラベンダー、ロール等で190〜260℃の温度範囲で溶融混練することにより得ることができる。
[3]医療用成形品
本発明の医療用成形品は、上記プロピレン系樹脂組成物を、公知の方法である射出成形法、押出成形法、ブロー成形法など各種成形法によって、成形することにより得られる。
本発明の医療用成形品としては、ディスポーザブルシリンジ及びその部品、カテーテル・チューブ、輸液バッグ、血液バッグ、真空採血管、手術用不織布、血液用フィルター、血液回路などのディスポーザブル器具や、人工肺、人工肛門などの人工臓器類の部品、プレフィルドシリンジ、キット製剤、薬剤容器、試験管、縫合糸、湿布基材、歯科用材料の部品、整形外科用材料の部品、コンタクトレンズのケース、PTP(PRESS THROUGH PACKAGE)、SP(STRIP PACKAGE)・分包、Pバイアル(プラスチックバイアル)、目薬容器、薬液容器、液体の長期保存容器、キャップなどを挙げることができる。また、特に透析型人工腎臓装置承認基準のうち、透析液供給部及び透析液回路の品質及び試験法 1(2)を満足するため人工透析用部材、詳しくはダイアライザーの外筒やヘッダー、及びその関連部材に適している。
本発明の医療用成形品は、放射線滅菌が施されたものである。放射線としては、γ線や電子線を挙げることができ、本発明の医療用成形品には、1〜50KGyの照射が行われていることが好ましく、5〜30KGyの照射がされていることがより好ましい。要求される殺菌の程度や成形時の環境などによるが、照射量が1KGy未満では、十分な効果が得られ難く、一方、50KGyを超えて用いると、放射線照射後の物性低下が著しくなり、良好な製品が得られなくなる恐れがある。
また、特に、医療用成形品は使用時に損傷すると人体に多大なる悪影響を及ぼす危険性を有しているため、耐衝撃性に優れていることが望まれる。JIS K7110の「プラスチック−アイゾット衝撃強さの試験方法」に準拠して23℃で測定したアイゾット衝撃値が放射線照射前で2.0kgf/cm以上あることが好ましく、2.5kgf/cm以上であることがより好ましい。アイゾット衝撃値が2.0kgf/cm未満であると、製品の使用時や運搬等の際に破損する可能性が高くなり、好ましくない。
以下、実施例により、本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例で用いた物性値の測定法、評価法、樹脂および添加剤は、以下の通りである。
1.物性値の測定法、評価法
(1)曲げ弾性率:
JIS K7203の「硬質プラスチックの曲げ試験方法」に準拠して23℃で測定した(単位:MPa)。この数値が高い程、得られた成形品は、剛性に優れる。曲げ弾性率は、700以上あることが望ましく、700以上あれば製品として充分な実用強度を持つ。
(2)アイゾット衝撃強度(IZOD衝撃):
ノッチ付きの試験片を用い、23℃にて、JIS K7203に準じて測定した(単位:KJ/m)。この数値が高い程、得られた成形品は、耐衝撃性に優れる。アイゾット衝撃強度は、3以上であることが望ましく、5以上であることがさらに望ましい。アイゾット衝撃強度が5以上であると、製品として極めて優れた耐衝撃性を持つ。
(3)ヘイズ値:
厚さ1mmのシート片を用いて、JIS K7105に準拠して測定した。この数値が小さい程、得られた成形品は、透明性に優れる。ヘイズ値は、15以下であることが望ましく、10以下であることがさらに望ましい。ヘイズ値が10以下であると、製品として極めて透明性に優れたものとなる。
(4)荷重たわみ温度(熱変形温度:HDT):
JIS K7207に準拠して荷重0.45MPaにて測定した。この温度が高い程、得られた成形品は、耐熱性に優れる。
(5)臭気評価
悪臭防止法に基づく臭気試験で使用される臭い袋に成形品を入れ、活性炭を通した無臭空気で臭い袋内部の空気を置換した後、密封し、室温23±2℃、湿度50±5%の条件下で1週間保存した。その後、JIS Z9080に準拠して下記に示す5段階尺度にて臭気強度の評価を行った。
1:全く臭いを感じない。
2:かすかに臭いを感じる。
3:普通に臭いを感じる。
4:かなり臭いを感じる。
5:非常に強く臭いを感じる。
(6)透析型人工腎臓装置への適合性:
透析型人工腎臓装置承認基準のうち、透析液供給部及び透析液回路の品質及び試験法 1(2)に従って、測定を実施した。なお、溶出試験結果の基準は、以下の通りである。
(i)外観:無色燈明、異物なし
(ii)あわだち:3分以内に消失
(iii)pH:ブランクとの差が1.5以下
(iv)亜鉛:標準溶液以下
(v)過マンガン酸カリウム還元性物質:標準溶液との過マンガン酸カリウム消費量の差1.0ml以下
(vi)蒸発残留物:1.0mg以下
(vii)紫外吸収スペクトル:0.1以下
尚、放射線滅菌処理を実施した人工透析部材は、70℃の温度下で溶出試験を実施した。
2.樹脂、添加剤
プロピレン系重合体(a)
(a−1)エチレン−プロピレンランダム共重合体:MFR(JIS K7210、230℃、2.16kg荷重)30g/10分、エチレン含有量3.4wt%(日本ポリプロ(株)社製ノバテックMX03EQ)
(a−2)プロピレン単独重合体:MFR(JIS K7210、230℃、2.16kg荷重)11g/10分、立体規則性97%(日本ポリプロ(株)社製ノバテックMA3)
(a−3)メタロセン系エチレン−プロピレンランダム共重合体:MFR(JIS K7210、230℃、2.16kg荷重)30g/10分、エチレン含有量0.7wt%(日本ポリプロ(株)社製ウインテックWMG03P)
ポリエチレン(b)
(b−1)メタロセン系ポリエチレン:密度(JIS K7112)0.898g/cm、MFR(JIS K7210,190℃、2.16kg荷重)2.2g/10分、(Mw/Mn)2.2。(日本ポリエチレン(株)社製カーネルKF262)
(b−2)メタロセン系ポリエチレン:密度(JIS K7112)0.905g/cm、MFR(JIS K7210、190℃、2.16kg荷重)12g/10分、(Mw/Mn)2.2。(日本ポリエチレン(株)社製カーネルKS571)
(b−3)メタロセン系ポリエチレン:密度(JIS K7112)0.885g/cm、MFR(JIS K7210、190℃、2.16kg荷重)32g/10分、(Mw/Mn)2.2。(日本ポリエチレン(株)社製カーネルKJ650T)
(b−4)メタロセン系ポリエチレン:密度(JIS K7112)0.913g/cm、MFR(JIS K7210、190℃、2.16kg荷重)2.4g/10分、(Mw/Mn)2.2。(日本ポリエチレン(株)社製カーネルKF271)
(b−5)メタロセン系ポリエチレン:密度(JIS K7112)0.877g/cm、MFR(JIS K7210、190℃、2.16kg荷重)3.7g/10分、(Mw/Mn)2.2。(日本ポリエチレン(株)社製カーネルKS341T)
(b−6)メタロセン系ポリエチレン:密度(JIS K7112)0.906g/cm、MFR(JIS K7210、190℃、2.16kg荷重)1g/10分、(Mw/Mn)2.2。(日本ポリエチレン(株)社製ハーモレックスNF324)
(b−7)メタロセン系ポリエチレン:密度(JIS K7112)0.880g/cm、MFR(JIS K7210、190℃、2.16kg荷重)50g/10分、(Mw/Mn)2.2。(日本ポリエチレン(株)社製カーネルKJ740T)
(b−8)メタロセン系ポリエチレン:密度(JIS K7112)0.921g/cm、MFR(JIS K7210、190℃、2.16kg荷重)2.5g/10分、(Mw/Mn)2.2。(日本ポリエチレン(株)社製カーネルKF283)
(b−9)メタロセン系ポリエチレン:密度(JIS K7112)0.870g/cm、MFR(JIS K7210、190℃、2.16kg荷重)2.2g/10分、(Mw/Mn)2.2。(日本ポリエチレン(株)社製カーネルKS330T)
(A−1)ミラッドNX8000:(NX8000;ミリケン・アンド・カンパニー社製):造核剤(A)相当品:下記化学構造式(3)

(A−2)アデカスタブNA21((株)ADEKA社製):有機リン酸金属塩化合物系透明化核剤:本発明範囲外の透明化造核剤
(A−3)ゲルオールMD(新日本理化(株)社製):ジメチルベンジリデンソルビトール系透明化核剤:本発明範囲外の透明化造核剤
(B−1)ヒンダードフェノール系酸化防止剤:イルガノックス1010(IR1010;チバ社製)。テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシルフェニル)プロピオネート]メタン。
(B−2)リン系酸化防止剤:イルガフォス168(IF168;チバ社製)。トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェノール)フォスファイト。
(B−3)ヒンダードアミン系酸化防止剤:コハク酸ジメチル・1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物
(B−4)ヒドロキシルアミン系酸化防止剤:イルガスタブFS042(FS042;チバ社製):N、N−ジオクタデシルハイドロキシアミン。
(B−5)ステアリン酸カルシウム(CAST;日本油脂(株)社製)
(B−6)シリコーンオイル:Dowcorning360Medical Fluid(シリコーン)−100(東レ・ダウコーニング(株)社製)
[実施例1〜実施態様1〜5、比較例1〜、参考例1〜
ポリエチレン(b)の密度が0.880〜0.910g/cm の範囲以外のもの、およびMFR比(ポリエチレン(b)のMFR/プロピレン系重合体(a)のMFR)が0.1〜1.0の範囲以外のものを、
[参考実施態様1,2,3,4,5](態様1〜5)として示す。
重合体および添加剤を表1に記載の配合割合(重量部)で準備し、スーパーミキサーでドライブレンドした後、35ミリ径の2軸押出機を用いて溶融混練した。ダイ出口部温度220℃でダイから押し出しペレット化した。得られたペレットを射出成形機により、樹脂温度250℃、射出圧力900kg/cm及び金型温度40℃で射出成形し、試験片を作成した。得られた試験片を用い、物性を測定した。それらの評価結果を表1に示す。
表1から明らかなように、参考実施態様1は、エチレン−プロピレンランダム共重合体(a−1)にポリエチレン(b−1)を配合した本発明範囲のプロピレン系樹脂組成物であり、透明性、低臭気性、機械物性のバランスも優れ、かつ透析型人工腎臓装置の関連部材への適合性を有していることがわかる。
実施例は、プロピレン系単独重合体(a−2)にポリエチレン(b−1)を配合した本発明範囲内のプロピレン系樹脂組成物であり、剛性と耐熱性が極めて向上し、かつ透析型人工腎臓装置の関連部材への適合性を有していることがわかる。
参考実施態様2は、参考実施態様1で用いたエチレン−プロピレンランダム共重合体(a−1)に対し、リエチレン(b−1)を多量に配合した本発明範囲のプロピレン系樹脂組成物であり、極めて優れた耐衝撃性を有する成形品が得られることがわかる。
実施例は、参考実施態様1で用いたエチレン−プロピレンランダム共重合体(a−1)に対し、ポリエチレン(b−2)を配合したMFR比が0.55である本発明範囲内のプロピレン系樹脂組成物であり、透明性が極めて良好な成形品を得られることがわかる。
参考実施態様3は、参考実施態様1で用いたエチレン−プロピレンランダム共重合体(a−1)に対し、ポリエチレン(b−3)を配合したMFR比が1.07である本発明範囲のプロピレン系樹脂組成物であり、優れた耐衝撃性を有する成形品が得られることがわかる。
参考実施態様4は、参考実施態様1で用いたエチレン−プロピレンランダム共重合体(a−1)に対し、密度が0.913g/cmのポリエチレン(b−4)を配合した本発明範囲のプロピレン系樹脂組成物であり、優れた耐衝撃性を有する成形品が得られることがわかる。
参考実施態様5は、参考実施態様1で用いたエチレン−プロピレンランダム共重合体(a−1)に対し、密度が0.877g/cmのポリエチレン(b−5)を配合した本発明範囲のプロピレン系樹脂組成物であり、優れた耐衝撃性を有する成形品が得られることがわかる。
実施例は、実施例で用いたプロピレン系樹脂組成物において、酸化防止剤としてヒンダートフェノールが配合されていない本発明範囲内のプロピレン系樹脂組成物である。
実施例は、酸化防止剤をヒンダートフェノールからヒンダートアミンに変更した配合であり、酸化防止剤をヒンダートアミンにしても透明性や機械物性の優れたものが得られていることがわかる。
また、実施例は、実施例の酸化防止剤の組み合わせにヒドロキシルアミンを追加した配合であり、酸化防止剤にヒドロキシルアミンを組み合わせても透明性や機械物性の優れたものが得られていることがわかる。
実施例は、実施例で用いたプロピレン系樹脂組成物において、滑剤であるシリコーンオイルを追加した配合であり、この程度の量のシリコーンオイルの追加ならば透明性や機械物性が損なわれず、優れたものが得られるということがわかる。
実施例は、メタロセン系エチレン−プロピレンランダム共重合体(a−3)に対し、ポリエチレン(b−2)を配合したMFR比が0.55である本発明範囲内のプロピレン系樹脂組成物であり、機械物性と耐衝撃性のバランスに優れ、かつ耐熱性と透明性が極めて良好な透析型人工腎臓装置の関連部材への適合性を有する成形品を得られることがわかる。
一方、比較例1は、実施例で用いたエチレン−プロピレンランダム共重合体(a−1)に対し、MFR比が0.03となるポリエチレン(b−6)を配合した本発明範囲外のプロピレン系樹脂組成物であり、比較例2は、実施例で用いたエチレン−プロピレンランダム共重合体(a−1)に対し、MFR比が1.67となるポリエチレン(b−7)を配合した本発明範囲外のプロピレン系樹脂組成物である。用いるプロピレン系重合体(a)とポリエチレン(b)のMFR比が本発明範囲を外れるほど透明性の悪化が激しくなることがわかる。
比較例3〜5は、プロピレン系重合体にポリエチレンが配合されていない本発明範囲外のプロピレン系樹脂組成物である。
比較例3はエチレン−プロピレンランダム共重合体(a−1)に改質剤(A−1)を配合したものであり、透明性には優れるが放射線照射後の耐衝撃性が著しく低下していることがわかる。
比較例4はプロピレン単独重合体(a−2)に改質剤(A−1)を配合したものであり、放射線照射後の耐衝撃性が著しく低下していることがわかる。
比較例5はメタロセン系エチレン−プロピレンランダム共重合体(a−3)に改質剤(A−1)を配合したものであり、放射線照射後の耐衝撃性が著しく低下していることがわかる。
比較例6〜8は、本発明で用いられる造核剤(A)が配合されていない本発明範囲外のプロピレン系樹脂組成物である。比較例6は造核剤(A)が配合されていないプロピレン系樹脂組成物であり造核剤(A)を配合しないと透明性が極めて劣ることがわかる。比較例7は、造核剤(A)の代わりに、一般的に好んで用いられている造核剤であるゲルオールMDを用いたものであるが、臭気が悪く、また参考実施態様1と比較すると透明性が劣ることが分かる。比較例8は造核剤(A)の代わりに、ゲルオールMDと同様に一般に好んで用いられている造核剤であるアデカスタブNA21を用いたもので、参考実施態様1と比較すると透明性が劣ることが分かる。
比較例9は、参考実施態様1で用いたエチレン−プロピレンランダム共重合体(a−1)に対し、ポリエチレン(b−1)を過剰に配合したプロピレン系樹脂組成物であり、過剰にポリエチレン(b)を配合すると、耐衝撃性が向上することがわかる。しかし、その反面、曲げ弾性率が700未満になり剛性がきわめて低下し、十分な機械的強度を得られないことがわかる
参考例1は、参考実施態様1で用いたエチレン−プロピレンランダム共重合体(a−1)に対し、密度が0.921g/cmのポリエチレン(b−8)を配合したプロピレン系樹脂組成物であり、参考例2は、参考実施態様1で用いたエチレン−プロピレンランダム共重合体(a−1)に対し、密度が0.870g/cmのポリエチレン(b−9)を配合したプロピレン系樹脂組成物である。用いるプロピレン系重合体(a)との密度差が大きくなるほど透明性の悪化が激しくなることがわかる。
本発明の医療用成形品は、透析型人工腎臓装置承認基準のうち、透析液供給部及び透析液回路の品質及び試験法 1(2)を満足し、かつ、耐衝撃性、透明性、成形性に優れたものであることがわかる。また、本発明の医療用成形品は、放射線滅菌処理が行われているが、滅菌処理による物性低下が少ない。さらに、ダイアライザーの外筒やヘッダーに関しては、その優れた透明性から、使用時の内部状態を外部からはっきりと観察することができ、溶出特性にも優れていることから、人工透析用として、安心して実用することができる。
1 透析を受ける人の腕
2 チューブ
3 血液ポンプ
4 エアートラップ
5 ダイアライザー
6 コンソール
7 血液流入口(キャップあり)
8 血液流出口(キャップあり)
9 透析液流入口(キャップあり)
10 透析液流出口(キャップあり)
11 ホローファイバー
12 ダイアライザーの外筒
13 ダイアライザーのヘッダー
特開2008−255325 特開2002−219169号公報 国際公開99/64506号パンフレット

Claims (5)

  1. プロピレン系重合体(a)と密度が0.880〜0.910g/cm のポリエチレン(b)とのMFR比(ポリエチレン(b)のMFR/プロピレン系重合体(a)のMFR)が0.1〜1.0であり、プロピレン系重合体(a)60〜99重量部とポリエチレン(b)1〜40重量部から成る重合体混合物100重量部に対して、下記化学構造式(1)で示される造核剤(A)が0.1〜0.6重量部配合されているプロピレン系樹脂組成物からなり、放射線滅菌されていることを特徴とする医療用成形品。

    [但し、nは、0〜2の整数であり、R1〜R5は、同一または異なって、それぞれ水素原子もしくは炭素数が1〜20のアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、カルボニル基、ハロゲン基およびフェニル基であり、R6は、炭素数が1〜20のアルキル基である。]
  2. ポリエチレン(b)が、メタロセン触媒を用いて重合され、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が3.5未満であることを特徴とする請求項に記載の医療用成形品。
  3. 重合体混合物100重量部に対し、滑剤が0.001〜0.5重量部の範囲で配合されたものであることを特徴とする請求項1もしくは請求項2に記載の医療用成形品。
  4. 医療用成形品が、人工透析用部材であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の医療用成形品。
  5. 人工透析用部材が、ダイアライザーの外筒、ヘッダーおよび/またはキャップであることを特徴とする請求項に記載の医療用成形品。
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