JP5408226B2 - シールリング付シェル型ニードル軸受の製造方法 - Google Patents
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円周方向に亙って複数のポケットを有する保持器と、
前記軌道面に沿って転動自在となるように、前記各ポケット内に保持される複数のニードルと、
前記シェルの内側或は外側で、前記保持器の端面と前記フランジ部との間に設けられる断面略長方形の円筒形状の金属製シールリングと、
を備えるシールリング付シェル型ニードル軸受の製造方法であって、
前記シールリングはフローティングシールを構成し、
前記シールリングの成形ステップが、
金属板を打ち抜く事により円輪状の第一予備中間素材とする第一工程と、
この第一予備中間素材の内径寄り部分を軸方向に直角に折り曲げるバーリング加工を施す事により、円筒状部及びこの円筒状部の軸方向一端部から径方向外方に折れ曲がった外向鍔部を備えた、断面L字形で全体が円環状の第二予備中間素材とする第二工程と、
この第二中間素材の外向鍔部を除去して円筒状の第一中間円筒状素材とする第三工程と、
冷間ローリング加工によりこの第一中間円筒状素材の内外径及び断面形状を整えて、必要とする形状精度及び寸法精度を有する高精度リングとする第四工程とを備えたことを特徴とするシールリング付シェル型ニードル軸受の製造方法。
前記第一中間円筒状素材は、前記冷間ローリング加工により、断面形状が前記ダイスの内周面と前記凹溝の内面とに合致するように、塑性変形されることを特徴とする(1)から(3)のいずれかに記載のシールリング付シェル型ニードル軸受の製造方法。
この加工方法の場合には、先ず、図2の(A)に示す様な、素材となる、軟鋼板、ステンレス鋼板等の金属板1にピアス加工を施して、図2の(B)に示す様な、円孔2を有する第一予備中間素材3を得る。次いで、この第一予備中間素材3に、この円孔2の周囲を上記金属板1に対し直角に、全周に亙って折り曲げるバーリング加工を施す事により、図2の(C)に示す様な、円筒状部4を有する第二予備中間素材5とする。この円筒状部4の容積、特に軸方向長さは、造るべきシールリングの容積、特に軸方向長さよりも大きくしている。
図3〜7は、第2例の加工方法を示している。本例の場合、図3の(A)→(G)に示す工程を順次行なう事で、金属板1をシールリング34に加工する。この工程に就いては、第1例の加工方法の場合と実質的に同じである。又、本例の場合も、上述した図2の(H)に示した様な、再扱き工程を行なう事もできる。本例の特徴は、上記金属板1として、図示しないアンコイラから送り出されて、やはり図示しないリコイラに巻き取られる、長尺なものを使用し、上記図3の(A)→(G)に示す工程を、順送により行なえる様にした点にある。即ち、上記長尺な金属板1を、加工の進行に同期させて、各工程を行なう為に隣接して配置した加工装置同士の間隔に見合うピッチで(間隔/ピッチ=整数)間欠的に送りつつ、上記図3の(A)→(G)に示す工程を順次行なう様にしている。
チ13により上記第一中間円筒状素材6を、上記ダイス14内に押し込み、この第一中間円筒状素材6を、上記金属板1から切り離す様に構成している。又、上記ダイス14の内径側に、上方に向いた弾力を付与された押し戻し型15を設けて、上記第一中間円筒状素材6に上方に向く弾力を付与できる様にしている。但し、上記押し戻し型15は、上面中央部に設けた衝合ブロック16と上記パンチ13の下端面との衝合に基づき、このパンチ13の下降時には、下方に退避する様にしている。
戻し工程は、図7の(A)→(C)に示した順番に行なう。先ず、図7の(A)に示す様に、前記第二の円孔10の内側に保持された状態の上記第一中間円筒状素材6を上記受型18の上端部内側に内嵌し、その下端面を上記リングパンチ19の上端縁に突き当てる。次いで、図7の(B)に示す様に、上記加工機を構成するラム23と共に、上記扱きダイス20と、上記押し戻し型22とを下降させて、この扱きダイス20の下面で上記金属板1を下方に押し下げ、上記第一中間円筒状素材6を上記第二の円孔10から上方に抜き出し、上記リングパンチ19により、上記扱きダイス20の内径側に送り込む。この様にして扱きダイス20の内径側に送り込まれた上記第一中間円筒状素材6の内径側には、上記ラム23と共にこの扱きダイス20が更に下降するのに伴って、上記扱きパンチ21が押し込まれる。この結果、上記第一中間円筒状素材6の内径が所定寸法に規制されると共に、余肉部が内周面上端部に集められて、内周面上端部に余肉鍔部7{図3(F)}を形成した、上記第二中間円筒状素材8とされる。この様にしてこの第二中間円筒状素材8を形成した後、上記ラム23と共に上記扱きダイス20を上昇させると、この扱きダイス20に押されて下降していた上記金属板1が、上記受型18と共に上昇すると同時に、上記押し戻し型22が上記扱きダイス20に対して下降する。この際にこの押し戻し型22は、上記第二中間円筒状素材8の上端部内周面に形成されたばかりの、前記余肉鍔部7{図3の(F)参照}を下方に押圧するので、上記第二中間円筒状素材8が上記第二の円孔10内に押し込まれ、この第二の円孔10の内側に保持される。
図8は、第3例の加工方法を示している。本例の場合には、図8の(F)に示した扱き工程及び嵌め戻し工程で、第二円筒状中間素材8を金属板1の第二の円孔10から抜き出して再び嵌め込む方向が、この金属板1に対して、上述した第2例の加工方法の場合とは、上下逆になっている。この方向を逆にするのに伴って、図6〜7に示した加工装置の構成を異ならせる事は勿論である。その他の部分の構成に就いては、上述した第2例の加工方法と同様であるから、重複する説明は省略する。
図9は、第4例の加工方法を示している。本例の場合には、図9の(C)に示したバーリング加工工程の次に、図9の(D)に示した、切り離し工程及び戻し工程を設定している。その他の部分の構成に就いては、上述した第2例の加工方法と同様であるから、重複する説明は省略する。要するに、本発明を実施する場合に、切り離し工程は、上記バーリング加工工程の後であれば、加工作業の容易さ、加工精度の確保等を考慮して、任意のタイミングに設定できる。
本例のシールリングの加工方法は、先ず、アンコイラから引き出した長尺な金属板を、プレス等により円形に打ち抜き加工する事により、図10の(A)に示す様な金属板1を形成する。
溝42が、全周に亙って形成されている。この凹溝42の断面形状は矩形で、軸方向に関する幅寸法は、上記造るべきシールリング34の幅寸法に一致している。又、上記押圧ローラ41の径方向に関する、上記凹溝42の深さは、上記造るべきシールリング34の厚
さ寸法以下としている。上記第一中間円筒状素材6を上記シールリング34に加工する際には、この様な押圧ローラ41を上記ダイス40の内周面に、自転させつつ押し付ける。そして、このダイス40の内周面と上記凹溝42の内面との間で、上記第一中間円筒状素材6の円周方向の一部を強く抑え付ける。
「第一工程」:金属板を打ち抜く事により円輪状の第一予備中間素材3とする。
「第二工程」:この第一予備中間素材3の内径寄り部分を軸方向に直角に折り曲げるバーリング加工を施す事により、円筒状部4及びこの円筒状部4の軸方向一端部から径方向外方に折れ曲がった外向鍔部9を備えた、断面L字形で全体が円環状の第二予備中間素材5とする。
「第三工程」:この第二予備中間素材5の外向鍔部9を除去して、円筒状の第一中間円筒状素材6とする。
「第四工程」:冷間ローリング加工によりこの第一中間円筒状素材6の内外径及び断面形状を整えて、必要とする形状精度及び寸法精度を有するシールリング34とする。尚、この形状精度には、断面形状に関する精度は勿論、真円度等、全体形状に関する精度も含む。
図14〜16は、第6例の加工方法を示している。上述の第5例の場合、得られるシールリング34の断面形状の四隅部(内外両周面の軸方向両端縁)が尖っていた(当該部分の断面形状の曲率半径が極端に小さかった)。これに対して本例の場合には、断面形状の四隅部を凸円弧面とする(隅Rを形成する)事を意図している。内周縁の軸方向両端縁の隅Rに関しては、上述した第5例の加工方法でも、押圧ローラ41の外周面に形成した凹溝42の底面隅部に隅Rを設ければ(底面隅部の断面形状を凹円弧面とすれば)形成できる。これに対して、外周面の軸方向両端縁の隅Rをダイスの内周面の形状のみで造ると、完成後のシールリングを当該ダイスの内周面から取り出せなくなる。
次に、シールリングに耐摩耗処理を行う第7例の加工方法について説明する。第1例〜第6例の加工方法によって加工されたシールリング34は、焼入れ、焼戻しなどの熱処理に伴う変形を避けるため、プレス成形後に熱処理などの処理が施されておらず、金属板を加工することによる加工硬化(第1〜4例の加工方法においてはプレス加工による加工硬化、第5、6例の加工方法においてはプレス加工に加え、更に冷間ローリング加工による加工硬化)が予期される。加工硬化であっても、シールリング34がフローティングシールを構成することから、通常使用においては問題となることはない。しかし、シェル型ニードル軸受30が過酷な条件で使用され場合、シールリング34に耐摩耗処理されることが望ましい。
31 シェル
31a 軌道面
31b,31c 内向きフランジ部(フランジ部)
32 保持器
32a ポケット
32b 保持器の端面
33 ニードル
34 シールリング
Claims (4)
- 内周面或は外周面に軌道面を、両端部にフランジ部を、それぞれ有するシェルと、
円周方向に亙って複数のポケットを有する保持器と、
前記軌道面に沿って転動自在となるように、前記各ポケット内に保持される複数のニードルと、
前記シェルの内側或は外側で、前記保持器の端面と前記フランジ部との間に設けられる断面略長方形の円筒形状の金属製シールリングと、
を備えるシールリング付シェル型ニードル軸受の製造方法であって、
前記シールリングはフローティングシールを構成し、
前記シールリングの成形ステップが、
金属板を打ち抜く事により円輪状の第一予備中間素材とする第一工程と、
この第一予備中間素材の内径寄り部分を軸方向に直角に折り曲げるバーリング加工を施す事により、円筒状部及びこの円筒状部の軸方向一端部から径方向外方に折れ曲がった外向鍔部を備えた、断面L字形で全体が円環状の第二予備中間素材とする第二工程と、
この第二中間素材の外向鍔部を除去して円筒状の第一中間円筒状素材とする第三工程と、
冷間ローリング加工によりこの第一中間円筒状素材の内外径及び断面形状を整えて、必要とする形状精度及び寸法精度を有する高精度リングとする第四工程とを備えたことを特徴とするシールリング付シェル型ニードル軸受の製造方法。 - 前記シールリングは、前記成形ステップ後、熱処理が行われないことを特徴とする請求項1に記載のシールリング付シェル型ニードル軸受の製造方法。
- 前記シールリングは、前記成形ステップ後、耐摩耗処理されることを特徴とする請求項1に記載のシールリング付シェル型ニードル軸受の製造方法。
- 前記第四工程は、前記シールリングの外径に一致する内径を有する回転可能なダイスと、外周面に断面形状が矩形の凹溝を有し、自転するとともに、前記ダイスの内周面に向けて押し付けられる押圧ローラと、を用いて前記冷間ローリング加工を行い、
前記第一中間円筒状素材は、前記冷間ローリング加工により、断面形状が前記ダイスの内周面と前記凹溝の内面とに合致するように、塑性変形されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のシールリング付シェル型ニードル軸受の製造方法。
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