JP5407222B2 - レーザー彫刻用凸版印刷原版及びそれから得られる凸版印刷版 - Google Patents

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Description

本発明は、レーザー光照射により画像形成して印刷版を形成するレーザー彫刻用凸版印刷原版およびそれを用いて得られる凸版印刷版に関するものである。
各種包装材やシール、ラベル印刷、他、多種の印刷に使用される凸版印刷版は、従来、感光性樹脂からなる印刷原版を像に従って露光して露光部の樹脂を架橋させ、次いで非露光部の未架橋樹脂を洗浄除去することにより製造されていたが、近年、印刷版製造の効率改善のため、レーザーを使って直接印刷原版上にレリーフ画像を形成するレーザー彫刻による印刷版が普及しつつある。レーザー彫刻による印刷版の製造工程では、レーザー光線を像に従って印刷原版に照射して照射部分の像形成材料を分解することにより版表面に凹凸が形成される。
レーザー彫刻用の印刷原版としては、フレキソ版への技術応用が進んでおり、レーザー彫刻可能なフレキソ版原版、あるいはレーザー彫刻によって得られたフレキソ版が特許文献1及び2に開示されている。それらの文献には、バインダーとしてエラストマー性のゴムにモノマーを混合してフレキソ印刷原版を製造し、熱架橋又は光架橋により硬化させた後にレーザー彫刻を行い、フレキソ印刷版を得ている。しかし、これらは水性インキやエステルインキに適性のあるフレキソ印刷版であり、油性インキが主に用いられる樹脂凸版用途には適するものではない。
一方、凸版印刷に用いるレーザー彫刻用印刷原版としては、ポリビニルアルコール又は変成ポリビニルアルコールやポリエーテルアミドなどの可溶性高分子に光重合性化合物及び光重合開始剤を配合した樹脂組成物からなるものが特許文献3〜5に開示されている。
凸版印刷用感光性樹脂組成物としては印刷速度の向上に対応して高反発弾性率を有する可溶性高分子化合物として好ましく用いられているが、公知の高反発弾性率を有する可溶性高分子化合物からなる感光性樹脂組成物を用いたレーザー彫刻用印刷原版ではレーザー彫刻性と印刷性能との両者を満足できる印刷原版が得られていなかった。レーザー彫刻時の問題点としては、(1)レーザー彫刻によって発生した熱によって境界部分の樹脂(レリーフ)が熱変形を起こしてエッジに丸みを帯びることや(2)レーザー照射により生じた樹脂カスがレーザー照射中の吸引やレーザー照射後の洗浄でも除去されずに版に付着したまま残りやすいことがあり、印刷不良を起こしやすくしていた。
一方、凸版印刷分野では、高速印刷化が進み、高速に対応しうる印刷版が要求されている。しかしながら、ネガフィルムに対して優れた再現性を有する高反発弾性凸版印刷用感光性樹脂としては、アミド結合を有しないジアミンと有機ジイソシアネート化合物の付加重合体を用いた凸版印刷用感光性樹脂(特許文献8)やポリエーテルアミドを用いた凸版印刷用感光性樹脂(特許文献3)があり、現像型の印刷原版として優れた性能を有している。しかし、レーザー彫刻用感光性樹脂原版としてはポリエーテルを含有しているためにレーザー彫刻によって発生した熱によって縁部樹脂(レリーフ)が熱変形を起こしてエッジに丸みを帯び易く、又樹脂カス付着もあり、レーザー彫刻用感光性樹脂原版として使用することが難しかった。
上記樹脂カス付着の課題に対しては、シリカ微粉末などの無色透明の充填剤を配合する方法(特許文献9参照)により印刷原版の機械的特性を向上させ、結果として粘着性や微細部の溶融を減少させる技術が提案されている。しかしながら、シリカ微粉末などの充填剤を配合する方法は、印刷原版の粘着性を十分に低下させるためには多量の充填剤が必要となり、印刷原版の成型性や版物性を著しく損なうという問題があった。
このように、従来技術の凸版印刷用感光性樹脂組成物や充填剤を添加する方法ではレーザー彫刻性と印刷性能との両者を満足する優れた凸版印刷用レーザー彫刻用原版が待ち望まれていた。
特許第2846954号公報 特開平11−338139号公報 特開平11−170718号公報 特開2006−002061号公報 特開2001−328365号公報 特開平04−97154号公報 特表2004−533343号公報
本発明は上記のような事情に鑑みてなされたものであり、ゴム弾性に優れた凸版印刷に用いるレーザー彫刻用印刷原版において、レーザー彫刻性と印刷性能との両者を満足できるレーザー彫刻用印刷原版を提供することを課題とする。
本発明らは、上記目的を達成すべく鋭意研究した結果、可溶性合成高分子化合物が水素結合を有するハードセグメントとポリエチレングリコールをソフトセグメントするブロック共重合体であって、ハードセグメントに塩基性第3級窒素原子を含有させ、且つ塩基性第3級窒素原子に対して光重性基含有非プロトン性4級化剤で4級化することでレーザー彫刻時の熱によってエッジが丸くなる問題点を解決した。
さらにポリエチレングリコールをソフトセグメントとして導入することで光重合性化合物の濃度をソフトセグメント部分に局在化することが可能となり、非晶性セグメントを有する可溶性高分子化合物を用いた凸版印刷用レーザー彫刻用印刷原版として優れたレーザー彫刻性能と印刷性能を満足するとの知見を得、該知見に基づいて本発明を完成させた。即ち、本発明は(1)少なくとも可溶性合成高分子化合物、光重合性不飽和化合物、光重合開始剤を基本成分とする感光性樹脂凸版組成物から得られる感光性樹脂組成層を紫外線照射によって硬化させた後にレーザー光照射により画像形成して印刷版を形成するレーザー彫刻用凸版印刷原版において、可溶性合成高分子化合物がポリエーテルウレアウレタン、ポリエーテルウレタン、ポリエーテルアミド、及びポリエーテルエステルアミドの群から選択される可溶性合成高分子化合物を少なくとも一つ以上を含有し、且つ可溶性合成高分子化合物が水を含む溶剤中で加熱反応させることで光重性基含有非プロトン性四級化剤によって4級化された塩基性第3級窒素原子を可溶性合成高分子化合物1000g中に0.20〜0.70モル含有し、数平均分子量が400〜1500のポリエチレングリコールをソフトセグメントとするブロック共重合体であることを特徴とするレーザー彫刻用凸版印刷原版、(2)可溶性合成高分子化合物中に塩基性第3級窒素原子を導入する原料としてピペラジン環を有するジアミン又はジオールを用いることを特徴とする(1)のレーザー彫刻用凸版印刷原版、(3)塩塩基性第3級窒素原子を4級化する光重性基含有非プロトン性4級化剤がグリシジルメタクリレート又はグリシジルアクリレートであることを特徴とする(1)又は(2)に記載のレーザー彫刻用凸版印刷原版、(4)(1)〜(2)のいずれかに記載のレーザー彫刻可能な印刷原版をレーザー彫刻によって凸版印刷版を製造する印刷版の製造方法である。
本発明の凸版印刷に用いるレーザー彫刻用印刷原版を用いることにより、レーザー彫刻性能が向上することで、印刷性能が大幅に向上したレーザー彫刻用印刷原版を提供することが可能となるので産業界に寄与すること大である。
以下、本発明を詳述する。
本発明のレーザー彫刻用印刷原版は、可溶性合成高分子化合物が光重性基含有非プロトン性4級化剤によって4級化された塩基性第3級窒素原子を特定の範囲で含有し、且つ可溶性高分子化合物として、ポリエーテルウレアウレタン、ポリエーテルウレタン、ポリエーテルアミド、及びポリエーテルエステルアミドの群から選択される可溶性高分子化合物を用いることで、本発明を達成したものである。
本発明は、前記可溶性高分子化合物を用いることで優れたレーザー彫刻性能が得られるが、その中でもレーザー彫刻性能及び高速印刷性能の面から特にポリエーテルウレアウレタン及びポリエーテルアミドが好ましい。
本発明に用いる可溶性合成高分子化合物は、ハードセグメント中に主鎖又は側鎖に塩基性第3級窒素原子を含有し、且つ塩基性第3級窒素原子が光重性基含有非プロトン性4級化剤によって4級化されることで可溶性合成高分子化合物中のハードセグメントに光重合性基を導入するものである。
本発明において、光重性基含有非プロトン性4級化剤によって4級化した塩基性第3級窒素原子含有量が重要であり、可溶性合成高分子化合物1000g中に0.20〜0.70モル含有することが好ましく、さらに好ましくは0.30〜0.60モル含有することである。
本発明において、光重性基含有非プロトン性4級化剤によって4級化した塩基性第3級窒素原子含有量を可溶性合成高分子化合物1000g中に0.20〜0.70モルに含有させる方法としては、ハードセグメント中の塩基性第3級窒素原子含有原料の配合比率によって塩基性第3級窒素原子量を決め、さらに導入した塩基性第3級窒素原子量に対する光重合性基4級化剤の4級化率を増減させることで設定することが可能である。本発明において、4級化率とは可溶性合成高分子化合物中に含有する塩基性第3級窒素原子のモル数に対して、4級化した塩基性第3級窒素原子モル数の割合であり、モル%で表される。
本発明の可溶性合成高分子化合物は、ソフトセグメントを含有するブロック共重合体であり、ハードセグメント中に水素結合の形成可能なアミド結合、ウレア結合又はウレタン結合を分子内に含有することで高い結晶性を有する。そのために感光性樹脂組成物としても30%以上の高い反発弾性率を有し、さらにハードセグメントに光重性基含有非プロトン性4級化剤で4級化することでハードセグメントが強固に光架橋され、レーザー彫刻時に発生した熱によって発生する熱変形を小さくすることが可能となる。その結果、本発明を用いたレーザー彫刻用印刷原版は従来の高反発弾性を有する印刷原版では得られなかった優れたレーザー彫刻性能を達成し、且つ早い印刷速度においても優れた印刷性を満足するものである。
次に、本発明に用いるハードセグメント中の塩基性第3級窒素原子を4級化する光重性基含有非プロトン性4級化剤について説明する。本発明に用いる光重性基含有非プロトン性4級化剤は、紫外線によって重合する光重合性基を有し、且つ非プロトン性の4級化剤である。光重性基含有非プロトン性4級化剤としてはエポキシ基を含有する光重性化合物が好ましい。具体的な化合物としては市販の化合物が使用可能であるが、グリシジルメタクリレートやグリシジルアクリレートが特に好ましい。
一方、ハードセグメント中にプロトン性4級化剤で4級化する場合には、架橋構造の熱安定性が悪いためにレーザー彫刻時に発生した熱によって境界部分の樹脂(レリーフ)が熱変形を起こし易く、レーザー彫刻性を満足できないものと考えられる。熱変形を防止するためには、4級化剤以外の光重合性化合物の含有比率を高くすることが考えられるが、樹脂硬度が高くなりすぎるために印刷性の低下が起こり、レーザー彫刻性と印刷性との両者を満足できるものではない。
本発明に用いる可溶性合成高分子化合物は、印刷版として優れた高速印刷性を満足するために高反発弾性率を有することが重用である。好ましい反発弾性率としては、30%以上、さらに好ましい反発弾性率は40%以上である。反発弾性率が30%未満では100m/分以上の高速印刷時においてベタ部インキ乗りが悪いために好ましくない。
30%以上の高反発弾性率を有する可溶性合成高分子化合物を得る方法としては、ソフトセグメントとして数平均分子量が400〜1500のポリエチレングリコールを用いることが好ましく、より好ましい数平均分子量は400〜1000であり、特に好ましい数平均分子量は400〜600である。さらに可溶性合成高分子化合物中に含有するポリエチレングリコールの含有率も重要であり、好ましい含有率は40質量%〜75質量%であり、さらに好ましい含有率は40質量%〜60質量%である。
ソフトセグメント含有比率が40質量%未満ではソフトセグメントの役割を果たさず、又75質量%を超えるとハードセグメントの機能が発揮されずに十分な樹脂硬度が得られなので、好ましくない。
具体的な可溶性高分子化合物について以下に説明する。
本発明の感光性樹脂組成物の可溶性合成高分子化合物として用いるポリエーテルウレタンは、ジオール、ポリエーテル及びジイソシアネート化合物とを付加重合させることで得られる。ジオール成分は光重合性基を導入するために第3級窒素原子を有するジール単独でも良いが、得られる付加重合体の物性面より第3級窒素原子を含有しないジオールを併用することが好ましい。第3級窒素原子を含有するジオールとしては、N,N'−ビス(3−ヒドロキシプロピル)メチルピペラジン等が挙げられる。
一方、第3級窒素原子を含有しないジオールとしては、エチレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコールやテトラメチレングリコールなどが挙げられる。
本発明に用いるポリエーテルウレタンを製造する方法としては、加熱重合法や溶液重合法などの公知の付加重合方法が使用可能である。
次に、本発明の感光性樹脂組成物の可溶性合成高分子化合物として用いるポリエーテルウレアウレタンについて説明する。
本発明に用いるポリエーテルウレアウレタンは、ジアミンとポリエチレングリコールを含有する末端ジイソシアネート化合物とを溶剤中で付加重合させることで得られる。ジアミン成分は、レーザー彫刻性能と印刷性能の両者を満足するためには第3級窒素原子を含有しないジアミンと第3級窒素原子を含有するジアミンとを併用することが好ましい。第3級窒素原子を含有しないジアミンとしては、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4 或は2,4,4 −トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,3 −或は1,4 −ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3 −或は1,4 −アミノシクロヘキサンなどが挙げられるが、好ましくは2−メチルペンタメチレンジアミン、2,2,4 或は2,4,4 −トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,3 −ビス(アミノメチル)シクロヘキサンである。
一方、第3級窒素原子を含有するジアミンの具体的例としては、主鎖又は側鎖に塩基性第3級窒素原子を有するジアミンである。具体的なジアミンとしてはピペラジン環を有するジアミン及びそれ以外のジアミンが挙げられる。具体的なピペラジン環を有するジアミンの例としては、N,N’−ビス(アミノメチル)ピペラジン、N,N’−ビス(2−アミノエチル)ピペラジン、N,N’−ビス(2−アミノエチル)メチルピペラジン、N−(アミノメチル)−N’−(2−アミノエチル)ピペラジン、N,N’−ビス(3−アミノペンチル)ピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペラジン、N−(アミノプロピル)ピペラジン、N−(ω−アミノヘキシル)ピペラジン、N−(3−アミノシクロヘキシル)ピペラジン、N−(2−アミノエチル)−3−メチルピペラジン、N−(2−アミノエチル)−2,5−ジメチルピペラジン、N−(2−アミノプロピル)−3−メチルピペラジン、N−(3−アミノプロピル)−2,5 −ジメチルピペラジンなどのピペラジン環を有するジアミンが挙げられる。
ピペラジン環を有するジアミン以外のジアミンとしては、N,N−ジ(2−アミノエチル)アミン、N,N−ジ(3−アミノプロピル)アミン、N,N−ジ(2−アミノエチル)メチルアミン、N,N−ジ(3−アミノプロピル)エチルアミン、N,N−ジ(3−アミノプロピル)イソプロピルアミン、N,N−ジ(3−アミノプロピル)シクロヘキシルアミン、N,N−ジ(4−アミノ−n−ブチル)アミン、N−メチル−N−(2−アミノエチル)−1,3 −プロパンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ(3−アミノプロピル)テトラメチレンジアミン、N,N’−ジイソブチル−N,N’−ジ−(3−アミノプロピル)ヘキサメチレンジアミン、N,N’−ジシクロヘキシル−N,N’−ジ−(3−アミノプロピル)ヘキサメチレンジアミン、N,N’−ジシクロヘキシル−N,N’−ビス(2−カルボキシプロピル)ヘキサメチレンジアミン、N,N’−ジ−(3−アミノプロピル)−2,2,4 −トリメチル−ヘキサメチレンジアミン、1,2−ビス(3−アミノプロポキシ)−2−メチル−2−(N,N−ジメチルアミノメチル)プロパン、1,2−ビス(3−アミノプロポキシ)−2−メチル−2−(N,N−ジエチルアミノメチル)プロパン、1,2−ビス(3−アミノプロポキシ)−2−エチル−2−(N,N−ジメチルアミノメチル)プロパン、1,3−ビス(3−アミノプロポキシ)−2−(N,N−ジメチルアミノメチル)プロパンなどが挙げられる。
上記ジアミンの中でも、N,N’−ビス(アミノエチル)−ピペラジン、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペラジンのピペラジン環を有するジアミンが重合性及び物性面より優れるために好ましい。
ポリエーテルウレアウレタンに用いるもう一方の原料である上記ジイソシアネート化合物は公知の脂肪族、脂環族、芳香族のジイソシアネートと等モル以下のポリオキシエチレングリコールとを反応させて得られる、実質的に両末端にイソシアネート基を有するジイソシアネート化合物である。該ジイソシアネート化合物の製造方法は従来公知の方法を利用出来る。即ち両者を無溶剤の状態で混合・撹拌下に反応させる方法、両者を不活性溶剤に溶解させて反応させる方法などがあげられる。反応温度、反応時間などは、両者の反応性や熱安定性などを考慮して最適条件を決めるべきである。またジイソシアネートの使用比率はポリオキシエチレングリコールに対して2.0モル以上、特に2.05モル以上が望ましい。
ジイソシアネート化合物を得るために使用するジイソシアネートとしては公知の脂肪族、脂環族、芳香族のジイソシアネートが使用可能である。例えば2,4 −トリレンジイソシアネート、2,6 −トリレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4'−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、1,3 −シクロヘキサンジメチルイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、2,6 −ジイソシアネートメチルカプロエート、ジフェニルエーテル−4,4'−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどが挙げられるが、保存安定性や反応性の面から脂肪族ジイソシアネートが好ましく、特にヘキサメチレンジイソシアネートが好ましい。
またジアミンとジイソシアネート化合物との反応比率アミノ基/イソシアネート基(当量比)は1.0 以上、望ましくは1.02以上である。この場合過剰の末端アミノ基が未反応のまま残存しても、それを用いた組成物の性能、物性などに悪影響を及ぼさない限り特にさしつかえない。またアミノ基/イソシアネート基(当量比)が1.0未満の場合はゲル化などの不都合な反応が起こりやすいので好ましくない。アミンとイソシアネートとの反応性は極めて大きいため両者の反応は水、メタノールなどのアルコール類、あるいは水とアルコール類との混合物などの活性溶剤中でも可能である。
次に、本発明に用いる可溶性高分子化合物であるポーエーテルアミドついて説明する。
本発明に用いるポリエーテルアミドとしては、主鎖にポリエーテル結合及びアミド結合を有しするポリアミドであり、ポリエーテル成分としてポリエチレングリコールを用いるものである。ポリエーテルアミドを得る方法としては、特開昭55−74537号に記載された方法で重合することできる。具体的には、末端にアミノ基を有するポリエチレングリコールと脂肪族ジカルボン酸とから成る構成単位とそれ以外の脂肪族ナイロンを構成単位として公知の重合方法で合成するができる。
又、三級窒素原子の導入は、ハードセグメントとして用いるナイロン成分として三級窒素原子を有するジアミン又はジカルボン酸を用いた構成単位を共重合することで達成できる。
次に、本発明に用いる可溶性高分子化合物であるポーエーテルエステルアミドついて説明する。
本発明に用いるポリエーテルエステルアミドとしては、主鎖にポリエーテル結合、エステル結合及びアミド結合を有しするポリアミドであり、特開昭58−117537号に記載された方法で重合することができる。具体的には、数平均分子量が400〜1500であるポリエチレングリコールと脂肪族ジカルボン酸とから成る構成単位とそれ以外の脂肪族ナイロンを構成単位として共重合することによって得られる。
三級窒素原子の導入は、ハードセグメントとして用いるナイロン線分として三級窒素原子を有するジアミン又はジカルボン酸を用いた構成単位を共重合することで達成できる。
本発明において得られる可溶性高分子化合物は、非プロトン性4級化剤によって塩基性第3級窒素原子に導入した光重性基によって可溶性高分子化合物を含む熱安定性に優れた架橋ネットワーク構造作り、可溶性高分子化合物が熱変形を起こしにくくなると考えられる。その結果、本発明は従来には得られなかった優れたレーザー彫刻性能を満足することを可能にするものである。
一方、ポリアミド中に光重合性基を全く導入しない場合やプロトン性4級化剤で4級化した場合には、レーザー彫刻時に発生した熱によって境界部分の樹脂(レリーフ)が熱変形を起こす。熱変形を防止するためには、光重合性化合物の含有比率を高くすることが考えられるが、樹脂硬度が高くなりすぎるために印刷性の低下が起こり、レーザー彫刻性と印刷性との両者を満足できるものではない。又、シート状成型品の固形化するまでの時間が長くなり、生産性が低下する問題が起こる。
本発明の感光性樹脂凸版組成物が優れた印刷版の印刷性能とレーザー彫刻性能を達成するためには、架橋成分として光重性基含有非プロトン性4級化剤で4級化した塩基性第3級窒素原子以外に光重合性不飽和化合物を配合し、光重合性不飽和化合物によって感光性樹脂組成物全体を架橋させることが必要である。
本発明に用いる光重合性不飽和化合物としては、公知の光重合性不飽和化合物を用いることができる。好適に用いられる光重合性不飽和化合物としては、公知の二価又は三価アルコールのグリシジルエーテルとメタアクリル酸およびアクリル酸との開環付加反応生成物であり、前記多価アルコールとして、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、フタル酸のエチレンオキサイド付加物、グリセリン、ビスフェノールA、トリメルロールプロパンやビスフェノールFのジグリシジルエーテルアクリル酸付加物などが挙げられるが、またこれらの化合物を2種類以上混合して使用することも出来る。なお、本発明においてはグリセリンジメタクリレート、ジエチレングリーコールジエポキシメタクリレート、トリメルロールプロパントリエポキシアクリレート、トリメルロールプロパントリエポキシメタクリレートが特に好ましい。
本発明は光重合性不飽和基の含有量が重要である。本発明は、化学結合で4級化した塩基性第3級窒素原子含有量を一定量にコントロールすると共に感光性樹脂組成物全体として含有する光重合性不飽和基の含有量も一定量の範囲にコントロールする必要がある。
つまり、本発明は、レーザー彫刻性能を満足するために光重性基含有非プロトン性4級化剤で4級化した塩基性第3級窒素原子含有量を特定範囲にコントロールし、さらに印刷版の印刷性のために感光性樹脂組成物全体として含有する光重合性不飽和基の含有量を特定範囲にコントロールすることによって、優れたレーザー彫刻性能と印刷性能の両者を満足するものである。
本発明の好ましい光重合性不飽和基の含有量として、感光性樹脂凸版組成物1000g 中に2.00〜2.80モル含有させるものであり、さらに好ましくは2.30〜2.70モル含有させることである。感光性樹脂凸版組成物1000g 中の光重合性不飽和基の含有量が、2.00モル以下ではレーザー彫刻性能が悪く、又2.80モルを超えると印刷版として硬くなりすぎてインキ乗りが低下するので好ましくない。
光重合性不飽和基の含有量を感光性樹脂凸版組成物1000g 中に2.00〜2.80モル含有させる方法としては、光重合性化合物の配合量を増減させること又は光重合性基間の距離(分子量)を変えることで同じ感光性樹脂組成物への配合量でありながら感光性樹脂組成物中の光重合性基の量を増減させることは可能である。
本発明に使用する光重合開始剤としては公知のものが使用可能であり、具体的には、例えば、ベンゾフェノン類、ベンゾイン類、アセトフェノン類、ベンジル類、ベンゾインアルキルエーテル類、ベンジルアルキルケタール類、アンスラキノン類、チオキサントン類などが使用できる。好適な具体例としては、ベンゾフェノン、ベンゾイン、アセトフェノン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、アンスラキノン、2−クロロアンスラキノン、チオキサントン、2−クロロチオキサントンなどが挙げられる。これらは感光性樹脂組成物中に0.05〜5重量%含有させるのが好ましい。0.05重量%より少ないと光重合開始能力に支障をきたし、5重量%より多いと印刷用レリーフを作成する場合の生版の厚み方向の光硬化性が低下し、レーザー彫刻性能が低下する。
また必要により公知の熱重合禁止剤を添加してもよい。熱重合禁止剤は、感光性樹脂凸版組成物の調合、製造、成形加工時などの加熱による予定外の熱重合、あるいは該組成物の保存中の暗反応を防止するために添加する。このような化合物の例としては、ハイドロキノン、モノ−tert−ブチルハイドロキノン、2,5 −ジ−tert−ブチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテルなどのハイドロキノン類、ベンゾキノン、2,5 −ジフェニル−p−ベンゾキノンなどのベンゾキノン類、フェノール類、カテコール、p−tert−ブチルカテコールなどのカテコール類、芳香族アミン化合物類、ビクリン酸類、フェノチアジン、α−ナフトキノン類、アンスラキノン類、ニトロ化合物類、イオウ化合物類などが挙げられる。熱重合禁止剤の使用量は全組成物中、0.001 〜2 重量%、特に好ましくは0.005 〜1重量%である。これらの化合物は2種以上併用してもよい。
本発明の感光性樹脂組成物は、印刷用レリーフ版を得る場合の溶融成形法の他、例えは、熱プレス、注型、或いは、溶融押出し、溶液キャストなど公知の任意の方法により目的の製品に応じた所望の形状物に成形できる。
本発明の光硬化とは凸版印刷用感光性樹脂組成物をシート状に成形・固形化した後に、このシート状成形物を表面より高さ5cmの距離から8mW/cmの紫外線露光機(光源:フィリップス社製10R)により表裏10分露光し、架橋硬化させるものである。
レーザー彫刻用印刷原版を得る場合はシート状に成形した成形物(生版)を公知の接着剤を介して、或いは、介さずに支持体に積層して使用することができる。支持体としてはスチール、アルミニウム、ガラス、ポリエチレンテレフタレートなどのプラスチックフィルム、金属蒸着したフィルムなど任意のものが使用できる。シート状成形物(生版)を支持体上に接着層を積層した積層体にして供給する場合にはシート状成形物(生版)に接して保護層がさらに積層される。保護層はフイルム状のプラスチック、例えば、ポリエチレンテレフタレートの125μm厚みのフイルムに粘着性のない透明で現像液に分散又は溶解する高分子を1〜3μmの厚みで塗布したものが用いられる。この薄い高分子の皮膜を有する保護層をシート状成形物(生版)に接することによって、シート状成形物(生版)の表面粘着性が強い場合であっても次の露光操作時に行う保護層の剥離を容易に行うことができる
かくして得られた印刷原版は、レーザー彫刻装置の版装着ドラムの表面に取り付けられ、像に従ったレーザー照射により照射部分の原版が分解されて凹部分を形成し、印刷版が製造される。
次に本発明を実施例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
ショアーD硬さ及び反発弾性率は感光性樹脂をシート状成形物に成型して光硬化した後に、以下の方法により測定した。なお、測定用サンプルは 250μのポリエステル支持体上に3mmの感光性樹脂層を設けて感光性樹脂層表面に125μのポリエステルフィルムを積層した感光性樹脂積層体を使って、感光性樹脂積層体の表面から25W/m2のケミカルランプを用いて感光性樹脂表面より高さ5cmの距離から10分間露光し、光硬化させた。このサンプルを20℃、相対湿度65%の条件で24時間保存してサンプルを調整した。
(1)ショアーD硬さ :***ツビック社製、ショアー式デュロメーター(ショアーDタイプ)を用いて25℃で測定した。
(2)反発弾性率 :直径10mm(重さ4.16)の鋼球製ボールを20cmの高さより落下させ、跳ね返る高さ(a)を読み取り、(a/20)×100%表示とした。測定は、25℃、70%RHの条件で行った。
実施例1
N,N’−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン72質量部と2−メチルペンタメチレンジアミン18質量部をメタノール550質量部に溶解した後、該ジアミン溶液にポリエチレングリコール(平均分子量600)600質量部とヘキサメチレンジイソシアネート369質量部を反応させて得られた実質的に両末端にイソシアネート基を有するウレタンオリゴマー410質量部を、撹拌下徐々に添加した。両者の反応はポリマー固形分濃度50%の条件下に約15分で完了した。この溶液をテフロン(登録商標)コートしたシャーレに取り、メタノールを蒸発除去後、減圧乾燥して得られた付加重合体は、ジアミン成分中に2−メチルペンタメチレンジアミンを20重量%、ポリエーテルセグメントを47重量%含有し、比粘度が1.71のポリエーテルウレアウレタンを得た。
次に得られたポリエーテルウレアウレタン50.0部とグリシジルメタクリレート2.6質量部をメタノール200.0部および水10部に攪拌付き加熱反応釜中65℃で4時間溶解・反応を行い、ハードセグメント中の塩基性第3級窒素原子と光重合性基4級化剤であるグリシジルメタクリレートとの4級化反応を行った。その後にトリメチロールプロパントリエポキシアクリレート36.4部、可塑剤としてN−エチルトルエンスルホン酸アミド7質量部、ハイドロキノンモノエチルエーテル0.1部、ベンジルジメチルケタール1.0部を加え、感光性樹脂組成物溶液を得た。この溶液をテフロン(登録商標)コートしたシャーレに流延し、暗室にてメタノールを除去後、更に一昼夜40℃で減圧乾燥し厚み800μmの感光性組成物のシートを得た。
次に、得られた組成物シートを厚さ250μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上にポリエステル系接着層をコーティングしたフィルムと、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムで挟み、ヒートプレス機で100℃、100kg/cm2の圧力で加圧することにより、厚さ1.05mmのシート状成形物を得た。
次に、このシート状成形物を紫外線露光機(光源:フィリップス社製10R)により表面より高さ5cmの距離から8mW/cmの紫外線露光機(光源:フィリップス社製10R)により表裏10分露光し、架橋硬化させた後、厚さ125μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを剥がし、レーザー彫刻用印刷原版を作製した。
実施例2〜3
表1の通りに光重合性基含有4級化剤の種類と添加量を変更し、実施例1と同様にして実施例2〜3の評価を行った。可溶性高分子化合物中の光重合性基含有4級化剤によって4級化された塩基性第3級窒素原子のモル数が共重合ポリアミド1000g中に0.36〜0.65モル含有する組成物を調整し、シート状成形物及びレーザー彫刻用原版を得た。
実施例4〜6
表1の通りに実施例1の光重合性化合物の添加量及び種類を変更し、実施例1と同様にして実施例6〜7のレーザー彫刻用印刷原版を作製した。
実施例7〜9
表1の通りに実施例1のソフトセグメントであるポリエチレングリコールの数平均分子量を変更し、実施例1と同様にして実施例7〜9のレーザー彫刻用印刷原版を作製した。
実施例10〜13
表1の通りに実施例1のジアミン成分を変更し、実施例1と同様にして実施例10〜13のレーザー彫刻用印刷原版を作製した。
実施例14
N,N’−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジンとアジピン酸との当モル塩139.5質量部(縮合後125質量部)、平均分子量600のポリオキシエチレングリコールの両末端にアクリロニトリルを付加し、これを水素還元して得たα、ω−ジアミノポリオキシエチレンとアジピン酸との当モル塩313.5質量部(縮合後300質量部)、およびε−カプロラクタム75質量部(縮合後75質量部)を通常の条件で溶融重合して主鎖にポリエーテルを含有し、且つ可溶性高分子化合物1000g中に0.72モルの第3級窒素原子を有するポリエーテルアミドを得た。
得られたポリエーテルアミドを表1の組成に基づいて実施例1と同様にして感光性樹脂組成物を調整し、得られた感光性樹脂組成物よりシート状成形物及びレーザー彫刻用原版を得た。得られた感光性樹脂組成物中には感光性樹脂組成物1000g中に光重合性基含有4級化剤によって4級化された塩基性第3級窒素原子を0.36モル含有するものである。
実施例15〜18
表1の通りに可溶性高分子組成物の組成比率を変更することで、塩基性第3級窒素原子の含有モル数及び光重合性基含有4級化剤によって4級化された塩基性第3級窒素原子のモル数を変更した。得られた可溶性高分子組成物中には光重合性基含有4級化剤によって4級化された塩基性第3級窒素原子を感光性樹脂組成物1000g中に0.43〜0.69モル含有する組成物を得、さらにシート状成形物及びレーザー彫刻用原版を得た。
又、実施例18では光重合性基含有4級化剤の添加量を減らすことで光重合性基含有4級化剤によって4級化された塩基性第3級窒素原子を感光性樹脂組成物1000g中に0.25モル含有する組成物を得、さらにシート状成形物及びレーザー彫刻用原版を得た。
実施例19〜20
表1の通りに実施例19ではポリオキシエチレングリコールの数平均分子量を変更し、実施例20ではポリアミド成分を変更して可溶性高分子を得た。得られた感光性樹脂組成物中には光重合性基含有4級化剤によって4級化された塩基性第3級窒素原子を感光性樹脂組成物1000g中に0.72モル含有し、さらに感光性樹脂組成物を使ってシート状成形物及びレーザー彫刻用原版を得た。得られた感光性樹脂組成物中には感光性樹脂組成物1000g中に光重合性基含有4級化剤によって4級化された塩基性第3級窒素原子を0.36モル含有するものである。
実施例21
N,N’−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジンとアジピン酸との当モル塩139.5質量部(縮合後125質量部)、平均分子量600のポリオキシエチレングリコールとアジピン酸との当モル混合物 315.2質量部(縮合後300質量部)、およびε−カプロラクタム75質量部(縮合後75質量部)を通常の条件で溶融重合して主鎖にポリエーテルを含有し、且つ可溶性高分子化合物1000g中に0.72モルの第3級窒素原子を有するポリエーテルエステルアミドを得た。
得られたポリエーテルエステルアミドを表1の組成に基づいて実施例1と同様にして感光性樹脂組成物を調整し、得られた感光性樹脂組成物よりシート状成形物及びレーザー彫刻用原版を得た。得られた感光性樹脂組成物中には感光性樹脂組成物1000g中に光重合性基含有4級化剤によって4級化された塩基性第3級窒素原子を0.36モル含有するものである。
比較例1及び比較例2
比較例1及び比較例2は塩基性第3級窒素原子を全く含有しないポリエーテルウレアウレタン及び塩基性第3級窒素原子を含有していても光重合性基含有4級化剤によって4級化された塩基性第3級窒素原子が感光性樹脂組成物1000g中に0.20未満含有するポリエーテルウレアウレタンを用いた感光性樹脂組成物であり、実施例1と同様に評価してレーザー彫刻用印刷原版を作製した。
比較例3
比較例3は、実施例1において光重性基含有非プロトン性4級化剤をプロトン性4級化剤としてメタクリル酸に変更した感光性樹脂組成物である。得られた感光性樹脂組成物を用いて実施例1と同様に評価してレーザー彫刻用印刷原版を作製した。
比較例4〜5
比較例4〜5は実施例1のポリオキシエチレングリコールの数平均分子量を600から300及び2,000に変更し、実施例1と同様にして感光性樹脂組成物を得た。得られた感光性樹脂組成物を用いて実施例1と同様に評価してレーザー彫刻用印刷原版を作製した。
比較例6〜8
比較例6は塩基性第3級窒素原子を全く含有しないポリエーテルアミドを用いて 実施例14と同様にして感光性樹脂組成物を得、実施例1と同様に評価してレーザー彫刻用印刷原版を作製した。
比較例7は、実施例14において光重性基含有非プロトン性4級化剤をプロトン性4級化剤としてメタクリル酸に変更した感光性樹脂組成物である。得られた感光性樹脂組成物を用いて実施例1と同様に評価してレーザー彫刻用印刷原版を作製した。
比較例8は、可溶性高分子化合物としてポリエーテルエステルアミドを用いた実施例21おいて光重性基含有非プロトン性4級化剤をプロトン性4級化剤としてメタクリル酸に変更した感光性樹脂組成物である。得られた感光性樹脂組成物を用いて実施例1と同様に評価してレーザー彫刻用印刷原版を作製した。
次にレーザー彫刻性能評価について説明する。
レーザー彫刻装置はLuescher Flexo社製の300W炭酸ガスレーザーを搭載したFlexPose!directを用いた。本装置の仕様はレーザー波長10.6μm、ビーム直径30μm、版装着ドラム直径は300mm、加工速度は1.5時間/0.5m2であった。レーザー彫刻の条件は、以下のとおりである。なお、(1)〜(3)は装置固有の条件である。(4)〜(7)は任意に条件設定が可能であり、それぞれの条件は本装置の標準条件を採用した。
解像度:2540dpi
(1)解像度:2540dpi
(2)レーザーピッチ:10μm
(3)ドラム回転数:982cm/秒
(4)トップパワー:9%
(5)ボトムパワー:100%
(6)ショルダー幅:0.30mm
(7)評価画像:150lpi、0〜100%まで1%刻みの網点、直径100μ〜600μの独立点について画像形成し、評価した。
得られた印刷版について以下の評価項目を評価した。
(1)印刷版表面への樹脂カスの付着具合
10倍の拡大ルーペを使用して、印刷表面への樹脂カスの付着具合を目視により検査し、◎:ほとんど付着なし、○:少し付着有り、△:かなり付着有り、×:付着激しい、の4段階で示した。
(2)レリーフ縁部エッジ丸み
超深度カラー3D形状測定顕微鏡(キーエンス社製VK−9510)を使用して、直径200μの独立点を拡大し、頂部レリーフの縁部エッジ丸みの判定を行った。縁部エッジに丸みが発生すると印刷物が不明瞭となるために、丸みが発生しないことが必要である。
◎:エッジがシャープで丸み全く発生なし。
○:僅かにエッジに丸みが発生。
△:エッジに少し丸みが発生し。
×:エッジに激しい丸みが発生し、エッジが不鮮明。
(3)150lpi最小網点再現性
10倍の拡大ルーペを使用して、150lpi最小網点再現性を測定した。
(4)高速印刷時の印刷性
レタープレス印刷機としてシール印刷用輪転印刷機を使って100m/分の速度でUVインキを用いて1000部の印刷を実施し、ハイライト印刷性及びベタインキ乗りを判定した。
〔ハイライト印刷性〕
○:150lpiの3%ハイライトでムラなく鮮明に印刷できる。
△:150lpiの3%ハイライトでわずかに濃度ムラが有る。
×:150lpiの3%ハイライトで濃度ムラが有る。
〔ベタ部インキ乗り〕
○:ベタ部のインキ乗りにムラがなく印刷できる。
△:ベタ部のインキ乗りにわずかに濃度ムラが有る。
×:ベタ部のインキ乗りに濃度ムラが有る。
評価結果を以下の表1及び表2に示す。
Figure 0005407222
Figure 0005407222
Figure 0005407222
表1の評価結果の実施例1〜10より、光重性基含有非プロトン性四級化剤によって4級化された塩基性第3級窒素原子量を可溶性合成高分子化合物1000g中に0.20〜0.70モルを含有する組成物及びそれから得られたレーザー彫刻用原版がレーザー彫刻性及び印刷性に優れたレーザー彫刻用原版であることが分かり、特に0.30〜0.60モルを含有することでさらに優れたレーザー彫刻性が得られることが分かる。
又、実施例11〜13ではジアミン成分を実施例1より変更した可溶性高分子化合物を用いたものであるが、塩基性第3級窒素原子含有ジアミンとしてはピペラジン環を有するジアミンがレーザー彫刻性の面から好ましいことが分かる。
さらに、実施例14〜21は可溶性高分子化合物としてポリエーテルアミド又はポリエーテルエステルアミドを用いてものであるが、ポリエーテルウレアウレタンと同様の傾向であり、光重性基含有非プロトン性四級化剤によって4級化された塩基性第3級窒素原子量を可溶性合成高分子化合物1000g中に0.20〜0.70モルを含有する組成物及びそれから得られたレーザー彫刻用原版がレーザー彫刻性及び印刷性に優れたレーザー彫刻用原版であり、さらに塩基性第3級窒素原子含有ジアミンとしてはピペラジン環を有するジアミンの方がレーザー彫刻性から好ましいことが分かる。
一方、比較例1、3、6では塩基性第3級窒素原子を含まない可溶性高分子を用い、比較例2、4、5では光重性基含有非プロトン性四級化剤によって4級化された塩基性第3級窒素原子量が可溶性合成高分子化合物1000g中に0.20〜0.70モルの範囲を外れた場合であり、レーザー彫刻性及び印刷性の両者を満足できていないことは明らかである。又、比較例7及び8では非プロトン性4級化剤をプロトン性4級化剤で4級化された塩基性第3級窒素原子を含むものであるが、レーザー彫刻性及び印刷性の両者を満足できるものではなかった。
以上の結果から、本発明の樹脂組成物及びそれより得られた印刷原版を使用すればレーザー彫刻性に優れ、しかも印刷性に優れた凸版用印刷版を製造することができることが明らかである。
本発明の樹脂組成物は、印刷版作製の際のレーザー照射時の版表面への樹脂カス付着が少なく且つレリーフエッジの丸み発生が殆どないので、レーザー彫刻性と印刷性能との両者を満足できるレーザー彫刻用印刷原版を提供することができる。

Claims (4)

  1. 少なくとも可溶性合成高分子化合物、光重合性不飽和化合物、光重合開始剤を基本成分とする感光性樹脂凸版組成物から得られる感光性樹脂組成層を紫外線照射によって硬化させた後にレーザー光照射により画像形成して印刷版を形成するレーザー彫刻用凸版印刷原版において、可溶性合成高分子化合物がポリエーテルウレアウレタン、ポリエーテルウレタン、ポリエーテルアミド、及びポリエーテルエステルアミドの群から選択される可溶性合成高分子化合物を少なくとも一つ以上を含有し、且つ可溶性合成高分子化合物が水を含む溶剤中で加熱反応させることで光重性基含有非プロトン性四級化剤によって4級化された塩基性第3級窒素原子を可溶性合成高分子化合物1000g中に0.20〜0.70モル含有し、数平均分子量が400〜1500のポリエチレングリコールをソフトセグメントとするブロック共重合体であることを特徴とするレーザー彫刻用凸版印刷原版。
  2. 可溶性合成高分子化合物中に塩基性第3級窒素原子を導入する原料としてピペラジン環を有するジアミン又はジオールを用いることを特徴とする請求項1に記載のレーザー彫刻用凸版印刷原版。
  3. 塩基性第3級窒素原子を4級化する光重性基含有非プロトン性4級化剤がグリシジルメタクリレート又はグリシジルアクリレートであることを特徴とする請求項1又は2に記載のレーザー彫刻用凸版印刷原版。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のレーザー彫刻可能な印刷原版をレーザー彫刻によって凸版印刷版を製造する印刷版の製造方法。
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