JP5405107B2 - 目視可能な表面仕上げ加工による線が存在しない透明材料製の部材の製造方法、およびそれにより製造される部材 - Google Patents

目視可能な表面仕上げ加工による線が存在しない透明材料製の部材の製造方法、およびそれにより製造される部材 Download PDF

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Description

本発明は、概して、表面仕上げ加工操作(surfacing operation)後に目視可能な光学欠陥が存在しない透明部材の製造方法、および、レンズ、特に眼用レンズ(ophthalmic lens)、好ましくは眼鏡レンズのような光学部材の製造への該方法の適用に関する。
従来、光学部材を製造する際、透明材料製の基板の主面には、表面仕上げ加工(surfacing)が施される。
該基板の表面仕上げ加工は、その表面が徹底的に研磨され、所望の曲率(ジオプター)を有する、眼鏡レンズのような光学部材の作成に導く全ての操作を含む。
一般に、表面仕上げ加工は、3つの連続する工程、すなわち、研削、ファイニング(fining)および研磨を含む。
研削は、粗粒ダイヤモンドツール(coarse grain diamond tool)やフライスを用いて、基板の1つの面にある曲率を与えることを目的とする機械的加工ステージである。ファイニングは、微細な粒子(ダイヤモンド、エメリー、カーボランダム等)を用いて、研削の後に実施する機械的加工ステージである。この方法でファイニングした後の基板の表面はサテン状の外観となる。
徹底的に磨き、透明な面とする面仕上げ加工の最後の操作は研磨と呼ばれ、非常に微細な研磨材(アルミナ、ダイヤモンド等)の懸濁液と接触させたフェルトディスクを用いた機械的加工ステージである。
上述したように、研削は主目的として基板の少なくとも1つの主面に所望の曲率を与える短いステージであり、研削された面は、小波(ripple)を有する不透明または乳白色の基板となる。小波とは、振幅が小さく周波数が高い欠陥(defect)からなるスーパーインポーズラフネス(superimposed roughness)上の、一般に螺旋形状をした、振幅が大きく周波数が低い欠陥である。
ファイニングは、基板の処理された面の形状(geometry)を改善するが、その主目的は、可能な限り小波を除去し、該面の粗さを減らすことである。
ファイニングされた面はまだ非常に粗く、機械的加工のこの段階は、半透明の面(まだ透明ではない)に導く。
最後に、研磨は比較的長い機械的加工ステージであり、最終的に透明な光学部材を得るため、基板の処理された面を改変することなく、可能な限り残存する粗さを除去する。
これらの表面仕上げ可能の手法は、近年改良されている。
具体的には、CNC(コンピュータ数値制御)マシーン、例えば、シュナイダー(Schneider)により製造されたもの、は、研削ステージ時にかなりの割合の小波タイプの欠陥の除去を可能にし、ファイニングステージを省略し、研磨ステージを直ちに実施できるような面の特性を得ることができる。
しかし、これらの手法は、光学欠陥、具体的には、基板表面の研磨操作に関連する細いスクラッチの存在、が全くない基板を得ることができない。
一般に、従来技術の手法は、基板または光学レンズの光学面を改善し、ファイニングステージおよび/または研磨ステージをなくすために、前もって研削され、随意にファイニング処理された基板または光学レンズの粗い表面をコーティングで覆うことを既に示している。
例えば、特許文献1は、光学特性の面を得て、レンズを仕上げるのに要する時間を減らすために、研削のみが施されたレンズにワニスかけする仕上げ方法を提案する。
この方法では、表面上に約10Raの厚さを有するコーティングをデポジットさせる。ここでRaは機械加工された面の算術平均粗さである。
この方法は、整形の観点(the cosmetic point of view)から完全な満足は与えるものではなく、全ての表面欠陥を除去することができず、アークランプ下で目視可能な欠陥が残る。
特許文献2は、研磨された表面の状態を与えるために、眼用レンズ表面に約30Ra〜800Raの厚さを有するワニスのコーティングを施与することにより、眼用レンズ表面を所定の仕様に仕上げる方法を提案する。ここでRaは該表面の算術平均粗さである。
ワニスの層は、公差0.01で、レンズの屈折率と実質的に等しい屈折率を与える。
この文献は、レンズの表面にデポジットさせたワニスの層と、該レンズと、が単一のジオプターを形成するとしている。この文献は、一方では、基板とワニスとの界面で目視可能な真珠光沢(iridescence)が存在せず、他方では、アークランプを用いた透過中(in transmission)に観察可能な欠陥が存在しないので、整形の観点からの要件を満たすとしている。
ワニスの層は機械加工された面に直接デポジットさせ、ファイニングステージおよび研磨ステージが省略される。または、ワニスの層はファイニングステージの後にデポジットさせる。
しかしながら、この手法は、表面仕上げ加工によるスクラッチによって生じる光学欠陥の除去に関して、完全な満足を与えるものではない。
さらに、少なくとも2つの欠点を有する。
第1に、コーティングに関して推奨される厚さが大きく、そのようなデポジットを制御することは常に困難である。
次に、上述したように、この文献に記載された手法は、基板の屈折率と実質的に同一の屈折率を有するワニスの使用が必要となる。
米国特許第4,417,790号明細書 国際公開0167139号パンフレット
本発明の第1の目的は、非常に高い光学特性を有する、特に、目視可能な表面仕上げ加工による線が存在しない、透明部材、特にレンズを得ることを可能にする新規の迅速な方法を提供することである。
本発明の第2の目的は、マスクコーティングの屈折率をレンズの基板の屈折率と適合させる必要がなく、屈折率が基板の屈折率とは実質的に異なってよい、表面仕上げ加工による線のためのマスクコーティングを用いた方法を提供することである。
本発明の第3の目的は、光学部材、特にレンズ、にとって要求される全ての特性、すなわち、低黄色指数(low yellow index)、衝撃および磨耗に対する高い耐性、デポジットさせた機能コーティングの良好な接着性、および、長期にわたって良好な耐久性を保持する一方で、目視可能な表面仕上げ加工によるスクラッチが存在しない透明部材、特に眼用レンズ、を得ることを可能にするマスクコーティングを用いた新規の方法を提供することである。
上記の目的は、本発明による、目視可能な表面仕上げ加工による線が存在しない透明部材を得る方法により達成される。
該方法は、屈折率nを有する透明材料製で、少なくとも1つの主面が0.001〜0.01μmのRa値になるよう研削され、かつ研磨されているが、細い独立したスクラッチ状の目視可能な表面欠陥を該主面が有する基板を得る工程;
前記基板の前記研削され、かつ研磨された主面に、0.01<|n −n |≦0.15であり、好ましくは0.05≦|n −n |≦0.15である屈折率n を有し、厚さが10μm未満である、マスクコーティングを重合により形成する、液状で重合性のマスクコーティング組成物を、該組成物の該基板との接触角が30°以下の状態で、直接デポジットする工程;
前記マスクコーティング組成物を重合させる工程;および
前記基板の研削され、かつ研磨された主面が前記マスクコーティングにより直接覆われており、該基板の研削され、かつ研磨された主面には目視可能な細い表面仕上げ加工によるスクラッチが存在しない透明部材を回収する工程を含む。
透過中に観察可能な目視可能な表面欠陥(線、表面のスクラッチ(superficial scratch))の測定方法については、以下で詳細に述べる。
別のやり方で示さない限り、本明細書および請求項中の屈折率は、温度25℃、波長550nmで測定したものである。
明細書中に記載の例では、ne(水銀546.1nm)およびnd(ナトリウム589.3nm)(25℃)が測定された。
また、本発明は、屈折率nを有し、少なくとも1つの主面が0.001〜0.01μmのRa値を有し、該主面が細い独立したスクラッチ状、好ましくは楔状の断面形状を有するスクラッチ状の表面欠陥を有する基板、および、屈折率nを有し、厚さ10μm未満で前記基板の前記主面を直接覆う透明マスクコーティングを含み、前記nおよびnが、0.01<|n−nc|≦0.15、好ましくは0.05≦|n−n|≦0.15の関係を満たす部材、特に光学部材、より具体的には眼用レンズ、好ましくは眼鏡レンズに関する。
また、本発明は、上記の方法により得られる目視可能な表面仕上げ加工によるスクラッチが存在しない透明部材に関する。
本発明の方法に用いる透明材料製の基板は、少なくとも1つの主面に表面仕上げ加工が施されている基板であり、より具体的には、CNCタイプの機械を用いた場合のように、少なくとも1つの主面に研削および研磨のみが施された基板である。
表面仕上げ加工後、研磨後に得られる主面は、0.001〜0.01μmの算術平均粗さRaを有するが、図1に示すような、一般に楔状の断面を有する、細い独立したスクラッチ状の目視可能な、特にアークランプ下で目視可能な表面欠陥を有する。
研磨後の表面の算術平均粗さRaは、干渉顕微鏡(an interferometric microscope)を用いて0.6mm×0.8mmの長方形のエリアで測定した。
以下本明細書において、用語「細い独立したスクラッチ」は、基板の主面に現れる不定の長さを有するが、明らかに互いに独立した線を意味する。
これらの線は、図2に部分分数分解法(diagonal form)で与える一般形状の断面を有する。
図2に表される細いスクラッチは、全体が三角形状の断面を有する楔形状で、基板の主面のレベルで開放しており、図2中、頂点Sとして示される鋭いエッジへと基板中を延びる2つの先細の側壁(convergent side wall)を有する。
この細いスクラッチの基板の主面での開口部の幅Lは、例えば、0.5〜4μmであり、これらの細いスクラッチは基板の主面から頂点Sまで、例えば、0.5〜2μmの深さHを有する。
図1に示されるように、および、図2に概略的に示されるように、存在しうる基板の細いスクラッチは、基板の主面からの側壁を有し、該側壁は、該スクラッチのエッジ(頂点Sとして示される)への第2の実質的に平坦な部分へと続く湾曲した表面の第1の部分を含む。
これらの細いスクラッチの長さは、一般に2nm〜3cmであり、多くの場合、3nm〜2cmである。
一般に基板の主面上の細い独立したスクラッチの出現は全く規則性が無く、多くの場合、基板の主面上に同心状に位置する。
一般に、基板の材料の屈折率nsは1.60以上、好ましくは1.65以上、より好ましく1.70以上である。
基板の材料は、あらゆる無機または有機の透明な固体材料であってよく、特に、眼用レンズ、特に、眼鏡レンズのような光学部材の製造に従来使用されるあらゆる材料であってよい。
好ましくは、基板材料は、有機レンズ、すなわち、主成分がホモポリマー若しくはコポリマー、或いはこれらホモポリマーおよびコポリマーの混合物の材料である。
本発明に好適な有機ガラス製の基板として、ポリカーボネート(PC)製の基板、アクリル(メタ)アクリレート類、特に、C1〜C4のアクリル(メタ)アクリレート類、ポリエキシレート化されたビスフェノレートジメタクリレート類のようなポリエキトシレート化された芳香族(メタ)アクリレート類、脂肪族若しくは芳香族の、直鎖状または分岐した、ポリオールアリルカーボネート類のような誘導体、チオ(メタ)アクリレート類(すなわち、少なくとも1つ、好ましくは2つの−SC(O)CH(R)=CH2基を含む化合物。ここでR=HまたはCH3である。)、特にアクリルチオ(メタ)アクリレート類、特にC1〜C4のアクリルチオ(メタ)アクリレート類の重合または共重合により得られる基板、ポリチオウレタンポリマーおよびコポリマー、ポリエピスルフィドポリマーおよびコポリマー、ならびにこれらのポリマー、コポリマーのアロイから得られる基板が挙げられる。
ポリオールアリルカーボネート類の重合により得られる基板としては、エチレングリコールビス(アリルカーボネート)、ジエチレングリコールビス(2−メチルカーボネート)、ジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)、メチレングリコールビス(2−クロロアリルカーボネート)、トリエチレングリコールビス(アリルカーボネート)、1,3−プロパンジオールビス(アリルカーボネート)、プロピレングリコールビス(アリルカーボネート)、1,3−ブチレンジオールビス(アリルカーボネート)、1,4−ブチレンジオールビス(2−ブロモアリルカーボネート)、ジプロピレングリコールビス(アリルカーボネート)、トリメチレングリコールビス(2−エチルアリルカーボネート)、ペンタエチレングリコールビス(アリルカーボネート)、イソプロピレンビスフェノール−Aビス(アリルカーボネート)が挙げられる。
好ましいポリオールアリルカーボネートコポリマーは、PPGインダストリーにより商標名CR39(R)で販売されているジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)のコポリマーである。
本発明の基板にとって好ましい材料は、ポリチオウレタン類のホモポリマーまたはコポリマー、ポリスルフィド類のホモポリマーまたはコポリマー、ポリカーボネート類のホモポリマーまたはコポリマー、ポリチオ(メタ)アクリレート類のホモポリマーまたはコポリマー、およびこれらの混合物である。
ポリチオ(メタ)アクリレートベースの材料としては、仏国特許出願公開第2,734,827号明細書に記載されているもののようなチオ(メタ)アクリル酸モノマーの重合により得られるものが挙げられる。
本発明の基板用の材料として好適なポリチオ(メタ)アクリレート類のホモポリマーまたはコポリマーとしては、米国特許第4,689,387号明細書、米国特許第4,775,733号明細書、米国特許第5,191,055号明細書、米国特許第5,087,827号明細書、および、国際公開03/040205号パンフレットに記載されている。
本発明における好ましいポリチオウレタン材料は、1分子当たり2以上のイソシアネート基またはイソチオシアネート基、好ましくは2または3のイソシアネート基またはイソチオシアネート基、より好ましくは2つのイソシアネート基またはイソチオシアネート基、を有するポリイソシアネートまたはポリイシチオシアネートと、1分子当たり2以上のチオール基またはヒドロキシ基、好ましくは3または4のチオール基またはヒドロキシ基、を有するポリチオール化合物またはポリオール化合物と、の重付加により得られるものである。
これらのポリ(チオ)イソシアネート類、および、ポリオール化合物またはポリチオール化合物は、国際公開03/040205号パンフレットに具体的に記載されているようなモノマーまたはプレポリマーであってよい。
好ましいポリイソシアネート類またはイシチオシアネート類としては、下記式を有するものが挙げられる。
ここで、R1基は、互いに独立してHまたはC1〜C5アルキル基、好ましくはCH3またはC25である。R2はH;ハロゲン、好ましくはClもしくはBr;またはC1〜C5アルキル基、好ましくはCH3もしくはC25である。Zは−N=C=Xであり、XはOまたはS、好ましくはOである。aは1〜4の整数であり、bは2〜4の整数であり、a+b≦6である。xは1〜10の整数であり、好ましく1〜6の整数である。
好ましいポリイソ(チオ)シアネートモノマーとしては、トリレンジイソ(チオ)シアネート、フェニレンジイソ(チオ)シアネート、メチルフェニレンジイソ(チオ)シアネート、イソプロピルフェニレンジイソ(チオ)シアネート、ジエチルフェニレンジイソ(チオ)シアネート、ジイソプロピルフェニレンジイソ(チオ)シアネート、トリメチルベンジルトリイソ(チオ)シアネート、キシレンジイソ(チオ)シアネート、ベンジルトリイソ(チオ)シアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソ(チオ)シアネート、ナフタレンジイソ(チオ)シアネート、イソフォロンジイソ(チオ)シアネート、ビス(イソ(チオ)シアネートメチル)シクロヘキサン、ヘキサメチレンジイソ(チオ)シアネートおよびジシクロヘキシルメタンジイソ(チオ)シアネートが挙げられる。
ポリオールモノマーは、2以上のチオール基、好ましくは3または4のチオール基を有する好適なポリチオールであってよい。
これらのポリチオールモノマーは式R’(SH)n’で表される。
ここでn’は2〜6の整数、好ましくは3〜4の整数である。R’はn’と等しい原子価を有する有機基である。
そのようなポリオールモノマーは、欧州特許第1−394495号明細書、米国特許第4,775,733号明細書、米国特許第5,087,758号明細書、および米国特許第5,191,055号明細書に記載されている。
そのようなポリオールモノマーとしては、ペンタエリスリトールテトラキス(メルカプトプロピオネート)、1−(1’−メルカプトエチルチオ)−2,3−ジメルカプトプロパン、1−(2’−メルカプトプロピルチオ)−2,3−ジメルカプトプロパン、1−(3’−メルカプトプロピル−チオ)−2,3−ジメルカプトプロパン、1−(4’−メルカプトブチルチオ)−2,3−ジメルカプトプロパン、1−(5’−メルカプトペンチルチオ)−2,3−ジメルカプトプロパン、1−(6’−メルカプトヘキシルチオ)−2,3−ジメルカプトプロパン、1,2−ビス−(4’−メルカプトブチルチオ)−3−メルカプトプロパン、1,2−ビス−(5’−メルカプトペンチルチオ)−3−メルカプトプロパン、1,2−ビス−(6’−メルカプトヘキシル)−3−メルカプトプロパン、1,2,3−トリス−(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,2,3−トリス−(3’−メルカプト−プロピルチオ)プロパン、1,2,3−トリス−(2’−メルカプトエチルチオ)プロパン、1,2,3−トリス−(4’−メルカプトブチルチオ)プロパン、1,2,3−トリス−(6’−メルカプトヘキシルチオ)プロパン、メタンジチオール、1,2−エタンジチオール、1,1−プロパンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,3−プロパンジチオール、2,2−プロパンジチオール、1,6−ヘキサンチオール−1,2,3−プロパントリチオール、および、1,2−ビス−(2’−メルカプトエチルチオ)−3−メルカプトプロパンが挙げられる。
ポリチオール類としては、下記式を有するものが挙げられる。
好ましいポリチオールモノマーは、下記式を有するものである。
最も好ましいのはポリチオールAである。
本発明に好ましいポリウレタン類は、ジイソシアネートモノマーとポリチオールとから得られるものであり、最も好ましいのはキシリレンジイソシアネートC64(CH2NCO)2(XDI)とポリチオールAとから得られるものである。
本発明にとって特に好ましいポリウレタンベースの基板材料は、ミツイ(MITSUI)により名称MR7で販売されている材料である。
本発明による透明な光学部材の基板にとって他の好ましいカテゴリーの材料は、ポリエピスルフィド類、特にジエピスルフィド類のホモポリマーまたはコポリマーを含む。
そのようなホモポリマーおよびコポリマーは、欧州特許第761,665号明細書、欧州特許785,194号明細書、および、米国特許第6,204,311号明細書に記載れている。
基板にとって好ましいエピスルフィド化合物は、下記式を有する2以上の基を含むエピスルフィド化合物である。
ここでR3は1〜10の炭素原子を有する2価の炭化水素ラジカルである。R4、R5およびR6は、互いに独立して水素、または、1〜10の炭素原子を有する1価の炭化水素ラジカルである。XはSまたはOである。3員環を構成するS原子およびO原子の合計数に対するS原子の割合は平均50%以上である。
好ましいエピスルフィド基は下記式を有するものである。
特に好ましいエピスルフィド類は下記式を有する。
ここで、R4、R5およびR6、ならびにXは上記で定義した通りである。mは1〜6の整数である。nは0〜4の整数である。3員環を構成するS原子およびO原子の合計数に対するS原子の割合は平均50%以上である。
好ましいポリエピスルフィドベースの材料は、少なくとも1つの分子内ジスルフィド結合を有するジエピスルフィド化合物の重合または共重合により得られるものである。
ポリエピスルフィド化合物としては、ビス−(2,3−エピチオプロピル)ジスルフィド、ビス−(2,3−エピチオプロピルジチオ)メタン、ビス−(2,3−エピチオプロピルジチオ)エタン、ビス−(6,7−エピチオ−3,4−ジチアヘプタン)スルフィド、1,4−ジチアン−2,5−ビス−(2,3−エピチオプロピルジチオメチル)、1,3−ビス−(2,3−エピチオプロピルジチオメチル)ベンゼン、1,6−ビス−(2,3−エピチオプロピルジチオ)−2−(2,3−エピチオプロピルジチオエチルチオ)−4−チアヘキサン、1,2,3−トリス−(2,3−エピチオプロピルジチオ)プロパン、ビス−(β−エピチオプロピルチオ)メタン、1,2−ビス−(β−エピチオプロピルチオ)エタン、1,3−ビス−(β−エピチオプロピルチオ)プロパン、1,2−ビス−(β−エピチオプロピルチオ)プロパン、1−(β−エピチオプロピルチオ)−2−(β−エピチオプロピルチオメチル)プロパン、1,4−ビス−(β−エピチオプロピルチオ)ブタン、1,3−ビス−(β−エピチオプロピルチオ)ブタン、1−(β−エピチオプロピルチオ)−3−(β−エピチオプロピルチオメチル)ブタン、1,5−ビス−(β−エピチオプロピルジチオ)ペンタン、1−(β−エピチオプロピルチオ)−4−(β−エピチオプロピルチオメチル)ペンタン、1,6−ビス−(β−エピチオプロピルチオ)ヘキサン、1−(β−エピチオプロピルチオ)−5−(β−エピチオプロピルチオメチル)ヘキサン、1−(β−エピチオプロピルチオ)−2−[(β−エピチオプロピルチオエチル)チオ]エタン、1−(β−エピチオプロピルチオ)−2−[[2−(2−β−エピチオプロピルチオエチル)チオエチル]チオ]エタン;テトラキス−(β−エピチオプロピルチオメチル)メタン、1,1,1−トリス−(β−エピチオプロピルチオメチル)プロパン、1,5−ビス−(β−エピチオプロピルチオ)−2−(β−エピチオプロピルチオメチル)−3−チアペンタン、1,5−ビス−(β−エピチオプロピルチオ)−2,4−ビス−(β−エピチオプロピルチオメチル)−3−チアペンタン、1−(β−エピチオプロピルチオ)−2,2−ビス−(β−エピチオプロピルチオメチル)−4−チアヘキサン、1,5,6−トリス−(β−エピチオプロピルチオ)−4−(β−エピチオプロピルチオメチル)−3−チアヘキサン、1,8−ビス−(β−エピチオプロピルチオ)−4−(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス−(β−エピチオプロピルチオ)−4,5−ビス−(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス−(β−エピチオプロピルチオ)−4,4−ビス−(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス−(β−エピチオプロピルチオ)−2,4,5−トリス−(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス−(β−エピチオプロピルチオ)−2,5−ビス−(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,9−ビス−(β−エピチオプロピルチオ)−5−(β−エピチオプロピルチオメチル)−5−[2−(β−エピチオプロピルチオエチル)チオメチル]−3,7−ジチアノナン、1,10−ビス−(β−エピチオプロピルチオ)−5,6−ビス−[2,β−エピチオプロピルチオエチルチオ]−3,6,9−トリチアデカン、1,11−ビス−(β−エピチオプロピルチオ)−4,8−ビス−(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス−(β−エピチオプロピルチオ)−5,7−[(2−β−エピチオプロピルチオ)チオメチル]−3,6,9−トリチアデカン、および、1,11−ビス−(β−エピチオプロピルチオ)−4,7−ビス−(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン;上記の化合物中のエピスルフィド基から少なくとも1つの水素原子をメチル基で置換した化合物、1,3−ビス−(β−エピチオプロピルチオ)シクロヘキサン、1,4−ビス−(β−エピチオプロピルチオ)シクロヘキサン、1,3−ビス−(β−エピチオプロピルチオメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス−(β−エピチオプロピルチオメチル)シクロヘキサン、ビス−[4−(β−エピチオプロピルチオ)シクロヘキシル]メタン、2,2−ビス−[4−(β−エピチオプロピルチオ)シクロヘキシル]プロパン、ビス−[4−(β−エピチオプロピルチオ)シクロヘキシル]スルフィド 2,5−(β−エピチオプロピルチオエチルチオメチル)−1,4−ジチアン、および、2,5−(β−エピチオプロピルチオエチルチオメチル)−1,4−ジチアンのような脂環式化合物、および、上記の化合物中のエピスルフィド基から少なくとも1つの水素原子をメチル基で置換することにより得られる化合物、ならびに、1,3−ビス−(β−エピチオプロピルチオ)ベンゼン、1,4−ビス−(β−エピチオプロピルチオ)ベンゼン、1,3−ビス−(β−エピチオプロピルチオメチル)ベンゼン、1,4−ビス−(β−エピチオプロピルチオメチル)ベンゼン、ビス−[4−(β−エピチオプロピルチオ)フェニル]メタン、2,2−ビス−[4−(β−エピチオプロピルチオ)フェニル]プロパン、ビス−[4−(β−エピチオプロピルチオ)フェニル]スルフィド、ビス−[4−(β−エピチオプロピルチオ)フェニル]スルホン、および、4,4’−ビス−(β−エピチオプロピルチオ)ビフェニルのような芳香族有機化合物が挙げられる。
好ましいジエピスルフィドは、下記式を有するモノマーである。
他の特に好ましいジエピスルフィドは、下記式を有するモノマーである。
以下本明細書において、用語「マスクコーティング組成物の直接デポジション」とは、研削および研磨を施した後、いかなるプロセスも施されていない、または、細い表面仕上げ加工によるスクラッチに感知できるほどの影響を及ぼすことのない物理プロセスまたは化学プロセスが施された主面にマスクコーティング組成物をデポジットさせることを意味する。
使用可能な物理プロセスとしては、特に基板に対するマスクコーティングの接着性を向上させるために、コロナ放電プロセス、プラズマプロセスまたは紫外プロセスのような従来のプロセスが挙げられる。
化学プロセスとしては、酸または塩基を用いた従来のプロセス、特に、水酸化ナトリウム溶液を用いたプロセスが挙げられる。また、研削され、研磨された主面に厚さ5nm以下のカップリング剤の薄層を施与することも可能である。しかし、本発明による目視可能な表面仕上げ加工によるスクラッチが存在しない透明部材は、カップリング剤の薄層を含まないことが好ましい。
好ましいカップリング剤は、エポキシアルコキシシランおよび不飽和アルコキシシラン、好ましくは末端エチレン二重結合を有する不飽和アルコキシシランの予め濃縮させた溶液である。これらのカップリング剤は、磨耗防止コーティング用の組成物の使用の場面で以下により詳細に記載する。
本発明によるマスクコーティング組成物は、基板の主面に対する接触角が30°以下、好ましくは25°以下、最も好ましくは20°以下で、重合により厚さ10μm未満のマスクコーティングを形成した際に、屈折率ncが0.01<|ns−nc|≦0.15であり、好ましくは0.05≦|ns−nc|≦0.15であり、あらゆる目視可能な表面仕上げ加工による線、特に、細い独立したスクラッチを除去する、あらゆる重合性の、特に光重合性または熱重合性の液状組成物であってよい。
好ましくは、基板の主面に対するマスクコーティング組成物の接触角は2〜17°であり、より好ましくは5〜15°である。
好ましくは、マスクコーティングは、1.5〜8μm、好ましくは、2〜5μmの厚さを有する。
好ましくは、マスクコーティング組成物は、(メタ)アクリレート化合物を全く含まない。
好ましいマスクコーティング組成物は、エポキシベースの化合物の組成物であり、特に、ジエポキシ化合物であり、特に、例えば、ブタンジオールのジグリシジルエーテルのようなアルカンジオールのジグリシジルエーテル類;随意にハロゲン化された、特に、臭素化された、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル、テトラブロモビスフェノールAのジグリシジルエーテルのようなビスフェノール類のジグリシジルエーテル類、およびこれらの混合物である。
好ましいエポキシ化合物としては、下記式を有するエポキシ化合物、および、それらの混合物が挙げられる。
本発明のマスクコーティング組成物は、一般に、組成物の粘度、および、基板の主面に対する組成物の濡れ性を調節するため、希釈溶媒または希釈溶媒の混合物を含む。
本発明によるマスクコーティング組成物に好適な溶媒は、アルコール類、エステル類、ケトン類、テトラヒドロピラン、およびこれらの混合物のような従来の有機溶媒から選択することができる。以下が挙げられる。
‐メタノール(CH3OH、カルロエルバ(Carlo Erba)
‐1−プロパノール(CH3CH2CH2OH、VWRインターナショナル)
‐1−メトキシ−2−プロパノール(CH3CH(OH)CH2OCH3、シグマアルドリッチ)
‐2−メチル−2−ブタノール((CH32C(OH)CH2CH3、シグマアルドリッチ)
‐ブトキシエタノール(CH3(CH23OCH2CH2OH、シグマアルドリッチ)
‐およびこれらの溶媒の混合物。
好ましくは、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン((CH32C(OH)CH2COCH3、VWRインターナショナル)、および、エチレングリコールDOWANOLPM(ダウケミカル)が選択される。
マスクコーティング組成物は、希釈された状態で、一般に、1または複数のエポキシ化合物の希釈された組成物の合計質量に対して10〜90質量%含まれる。
好ましくは、本発明によるマスクコーティング組成物は、1または複数の開始剤、特に組成物のカチオン重合を誘導する開始剤、特に、光カチオン重合を誘導する開始剤を含む。カチオン開始剤の具体例は、芳香族類および芳香族炭化水素の鉄塩錯体(iron arene salts complex)である。好適な光開始剤は、米国特許第3,981,897号明細書、第4,058,401号明細書、4,101,513号明細書、4,138,255号明細書、第4,161,471号明細書、および国際公開94/10230号パンフレットに記載されている。
本発明によるマスクコーティング組成物にとって好適な感光性の芳香族オニウム塩として、アリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート類、ヘキサンアンチモン酸類、トリフェニルセレノニウム、および、ビス(4−ドデシルフェニル)ヨウ化物が挙げられる。カチオン開始剤は、IRGACURE261およびUVI6971の商標名でチバガイギーから販売されている。好ましいカチオン開始剤は下記構造を有する。
一般に、本発明によるマスクコーティング組成物中に存在するカチオン重合開始剤の量は、コーティング組成物の合計質量に対して0.1〜5質量%である。
他の好ましいマスク組成物は、エポキシシラン類の加水分解物ベースの組成物のようなゾル/ゲルタイプの組成物である。
好ましいエポキシアルコキシシラン類は、1つのエポキシ基と、3つのアルコキシ基を含み、後者はケイ素原子に直接結合している。
好ましいエポキシアルコキシシランは、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランのような、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)基を有するアルコキシシランである。
特に好ましいエポキシアルコキシシラン類は、下記式(I)を有する。
ここで、R1は1〜6の炭素原子を有するアルキル基であり、好ましくメチル基またはエチル基である。
2はメチル基または水素原子である。
aは1〜6の整数である。
bは0、1または2である。
そのようなエポキシシラン類の具体例は、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシランまたはγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランである。
また、本発明によるマスクコーティング組成物は、コロイド類、特に反射率n25 Dが1.54以上の高反射率を有するコロイド類、より具体的には、SiO2、TiO2、ZrO2、SnO2、Sb23、Y23、Ta25のコロイド類、およびこれらの混合物のような金属酸化物のコロイド類を含んでもよい。
好ましいコロイド類は、SiO2、TiO2、およびこれらの混合物である。好ましい粒子は、以下の酸化物ベースの複合粒子である。
SiO2/TiO2、SiO2/ZrO2、およびSiO2/TiO2/ZrO2
好ましくは、TiO2はルチル結晶構造を有する。
特に好ましいコロイド類は、TiO2がルチル結晶構造を有する、TiO2/ZrO2/SiO2/SnO2の複合物のコロイド類から選択される鉱物コロイドである。
そのようなコロイドは、カタリスツアンドケミカルカンパニー(Catalysts and Chemical Company)から入手できる。
特に推奨される複合粒子は、欧州特許730168号明細書、特開平11−310755号公報、特開2002−04301号公報、特開2002−363442号公報に記載されている。
好ましくは、マスクコーティング組成物は、アナターゼ結晶構造のTiO2を含まず、アナターゼ結晶構造のTiO2、および、TiO2がアナターゼ結晶構造のSiO2/TiO2/ZrO2複合物から選択される鉱物コロイドを含むγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランベースのワニスを形成しない。
一般にコロイド粒子のサイズは、10〜80nmであり、好ましくは10〜30nmである。
特に、鉱物酸化物は、サイズが小さい粒子、すなわち、10〜15nmの粒子と、サイズが大きい粒子、すなわち、30〜80nmの粒子の混合物を含んでもよい。
鉱物酸化物コロイドの混合物の場合、少なくとも1つの低屈折率酸化物(1.54未満)を含むことが好ましい。低屈折率酸化物/高屈折率酸化物の質量比は、一般に20/80〜80/20であり、好ましくは30/70〜70/30であり、より好ましくは40/60〜60/40である。
一般に、本発明によるマスクコーティング組成物は、コロイドを5〜50質量%含むことができる。
マスクコーティング組成物は、スピンコーティングまたはディップコーティングによりデポジットさせる。
また、好ましくは、本発明の方法は、マスクコーティング上に1または複数の機能性コーティング、すなわち、耐衝撃性、摩耗防止、反射防止のような、部材に様々な好ましい光学特性または機械特性を付与するコーティングを形成する工程を含む。
したがって、一般に、マスクコーティングを摩耗防止層で直接覆うことができ、または、マスクコーティングを部材の耐衝撃性を改善するプライマー層で覆い、その上に摩耗防止層を形成することができる。また、プライマー層は磨耗防止層の固定(anchoring)を改善する。また、磨耗防止層上に反射防止コーティングをデポジットさせることもでき、また、最後に、反射防止コーティングを疎水性および疎油性(oleophobic)の汚れ防止コーティングでコートすることもできる。
マスクコーティング、プライマーコーティング、または磨耗防止コーティング層は、UV吸収剤、顔料、およびフォトクロミック顔料のような異なるタイプの添加剤を含むことができる。
最終的な眼用レンズにフォトクロミック特性を付与することが必要な場合、本発明の好適態様は、基板上にマスクコーティングをデポジットさせ、その後、該マスクコーティング上にフォトクロミック顔料を含むポリウレタンプライマーコーティングをデポジットさせる。
プライマー層が存在する場合、光学分野、特に眼用分野で従来使用されるいずれかのプライマー層であってよい。
通常、これらのプライマーコーティング、特に、耐衝撃プライマーコーティングは、(メタ)アクリルポリマー、ポリウレタン、またはポリエステルベースのコーティング、または、エポキシ/(メタ)アクリル共重合体ベースのコーティングである。
(メタ)アクリルポリマーベースの耐衝撃コーティングは、米国特許5,015,523号明細書、第5,619,288号明細書に記載されている。一方、熱可塑性で網目状のポリウレタン樹脂ベースのコーティングは、特開昭63−141001号公報、特開昭63−872223号公報、欧州特許第040411号明細書、米国特許第5,316,791号明細書に記載されている。
特に、本発明の耐衝撃プライマーコーティングは、例えば、仏国特許願2,790,317号明細書に記載されているようなポリウレタンラテックスと、ポリエステルラテックスと、のコア−シェルタイプを含む、ポリ(メタ)アクリルラテックスから製造することができる。
特に好ましい耐衝撃プライマーコーティング組成物としては、ゼネカ(Zeneca)によりA−639の名称で販売されるアクリルラテックス、バクセンデン(Baxenden)によりX−240およびW−234の名称で販売されるポリウレタンラテックスが挙げられる。
粒子サイズ50nm以下のラテックス類が好ましく選択され、粒子サイズ20nm以下のラテックス類がより好ましい。
特に好ましいラテックス類はポリウレタンラテックス類である。
一般に、硬化後、耐衝撃プライマー層は、0.05〜20μmの厚さを有し、好ましくは、0.5〜10μm、より好ましく0.5〜2μmである。
一般に、プライマー層は1.47〜1.55の屈折率を有し、好ましくは1.51〜1.53である。
ラテックス耐衝撃プライマーコーティングの形成は、マスクコーティング上にラテックスをデポジットさせること、および該ラテックスを少なくとも部分的に硬化させることを含む。
磨耗防止コーティングは、光学分野、特に、眼用光学分野で従来使用されるいずれかの磨耗防止コーティングであってよい。
磨耗防止コーティングは、定義上、該磨耗防止コーティングを含まない同じ部材と比較した場合に、仕上げ加工された光学部材の耐磨耗性を改善するコーティングである。
好ましい磨耗防止コーティングは、1または複数のエポキシアルコキシシラン類、またはそれらの加水分解物、二酸化ケイ素、および硬化触媒を含む組成物を硬化することにより得られる。そのような組成物の具体例は、国際公開94/10230号パンフレット、米国特許4,211,823号明細書、第5,015,523号明細書および欧州特許第614957号明細書に記載されている。
特に好ましい磨耗防止コーティング組成物は、主成分として、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GLYMO)のようなエポキシアルコキシシラン、例えば、ジメチルジエトキシシラン(DMDES)のようなジアルキルジアルコキシシラン、コロイダルシリカ、および、アルミニウムアセチルアセトネートのような触媒量の硬化触媒、または、これらの成分の加水分解物を含む。組成物の残りは、実質的に、これら組成物を構成するのに従来使用される溶媒、および、随意に、1または複数のテンジオアクティブ剤(tensioactive agent)を含む。
磨耗防止コーティングの接着性を改善するため、磨耗防止コーティング組成物は、随意に、有効量のカップリング剤を含むことができる。
このカップリング剤は、通常、エポキシアルコキシシラン、および、不飽和アルコキシシラン、好ましくは、末端エチレン二重結合を含む不飽和アルコキシシランの予め濃縮させた溶液である。
エポキシアルコキシシラン類の具体例は、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルペンタメチルジシロキサン、γ−グリシドキシプロピルメチルジイソプロペノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジメトキシエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジイソプロピルエトキシシラン、および、γ−グリシドキシプロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシランである。
好ましいエポキシアルコキシシランは、(γ−グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン)である。
不飽和アルコキシシランは、ビニルシラン、アリルシラン、アクリルシランまたはメタクリルシランであってよい。
ビニルシランの具体例は、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリスイソブトキシシラン、ビニルトリ−t−ブトキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルメチルジアセトキシシラン、ビニルビス(トリメチルシロキシ)シランおよびビニルジメトキシシランである。
アリルシラン類の具体例は、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシランおよびアリルトリス(トリメチルシロキシ)シランである。
アクリルシラン類の具体例は、3−アクリロキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルビス(トリメチルシロキシ)シラン、3−アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、n−(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)−3−アミノプロピルトリエトキシシランである。
メタアクリルシラン類の具体例は、3−メタクリロキシプロピルトリス(ビニルジメトキシシロキシ)シラン、3−メタクリロキシプロピルトリス(トリメチルシシロキシ)シラン、3−メタクリロキシプロピルトリス(メトキシエトキシ)シラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルペンタメチルジシロキサン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、3−メタクリロキシプロペニルトリメトキシシランおよび3−メタクリロキシプロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシランである。
好ましいシランは、アクリロキシプロピルトリメトキシシランである。
通常、磨耗防止コーティング組成物に導入するカップリング剤の量は、該組成物の合計質量に対して0.1〜15質量%であり、好ましくは1〜10質量%である。
磨耗防止コーティングの硬化後の厚さが、通常、1〜15μmであり、好ましくは2〜6μmである。
耐衝撃プライマーコーティング組成物、および、磨耗防止コーティング組成物は、熱および/または照射により、好ましくは熱により硬化させることができる。
耐衝撃プライマーコーティング層および磨耗防止コーティング層は、ディップコーティングまたはスピンコーティング、好ましくはスピンコーティングのような従来の方法で形成することができる。そのため、これらの層を形成するための組成物はゾル−ゲル組成物が好ましい。
本発明の方法は、随意に、磨耗防止コーティング層上への反射防止コーティングのデポジションを含むことができる。
反射防止コーティングは、光学分野、特に、眼用光学分野、で従来使用される反射防止コーティングであってよい。
例えば、反射防止コーティングは、SiO、SiO2、Si34、TiO2、ZrO2、Al23、MgF2若しくはTa25、またはそれらの混合物のような誘電材料の単層膜または多層膜を含んでもよい。
この方法により、レンズと空気の界面での反射の出現を防止できる。
この反射防止コーティングは、一般に、以下の手法の1つにより真空中でデポジットさせることにより適用される。
随意にイオンビームでアシストされた蒸発(evaporation)による。
イオンビームによる噴霧(atomizing)による。
陽極スパッタリングによる。
プラズマでアシストされた気相化学でデポジションによる。
真空デポジションと同様に、ゾル−ゲルルートにより鉱物層のデポジット(例えば、テトラエトキシシランの加水分解物に基づく)も想定することができる。
膜が単層の場合、その光学厚さはλ/4に等しい必要がある(λは450〜650nmの波長)。
3層よりなる多層膜の場合、各層の光学厚さがλ/4、λ/2、λ/4の組み合わせ、またはλ/4、λ/4、λ/4の組み合わせを使用できる。
本発明の推奨される態様において、本発明の方法はマスクコーティングと耐衝撃プライマーコーティングとの間に1層または複数層の干渉縞防止コーティングの形成を含む。該干渉縞防止コーティングの層は各々、400〜700nm、好ましくは450〜650nmの領域において、1/4波長板を構成することが好ましい。
そのような1/4波長板の光学特性および幾何学的特性は下記式により与えられる。
n=(nc×np1/2
n.e=λ/4
ここで、nは1/4波長板の25℃での波長λ=550nm(眼の最大感度に対応する波長)に対する屈折率である。
cはマスクコーティングの25℃での波長λ=550nmに対する屈折率である。
pは1/4波長板と直接接する耐衝撃プライマーコーティングの25℃での波長λ=550nmに対する屈折率である。
言い換えると、1/4波長板の屈折率nは周囲の材料の屈折率の幾何学的平均である。
1/4波長板を形成する干渉縞防止コーティングの層は、好ましくは、一般にSiO2、TiO2、ZrO2、SnO2、Sb23、Y23、Ta25およびそれらの混合物から選択される少なくとも1つの鉱物酸化物コロイドを含む。好ましい鉱物酸化物コロイドは、SiO2、TiO2、ZrO2、ならびに、それらの混合物であるSiO2/TiO2、およびSiO2/ZrO2である。
好ましいコロイダルシリカ類は、ストーバー法(Stober method)により調製されるシリカ類である。ストーバー法は、単純で周知の方法であり、アンモニアゴムを触媒とした、エタノール中でのエチルテトラシリケート(Si(OC254またはTEOS)の加水分解および凝縮からなる。この方法は、エタノール中に実質的に単分散の粒子群で、粒子サイズおよび(SiO-NH4+)粒子面が調整可能なシリカを直接得ることができる。
鉱物酸化物コロイドの混合物の場合、該混合物は少なくとも1つの高屈折率酸化物、すなわち、屈折率n25 Dが1.54以上の酸化物と、少なくとも1つの低屈折率酸化物、すなわち、屈折率n25 Dが1.54未満の酸化物と、を含む。好ましくは、鉱物酸化物の混合物は、2元系の混合物、具体的には、高屈折率酸化物と低屈折率酸化物との2元系の混合物である。一般に、低屈折率酸化物/高屈折率酸化物の質量関係は20/80〜80/20であり、好ましくは30/70〜70/30であり、より好ましくは40/60〜 60/40である。
鉱物酸化物の粒子のサイズは、一般に、10〜80nmであり、好ましくは30〜80nmであり、より好ましくは30〜60nmである。
特に、鉱物酸化物は、サイズが小さい粒子、すなわち10〜15nmの粒子と、サイズが大きい粒子、すなわち30〜80nmの粒子と、の混合物で構成してもよい。
通常、コロイド状の鉱物酸化物の各層は、60〜100nmの厚さを有し、好ましくは70〜90nmであり、より好ましくは80〜90nmである。この厚さは、干渉縞の減衰の最適な結果のために、光学部材に使用される材料を考慮して、1/4波長板の理論上の厚さに可能な限り近づける必要があると理解される。
鉱物酸化物のコロイドの層は、好ましくは通常、最終的な1/4波長板の光学特性に悪影響を及ぼすことがなく、マスクコーティング表面に対する鉱物酸化物の粒子の結合を向上させるポリマー材料を含む。
結合剤は、通常、上述した耐衝撃プライマーコーティング組成物に類似の材料である。
好ましい結合剤は、ポリウレタンラテックス類および(メタ)アクリルラテックス類であり、特にポリウレタンラテックス類である。
結合剤は、干渉縞防止コーティングを形成するため、鉱物酸化物コロイドの組成物に、全て、若しくは、一部、添加することができる。また、直後にデポジットされる耐衝撃プライマーコーティングの材料で1または複数の鉱物酸化物層の孔を充填することにより結合剤を誘導することもできる。
そのようにして、マスクコーティング上に1または複数の鉱物酸化物コロイドの層を形成することができる。この鉱物酸化物の層は、結合剤が存在しない場合、耐衝撃プライマーコーティング層のポリマー材料を充填する前で、層の合計体積に対して少なくとも40体積%、好ましくは50体積%の空隙率を有する。また、コロイド状の鉱物酸化物の層が少なくとも1つの結合剤を含む場合(例えば、該層の鉱物酸化物の乾燥質量に対して1〜30質量%、好ましくは10〜25質量%、より好ましくは10〜20質量%)、耐衝撃プライマーコーティング組成物のポリマー材料を充填する前で好ましくは少なくとも25体積%、より好ましくは少なくとも30体積%の空隙率を有する。
マスクコーティング上への鉱物酸化物コロイドの層のデポジットは、鉱物酸化物コロイドゾルのディップコーティングまたは該ゾルのスピンコーティング、好ましくはディップコーティングにより実施することができる、
ディップコーティングによりデポジットさせる場合、デポジットされる厚さは該ゾル中の乾燥成分の割合、粒子のサイズ、および、ディウェッティング(dewetting)の速度の関数である(ランドー−レビッチ則(Landau−Levich Law))。したがって、該ゾルの組成、該粒子のサイズ、マスクコーティングの屈折率およびプライマーコーティングの屈折率を知ることにより、鉱物酸化物コロイド層の必要な厚さ、および、必要な厚さを得るために好適なディウェッティング速度を決定することができる。
デポジットさせた層を乾燥させた後、必要な厚さを有するポーラスの鉱物酸化コロイドの層が得られる。該層の空隙率は重要な基準であり、結合剤が存在しない場合、少なくとも40体積%であり、好ましくは少なくとも50体積%である。一方、結合剤が存在する場合、少なくとも25体積%であり、好ましくは少なくとも30体積%である。層の空隙率は、偏光解析法により測定される層の屈折率から計算することができる。
結合剤を含まない層の場合
ポーラスの鉱物酸化物コロイド層の空隙率pは下記式で表される。
ここで、Vpは層中のポアの体積であり、Voxは層中で鉱物が占める体積である。
層の空隙率pは、ここでは結合剤が存在しない場合の空隙率と等しい。
空隙率の程度は、下記屈折率および下記式から計算される。
‐nm:(楕円偏光法により測定される)ポーラスの鉱物層の空隙率
‐nox:鉱物酸化物粒子の平均屈折率(複数の酸化物を使用する場合、随意に混合される)
m 2=p+nox 2(1−p)
ここで、pはポアの体積の割合であり、ポアは空気で満たされていると仮定する。1−pは鉱物酸化物の体積の割合である。
屈折率は25℃で632nmの波長について測定した。
結合剤を含む層の場合
層の空隙率pは下記式で計算される。
(1)nm 2=p+xox 2ox 2+xl 2l 2
ここで、noxはポーラスの鉱物酸化物層の屈折率であり、pは層の空隙率=Vp/Vtotalであり、xoxは層中の鉱物の体積の割合、xox=Vox/Vtotalであり、xlは層中の結合剤の体積による割合、xl=Vl/Vtotalである。
p、Vox、Vl、Vtotalは、それぞれポア(空気)の占める体積、鉱物酸化物の占める体積、結合剤の占める体積、層全体の体積を表す。
oxは鉱物酸化物粒子の屈折率であり、nlは結合剤の屈折率である。
(2)p+xl+xox=1
(3)xl/xox=ml/mox×(dox/dl
ox=鉱物酸化物の密度
l=結合剤の密度
l=層中の結合剤の乾燥質量
ox=層中の鉱物酸化物の乾燥質量
結合剤が存在しない場合の空隙率はp’=p+xlで定義される。すなわち、結合剤の体積が空気で占められた場合の層の空隙率である。
pおよびp’は楕円偏光法によりnを測定することよって得られ、屈折率noxおよびnlは公知であり、比率ml/moxは実験的に決定される。
異なる屈折率は25℃で632nmの波長を用いて測定した。
以下の実施例により本発明を説明する。
実施例において、別のやり方で記載しない限りパーセントは全て質量パーセントであり、屈折率は25℃で波長λ=550nmを用いて測定したものである。
半製品の球状の眼用レンズに以下に示す表面仕上げ処理を施した。なお、該レンズはベース(ベース=530/R(mm)、ここで、Rはレンズの曲率半径である)が6.75であり、ミツイ(MITSU)により販売されるMR7材料(ポリチオウレタンベース)製であり、屈折率nD 25が1.660であり、倍率が−6.00ジオプターである。
凹面または凸面の表面仕上げ加工は以下のように実施した。
・シュナイダーHSC100マシーンでの機械加工。仕上げ加工は径2mmの単一の結晶ダイヤモンドツールを用いて、回転速度600rpm以下、前方への移動0.04mm/rev以下、切断深さ0.1mmで実施した。
・シュナイダーCCP101マシーンでの研磨。研磨パッドは織物(in flocked fabric)である。研磨剤はPOLILENS+タイプのアルミナである。仕上げ加工のため、ツールを900pmで回転させた。ピストン内部の気圧は1barを示した。
面仕上げ加工後の眼用レンズの最終的な倍率は、+6.00ジオプター、増加分(addition)3.50ジオプターである。
その後、下記表1に示すように、研削され、研磨されたレンズに異なるコーティングをデポジットさせた。
マスクコーティング組成物のデポジション
凹面に面仕上げ加工した際には凹面上に、凸面に面仕上げ加工した際は凸面上に、スピンコーティングによりマスクコーティング組成物をデポジットさせた。
マスクコーティング組成物M1のデポジションのためのスピンコーティング速度は2300rpmであり、得られた厚さは2.3μmである。
マスクコーティング組成物M2のデポジションのためのスピンコーティング速度は2500rpmであり、得られた厚さは2μmである。
マスクコーティングは、LH6フュージョンランプ(バルブD、VまたはH)により硬化させた。
マスクコーティング組成物M1(VVRインターナショナル)は、DGEBF(ビスフェノールFのジグリシジルエーテル)58モル%、DEGBA(ビスフェノールAのジグリシジルエーテル)42モル%からなる組成物であり、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン(CH32C(OH)CH2COCH3で50質量%に希釈した。
マスクコーティング組成物M2(VVRインターナショナル)は、DEGBA(ビスフェノールAのジグリシジルエーテル)からなる組成物であり、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン(CH32C(OH)CH2COCH3(HMP)で50質量%に希釈した。
DGEBF=ビスフェノール−Fのジグリシジルエーテル
DGEBA=ビスフェノール−Aのジグリシジルエーテル
カチオン開始剤**:下記式の混合物。
干渉縞防止層のデポジット
最終的な屈折率が0.580で厚さが87nmの干渉縞防止層を作製した。
そのような層は、欧州特許出願公開第1362246号明細書の実施例8〜13の操作パラメータにしたがって作製することができる。
耐衝撃プライマーコーティングP1のデポジット
マスクコーティングおよび随意に干渉縞防止層を堆積させた後、部材をバクセンデン(BAXENDEN)のポリウレタンラテックスW234を含むプライマーコーティングPに5℃で4分間浸漬させた。部材を取り出した後、プライマーコーティングを80℃で20分間乾燥させ、15分間冷却させた。
磨耗防止組成物HC1の堆積
組成物Pから生じたプライマーコーティングでコートされたレンズを磨耗防止コーティングHC1の組成物に5℃で4分間浸漬させた。
その後、組成物HC1をベークした。
このようにして、両面にプライマーコーティング層と磨耗防止ハードコーティング層を有する部材が得られた。
磨耗防止コーティングHC1は、以下の手順で調製した。
0.1NのHCl 80.5部を、γ−グリシドキシプロピルトリメチロキシシラン(GLYMO)224部およびジメチルジエトキシシラン(DMDES)120部を含む溶液に滴下した。
溶液は室温で24時間攪拌し、その後、30%コロイダルシリカ(メタノール中)718部、アルミニウムアセチルアセトネート15部およびエチルセロソルブ44部を添加した。少量のテンジオアクティブ剤(tensioactive agent)を添加した。
理論上、組成物HC1の乾燥抽出物は、約13%の加水分解されたDMDESからの固形成分を含む。
組成物HC1の硬化させたコーティングの屈折率は1.49である。
磨耗防止コーティングHC2のデポジション
磨耗防止コーティングHC2は、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの加水分解物およびTiO2/ZrO2/SiO2の混合コロイドをベースとするコーティング組成物の硬化により得られる高屈折率(1.60)コーティングである。
得られた眼用レンズ上の光学欠陥の存在は、後述するプロトコルにより評価した。
デラマーレ(Delamare)により供給されるプログレッシブレンズ(+6.00、増加分(addition)3.00(flocked pad)
ポリスピードタイプ(polispeed type Ferroブランドの研磨液
基板MR7に対するプライマーコーティングPの接触角は42.7°
実施例5,6:異なる接触角を有するコーティング組成物のデポジット
組成物M2からHMP溶媒(4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン((CH32C(OH)CH2COCH3)の濃度が異なる2つの組成物、溶液M3(M2をHMP中70質量%に希釈)、および、溶液M4(M2をHMP中30質量%に希釈)を調製した。これにより屈折率1.67を有する基板に対する組成物の接触角を変えることができる。
第1に、モールドされたバイプレーン(biplane)1.67眼用レンズ上のワニスM3およびM4の接触角を測定した。プロトコルは以下の通り。
使用された装置はGBXインストゥルメンテーションサイエンティフィックにより製造されたDIGIROPである。これは、接触角と濡れ性を自動的に測定する装置である。DIGIROPはカメラ、画像解析および処理システム、ならびに測定プログラムからなる。
ドロップマイクロコントローラは、ビデオコントロールモニタを用いて、正確な体積の液体を簡単にデポジットすることを可能にする。基板は、自動的または手動で液体と接触させられ、表面張力による力以外の外力による影響が排除される。そのようにして濡れ性の現象が明確に識別される。カメラおよびマクロカメラレンズからなるDIGIDROP光学システムは、収差なしにドロップ(drop)の拡大された正確な画像を与える。ソフトウェアは、その後、ドロップのデジタル化された画像を解析して、その幾何学的特長を決定する。固体の表面と、液体の表面への接線と、の間の角度に相当する接触角θは、そのようにして決定することができる。
その後、実施例1〜4のために、上述した表面仕上げ加工により得られたプログレッシブレンズ(基材:MR7製、屈折率nD 25:1.660、ジオメトリー:+6.00(増加分3.50))の凸面に、マスクコーティングM3およびM4をスピンコーティングによりデポジットさせた。マスクコーティングM3およびM4の粘度が、カバーリングパワーの結果(the result of covering power)に影響しないように、スピンコーティングによるデポジットと、UV重合と、の間に減衰時間を与える。組成物の重合後のコーティングの厚さは4μmである。
プライマーコーティングPおよび磨耗防止ワニスHC1をデポジットさせた後、後述するプロトコルにしたがって、レンズの表面欠陥(線、表面に存在するスクラッチ)を透過中に観察した。
光学欠陥測定のためのプロトコル
透過中の測定装置である測定装置、および、測定の説明図が図3に示される。
測定装置は、光源(5)を含む細長い形状の透明な壁面(4)、および、スリット形状で光源(5)を平行に位置する開口部(6)を有する容器(receptacle)(3)よりなる。
光源(5)は開口部(6)に比べて中心からずれた位置にあり、該開口部(6)の反対側の観察位置から見た観察者(7)からは、光源の全体がほとんど隠れている。
表面の欠陥を検査するためのレンズ(8)は、開口部(6)の反対側で、該光源(5)から約200mmの距離の観察ゾーン(observation zone)(9)に位置し、レンズ(8)の光軸(図示しない)は観察者(7)の見る方向と平行となる。
測定を行う観察者は、各々の眼に10/10のビジョン(vision)を有し、観察者の眼の観察されるレンズから約500mmの位置に置いた。
観察者(7)がビジョンの各領域を見る際、観察者(7)とレンズ(8)を図4に示すセットアップに正確に配置した。
レンズ(8)は、開口部(6)の正面に置き、上述したように配置した。
検査ゾーン(10)は、その上部がレンズ(8)を通して見える光源(5)の端部(11)により縁取りされ、その下部がレンズ(8)を通して見える開口部(6)の下端(12)およびレンズ(8)の端部(13)に縁取りされる。
図4に示すように、検査ゾーン(10)は、レンズ(8)の表面の約1/3を示す。
レンズ(8)は、その光学面全体が検査ゾーン内に見えるように再配置される。
測定を実施する室内の環境光は60〜130ルクスである必要がある。
観察ゾーン(9)内の光は、600〜1200ルクスである必要がある。
レンズ(より一般的には、本発明の透明材料の部材)は、レンズの検査を4〜8秒間実施した際に、上述したような測定条件において、上述したように観察者により欠陥が見えない場合、目視可能な表面仕上げによる欠陥が存在しない、または、目視可能な表面仕上げによる線が存在しないと言うことができる。
本発明の態様は以下であってもよい。
〔1〕目視可能な表面仕上げ加工による線が存在しない透明部材を得る方法であって、該方法は、
屈折率n を有する透明材料製で、少なくとも1つの主面が0.001〜0.01μmのRa値になるよう研削され、かつ研磨されているが、細い独立したスクラッチ状の目視可能な表面欠陥を該主面が有する基板を得る工程;
前記基板の前記研削され、かつ研磨された主面に、0.01<|n −n |≦0.15である屈折率n を有し、厚さが10μm未満であるマスクコーティングを重合により形成する、液状で重合性のマスクコーティング組成物を、該組成物の該基板との接触角が30°以下の状態で、直接デポジットする工程;
前記マスクコーティング組成物を重合させる工程;および
前記基板の研削され、かつ研磨された主面が前記マスクコーティングにより直接覆われており、該基板の研削され、かつ研磨された主面には目視可能な細い表面仕上げ加工によるスクラッチが存在しない透明部材を回収する工程を含む。
〔2〕前記細い独立したスクラッチが、楔形状の断面を有することを特徴とする〔1〕に記載の方法。
〔3〕前記基板の前記研削され、かつ研磨された主面には、研磨処理の前にファイニングステップ(fining step)を実施されていないことを特徴とする〔1〕または〔2〕に記載の方法。
〔4〕前記細い独立したスクラッチの出現が、規則的な特徴を示さないことを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の方法。
〔5〕前記細い独立したスクラッチが、前記基板の前記主面上に同心状に位置することを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の方法。
〔6〕前記基板の前記主面との前記マスクコーティング組成物の接触角が25°以下であることを特徴とする〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の方法。
〔7〕前記基板の前記主面との前記マスクコーティング組成物の接触角が2°〜17°であることを特徴とする〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の方法。
〔8〕前記マスクコーティング組成物が、1.5〜8μmの厚さを有することを特徴とする〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の方法。
〔9〕前記マスクコーティング組成物が、エポキシ化合物を含むことを特徴とする〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の方法。
〔10〕前記エポキシ化合物が1分子当たり少なくとも2つのエポキシ基を含むことを特徴とする〔9〕に記載の方法。
〔11〕前記エポキシ化合物が、ビスフェノール類のジグリシジルエーテル類、アルカノール類のジグリシジルエーテル類およびそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする〔10〕に記載の方法。
〔12〕前記エポキシ化合物が、ビスフェノールA若しくはビスフェノールFのジグリシジルエーテル類、ビスフェノールA若しくはビスフェノールFのジグリシジルエーテル類の臭素化物、ブタンジオールのジグリシジルエーテルおよびそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする〔11〕に記載の方法。
〔13〕前記マスクコーティング組成物が、(メタ)アクリレート化合物を含有しないことを特徴とする〔1〕〜〔12〕のいずれかに記載の方法。
〔14〕前記マスクコーティング組成物が、光重合性の組成物であることを特徴とする〔1〕〜〔13〕のいずれかに記載の方法。
〔15〕少なくとも1つのカチオン開始剤を含むことを特徴とする〔1〕〜〔14〕のいずれかに記載の方法。
〔16〕前記マスクコーティング組成物を、スピンコーティングまたはディップコーティングによりデポジットさせることを特徴とする〔1〕〜〔15〕のいずれかに記載の方法。
〔17〕さらに、前記マスクコーティングの上面または上方に耐衝撃性プライマーコーティングを形成する工程を含むことを特徴とする〔1〕〜〔16〕のいずれかに記載の方法。
〔18〕前記耐衝撃性プライマーコーティングを形成する工程が、前記マスクコーティングの上面または上方にラテックスをデポジットさせること、および、該ラテックスを少なくとも部分的に硬化させることを含むことを特徴とする〔17〕に記載の方法。
〔19〕前記ラテックスが、(メタ)アクリルラテックス類およびポリウレタンラテックス類から選択されることを特徴とする〔18〕に記載の方法。
〔20〕前記マスクコーティングと、前記耐衝撃性プライマーコーティングと、の間に干渉縞防止コーティングを形成する工程を含む〔17〕〜〔19〕のいずれかに記載の方法。
〔21〕前記干渉縞防止コーティングが、1/4波長板を構成することを特徴とする〔20〕に記載の方法。
〔22〕さらに、耐衝撃性プライマーコーティング上に磨耗防止コーティングを形成する工程を含むことを特徴とする〔17〕〜〔21〕のいずれかに記載の方法。
〔23〕前記基板材料の屈折率n が1.60以上であることを特徴とする〔1〕〜〔22〕のいずれかに記載の方法。
〔24〕前記基板材料の屈折率n が1.65以上であることを特徴とする〔1〕〜〔22〕のいずれかに記載の方法。
〔25〕前記基板材料が、ポリチオウレタンのホモポリマー若しくはコポリマー、ポリエピスルフィド類のホモポリマー若しくはコポリマー、ポリカーボネートのホモポリマー若しくはコポリマー、ポリチオ(メタ)アクリレート類のホモポリマー若しくはコポリマー、およびこれらの混合物から選択されることを特徴とする〔23〕または〔24〕に記載の方法。
〔26〕前記基板材料が、少なくとも1つのジイソシアネートと、少なくとも1つのポリチオールと、の重付加により得られるポリチオウレタンベースの材料であることを特徴とする〔25〕に記載の方法。
〔27〕前記ジイソシアネートが、キシリレンジイソシアネート(C (CH NCO) )であることを特徴とする〔26〕に記載の方法。
〔28〕前記ポリチオールが、トリチオール類およびテトラチオール類から選択されることを特徴とする〔26〕または〔27〕に記載の方法。
〔29〕前記ポリチオールが、下記式を有する化合物から選択される〔28〕に記載の方法。

〔30〕前記キシリレンジイソシアネートとポリチオールとの重付加から得られる前記基板材料が、下記式を有することを特徴とする〔26〕に記載の方法。

〔31〕前記基板材料が、下記式を有するジエピスルフィドの重合または共重合から得られるポリエピスルフィドのホモポリマーまたはコポリマーであることを特徴とする〔25〕に記載の方法。

〔32〕光学レンズを構成することを特徴とする〔1〕〜〔31〕のいずれかに記載の方法。
〔33〕屈折率n を有し、少なくとも1つの主面が0.001〜0.01μmのRa値を有し、該主面が細い独立したスクラッチ状の目視可能な表面欠陥を有する基板、および、屈折率n を有し、厚さ10μm未満で前記基板の前記主面を直接覆う透明マスクコーティングを含み、前記n およびn が、0.01<|n −n |≦0.15の関係を満たす部材。
〔34〕前記n およびn が、0.05≦|n −n |≦0.15の関係を満たす〔33〕に記載の部材。
〔35〕前記細い独立したスクラッチが、楔形状の断面を有することを特徴とする〔33〕または〔34〕に記載の方法。
〔36〕前記マスクコーティングが、アナターゼ結晶構造を有するTiO およびTiO がアナターゼ結晶構造を有するTiO /ZrO /SiO 混合物から選択される鉱物コロイドを含んだγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランベースのワニスを含まないことを特徴とする〔33〕〜〔35〕のいずれかに記載の部材。
〔37〕前記細い独立したスクラッチの出現が、規則的な特徴を示さないことを特徴とする〔33〕〜〔36〕のいずれかに記載の部材。
〔38〕前記細い独立したスクラッチが、前記基板の前記主面上に同心状に位置することを特徴とする〔33〕〜〔36〕のいずれかに記載の部材。
〔39〕前記マスクコーティングが、1.5〜8μmの厚さを有することを特徴とする〔33〕〜〔38〕のいずれかに記載の部材。
〔40〕前記マスクコーティング組成物が、エポキシ化合物を含むことを特徴とする〔33〕〜〔39〕のいずれかに記載の部材。
〔41〕前記エポキシ化合物が1分子当たり少なくとも2つのエポキシ基を含むことを特徴とする〔40〕に記載の部材。
〔42〕前記エポキシ化合物が、ビスフェノール類のジグリシジルエーテル類、アルカノール類のジグリシジルエーテル類およびそれらの混合物から選択されることを特徴とする〔41〕に記載の部材。
〔43〕前記エポキシ化合物が、ビスフェノールA若しくはビスフェノールFのジグリシジルエーテル類、ビスフェノールA若しくはビスフェノールFのジグリシジルエーテル類の臭素化物、ブタンジオールのジグリシジルエーテルおよびそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする〔42〕に記載の部材。
〔44〕前記マスクコーティング組成物が、(メタ)アクリレート化合物を含有しないことを特
徴とする〔33〕〜〔43〕のいずれかに記載の部材。
〔45〕さらに、前記マスクコーティングの上に耐衝撃性プライマーコーティングを含むことを特徴とする〔33〕〜〔44〕のいずれかに記載の部材。
〔46〕前記耐衝撃性プライマーコーティングが、(メタ)アクリルラテックス類およびポリウレタンラテックス類から選択される硬化ラテックスからなることを特徴とする〔45〕に記載の部材。
〔47〕前記マスクコーティングと、前記耐衝撃性プライマーコーティングと、の間に干渉縞防止コーティングを含むことを特徴とする〔45〕または〔46〕に記載の部材。
〔48〕前記干渉縞防止コーティングが、1/4波長板を構成することを特徴とする〔47〕に記載の部材。
〔49〕前記耐衝撃性プライマーコーティング上に磨耗防止コーティングを含むことを特徴とする〔45〕〜〔48〕のいずれかに記載の方法。
〔50〕前記基板材料の屈折率n が1.60以上であることを特徴とする〔33〕〜〔49〕のいずれかに記載の部材。
〔51〕前記基板材料の屈折率n が1.65以上であることを特徴とする〔33〕〜〔49〕のいずれかに記載の部材。
〔52〕前記基板材料が、ポリチオウレタンのホモポリマー若しくはコポリマー、ポリエピスルフィド類のホモポリマー若しくはコポリマー、ポリカーボネートのホモポリマー若しくはコポリマー、ポリチオ(メタ)アクリレート類のホモポリマー若しくはコポリマー、およびこれらの混合物から選択されることを特徴とする〔33〕〜〔51〕のいずれかに記載の部材。
〔53〕光学レンズを構成することを特徴とする〔33〕〜〔52〕のいずれかに記載の部材。
図1は、基板の面上の細い独立したスクラッチの形態(morphology)を示す走査電子顕微鏡マイクロ写真である。 図2は、細い独立したスクラッチの断面の概略図である。 図3は、眼用レンズの表面欠陥の光学測定用の装置の断面、および、該測定の説明図である。 図4は、装着者により観察されることを保障するため、眼用レンズを光学測定装置内に適切に配置した際の該眼用レンズの検査エリアを示した図である。

Claims (30)

  1. 目視可能な表面仕上げ加工による線が存在しない透明部材を得る方法であって、該方法は、
    屈折率nを有する透明材料製で、少なくとも1つの主面が0.001〜0.01μmのRa値になるよう研削され、かつ研磨されているが、0.5〜2μmの深さを有する細い独立したスクラッチ状の目視可能な表面欠陥を該主面が有する基板を得る工程;
    前記基板の前記研削され、かつ研磨された主面に、0.01<|n−n|≦0.15である屈折率nを有し、厚さが10μm未満であるマスクコーティングを重合により形成する、液状で重合性のマスクコーティング組成物を、該組成物の該基板との接触角が30°以下の状態で、直接デポジットする工程;
    前記マスクコーティング組成物を重合させる工程;および
    前記基板の研削され、かつ研磨された主面が前記マスクコーティングにより直接覆われており、該基板の研削され、かつ研磨された主面には目視可能な細い表面仕上げ加工によるスクラッチが存在しない透明部材を回収する工程を含む。
  2. 前記細い独立したスクラッチが、楔形状の断面を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記基板の前記研削され、かつ研磨された主面には、研磨処理の前にファイニングステップ(fining step)を実施されていないことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記基板の前記主面との前記マスクコーティング組成物の接触角が25°以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 前記基板の前記主面との前記マスクコーティング組成物の接触角が2°〜17°であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 前記マスクコーティング組成物が、1.5〜8μmの厚さを有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
  7. 前記マスクコーティング組成物が、エポキシ化合物を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
  8. 前記エポキシ化合物が、ビスフェノール類のジグリシジルエーテル類、アルカノール類のジグリシジルエーテル類およびそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項7に記載の方法。
  9. 前記マスクコーティング組成物が、(メタ)アクリレート化合物を含有しないことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
  10. さらに、前記マスクコーティングの上面または上方に耐衝撃性プライマーコーティングを形成する工程を含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
  11. 前記マスクコーティングと、前記耐衝撃性プライマーコーティングと、の間に干渉縞防止コーティングを形成する工程を含む請求項10に記載の方法。
  12. 前記基板の透明材料の屈折率nが1.60以上であることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
  13. 前記基板の透明材料の屈折率nが1.65以上であることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
  14. 前記基板の透明材料が、ポリチオウレタンのホモポリマー若しくはコポリマー、ポリエピスルフィド類のホモポリマー若しくはコポリマー、ポリカーボネートのホモポリマー若しくはコポリマー、ポリチオ(メタ)アクリレート類のホモポリマー若しくはコポリマー、およびこれらの混合物から選択されることを特徴とする請求項12または13に記載の方法。
  15. 光学レンズを構成することを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の方法。
  16. 屈折率nを有し、少なくとも1つの主面が0.001〜0.01μmのRa値を有し、該主面が0.5〜2μmの深さを有する細い独立したスクラッチ状の目視可能な表面欠陥を有する基板、および、屈折率nを有し、厚さ10μm未満で前記基板の前記主面を直接覆う透明マスクコーティングを含み、前記nおよびnが、0.01<|n−n|≦0.15の関係を満たす部材。
  17. 前記nおよびnが、0.05≦|n−n|≦0.15の関係を満たす請求項16に記載の部材。
  18. 前記細い独立したスクラッチが、楔形状の断面を有することを特徴とする請求項16または17に記載の部材
  19. 前記透明マスクコーティングが、アナターゼ結晶構造を有するTiOおよびTiOがアナターゼ結晶構造を有するTiO/ZrO/SiO混合物から選択される鉱物コロイドを含んだγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランベースのワニスを含まないことを特徴とする請求項16〜18のいずれかに記載の部材。
  20. 前記透明マスクコーティングが、1.5〜8μmの厚さを有することを特徴とする請求項16〜19のいずれかに記載の部材。
  21. 前記透明マスクコーティングが、エポキシ化合物を含む組成物の重合により形成されることを特徴とする請求項16〜20のいずれかに記載の部材。
  22. 前記エポキシ化合物が、ビスフェノール類のジグリシジルエーテル類、アルカノール類のジグリシジルエーテル類およびそれらの混合物から選択されることを特徴とする請求項21に記載の部材。
  23. 前記透明マスクコーティングが、(メタ)アクリレート化合物を含有しない組成物の重合により形成されることを特徴とする請求項16〜22のいずれかに記載の部材。
  24. さらに、前記透明マスクコーティングの上に耐衝撃性プライマーコーティングを含むことを特徴とする請求項16〜23のいずれかに記載の部材。
  25. 前記透明マスクコーティングと、前記耐衝撃性プライマーコーティングと、の間に干渉縞防止コーティングを含むことを特徴とする請求項24に記載の部材。
  26. 前記耐衝撃性プライマーコーティング上に磨耗防止コーティングを含むことを特徴とする請求項24または25に記載の部材
  27. 前記基板の透明材料の屈折率nが1.60以上であることを特徴とする請求項16〜26のいずれかに記載の部材。
  28. 前記基板の透明材料の屈折率nが1.65以上であることを特徴とする請求項16〜26のいずれかに記載の部材。
  29. 前記基板の透明材料が、ポリチオウレタンのホモポリマー若しくはコポリマー、ポリエピスルフィド類のホモポリマー若しくはコポリマー、ポリカーボネートのホモポリマー若しくはコポリマー、ポリチオ(メタ)アクリレート類のホモポリマー若しくはコポリマー、およびこれらの混合物から選択されることを特徴とする請求項16〜28のいずれかに記載の部材。
  30. 光学レンズを構成することを特徴とする請求項16〜29のいずれかに記載の部材。
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