JP5404839B2 - 燃料供給装置 - Google Patents
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Description
そこで、小排気量エンジンのFI化には、燃料タンクと燃料噴射装置との間の配管に搭載できる小型、軽量のインライン式燃料供給装置が採用されている。
そして、この燃料供給装置として、吸入通路の形状を規定することによって増圧室内の蒸気発生量を抑制し、また増圧室内の容積比の規定により増圧室内で発生した蒸気の排出を確保したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
前記シリンダブロックの端面に面接触して設けられ、前記吸入孔に連通する吸入通路、及び前記燃料が吐出する吐出孔を有するバルブプレートと、このバルブプレートと前記シリンダブロックとの間に挟まれて設けられ、前記吸入孔を開閉する板状の吸入バルブと、前記バルブプレートに面接触して設けられ、前記吐出孔に連通する吐出溝を有するケーシングと、このケーシングと前記バルブプレートとの間に挟まれて設けられ、前記吐出孔を開閉する板状の吐出バルブとを備え、前記ピストンが前記シリンダボア内を上死点から下死点に移動する際に、前記吸入バルブが開弁して前記燃料が吸入孔及び前記吸入通路を通って前記シリンダボア内に流入し、また前記ピストンが前記シリンダボア内を下死点から上死点に移動する際に、前記吸入バルブが閉弁し、前記吐出バルブが開弁して前記燃料が吐出孔から前記吐出溝内に流入し、燃料噴射装置に供給される燃料供給装置であって、
前記シリンダブロックの端面に、前記吸入孔と前記シリンダボアの開口部との間の部位を始点として傾斜して前記シリンダボアに接続された切り欠き部が形成されている。
前記バルブプレートの前記吐出孔の縁部であって、前記吸入孔と前記シリンダボアの開口部との間の部位と対向した部位を始点とした傾斜した切り欠き部が形成されている。
図1はこの発明の実施の形態1に係る燃料供給装置3を有する燃料供給システムを示す図、図2は図1の燃料供給装置3を示す断面図、図3は図2の要部拡大図、図4は図3のIV-IVに沿った矢視断面図である。
この燃料供給システムは、燃料タンク1と、燃料タンク1の外部で低圧配管2を介して燃料タンク1に接続され燃料圧力調整装置7が内蔵された燃料供給装置3と、高圧配管4を介して燃料供給装置3に接続され、燃料供給装置3から供給された燃料を噴射する燃料噴射装置5と、燃料圧力調整装置7と燃料タンク1とを接続した連絡配管6とを備えている。
燃料ポンプ11は、低圧配管2と接続された吸入ポート12及び高圧配管4に接続された吐出ポート13を有するとともにモータ10に連結されたハウジング14と、このハウジング14の軸線A上に延びたシャフト15に固定されシャフト15の回転に連動して回転する斜板16と、ハウジング14内に嵌着されているとともに吐出溝33を有するケーシング17とを備えている。
吸入バルブ27は、吸入孔23の開口部を覆ったバルブ本体40と、このバルブ本体40に連続的に設けられた矩形状の基部41とを有している。
バルブプレート25のシリンダブロック24側には、シリンダブロック24の吸入孔23とシリンダボア21の開口部との間を接続する、矩形状に窪んだ吸入通路29が形成されている。
ここで、吸入バルブ27、吐出バルブ28及びピストン22で仕切られた空間が増圧室Bである。
また、封止部材30は、燃料ポンプ11とモータ10との間を封止しており、またケーシング17の外周壁面とハウジング14の内周壁面との間を封止している。軸受31は、シャフト15を回転自在に支持している。
初期状態として燃料溜め室C(ハウジング14内において吸入バルブ27を境にして吸入ポート12側の空間)に燃料が充満されているものとする。
モータ10によりシャフト15が回転されるのに連動して斜板16が回転すると、スプリング32で斜板16に付勢したピストン22は、斜板16の回転角度に応じて、上死点と下死点との間を往復移動する。
このとき、増圧室B内の圧力が、ピストン22の往復移動により、燃料溜め室C内の圧力より大きくなったり、小さくなったりする。
つまり、上死点から下死点に向かう途中でピストン22が変位することで、増圧室B内の燃料が減圧され、吸入バルブ27は、吸入孔23の開口部を開口するように変位し、燃料留め室C内の燃料は、吸入通路29を通じてシリンダブロック24のシリンダボア21内に流入する。
このとき、吐出バルブ28では、増圧室B内の圧力がケーシング17の吐出溝33側の圧力よりも低いので、吐出バルブ28は、バルブプレート25側に変位しており、吐出孔26を閉じている。
さらに、ピストン22が上死点側に移動するにつれて増圧室B内が加圧され、吐出溝33側の圧力よりも高くなった時点で、吐出バルブ28は、ケーシング17側に変位して、吐出孔26は開口される。
そして、増圧室B内の高圧の燃料は、吐出孔26、吐出溝33、チェックバルブ18、吐出ポート13、高圧配管4を介して燃料噴射装置5に供給される。
P :燃料圧力
K :燃料の体積弾性係数(ガソリンの場合、1GPa)
ΔV :増圧室Bの容積変化量(押しのけ容積、ピストン22の移動容積)
V :増圧室Bの最大容積(ピストン22が下死点にあるときの容積)
p :容積変化前の増圧室B内の圧力
v :容積変化前の増圧室Bの容積(ピストン22が下死点にあるときの容積)
p‘ :容積変化後の増圧室B内の圧力(ピストン22が上死点にあるときの容積)
v−Δv :容積変化後の増圧室Bの容積
Δv :増圧室Bの容積変化量(押しのけ容積 ピストン22の移動容積)
k :ガス定数(空気の場合、1.402)
ここで、圧縮比は、(v+Δv)/vであり、最大到達圧力は、増圧室B内の最大到達圧力である。
この図6から分かるように、増圧室Bの圧縮比が高い程、増圧室B内の蒸気の圧力が増大し、それだけ蒸気が圧縮されることが分かる。
つまり、圧縮比が高い程、蒸気はより圧縮され、その分増圧室B内に占める液体燃料の割合が増大することから、液体燃料の吐出能力が上昇する。
そして、圧縮比を高め、液体燃料の吐出能力を高めるためには、増圧室Bの容積変化量Δvが一定の場合には、容積変化前の増圧室Bの容積vの値を小さくする必要性があり、そのために、吸入通路29の容積は小さくなるように設定されている。
燃料が吸入孔23から吸入通路29に流れ込む際、流量に対して吸入通路29の有効断面積が十分確保されない場合、燃料の流れがチョークし、蒸気が発生する。
圧縮比を上げて、蒸気の吐出性を向上させるべく、吸入通路29での容積を小さくしようとした場合に、吸入通路29の流路断面積を小さくすべく、その高さHを小さくする必要があるが、この結果吸入通路29での燃料の圧力損失が増大し、却って容積効率の低下を招くことになる。
即ち、シリンダブロック24の端面に、シリンダボア21に接続された切り欠き部34を形成し、その部位での吸入通路29の流路断面積を拡大している。
吸入孔23から流入した燃料は、吸入バルブ27を通過し、流路の有効断面積が小さい吸入通路29に流れ込み、燃料の圧力損失が増加するものの、圧力低下が最も大きい部位を始点Dとした切り欠き部34が形成され、流路断面積が拡大しており、この結果燃料の流れがチョークして蒸気が発生するのが抑制される。
また、傾斜した切り欠き部34は、シリンダボア21に通じており、吸入通路29からシリンダボア21への流れの急激な変化が緩和され、流れの剥離が抑制される。
切り欠き部34の円弧が半円以上の場合の場合には、燃料が吸入通路29からシリンダボア21に流れる切り欠き部34で縮流し、このことにより燃料の圧力損失を招くことになるが、この実施の形態では、切り欠き部34は、半円以下の円弧であるので、そのような不都合は生じない。
そして、圧力低下が最大となる箇所に切り欠き部34を設けることが燃料の圧力損失低減に最も有効であるが、この位置は吸入通路29の高さHに依存する。
図7は切り欠き部34の始点Dから吸入孔23までの距離Lと容積効率との関係を示す関係図である。
この関係図は、本願発明者が実施の形態1のものと特許文献1のものとを対比して求めた図である。
ここで、距離Lは、始点Dと吸入孔23の中心点とを結ぶ直線において、始点Dと、前記直線と交差する吸入孔23の周縁部の交点との間の距離である。
即ち、吸入通路29の高さの5倍までの距離Lに切り欠き部34を形成した場合に、切り欠き部34の燃料の圧力損失低減効果が有効に作用しているのが分かる。
図8は吸入通路29の(幅W/高さH)と、容積効率との関係を示す関係図である。
この関係図は、本願発明者が実施の形態1のものと特許文献1のものとを対比して求めた図である。
この図8から分かるように、W/Hが7以上になると実施の形態1のものが特許文献1のものと比較して容積効率が高い。
即ち、W/Hが7以上になると燃料の圧力損失低減効果が有効に作用し始めていることが分かる。
図9は、この発明の実施の形態2の燃料供給装置3を示す要部断面図、図10は、シリンダブロック24のシリンダボア21を示す正面図である。
この実施の形態では、シリンダブロック24のシリンダボア21の縁部に形成された面取りであるテーパ部35に対して、切り欠き部34は、このテーパ部35に接続されて形成されている。
切り欠き部34とテーパ部35とが交わるエッジ部36は、ピストン22の摺動範囲の外側に位置している。
他の構成は、実施の形態1の燃料供給装置3と同じである。
しかしながら、この実施の形態では、エッジ部36は、ピストン22の摺動範囲の外側に位置しているので、エッジ部36にできたバリやかえりにより、ピストン22が傷付くのを避けることができる。
図11は、この発明の実施の形態3の燃料供給装置3を示す断面図、図12は、図11の要部拡大図、図13は、図12のXIII-XIIIに沿った矢視断面図である。
この実施の形態では、バルブプレート25の吐出孔26の吸入通路29側の縁部に、円弧状の切り欠き部34が形成されている。
この切り欠き部34の始点Dは、吸入孔23とシリンダボア21の開口部との間の部位と対向した部位であり、この始点Dから傾斜した切り欠き部34は、吐出孔26に接続されている。
他の構成は、実施の形態1,2の燃料供給装置3と同じである。
Claims (6)
- 燃料が吸入する吸入孔、及びシリンダボアを有するシリンダブロックと、
前記シリンダボア内を往復動するピストンと、
前記シリンダブロックの端面に面接触して設けられ、前記吸入孔に連通する吸入通路、及び前記燃料が吐出する吐出孔を有するバルブプレートと、
このバルブプレートと前記シリンダブロックとの間に挟まれて設けられ、前記吸入孔を開閉する板状の吸入バルブと、
前記バルブプレートに面接触して設けられ、前記吐出孔に連通する吐出溝を有するケーシングと、
このケーシングと前記バルブプレートとの間に挟まれて設けられ、前記吐出孔を開閉する板状の吐出バルブとを備え、
前記ピストンが前記シリンダボア内を上死点から下死点に移動する際に、前記吸入バルブが開弁して前記燃料が吸入孔及び前記吸入通路を通って前記シリンダボア内に流入し、
また前記ピストンが前記シリンダボア内を下死点から上死点に移動する際に、前記吸入バルブが閉弁し、前記吐出バルブが開弁して前記燃料が吐出孔から前記吐出溝内に流入し、燃料噴射装置に供給される燃料供給装置であって、
前記シリンダブロックの端面に、前記吸入孔と前記シリンダボアの開口部との間の部位を始点として傾斜して前記シリンダボアに接続された切り欠き部が形成されていることを特徴とする燃料供給装置。 - 燃料が吸入する吸入孔、及びシリンダボアを有するシリンダブロックと、
前記シリンダボア内を往復動するピストンと、
前記シリンダブロックの端面に面接触して設けられ、前記吸入孔に連通する吸入通路、及び前記燃料が吐出する吐出孔を有するバルブプレートと、
このバルブプレートと前記シリンダブロックとの間に挟まれて設けられ、前記吸入孔を開閉する板状の吸入バルブと、
前記バルブプレートに面接触して設けられ、前記吐出孔に連通する吐出溝を有するケーシングと、
このケーシングと前記バルブプレートとの間に挟まれて設けられ、前記吐出孔を開閉する板状の吐出バルブとを備え、
前記ピストンが前記シリンダボア内を上死点から下死点に移動する際に、前記吸入バルブが開弁して前記燃料が吸入孔及び前記吸入通路を通って前記シリンダボア内に流入し、
また前記ピストンが前記シリンダボア内を下死点から上死点に移動する際に、前記吸入バルブが閉弁し、前記吐出バルブが開弁して前記燃料が吐出孔から前記吐出溝内に流入する燃料供給装置であって、
前記バルブプレートの前記吐出孔の開口部の縁部であって、前記吸入孔と前記シリンダボアの開口部との間の部位と対向した部位を始点として傾斜して前記吐出孔に接続された切り欠き部が形成されていることを特徴とする燃料供給装置。 - 前記シリンダボアは、この周縁部に面取りされたテーパ部が形成されており、
前記切り欠き部は、このテーパ部に接続されてエッジ部を有していることを特徴とする請求項1に記載の燃料供給装置。 - 前記切り欠き部は、前記始点を頂点とした半円以下の円弧形状であることを特徴とする請求項1に記載の燃料供給装置。
- 前記始点と前記吸入孔の中心点とを結ぶ直線において、前記始点と、前記直線と交差する前記吸入孔の周縁部の交点との間の距離が、前記吸入通路の高さの5倍以下であることを特徴とする請求項1、3及び4の何れか1項に記載の燃料供給装置。
- 前記吸入通路は、幅をW、高さをHとしたときに、W/Hが7以上であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の燃料供給装置。
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