JP5403578B2 - 有機半導体薄膜及びこれを用いた有機薄膜トランジスター - Google Patents

有機半導体薄膜及びこれを用いた有機薄膜トランジスター Download PDF

Info

Publication number
JP5403578B2
JP5403578B2 JP2008072856A JP2008072856A JP5403578B2 JP 5403578 B2 JP5403578 B2 JP 5403578B2 JP 2008072856 A JP2008072856 A JP 2008072856A JP 2008072856 A JP2008072856 A JP 2008072856A JP 5403578 B2 JP5403578 B2 JP 5403578B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thin film
organic
polymer
transistor
film transistor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2008072856A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009231407A (ja
Inventor
正浩 舟橋
発培 張
信之 玉置
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Original Assignee
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST filed Critical National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Priority to JP2008072856A priority Critical patent/JP5403578B2/ja
Publication of JP2009231407A publication Critical patent/JP2009231407A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5403578B2 publication Critical patent/JP5403578B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Thin Film Transistor (AREA)

Description

本発明はフレキシブルな高分子フィルム上に、室温で安定な高次のスメクティック相を示す液晶性半導体薄膜を設けた有機半導体薄膜及び該薄膜を用いた有機薄膜トランジスターに関する。
近年、実用レベルに達した有機LEDを始めとして、薄膜トランジスター、太陽電池など有機半導体の光電子デバイスへの展開が盛んに検討されている。有機半導体のメリットとしては、一般に安価であり薄膜形成が容易であることが挙げられる。それに加えて、無機半導体にはない柔軟性を有することから、高分子基板上にデバイスを作製・集積し、フレキシブルなデバイスを作製する試みが検討されている。特に、有機薄膜トランジスターは電子ペーパーなどのフレキシブルディスプレー実現のためのキーとなるデバイスである。
一般に、有機薄膜トランジスターにおいては、高速のスイッチング特性を実現し、実用的なデバイスを低コストで作製するためには、高いキャリア移動度に加えて、欠陥密度の低い大面積均一薄膜が容易に作製できなくてはならない。現在、ペンタセンなどの縮合多環芳香族化合物の真空蒸着膜を用いた有機薄膜トランジスターが検討されている。
しかし、低コストでデバイスを作製するためには、高コストで、結晶成長条件の厳密な制御が必要である真空プロセスよりも、大面積にわたって均一な薄膜を容易に作製できる、スピンコートなどの溶液プロセスの方が望ましい。
溶液プロセスによる有機薄膜トランジスター作製の例としては、たとえば、ペンタセンにトリアルキルシリルエチニル基を導入することにより有機溶媒に対する溶解性を付与したシリコンを基板とする有機薄膜トランジスターが知られている(非特許文献1)。また、可溶性の前駆体を溶液プロセスによりシリコン基板に塗布した後、薄膜を加熱して高品位の半導体薄膜に変換する方法が知られている(非特許文献2)。
しかし、上記のような溶液プロセスで作製した基板をシリコンとする薄膜トランジスターは、真空蒸着で作製したものに比べ、結晶の成長条件の制御が困難なため、品質が劣り、移動度、オンオフ比ともに大きく劣り、その特性は十分なものとはいえず、また、薄膜は多結晶であり、電気伝導を阻害する多くの結晶粒界や欠陥を含む。
また、ポリチオフェンなどの共役高分子を用いて溶液プロセスにより、シリコン基板上に作製した結晶性半導体薄膜トランジスターも検討されているが(非特許文献3)、その性能は分子量や分子量分散、薄膜の作成条件に強く依存し、良好な性能を示す材料も限られている。
最近、このような欠点を解消するために、共役高分子とは異なり、分子構造が明確に規定できる低分子化合物を利用した液晶性半導体薄膜が提案されている(非特許文献4,5)。
このものは、分子運動の自由度のため、結晶性薄膜に比べて柔軟性に富み、フレキシブルな液晶性半導体を用いた薄膜トランジスターに適していると期待できる。また、物性値の再現性は良好であり、ロットごとのばらつきもほとんどない。
しかしながら、これらの有機薄膜トランジスターにおいては、基板はシリコンであり、また、ここで用いられている液晶化合物は、室温付近では結晶化してしまうビス(アルキルチエニルエチニル)ターチオフェンやビス(アルキルチエニル)ナフタレンであるため、たとえ、薄膜作成時には液晶性を利用したとしても、得られた薄膜は結晶性の薄膜となってしまい、しかもデバイスの駆動も結晶相において行われることから、液晶相の柔軟性を利用することができないといった難点があった。
更に、非対称構造を持つアルキルアルキルフェニルオリゴチオフェン誘導体(液晶性半導体)が室温を含む広い温度領域で高次のスメクティック相を示し、スピンコート法により厚さ20〜100 nmの薄膜をシリコン基板上に作製することができ、その薄膜はポリドメインではあるものの、各ドメインのサイズは100μmを超え、さらに、105℃でアニールすることにより分子レベルで平坦な構造欠陥の少ない薄膜が作製でき、それを用いてトランジスターを作製すると、大気中ではp型動作を示し、その電界効果移動度は0.05 cm2/Vsに達することが本発明者等により報告されている(特許文献1、非特許文献6、7)。
しかし、この報告で得られる有機薄膜トランジスターも、上記と同様に基板としてシリコンを用いたものであり、高分子フィルムの使用に関しては何ら言及されていない。また、分子運動の自由度が保持され、柔軟性を有し、しかも曲げなどの変形に対して優れた安定性を示し、更には、高いキャリア移動度、高いon/off比を有し、また、基板を曲げた場合でも移動度、on/off比、閾値電圧が低下しない、有機半導体薄膜については何ら開示するところがない。
ところで、前記したように、有機半導体膜は無機半導体膜に比べて柔軟性に富むので、現在、電子ペーパーなどのフレキシブルなディスプレーの用途に対する研究開発が強く指向されている。
有機半導体を用いたフレキシブルデバイスを実現するには、軽量で耐熱性に優れた高分子フィルムを基板として用いること、有機半導体層が優れた電荷輸送特性を示すことに加えて、十分な柔軟性を有することが必要であり、曲げなどの変形を受けた際にもデバイスが正常に動作することが求められている。
これまでに、高分子基板上に有機薄膜トランジスターを作製する試みはいくつか検討されている。たとえば、高分子基板上にペンタセンを真空蒸着して作製した薄膜トランジスターにおいて、基板の曲げに対するデバイス特性の変化が検討されている(非特許文献8)。
しかし、ここで得られる薄膜は非常にリジッドな分子性結晶構造を有するため、曲げなどの変形に対しては十分な強度と安定性を有しているわけではなく、例えば、ペンタセンの蒸着膜を用いたトランジスターでは、1%の変形を加えただけでキャリア移動度は一桁以上低下する。
また、分子性結晶よりも柔軟性に富む共役高分子、たとえばポリチオフェン誘導体で高いキャリア移動度を示すものを高分子基板上に設けたものも、知られているが(非特許文献9)、デバイスの特性が共役高分子の分子量や分子量分布、純度の影響を受けるため、再現性の問題や、ロットごとの物性のばらつきが問題となる。
最近の試みの例としては、ルブレンの単結晶を高分子基板上に並べてトランジスターアレイを作製した例も知られている(非特許文献10)。
しかし、物性値とサイズのそろった単結晶を多数作成するのはまだ難しく、一般的な技術にはなっていない。
このように、有機半導体層が優れた電荷輸送特性を示し、かつ十分な柔軟性を有すると共に曲げなどの変形を受けた際にもデバイスが正常に動作することが可能な、軽量で耐熱性に優れた高分子フィルムを基板とした有機薄膜トランジスターが開発されていないのが現状である。
特開2008-13539号公報 J. E. Anthony et al., J. Am. Chem. Soc., 127, 4986 (2005). A. R. Murphy, P. C. Chang, P. VanDyke, J. Liu, J. M. Frechet, V. Subramanian, D. M. DeLongechamp, S. Sambasivan, D. A. Fischer, and E. K. Lin, Chem. Mater., 17, 6033 (2005). A. Salleo, Materials Today, 10, 38 (2007). A. J. J. M. van Breemen, P. T. Herwig, C. H. T. Chlon, J. Sweelssen, H. F. M. Schoo, S. Setayesh, W. M. Hardeman, C. A. Martin, D. M. de Leeuw, J. J. P. Valeton, C. W. M. Bastiaasen, D. J. Broer, A. R. Popa-Merticaru, S. C. J. Meskers, J. Am. Chem. Soc., 128, 2336 (2006). K. Oikawa, H. Monobe, K. Nakayama, T. Kishimoto, K. Tsuchiya, B. Heinrich, D. Guillon, Y. Shimizu, M. Yokoyama, Adv. Mater., 19, 1864 (2007). M. Funahashi, F. Zhang, and N. Tamaoki, Adv. Mater., 19, 353 (2007). F. Zhang, M. Funahashi, and N. Tamaoki, Appl. Phys. Lett., 91, 063515 (2007). T. Someya, T. Sekitani, S. Iba, Y. Kato, H. Kawaguchi, and T. Sakurai, Proc. Natl. Acad. Sci., 101, 9966 (2004). T. Makela, S. Jussila, H. Kosonen, T. G. Backlund, H. G. O. Sandberg, and H. Stubb, Synth. Metal., 153, 285 (2005). A. L. Briseno, R. J. Tseng, M-M. Ling, E. H. L. Falcao, Y. Yang, F. Wudl, and Z. Bao, Adv. Mater., 18, 2320(2006).
本発明は、分子運動の自由度が保持され、柔軟性を有し、しかも曲げなどの変形に対して優れた安定性を示し、更には、高いキャリア移動度、高いon/off比を有し、また、基板を曲げた場合でも移動度、on/off比、閾値電圧が低下しない、新規な有機半導体薄膜およびこれを用いた有機薄膜トランジスターを提供することを目的とする。
本発明者は、本発明者等が先に開発した前記特許文献1に記載された、室温付近で高次のスメクティック相を示す非対称構造を有するフェニルオリゴチオフェン誘導体の溶液を用いて、高分子フィルム上に薄膜を作製したところ、熱酸化膜付シリコン基板上に薄膜を作成した場合と同様に、液晶性の薄膜が得られ、しかもその薄膜はポリドメインではあるものの、各ドメインのサイズは100μmを超えていること、及びこの薄膜を用いてトランジスターを作製すると室温で高次の液晶相を示し、柔軟な液晶状態で動作すること、加えて大気中でp型動作を示し、その電界効果移動度は最大で0.03 cm2/Vsに達すること、更には、この薄膜トランジターは曲げた場合にも、キャリア移動度やon/off比などのデバイス特性が低下しないことを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、この出願によれば、以下の発明が提供される。
〈1〉高分子フィルム上に下記一般式(1)で示される液晶化合物を含む液晶性半導体層を設けた有機半導体薄膜。
(式中、R1は炭素数1〜8の直鎖アルキル基を、R2は炭素数1〜8のアルキル基又はアルコキシ基を、nは0〜3の整数を示す。)
〈2〉高分子フィルムと液晶性半導体層の間に高分子絶縁膜を設けたことを特徴とする上記〈1〉に記載の有機半導体薄膜。
〈3〉上記〈1〉又は〈2〉に記載の有機半導体薄膜を用いた有機薄膜トランジスター。
〈4〉前記半導体層は、p型半導体であり、該p型半導体層は電界効果移動度0.01 cm2/Vsを備えることを特徴とする上記〈3〉に記載の有機薄膜トランジスター。
〈5〉高分子フィルム上に前記一般式(1)で示される液晶化合物を含む有機半導体薄膜を設ける工程と、該薄膜をアニールする工程を備えることを特徴とする上記〈1〉に記載の有機半導体薄膜の製造法。
本発明に係る高分子フィルムを基板とする有機半導体薄膜は、室温を含む広い温度領域で高次の液晶相を示すため、室温において、スピンコートなどの溶液プロセスによって簡便に作製することが可能である。また、液晶相を採るために、分子運動の自由度を有し、かつ柔軟性を有するため、曲げなどの変形に対して、優れた安定性を示す。
また、本発明に係る高分子フィルムと液晶性半導体層の間に高分子絶縁膜を設けた有機半導体薄膜は発光トランジスターやセンサーデバイスにも応用可能である。
また、本発明に係る有機薄膜トランジスターは溶液プロセスにより作製できるため、デバイスの低コスト化、大面積化に有効である。また、曲げなどの変形に対しても安定な特性を示すことから、電子ペーパーやフレキシブルディスプレーの駆動素子として使用可能である。
具体的には、本発明の有機薄膜トランジスターは、高いキャリア移動度、高いon/off比を示し、基板を曲げた場合でも移動度、on/off比は低下しない。
本発明に係る有機半導体薄膜は、高分子フィルム上に下記一般式(1)で示される液晶化合物を含む液晶性半導体層を設けたことを特徴としている。
(式中、R1は炭素数1〜8の直鎖アルキル基を、R2は炭素数1〜8のアルキル基又はアルコキシ基を、nは0〜3の整数を示す。)
前記高分子フィルムとしては、アニール処理温度に耐え得るものであれば、特に制限はなく、たとえば、ポリイミド、テフロン(登録商標)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリエステルなどの高分子を素材とする高分子フィルムが例示される。この中でも耐熱性と耐薬品性、柔軟性に優れた、ポリイミドフィルムが好ましく使用される。高分子フィルムの厚みは特に制約されず、0.1〜1.0 mm、好ましくは0.2〜0.5 mmである。
また、前記液晶性半導体層は少なくとも下記一般式(1)で示されるスメクティック液晶化合物から形成される。
(式中、R1は炭素数1〜8の直鎖アルキル基を、R2は炭素数1〜8のアルキル基又はアルコキシ基を、nは0〜3の整数を示す。)
前記一般式(I)において、R1は炭素数1〜8の直鎖アルキル基を示す。具体的には、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられるが、プロピル基が好ましい。
また、R2は炭素数1〜8の直鎖アルキル基、あるいはアルコキシ基を示す。具体的には、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられるが、プロピル基が好ましい。nは0〜3の整数であり、好ましくは1である。このスメクティック液晶化合物それ自体公知であり、たとえば、特開2008−13539号公報記載の方法によって合成することができる。
この液晶化合物は、210℃以下で高次のスメクティック相を示し、−50℃まで冷却しても結晶化せず、室温付近で安定な液晶性の薄膜を作製できる。さらに、液晶相において、分子性結晶に匹敵する高いホール、および、電子移動度を示す。
本発明に係る有機半導体薄膜を作製するには、たとえば、前記一般式(1)で示される液晶化合物をクロルベンゼンなどの有機溶媒に溶解させた溶液を、高分子フィルム上にスピンコートなどの製膜手段により製膜し、ついでアニール化すれば、厚さが20から100 nmの薄膜を得ることができる。アニール化は、たとえば、真空下、薄膜をホットステージ上で100℃で10分加熱する、などの方法によって行えばよい。
この薄膜は、偏光顕微鏡観察により、熱酸化膜付シリコン基板上に製膜した場合と同様に、得られた薄膜は数百μm程度のサイズのドメインからなる。このドメインサイズは、通常のペンタセンなどの分子性結晶の蒸着膜(通常、数μm)に比べて大きく、本発明に係るトランジスターのチャンネル長よりも大きい。
本発明の有機半導体薄膜は、高分子フィルム上に前記液晶性半導体層を設けたものであるが、薄膜トランジスターとして使用するためには、両者の間に高分子絶縁層を設けておく必要がある。このような高分子絶縁層としては、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルフェノールなどの高分子絶縁材料が用いられる。高分子絶縁層の厚みは特に制約されず、0.5μm〜5μm、好ましくは1〜2μmである。
本発明に係る有機半導体薄膜は、有機薄膜トランジスターとして利用することができる。本発明で作製される代表的な有機薄膜トランジスターは、図1に示される。図1において、1は高分子フィルム、2はゲート電極、3は高分子絶縁層、4は液晶性半導体層、5はソース電極、6はドレイン電極である。このような薄膜トランジスターは、種々の方法により作製でき、たとえば、ポリイミドフィルムに金からなるゲート電極を蒸着し、その上に、ポリビニルアルコールからなる絶縁膜をスピンコート法により製膜し、ついで、その絶縁膜状に液晶性半導体層を積層し、該液晶性半導体層上に、金からなるソース電極、および、ドレイン電極を蒸着することにより作製される。
本発明の有機薄膜トランジスターの作製例を、高分子フィルムとしてポリイミドフィルムを用いた場合について更に具体的に説明する。
ポリイミドフィルム(2 cm角、厚さ0.3 mm)上に金を蒸着してゲート電極を作製し、その上に、10 wt% ポリビニルアルコール水溶液をスピンコートして、絶縁層を形成する。ついで、80℃で一昼夜加熱する。絶縁層の厚さは2μm、静電容量は3.5 nF/cm2程度になる。さらに、オクチルトリクロロシランのトルエン溶液に浸して表面を疎水処理する。
こうして得られた薄膜上に長さ5 mm、幅0.2 mmの金電極を20〜50μmの間隔で真空蒸着し、ソース電極、および、ドレイン電極とする。
このようにして得られる本発明の有機薄膜トランジスターは、大気中では、p型の動作を示し、その電界効果移動度は最大で0.03 cm2/Vs、オンオフ比は104にも達する。この値は、絶縁膜状での分子配向処理や電極マスクの配置の工夫により改善可能である。また、溶液プロセスによって作製したトランジスターとしては、良好な特性を保持する。また、この薄膜トランジスターを曲げた際の電気特性を測定したところ、2.7 %の曲げ変形を与えても、トランジスターの電界効果移動度と閾値電圧は低下しないことが確認された。
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
実施例1
(有機半導体薄膜の作製)
厚さ0.3 mmのポリイミドフィルム上に、金電極を真空蒸着する。その上に、ポリビニルアルコール水溶液(濃度10 wt%)を回転速度1000 rpmでスピンコートして高分子絶縁層を製膜した後、ポリイミドフィルムを80℃で12時間加熱乾燥する。その後、フィルムをオクチルトリクロロシランのトルエン溶液(5%)に浸し3時間放置してフィルムの表面を疎水処理した。
つぎに、前記一般式に示されるスメクティック液晶化合物(R:C3H7:C5H11 n:1)をクロロベンゼンに溶解し、濃度0.6 wt%の溶液とした。この溶液を上記で作製した高分子絶縁層上にスピンコートした(回転速度;1500 rpm、回転時間;25秒)。
得られた薄膜を真空オーブン中100℃で10分間熱アニールした。その後、室温まで冷却した。図2の(a)、(b)にアニール後の薄膜のAFM像を示す。層状構造を反映したテラス構造が明確に観察される。約20 nmの段差は分子長に対応しているものと考えられる。図2の(c)にアニール後の薄膜のX線回折を示す。層状構造を示す鋭い回折ピークが低角度側に現れ、2次の回折ピークまで観測されることから、この膜が明確な層状構造を持っており、液晶分子が基板に対して垂直に立っていることがわかる。
ここで得られたAFMによる表面モルフォロジーやX線回折パターンは熱酸化膜付シリコン基板上に薄膜を作成した場合と同様であり、高分子フィルム上に液晶性薄膜を作成した場合にも、液晶分子が基板に対して垂直に立ち、高い分子配向秩序を持った層状構造を形成しているものと考えられる。
実施例2
(有機薄膜トランジスターの作製と評価)
熱アニール処理した上記薄膜にシャドウマスクを介して金電極を蒸着した。蒸着速度は1 A/s、電極の厚さは60 nmとした。図3に、電極のマスクパターンとデバイスの構成を示す。トランジスター特性はKethley digital source meterを用いて行った。図4(a)に大気中でトランジスターを駆動した場合のoutput特性を、図4(b)にtransfer特性を示す。ゲート電極に負電圧が印加された場合にソースドレイン電流が流れることから、本トランジスターがp型の特性を示していることがわかる。
式(1)より、キャリア移動度を求めると、最大で0.03 cm2/Vsが得られた。オンオフ比は104に達した。この結果は、高分子フィルム上に溶液プロセスによって作製したトランジスターとしては非常に優れたものである。
実施例3
(有機薄膜トランジスターを曲げた際のデバイス特性の変化)
図5に示すように、実施例2で得たフレキシブルトランジスターを半径Rの円筒に密着させ、トランジスターの特性を測定した。
曲げ変形εは、絶縁層の厚さdd、高分子フィルム基板の厚さds、曲げの半径Rを用いると、
と表すことができる。
図6の(a)にトランジスターを曲げた場合の移動度、および、(b)に閾値電圧の変化を示す。変形が2.7 %になっても、変形がない場合と同等かそれ以上の特性を示している。これまで主に検討されてきたペンタセンなどの分子性結晶薄膜を用いて作製した有機薄膜トランジスターは変形εが1 %を超えると特性が大幅に低下することから、液晶性半導体が変形に対して安定であり、フレキシブルディスプレーなどに適した材料であることがわかる。
本発明の代表的な有機薄膜トランジスターの説明図 (a)実施例1で作製した有機半導体薄膜の原子間力顕微鏡(AFM)による表面モルフォロジーのheight image (b)実施例1で作製した有機半導体薄膜の原子間力顕微鏡(AFM)による表面モルフォロジーのphase image (c)実施例1で作製した有機半導体薄膜のX線回折図 実施例2で作製した有機薄膜トランジターのマスクパターンとデバイスの構成 (a)実施例2で作製した有機薄膜トランジスターの大気中でのoutput特性 (b)実施例2で作製した有機薄膜トランジスターの大気中でのtransfer特性 実施例2で作製した有機薄膜トランジスターの変形実験の説明図 (a)有機薄膜トランジスターの変形実験(実施例3)によるtransfer特性の変化 (b)有機薄膜トランジスターの変形実験(実施例3)による移動度と閾値電圧の変化

Claims (5)

  1. 厚さ0.1〜1.0mmの可撓性高分子フィルム上に下記一般式(1)で示される液晶化合物を含む厚さ20から100nmの変形可能な液晶性半導体層を設けた有機半導体薄膜。
    (式中、R1は炭素数1〜8の直鎖アルキル基を、R2は炭素数1〜8のアルキル基又はアルコキシ基を、nは0〜3の整数を示す。)
  2. 高分子フィルムと液晶性半導体層の間に高分子絶縁膜を設けたことを特徴とする請求項1に記載の有機半導体薄膜。
  3. 請求項1又は2に記載の有機半導体薄膜を用いた有機薄膜トランジスター。
  4. 前記半導体層は、p型半導体であり、該p型半導体層は電界効果移動度0.01cm2/Vsを備えることを特徴とする請求項3に記載の有機薄膜トランジスター。
  5. 高分子フィルム上に前記一般式(1)で示される液晶化合物を含む液晶半導体薄膜を設ける工程と、該薄膜をアニールする工程を備えることを特徴とする請求項1に記載の有機半導体薄膜の製造法。
JP2008072856A 2008-03-21 2008-03-21 有機半導体薄膜及びこれを用いた有機薄膜トランジスター Expired - Fee Related JP5403578B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008072856A JP5403578B2 (ja) 2008-03-21 2008-03-21 有機半導体薄膜及びこれを用いた有機薄膜トランジスター

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008072856A JP5403578B2 (ja) 2008-03-21 2008-03-21 有機半導体薄膜及びこれを用いた有機薄膜トランジスター

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009231407A JP2009231407A (ja) 2009-10-08
JP5403578B2 true JP5403578B2 (ja) 2014-01-29

Family

ID=41246503

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008072856A Expired - Fee Related JP5403578B2 (ja) 2008-03-21 2008-03-21 有機半導体薄膜及びこれを用いた有機薄膜トランジスター

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5403578B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103596964B (zh) 2011-04-04 2016-08-31 国立大学法人香川大学 苝四甲酰二亚胺衍生物、n-型半导体、n-型半导体的制造方法和电子装置

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001233872A (ja) * 2000-02-28 2001-08-28 Dainippon Printing Co Ltd ターチオフェン骨格を有する非対称液晶性電荷輸送材料
JP3963693B2 (ja) * 2001-10-15 2007-08-22 富士通株式会社 導電性有機化合物及び電子素子
CN1879235A (zh) * 2003-11-10 2006-12-13 松下电器产业株式会社 电子功能材料的取向处理方法和薄膜晶体管
JP2005240021A (ja) * 2004-01-27 2005-09-08 Canon Inc π共役化合物およびそれを含む導電性有機薄膜、それを利用した電界効果型有機トランジスタ
JP5071921B2 (ja) * 2006-06-08 2012-11-14 独立行政法人産業技術総合研究所 スメクティック液晶化合物
JP4911522B2 (ja) * 2007-09-03 2012-04-04 独立行政法人産業技術総合研究所 液晶化合物およびこれを用いた薄膜トランジスター

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009231407A (ja) 2009-10-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Funahashi Development of liquid-crystalline semiconductors with high carrier mobilities and their application to thin-film transistors
Funahashi et al. High ambipolar mobility in a highly ordered smectic phase of a dialkylphenylterthiophene derivative that can be applied to solution‐processed organic field‐effect transistors
US7166689B2 (en) Aryl amine polymer, thin film transistor using the aryl amine polymer, and method of manufacturing the thin film transistor
Tian et al. An asymmetric oligomer based on thienoacene for solution processed crystal organic thin-film transistors
Zhang et al. Flexible field-effect transistors from a liquid crystalline semiconductor by solution processes
EP2377178B1 (en) Method of manufacturing organic semiconductor nanofibrillar network dispersed in insulating polymer using a blend of organic semiconductor/insulating polymer and organic thin film transistor using the same
JP2007535163A (ja) 溶融技術により有機半導体デバイスを形成する方法
JP5071921B2 (ja) スメクティック液晶化合物
Iino et al. High uniformity and high thermal stability of solution-processed polycrystalline thin films by utilizing highly ordered smectic liquid crystals
TW200537569A (en) Thin film of condensed polycyclic aromatic compound, and method for preparing thin film of condensed polycyclic aromatic compound
JP5025074B2 (ja) 有機薄膜トランジスタ及び有機薄膜トランジスタの製造方法
TWI724241B (zh) 微晶有機半導體膜、有機半導體電晶體、及有機半導體電晶體的製造方法
JP2010280623A (ja) 平面性の高い分子構造を有する化合物およびこれを用いた有機トランジスタ
US20070145357A1 (en) Thin-film transistor
JP5403578B2 (ja) 有機半導体薄膜及びこれを用いた有機薄膜トランジスター
WO2020171131A1 (ja) 有機半導体デバイス、有機半導体単結晶膜の製造方法、及び有機半導体デバイスの製造方法
JP4480410B2 (ja) 有機半導体材料および有機薄膜トランジスタ並びにその製造方法
JP2010123951A (ja) 薄膜トランジスタおよび半導体組成物
Zhang et al. Fabrication and physical properties of self-assembled ultralong polymer/small molecule hybrid microstructures
TW201448305A (zh) 有機薄膜的形成方法及有機半導體裝置的製造方法,以及藉此所得之可撓性有機半導體裝置
US8304762B2 (en) Tetrathiafulvalene derivatives and organic thin-film transistor
JP5218812B2 (ja) 有機薄膜トランジスタ
JP2010067817A (ja) 有機電界効果トランジスタ
JP4922563B2 (ja) 有機薄膜トランジスタ
JP5030444B2 (ja) 有機薄膜トランジスタ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100726

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20121002

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20130416

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130712

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20130828

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20131022

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20131023

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees