JP5403106B2 - ハイブリッド車両の回生制動制御装置 - Google Patents
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Description
そこで、回生制動エネルギーをバッテリ入力限界値に対応するレベルに制限し、バッテリ入力限界値を越えた制動エネルギー分(ハッチングを付して示す)は、これを自動ブレーキによる摩擦制動で賄うというものである。
まず本発明の前提となるハイブリッド車両を説明するに、これは、
エンジンおよび/またはモータ/ジェネレータからの動力により走行可能で、また設定された走行状態を維持する自動走行が可能で、且つ上記モータ/ジェネレータにより回生制動が可能なものである。
自車の前方における情報から停車目標位置を設定する停車目標位置設定手段と、
該手段で設定した停車目標位置、および自車速から、該自車速を前記停車目標位置への到達時に規定車速まで低下させるのに必要な要求制動エネルギーを算出する要求制動エネルギー算出手段と、
該手段で算出した要求制動エネルギーを前記回生制動のみによって、前記停車目標位置への到達時に発生させ終える場合に必要な回生制動開始位置を演算する回生制動開始位置演算手段と、
上記自動走行中である場合、上記演算した回生制動開始位置に到達した時より、前記要求制動エネルギー回生制動のみによって発生させるような態様で前記回生制動を行わせる回生制動実行手段とを具備して成るものである。
自車の前方における情報から設定した停車目標位置、および、自車の走行情報から、車速を規定車速まで低下させるのに必要な要求制動エネルギーを算出し、
この要求制動エネルギーを回生制動のみで発生させる場合において必要な回生制動開始位置を演算し、この回生制動開始位置に到達した時より、要求制動エネルギーに対する回生制動の分担割合ができるだけ大きくなるような態様で回生制動を行わせるため、
制動開始位置を先読みしてこの位置から制動を開始させることとなり、その分だけ要求制動エネルギーを一層小さな回生制動力で発生させることができ、バッテリ入力限界値による制約にもかかわらず、要求制動エネルギーに対する回生制動の分担割合を高くすることができ、回生エネルギー回収率(燃費)を改善することができる。
図1は、本発明の一実施例になる回生制動制御装置を具えたハイブリッド車両の制御システムを示し、1L,1Rはそれぞれ左右前輪、2L,2Rはそれぞれ左右後輪、3L,3Rはそれぞれ左右前輪の液圧ブレーキ(摩擦ブレーキ)ユニット、4L,4Rはそれぞれ左右後輪の液圧ブレーキ(摩擦ブレーキ)ユニットである。
左右前輪ブレーキユニット3L,3R、および、左右後輪ブレーキユニット4L,4Rは、共通なブレーキアクチュエータ5からのブレーキ液圧により作動されて、個々の車輪を摩擦制動するものとする。
これらの結合に当たっては、トランスアクスル(自動変速機)7内に遊星歯車組(図示せず)を設け、そのキャリアにエンジン8を、またリングギヤにモータ/ジェネレータ9を、サンギヤに発電機10を結合する。
かくして、エンジン8、モータ/ジェネレータ9および発電機10の制御に当たっては、トルクおよび回転数が上記遊星歯車組で決まるバランス状態を保つよう、当該制御を遂行する必要がある。
これがためコントローラ12には、アクセル開度を検出するアクセル開度センサ14からの信号と、
ブレーキペダルのストローク(制動操作力)を検出するブレーキペダルストロークセンサ15からの信号と、
直前の先行車両との車間距離を検出する車間距離センサ16からの信号と、
ステアリングホイールの操舵角を検出する操舵角センサ17からの信号と、
ナビゲーション装置18からの自車前方における先行車両数や、信号とか、渋滞状態、交差点、料金所などの情報を入力する。
コントローラ12は、強電バッテリ13のバッテリ蓄電状態SOC(持ち出し可能電力)や、入力限界値や、温度、劣化状態をモニタし、強電バッテリ13の入出力可能電力量を算出する。
モータ/ジェネレータ9の制御に当たってコントローラ12は、インバータ11を介して強電バッテリ13からモータ/ジェネレータ9への電力供給を加減してモータ/ジェネレータ9からの車輪駆動力を制御する。
ちなみに、低車速時はモータ/ジェネレータ9のみにより単独で車輪を駆動し、車速が高くなる時、エンジン8による駆動トルクをモータ/ジェネレータ9でアシストして車輪を駆動する。
モータ/ジェネレータ9による回生制動で発生した電力は、インバータ11を経て強電バッテリ13に戻して回収し、モータ/ジェネレータ9が車輪駆動力を発生するようモータとして作用するときの電力として用いる。
なお図9における車速VSP(自車速度)を求めるに当たってコントローラ12は、モータ/ジェネレータ9の回転数からこれを把握することとする。
また、路面μの推定に際してコントローラ12は、モータ/ジェネレータ9およびエンジン8へと指示する駆動トルクから推定可能な車体速度と、上記のごとくモータ/ジェネレータ9の回転数から把握した車速VSPとの差異よりこれを求めることとする。
そして、本発明による回生制動制御を用いるべき車両減速時にコントローラ12は、警告灯21を点灯して運転者に、本発明による回生制動制御が開始されたことを認識させる。
ステップS11においては、ナビゲーション装置18からの情報に基づき、自車の前方における信号や、交差点や、料金所や、渋滞状態など、停車すべきポイントがあるか否かをチェックし、停車すべきポイントがある場合は、自車と停車すべきポイントとの間を走行している大方の車両台数を把握し、これをもとに自車の停車目標位置を設定する。
従ってステップS11は、本発明における停車目標位置設定手段に相当する。
次いでステップS13において、ステップS11で求めた自車の停車目標位置と、ステップS12で求めた車速VSPとから、現在の車速VSPを停車目標位置への到達時に規定車速まで低下させるのに必要な要求制動エネルギーEbtotalを算出する。
従ってステップS13は、本発明における要求制動エネルギー算出手段に相当する。
従ってステップS14は、本発明における回生制動開始位置演算手段に相当する。
ステップS14で回生制動開始位置を演算するに当たっては先ず、例えば図3に例示するマップをもとに車速VSPから、当該回生制動時の必要制動距離を求め、この必要制動距離の決定に際しては、自車重量が重いほど、また、路面μが小さいほど長くなるよう決定するのが良い。
図5に例示するように、車間距離に応じた制動距離補正係数は、車間距離が短いほど回生制動開始位置を衝突回避のため手前側に設定する必要があることから、車間距離が短いほど必要制動距離を長くなるよう補正するものとする。
ただし、車間距離が安全に停車可能な一定以上の車間距離である場合は、回生制動開始位置の変更が不要であるから、必要制動距離を補正しないようなものとする。
ただし、強電バッテリ入力限界値が回生制動割合を最大にし得るような一定以上の強電バッテリ入力限界値である場合は、回生制動開始位置の変更が不要であるから、必要制動距離を補正しないようなものとする。
図7に例示するように、運転者による目標車両減速度に応じた制動距離補正係数は、目標車両減速度が小さいほど発生制動力が小さくて長い制動距離が必要であることから、目標車両減速度が小さいほど回生制動開始位置を手前側に移動させるべく必要制動距離を長くなるよう補正するものとする。
ステップS11で設定した停車目標位置よりも当該必要制動距離だけ前の位置を回生制動開始位置と定める。
次のステップS17においては、定速走行制御装置や、追従走行制御装置などのセットにより自動走行が行われているか否かをチェックする。
車速VSPが規定車速まで低下しないうちは制御を直前に戻し、ステップS18で開始させた本発明による回生制動制御を引き続き実行させる。
ここで本発明による回生制動制御とは、要求制動エネルギーEbtotalに対する回生制動の分担割合ができるだけ大きくなる(好ましくは最大になる)ような態様で回生制動を行わせることであり、
従ってステップS18は、本発明における回生制動実行手段に相当する。
ステップS21において最適ブレーキ操作量(最適摩擦制動力Tfo)でないと判定するとき、つまり要求制動エネルギーEbtotalに対する回生制動の分担割合が最大でなくて回生制動の増大余地がある場合は、ステップS22において、要求制動エネルギーEbtotalに対する回生制動の分担割合を図8に実線で示すごとく最大にするためのブレーキ操作量(摩擦制動力)の補正方向および補正量を運転者に指示する。
この指示は、ナビゲーション装置18の画面に表示して行うことができる。
従ってステップS22は、本発明における回生制動実行手段に相当する。
運転者がステップS22での指示に基づいてブレーキ操作量(摩擦制動力)を最適ブレーキ操作量(最適摩擦制動力Tfo)に一致するよう補正し、これにより、要求制動エネルギーEbtotalに対する回生制動の分担割合が図8に実線で示すごとく最大になったとき、ステップS21がステップS23を選択し、ここで車速VSPが規定車速まで低下したか否かを判定する。
定速走行装置などを作動させた自動走行中であって、車速VSPを図9(a)と同じく瞬時t1〜t2間において図9(a)のごとくに低下させる車両の減速要求があった場合でも、図9(a)のごとく瞬時t1に回生制動を開始させるのではなく、図9(b)のごとくそれよりも前の瞬時t0に回生制動を開始させる。
この要求制動エネルギーEbtotalを回生制動のみで発生させる場合において必要な回生制動開始位置を演算し(ステップS14)、この回生制動開始位置に到達した図9(b)の瞬時t0より(ステップS15)、要求制動エネルギーEbtotalに対する回生制動の分担割合ができるだけ大きくなる(最大になる)ような態様で回生制動を行わせるため(ステップS18、ステップS22)、
制動開始位置を先読みしてこの位置から制動を開始させることとなり、その分だけ要求制動エネルギーEbtotal{図9(b)では要求制動力Tbtotal}を一層小さな回生制動力Trで発生させることができ、図9(a)につき前述したバッテリ入力限界値による制約にもかかわらず、摩擦制動に全く頼ることなく(摩擦制動力Tf=0)、回生制動のみにより要求制動エネルギーEbtotalを発生させ得て、要求制動エネルギーEbtotalに対する回生制動の分担割合を高くすることができ、回生エネルギー回収率(燃費)を改善することができる。
運転者がブレーキペダルを操作して行う車両減速時も、運転者が指示された最適ブレーキ操作量となるようブレーキ操作を行うことで、
摩擦制動を補って要求制動エネルギーEbtotalを発生させるように行われる回生制動を、要求制動エネルギーEbtotalに対する回生制動の分担割合ができるだけ大きくなる(最大になる)ような態様で実行されることとなり、
運転者がブレーキペダルを操作して行う車両減速を行う通常走行時も、要求制動エネルギーEbtotalに対する回生制動の分担割合をできるだけ大きくして(最大にして)回生エネルギー回収率(燃費)を改善することができる。
図9(b)における車速VSPの低下割合(車両減速度)を、運転者の好みに符合したものとすることができ、減速フィーリングを違和感のないものにすることができる。
かかる短い車間距離のもとでは、車速VSPを規定車速まで低下させる(ステップS19およびステップS23)タイミングを早めて、衝突を回避することができる。
制動力が急に抜けることがないよう、制御が終了するよりも前から、本発明による回生制動制御の終了を運転者に予告し始める必要があるためである。
2L,2R 左右後輪
3L,3R 左右前輪の液圧ブレーキ(摩擦ブレーキ)ユニット
4L,4R 左右後輪の液圧ブレーキ(摩擦ブレーキ)ユニット
5 ブレーキアクチュエータ
6 ディファレンシャルギヤ装置
7 トランスアクスル(自動変速機)
8 エンジン
9 モータ/ジェネレータ
10 発電機
11 インバータ
12 コントローラ
13 強電バッテリ
14 アクセル開度センサ
15 ブレーキペダルストロークセンサ
16 車間距離センサ
17 操舵角センサ
18 ナビゲーション装置
19 補助バッテリ
20 DC/DCコンバータ
21 警告灯
Claims (4)
- エンジンおよび/またはモータ/ジェネレータからの動力により走行可能で、また設定された走行状態を維持する自動走行が可能で、且つ前記モータ/ジェネレータにより回生制動が可能なハイブリッド車両において、
自車の前方における情報から停車目標位置を設定する停車目標位置設定手段と、
該手段で設定した停車目標位置、および自車速から、該自車速を前記停車目標位置への到達時に規定車速まで低下させるのに必要な要求制動エネルギーを算出する要求制動エネルギー算出手段と、
該手段で算出した要求制動エネルギーを前記回生制動のみによって、前記停車目標位置への到達時に発生させ終える場合に必要な回生制動開始位置を演算する回生制動開始位置演算手段と、
前記自動走行中である場合、前記演算した回生制動開始位置に到達した時より、前記要求制動エネルギーを回生制動のみによって発生させるような態様で前記回生制動を行わせる回生制動実行手段とを具備して成ることを特徴とするハイブリッド車両の回生制動制御装置。 - 請求項1に記載のハイブリッド車両の回生制動制御装置において、
前記回生制動開始位置に到達したことを運転者に認知させる回生制動開始位置到達警報手段を設けたことを特徴とするハイブリッド車両の回生制動制御装置。 - 請求項1または2に記載のハイブリッド車両の回生制動制御装置において、
前記要求制動エネルギーを回生制動のみで発生させる場合における回生制動力を、前記モータ/ジェネレータの電力源であるバッテリの入力限界値に応じ制限するよう構成したことを特徴とするハイブリッド車両の回生制動制御装置。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載のハイブリッド車両の回生制動制御装置において、
前記回生制動開始位置演算手段は、前記要求制動エネルギーを回生制動のみで発生させる場合において必要な回生制動開始位置を、先行車両との車間距離が設定値よりも短いとき手前側に変更するものであることを特徴とするハイブリッド車両の回生制動制御装置。
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