JP5401537B2 - 交流電動機の駆動装置 - Google Patents

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Description

本発明は,誘導電動機や永久磁石同期電動機などの交流モータを,パルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)でインバータを駆動する交流電動機の駆動装置に関するものである。
交流電動機を高応答,高精度に制御する場合,電動機のトルクを管理する必要がある。それには,電動機の相電流を検出し,制御器内部にてトルク電流成分と励磁成分電流を各々独立に制御する必要がある。この技術はベクトル制御として広く用いられている。
電流検出手段として,相電流を直接検出するDCCT(D.C. Current Transformer)は交流から直流まで幅広い検出が可能な電流センサであり、優れた特性を持つが,コストが高く,また,サイズが大きいため装置の小型化の障害になっている。小型の汎用インバータでは,DCCTの代わりに,安価で,かつ,実装の容易なシャント抵抗が用いられる。
シャント抵抗を用いた電流検出方式としては,特開昭63−80774号公報(特許文献1),特開平6−153526号公報(特許文献2),特開2008−131770号公報(特許文献3),および特開平6−284747号公報(特許文献4)がある。
特開昭63−80774号公報(特許文献1)は,図21に示すように,インバータ各アームの下側にシャント抵抗を取り付ける電流検出方式であり,下側アームがオンのタイミングでシャント抵抗の電圧をサンプリングすれば,相電流を検出できる。
特開平6−153526号公報(特許文献2)は,図22に示すように,直流母線電流にシャント抵抗を取り付けた電流検出方式である。この位置にシャント抵抗を取り付けるのは,インバータの過電流検出としては一般的に知られているが,特開平6−153526号公報(特許文献2)では,このシャント抵抗を流れる電流値から,電動機の相電流を再現している。すなわち、インバータ主回路のスイッチング状態から,シャント抵抗に流れる電流がどの相の電流であるかを判別している。
特開2008−131770号公報(特許文献3)には,特許文献2の改良版が開示されている。特許文献2では,例えば低速駆動時や,キャリア周波数が高い領域において,パルス幅が短く電流の検出が困難となるため,特許文献3では、PWMの対称性を考慮した上でパルス幅に補正をかけて,検出精度を確保している。
また,特開平6−284747号公報(特許文献4)は,過電流検出の精度を向上する目的で,直流母線電流のシャント抵抗を2つ用意した電流検出方式が開示されている。1つのシャント抵抗を下アームの主回路スイッチング素子の合成電流検出に用い,もう片方のシャント抵抗をスイッチング素子に並列に接続されたダイオードの合成電流の検出に用いるものである。
特開昭63−80774号公報 特開平6−153526号公報 特開2008−131770号公報 特開平6−284747号公報
しかし,特許文献1に記載の電流検出方法では,シャント抵抗が各相分(3個)必要となる問題がある。さらに,シャント抵抗には各相でばらつきが生じるため,三相不平衡の要因になる。センサの不平衡は,電動機や負荷の不平衡との区別が付かないため,制御側での補正は不可能であり、所望のトルク精度が得られない問題がある。
特許文献2及び3に開示された電流検出方式では,シャント抵抗が1個で済むため,相間ばらつきの心配はない。しかし,例えば,変調率の低い低速回転時や,高キャリア周波数時のように、パルス幅が短くなる条件においては,シャント抵抗を流れる電流が,狭い幅のパルス状の電流となり,リンギング等の影響で検出困難になる。これを特許文献3では緩和しているが,やはり限界がある。例えば,検出可能な条件までパルス幅に修正を加えれば,確かに電流の検出は可能になるものの,パルスの補正によって,高調波は増加し,それに伴う波形のひずみ,電動機の高調波損失による発熱,効率の低下などが問題になる。
特許文献4に開示された電流検出方式では,シャント抵抗は2個必要となるが,波形の対象性は維持されるため,三相アンバランスの心配はない。ただし,シャント抵抗を流れる電流は,どの相の電流かを特定することができない。例えば,ある相の下アームをオンした場合に,スイッチング素子がオンして,正方向の電流が流れているのか,あるいは,ダイオードがオンして負方向の電流が流れているのかの区別ができない問題がある。
特許文献4では,ベクトル制御のような精密な電流検出を目的としておらず,回生や高変調率時の電流検出を確実に行い,回路保護のための手段として用いており、このままでは,高精度な電動機制御を行うことは不可能である。
本発明の目的は,これらの問題に鑑み,交流電動機の相電流検出を,少ない部品点数で,かつ,ひずみの少ない電流波形によって高精度・高品質に実現する交流電動機の駆動装置を提供することにある。
本願において開示される発明のうち,代表的なものの概要を簡単に説明すれば,次の通りである。
本発明の代表的な実施の形態に関わる交流電動機の駆動装置は,正弦波状の交流電流を出力するインバータと,前記インバータに接続された三相交流電動機と,前記インバータに対してパルス幅変調信号を出力し前記インバータを制御する制御器を有する交流電動機の駆動装置であって,直流母線電流検出手段として,インバータ主回路の上アームまたは下アームの三相のスイッチング素子の合成電流を検出する第1の電流検出手段と,三相の前記スイッチング素子にそれぞれ並列に接続されたダイオードの合成電流を検出する第2の電流検出手段の少なくとも一方を備え,その電流検出値を用いて,前記三相交流電動機に流れる交流電流の振幅と位相,もしくはこれらに相当する状態量を推定演算して,前記三相交流電動機を駆動することを特徴とする。
本願において開示される発明のうち,代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下の通りである。
本発明の代表的な実施の形態に関わる三相交流電動機の駆動装置によれば,装置の小型化と同時に,高精度,高効率,低騒音,高応答な電動機駆動装置を提供できる。
また、電流検出精度が確保できるため,ベクトル制御を用いた高応答な電動機駆動の実現も可能であり,特に,これまで難しいとされてきた零速度近傍のセンサレス駆動においても,高調波を増やすことなく,理想的な電動機駆動装置を実現できる。
本発明の第1の実施の形態に関わる交流電動機駆動装置の構成を表すブロック図である。 本発明の第1の実施の形態に関わる交流電動機駆動装置の主要部分の波形を示す図である。 図2の波形の詳細を示した図である。 本発明の第1の実施の形態に係わる検出電流I0の動きを示す図である。 本発明の第1の実施の形態に関わる電流推定器の構成を表すブロック図である。 本発明の第2の実施の形態に関わる交流電動機駆動装置の電圧指令・電流検出ブロックを表す図である。 本発明の第2の実施の形態に関わる交流電動機駆動装置の主要部分の波形を示す図である。 本発明の第2の実施の形態に関わるインバータ主回路の動作状態を示す図である。 本発明の第3の実施の形態に関わる交流電動機駆動装置の電圧指令・電流検出ブロックを表す図である。 本発明の第3の実施の形態に関わる交流電動機駆動装置のシャント電流の波形を示す図である。 本発明の第4の実施の形態に関わる交流電動機駆動装置の電圧指令・電流検出ブロックを表す図である。 本発明の第4の実施の形態に関わる交流電動機駆動装置の電圧補正「なし」の場合の主要部分の波形を示す図である。 本発明の第4の実施の形態に関わる交流電動機駆動装置の電圧補正「あり」なしの場合の主要部分の波形を示す図である。 本発明の第4の実施の形態に関わる交流電動機駆動装置の電圧補正状態を示す波形の図である。 本発明の第4の実施の形態に関わる交流電動機駆動装置の他の手法による電圧補正を示す波形の図である。 本発明の第5の実施の形態に関わる交流電動機駆動装置の電圧指令・電流検出ブロックを表す図である。 本発明の第5の実施の形態に関わる交流電動機駆動装置の電圧指令・電流検出ブロックの他の例を表す図である。 本発明の第6の実施の形態に関わる交流電動機駆動装置の電流推定器を表す図である。 本発明の第7の実施の形態に関わる交流電動機駆動装置の電圧指令・電流検出ブロック,ならびにモータ定数測定器を表す図である。 本発明の第7の実施の形態に関わる交流電動機駆動装置の主要部分の波形を示す図である。 シャント抵抗を3個使用した電流検出回路の従来例の構成図である。 シャント抵抗を1個使用した電流検出回路の従来例の構成図である。
符号の説明
1…速度指令発生器、2…制御器、3…インバータ、4…直流電源、5…三相誘導電動機、6a…第1のシャント電流検出器、6b…第2のシャント電流検出器、7…過電流検出器、8a〜8d…加減算器、9…速度制御器、10…Id*発生器、11…d軸電流制御器、12…q軸電流制御器、13…速度推定器、14…すべり演算器、15…電気角位相演算器、16…電圧指令・電流検出ブロック、17…dq座標変換器、18…dq逆変換器、19…PWM発生器、20…電流推定器、31…インバータ主回路、32…出力プリドライバ、41…商用交流電源、42…整流器、43…平滑コンデンサ。
以下本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
図1は,本発明の第1の実施の形態に関わる交流電動機の駆動装置の構成を表すブロック図である。
この装置は,三相誘導電動機等の交流電動機の駆動を目的とするものである。大別すると,この装置は、速度指令発生器1,制御器2,インバータ3,インバータの電源4,および駆動対象である三相誘導電動機5(以下,誘導機と略称する)を含んで構成される。インバータ3は、インバータ主回路31や出力プリドライバ32,第1,第2のシャント電流検出器6a,6bを含むものとする。
速度指令発生器1は,誘導機5の回転速度指令ωr*を与える手段であり,制御器2の上位に位置する。
制御器2は,回転速度指令ωr*に,誘導機5の実際の回転数が一致するように,誘導機5への印加電圧の演算を行い,さらに,パルス幅変調を行って,インバータの主回路をスイッチングするゲート信号を出力する。この制御器2は,速度制御器(ASR)9,d軸電流指令(Id*)発生器10,d軸電流制御器(IdACR)11,q軸電流制御器(IqACR)12,速度推定器13,すべり演算器14,電気角位相演算器15及び電圧指令・電流検出ブロック16を備える。この電圧指令・電流検出ブロック16は、本発明の特徴部であり、詳細は後述する。なお、8a〜8dは加減算器である。
電源4は,商用交流電源41を整流する整流器42と,整流波形の電圧脈動を滑らかにする平滑コンデンサ43から成る。また、第1,第2のシャント電流検出器6a,6bの値を観測し,過大電流発生時に、すかさずゲート信号を遮断してインバータを保護する過電流検出器7が備えられている。
次に、各構成要素の動作について説明する。
速度指令発生器1から与えられた速度指令ωr*は,加減算器8aにて,速度推定値ωrcとの偏差が計算され,それに基づいて速度制御器(ASR)9にて,トルク電流指令Iq*が演算される。通常,誘導機5の回転数ωrが指令値ωr*と一致するように,実速度ωrを観測しながら必要な電流指令Iq*を発生させる仕組みとなっている。本実施例は,速度センサレスであり、速度推定器13にて,誘導機5の回転速度を推定演算しており,この出力ωrcを実速度と同等に扱って,トルク電流指令Iq*を演算している。無論,速度検出器を用いて,回転速度を計測した結果をωrcの代わりに用いる場合にも適用できることは言うまでもない。
トルク電流指令Iq*に対して,実際の誘導機のトルク電流成分であるIqcとの偏差を加減算器8cにて演算し,この偏差に基づいて,d電流制御器(IqACR)12にてq軸電圧指令Vqc*が演算される。
d軸電流指令Id*発生器10は、誘導機5の励磁電流に相当するd軸電流の電流指令Id*を発生する。この電流指令Id*は、加減算器8bにて,実際の励磁電流成分Idcとの偏差が計算され,その値から,d軸電流制御器(IdACR)11にて,誘導機のd軸電圧指令Vdc*が演算される。これら,d軸電流制御器11,q軸電流制御器12は,一般的な比例積分制御にて構成されている。
速度推定器13では,誘導機5の回転速度推定を行う。近年,パルス・エンコーダなどの速度センサを用いないで誘導機をベクトル制御する“速度センサレス・ベクトル制御”が広く用いられており,本実施形態もそれを想定している。速度推定の方法については,公知のいずれかの手法を採るものとして,詳細な説明は省略する。また,誘導機の場合,すべり周波数を負荷状態に応じて適切に制御する必要がある。本実施形態においては,すべり演算器14にて、Id*,Iq*に応じてすべり周波数ωsを演算し,回転速度の推定値ωrcに加算して,誘導機5の駆動周波数であるω1を演算している。
ベクトル制御では,誘導機5の電圧,電流を、誘導機5の二次磁束を基準にして回転座標軸上で観測して制御を行う。この回転座標軸の位相角θdcは,駆動周波数ω1を積分器にて積分することで得られる。この演算は,電気角位相演算器15にて行われる。
本発明の特徴部である電圧指令・電流検出ブロック16は,dq座標変換器17,dq逆変換器18,PWM発生器19,ならびに電流推定器20によって構成されている。dq座標変換器17は、誘導機5の電流(交流量)を,dq座標軸上の励磁電流成分(d軸電流)Idcとトルク電流成分(q軸電流)Iqcに変換する。dq逆変換器18は、電圧指令Vdc*,Vqc*を三相交流座標上の電圧指令Vu*,Vv*,Vw*に変換する。PWM発生器19は、前記Vu*,Vv*,Vw*に基づいて,インバータ3をスイッチング動作させるためのパルス幅変調信号を発生する。最後に,電流推定器20は、シャント電流IDCP,IDCNの値を読み込み,誘導機5の電流の特徴量である“振幅”,ならびに“位相”を演算する。
PWM発生器19は,出力プリドライバ32を制御するためのPWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)信号を出力し,インバータ主回路31をオン・オフする。PWM発生器からは,シャント電流をサンプリングするためのトリガー信号CPが,電流推定器20へ送られる。
直流電源4は,前述のように,インバータ3にエネルギーを供給する直流電源である。
インバータ主回路部31は,6個のスイッチング素子Sup〜Swnで構成される。また,電流検出器としては,各相の下側スイッチング素子を流れるすべての電流の総和を検出する第1のシャント抵抗6aと,同様に各相のフリーホイールダイオードを流れる電流の総和を検出する第2のシャント抵抗6bを備えている。これらの検出信号は,アナログ信号として制御器2へ入力されている。
次に,このモータ駆動システムの基本動作について説明する。本実施形態では,誘導機のベクトル制御技術を基本としている。ベクトル制御技術の原理は,回転子に鎖交する二次磁束を基準とした回転座標軸(dq座標軸)上にて,トルクに寄与する電流Iqと,磁束に寄与する電流Idとを独立に制御する手法である。図1におけるd軸電流制御器11,q軸電流制御器12,dq変換器17,dq逆変換器18などは,このベクトル制御技術実現のための主要部分である。
次に,本発明の特徴部分である電圧指令・電流検出ブロック16について,図2〜5を用いて説明する。
図2は、本発明の第1の実施の形態に関わる交流電動機駆動装置の主要部分の波形を示す図である。図2において,(a)は誘導機5に流れる相電流波形,(b)は誘導機5への相電圧指令波形,(c)はPWM発生器19にて,パルス幅変調に用いられている三角波キャリア波形である。被検出電流については、まず、(d)は直流母線電流IDC0であり、(e)の第1のシャント電流IDCPと,(f)の第2のシャント電流IDCNの合成波形である。
IDCP,IDCNには,絶対値が最も大きくなる相の電流波形が,円弧状に点線のように現れている。これらの円弧状の波形は,電気角で60度の周期で変化している。また,IDCPは正側のみ,IDCNは負側のみの波形であり,両者を加算するとIDC0になる。これらの拡大波形を図3に示す。
図3では,図2の波形を拡大すると同時に,パルス幅変調された相電圧波形Vu,Vv,Vw,ならびに線間電圧波形Vuv,Vvw,Vwuを加えた。
パルス幅変調は,図3(b)に示すように,三角波キャリアと相電圧指令Vu*,Vv*,Vw*の比較によって生成され,同図(c)に示す相電圧Vu,Vv,Vwがインバータ3より出力される。
IDCP,IDCNは,三相電圧がすべて−VDC/2となる条件(同図中に[A]と示す期間)で,Iu,Iv,Iwのいずれかの相電流が検出できる。図3の例では,v相の電流Ivが検出可能である。よって,このタイミングでIDCP,あるいはIDCNをサンプリングすれば,確実に一つの相を検出できる。タイミングの作り方としては,例えば図3のように,三角波キャリアのピーク信号(CP)をトリガーにしてもよい。
公知例である特開平6−153526号公報(特許文献2)では,図3における[B],ならびに[C]の期間にて,直流母線電流IDC0をサンプリングする。この場合,図から明らかなように,非常に狭いパルス幅の電流を検出する必要があり,リンギングやノイズの影響を受けやすい。特に、同図[D]のような細いパルス状の波形の場合には,検出が難しい。しかしながら,IDCP,IDCNでは,パルス幅が十分に確保できるため,検出を確実に行うことができる。
次に,図4を使って,IDCP,IDCNから,誘導機5を流れる電流の振幅と位相を求める方法について説明する。
図4は,相電圧指令Vu*と,IDCP(あるいはIDCNを用いても問題ない)の検出電流I0の波形(キャリアのピークでサンプリングした波形)を,条件を変えて示したものである。同図内のI1が電流の振幅(ピーク値)であり,同図内のδが電流の位相角である。力率1の条件(同図(b))では,相電圧指令のピーク付近に,電流検出波形I0のピーク付近の波形が完全に重なっていることがわかる。すなわち,電流検出値I0のピークを探すことで,電流の振幅,ならびに位相情報が得られることがわかる。誘導機の場合には,力率が1になることはほとんど無いため,遅れ位相であることを想定しておく。
誘導機は,無負荷の状態(同図(c))では,励磁電流が支配的となるため,電圧に対して電流はほぼ90度遅れとなる。そのため,電流I0のピークは各60度毎の期間の後半付近にある。負荷が増えてくると,徐々に力率が高くなり,ピークの位相が進んでくる。このピークの位相角から,逆算して電流位相を演算して求める。
図5に,これらの動作を行う電流推定器20の構成図を示す。図に示すように,シャント電流IDCP,ならびにIDCNは,電流サンプルホルダ202a,bにおいて,PWM発生器19からのトリガーCPによってサンプリングされる。次に,IDCP,ならびにIDCNのいずれかを選択するスイッチ201において,電流検出値I0が選択される。両者は同じ値を示すが,誘導機の電気特性や動作状態によって,パルスの幅が異なってくる。どちらを選択するかは,誘導機の動作条件などから,パルス幅の広い方を設定しておけばよい。あるいは,条件によって,切り替えるようにしてもよい。
I0は,ピーク探索器203によって探索され,振幅I1と位相δが演算される。I1とδは極座標系であるので,これをdq軸上の座標であるIdc,Iqcにdq座標変換器17にて変換する。
以上,本実施形態によれば,シャント電流の検出電流から誘導機の相電流の振幅と位相を演算することが可能であり,それによって,誘導機を高性能なベクトル制御で駆動することが可能となる。
(第2の実施の形態)
次に本発明の第2の実施の形態について説明する。
第1の実施の形態では,インバータの出力相電圧がすべて負(−VDC/2)となる条件で,シャント電流をサンプリングし,その波形のピーク値を探索することで,誘導機の相電流の振幅,位相情報を求めた。第1の実施形態は,もっとも簡便な構成でのベクトル制御が可能であるが,電気角で60度周期の電流情報しか得られないため,応答性に問題が生じる可能性がある。
ベクトル制御は,トルク制御を高応答化できることがメリットの一つであるため,その点においては課題が残る。第2の実施形態では,この課題を解決する。
図6に,第2の実施形態における電圧指令・電流検出ブロック16Bを示す。この電圧指令・電流検出ブロック16Bを,図1における電圧指令・電流検出ブロック16の代わりに用いることで,第2の実施形態が実現できる。
図6において,図1ならびに図5と同じ番号の部品は,同じものを表している。新たに加わった部品には,電流推定器20B,dq軸上の電流値Idc,Iqcから電流位相θiを演算する電流位相演算器21,電流位相θiから,I0がどの相の電流であるかを判別するI0相選択器22がある。また,電流推定器20Bには,IDCPとIDCNの和を演算する加減算器8e,その加算値をサンプルホールドするサンプルホルダ202c,202d,これらのサンプルホルダに,ホールドのタイミングT1,T2を与えるタイミング設定器204を備えている。さらに、サンプルホルダ202c,202dの出力Ia1,Ia2と、スイッチ201が出力する電流値I0から,相電流Iu,Iv,Iwを再現する相電流再現器205を備えている。dq座標変換器17Bは,三相交流信号(ここではIu,Iv,Iw)をdq座標軸上の量に変換するdq座標変換器である。
図6において,新たに付加された部品によって,従来の1シャント抵抗による電流再現が可能になる(例えば,特開平6−153526号公報(特許文献2))。タイミング設定器204において,電圧指令Vu*,Vv*,Vw*の大小関係から,どのタイミングでIDC0をサンプリングするかを設定する。通常のPWM方式では,三相電流の内,二相の電流が検出できる。
図7に,タイミングT1,T2とシャント電流の様子を示す。図の条件では,スイッチングモードが1〜4の4種類であり,IDC0には,モード2,モード3の時に電流が現れ,モード1,4の時には電流は零になる。IDCP,IDCNは,モード1において零であり,モード4においては,両者とも等しいIvが観測される。これらの様子を,図8に示す。
図8(a)に示すように,モード1では,各相の上側スイッチがすべてオンとなり,誘導機5の端子電圧は零になる。このとき,インバータ3と誘導機5は,切り離された状態になっている。誘導機を流れていた電流は,上側のスイッチング素子,ならびにダイオードを経由して短絡され,シャント抵抗には電流は流れない。同図(b)に示すモード2では,V相のみが下アーム・オンとなるため,シャント電流には,V相の電流が流れる。V相電流が“正”であればIDCNに電流が流れ,“負”であればIDCPに電流が発生する。モード3(同図(c))では,モード2と同様にして,U相の電流がシャント電流に流れる。
同図(d)におけるモード4の状態では,誘導機5の相電流は,下側アームを通して短絡され,同時にIDCP,IDCNに同じ電流(向きは逆)が流れる。
モード1,モード4は,出力電圧が零である状態であり,インバータ3の出力電圧が小さい領域(誘導機の駆動周波数が低い条件)にて,その期間が長くなる。逆に,モード2,3の期間は短くなる。実施形態1でも述べた通り,IDC0の波形から,相電流を再現するには,非常に狭いパルス電流をサンプリングする必要があり,リンギングやノイズの影響を受けやすい。例えば,図7におけるモード2の期間は非常に短く,T1の設定が限界にある。図の条件では,V相の電流値が,I0,ならびにIa1として検出できることがわかる。しかし,Ia1の検出値は,微小パルスをサンプリングしたものであり,精度が出にくい条件である。V相電流Ivは,IDC0から検出するよりも,I0からの値を用いた方が,安定に検出できることがわかる。よって,相電流再現器205では,I0として検出した電流を優先して用いるようにし,残りの相をIa1,Ia2から選択する。図7の場合には,Ia2を選択し,Iuとして検出することになる。
尚,相電流再現器205では,I0がどの相の電流であるかが既知でなければならない。それには,電流位相演算器21,ならびにI0相選択器22を用いる。電流位相演算器21では,過去の電流値Idc,Iqcを用いて,以下の演算を行う。
θi=θdc+atan(Iqc/Idc)・・・(1)
ここで、θdc:制御器内部の基準位相,atan:アークタンジェント演算である。
上式によって,誘導機5の電流の瞬時の位相θiが求められる。θiが得られれば,三相電流のうち,どの電流がIDCP,ならびにIDCNに発生するかが判断できる。その条件式は下記のようになる。
(i) −30≦θi≦ 30[deg] → Iu
(ii) 30≦θi≦ 90[deg] → −Iw
(iii) 90≦θi≦150[deg] → Iv
(iv)150≦θi≦210[deg] → −Iu
(v) 210≦θi≦270[deg] → Iw
(vi)270≦θi≦330[deg] → −Iv・・・(2)
これらは,I0相選択器22に,テーブルデータとして保存しておく。上記に従って,I0としてサンプリングされる電流が,どの相電流であるかを瞬時に求めることができる。この情報を信号Picpとして,相電流再現器205に与え,相電流再現を行う際に,優先的に利用する。
本実施形態によれば,より高精度な電流検出が実現可能となり,簡便な回路でありながらもベクトル制御の高応答化に貢献できる。
尚,図6ならびに本実施形態以降の実施形態において,IDC0を求める際に,IDCPとIDCNをアナログ値として合成した後に,サンプルホールドを行う構成として説明している。しかし、サンプルホールドを行い,デジタル量として制御器内部に取り込んだ後に,両者を加算することも可能である。実際にマイコンを用いる場合には,そのような処理になるが,実施形態の説明の便宜上,処理の順番を逆にして説明しているだけである。動作上は,どちらも等価である。
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。
第2の実施形態は,検出電流I0が,どの相の電流かを推定する機能と,さらに従来方式によってIDC0から相電流を再現する機能との,両者を組み合わせるものであった。前述したように,従来技術では,相電流の再現が困難な場合がある。本実施形態では,予め、その再現困難な条件を考慮することによって,よりシンプルな構成で電流検出が可能となる例を示す。
図9に,第3の実施形態における電圧指令・電流検出ブロック16Cを示す。この電圧指令・電流検出ブロック16Cを,図1における電圧指令・電流検出ブロック16の代わりに用いることで,第3の実施形態を実現できる。
図9において,図1,図5,ならびに図6と同じ番号の部品は,同じものを表している。新たに加わった部品は,タイミング設定器204C,相電流再現器205Cであり,また,図6におけるサンプルホルダ202Dが削除され,IDC0が1つのタイミングだけでサンプリングされる構成になっている。
図10に,実際の波形を模擬したシャント電流波形を示す。実際にインバータ3で誘導機5を駆動した場合,スイッチング素子がスイッチ動作を行うたびに,図に示すような“リンギング”が必ず発生する。このリンギングの大きさ(振幅),周波数,持続時間などは,インバータや誘導機の特性,設置条件,ケーブルの長さなどに依存し,一概に対策することは難しい。一般的に,インバータと誘導機を結ぶケーブルが長いほど,リンギングの持続時間が長くなる。
図10のようにリンギングが発生すると,例えば,狭いパルス幅の期間(図中の[A])において,電流をサンプリングすることは困難である。このような条件では“リンギング”を検出することになり,著しく精度が劣化する。
本実施形態によれば,IDCP,あるいはIDCNの検出により,少なくとも1相の電流情報は得られることから,無理に検出困難な条件で,相電流を検出する必要はない。条件の良い,すなわちパルス幅の広い方のみを選択して,電流を読み込めばよい。図10では,パルス幅の広い電流(この場合は,Iu)のみをT1のタイミングでサンプリングし,相電流再現に用いる。
これらの動作は,タイミング設定器204Cに対して,I0がどの相であるかの信号Picpを与え,その相以外をサンプリングするように,タイミングT1の設定を行う。タイミングの設定は,キャリアの上り,あるいは下りの周期で1回でよい。よって,サンプルホルダを1個少ない構成で,かつ,アルゴリズム自体もシンプルなものとして,誘導機5の電流検出が可能になる。
(第4の実施の形態)
次に本発明の第4の実施の形態について説明する。
第3の実施の形態では,IDC0からの電流読み込みが,キャリアの半周期において1回のみで十分となる例を示した。
しかし,IDC0を1回だけサンプリングする場合でも限界が発生する。例えば,インバータ3から誘導機5までケーブルが100mにも及ぶ場合には,リンギングの継続時間は10数μsに及ぶ。三角波キャリアとしては,20kHz程度まで高くする場合もあり,キャリアの周期(50μs)に対して,10数μsのリンギングの影響は大きく,実施形態3での対応は困難である。
そこで,電圧指令自体に補正をかけて,パルス幅を強制的に広げる手段を付加して,この問題を解決する。
図11に,第4の実施形態における電圧指令・電流検出ブロック16Dを示す。この電圧指令・電流検出ブロック16Dを,図1における電圧指令・電流検出ブロック16の代わりに用いることで,第4の実施形態を実現できる。
図11において,図1,図5,図6ならびに図9と同じ番号の部品は,同じものを表している。新たに加わった部品は,電圧補正器23,ならびに加減算器8f〜8hである。電圧補正器23は,三相電圧指令Vu*,Vv*,Vw*に対して補正電圧dVu,dVv,dVwを加えて,電圧指令を補正する。この補正は,キャリア周期の最小単位を基準(三角波比較の場合には,キャリアの単調増加,もしくは単調減少を最小単位となる)に,その複数個分を一つの電圧指令変更周期として補正を行う。この電圧指令変更周期内においては,各相の補正電圧はそれぞれ平均が零となるように演算され,元の電圧指令への影響を少なくしている。
図12に補正前の電圧指令波形,相電圧波形,IDC0の波形を,図13に補正後の各波形を示す。これらの波形では,IDC0に発生するリンギングの持続時間が長いものとして示している。
図12に示すように,電圧補正を行う前は,リンギングが長いために,T1のタイミングでもリンギングの一部を検出してしまっている。これに対して,パルス幅を広げるように,電圧指令の補正を行ったのが図13である。図では,Vu*のみの補正量を加えて,検出するパルスの幅だけを広げている。キャリアの単調増加周期において電圧に補正を加え,その次の単調減少周期(図ではTDOWNと記載)では,修正した量を差し引き,平均零となるようにしている。この結果,リンギングの収まったタイミングでの電流検出が実現できている。また,この手法を用いる場合には,電流検出は間欠的に行うものとし,図に示すようにTUPの周期で電流を検出し,TDOWNの周期では検出は行わない。
この動作を図14に示す。電流検出のために加える電圧を“検出補正電圧”とし,その検出補正電圧をキャンセルする電圧を“修正電圧”と記している。電流検出は,電流検出フラグに基づいて行う。この例では,常にキャリアの単調増加期間においてのみ電流検出を行うことになる。
このようなパルス幅変調信号の補正は,従来例でも知られている(例えば,特開2008−131770号公報(特許文献3))。従来方式では,条件が厳しくなると,三相電圧の2相に補正を加える必要が出てくる。その場合,電流に大きな脈動成分が発生し,補正を加えたことによる検出誤差が生じてしまう場合もある。あるいは,高調波量の増加により,電磁騒音や電動機の鉄損などの損失が増大化する。
本実施形態によれば,最悪な条件であっても,補正を加えるのは三相電圧指令の1相のみでよい。図11では,Vu*,Vv*,Vw*のすべてに補正量を加えているが,実際には,1相しか補正は行わず,その他の補正量は零として与えている。よって,高調波発生量は従来よりも少なく,検出誤差,損失の増加を確実に改善できる。
尚,特開2008−131770号公報(特許文献3)では,三角波キャリアの単調増加,ならびに単調減少周期の奇数個分を電圧指令変更周期として,検出精度の向上と,高調波発生量の抑制を行っている。本実施形態においても,その手法の導入は可能である。図15にその様子を示す。
動作原理は,公知例である特開2008−131770号公報(特許文献3)に記載されているので省略する。この公知例は,修正電圧を加える際に,検出補正電圧の前後に複数個に分けて加算することに特徴がある。この結果,電流検出フラグが,キャリアの単調増加時,ならびに単調減少時に交互に現れることになる。これが電流波形の対称性を維持し,高調波の増加の抑制,検出精度の向上に作用している。この補正方法も,条件が厳しくなれば,三相の電圧指令のうち,2相に対して補正を行う必要が出てくる。しかし,本発明に導入すれば,前述の通りに,1相にだけ補正を行えばよいので,公知例に比べてさらに精度の向上,損失の低減が実現できる。
(第5の実施の形態)
次に、本発明の第5の実施の形態について説明する。
第4の実施形態では,IDC0の電流検出が困難な場合に,電圧指令を補正して,パルス幅を変更することで電流検出を行うものであった。しかし,電圧指令の変更は,少なからず波形のひずみを生じさせることになる。例えば,過渡応答特性はさほど必要でないが,損失だけを極力少なくしたいようなシステムでは,電圧補正は行いたくない。第5の実施形態は,これらの課題を解決する例である。
図16に,第5の実施形態における電圧指令・電流検出ブロック16Eを示す。この電圧指令・電流検出ブロック16Eを,図1における電圧指令・電流検出ブロック16の代わりに用いることで,第5の実施形態を実現できる。
図16において,図1,図5,図6,図9,ならびに図11と同じ番号の部品は,同じものを表している。図11に対して,新たに加わった部品は,dq逆座標変換器18bと,電流切替スイッチ24である。
dq逆座標変換器18bは,演算結果のIdc,Iqcを入力して,三相電流Iuc,Ivc,Iwcに変換する。この処理は,電流検出・演算が行われる周期の1回前の計算結果に基づいて行われる。電流切替スイッチ24は,相電流再現にて求めた三相電流と,上記の三相電流Iuc,Ivc,Iwcのどちらかを選択するかを決めるスイッチである。スイッチが「1」であれば,再現電流が選択され,「0」側であれば,1回前の結果から逆算した三相電流(Iuc,Ivc,Iwc)が選択される。この選択は,各相毎に行われる。
パルス幅が短く,IDC0からの検出が困難な場合には,本実施形態ではIaからの再現処理を行わない。電圧補正器23は,常に零の補正電圧を出力する。その代わり,I0は確実に検出可能であるから,それは電流再現に用いる。ただし,少なくとも,もう1相の情報がないと誘導機5の相電流の振幅,ならびに位相を特定することができないため,ここでは過去の値であるIuc,Ivc,Iwcのいずれかを用いる。再現できない分を,過去の値から借用して演算を行う。この手法は,制御動作上は単なる「遅れ」となって制御系に影響を与えるが,I0は検出値として使用していることから,制御系としては不安定にはなりにくい。少なくとも,I0によって電流が最大となる状態は管理されることになる。
尚,IDC0の検出不可時において,図16では過去の検出値から代用する手法を示したが,図17に示すように,Idc,Iqcの代わりに電流指令であるIdc*,Iqc*を用いてもよい。この場合には,遅れ要素とならないため,むしろ安定性は向上する。
(第6の実施の形態)
次に、本発明の第6の実施の形態について説明する。
本発明の望ましい実施態様においては,図1におけるシャント抵抗6a,6bのように、基本構成として,シャント抵抗を2個使用する。シャント抵抗は,通常数10mΩ〜数100mΩの低抵抗が用いられ,誤差も大きい。さらに、抵抗器である以上,温度によって値が変化する。
複数個のシャント抵抗を用いる場合,特に問題となるのは,それらのばらつきである。各アームにシャント抵抗を備える従来例(特開昭63−80774号公報(特許文献1))では,三相のアンバランスによって,トルク脈動が発生する可能性が高い。
本発明の実施態様においては,電流の向きによって,ばらつきの影響が出る可能性がある。本実施形態は,そのばらつきの補正方法に関する。
図18に,第6の実施形態における電流推定器20Gを示す。この電流推定器20Gを,これまでの実施形態における電圧指令・電流検出ブロックに用いることで第6の実施形態を実現できる。
図18は,ゲイン設定器206と,可変ゲイン増幅器207a,207bが付加されている。ゲイン設定器206は,サンプルホルダ202a,202bの出力を入力し,両者のずれを計算する。この計算は,インバータ3の出力電圧が,三相すべてが負(−VDC/2)となる期間に行うようにする。この期間においては,両者を流れる電流は符号が異なるだけで絶対値は等しくなるはずである。両者にずれがあれば,それはシャント抵抗6a,6bのばらつきによるものとみなすことができる。
このばらつきがなくなるように,可変ゲイン増幅器207a,あるいは207bのいずれかを補正する。これによって,シャント抵抗のばらつきは補正され,トルク脈動の発生が抑制される。尚,図18ではアナログ増幅器として,可変ゲイン増幅器を導入したが,実際には,ADコンバータでデジタル量として入力し,その後ソフトウエア上の処理としてゲイン補正を行う方が,部品数,コストの面で有利である。
(第7の実施の形態)
次に、本発明の第7の実施の形態について説明する。
交流電動機の駆動装置では,交流電動機を直流電動機と同等に扱うことが可能な“ベクトル制御”が用いられることが多い。このベクトル制御では,特に電動機の電気定数を合わせ込む必要がある。すでに、汎用インバータの高級機種などでは,この電気定数を自動的に調整する“オートチューニング機能”が搭載されている。このオートチューニング機能は,インバータ3を用いて,誘導機5に単相電圧を印加し,それによって流れる交流電流から,誘導機のインダクタンス,抵抗を測定するものである。単相が用いられるのは,誘導機5の回転子を固定するためである。このような単相励磁によって,電動機の漏れインダクタンスと巻線抵抗が演算できる。通常は,電流検出精度を必要とするため,電流センサ(DCCT)が取り付けられたインバータで適用されるのが一般的である。
本実施形態では,本発明の特徴であるシャント電流検出手段によるオートチューニング機能を提供する。
図19に,第7の実施形態における電圧指令・電流検出ブロック16Hと,モータ定数測定器25を示す。これらを,例えば図9に示す第3の実施形態に導入すれば,第7の実施形態を実現できる。もちろん,他の実施形態にも適用可能である。
図19において,モータ定数測定器25は,オートチューニング機能を動作させた際に機能し,誘導機5の電気的定数を測定するための電圧指令を作成する。電圧切替スイッチ26は,各スイッチによって,通常動作とオートチューニング動作とを切り替えることができる。通常は,すべてのスイッチを「1」側にしておくが,オートチューニング時には「0」に切り替えて,モータ定数測定器25の出力をインバータ3を介して誘導機5に印加する。これによって,誘導機5には電流が流れ,これまで説明してきたシャント電流値IDCP,IDCNを三角波キャリアピークでサンプリングし,そのどちらかの値I0を読み込む。モータ定数測定器25では,この値I0を用いて,印加電圧との関係からモータ定数を計測する。
図19の動作を,図20の波形を用いて説明する。
オートチューニング動作時には,通常の三相平衡電圧ではなく,交番磁界を発生させるために単相電圧が印加される。図20(a)に示すように,VuからVv,Vwに電圧が印加される。VvならびにVwは同じ波形であり,両者ともVuと位相が反転し,振幅が半分の波形になっている。
この結果,同図(b)のような交流電流が誘導機5に流れる。電圧指令との位相差は,誘導機5の漏れインダクタンスによって生じている。電流の位相と振幅から,誘導機5の巻線抵抗とインダクタンスを計算することができる。
このとき,シャント電流は,それぞれ同図(d)〜(f)となる。交流電動機は,停止状態ではわずかな印加電圧で定格電流に到達するため,図のように,IDC0は極めて狭い幅のパルス電流の集合になる。逆に,IDCP,IDCNは通電幅が広がり,電流を読み込みやすくなる。従来型の1シャント電流検出を用いると,図20(d)の波形となるため,第4の実施形態で示したような電圧補正が必要になる。しかし,電圧補正によると,検出誤差を増やす恐れがあり,オートチューニング機能にはふさわしくなく,チューニング精度が劣化する可能性が高い。
本実施形態では,IDC0をオートチューニングに用いずに,同図(e),(f)におけるIDCP,あるいはIDCNを導入する。IDCP,あるいはIDCNを三角波キャリアのピークにてサンプリングすると,同図(e),(f)に点線で図示したように、相電流Iuを全波整流したような円弧状の電流波形が得られる。この波形から,高精度にモータ定数を演算で求めることができる。
具体的には,上記円弧状の波形のピークを探索すれば求めることが可能である。
また,フーリエ級数展開,あるいはフーリエ変換によって,電流の振幅,位相を計算することも可能である。図20(e),(f)には,基本波周波数の2倍の高調波が最も多く含まれており,その成分をフーリエ級数展開によって求めればよい。図20(g)に,基準となる2倍周波数関数の波形を示す。これらを同図(e),あるいは(f)で検出した円弧状の成分に掛け算し,平均値を計算することで,2倍成分の含有率が求められる。この含有率と,元の電流波形との関係をあらかじめ求めておけば,電流の位相と振幅を算出でき,その結果から,誘導機5のインダクタンス,抵抗を導出できる。
以上,本発明による実施形態について説明した。説明上,交流電動機として誘導機を用いて説明したが,他の交流電動機,例えば,永久磁石型同期電動機,巻線型同期電動機,その他の交流電動機に対しても,すべての実施形態が適用可能である。電流推定部分の演算は,どのような交流電動機であっても適用可能である。また,電動機に限らず,三相交流を扱う電源コンバータなどにも適用できる。
また,シャント抵抗器は,主回路の下アーム側(マイナス側)に接続したが,上アーム側に同様な回路を取り付けても問題はない。本発明を同じように適用可能である。
尚,本発明における制御器は,マイコンで実現することが可能であり,説明に用いたそれぞれの部品は,マイコン内部のロジック,あるいはソフトウエアとして実現できるものである。
既述の通り,本発明は交流電動機の駆動装置を,小型・高精度・低損失なシステムにするための技術である。この装置の適用範囲は,産業用汎用インバータを始め,それを用いたファン,ポンプ,圧縮機,昇降機,コンベアなどの回転速度制御に利用可能である。

Claims (10)

  1. 正弦波状の交流電流を出力するインバータと、前記インバータに接続された三相交流電動機と、前記インバータに対してパルス幅変調信号を出力し前記インバータを制御する制御器を有する交流電動機の駆動装置であって、
    前記インバータ主回路の上アームまたは下アームの各相スイッチング素子の合成電流を検出する第1の電流検出手段と、前記各相スイッチング素子にそれぞれ逆並列に接続されたダイオードの合成電流を検出する第2の電流検出手段のうち少なくとも一方と、
    前記第1,第2の電流検出手段の少なくとも一方の電流検出値を用いて、前記三相交流電動機に流れる交流電流の振幅と位相を推定演算する推定演算手段とを備え
    前記推定演算手段は、前記パルス幅変調信号の周期毎に行うものとし、
    前記インバータの出力線間電圧が零となる期間、すなわち三相それぞれの上アームのスイッチング素子がすべてオン、あるいは、三相それぞれの下アームのスイッチング素子がすべてがオンである期間における前記第1の電流検出手段及び/又は第2の電流検出手段の検出電流値を用いて、前記三相交流電動機に流れる交流電流の振幅と位相を推定演算することを特徴とする交流電動機の駆動装置。
  2. 請求項において、
    前記インバータの出力線間電圧が零となる期間、すなわち三相それぞれの上アームのスイッチング素子がすべてオン、あるいは、三相それぞれの下アームのスイッチング素子がすべてがオンである期間において、前記第1の電流検出手段及び/又は第2の電流検出手段の検出電流値I0を前記制御器に読み込み、
    さらに、前記インバータの出力線間電圧が零でない期間において、前記第1,第2の電流検出手段の検出電流値を合成した電流検出値Iaを前記制御器内部に読み込み、
    前記推定演算手段は、前記2つの電流検出値I0とIaに基づき、三相交流電流の振幅と位相を推定演算することを特徴とする交流電動機の駆動装置。
  3. 請求項において、前記インバータの出力線間電圧が零でない電圧を2種類以上連続して出力するものとし、該2種類の出力線間電圧の中で、1種類の電圧を選択して、その電圧の出力期間において前記電流検出値Iaの検出を行うことを特徴とする交流電動機の駆動装置。
  4. 請求項1〜のいずれかにおいて、前記パルス幅変調信号は、三相交流信号と、三角波キャリア信号を比較することで生成するものを用い、該三角波キャリアが単調増加、もしくは単調減少となる期間を単位周期とみなし、該単位周期の複数個分を電圧指令変更周期として、
    前記電圧指令変更周期における補正量の平均値が零もしくは略零となるような補正信号を、前記三相交流信号の少なくとも1相に加算し、前記電圧指令変更周期内の補正結果として、少なくとも1つの線間電圧パルス幅が、所定量以上に確保されているものであることを特徴とする交流電動機の駆動装置。
  5. 請求項において、前記電圧指令変更周期内における三角波キャリア単位周期の個数として、3以上の奇数個を電圧指令変更周期とすることを特徴とする交流電動機の駆動装置。
  6. 請求項1〜のいずれかにおいて、前記制御器における電流振幅と位相の推定演算として、前記三相交流電動機の過去に検出した電流検出値、電流推定値、あるいは前記三相交流電動機に流し込む電流指令値のいずれかを用いて、現時点の電流振幅、位相を推定することを特徴とする交流電動機の駆動装置。
  7. 請求項1〜のいずれかにおいて、前記インバータの出力電圧が零となる状態、すなわち三相それぞれの上アームのスイッチング素子がオン、あるいは、三相それぞれの下アームのスイッチング素子がすべてがオンである状態において、前記第1および第2の電流検出手段の検出値を前記制御器に読み込み、これら2つの電流検出値の差が零となるように、電流検出ゲインを調整する電流検出ゲイン補正手段を備えたことを特徴とする交流電動機の駆動装置。
  8. 請求項1において、
    前記インバータ主回路の上アームまたは下アームの各相スイッチング素子の合成電流を検出する第1の電流検出手段と、前記各相スイッチング素子にそれぞれ逆並列に接続されたダイオードの合成電流を検出する第2の電流検出手段のうち少なくとも一方と、
    前記インバータが、前記三相交流電動機に対して交番電流を出力し、該交番電流を、前記電流検出手段の少なくとも一方の電流検出値を用いて検出し、前記三相交流電動機の抵抗値およびインダクタンス値を含む電気定数を計測する定数計測手段を備えたことを特徴とする交流電動機の駆動装置。
  9. 請求項において、前記電気定数を計測する際、前記制御器内部にて、フーリエ級数展開、もしくはフーリエ変換に相当する演算を用い、該演算に周期関数として、前記交番電流の2倍の周期の関数を導入することを特徴とする交流電動機の駆動装置。
  10. 請求項1において、
    前記インバータをPWM制御する際のキャリア周波数を10kHzを越えて設定し、かつ、前記三相交流電動機に対してベクトル制御を適用することを特徴とする交流電動機の駆動装置。
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