JP5399859B2 - ポリフェノール加工繊維の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、植物等に含まれる天然成分であるポリフェノール化合物を用いた染色によって堅牢度の高い染め色を繊維に付与可能なポリフェノール加工繊維の製造方法に関し、特に、水処理剤等に起因する塩素を含有する水道水で洗浄しても良好な染め色を保つことができる塩素堅牢度を備えたポリフェノール加工繊維の製造方法に関する。
植物等に含まれるポリフェノール化合物は、天然色素として、古来より伝わる伝統的な草木染めに用いられる。また、近年、ポリフェノールを繊維に固着させてその機能性(抗菌性等)を繊維に付与する加工技術が開発され、1)バインダー樹脂によるパディング加工法、2)工業用金属塩を用いた金属媒染法、3)カチオン高分子等を用いた浸染的手法などの技術がある。このような草木染め技術やポリフェノール加工においては、発色又は機能性を保持しながら染色堅牢度を維持することが商品化及び広範な普及のための必須条件であるので、工業化においては、発色そのものを向上させる技術及び機能を発現させる技術において進歩が見られる。
しかし、草木染めは、上水道発達以前より古くから行われ、上水道が発達した後へそのまま受け継がれている伝統技法であることから、染色布が塩素に晒されることを想定していない。また、近年発達したポリフェノール加工技術においても、商習慣の中で提示される最終納入先の要求対象に耐塩素性が含まれないことが一般的であり、プールで使用する水着等のような特殊な用途のものを除いては、耐塩素性についての技術検討を求められることは少ない。このようなことから、草木染め及びポリフェノール加工技術では、耐光、洗濯、汗、摩擦等の項目に関する堅牢度については検討されるが、塩素に対する耐久性については注目されず、塩素堅牢度の改良については十分に検討されていない。
一方、一般的な化学染色による衣類用繊維染色品については、塩素堅牢度を向上させる既存の方法として、ジアミン類及び/又はタンニン酸で処理する方法(例えば、下記特許文献1)、ポリカチオン物質(ε−ポリリジン)を用いる方法(例えば、下記特許文献2)、樹脂類とチオ尿素誘導体で処理する方法(例えば、下記特許文献3)、樹脂類と尿素、グアニジン系化合物で処理する方法(例えば、下記特許文献4)、アリルアミン系ポリマーで処理する方法(例えば、下記特許文献5)、ポリエチレンポリアミンとエピハロヒドリンを縮合させたポリマーで処理する方法(例えば、下記特許文献6)、エピハロヒドリン−ヒドラジド系化合物の縮合物を用いる方法(例えば、下記特許文献7)等が提案されている。又、塩素堅牢度を向上させるためのフィックス剤として、綿反応染色のフィックス剤や、合成タンニン系、天然タンニン系のフィックス剤が市販されている。
特開昭56−96971号公報 特開2006−37324号公報 特開昭50−58374号公報 特公昭57−29593号公報 特開昭58−31185号公報 特開昭55−152879号公報 特開平5−195449号公報
現代の消費生活においては、家庭での洗濯は一般に水道水で行われるので、繊維製品が塩素に晒される機会は多い。従って、繊維製品について広く耐塩素性を持たせる必要があり、草木染めやポリフェノール加工技術においても、特殊用途のものに限らず、幅広く塩素堅牢度の改善を進めることは重要である。
草木染めやポリフェノール加工繊維の塩素耐性を改善するために、前述した一般的な化学染色繊維衣類製品用の塩素堅牢度向上用フィックス剤を使用すると、塩素耐性の向上と引き換えに、耐光性の劣化や色相の変化を引き起こしたり、ポリフェノールが生地から脱離する等の問題が生じる。また、合成タンニン系、天然タンニン系のフィックス剤の場合は、フィックス剤自体が濃褐色であるために加工変色が問題になり、使用に際しては色目の制限を受け易い。
従って、上述のような問題を生じることなく、草木染めやポリフェノール加工繊維の塩素堅牢度を改善可能な処理方法を見出す必要がある。
本発明の課題は、繊維にポリフェノールを加工するに際し、発色性、機能性、安全性、耐光性、耐洗濯性を維持しつつ耐塩素性を改善し、現代の消費生活に適合した堅牢性を備えるポリフェノール加工繊維を提供することである。
上記課題を解決するために、染着繊維の処理に使用される様々な処理剤成分について検討を重ねたところ、加工助剤として用いられる成分を利用してポリフェノール加工繊維の塩素堅牢度を改善することが可能な状況を見出し、本発明のポリフェノール加工繊維の製造方法に至った。
本発明の一態様によれば、ポリフェノール加工繊維の製造方法は、ポリフェノールに接触した繊維を、フェニルアミド化合物のアニオン性水性分散液で処理することを要旨とする。
本発明によれば、ポリフェノール加工繊維の発色性、機能性、安全性、耐光性、耐洗濯性を維持しつつ耐塩素性を改善することができるので、ポリフェノールの機能性を活かしつつ塩素堅牢度の向上したポリフェノール加工繊維を提供できる。従って、ポリフェノールの機能性を利用した製品の用途開発に有用であり、衣類一般に限ることなく、繊維を利用した様々な製品に、抗菌性、消臭性、抗酸化性などのポリフェノールの機能を付与して高品質の製品を提供することが可能となる。
染色繊維の塩素による変退色は、活性塩素による酸化退色によるものであり、特に木綿は、繊維が活性塩素を吸着し易い性質を有するために他の繊維より問題が生じ易い。
ポリフェノールは、抗酸化物質として知られているが、換言すれば、酸化物質と反応し易く、従って、活性塩素による酸化退色を受け易い。実際、草木染め品や従来のポリフェノール加工繊維について塩素堅牢度の測定(JIS L0884、塩素処理水堅牢度試験A法)を行うと、1級から2級程度の極めて低い等級判定となり、草木染めやポリフェノール加工繊維のポリフェノールは耐塩素性が低いことが明らかである。
ポリフェノール加工繊維に従来の塩素堅牢度向上用フィックス剤を使用すると、色相の変化が生じることがあり、これはpH変化に起因する作用である。又、ポリフェノールが生地から脱離することもあり、これは、カチオン物質との作用によるものであり、カチオン物質とポリフェノールとが結合して凝集物を生成して生地を汚染する場合もある。何れもフェノール性水酸基の性質に関連するので、ポリフェノール加工繊維の耐塩素性を改善する際には、フェノール性水酸基の特性を十分に考慮する必要がある。
本発明では、上記を鑑みて検討を重ねた結果、特定状態のフェニルアミド化合物がポリフェノール加工繊維の塩素堅牢度の改善に有用であることが判明し、ポリフェノールを接触させた繊維に、上記フェニルアミド化合物を用いた処理を施すことによって、発色性、機能性、安全性、耐光性、耐洗濯性を維持しつつ耐塩素性が向上したポリフェノール加工繊維を提供可能であることを見出した。
以下に、本発明のポリフェノール加工繊維の製造方法について説明する。尚、以下の記載において、ポリフェノール加工繊維は、一般的な草木染め品等を含む、繊維上にポリフェノールを有する繊維を広く包含するものとし、染色又はポリフェノール加工の種類や、天然繊維又は化学繊維の区別を問わない。具体的には、使用可能なポリフェノールとして、一般的に草木染めやポリフェノール加工に用いられる、茶、柿、ざくろの他、ブドウ、グアバ、ローズヒップ、そば、小豆、オリーブ、リンゴ、シソ、ビワ葉、柿、クリ、コーヒー、シナモン、ベリー類などの各種植物の葉、果実、種子、花、茎、根等から抽出されるポリフェノールが挙げられ、このようなものから適宜選択することができる。茶ポリフェノールは、生葉、加工茶(不発酵茶、半発酵茶、発酵茶)、抽出エキス、抽出物パウダー、抽出後残渣などに含まれるものを利用することができ、形態は問わない。茶ポリフェノール及びブドウポリフェノールは、その機能性において特に優れており、好ましい。又、使用可能な繊維の種類についても、セルロース繊維、動物性繊維、ポリエステル繊維、アセテート繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、レーヨン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリ乳酸繊維、ポリウレタン繊維等の各種繊維が挙げられ、これらから適宜選択して本発明を適用することができる。
繊維に接触させたポリフェノールは、繊維表面に極性基があると、ポリフェノールの水酸基との間に水素結合やイオン結合を介した配位、相互作用等を生じ、繊維上のポリフェノールの定着・安定化を補う作用をすると考えられる。ポリフェノール加工繊維の塩素堅牢度を改善するには、このような結合を破壊することなくポリフェノールを保護する必要がある。
本発明においては、塩素堅牢度を改善(堅牢化)するための処理剤として、エステル基を有するフェニルアミド化合物の水性分散液で、フェニルアミド化合物の分子内又は分子外に共存して分散する弱酸性アニオンを含有するものを使用する。本発明で使用する堅牢化処理剤が塩素堅牢度を改善するメカニズムは、以下のようなことが考えられる。
ポリフェノールの抗酸化作用の反応メカニズムは完全には解明されてはいないが、メカニズムの一部として、フェノール性水酸基の水素原子移動に基づく反応と、電子移動に基づく反応とがある。水素原子移動による反応は、水酸基から供給される水素原子ラジカルと活性塩素ラジカルが反応して失活するもので、非プロトン性媒体中で進行するのに対し、電子移動による反応は、水酸基から供給される電子を活性塩素ラジカルが受容して塩素イオンとなって失活するもので、プロトン性媒体中で進行し、金属イオンによって反応が促進される。草木染めやポリフェノール加工が施される水系において、アニオンの供給は、フェノール性水酸基の電離抑制を可能とするので、フェノール性水酸基の電子移動を抑制することによってポリフェノールの塩素堅牢度の改善に寄与すると考えられる。この際、使用するアニオンがカルボン酸基、リン酸基等の弱酸性アニオンであると、pH変化によるポリフェノールの呈色性の変化が抑制される。また、媒体に溶解するアニオンの場合は、繊維に浸透してポリフェノールの染着自体に影響を与え得るが、この点は、分散性のアニオンを用いることによって解消し、繊維上のポリフェノールの周囲から穏やかに作用する。
フェニルアミド化合物は、フェニル基の疎水性及びアミド基の難溶性と、堅固なフェニルアミド骨格とにより、水溶性が低く凝固性を呈し易い分子構造であるが、エステル基を有すると、柔軟性及び極性が加わって液状化し易くなり、水性乳濁液を構成し易くなる。フェニル基はポリフェノールとの親和性を有し、ポリフェノールに近接して疎水性の障壁となって塩素の接触を阻害することによってポリフェノールを物理的に保護すると考えられる。従って、弱酸性アニオンが、フェニルアミド化合物の分子内又は分子外に共存して分散することによって、フェノール性水酸基の電離抑制とポリフェノールの疎水保護とに効果的に作用する。
上記に従って、フェニルアミド化合物は、具体的には、フェニルアミド骨格を有し、アミド基の窒素原子及びカルボニル炭素原子に各々結合する置換基を有し、これらの置換基は、各々、炭素数が1〜50の鎖状又は環状の飽和脂肪族基であって、酸素原子及び/又は窒素原子を含有しても良く、芳香族基が結合しても良い。少なくとも1つの置換基にはエステル基が含まれ、エステル基は鎖状であっても環状基を構成しても良い。上記置換基がエーテル結合を有すると分子の柔軟性が向上するので好ましい。フェニルアミド骨格のフェニル基は、1個以上のメチル基又はハロゲン原子で置換されていても良く、分子の嵩高さによって活性塩素の排除効果が高まる。フェニルアミド化合物の具体例としては、メタラキシル[メチル N-(2-メトキシアセチル)-N-(2,6-キシリル)-DL-アラニネート]、オキサジキシル[2-メトキシ-N-(2-オキソ-1,3-オキサゾリジン-3-イル)アセト-2',6'-キシリジド]、オフレース[(±)-α-2-クロロ-N-(2,6-キシリルアセトアミド)-γ-ブチロラクトン]、ベナラキシル[メチル N-フェニルアセチル-N-(2,6-キシリル)-DL-アラニネート]、フララキシル[メチル N-(2-フロイル)-N-(2,6-キシリル)-DL-アラニネート]、シプロフラン[(±)-α-{N-(3-クロロフェニル)シクロプロパンカルボキサミド}-γ-ブチロラクトン]等が挙げられ、これらは抗菌剤成分としても使用可能な化合物である。
本発明において使用する堅牢化処理剤は、上記フェニルアミド化合物及びアニオンの作用を阻害しない限りにおいて、更に水分散性の高分子成分を含んでも良く、カルボキシ基やリン酸基などを含有するアニオン系高分子等は、アニオンを供給するキャリアとして作用する。また、ポリフェノールの物理的保護体としても作用する。このような点から好ましい高分子成分として、カルボキシ基を分子内又は分子外に含有するアクリル系重合体又は共重合体等の高分子が挙げられる。従って、本発明における堅牢化処理剤として、例えば、アニオン型アクリル樹脂エマルジョン液に上記フェニルアミド化合物を配合したものなどのような、アニオン性高分子分散液をベースとしたフェニルアミド化合物含有水性分散液を好適に利用できる。このような形態の高分子分散液では、アニオン及びフェニルアミド化合物は、水中に溶解せずに分散高分子と共に存在するので、繊維内部にまでは浸透し難く、繊維表面のポリフェノールの外周から接触・作用する。そのため、繊維内部からポリフェノールの染着座席を奪ってポリフェノールを離脱させるようなことを避けることができ、又、分散粒子から穏やかに作用し、ポリフェノールに急激な変化を及ぼさない。分散安定性等の点から、堅牢化処理剤は、不揮発分濃度が1〜50質量%程度、好ましくは5〜30質量%であると好適であり、ポリフェノールに対する作用の点から、処理剤のpHが1.0〜7.0程度、好ましくは2.5〜5.5程度であると好適である。不揮発分には、フェニルアミド化合物、アニオン成分(フェニルアミド化合物から分離して存在する場合)や、上述の高分子成分が含まれる。
上述のような堅牢化処理剤を、ポリフェノールにより染着又は加工された繊維に接触させることにより、繊維上のポリフェノールの塩素堅牢度が向上する。処理剤による堅牢化は、ポリフェノールが繊維に接触した後であればよく、ポリフェノールによる染着又は加工後に余分なポリフェノールを除去して個別に施しても、或いは、染着又は加工に連続してポリフェノールが共存する状態で行っても良い。つまり、ポリフェノールを繊維に染着した浴中に上記処理剤を添加して行っても良い。堅牢化処理は、pH4.1〜7.0の弱酸性〜中性で行うことが望ましい。
ポリフェノール加工繊維は、繊維をポリフェノール水溶液に接触させてポリフェノールを染着し、余分のポリフェノールを水洗除去することによって得られるが、綿、ポリエステルなどのポリフェノールが脱離し易い繊維の場合は、予め、カチオン剤、及び、必要に応じてアルカリを繊維に接触させて繊維表面を活性化し、十分に水洗した後にポリフェノール加工を施す。綿のポリフェノール加工は、例えば、以下のように実施される。
詳細には、精錬・漂白等を経た繊維生地を水に浸し、カチオン剤水溶液を繊維に対して10質量%程度の割合で添加して10分程度繊維に接触させ、水酸化ナトリウム等のアルカリを繊維に対して2質量%程度の割合で加えて含浸した後、80℃程度まで徐々に昇温して30分程度維持する。この後、十分に水洗を行って、繊維を再度水に浸し、繊維に対してポリフェノールが0.1〜7質量%程度、好ましくは0.3〜2質量%、より好ましくは0.5質量%程度となる割合でポリフェノール水溶液を添加し、30℃程度に加熱してpH6〜7で20分程度ポリフェノールを繊維に染着し、水洗して余分のポリフェノールを除去する。
ポリフェノール加工された繊維の後加工として上記処理剤による堅牢化を行う場合、水に浸した繊維に堅牢化処理剤を添加して、pH4.5以上の弱酸性域(pH7未満)、好ましくはpH6〜6.9)でポリフェノール加工繊維を接触させ、35〜95℃程度、好ましくは50〜80℃程度、より好ましくは60℃前後に加熱することによって好適に堅牢化処理が施される。堅牢化処理剤の添加量は、繊維に対して0.1〜10質量%程度、好ましくは0.5〜7質量%程度、さらに好ましくは1〜3質量%程度となるように設定し、処理時間は概して10〜60分程度、好ましくは30分前後であり、処理後の繊維は十分に水洗する。
綿等のポリフェノールが脱離し易い繊維に対して、ポリフェノール加工と連続して同浴中で上記処理剤による堅牢化を行う場合は、pH3〜11の範囲において処理が可能であり、ポリフェノールの性質を考慮するとpH4.1以上の弱酸性域(pH7未満)が好ましい。同浴での処理では、繊維に対するポリフェノールの親和性を高めて定着し易くするために媒染剤を使用すると好ましい。例えば、以下のように金属媒染剤として錫酸ナトリウムを用いて実施することができる。
詳細には、精錬・漂白等を経た繊維生地を水に浸し、ポリフェノール水溶液を、繊維に対してポリフェノールが0.1〜7質量%程度、好ましくは0.5〜3.0質量%程度となる割合で添加して最初にポリフェノールを繊維に接触させる。この後、加熱して35〜95℃程度、好ましくは80〜95℃程度まで昇温し、クエン酸及び錫酸ナトリウムを溶解した水溶液を、繊維に対してクエン酸1〜10質量%程度、好ましくは2〜4質量%程度、錫酸ナトリウム0.5〜5質量%程度、好ましくは1〜2質量%程度となる割合で添加して10分程度維持することによってポリフェノールを染着する。この後、堅牢化処理剤を添加して、pH3〜11程度、好ましくはpH4〜5程度で温度を35〜95℃程度、好ましくは80〜95℃程度に維持して処理剤を30分程度繊維に接触させると好適に処理できる。処理を経た繊維は適宜水洗する。堅牢化処理剤の添加量は、繊維に対して0.2〜7質量%程度、好ましくは0.5〜3質量%程度となるように設定するとよい。
上述において、ポリフェノールは、一般的に草木染めやポリフェノール加工等で用いられる各種ポリフェノールから適宜選択して利用すればよい。カテキン等の茶由来ポリフェノールやブドウ由来のポリフェノールは、その機能性の点で特に優れており、好ましい。
上述の堅牢化処理を施したポリフェノール加工繊維は、塩素堅牢度が3級程度に改善さる。又、河合式パッチテストで準陰性を示し、エコテックス溶出試験でも重金属・農薬成分は検出限界以下であるので安全性も高い。ポリフェノールの機能である抗菌性、消臭性、抗酸化性についても良好に発揮し、UVカット効果も好適である。
以下の作業に従って、ポリフェノール加工繊維(試料1〜5)、フェニルアミドによる堅牢化処理を施したポリフェノール加工繊維(試料1A、2A〜2C、3A〜6A)及び市販のフィックス剤処理を施したポリフェノール加工繊維(試料7〜9)を作成し、塩素堅牢度及びポリフェノールの色変化の有無を調べた。
(試料1)
精錬漂白を行った綿生地1kgを、染浴中で約15Lの水に浸し、十分に水を含浸させた。これに、カチオン剤(商品名:カチオノンKCN、一方社油脂工業社製4級アンモニウム塩)100gを加えて10分間攪拌した。更に、約1Lの水に水酸化ナトリウム20gを溶解した溶液を調製して染浴に加え、10分間攪拌した。約3Lの水を追加して染浴中の液量を20Lに調整し、加熱して80℃まで昇温し、温度を維持して30分間攪拌しながら綿生地を十分に浸漬した。この後、染浴の液を排出し、流水で綿生地を念入りに水洗して中和しながら、洗浄水を排出した。
染浴に約15Lの水を投入して綿生地を浸した。茶抽出ポリフェノール(商品名:テアフラン30F、株式会社伊藤園製)5gを約1Lの水に溶解して染浴に投入し、水を追加して染浴の液量を20Lに調整した。これを加熱して30℃まで昇温し、温度を維持して30分間攪拌しながら綿生地を十分に浸漬した。この後、染浴の液を排出して、流水で綿生地を念入りに水洗し、綿生地を取り出して脱水、乾燥することにより、ポリフェノール加工綿布を得た。
上述で得たポリフェノール加工綿布について、耐光堅牢度(JIS L0842)及び塩素堅牢度(JIS L0884 A法)を測定したところ、耐光堅牢度は3級、塩素堅牢度は1−2級であった。
(試料1A)
試料1で得たポリフェノール加工綿布1kgを、染浴中で約15Lの水に浸し、十分に水を含浸させた。これに、分散性フェニルアミド処理剤(商品名:ITN003M、(株)竹内商店製アニオン性フェニルアミド系繊維加工剤、樹脂含有酸性水性液)20gを添加して10分間攪拌し、約4Lの水を追加して染浴の液量を20Lに調整した(pH6.7)。これを加熱して50℃まで昇温し、温度を維持して30分間攪拌しながら綿生地を十分に浸漬した。この後、染浴の液を排出して、流水で綿生地を念入りに水洗し、綿生地を取り出して脱水、乾燥することにより、フェニルアミド処理後のポリフェノール加工綿布を得た。
得られたポリフェノール加工綿布について、耐光堅牢度及び塩素堅牢度を測定したところ、耐光堅牢度は3級、塩素堅牢度は3級であった。
(試料2)
精錬漂白を行った綿生地1kgを、染浴中で約15Lの水に浸し、十分に水を含浸させた。これに、茶抽出ポリフェノール(商品名:テアフラン30F、株式会社伊藤園製)5gを約1Lの水に溶解して投入し、これを加熱して80℃まで昇温した。錫酸ナトリウム10g及びクエン酸20gを約1Lの水に溶解した水溶液を染浴に投入し、水を追加して染浴の液量を20Lに調整して、80℃で30分間攪拌しながら綿生地を十分に浸漬した。この後、染浴の液を排出して、流水で綿生地を念入りに水洗し、綿生地を取り出して脱水、乾燥することにより、ポリフェノール加工綿布を得た。
上述で得たポリフェノール加工綿布について、耐光堅牢度及び塩素堅牢度を測定したところ、耐光堅牢度は3級、塩素堅牢度は2−3級であった。
(試料2A)
精錬漂白を行った綿生地1kgを、染浴中で約15Lの水に浸し、十分に水を含浸させた。これに、茶抽出ポリフェノール(商品名:テアフラン30F、株式会社伊藤園製)5gを約1Lの水に溶解して投入し、これを加熱して80℃まで昇温した。錫酸ナトリウム10g及びクエン酸20gを約1Lの水に溶解した水溶液を染浴に投入し、水を追加して染浴の液量を20Lに調整して、80℃で10分間攪拌しながら綿生地を十分に浸漬した。これに、分散性フェニルアミド処理剤(商品名:ITN003M、(株)竹内商店製アニオン性フェニルアミド系繊維加工剤、樹脂含有酸性水性液)30gを添加して(pH4.5)、80℃で30分間攪拌した。この後、染浴の液を排出して、流水で綿生地を念入りに水洗し、綿生地を取り出して脱水、乾燥することにより、フェニルアミド処理したポリフェノール加工綿布を得た。
得られたポリフェノール加工綿布について、耐光堅牢度及び塩素堅牢度を測定したところ、耐光堅牢度は3級、塩素堅牢度は3−4級であった。
(試料2B)
試料2Aの操作において、染浴に添加する分散性フェニルアミド処理剤の量を30gから100gに変更したこと以外は同様にして、フェニルアミド処理したポリフェノール加工綿布を作成した。尚、分散性フェニルアミド処理剤を添加した染浴において、液はpH4.4であった。
得られたポリフェノール加工綿布について、塩素堅牢度を測定したところ、3−4級であった。但し、堅牢化処理中に、処理剤の過剰に起因すると思われる起泡によって処理液の溢れが生じ、作業の点で問題であった。
(試料2C)
試料2Aの操作において、染浴に添加する分散性フェニルアミド処理剤の量を30gから1gに変更したこと以外は同様にして、フェニルアミド処理したポリフェノール加工綿布を作成した。尚、分酸性フェニルアミド処理剤を添加した染浴において、液はpH5.1であった。
得られたポリフェノール加工綿布について、塩素堅牢度を測定したところ、3級であった。但し、堅牢化処理における処理液のpHに起因すると思われる生地色のくすみが若干生じた。
(試料3)
精錬を行ったポリエステル生地1kgを、染浴中で約15Lの水に浸し、十分に水を含浸させた。これに、カチオン剤(商品名:カチオノンKCN、一方社油脂工業社製4級アンモニウム塩)70gを加えて10分間攪拌した。更に、約3Lの水を追加して染浴中の液量を20Lに調整し、加熱して50℃まで昇温し、温度を維持して30分間攪拌しながらポリエステル生地を十分に浸漬した。この後、染浴の液を排出し、流水で生地を念入りに水洗して中和しながら、洗浄水を排出した。
染浴に約15Lの水を投入してポリエステル生地を浸した。茶抽出ポリフェノール(商品名:テアフラン30F、株式会社伊藤園製)10gを約1Lの水に溶解して染浴に投入し、水を追加して染浴の液量を20Lに調整した。これを加熱して50℃まで昇温し、温度を維持して20分間攪拌しながらポリエステル生地を十分に浸漬した。この後、染浴の液を排出して、流水でポリエステル生地を念入りに水洗し、生地を取り出して脱水、乾燥することにより、ポリフェノール加工ポリエステル布を得た。
上述で得たポリフェノール加工ポリエステル布について、耐光堅牢度及び塩素堅牢度を測定したところ、耐光堅牢度は3級、塩素堅牢度は2−3級であった。
(試料3A)
試料3で得たポリフェノール加工ポリエステル布1kgを、染浴中で約15Lの水に浸し、十分に水を含浸させた。これに、分散性フェニルアミド処理剤(商品名:ITN003M、(株)竹内商店製アニオン性フェニルアミド系繊維加工剤、樹脂含有酸性水性液)20gを添加して10分間攪拌し、水を追加して染浴の液量を20Lに調整した(pH6.7)。これを加熱して80℃まで昇温し、温度を維持して30分間攪拌しながらポリエステル生地を十分に浸漬した。この後、染浴の液を排出して、流水でポリエステル生地を念入りに水洗し、生地を取り出して脱水、乾燥することにより、フェニルアミド処理後のポリフェノール加工ポリエステル布を得た。
得られたポリフェノール加工ポリエステル布について、耐光堅牢度及び塩素堅牢度を測定したところ、耐光堅牢度は3級、塩素堅牢度は3−4級であった。
(試料4)
精錬を行ったナイロン生地1kgを、染浴中で約15Lの水に浸し、十分に水を含浸させた。茶抽出ポリフェノール(商品名:テアフラン30F、株式会社伊藤園製)5gを約1Lの水に溶解して染浴に投入し、水を追加して染浴の液量を20Lに調整した。これを加熱して80℃まで昇温し、温度を維持して30分間攪拌しながらナイロン生地を十分に浸漬した。この後、染浴の液を排出して、流水でナイロン生地を念入りに水洗し、生地を取り出して脱水、乾燥することにより、ポリフェノール加工ナイロン布を得た。
上述で得たポリフェノール加工ナイロン布について、塩素堅牢度を測定したところ、4級であった。
(試料4A)
精錬を行ったナイロン生地1kgを、染浴中で約15Lの水に浸し、十分に水を含浸させた。茶抽出ポリフェノール(商品名:テアフラン30F、株式会社伊藤園製)5gを約1Lの水に溶解して染浴に投入し、これを加熱して80℃まで昇温し、分散性フェニルアミド処理剤(商品名:ITN003M、(株)竹内商店製アニオン性フェニルアミド系繊維加工剤、樹脂含有酸性水性液)30gを添加して10分間攪拌し、水を追加して染浴の液量を20Lに調整した(pH6.7)。これを加熱して80℃まで昇温し、温度を維持して30分間攪拌しながらナイロン生地を十分に浸漬した。この後、染浴の液を排出して、流水でナイロン生地を念入りに水洗し、生地を取り出して脱水、乾燥することにより、フェニルアミド処理後のポリフェノール加工ナイロン布を得た。
得られたポリフェノール加工ナイロン布について、塩素堅牢度を測定したところ、4級であった。
(試料5)
精錬漂白を行った綿生地1kgを、染浴中で約15Lの水に浸し、十分に水を含浸させた。これに、カチオン剤(商品名:カチオノンKCN、一方社油脂工業社製4級アンモニウム塩)100gを加えて10分間攪拌した。更に、約1Lの水に水酸化ナトリウム20gを溶解した溶液を調製して染浴に加え、10分間攪拌した。約3Lの水を追加して染浴中の液量を20Lに調整し、加熱して80℃まで昇温し、温度を維持して30分間攪拌しながら綿生地を十分に浸漬した。この後、染浴の液を排出し、流水で綿生地を念入りに水洗して中和しながら、洗浄水を排出した。
染浴に約15Lの水を投入して綿生地を浸した。ブドウポリフェノール5gを約1Lの水に溶解して染浴に投入し、水を追加して染浴の液量を20Lに調整した。これを加熱して30℃まで昇温し、温度を維持して20分間攪拌しながら綿生地を十分に浸漬した。この後、染浴の液を排出して、流水で綿生地を念入りに水洗し、綿生地を取り出して脱水、乾燥することにより、ポリフェノール加工綿布を得た。
上述で得たポリフェノール加工綿布について、塩素堅牢度を測定したところ、2級であった。
(試料5A)
試料5で得たポリフェノール加工綿布1kgを、染浴中で約15Lの水に浸し、十分に水を含浸させた。これに、分散性フェニルアミド処理剤(商品名:ITN003M、(株)竹内商店製アニオン性フェニルアミド系繊維加工剤、樹脂含有酸性水性液)20gを添加して10分間攪拌し、約4Lの水を追加して染浴の液量を20Lに調整した(pH6.7)。これを加熱して50℃まで昇温し、温度を維持して30分間攪拌しながら綿生地を十分に浸漬した。この後、染浴の液を排出して、流水で綿生地を念入りに水洗し、綿生地を取り出して脱水、乾燥することにより、フェニルアミド処理後のポリフェノール加工綿布を得た。
得られたポリフェノール加工綿布について、塩素堅牢度を測定したところ、2−3級であった。
(試料6A)
精錬漂白を行った綿生地を予め化学染料を用いて染色して染色綿生地を用意した。この染色綿生地1kgを、染浴中で約15Lの水に浸し、十分に水を含浸させた。これに、茶抽出ポリフェノール(商品名:テアフラン30F、株式会社伊藤園製)5gを約1Lの水に溶解して染浴に投入し、これを加熱して80℃まで昇温した。錫酸ナトリウム10g及びクエン酸20gを約1Lの水に溶解した水溶液を染浴に投入し、次いで、分散性フェニルアミド処理剤(商品名:ITN003M、(株)竹内商店製アニオン性フェニルアミド系繊維加工剤、樹脂含有酸性水性液)30gを添加して(pH4.5)、80℃で10分間攪拌した。水を追加して染浴の液量を20Lに調整して、80℃で30分間攪拌しながら綿生地を十分に浸漬した。この後、染浴の液を排出して、流水で綿生地を念入りに水洗し、綿生地を取り出して脱水、乾燥することにより、フェニルアミド処理したポリフェノール加工綿布を得た。
得られたポリフェノール加工綿布について、耐光堅牢度及び塩素堅牢度を測定したところ、耐光堅牢度は3級、塩素堅牢度は4−5級であった。
(試料7)
試料1で得たポリフェノール加工綿布1kgを、染浴中で約20Lの水に浸し、十分に水を含浸させた。これに、市販の塩素堅牢度向上フィックス剤(商品名:モリロンWS、モーリン化学工業株式会社製、アニオン性褐色液体)30gを添加し、これを加熱して40℃まで昇温し、温度を維持して10分間攪拌しながら綿生地を十分に浸漬した。この後、染浴の液を排出して、流水で綿生地を念入りに水洗し、綿生地を取り出して脱水、乾燥することにより、フィックス剤処理後のポリフェノール加工綿布を得た。
得られたポリフェノール加工綿布について、耐光堅牢度及び塩素堅牢度を測定したところ、耐光堅牢度は1級、塩素堅牢度は3級であった。
(試料8)
試料1で得たポリフェノール加工綿布1kgを、染浴中で約20Lの水に浸し、十分に水を含浸させた。これに、市販の塩素堅牢度向上フィックス剤(商品名:ダンフィックス5000、日東紡株式会社製、カチオン性淡黄色酸性液体)30gを添加し(pH4.0)、これを加熱して40℃まで昇温し、温度を維持して10分間攪拌しながら綿生地を十分に浸漬した。この後、染浴の液を排出して、流水で綿生地を念入りに水洗し、綿生地を取り出して脱水、乾燥することにより、フィックス剤処理後のポリフェノール加工綿布を得た。
得られたポリフェノール加工綿布について、耐光堅牢度及び塩素堅牢度を測定したところ、耐光堅牢度は3級、塩素堅牢度は3級であった。但し、フィックス剤の酸に起因すると考えられるポリフェノールの脱色が生じた。
(試料9)
試料1で得たポリフェノール加工綿布1kgを、染浴中で約20Lの水に浸し、十分に水を含浸させた。これに、市販の塩素堅牢度向上フィックス剤(商品名:ダンフィックス7000、日東紡株式会社製、カチオン性淡黄色アルカリ性液体)30gを添加し(pH8.0)、これを加熱して40℃まで昇温し、温度を維持して10分間攪拌しながら綿生地を十分に浸漬した。この後、染浴の液を排出して、流水で綿生地を念入りに水洗し、綿生地を取り出して脱水、乾燥することにより、フィックス剤処理後のポリフェノール加工綿布を得た。
得られたポリフェノール加工綿布について、耐光堅牢度及び塩素堅牢度を測定したところ、耐光堅牢度は3級、塩素堅牢度は3級であった。但し、フィックス剤のアルカリに起因すると考えられるポリフェノールの色くすみが生じた。
(試料10)
精錬漂白を行った綿生地1kgを、染浴中で約15Lの水に浸し、十分に水を含浸させた。これに、茶抽出ポリフェノール(商品名:テアフラン30F、株式会社伊藤園製)5gを約1Lの水に溶解して投入し、これを加熱して80℃まで昇温した。錫酸ナトリウム10g及びクエン酸20gを約1Lの水に溶解した水溶液を染浴に投入し、水を追加して染浴の液量を20Lに調整して、80℃で10分間攪拌しながら綿生地を十分に浸漬した。これに、水溶性フェニルアミド処理剤(商品名:アモルデンMCM−400、大和化学株式会社製アニオン性フェニルアミド系繊維加工剤、酸性水性液)30gを添加して(pH6.5)、80℃で30分間攪拌した。この後、染浴の液を排出して、流水で綿生地を念入りに水洗し、綿生地を取り出して脱水、乾燥することにより、ポリフェノール加工綿布を得た。
得られたポリフェノール加工綿布について、塩素堅牢度を測定したところ、3級基準を満たさず、塩素堅牢度の向上は見られなかった。
(試料11)
精錬漂白を行った綿生地1kgを、染浴中で約15Lの水に浸し、十分に水を含浸させた。これに、茶抽出ポリフェノール(商品名:テアフラン30F、株式会社伊藤園製)5gを約1Lの水に溶解して投入し、これを加熱して80℃まで昇温した。錫酸ナトリウム10g及びクエン酸20gを約1Lの水に溶解した水溶液を染浴に投入し、水を追加して染浴の液量を20Lに調整して、80℃で10分間攪拌しながら綿生地を十分に浸漬した。これに、分散性アクリル樹脂系処理剤(商品名:ファイコートN−125、大和化学株式会社製アニオン性アクリル樹脂系繊維加工剤、弱酸性液)30gを添加して(pH5.0)、80℃で30分間攪拌した。この後、染浴の液を排出して、流水で綿生地を念入りに水洗し、綿生地を取り出して脱水、乾燥することにより、ポリフェノール加工綿布を得た。
得られたポリフェノール加工綿布について、塩素堅牢度を測定したところ、3級基準を満たさず、塩素堅牢度の向上は見られなかった。
(ポリフェノール加工繊維の物性及び機能性)
試料2Aで得られた堅牢化処理後のポリフェノール加工綿布について、各種堅牢度、抗菌性、消臭性、紫外線遮蔽能、抗酸化性、安全性を調べた。結果を下記の表1に示す。
(表1)
ポリフェノール加工繊維(試料2A)の物性及び機能性
堅牢度
洗濯堅牢度(JIS L0844 A-2号):(変退色)5級、(汚染)5級
汗堅牢度(JIS L0848):(酸性変退色)5級、(酸性汚染)5級、
(塩基性変退色)5級、(塩基性汚染)5級
摩擦堅牢度(JIS L0849 摩擦試験機II型):(乾燥)5級、(湿潤)5級
抗菌性(JIS L1902 黄色ブドウ球菌を用いた菌液吸収法)
製造直後:生菌数<8.3×10、静菌活性値>3.1、制菌活性値>0.4
洗濯10回後:生菌数<8.3×10、静菌活性値>3.1、制菌活性値>0.4
(綿標準白布の生菌数)
接種直後生菌数:2.0×10 、18時間後生菌数:1.1×10
消臭性(JAFET基準試験方法)
アンモニア(検知管法):86.3%
酢酸(検知管法):88.0%
イソ吉草酸(ガスクロ法):98.0%
紫外線遮蔽能(測定波長:280〜400nm)
試料2:(平均遮蔽率)70.6%、(UPF値)7.4
試料2A:(平均遮蔽率)79.3%、(UPF値)10.2
抗酸化性(リノール酸を用いたCDM試験で酸化が始まるまでの時間)
ブランク:7.5時間
未加工綿布:8.0時間
試料2A:9.7時間
安全性:河合法皮膚貼付試験
試験結果:2B、判定:準陰性
安全性:溶出試験(エコテックススタンダード100 クラスI溶出試験)
Sb:1.02ppm、As:n/d、Pb:n/d、Cd:n/d、Cr:n/d、
Cr(VI):n/d、Co:n/d、Cu:5.24ppm、Ni:n/d、Hg:n/d、
農薬:n/d
表1から明らかなように、分散性フェニルアミドを用いた堅牢化処理をポリフェノール加工繊維に施すことによって、洗濯堅牢度や汗堅牢度、摩擦堅牢度が低下することはなく、ポリフェノールの機能性である抗菌性、消臭性、抗酸化性も保持され、紫外線遮蔽能も向上する。又、身体や環境に対する安全性も保持している。
ポリフェノールの染色性や機能を損なうことなく、ポリフェノール加工繊維の耐光堅牢度を保持したまま塩素堅牢度を改善することができるので、一般衣類や服飾品、布地を用いた台所用品、装飾品、アメニティ製品等の様々な繊維利用製品に幅広く適用して高品質の製品を提供することができ、ポリフェノールの機能性を利用した製品の用途開発を促進することができる。従って、ポリフェノール加工繊維製品の普及に有用である。

Claims (6)

  1. ポリフェノールに接触した繊維を、フェニルアミド化合物のアニオン性水性分散液で処理することを特長とするポリフェノール加工繊維の製造方法。
  2. 前記ポリフェノールは、茶由来ポリフェノール及び/又はブドウ由来ポリフェノールを含み、前記水性分散液は、分散する高分子成分を有し、前記高分子成分はアニオンを含有する請求項1記載のポリフェノール加工繊維の製造方法。
  3. 前記ポリフェノールは、前記繊維に対して0.1〜7質量%の前記ポリフェノールを含有する水性液として前記繊維に供給されて接触し、前記繊維を処理するアニオン性水性分散液は、前記繊維に対して0.5〜7質量%の割合で供給される請求項1又は2に記載のポリフェノール加工繊維の製造方法。
  4. 前記処理は、ポリフェノールに接触した繊維から、繊維に付着しないポリフェノールを除去した後に、pH4.5〜6.9、温度35〜95℃の条件で行う請求項1〜3の何れかに記載のポリフェノール加工繊維の製造方法。
  5. 前記処理は、ポリフェノールに接触した繊維から、繊維に付着しないポリフェノールを除去せずに、pH3〜11、温度35〜95℃の条件で行う請求項1〜3の何れかに記載のポリフェノール加工繊維の製造方法。
  6. 請求項1〜5の何れかの製造方法によって得られる、フェニルアミド化合物を有するポリフェノール加工繊維。
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