JP5398078B2 - 車両における懸架装置 - Google Patents
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Description
本発明は、車両の幅方向に延び、その長手方向の各端部が、それぞれトレーリングアームに溶接により結合されるトーションビームを備えた車両における懸架装置に関するものである。
上記車両における懸架装置には、従来、下記特許文献1の特に図1〜図3に示されるものがある。この図1〜図3のものによれば、上記懸架装置は、それぞれ車両の前後方向に延び、その各後端部側が上下に揺動可能となるよう前端部が車体に枢支され、上記各後端部が車輪を回転可能に支持する中空構造の左右一対のトレーリングアームと、車両の幅方向に延び、そのほぼ全長にわたる各部断面が互いに同形同大となるよう形成されると共に各端部が上記各アームの長手方向の中途部に溶接により結合されるトーションビームとを備えている。
ここで、上記したように、ビームはそのほぼ全長にわたる各部断面が互いに同形同大となるよう形成されたものである。このため、上記ビームは、上記公報の図4で示すような他のビーム、つまり、長手方向の各部断面がその端部に向かうに従い徐々に拡大されるような他のビームに比べて、構成が簡単で、かつ、歩留りが向上することから、上記ビームを用いた場合には、車両の生産性が向上するという利点を有している。
また、上記公報の図1〜図3のものを、より詳しく説明すると、上記各アームの中途部には貫通孔が形成され、この貫通孔に上記ビームの端部が挿通されている。上記貫通孔の孔縁部とビームの端部の外周面とが溶接されて、これら各アームの中途部とビームの各端部とが互いに結合されている。
そして、車両の走行中に、例えばローリングが生じて、上記各トレーリングアームの後端部に支持された左右車輪の上下揺動の位相が不一致になろうとするときには、上記したように左右のトレーリングアームを互いに結合しているトーションビームが捩り弾性変形し、そのとき生じる応力により、上記位相を一致させるよう働くこととなる。これにより、車両の走行中におけるローリングの発生が抑制されて、良好な操安性が維持されるようになっている。
ところで、上記したように公報の図1〜図3のものによれば、各アームの中途部に上記ビームの各端部を挿通させる貫通孔を形成しているが、このような貫通孔は上記ビームの端部をがたつきなく挿通させる必要があって、高い寸法精度が要求されると考えられる。よって、上記懸架装置の形成作業が煩雑になるおそれがある。
本発明は、上記のような事情に注目してなされたもので、本発明の目的は、車両における懸架装置の形成作業が容易にできるようにし、かつ、このようにした場合でも、上記懸架装置の上下方向の寸法が小さく抑制されて、車両における設置の自由度が良好に保たれるようにすることである。
請求項1の発明は、それぞれ車両1の前後方向に延び、その各後端部側が上下に揺動可能となるよう車体に枢支され、上記各後端部が車輪を回転可能に支持する中空構造の左右一対のトレーリングアーム5と、車両1の幅方向に延び、そのほぼ全長にわたる各部断面が互いに同形同大となるよう形成されると共に各端部が上記各アーム5の長手方向の中途部6に溶接Wにより結合されるトーションビーム7とを備えた車両における懸架装置において、
上記各アーム5の中途部6の上、下面のうちのいずれか一方の面に、車両1の側面視(図2)で凹む凹部16を形成し、上記ビーム7の各端部の上、下面のうち、上下方向で上記一方の面とは逆の面に、車両1の背面視(図3)で凹み、上記凹部16と互いに嵌合可能な他の凹部17を形成してこの嵌合部を互いに溶接Wし、これら溶接W部における車両1の外側方がわの各外側端部18を、上記各アーム5の中途部6の上記背面視(図3)での断面における図心20よりも車両1の外側方に位置させたことを特徴とする車両における懸架装置である。
上記各アーム5の中途部6の上、下面のうちのいずれか一方の面に、車両1の側面視(図2)で凹む凹部16を形成し、上記ビーム7の各端部の上、下面のうち、上下方向で上記一方の面とは逆の面に、車両1の背面視(図3)で凹み、上記凹部16と互いに嵌合可能な他の凹部17を形成してこの嵌合部を互いに溶接Wし、これら溶接W部における車両1の外側方がわの各外側端部18を、上記各アーム5の中途部6の上記背面視(図3)での断面における図心20よりも車両1の外側方に位置させたことを特徴とする車両における懸架装置である。
なお、この項において、上記各用語に付記した符号や図面番号は、本発明の技術的範囲を後述の「実施例」の項や図面の内容に限定解釈するものではない。
本発明による効果は、次の如くである。
請求項1の発明は、それぞれ車両の前後方向に延び、その各後端部側が上下に揺動可能となるよう車体に枢支され、上記各後端部が車輪を回転可能に支持する中空構造の左右一対のトレーリングアームと、車両の幅方向に延び、そのほぼ全長にわたる各部断面が互いに同形同大となるよう形成されると共に各端部が上記各アームの長手方向の中途部に溶接により結合されるトーションビームとを備えた車両における懸架装置において、
上記各アームの中途部の上、下面のうちのいずれか一方の面に、車両の側面視で凹む凹部を形成し、上記ビームの各端部の上、下面のうち、上下方向で上記一方の面とは逆の面に、車両の背面視で凹み、上記凹部と互いに嵌合可能な他の凹部を形成してこの嵌合部を互いに溶接し、これら溶接部における車両の外側方がわの各外側端部を、上記各アームの中途部の上記背面視での断面における図心よりも車両の外側方に位置させている。
上記各アームの中途部の上、下面のうちのいずれか一方の面に、車両の側面視で凹む凹部を形成し、上記ビームの各端部の上、下面のうち、上下方向で上記一方の面とは逆の面に、車両の背面視で凹み、上記凹部と互いに嵌合可能な他の凹部を形成してこの嵌合部を互いに溶接し、これら溶接部における車両の外側方がわの各外側端部を、上記各アームの中途部の上記背面視での断面における図心よりも車両の外側方に位置させている。
このため、上記したように両凹部を互いに嵌合させたことに加えて、これら両凹部の嵌合部同士の溶接部における各外側端部を、上記各アームの中途部の断面における図心よりも車両の外側方に位置させたことから、上記各アームの中途部とビームの各端部との溶接部の長さを十分に長くできて、上記各アームの中途部とビームの各端部との結合部に所定の強度が確保される。
そして、上記したように、溶接部の長さを長くすることは、上記各アームの中途部に凹部を形成する一方、上記ビームの各端部に他の凹部を形成して、これら両凹部を互いに嵌合させ、その嵌合部を溶接する、という簡単な構成によって達成される。
このため、アームの中途部にビームの端部をがたつきなく挿通させる貫通孔を形成するものであって高い寸法精度が要求されると考えられる前記従来の技術に比べ、上記発明によれば、そのような寸法精度が要求されないで足りる分、上記懸架装置の形成作業が容易にできる。
また、上記したように、各アームとビームとの結合部に所定の強度を確保するために互いの溶接部の長さを長くしようとする場合において、上記各アームの中途部に凹部を形成する一方、上記ビームの各端部に他の凹部を形成して、これら両凹部を互いに嵌合させ、その嵌合部を溶接するようにしたため、上記各アームの中途部と上記ビームの各端部とを単に上下に重ね合わせて溶接することに比べて、懸架装置の上下方向の寸法を小さく抑制できる。よって、車両における上記懸架装置の設置の自由度が良好に保たれると共に、車両の低床化にも寄与することができる。
本発明の車両における懸架装置に関し、車両における懸架装置の形成作業が容易にできるようにし、かつ、このようにした場合でも、上記懸架装置の上下方向の寸法が小さく抑制されて、車両における設置の自由度が良好に保たれるようにする、という目的を実現するため、本発明を実施するための形態は、次の如くである。
即ち、車両における懸架装置は、それぞれ車両の前後方向に延び、その各後端部側が上下に揺動可能となるよう車体に枢支され、上記各後端部が車輪を回転可能に支持する中空構造の左右一対のトレーリングアームと、車両の幅方向に延び、そのほぼ全長にわたる各部断面が互いに同形同大となるよう形成されると共に各端部が上記各アームの長手方向の中途部に溶接により結合されるトーションビームとを備える。
上記各アームの中途部の上、下面のうちのいずれか一方の面に、車両の側面視で凹む凹部が形成される。上記ビームの各端部の上、下面のうち、上下方向で上記一方の面とは逆の面に、車両の背面視で凹み、上記凹部と互いに嵌合可能な他の凹部が形成されてこの嵌合部が互いに溶接される。これら溶接部における車両の外側方がわの各外側端部が、上記各アームの中途部の上記背面視での断面における図心よりも車両の外側方に位置させられる。
本発明をより詳細に説明するために、その実施例を添付の図に従って説明する。
図において、自動車で例示される車両1は、不図示の車体に後車輪を懸架する懸架装置2を備えている。また、図中矢印Frは、この車両1の進行方向の前方を示している。
上記懸架装置2は、それぞれ車両1の前後方向に直線的に延び、その各後端部側がこの後端部に一体形成されたボス部3と共に上下に揺動可能となるよう各前端部が円筒体4を介し車体に枢支される左右一対のアーム5,5と、車両1の幅方向に直線的に延び、その長手方向の各端部が上記各アーム5の長手方向の中途部6に溶接Wにより結合されるトーションビーム7と、上記各ボス部3に突設され、上記車輪を回転可能に支持する支軸10とを備えている。つまり、上記各アーム5の後端部は、上記ボス部3と支軸10とを介し上記車輪を回転可能に支持している。
上記各アーム5は、板金製のの中空構造をなしている。具体的には、これら各アーム5は、鉄板材をプレス加工により屈曲することにより、断面円形のパイプ形状となるよう形成されている。
上記ビーム7は、板金製で、そのほぼ全長にわたる各部断面が互いに同形同大となるようプレス加工により形成されている。具体的には、上記ビーム7の長手方向の各部断面は倒立V字形状とされ、互いに一体的に形成された前面板12と後面板13とを備えている。
上記各アーム5の中途部6の上面に、それぞれ車両1の側面視(図2)で下方に向かって凹む凹部16が形成されている。この凹部16はプレス加工されたもので、上記アーム5の中途部6の上面を下方に向かって押圧し、上面側を下方に向かって塑性変形させることにより形成されている。これにより、車両1の背面視(図3)における上記アーム5の中途部6の断面は、上下方向に延びる短辺を有する横長の楕円形状とされている。
一方、上記ビーム7の端部の下面には、車両1の背面視(図3)で上方に向かって凹み、上記凹部16と互いに嵌合可能な他の凹部17が形成されている。この他の凹部17は、上記ビーム7の端部における前、後面板12,13の各下端縁部を円弧形状に切り欠くことにより形成されている。そして、上記アーム5の凹部16とビーム7の他の凹部17との嵌合部が互いに全体的にアーク溶接Wされている。
上記の場合、両凹部16,17の嵌合部同士の溶接W部における車両1の外側方がわの外側端部18は、上記各アーム5の中途部6の上記背面視(図3)での断面における図心20よりも車両1の外側方に位置させられている。つまり、上記ビーム7の各端部は、上記各アーム5の中途部6の図心20を車両1の幅方向で跨ぐよう形成されている。また、上記ビーム7の端部の上端面は、上記アーム5の中途部6を除く長手方向の他部の上端面よりも上記アーム5の中途部6側に位置するよう低く位置させられている。
なお、以上は図示の例によるが、上記各アーム5の中途部6の下面に、車両1の側面視で上方に向かって凹む凹部16を形成し、上記ビーム7の各端部の上、下面のうち、上下方向で上記各アーム5の中途部6の下面とは逆の上面に、車両1の背面視で下方に向かって凹み、上記凹部16と互いに嵌合可能な他の凹部17を形成してもよい。また、この場合、上記ビーム7の端部の下端面が、上記アーム5の中途部6を除く長手方向の他部の下端面よりも上記アーム5の中途部6側に位置するよう高く位置させてもよい。
また、上記各アーム5の長手方向の各部断面は、その中途部6を含み、それぞれ矩形状であってもよい。また、上記各アーム5は、2つの半割部材を突き合わせ溶接により結合して形成してもよい。また、上記ビーム7の断面はV字、U字、倒立U字、C字形状であってもよく、円形や楕円のパイプ形状であってもよい。
また、上記ビーム7の端部に形成される他の凹部17は、このビーム7の端部における前、後面板12,13などを屈曲させることにより形成してもよい。
上記構成によれば、上記各アーム5の中途部6の上、下面のうちのいずれか一方の面に、車両1の側面視(図2)で凹む凹部16を形成し、上記ビーム7の各端部の上、下面のうち、上下方向で上記一方の面とは逆の面に、車両1の背面視(図3)で凹み、上記凹部16と互いに嵌合可能な他の凹部17を形成してこの嵌合部を互いに溶接Wし、これら溶接W部における車両1の外側方がわの各外側端部18を、上記各アーム5の中途部6の上記背面視(図3)での断面における図心20よりも車両1の外側方に位置させている。
このため、上記したように両凹部16,17を互いに嵌合させたことに加えて、これら両凹部16,17の嵌合部同士の溶接W部における各外側端部18を、上記各アーム5の中途部6の断面における図心20よりも車両1の外側方に位置させたことから、上記各アーム5の中途部6とビーム7の各端部との溶接W部の長さを十分に長くできて、上記各アーム5の中途部6とビーム7の各端部との結合部に所定の強度が確保される。
そして、上記したように、溶接W部の長さを長くすることは、上記各アーム5の中途部6に凹部16を形成する一方、上記ビーム7の各端部に他の凹部17を形成して、これら両凹部16,17を互いに嵌合させ、その嵌合部を溶接Wする、という簡単な構成によって達成される。
このため、アームの中途部にビームの端部をがたつきなく挿通させる貫通孔を形成するものであって高い寸法精度が要求されると考えられる前記従来の技術に比べ、上記構成によれば、そのような寸法精度が要求されないで足りる分、上記懸架装置2の形成作業が容易にできる。
また、上記したように、各アーム5とビーム7との結合部に所定の強度を確保するために互いの溶接W部の長さを長くしようとする場合において、上記各アーム5の中途部6に凹部16を形成する一方、上記ビーム7の各端部に他の凹部17を形成して、これら両凹部16,17を互いに嵌合させ、その嵌合部を溶接Wするようにしたため、上記各アーム5の中途部6と上記ビーム7の各端部とを単に上下に重ね合わせて溶接することに比べて、懸架装置2の上下方向の寸法を小さく抑制できる。よって、車両1における上記懸架装置2の設置の自由度が良好に保たれると共に、車両1の低床化にも寄与することができる。
また、前記したように、各アーム5の中途部6に、プレス加工による凹部16を形成している。
このため、上記凹部16の形成の前後における上記アーム5の中途部6の断面積の変化を小さく抑制できることから、上記したようにアーム5の中途部6に凹部16を形成した場合でも、このアーム5の中途部6周りに応力集中が生じることは防止される。よって、上記各アーム5の中途部6とビーム7の各端部との結合部には、所定の強度がより確実に確保される。
また、前記したように、車両1の背面視(図3)における上記アーム5の中途部6の断面は楕円形状とされていて、その外面の各部は円弧凸面とされている。そして、このアーム5の中途部6の上部外面における円弧凸面と、上記ビーム7の端部の他の凹部17とが上下方向で互いに嵌合し、その嵌合部が互いに溶接Wされている。
このため、上記アーム5の中途部6とビーム7の端部との結合部には、上記したように、これら5,7が上下方向で互いに嵌合した分、特に、車両1の幅方向での結合強度が向上する。よって、上記結合部には、所定の強度がより確実に確保される。
1 車両
2 懸架装置
5 アーム
6 中途部
7 ビーム
16 凹部
17 他の凹部
18 外側端部
20 図心
W 溶接
2 懸架装置
5 アーム
6 中途部
7 ビーム
16 凹部
17 他の凹部
18 外側端部
20 図心
W 溶接
Claims (1)
- それぞれ車両の前後方向に延び、その各後端部側が上下に揺動可能となるよう車体に枢支され、上記各後端部が車輪を回転可能に支持する中空構造の左右一対のトレーリングアームと、車両の幅方向に延び、そのほぼ全長にわたる各部断面が互いに同形同大となるよう形成されると共に各端部が上記各アームの長手方向の中途部に溶接により結合されるトーションビームとを備えた車両における懸架装置において、
上記各アームの中途部の上、下面のうちのいずれか一方の面に、車両の側面視で凹む凹部を形成し、上記ビームの各端部の上、下面のうち、上下方向で上記一方の面とは逆の面に、車両の背面視で凹み、上記凹部と互いに嵌合可能な他の凹部を形成してこの嵌合部を互いに溶接し、これら溶接部における車両の外側方がわの各外側端部を、上記各アームの中途部の上記背面視での断面における図心よりも車両の外側方に位置させたことを特徴とする車両における懸架装置。
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