後述する明細書及び図面の記載から、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
ケージに着脱可能な光モジュールであって、前記ケージのコネクタに接続される回路基板と、前記回路基板に搭載され、光を透過可能な透明基板と、前記透明基板に搭載され、前記透明基板に向かって光を発光し若しくは前記透明基板を透過した光を受光する光電変換素子と、光を伝送する光ファイバを支持し、前記光電変換素子と前記光ファイバとの間の光路を前記透明基板とともに形成する支持部材とを備え、前記回路基板には、窓が形成されており、前記透明基板は、前記光電変換素子の搭載面とは反対面で前記窓を塞ぐように、前記回路基板に搭載されており、前記支持部材は、前記透明基板の前記反対面に取り付けられるとともに、前記回路基板の前記窓に挿入されて配置されていることを特徴とする光モジュールが明らかとなる。
このような光モジュールであれば、低背化を図ることができる。
前記支持部材は、前記透明基板の前記搭載面に搭載された素子よりも厚い部材であることが望ましい。これにより、より低背化を図ることができる。
前記回路基板には、前記窓を囲むように回路基板側電極が形成されており、前記透明基板には、前記光電変換素子の搭載面とは反対面に透明基板側電極が形成されているとともに、前記透明基板側電極と前記光電変換素子との間を配線するための貫通ビアが形成されており、前記回路基板側電極と前記透明基板側電極とを接続させつつ前記透明基板が前記窓を塞ぐように前記回路基板に搭載されていることが望ましい。これにより、低背化を実現できる。
前記透明基板には位置決め穴が形成されており、前記支持部材には位置決めピンが形成されており、前記位置決め穴に前記位置決めピンが挿入されることによって、前記透明基板と前記支持部材が着脱可能に位置決めされていることが望ましい。これにより、支持部材の交換が容易になる。
前記位置決め穴に前記位置決めピンを挿入する方向に力を付勢する付勢部材と、前記光電変換素子を放熱する放熱部材とを更に備え、前記付勢部材が、前記光電変換素子と前記放熱部材とを密着させる方向に力を付勢するように構成されていることが望ましい。これにより、光電変換素子の放熱が容易になる。
前記回路基板、前記透明基板、前記光電変換素子及び前記支持部材とは別の第2の回路基板、第2の透明基板、第2の光電変換素子及び第2の支持部材を更に備えるとともに、
前記透明基板の前記位置決め穴に前記透明基板の位置決めピンを挿入する方向に力を付勢するとともに、前記第2の透明基板に形成された位置決め穴に前記第2の支持部材に形成された位置決めピンを挿入する方向に力を付勢する付勢部材を更に備えることが望ましい。これにより、付勢部材を有効利用できる。
前記位置決め穴は、奥の窄まった非貫通穴であり、前記位置決めピンは、円錐台形状であることが望ましい。これにより、透明基板と支持部材を高精度に位置決めできる。
===概要===
図5Aは、本実施形態の回路基板10、ガラス基板20、駆動素子32及び光路変換器40の配置の説明図である。
本実施形態では、ガラス基板20(透明基板)が回路基板10に搭載されている。ガラス基板20の上面(搭載面)には発光部31(光電変換素子)及び駆動素子32が搭載されている。回路基板10には収容窓12(窓)が形成されており、ガラス基板20の下面(搭載面とは反対面)で収容窓12を塞ぐようにガラス基板20が回路基板10に搭載されている。光ファイバ50の一端を支持する光路変換器40(支持部材)は、ガラス基板20の下面に取り付けられるとともに、回路基板10の収容窓12に挿入されて配置されている。
本実施形態では、このように各部材を配置することによって、回路基板10、ガラス基板20、駆動素子32及び光路変換器40を単に積み重ねて配置した場合と比べて、低背化を図ることができる。
図5Bは、第1比較例の配置の説明図である。この配置は、前述の特許文献1(特開2004−240220号公報)の図6に示された配置とほぼ同様である。ガラス基板20’は信号処理チップ101’と一体にモールドされて、混成集積回路100’が構成されている。回路基板10’にはソケット102’が配置されており、混成集積回路100’が固定されている。ガラス基板20’の下側であって、混成集積回路100’と回路基板10’の間には、光ファイバ50’を支持する光路変換器40’が取り付けられている。第1比較例の配置では、各部材(回路基板10’、ガラス基板20’、駆動素子32’及び光路変換器40’)が単に積み重ねられたように配置されている。また、ソケット102’や信号処理チップ101’などを介在させてガラス基板20’が回路基板10’に間接的に接続されており、ガラス基板20’は回路基板10’に直接的には接続されていない。この結果、第1比較例の配置の場合、少なくとも全体の厚さが回路基板10’、ガラス基板20’、駆動素子32’及び光路変換器40’の厚さの合計値以上になるため、低背化を図ることができない。
図5Cは、第2比較例の配置の説明図である。この配置は、前述の特許文献1(特開2004−240220号公報)の図7に示された配置とほぼ同様である。この配置においても、各部材(回路基板10”、ガラス基板20”、駆動素子32”及び光路変換器40”)が単に積み重ねられたように配置されている。また、信号処理チップ101”などを介在させてガラス基板20”が回路基板10”に間接的に接続されており、ガラス基板20”は回路基板10”に直接的には接続されていない。この結果、第2比較例の配置の場合も、少なくとも全体の厚さが回路基板10”、ガラス基板20”、駆動素子32”及び光路変換器40”の厚さの合計値以上になるため、低背化を図ることができない。
上記の第1比較例及び第2比較例と比べて理解できるように、本実施形態では、図5Aに示すように各部材を配置することによって、低背化を実現できる。
===第1実施形態===
<全体構成>
図1は、プラガブル光トランシーバの説明図である。なお、光送信器と光受信機の両方を備えるものを光トランシーバと呼ぶことがあるが、ここでは一方のみ備えるものも光トランシーバと呼ぶ。図中のプラガブル光トランシーバは、MSA(Multi Source Agreement)で規定されたQSFPタイプ(QSFP:Quad Small Form Factor Pluggable)のものである。プラガブル光トランシーバは、光モジュール1と、ケージ2とを有する。
図中には、2種類の光モジュール1が描かれている。図に示すように、光モジュール1には、光ファイバ(コードを含む)が固定されていても良いし、着脱可能でも良い。図中の2つのケージ2のうちの一方は、ヒートシンク3が取り外されるとともに、内部が見えるように一部破断されて、描かれている。
以下の説明では、図1に示すように、前後、上下及び左右を定義する。すなわち、光モジュール1を挿入するケージ2の挿入口側を「前」とし、逆側を「後」とする。光モジュール1においては、光ファイバ(コードを含む)が延び出る側を「前」とし、逆側を「後」とする。また、ケージ2が設けられるメイン基板から見て、ケージ2が設けられる面の側を「上」とし、逆側を「下」とする。また、前後方向と上下方向と直交する方向を「左右」とする。
通信機器側(ホスト側)のメイン基板上にはケージ2が設置されている。ケージ2は、例えばデータセンター内のブレードサーバのメイン基板上に設けられる。
光モジュール1は、ケージ2に着脱可能に挿入される。光モジュール1は、ハウジング1A内に光電変換素子31や回路基板10を内蔵しており、光ファイバで送受される光信号と、通信機器側のメイン基板で処理される電気信号とを相互に変換する。
ケージ2は、光モジュール1を着脱可能に収容する。ケージ2は、光モジュール1を挿入するための挿入口を前側に備え、前後方向に長い断面矩形の箱形部材である。このケージ2は、前側を開放するように金属板を折り曲げ加工して形成される。金属板が断面矩形状に折り曲げ加工されることにより、光モジュール1を収容するための収容部がケージ2内に形成されている。ケージ2の内部の後側には、コネクタ2Aが設けられている。光モジュール1がケージ2に挿入されると、ケージ2内のコネクタ2Aに対して光モジュール1内の回路基板が電気的・機械的に接続される。これにより、光モジュール1とメイン基板との間で電気信号が伝送される。
ケージ2の上面には開口部があり、その開口部を塞ぐようにヒートシンク3が取り付けられている。ヒートシンク3は、ケージ2に挿入された光モジュール1の熱を外部に放熱するための多数の放熱フィン(放熱ピン)を備えている。
<光モジュール1の内部構成>
図2Aは、光モジュール1のハウジング1A内の回路基板10等を斜め上から見た斜視図である。図2Bは、斜め下から見た斜視図である。図3は、ケージ2に挿入された光モジュール1の概略構成図である。
図に示すように、光モジュール1は、ハウジング1A内に、回路基板10と、ガラス基板20と、発光部31と、光路変換器40とを備えている。
回路基板10は、電子回路を構成する板状のプリント基板である。回路基板10の後側端部には、ケージ2内のコネクタ2A(コネクタソケット)と接続するための接続部11(カードエッジコネクタ)が形成されている。接続部11は回路基板10の上下両面に形成されており、多数の端子が左右方向に並んで形成されている。
回路基板10には、光路変換器40を収容するための収容窓12が形成されている。また、この収容窓12を囲むように、回路基板10の上面には回路基板側電極13が形成されている。回路基板10の上側には、収容窓12を塞ぐように、ガラス基板20が搭載されている。言い換えると、ガラス基板20の下側に回路基板10の収容窓12が位置しており、ガラス基板20の下面で回路基板10の収容窓12が塞がれている。なお、ガラス基板20の下面にはガラス基板側電極22が形成されており、回路基板側電極13とガラス基板側電極22とを接続しつつ、回路基板10の収容窓12を塞ぐようにガラス基板20を回路基板10に搭載している。
収容窓12は、回路基板10に形成された矩形状の貫通穴である。この収容窓12に光路変換器40の上側が挿入されている。光路変換器40の下側は収容窓12から下側に突出しており、この突出した部分から前側に光ファイバ50が延び出ている。但し、光路変換器40が回路基板10より薄い場合、光路変換器40の下側は収容窓12から下側に突出しない。この場合、反射部42が光を鈍角に反射するように構成されると、光路変換器40から光ファイバ50を引き出しやすくなる。
ガラス基板20は、光を透過可能な透明なガラス製基板である。ガラス基板20には、回路基板10の収容窓12の形状に沿って、複数の貫通ビア21が形成されている。
ガラス基板20の下面(発光部31を搭載する搭載面とは反対側の面)には、ガラス基板側電極22が形成されている。ガラス基板側電極22は、貫通ビア21の外側に形成されている。また、ガラス基板側電極22は、回路基板10の収容窓12の外側に沿うように、形成されている。ガラス基板側電極22は、回路基板10の上面の回路基板側電極13と電気的に接続されることになる。貫通ビア21は、ガラス基板側電極22と発光部31及び駆動素子32との間の配線に用いられている。
ガラス基板20の下面には、光路変換器40を位置決めするための2つの位置決め穴23が形成されている。この位置決め穴23は、ガラス基板20を貫通しておらず、非貫通穴となるように形成されている。位置決め穴23を非貫通穴にすることによって、位置決め穴23の上側に部品(例えば駆動素子32)を搭載したり、その部品への配線を配置したりすることが可能になり、ガラス基板20の上面における部品搭載や配線の自由度が高くなる。また、この結果、ガラス基板20の小型化も可能となる。なお、位置決め穴23の形状等については、後述する。
ガラス基板20の上面には、発光部31が実装されている。また、発光部31を駆動するための駆動素子32も、ガラス基板20の上面(発光部31の搭載面)に実装されている。発光部31と駆動素子32は、貫通ビア21の内側に配置されている。言い換えると、発光部31と駆動素子32は、回路基板10の収容窓12の上側に位置するように、ガラス基板20の上面に実装されている。
発光部31は、光信号と電気信号とを変換する光電変換素子である。ここでは、発光部31として、基板に垂直な光を出射するVCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser:垂直共振器面発光レーザ)が採用されている。なお、光電変換素子として、光信号を電気信号に変換する受光部がガラス基板20に実装されても良い。また、発光部と受光部の両方がガラス基板20に実装されても良い。
発光部31の発光部側電極31Aと発光面31Bは、ガラス基板20の側となる下面に形成されている。発光部31は、ガラス基板20にフリップチップ実装されており、ガラス基板20に向かって光を照射する。発光部31の発光部側電極31Aと発光面31Bが同じ側(ガラス基板20の側となる下面)に位置しているため、発光部31をガラス基板20にフリップチップ実装すれば、発光面31Bがガラス基板20の側を向き、発光面31Bが外部に露出しないことになる。
なお、図3には発光部31の発光面31Bが1つ描かれているが、発光部31は、紙面と垂直な方向に並ぶ複数(例えば4つ)の発光面31Bを備えている。
光路変換器40は、発光部31から照射された光の光路を変換する光学部材である。また、光路変換器40は、光ファイバ50の一端を支持し、発光部31と光ファイバ50との間の光路を透明基板と共に形成する支持部材としても機能する。光路変換器40は、レンズ部41と、反射部42とを備えている。レンズ部41は、光路変換器40の上面に形成されている。反射部42は、光路変換器40の下面に形成されている。
レンズ部41は、光を集束させられるように凸レンズ状に形成された部位である。但し、レンズ部41は、光路変換器40の上面から突出しないように、上面から窪んだ凹部に形成されている(図6参照)。レンズ部41を光路変換器40の上面から窪ませて形成することによって、光路変換器40の上面とガラス基板20の下面とを面接触させることが可能になる。レンズ部41は、発光部31の照射した光を集束させて反射部42に導き、光を光ファイバ50に入射させる。ガラス基板20に受光部が実装されている場合には、レンズ部41は、反射部42から反射された光を受光部に集束させることになる。レンズ部41は、ガラス基板20を挟んで発光部31の発光面31Bと対向している。
反射部42は、光を反射させるための部位である。発光部31から照射された光の光軸は上下方向(回路基板10やガラス基板20などの基板に垂直な方向)であるが、反射部42で反射された光の光軸は前後方向(回路基板10やガラス基板20などの基板に平行な方向)になる。反射部42で反射された光は、光路変換器40に取り付けられた光ファイバ50に入射する。ガラス基板20に受光部が実装されている場合には、反射部42は、光ファイバ50から出射した光を反射してレンズ部41に導き、受光部に集束させることになる。
なお、図中の反射部42は、反射光の光軸が前後方向(回路基板10やガラス基板20などの基板に平行な方向)になるように描かれている。但し、反射部42は、90度に光を反射するものに限られない。反射部42が光を鈍角(例えば100度程度)に反射するように構成されていても良い。光軸が上下方向(回路基板10やガラス基板20などの基板に垂直な方向)であった光が前後方向(回路基板10やガラス基板20などの基板に平行な方向)の成分を持つように反射されれば良い。例えば、光ファイバ50の根元が光路変換器40の比較的上部にある場合や、光路変換器40の厚さが回路基板10の厚さよりも薄い場合に、光路変換器40から光ファイバ50を引き出しやすくするため、反射部42が光を鈍角に反射するように構成すると良い。
光路変換器40のファイバ支持部44には光ファイバ50の一端が支持されており、光路変換器40の前側から光ファイバ50が延び出ている。光ファイバ50は、光路変換器40のレンズ部41及び反射部42に対して所定の位置関係になるように位置合わせされて取り付けられている。
図中の光路変換器40には、光が入射する部位だけにレンズ部41が設けられている。但し、光が出射する部位にもレンズ部を設け、光路変換器40が2つのレンズ部を備えても良い。そして、2つのレンズ部をコリメータレンズとすれば、光路変換器40の中で平行光を伝搬させることができる。
光路変換器40の上面には、ガラス基板20の位置決め穴23に挿入するための2つの位置決めピン43が突出して形成されている。光路変換器40の位置決めピン43がガラス基板20の位置決め穴23に嵌合することによって、光路変換器40のレンズ部41の光軸とガラス基板20に実装された発光部31の光軸との位置合わせが行われる。位置決めピン43の形状等については、後述する。
光路変換器40は、樹脂により一体成形されている。つまり、光路変換器40のレンズ部41、反射部42、位置決めピン43及びファイバ支持部44は、樹脂により一体的に形成されている。
図3に示すように、発光部31及び駆動素子32の上側には、放熱シート61が配置されている。放熱シート61は、熱伝導率の高い材質で構成されており、発光部31や駆動素子32から発生した熱をケージ2のヒートシンク3に伝導する。
図4は、光路変換器40を固定するための固定具62の斜視図である。固定具62は、断面U字状に金属板を折り曲げた本体63と、引っ掛け板64とから構成されている。断面U字状の本体63の一端には引っ掛け板64が固定されており、本体63の他端には引っ掛け板64を引っ掛けるための係合部63Aが形成されている。
断面U字状の本体63は、回路基板10を左右方向から跨ぎ放熱シート61を上側から覆い被せるように配置されており、両端は回路基板10の下側から突出している。そして、引っ掛け板64は、光路変換器40の下面を押さえながら、本体63の係合部63Aに引っ掛けられている。引っ掛け板64を本体63の係合部63Aに引っ掛けると、固定具62は、本体63の内側の部材(ガラス基板20、発光部31、光路変換器40及び放熱シート61など)を上下方向から締め付ける。
固定具62は、引っ掛け板64によって光路変換器40を上側に向かって付勢するとともに、本体63によって放熱シート61を介してガラス基板20を下側に向かって付勢する。つまり、固定具62は、ガラス基板20の位置決め穴23に光路変換器40の位置決めピン43を挿入する方向に力を付勢する付勢部材として機能する。これにより、ガラス基板20の位置決め穴23と光路変換器40の位置決めピン43との嵌合が確実なものとなり、外れにくくなる。
また、固定具62の引っ掛け板64が、光路変換器40の反射部42の外側を覆っている。これにより、反射部42へのゴミの侵入を防ぐことができる。もし仮に反射部42にゴミが付着すると、反射部42の光学的な特性が変化するおそれがあるが、引っ掛け板64が反射部42の外側を覆うことによって、反射部42の光学的な特性の変化を予防できる。
また、固定具62は、発光部31や駆動素子32と放熱シート61とを密着させる方向に力を付勢する付勢部材として機能する。これにより、発光部31や駆動素子32から発生した熱が放熱シート61に伝導しやすくなる。
なお、位置決めピン43が位置決め穴23に挿入された状態が固定具62によって保持されているため、固定具62を外せば、ガラス基板20から光路変換器40を外すことが可能である。つまり、着脱可能になるように、位置決め穴23に位置決めピン43を挿入することによって、ガラス基板20と光路変換器40とが位置決めされている。このため、第1実施形態における光路変換器40をガラス基板20に取り付ける工程は、接着固定する場合と比べて、簡易なものとなる。また、光路変換器40を着脱可能に取り付けているため、光路変換器40に故障が生じても、交換が可能である。(これに対し、光路変換器40をガラス基板20に接着固定した場合には、光路変換器40が故障してしまうと、ガラス基板20(及び回路基板10)も交換する必要が生じるため、コストがかかってしまう。)
<回路基板10、ガラス基板20、駆動素子32及び光路変換器40の配置>
図5Aは、回路基板10、ガラス基板20、駆動素子32及び光路変換器40の配置の説明図である。
図5Aに示すように、回路基板10には収容窓12が形成されていると共に、この収容窓12を塞ぐように回路基板10の上側にガラス基板20が搭載されている。また、ガラス基板20の上面には駆動素子32(及び発光部31)が実装され、ガラス基板20の下面には光路変換器40が取り付けられている。そして、光路変換器40の上側は、回路基板10の収容窓12に挿入されており、光路変換器40の下側は、回路基板10の下面よりも下側に突出している。但し、光路変換器40が回路基板10より薄い場合、光路変換器40の下側は収容窓12から下側に突出しない。この場合、反射部42が光を鈍角に反射するように構成されると、光路変換器40から光ファイバ50を引き出しやすくなる。
図に示すように、回路基板10の厚さ(上下方向の寸法)は1.0mm、ガラス基板20の厚さは0.7mm、駆動素子32の厚さは0.3mm、光路変換器40の厚さは1.8mmである。発光部31は駆動素子32よりも薄い部品なので、ここでは発光部31は無視することにする。但し、仮に発光部31が駆動素子32よりも厚ければ、駆動素子32の代わりに発光部31の厚さを考慮することになる。
光路変換器40は、反射部42の寸法を確保するため、また、光ファイバ50の端部を接続するための寸法を確保するため、他と比べると一番厚い部品になっている。そして、第1実施形態では、厚みのある光路変換器40を回路基板10の収容窓12に挿入させて配置することによって、全体の低背化を図っている。具体的には、第1実施形態では、1.0mmの厚さの回路基板10に0.7mmのガラス基板20を搭載し、そのガラス基板20に厚さ1.8mmの光路変換器40を取り付けているにも関わらず、全体の厚さは、3.5mm(=1.0mm+0.7mm+1.8mm)よりも薄い2.8mm(=1.8mm+0.7mm+0.3mm)になっている。
ところで、収容窓12に駆動素子32等を挿入した場合、発熱体でもある駆動素子32や発光部31が回路基板10の近傍に配置されることになり、回路基板10に搭載された他の部品に寿命劣化等の影響を及ぼすおそれがあり、仮に影響が及ばないように他の部品の配置を考慮しても回路基板10の回路設計の自由度が低減してしまう。また、収容窓12に駆動素子32等を挿入した場合、収容窓12の中に放熱シート等を取り付ける必要があり、放熱処理が困難になる。これに対し、光路変換器40を収容窓12に挿入した場合、光路変換器40は受動的な部品であり、発熱はしないため、このような問題は生じない。
このように、第1実施形態では、回路基板10に収容窓12を形成し、ガラス基板20の両面に取り付けられた部品のうち一方の面に取り付けられた部品(ここでは光路変換器40)を収容窓12に挿入することによって、低背化を図っている。
また、ガラス基板20の両面に取り付けられた部品(ここでは駆動素子32と光路変換器40)のうち、厚い部品の方を収容窓12に挿入すれば、効果的に低背化を図ることが可能である。つまり、収容窓12に挿入される方の部品(ここでは光路変換器40)が、ガラス基板20の上面に取り付けられた部品(ここでは駆動素子32)よりも厚ければ、更に効果的に低背化を図ることが可能である。特に、ガラス基板20の一方の面に取り付けられた部品(ここでは光路変換器40)が回路基板10よりも厚く、ガラス基板20の他方の面に取り付けられた部品(ここでは駆動素子32)が回路基板10よりも薄い場合には、厚い部品の方を収容窓12に挿入することによって、効果的に低背化を図ることができる。
更に第1実施形態では、発熱する駆動素子32(及び発光部31)がガラス基板20の上側になるように、回路基板10、ガラス基板20、駆動素子32及び光路変換器40を配置している。これにより、ケージ2の上側のヒートシンク3に熱を逃がしやすい構成になる。
<ガラス基板20と光路変換器40との許容位置決め誤差>
図6Aは、光路変換器40のレンズ部41の曲率半径Rの説明図である。既に説明した通り、レンズ部41は、光路変換器40の上面から突出しないように形成された凸レンズ状の部位である。図6Bは、光ファイバ50のコアと光のスポットとの関係の説明図である。図中の点線は光ファイバ50のコアを示しており、ハッチングの施された領域は、光ファイバ50の端面における光のスポットを示している。ここでは、3種類の曲率半径R(300μm、350μm、400μm)のレンズ部41の光結合の効率について検討した。
図6Bに示すように、曲率半径Rの小さいレンズ部41ほど、光ファイバ50の端面の位置で光のスポットが絞り込まれており、光結合効率が高くなる。具体的には、R=300μmでは光結合効率は81%であり、R=350μmでは光結合効率は33%であり、R=400μmでは光結合効率は22%になる。曲率半径Rが300μmの場合に焦点(ここでは、発光部31から照射された光が収束する点)が光ファイバ50の端面近傍に位置する。これに対し、曲率半径Rが350μm及び400μmの場合には、曲率半径Rが300μmの場合と比べて、焦点が光ファイバ50の端面から離れて位置する(いわゆる後ピンの状態)。このため、曲率半径Rが350μm及び400μmの場合には、曲率半径Rが300μmの場合と比べて、光のスポットが広がっている。
光結合効率は、ガラス基板20と光路変換器40との相対的な位置関係がずれると、変化する。また、ずれる方向によって、光結合効率の変化の度合いが異なることになる。以下、この点について説明する。
図7Aは、レンズ部41の光軸に垂直なY方向(前後方向又は左右方向)にガラス基板20と光路変換器40とをずらした場合のずれ量(μm)と光結合効率(%)との関係のグラフである。ずれる方向がレンズ部41の光軸に垂直な方向の場合には、光ファイバ50のコアから外れるように光のスポットがずれることになる。このため、Y方向のずれ量がコアの径(およそ50μm)の半分程度に達すると、光結合効率がおよそほぼゼロになってしまう。また、ずれ量に対する光結合効率の変化は、レンズ部41の曲率半径Rが小さいほど顕著になる。このため、Y方向の位置ずれは、許容され難い。
図7Bは、レンズ部41の光軸に平行なZ方向(上下方向)にガラス基板20と光路変換器40とをずらした場合のずれ量(μm)と光結合効率(%)との関係のグラフである。ずれる方向がレンズ部41の光軸と平行な場合には、光のスポットの大きさが変化しても、光のスポットは光ファイバ50のコアからは外れるわけではない。このため、Z方向のずれ量が大きくても、例えばZ方向のずれ量がコアの径の半分程度に達しても、光結合効率はゼロにはならない。このため、Z方向の位置ずれは、許容され易い。
以上の通り、ガラス基板20と光路変換器40との相対的な位置ずれは、レンズ部41の光軸に垂直なY方向には許容され難く、レンズ部41の光軸に平行なZ方向には許容され易い。このことは、ガラス基板20と光路変換器40とを位置決めする際に、ガラス基板20の表面と平行な方向(Y方向に相当)の位置決め誤差は許容され難く、ガラス基板20の表面に垂直な方向(Z方向に相当)の位置決め誤差は許容され易いことを意味している。
したがって、ガラス基板20と光路変換器40との位置決めは、Z方向よりもY方向の精度を高くすることが求められる。第1実施形態では、後述するように、Y方向に高い精度で位置決めできるように、ガラス基板20の位置決め穴23と、光路変換器40の位置決めピン43を構成している。
ところで、図7Bに示すように、第1実施形態の光路変換器40では、レンズ部41の曲率半径Rが350μm及び400μmでは、Z方向のずれ量が増えるほど、光結合効率が増えている。この理由は、以下のように考えられる。この光路変換器40は、曲率半径Rが300μmのレンズ部41の場合に焦点(ここでは、発光部31から照射された光が収束する点)が光ファイバ50の端面近傍に位置するように、形成されている。曲率半径が長くなると焦点距離が長くなるため、この光路変換器40において曲率半径Rが350μm及び400μmの場合には、焦点は光ファイバ50の端面よりも遠方に位置することになる(いわゆる後ピンの状態)。このように光路変換器40が構成されているため、曲率半径Rが350μm及び400μmの場合には、ガラス基板20と光路変換器40が離れると(ガラス基板20に搭載された発光部31とレンズ部41との距離が長くなると)、焦点が光ファイバ50の端面に近づき、光結合効率が向上していると考えられる。
後述するように、位置決め穴23に位置決めピン43を嵌合すると、ガラス基板20と光路変換器40とがZ方向に若干離れて位置決めされることがある。このように位置決めされることを考慮すると、ガラス基板20の下面と光路変換器40の上面が密着した状態(Z方向のずれ量がゼロ)において発光部31から照射された光の収束する点(焦点)が光ファイバ50の端面よりも遠方に位置するように、光路変換器40の光学系(レンズ部41及び反射部42など)が構成されていることが望ましい。これにより、ガラス基板20と光路変換器40とがZ方向に若干離れて位置決めされたときに、少なくとも光結合効率を低下させずに済む。
<位置決め穴23と位置決めピン43>
図8Aは、第1実施形態の位置決め穴23の説明図である。図8Bは、参考例の位置決め穴23’の説明図である。第1実施形態では、ガラス基板20に位置決め穴23として非貫通穴を形成している。非貫通穴にする理由は、位置決め穴23を非貫通穴にすることによって、ガラス基板20の上面における部品搭載や配線の自由度が高くなるからである。
ガラス基板20に非貫通穴を形成する方法として、ドリルによる加工方法が考えられる。ドリルによって非加工穴を形成した場合には、図8Bに示すように、深さによらず径が一定の穴がガラス基板20’に形成される。但し、ドリルによる加工は、コストがかかることがある。そこで、第1実施形態では、低コストに非貫通穴を形成できるサンドブラスト加工を採用している。但し、サンドブラスト加工によって非貫通穴を形成した場合、ガラス基板20の表面での穴径(開口径)は精度良く形成できるものの、奥の窄まった形状になる(図8A参照)。このため、穴の奥では、穴径と深さの寸法精度は極めて低い状態になる。
図9Aは、第1実施形態の位置決めピン43の説明図である。図9Bは第1参考例の位置決めピン43’の説明図である。図9Cは第2参考例の位置決めピン43”の説明図である。
図9Cに示す第2参考例の位置決めピン43”は、ピン径が一定の円柱形状(寸胴形状)である。このような円柱形状の位置決めピン43”の場合、図9Aのような奥の窄まった位置決め穴23に挿入して位置決めを行うことができない。また、仮に位置決め穴23が図8Bのような形状の場合には、図9Cに示す第2参考例の位置決めピン43”を挿入して位置決めを行うことは可能かもしれないが、この場合、はめあい公差により、位置決め穴23’と位置決めピン43”との間に隙間が必要であるため、この隙間の分だけ位置決め誤差が生じてしまう。(既に説明した通り、位置決め穴23や位置決めピン43の軸方向に垂直な方向(ガラス基板20の表面と平行な方向、Y方向)の位置決め誤差は許容され難い。)
図9Bに示す第1参考例の位置決めピン43’は、円錐形状になっている。このような形状の位置決めピン43’を図8Aのような奥の窄まった位置決め穴23に挿入すると、位置決めピン43’の先端が位置決め穴23の底に接触する可能性があり、この場合には位置決めを行うことができない。
なお、第1参考例の位置決めピン43’の高さを低くして、位置決めピン43’の先端が位置決め穴23の底に接触しないように構成することは可能である。但し、この場合、テーパ面の角度が小さくなってしまうため(位置決めピン43’が全体的に平坦な形状になってしまうため)、位置決め穴23へ挿入し難くなったり、位置決め穴23への嵌入性が悪くなったりする等の結果、光軸がずれるおそれが生じてしまう。
これに対し、第1実施形態の位置決めピン43は、図9Aに示すように、円錐台形状になっている。つまり、第1実施形態の位置決めピン43は、円錐を底面に平行な面で切り、頂部を含む部分を除いたような形状になっている。位置決めピン43が円錐台形状であるため、図8Aのような奥の窄まった位置決め穴23に挿入しても、位置決めピン43の先端が位置決め穴23の底に接触し難い。また、円錐台形状のテーパ面43Aの角度を大きくしても、位置決めピン43の先端が位置決め穴23の底に接触し難い。
また、第1実施形態の位置決めピン43によれば、円錐台形状のテーパ面43Aがガラス基板20の表面において位置決め穴23と隙間無く接触できるので(位置決め穴23の縁と隙間無く接触できるので)、位置決め誤差を抑制できる。これにより、第1実施形態では、位置決め穴23や位置決めピン43の軸方向に垂直な方向(ガラス基板20の表面と平行な方向、Y方向)の位置決め精度を高くできる。
図10A及び図10Bは、第1実施形態の位置決め穴23と位置決めピン43との嵌合の様子の説明図である。図10Aは、位置決め穴23の開口径(ガラス基板20の下面での位置決め穴23の開口径)が最大(=1.01mm)であり、位置決めピン43の根元の径(光路変換器40の上面と同じ平面内でのテーパ面43Aの径)が最小(=1.01mm)の場合の嵌合の様子を示している。図10Bは、位置決め穴23の開口径が最小(=0.99mm)であり、位置決めピン43の根元の径が最大(=1.03mm)の場合の嵌合の様子を示している。
ここでは、位置決め穴23は、開口径が1.00mmであり、公差が±0.01mmである(つまり、位置決め穴23の開口径の最大径は1.01mmであり、最小径は0.99mmである)。また、位置決めピン43は、根元の径が1.02mmであり、公差が0.01mmである(つまり、位置決めピン43の根元の最大径は1.03mmであり、最小径は1.01mmである)。また、位置決め穴23の開口径の最大径が位置決めピン43の根元の最小径を超えないように、位置決め穴23や位置決めピン43のそれぞれの径及び公差が設定されている。なお、位置決めピン43のテーパ面43Aを形成する母線は、光路変換器40の上面に対して50度傾いている。
図10Aに示す状態では、ガラス基板20の下面と光路変換器40の上面が密着しつつ、位置決め穴23の開口部(位置決め穴23の縁)と位置決めピン43のテーパ面43Aとが接触する。この状態を基準(Y方向のずれ量をゼロ、Z方向のずれ量をゼロ)として、図10Bの位置決め精度について検討する。図10Bは、位置決め穴23及び位置決めピン43の径が最悪の条件(位置決め精度が一番低い条件)のときの嵌合の様子を示していることになる。
図10Bに示す状態では、位置決めピン43は、位置決め穴23の開口径と同じ径のテーパ面43Aで、位置決め穴23と接触する。つまり、テーパ面43Aの径が0.99mmとなる周囲で位置決め穴23と接触する。但し、位置決めピン43と位置決め穴23の軸は同じ位置である。言い換えると、径が0.99mmとなるテーパ面43Aの断面(円形状)の中心位置は、位置決め穴23の開口部(円形状)の中心位置と一致している。したがって、この条件で位置決め穴23と位置決めピン43を嵌合させた場合においても、位置決め穴23や位置決めピン43の軸方向に垂直な方向(ガラス基板20の表面と平行な方向、Y方向)のずれ量はゼロである。
また、図10Bに示す状態では、位置決めピン43の根元から0.024mmだけ上側において、位置決め穴23と接触することになる。したがって、この条件で位置決め穴23と位置決めピン43を嵌合させた場合、ガラス基板20の下面と光路変換器40の上面との間に0.024mmの隙間が生じることになる。但し、位置決め穴23や位置決めピン43の軸方向に平行な方向(ガラス基板20の表面と垂直な方向、Z方向)の24μm程度のずれ量は、既に説明した通り、許容範囲内である。
このように、第1実施形態の位置決め穴23と位置決めピン43によれば、位置決め穴23や位置決めピン43の軸方向に平行な方向(ガラス基板20の表面と垂直な方向、Z方向)の位置決め誤差が許容される際に、位置決め穴23や位置決めピン43の軸方向に垂直な方向(ガラス基板20の表面と平行な方向、Y方向)に高精度な位置決めを行うことができる。
ところで、ガラス(ガラス基板20)は樹脂(光路変換器40)よりも硬いため、図10Bに示す状態のときに、位置決めピン43が位置決め穴23の開口部との接触部において変形することがある。但し、図10Bに示す状態から位置決めピン43が変形しても、最終的にはガラス基板20の下面と光路変換器40の上面が密着した段階で位置決めピン43の変形は止まるため、位置決めピン43の変形に伴うZ方向のずれは問題にならない。また、光路変換器40は着脱可能に取り付けられているため、変形した位置決めピン43を交換したければ、光路変換器40を交換すれば良い。
図11Aは、第1実施形態の位置決めピン43の根元近傍の拡大図である。図11Bは、参考例の位置決めピン43の根元近傍の拡大図である。
一般的に、樹脂を成型する際に樹脂が収縮するため、樹脂成型品の表面形状は、金型の内面の形状をそのまま反映するわけではない。例えば、成型品の角部が丸みを帯びることがある。
既に説明したように、第1実施形態の光路変換器40は透明樹脂によって一体的に成形されており、位置決めピン43も光路変換器40の他の部位と一体的に成形されている。そして、図11Bに示す参考例のように、位置決めピン43の根元の角部(図中の矢印で示す部分)が丸みを帯びてしまうことがある。この丸みは、位置決めピン43の周囲に均等に形成されるわけではないため(位置決めピン43の根元の丸みは制御できないため)、この部分が位置決め穴23に接触すると、位置決め穴23や位置決めピン43の軸方向に平行な方向(ガラス基板20の表面と垂直な方向、Z方向)の位置ずれだけでなく、位置決め穴23や位置決めピン43の軸方向に垂直な方向(ガラス基板20の表面と平行な方向、Y方向)の位置ずれの要因になり得る。
そこで、図11Aに示すように、第1実施形態では、位置決めピン43の根元の回りを囲むように環状に凹部43Bが形成されている。更に、凹部43Bの内側の側壁面は、円錐台形状の位置決めピン43のテーパ面43Aの延長面になっている。つまり、位置決めピン43のテーパ面43Aが光路変換器40の上面よりも内側(位置決めピン43の突出する側と反対側)まで形成されている。これにより、位置決めピン43の根元の角部が丸みを帯びても、その部分は光路変換器40の上面よりも内側に位置することになる。このため、仮にガラス基板20の下面と光路変換器40の上面とが密着するまで位置決め穴23に位置決めピン43が挿入されても、位置決めピン43の根元の丸みを帯びた角部は、位置決め穴23に接触しない。このように、第1実施形態では、位置決めピン43の根元に環状の凹部43Bを形成することによって、位置決め精度が向上する。
===第2実施形態===
図12Aは、第1実施形態の位置決め穴23の説明図である。
第1実施形態では、ガラス基板20の2つの位置決め穴23の間隔Lが、製造誤差等の影響によって、変動することがある。又は、不図示の光路変換器40の2つの位置決めピン43の間隔が、製造誤差等の影響によって、変動することもある。若しくは、ガラス(ガラス基板20)と樹脂(光路変換器40)との熱膨張係数の違いにより、温度変化によって2つの位置決め穴23の間隔と2つの位置決めピン43の間隔がずれることもあり得る。このように、2つの位置決め穴23の間隔と2つの位置決めピン43の間隔がずれた場合、位置決め穴23の径や位置決めピン43の径が設計通りの寸法に収まっていても、両方の位置決めピン43が両方の位置決め穴23に正常に挿入されず、ガラス基板20と光路変換器40との間に想定以上の位置ずれが生じるおそれがある。
図12Bは、第2実施形態の位置決め穴の説明図である。第2実施形態では、2つの位置決め穴のうちの一方を基準穴23Aとし、他方を長穴23Bとしている。基準穴23Aは、第1実施形態の位置決め穴23と同じ形状である。なお、基準穴23A及び長穴23Bに挿入される2つの位置決めピン43は、前述の第1実施形態の位置決めピン43と同じ形状である(つまり、2つの位置決めピン43とも円錐台形状である)。
長穴23Bは、基準穴23Aと同様に、非貫通穴である。長穴23Bもサンドブラスト加工により形成されているため、奥の窄まった形状になっている。長穴23Bの幅は、基準穴23Aの径と同じ長さである。長穴23Bの長手方向は、2つの位置決め穴(基準穴23Aと長穴23B)を結ぶ線に沿っている。
光路変換器40の2つの位置決めピン43の一方は基準穴23Aに挿入され、他方は長穴23Bに挿入されることになる。長穴23Bの側では、位置決めピン43は、長穴23Bによって左右方向からは拘束されるが、前後方向からは拘束されないことになる。但し、基準穴23Aの側では、位置決めピン43の円錐台形状のテーパ面43Aが基準穴23Aと隙間無く接触するため、位置決めピン43は、基準穴23Aに対して、位置決めピン43の軸方向に垂直な前後方向及び左右方向(ガラス基板20の表面と平行な方向)に拘束されることになる。このため、長穴23Bに挿入された位置決めピン43が長穴23Bに対して前後方向に動くことはなく、ガラス基板20と光路変換器40は、位置決めピン43と位置決め穴23によって、ガラス基板20の表面と平行な方向に対して高精度に位置決めされる。
なお、第2実施形態の場合、ガラス基板20に搭載される発光部31(又は受光部)は、基準穴23Aを基準にして所定の位置関係になるように配置されると良い。同様に、光路変換器40に形成されるレンズ部41(不図示)は、基準穴23Aに挿入される位置決めピン43を基準にして所定の位置関係になるように配置されると良い。これにより、発光部31とレンズ部41が高精度に位置決めされる。
===第3実施形態===
前述の第1実施形態の光モジュール1は、QSFPタイプのものであり、ハウジング1Aの中に回路基板10を1枚備えるタイプである。但し、光モジュールの備える回路基板の数は、1枚に限られるものではない。
図13は、第3実施形態の光モジュールの概略構成図である。第2実施形態の光モジュールは、CXPタイプのものであり、ハウジング1Aの中に回路基板10を2枚備えるタイプである。
図に示すように、回路基板10、ガラス基板20及び光路変換器40から構成されたユニットが2つ設けられている。上側の第1ユニットは、送信側のユニットであり、前述の第1実施形態の回路基板10、ガラス基板20、発光部31及び光路変換器40と同様に構成されている。下側の第2ユニットは、第1ユニットと同様に構成された回路基板10、ガラス基板20及び光路変換器40の上下を反転させて配置したものである。下側の第2ユニットは受信側のユニットであるため、第2ユニットのガラス基板20には、発光部32の代わりに受光部33が実装されている。なお、上側のユニットを受信側のユニットとし、下側のユニットを送信側のユニットとして構成することも可能である。
第2ユニットにおいても、回路基板10の収容窓12を塞ぐように回路基板10にガラス基板20が搭載されており、受光部33の搭載面(下面)と反対面(上面)において光路変換器40がガラス基板20に取り付けられるとともに、光路変換器40が回路基板10の収容窓12に挿入されて配置されている。これにより、第2ユニットの低背化を図ることができるとともに、第3実施形態の光モジュール全体の低背化を図ることができる。
第1ユニットの光路変換器40と第2ユニットの光路変換器40が対向している。そして、2つの光路変換器40の間にバネ65が配置されている。バネ65は、圧縮されており、双方のユニットのそれぞれの光路変換器40をガラス基板20に向かって付勢している。つまり、バネ65は、第1ユニットの光路変換器40をガラス基板20に向かって上側に付勢するとともに、第2ユニットの光路変換器40をガラス基板20に向かって下側に付勢している。これにより、双方のユニットにおいて、ガラス基板20の位置決め穴23と光路変換器40の位置決めピン43との嵌合が確実なものとなり、外れにくくなる。
なお、第3実施形態では、第1ユニットと第2ユニットの両方とも低背化を図っているため、狭いハウジング1A内において双方のユニットの光路変換器40を対向させて配置させることが可能になっている。そして、このような配置が可能になったからこそ、2つの光路変換器40の間にバネ65を配置することが可能になっている。
双方のユニットの発光部31及び駆動素子32の外側(ハウジング1Aの側)には、放熱シート61が配置されている。つまり、第1ユニットの発光部31及び駆動素子32の上側には、放熱シート61が配置されているとともに、第2ユニットの発光部31及び駆動素子32の下側にも、放熱シート61が配置されている。そして、バネ65は、光路変換器40をガラス基板20に向かって付勢するとともに、光電変換素子(発光部31又は受光部33)や駆動素子32と放熱シート61とを密着させる方向に力を付勢する付勢部材として機能する。これにより、光電変換素子や駆動素子32から発生した熱が放熱シートに伝導しやすくなる。
また、バネ65は、光電変換素子(発光部31又は受光部33)や駆動素子32とハウジング1Aとの間に放熱シート61を挟み込むように、力を付勢している。これにより、光電変換素子や駆動素子32から発生した熱が放熱シートを介して外部(ケージ2、又はケージ2が設けられたメイン基板)に放熱されやすくなる。
なお、バネ65は、コイルバネとして図示されているが、この態様に限られるものではない。例えば、板バネであっても良いし、他の形状のバネでも良い。また、第1実施形態の固定具62のようなものを用いて第1ユニット及び第2ユニットを外側から締め付けることによって、光路変換器40をガラス基板20に向かって付勢しても良い。
===その他===
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更・改良され得ると共に、本発明には、その等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる形態であっても、本発明に含まれる。
<位置決め穴と位置決めピン>
前述の位置決め穴は、サンドブラスト加工により形成されていたが、エッチング加工なのどの他の加工方法によって位置決め穴が形成されていても良い。他の加工方法であっても、位置決め穴が奥の窄まった形状であれば、円錐台形状の位置決めピンを挿入することによって、位置決め穴や位置決めピンの軸方向に垂直な方向(ガラス基板20の表面と平行な方向)の位置決め精度を高くできる。
また、位置決め穴は、奥の窄まった形状ではなく、例えば図8Bに示すような径が一定の穴であっても良い。また、位置決めピンが、円錐台形状でなく、図9Bに示すような円錐形状や、図9Cに示すような寸胴形状であっても良い。
また、位置決め穴が非貫通穴でなく、貫通穴であっても良い。但し、この場合、ガラス基板20の表面における部品搭載や配線の自由度が低くなる。
<光モジュールについて>
前述の実施形態では、QSFPタイプやCXPタイプの光モジュールを用いて説明したが、このタイプに限定されるものではない。他のタイプ(例えばSFPタイプなど)の光モジュールに適用することも可能である。
<固定具>
図14は、変形例の固定具62’の斜視図である。固定具62’は、断面U字状に金属板を折り曲げた本体63’と、引っ掛けピン64’とから構成されている。断面U字状の本体63’の一端には引っ掛けピン64’が固定されており、本体63’の他端には引っ掛けピン64’を引っ掛けるための係合部63A’が形成されている。
断面U字状の本体63’は、回路基板10を左右方向から跨ぎ放熱シート61を上側から覆い被せるように配置されており、両端は回路基板10の下側から突出している。そして、引っ掛けピン64’は、光路変換器40の下面を押さえながら、本体63’の係合部63A’に引っ掛けられている。引っ掛けピン64’を本体63’の係合部63A’に引っ掛けると、固定具62’は、本体63’の内側の部材(ガラス基板20、発光部31、光路変換器40及び放熱シート61など)を上下方向から締め付ける。
変形例の固定具62’は、光路変換器40の反射部42を外側から覆っていない。このため、光路変換器40の反射部42にゴミが付着するおそれがあり、反射部42の光学的な特性が変化するおそれがある。
但し、変形例の固定具62’においても、引っ掛けピン64’によって光路変換器40を上側に向かって付勢するとともに、本体63’によって放熱シート61を介してガラス基板20を下側に向かって付勢している。つまり、変形例の固定具62’は、ガラス基板20の位置決め穴23に光路変換器40の位置決めピン43を挿入する方向に力を付勢する付勢部材として機能する。これにより、ガラス基板20の位置決め穴23と光路変換器40の位置決めピン43との嵌合が確実なものとなり、外れにくくなる。
また、変形例の固定具62’においても、発光部31や駆動素子32と放熱シート61とを密着させる方向に力を付勢する付勢部材として機能する。これにより、発光部31や駆動素子32から発生した熱が放熱シート61に伝導しやすくなる。