JP5386802B2 - 黒鉛質粉末とその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、リチウムイオン二次電池などの非水系二次電池の負極材料として好適な黒鉛質粉末とその製造方法とに関する。
負極に炭素、正極にリチウム遷移金属酸化物、電解質にリチウム塩を溶解させた非水溶媒を使用した非水系二次電池であるリチウムイオン二次電池は、パソコン、携帯電話などの電子機器の電源として広く利用され、電気自動車への搭載の研究も進んでいる。
リチウムイオン二次電池は、負極材料である炭素材料によって電池性能が左右されるため、高容量の負極を構成できる安価な炭素材料が求められている。また、自動車に搭載されるような大型電池向けには、信頼性の高い、すなわち電解液との反応性が低い炭素材料が求められている。
現在のリチウムイオン二次電池では、電池電圧が高くなる黒鉛系の炭素粉末(黒鉛質粉末)が負極材料として一般に使用されている。高容量化のためには黒鉛化度の高い黒鉛粉末を使用することが有利であり、特に天然黒鉛の粉末は黒鉛化度が非常に高く、安価であるので、高容量で安価な負極材料となりうる。
しかし、負極炭素材料の黒鉛化度が高いと、電解液との反応性が高くなり、不可逆容量が増加する。そのため、正極に余分に正極活物質を詰め込まなければならず、体積が規定されている電池の容量が低下する。また、電解液との反応性が強く関与する電池の保存特性やサイクル特性といった電池の信頼性も低下する。そのため、高価であっても、電解液との反応性が比較的低い人造黒鉛がリチウムイオン二次電池の負極材料として主に使用されてきた。
黒鉛粉末の電解液との反応性を抑制するため、水溶性高分子材料で黒鉛粉末の表面を被覆することが提案されている。下記特許文献1には、黒鉛粉末の表面をカルボキシメチルセルロースなど水溶性高分子で被覆して、不可逆容量を低減させることが記載されている。下記特許文献2には、黒鉛粉末をカルボキシメチルセルロースなど水溶性高分子で被覆して、不可逆容量を低減させ、長期保存特性を改善することが記載されている。
しかし、黒鉛粉末を水溶性高分子材料で単に被覆するだけでは、改善は不十分であった。また、被覆により黒鉛粉末と電解液との界面での電荷移動が阻害されるため、過電圧が大きくなり、レート特性が低下するという問題もあった。さらに、水系のバインダーを用いて電極を作製した場合、バインダー自体も黒鉛を被覆するため、黒鉛粉末を被覆する高分子の合計量が多くなりすぎ、放電容量が低下するという問題もあった。
特開2001−167755号公報 WO99/01904パンフレット
本発明の目的は、安価でありながら、高容量かつ不可逆容量が小さく、電解液との反応性が小さな非水系二次電池用負極材料となる黒鉛質粉末とその製造方法とを提供することである。
一般に二次電池において、不可逆容量の低減は、電池容量の向上ばかりでなく、保存特性やサイクル特性など電池の信頼性の向上にも寄与する。
非水系二次電池の負極材料として使用される黒鉛粉末の場合、不可逆容量は主に表面で電解液が分解することにより生じる。従って、黒鉛粉末を不活性な材料で被覆することは効果がある。
上記特許文献1、2に提案されているように、水溶性高分子材料で黒鉛粉末を被覆すると、非水系二次電池の不可逆容量が低減できることを確認したが、不可逆容量を低減させるには被覆量を増大させる必要があり、そうなると放電容量やレート特性が悪化するため、十分なものではなかった。ところが、被覆後に熱処理することによって、水溶性高分子材料を熱分解させて炭素前駆体に変換させると、被覆量が少量でも不可逆容量の低減効果が著しく高まり、かつ被覆量を増大させても放電容量の低下が起こらないことが判明した。さらに、この熱処理による炭素前駆体への変換によって、水溶性高分子材料をそのまま被覆した場合に問題となる、過電圧の増加によるレート特性の低下を抑制できることも見出された。
その理由は明らかではないが、以下のメカニズムが推測される。
・熱分解により被覆層内に適度な隙間ができ、被覆層内でのリチウムイオンの移動がスムーズになる。
・水溶性高分子材料はリチウムを捕捉する酸素や水素といった元素を多量に有するが、熱処理によりこれらの元素が著しく低減し、不可逆容量が低減する。
ここに、本発明は、炭素前駆体を担持した黒鉛粉末からなり、平均粒径が30μm以下であることを特徴とする黒鉛質粉末である。
本発明の好適態様を列挙すれば次の通りである:
・炭素前駆体が水溶性高分子材料の熱分解生成物である;
・黒鉛粉末が天然黒鉛である;
・水溶性高分子材料がカルボキシメチルセルロースの塩である。
本発明において「炭素前駆体」とは、完全炭素化(実質的に炭素のみからなる)より前の段階にある炭素化中間体を意味する。すなわち、水溶性高分子材料といった有機化合物を熱処理して炭素化する場合、熱処理によってその有機化合物の熱分解が起こり、水素などの炭素以外の元素の少なくとも一部は失われたが、完全な炭素化(実質的に炭素からなる物質への変換)は起こっていない状態のものを意味する。組成的には、炭素前駆体は、炭素以外に、原料に含まれていた異種元素(水素、酸素、窒素など)の一部をなお含んでいる。
本発明はまた、黒鉛粉末の表面に水溶性高分子材料を付着させる工程と、付着した水溶性高分子材料の熱分解温度以上の温度で非酸化性雰囲気中にて黒鉛粉末を熱処理する工程とを有することを特徴とする、上記黒鉛質粉末の製造方法も提供する。この方法において、付着工程は、水溶性高分子材料の水溶液中に黒鉛粉末を分散させたスラリーを噴霧乾燥することにより行うことができる。
本発明はさらに、上記黒鉛質粉末を用いて作製されたことを特徴とする非水系二次電池用負極、ならびにこの負極を備えた非水系二次電池もまた提供する。
本発明に係る黒鉛質粉末は、天然黒鉛から製造できるため、安価で高容量を示すにもかかわらず、天然黒鉛の欠点であった電解液との反応性が抑えられ、不可逆容量が著しく低減され、レート特性も良好であるので、保存特性やサイクル特性など電池の信頼性向上が期待できる。
以下、本発明の好適態様について、より具体的に説明する。
本発明に係る黒鉛質粉末は、基材の黒鉛粉末に炭素前駆体を担持させたものからなる。基材の黒鉛粉末は、天然黒鉛、人造黒鉛、キッシュ黒鉛のいずれでもよく、これらの2種以上の混合物を使用することもできる。価格面からは安価な天然黒鉛を使用することが好ましい。
天然黒鉛は、人造黒鉛より安価であるにもかかわらず、黒鉛化度が非常に高いため、電解液との反応性が高く、電解液分解に伴う不可逆容量が大きくなる、あるいは保存特性や安全性などの電池性能が損なわれる、という問題があり、リチウムイオン二次電池の負極材料としてはあまり使用されてこなかった。しかし、本発明では、炭素前駆体を黒鉛粉末に担持することにより、電解液との反応性が抑えられ、不可逆容量が著しく低減するので、より安価な天然黒鉛粉末も十分に使用できる。それにより、電極の製造コストを低減することが可能となる。
基材の黒鉛粉末は、平均粒径が30μm以下のものを使用する。黒鉛粉末の平均粒径は好ましくは1〜30μm、より好ましくは5〜25μmである。ここで平均粒径とは、質量中位径(メディアン径或いは50%径といわれる)である。
基材の黒鉛粉末の比表面積は、好ましくは20m2/g以下、より好ましくは15m2/g以下である。比表面積が小さい天然黒鉛粉末として、粉砕により球形化処理された天然黒鉛粉末がある。
基材の黒鉛粉末が30μmを超えると、これに炭素前駆体を担持させて得られる本発明に係る黒鉛質粉末の平均粒径も30μmを超え、電極表面に凹凸が発生し易くなり、電池短絡の原因になる。一方、基材の黒鉛粉末の平均粒径が小さすぎると、粉末の凝集が起こりやすく、黒鉛質粉末製造において取扱いが難しいことがある。
基材の黒鉛粉末の比表面積が大き過ぎると、表面被覆に必要な炭素前駆体の量が多くなってしまう。黒鉛粉末の比表面積は、平均粒径に加えて、黒鉛粉末の細孔構造にも依存する。一般に、表面処理が施されていない未被覆の基材黒鉛粉末では、比表面積はかなり大きい。
この基材の黒鉛粉末に担持させる炭素前駆体は、水溶性高分子材料を熱処理して熱分解させた熱分解生成物であることが好ましい。この熱処理は、後で説明するように、基材の黒鉛粉末に水溶性高分子材料を付着させた後に行うことが好ましい。
水溶性高分子材料は合成高分子、天然高分子、半合成高分子のいずれでもよく、1種または2種以上を使用することができる。本発明で使用するのが好ましい水溶性高分子材料は、セルロースエーテル類であり、中でもカルボキシメチルセルロース(CMC)の塩が好ましい。カルボキシメチルセルロースの塩が特に好ましいのは、安価で無害(食品添加物としても用いられている)であることと、リチウムイオン電池などの電極作成時の添加剤として長年の使用実績があるためである。カルボキシメチルセルロースの塩としてはナトリウム塩、アンモニウム塩、カリウム塩が挙げられる。
水溶性高分子材料は、基材の黒鉛粉末100質量部に対して好ましくは0.2〜10質量部、より好ましくは0.5〜5質量部の範囲内の量で使用する。水溶性高分子材料の量が少なすぎると、炭素前駆体の担持による黒鉛質粉末の不可逆容量低減効果が不十分となる。逆に、この量が多過ぎると、炭素前駆体は容量をもたないため、最終的に得られる黒鉛質粉末の容量が低下する。また、炭素前駆体は導電性に劣るので、電極のレート特性やサイクル特性も低下する。
水溶性高分子材料は基材の黒鉛粉末の表面を可及的に均一に被覆するように黒鉛粉末に付着させることが好ましい。具体的な付着方法としては、例えば次の方法が可能である。
(1)水溶性高分子材料を水に溶解させた水溶液中に黒鉛粉末を分散させたスラリーを調製し、このスラリーを乾燥させる。このスラリーは、先に水溶性高分子材料を水に溶解し、得られた水溶液に黒鉛粉末を添加して調製してもよく、あるいは、水溶性高分子材料と黒鉛粉末と水を混合して調製することもできる。スラリーの乾燥は、例えばマイクロミストドライヤ(藤崎電機社製)などによる噴霧乾燥を利用することができる。
(2)水溶性高分子材料を水に溶解させた水溶液を黒鉛粉末に吹き付ける。例えば、ニューグラーマシン(セイシン企業社製)のように容器内の回転羽根により黒鉛粉末を自転・公転させる装置を利用して水溶液を吹き付けると、黒鉛粉末の表面に均一に水溶液を付着させることができる。
(3)黒鉛粉末に固相の水溶性高分子材料を機械的な力を加えることにより付着させる。例えば、メカノフュージョン(ホソカワミクロン社製)のような回転容器内に黒鉛粉末と水溶性高分子材料の粉末を投入し、遠心力で両方の粉末を内壁に押し付けながら、曲率の異なるインナーピースとの間で強力な圧縮・剪断力を加えることにより、黒鉛粉末表面に固相の水溶性高分子材料を均一に付着させることができる。
表面に水溶性高分子材料が付着した黒鉛粉末を次いで熱処理する。この熱処理により、水溶性高分子材料は少なくとも部分的に熱分解して炭素前駆体に変換され、炭素前駆体が担持された黒鉛粉末からなる本発明の黒鉛質粉末が得られる。熱処理温度は使用した水溶性高分子材料の熱分解温度以上であればよい。熱分解温度とは、ある物質が加熱によって2種以上の物質に変化する温度のことである。熱分解温度は、熱天秤を利用した熱重量分析(TG)または示差熱分析(DTA)といった熱的分析法で調べることができる。
有機物の場合、熱分解により、水、二酸化炭素などを生成しつつ、別の有機物に変化し、最終的に炭素になる。熱処理により炭素前駆体を生じさせるためには、熱処理条件を、熱分解が起こるが、完全な炭素化まで熱分解が進行しないように選択する。熱処理温度は、使用する水溶性高分子材料の熱分解温度以上の温度であって、かつ残留率(付着した水溶性高分子材料に対する熱処理後も黒鉛表面に残留する炭素前駆体の質量百分率、熱処理前後の質量変化から求められる)が40%以上となる温度とすることが好ましい。水溶性高分子材料がカルボキシメチルセルロースNa塩である場合、好ましい熱処理温度は250〜700℃の範囲である。
熱処理雰囲気は非酸化性雰囲気であり、好ましくはアルゴンや窒素等の不活性雰囲気である。熱処理を大気など酸素を多量に含有する雰囲気中で行うと、使用する水溶性高分子によっては、高分子鎖が切断されて昇温中に揮発しやすくなり、上記残留率が低くなってしまい、被覆効果がなくなるものがある。ただし、非酸化性雰囲気は少量の酸素を含有していても構わない。
熱処理時間は上記残留率が40質量%以上となるように選択することが好ましい。熱処理時間は、使用する水溶性高分子材料の熱分解温度および熱処理温度に応じて、実験により当業者が容易に決定することができる。
熱処理は、黒鉛粉末を静置した状態で行うのでよいが、黒鉛粉末を撹拌または流動化させた状態で熱処理を行うことも可能である。熱処理後に必要であれば、熱処理中に融着した黒鉛粉末をほぐすように解砕を行ってもよい。それに加えて、またはそれに代えて、分級を行って、融着した粗大粒子を除去してもよい。
基材の黒鉛粉末への水溶性高分子材料の付着工程を、水溶性高分子材料の水溶液を使用した方法で行う場合には、付着工程において乾燥が必要になる。この乾燥を加熱により行う場合には、この付着工程における乾燥と熱処理とを1つの加熱装置内で続けて行うことも可能である。
熱処理によって、炭素前駆体を担持した黒鉛粉末からなる本発明の黒鉛質粉末が得られる。炭素前駆体を担持させた黒鉛質粉末の平均粒径は、基材の黒鉛粉末と実質的には変化しない場合と、付着工程および/または熱処理工程中に造粒が起こって基材の黒鉛粉末より平均粒径が増加する場合とがある(特に基材が微粉の場合)。得られた黒鉛質粉末の平均粒径は30μm以下であり、好ましくは1〜30μm。より好ましくは5〜25μmである。平均粒径が30μmより大きいと、電極表面に凹凸が発生しやすくなり、電池短絡の原因となる恐れがある。平均粒径が小さすぎると、電極作製時にスラリー化した際に粉末が凝集しやすいなど、粉末の取り扱いが難しくなる。
この黒鉛質粉末の比表面積は1.0〜12.5m2/gの範囲内が好ましく、より好ましくは1.0〜10m2/gの範囲内である。水溶性高分子材料の付着と熱処理を経ることにより、黒鉛質粉末の比表面積は基材の黒鉛粉末の比表面積より小さくなる傾向がある。電極作製の用いる黒鉛質粉末の比表面積が小さすぎると、リチウムイオンが進入するサイトが減少し、レート特性が低下する。一方、この比表面積が大きすぎると、不可逆容量が増加する。
黒鉛粉末に担持された炭素前駆体の量は、黒鉛粉末100質量部に対して0.08〜6質量部の範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.2〜3質量部である。炭素前駆体の担持量が少なすぎると、炭素前駆体の担持による不可逆容量の低減効果が不十分となる。逆に担持量が多過ぎると、炭素前駆体は容量もたないため、黒鉛質粉末の容量が低下する。また、炭素前駆体は導電性に劣るのでレート特性やサイクル特性が低下する。
本発明の黒鉛質粉末を負極材料として用いた非水系二次電池の負極の製造や二次電池の作成は、従来公知のように実施すればよい。以下に、この点についても簡単に説明するが、この説明は例示にすぎず、他の方法や構成も可能である。
負極材料の黒鉛質粉末に適当な結着剤とその溶媒を混合し、必要に応じて導電性向上のために適当な導電剤を混合して、塗工用のスラリーを形成する。混合は、必要であれば、ホモジナイザーあるいはガラスビーズを用いて行うことができる。このスラリーを適当な集電体(圧延銅箔、銅電析銅箔など)にドクターブレード法等を用いて塗工し、乾燥した後、ロール圧延等で圧密化させると、負極用の電極が製造される。
結着剤としてはポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系高分子、カルボキシメチルセルロース(CMC)等の樹脂系高分子、スチレンーブタジエンゴム(SBR)等のゴム状高分子などの1種または2種以上を使用することができる。結着剤の溶媒はN−メチルピロリドン、水などでよい。必要に応じて使用しうる導電剤は、炭素材料、金属(Ni等)でよく、このときの炭素材料には人造黒鉛、天然黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック等が包含され、粉末だけでなく繊維状のものを用いても良い。
電池は、その基本構造として、負極、正極、セパレーター、非水系電解液を含んでいる。本発明にあっても、そのような構成に特に制限はされず、また、電池の形状も特に制限されず、円筒型、角形、コイン型、シート型等何れでも良い。電解液は、例えば、エチレンカーボネート(EC)やエチルメチルカーボネート(EMC)などのアルキルカーボネートから選ばれた1種または2種以上を使用できる。
以下の実施例は本発明の例示にすぎず、本発明はそれによって制限を受けない。実施例中、部は全て質量部の意味である。
(実施例1)
平均粒径20μm、比表面積5.4m2/gの球形化処理された天然黒鉛粉末100部にカルボキシメチルセルロースナトリウムNa塩(CMC−Na)粉末0.5部を混合し、この混合物を純水100部に投入し、攪拌混合して、スラリーを得た。得られたスラリーをマイクロミストドライヤ(藤崎電機社製)を用いて噴霧乾燥させた。
得られた混合粉末を黒鉛るつぼに入れ、窒素気流下、300℃で1時間熱処理した。熱処理により得られた粉末をふるい目75μmのふるいで分級して、炭素前駆体が担持された黒鉛質粉末を得た。使用したCMC−Naの熱分解温度を熱重量分析(TG)で調べたところ、300℃より低かったので、熱処理温度を300℃とした(図1)。
この黒鉛質粉末の平均粒径は20μm、比表面積は4.5m2/g、炭素前駆体の担持量は黒鉛粉末100部に対して0.25部であった。
(実施例2および3)
CMC−Na粉末の量をそれぞれ1部および2部に変更し、純水の量をそれぞれ150部および175部に変更した以外は実施例1と同様にして、炭素前駆体が担持された黒鉛質粉末を得た。この黒鉛質粉末の平均粒径、比表面積、炭素前駆体の担持量はそれぞれ表1に示す通りである。
(比較例1)
実施例1で用いた球形化粉砕処理された天然黒鉛粉末(未処理品)をそのまま、あるいは熱処理のみを実施例1と同じ条件で実施して、負極材料として使用した。
(比較例2〜4)
実施例1〜3において、300℃での熱処理を実施しなかった。従って、得られた黒鉛質粉末は、表面にCMC−Naを担持していた。このような熱分解させていない水溶性高分子材料を担持させた黒鉛粉末は、上記特許文献1および2に開示されているものと同じである。
以上の実施例及び比較例で得られた黒鉛質粉末の電極性能を次のようにして調査した。
黒鉛質粉末97部に結着剤として実施例で用いたのと同じCMC−Na粉末(以下では単にCMCという)を混合した後、SBR(スチレン−ブタジエンゴム)を水に分散させた液を加え、攪拌してスラリーを得た。配合比は炭素:CMC:SBR=97:1:2(質量比)であった。このスラリーを厚み17μmの圧延銅箔上にドクターブレード法により塗布し(塗布量は10mg/cm2)、加熱乾燥後、直径13mmに打ち抜き、プレス成形機にて加圧して電極を作製した。
以下の評価には、電極密度1.7g/cm3の電極を100℃で真空乾燥したものを用いた。
ポリオレフィン製セパレーターを用い、その両側に上記電極と対極のLi金属箔とを配置し、電解液にはエチレンカーボネート(EC):エチルメチルカーボネート(EMC)=1:3(体積比)の混合溶媒に支持電解質LiPF6を1M濃度で溶解した非水溶液を用いて、コイン型の非水試験セルを作製した。
この試験セルを、25mA/gの電流値で、対極に対して電位差0(ゼロ)Vになるまで定電流でドープし(充電に相当)、さらに0Vを保持したまま、5μA/cm2になるまで定電圧でドープを続けた。次に、25mA/gの定電流で、電位差1.5Vになるまで脱ドープを行って(放電に相当)、脱ドープ容量を測定した。この時の脱ドープ容量は、二次電池の負極として用いた時の放電容量に相当するのでこれを放電容量とした。充電容量から放電容量を差し引いた値を不可逆容量とした。
また放電曲線(脱ドープ側)において、比較例2〜3の材料では比較例1に比べて、僅かな電流にもかかわらず貴な電位側にシフトした。これは非常にレート特性が悪いことを示している。数値化するため、放電スタートから100mAh/gのところの電圧を読み取り、比較例1からの電圧差を比較した。以上の結果を表1に示す。
Figure 0005386802
表1に示すように、本発明に従って、黒鉛粉末にCMCの熱分解生成物からなる炭素前駆体を担持した実施例1〜3の黒鉛質粉末では、放電容量が360mAh/gを越え、不可逆容量も小さくなっている。また、電圧降下も認められない。CMCの添加量が増大しても、不可逆容量の低下はごくわずかにとどまっている。
これに対し、比較例を見ると、未被覆の比較例1の黒鉛粉末に比べて、比較例2〜4ではCMCによる被覆によって不可逆容量を低減することはできるものの、添加量を多くしないと十分な不可逆容量の低減が得られない。一方、CMCの添加量を多くすると、放電容量が著しく低下し、電圧降下が大きくなり、レート特性の低下が顕著となる。
実施例1において水溶性高分子材料として使用したCMC−Naの熱重量分析(TG)曲線である。

Claims (5)

  1. 炭素前駆体を担持した黒鉛粉末からなる黒鉛質粉末であって、
    平均粒径が30μm以下であり、
    前記炭素前駆体が、カルボキシメチルセルロース塩の残留率40%以上の熱分解生成物である、
    ことを特徴とする黒鉛質粉末。
  2. 黒鉛粉末の表面にカルボキシメチルセルロース塩を付着させる工程と、付着したカルボキシメチルセルロース塩の熱分解温度以上の温度で非酸化性雰囲気中にて黒鉛粉末を熱処理する工程とを有することを特徴とする、請求項1記載の黒鉛質粉末の製造方法。
  3. 前記付着工程が、カルボキシメチルセルロース塩の水溶液中に黒鉛粉末を分散させたスラリーを噴霧乾燥することにより行われる、請求項記載の黒鉛質粉末の製造方法。
  4. 請求項1記載の黒鉛質粉末を用いて作製されたことを特徴とする非水系二次電池用負極。
  5. 請求項4記載の負極を備えた非水系二次電池。
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