ところが、鋳造法を用いてマグネシウム合金製のシートフレームやアルミニウム合金製のシートフレームを形成すると、以下のような問題が発生することがわかった。
シートフレームは、それぞれが車長方向に延びる一対のフレーム部材を有する。フレーム部材の構造として、2つの側壁部と、これらの側壁部の上端同士を連結する上壁部から構成された構造(つまりU字状の断面構造)が知られている。上壁部には、ライダーが跨るライダーシートやパッセンジャーが跨るパッセンジャーシートが取り付けられるので、大きな荷重が加わる。マグネシウム合金やアルミニウム合金は、鋼と比べて単位面積当たりの強度が低いので、マグネシウム合金やアルミニウム合金から形成されたフレーム部材では、上壁部の肉厚は側壁部の肉厚よりも大きいことが好ましい。
しかしながら、上壁部の厚さを増加させると、上壁部の厚さと側壁部の厚さとに差が生じ(あるいは差が大きくなり)、上壁部と側壁部とで鋳造時の冷却速度に差が生じる(あるいは差が大きくなる)。そのため、上壁部と側壁部との境界部において引け割れや引け巣が発生しやすくなる。引け割れは、溶湯の凝固に伴う収縮に起因して発生する割れであり、引け巣は、同じ原因で発生する空洞である。マグネシウム合金やアルミニウム合金から形成されたフレーム部材では、上述した引け割れや引け巣が特に発生しやすい。引け割れや引け巣のような鋳造欠陥が発生したシートフレームは、自動二輪車用の構造部材として用いることができない場合がある。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、シートフレームのフレーム部材をマグネシウム合金またはアルミニウム合金から鋳造により形成する際の鋳造欠陥の発生を抑制することにある。
本発明によるシートフレームは、鞍乗型輸送機器用のシートフレームであって、マグネシウム合金またはアルミニウム合金から鋳造により形成された一対のフレーム部材を備え、前記一対のフレーム部材のそれぞれは、第1側壁部と、車幅方向において前記第1側壁部よりも外側に位置する第2側壁部と、前記第1側壁部と前記第2側壁部とを連結する連結壁部と、を有し、前記連結壁部は、シートを固定するためのシート固定部を有し、前記一対のフレーム部材のそれぞれは、前記第1側壁部の上端と前記第2側壁部の上端とが前記連結壁部によって連結されている第1の領域と、前記第1側壁部の上端よりも下側の部分と前記第2側壁部の上端よりも下側の部分とが前記連結壁部によって連結されている第2の領域とを有し、前記シート固定部は、前記第1の領域内に配置されている。
ある好適な実施形態において、前記一対のフレーム部材のそれぞれは、前記第1側壁部の上端と前記第2側壁部の上端よりも下側の部分とが前記連結壁部によって連結されている第3の領域をさらに有し、前記第3の領域は、前記第1の領域と前記第2の領域との間に位置している。
ある好適な実施形態において、前記一対のフレーム部材のそれぞれは、前記シートフレームをメインフレームに取り付けるための取り付け部を前端部に有し、前記取り付け部近傍に前記第2の領域が位置している。
ある好適な実施形態において、前記取り付け部は、貫通孔を有するボスを含む。
ある好適な実施形態において、前記第2の領域は、前記貫通孔の中心軸から後方に少なくとも50mm離れた位置まで延びている。
ある好適な実施形態において、前記連結壁部の延長線上に前記貫通孔の中心軸が位置する。
ある好適な実施形態において、前記第2の領域において、前記連結壁部の上面から前記第1側壁部の上端までの高さ、および、前記連結壁部の上面から前記第2側壁部の上端までの高さは、前記取り付け部に近いほど大きい。
ある好適な実施形態において、前記第2の領域の前記取り付け部側の端部において、前記連結壁部の上面から前記第1側壁部の上端までの高さ、および、前記連結壁部の上面から前記第2側壁部の上端までの高さは、6mm以上である。
ある好適な実施形態において、前記連結壁部は、前記取り付け部近傍に穴部を有する。
ある好適な実施形態において、前記穴部は、貫通孔である。
ある好適な実施形態において、前記第2の領域において、前記第1側壁部と前記第2側壁部との間隔は、12mm以下である。
ある好適な実施形態において、前記第1側壁部および前記第2側壁部のそれぞれの厚さは、2mm以上である。
ある好適な実施形態において、前記一対のフレーム部材のそれぞれは、車長方向に対して湾曲した湾曲部を前記第2の領域内に有する。
本発明による鞍乗型輸送機器は、シートと、上記の構成を有し前記シートを支持するシートフレームと、を備える。
本発明によるシートフレームでは、マグネシウム合金またはアルミニウム合金から鋳造により形成された一対のフレーム部材のそれぞれが、第1側壁部の上端と第2側壁部の上端とが連結壁部によって連結されている「第1の領域」と、第1側壁部の上端よりも下側の部分と第2側壁部の上端よりも下側の部分とが連結壁部によって連結されている「第2の領域」とを有する。第1の領域では、第1側壁部の上端と第2側壁部の上端とが連結壁部によって連結されているので、フレーム部材の上部は、U字状の断面構造を有している。また、第2の領域では、第1側壁部の上端よりも下側の部分と第2側壁部の上端よりも下側の部分とが連結壁部によって連結されているので、フレーム部材の上部は、H字状の断面構造を有している。
このように、本発明によるシートフレームのフレーム部材は、断面構造の異なる2つの領域を有している。H字状の断面構造は、U字状の断面構造よりも強度が高い。従って、フレーム部材の一部に第2の領域(断面構造がH字状である領域)を有する本発明によるシートフレームは、フレーム部材の全体がU字状の断面構造を有する従来のシートフレームよりも強度に優れている。そのため、連結壁部を厚く形成する必要がなく、連結壁部と側壁部(第1側壁部および第2側壁部)との厚さの差を小さくすることができる。それ故、連結壁部と側壁部とでの鋳造時の冷却速度の差を小さくすることができ、引け割れや引け巣の発生を抑制することができる。
なお、H字状の断面構造では、2つの側壁部の上端が連結壁部の上面よりも上側に突出するので、フレーム部材がその全体にわたってH字状の断面構造を有していると、シートの取り付けを行うことが難しい。これに対し、本発明によるシートフレームでは、シートを固定するためのシート固定部は、第1の領域(断面構造がU字状である領域)内に配置されているので、シートの固定を容易に行うことができる。つまり、本発明によれば、シートの固定に支障をきたすことなく、鋳造欠陥の発生を抑制することができる。
フレーム部材は、第1側壁部の上端と第2側壁部の上端よりも下側の部分とが連結壁部によって連結されている「第3の領域」をさらに有することが好ましい。第3の領域では、第1側壁部の上端と第2側壁部の上端よりも下側の部分とが連結壁部によって連結されているので、フレーム部材の上部は、h字状の断面構造を有している。このような第3の領域が、第1の領域と第2の領域との間に位置していると、第1側壁部および第2側壁部を、シートを取り付ける際の位置決め部として機能させることができるので、シートの取り付けをいっそう容易に行うことができる。
典型的には、フレーム部材は、シートフレームをメインフレームに取り付けるための取り付け部を前端部に有している。取り付け部は、例えば、貫通孔を有するボスである。取り付け部近傍に第2の領域(断面がH字状の領域)が位置していると、取り付け部近傍における余肉を少なくすることができる。そのため、取り付け部近傍における冷却性が向上し、取り付け部近傍における鋳造欠陥の発生をより確実に抑制することができる。また、取り付け部近傍に第2の領域が位置することにより、ライダーがシートに着座したときに連結壁部に作用する曲げ応力を低減することができる。そのため、過大な曲げ応力に抗するために連結壁部を厚く形成する必要がなく、このことによっても鋳造欠陥の発生が抑制される。また、シートフレームをメインフレームに取り付ける際、取り付け部近傍にねじり応力が作用する場合(例えば締結により取り付けを行う場合)がある。このとき、取り付け部近傍のねじり剛性が高すぎると、取り付け時に発生する応力が大きくなり、シートフレームが破損するおそれがあるが、取り付け部近傍に第2の領域が位置していると、取り付け部近傍のねじり剛性を低減できるので、取り付け時の応力を小さくすることができる。
取り付け部は、例えば、貫通孔を有するボスを含む。シートフレームの強度を向上させるためには、フレーム部材の幅(第1側壁部と第2側壁部との間隔)は広いことが好ましいが、ライダーがシートに着座したときの両脚の間隔や内容物(タンク等)の容量との関係上、フレーム部材の幅をむやみに広くすることはできない。このような制約の下、十分に高い強度を確保するためには、第2の領域は、貫通孔の中心軸から後方に少なくとも50mm離れた位置まで延びていることが好ましい。また、連結壁部の延長線上に貫通孔の中心軸が位置していると、連結壁部に作用する(中心軸周りに発生する)曲げ応力を低減する効果が高く、また、取り付け部近傍のねじり剛性を低減する効果も高い。
第2の領域において、連結壁部の上面から第1側壁部の上端までの高さ、および、連結壁部の上面から第2側壁部の上端までの高さは、取り付け部に近いほど大きいことが好ましい。つまり、連結壁部、第1側壁部および第2側壁部によって構成される溝の深さが、取り付け部に近づくほど連続的に大きくなることが好ましい。このような構成により、断面構造が異なる領域間でなだらかに応力を変化させることができるので、応力集中部の発生を防止することができる。
縦方向(上下方向)の曲げ強度をいっそう向上させる観点からは、第2の領域の取り付け部側の端部において、連結壁部の上面から第1側壁部の上端までの高さ、および、連結壁部の上面から第2側壁部の上端までの高さは6mm以上であることが好ましい。
連結壁部は、取り付け部近傍に穴部を有することが好ましい。取り付け部近傍に穴部が形成されていることにより、穴部周辺の鋳造時の冷却速度が大きくなるので、取り付け部近傍における鋳造欠陥の発生をより確実に抑制することができる。また、軽量化という効果も得られる。
この穴部は、貫通孔であることが好ましい。穴部が貫通孔であると、鋳造欠陥の発生を抑制する効果が高い。また、穴部が貫通孔であると、穴部を水抜き孔として機能させることができるので、耐食性が向上する。さらに、塗装下地処理の際や電着塗装の際のエアポケットの発生を防止することができるので、塗装のつきまわり性(均一着色性)を高くするという効果も得られる。
ライダーがシートに着座したときの両脚の間隔を適切に(広すぎないように)設定しつつ、内容物(タンク等)の容量を十分に確保するためには、第2の領域において、第1側壁部と第2側壁部との間隔は、12mm以下であることが好ましい。
また、より高い強度を確保する観点からは、第1側壁部および第2側壁部のそれぞれの厚さは、2mm以上であることが好ましい。
シートフレームの内部に収容する内容物(タンク等)の容量を十分に確保するために、フレーム部材が車長方向に対して湾曲した部分(湾曲部)を有してもよい。その場合、湾曲部における連結壁部の幅が狭くなることがあるが、湾曲部を第2の領域(断面がH字状の領域)内に位置させることにより、連結壁部の幅が狭い部分においても容易に十分な強度を確保することができる。
上述したように、本発明によれば、マグネシウム合金製のシートフレームやアルミニウム合金製のシートフレームを成形する際の鋳造欠陥の発生を抑制することができる。そのため、軽量なシートフレームを低コストで実現することができる。軽量な本発明によるシートフレームを備えた鞍乗型輸送機器は、走行性能および燃費に優れている。
本発明によれば、シートフレームのフレーム部材をマグネシウム合金またはアルミニウム合金から鋳造により形成する際の鋳造欠陥の発生を抑制することができる。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。なお、以下では自動二輪車用のシートフレームを例として説明を行うが、本発明はこれに限定されるものではなく、鞍乗型輸送機器用のシートフレームに広く用いられる。例えば、本発明は、スノーモービル(SMB)、四輪バギー(ATV)、ウォータービークルなどにも用いられる。
図1に、本実施形態におけるシートフレーム100を備えた自動二輪車200を示す。自動二輪車200は、燃料タンク101、メインフレーム102、シートフレーム100、内燃機関108、前輪116および後輪126を備える。自動二輪車200は、ライダーが跨って乗る鞍乗型の輸送機器(自動車両)である。
図2は、メインフレーム102を拡大して示す斜視図である。メインフレーム102は、車両の前方に位置するヘッドパイプ112に接続された一対のフレーム102Aおよび102Bを含む。フレーム102Aおよび102Bは、自動二輪車200の中央部において下方へ延びるよう湾曲している。フレーム102Aおよび102Bは、端部において相互に連結されている。また、湾曲している部分においてフレーム102Aおよび102Bを相互に連結する連結部102Cが設けられている。連結部102Cには、シートフレーム100との結合を行うために、一対の第1の係合部102aおよび一対の第2の係合部102bが設けられている。本実施形態における第1の係合部102aおよび第2の係合部102bは、それぞれボルトが挿入される孔を有するステーである。メインフレーム102およびシートフレーム100は、自動二輪車200の車体を構成する。
図1に示すように、ヘッドパイプ112には、回転可能なようにフロントフォーク114が取り付けられている。フロントフォーク114の一端には前輪116が回転自在に支持されている。フロントフォーク114の他端にはハンドル110が固定されている。
燃料タンク101は、自動二輪車200の中央部近傍において、メインフレーム102およびシートフレーム100に跨って取り付けられている。燃料タンク101の前方にはエアクリーナ128が設けられている。また、燃料タンク101には燃料注入口(図示せず)を覆うキャップ130が設けられている。
内燃機関108は、燃料タンク101の下方に位置するよう、メインフレーム102に支持されている。内燃機関108の前方には、ラジエータ106が設けられている。内燃機関108の排気口には排気管118が接続されている。図1では詳細に示されていないが、排気管118の一端は複数に分岐しており、内燃機関108の複数のシリンダからそれぞれ排気ガスを導く。排気管118は内燃機関の下方を通ってシートフレーム100に沿って後方へ導かれている。排気管118はシートフレーム100に近接した位置において2つに分岐し、分岐した管がそれぞれ消音器120に接続されている。排気管118および消音器120はシートフレーム100に支持されている。シートフレーム100には一対のフットレスト145が設けられている。
メインフレーム102にはスイングアーム122が接続され、後輪126が回転自在にスイングアーム122に支持されている。内燃機関108の回転駆動力は、チェーン124を介して後輪126へ伝達される。
自動二輪車200はこのほか燃料タンク101の下部を覆う化粧カバー134、ライダーシート136、リアカバー137、サイドカバー138、およびパッセンジャーシート139を備えている。これらの部材は、シートフレーム100を明瞭に示すため、図1においては破線で示されている。
上述したように、メインフレーム102およびシートフレーム100は自動二輪車200の車体を構成しており、自動二輪車200の種々の構成部材を支持するために、高い強度を備えている必要がある。特に、シートフレーム100は、ライダーシート136、パッセンジャーシート139およびフットレスト145を支持しており、ライダーやパッセンジャーの体重が加えられる。
以下、図3および図4を参照しながら、本実施形態におけるシートフレーム(サブフレームまたはリアフレームとも呼ばれる。)100の構造を説明する。図3は、自動二輪車200におけるシートフレーム100およびこれよりも上部の構造を示す分解斜視図であり、シートフレーム100、ライダーシート136、サイドカバー138およびパッセンジャーシート139を示している。また、図4(a)および(b)は、それぞれ図3中の4A−4A’線および4B−4B’線に沿った断面図である。
シートフレーム100は、図3に示すように、マグネシウム合金またはアルミニウム合金から鋳造により形成された一対のフレーム部材(シートレール)10Rおよび10Lと、一対のフレーム部材10Rおよび10Lを互いに連結する連結部材20とを備える。フレーム部材10Rおよび10Lは、車長方向(前後方向)Aに沿って延びている。これに対し、連結部材20は、車幅方向(左右方向)Bに沿って延びている。
本実施形態では、フレーム部材10Rおよび10Lと連結部材20とは、鋳造(例えばダイキャスト法)により一体成形されている。なお、連結部材20をフレーム部材10Rおよび10Lとは別体に形成し、連結部材20とフレーム部材10Rおよび10Lとを機械的に結合してもよい。連結部材20とフレーム部材10Rおよび10Lとを別体に形成する場合、連結部材20は、必ずしもフレーム部材10Rおよび10Lと同じ材料(マグネシウム合金やアルミニウム合金)から形成されている必要はないが、十分な耐食性を確保するためには、連結部材20もフレーム部材10Rおよび10Lと同じ材料から形成されていることが好ましい。
フレーム部材10Rおよび10Lのそれぞれは、図4(a)および(b)に示すように、第1側壁部11と、車幅方向Bにおいて第1側壁部11よりも外側に位置する第2側壁部12と、第1側壁部11と第2側壁部12とを連結する連結壁部(上壁部)13とを有する。以下では、相対的に内側に位置する第1側壁部11を「内側側壁部」と呼び、相対的に外側に位置する第2側壁部12を「外側側壁部」と呼ぶ。一方のフレーム部材10Rの内側側壁部11の下端部と、他方のフレーム部材10Lの内側側壁部11の下端部とが連結部材20によって連結されている。
連結壁部13には、図3に示すように、シートフレーム100にライダーシート136を取り付けるための第1の係合部13aが設けられている。ライダーシート136は、鞍形に形成されており、一対の係合部136aを有する。図3中に点線で示しているように、ライダーシート136の係合部136aが、フレーム部材10Rおよび10Lの第1の係合部13aと係合することによって、シートフレーム100とライダーシート136とが結合される。
フレーム部材10Rおよび10Lの第1の係合部13aとライダーシート136の係合部136aとは、互いに直接(あるいは他の部材を介して)係合し、ライダーシート136をシートフレーム100に固定することが可能であれば、どのような構造を有していてもよい。本実施形態では、これらの係合部には、それぞれ孔が設けられており、めねじ付きかしめナットを孔に挿入し、かしめナットとボルトとを締結することによって係合部同士が結合される。
また、連結壁部13には、シートフレーム100にサイドカバー138を取り付けるための第2の係合部13bおよび第3の係合部13cが設けられている。サイドカバー138は、一対の第1の係合部138aと、一対の第2の係合部138bと、パッセンジャーシート139を固定するための支持枠138cとを有している。図3中に点線で示しているように、サイドカバー138の第1の係合部138aが、フレーム部材10Rおよび10Lの第2の係合部13bと係合し、サイドカバー138の第2の係合部138bが、フレーム部材10Rおよび10Lの第3の係合部13cと係合することによって、シートフレーム100とサイドカバー138とが結合される。パッセンジャーシート139は、サイドカバー138の支持枠138cによって、シートフレーム100に対して固定される。
フレーム部材10Rおよび10Lの第2の係合部13bおよび第3の係合部13cと、サイドカバー138の第1の係合部138aおよび第2の係合部138bは、互いに直接(あるいは他の部材を介して)係合し、サイドカバー138をシートフレーム100に固定することが可能であれば、どのような構造を有していてもよい。本実施形態では、これらの係合部にはそれぞれ孔が設けられており、ボルトおよびナットによって係合部同士が結合されている。
このように、連結壁部13は、シート(ライダーシート136およびパッセンジャーシート139)を固定するための第1の係合部13a、第2の係合部13bおよび第3の係合部13cを有する。以下では、連結壁部13の第1の係合部13a、第2の係合部13bおよび第3の係合部13cを総称して「シート固定部」とも呼ぶ。
また、フレーム部材10Rおよび10Lの前端部(内燃機関108側の端部)には、図3に示すように、シートフレーム100をメインフレーム102に取り付けるための取り付け部として、第4の係合部10aおよび第5の係合部10bが設けられている。本実施形態では、第4の係合部10aおよび第5の係合部10bは、それぞれボルトが挿入される孔(貫通孔)を有するボスである。フレーム部材10Rおよび10Lの第4の係合部10aおよび第5の係合部10bがメインフレーム102の第1の係合部102aおよび第2の係合部102b(図2参照)と係合することによって、シートフレーム100とメインフレーム102とが結合される。以下では、フレーム部材10Rおよび10Lの第4の係合部10aおよび第5の係合部10bを、「取り付け部」あるいは「ボス」とも呼ぶ。
シートフレーム100の外形の大きさは、例えば、内燃機関108側の連結部材20の幅(つまり一対のフレーム部材10Rおよび10Lの間隔)が200mm〜300mm程度であり、フレーム部材10Rおよび10Lの内燃機関108側での高さが80mm〜160mm程度である。また、車長方向Aに沿ったシートフレーム100の長さは600mm〜800mm程度である。
フレーム部材10Rおよび10Lのそれぞれは、断面構造(車長方向Aに直交し、車幅方向Bに平行な断面における構造)が互いに異なる第1の領域R1および第2の領域R2を有している。本実施形態では、フレーム部材10Rおよび10Lの前端部に設けられた取り付け部10aおよび10b近傍に第2の領域R2が位置しており、第1の領域R1は第2の領域R2よりも後方に位置している。つまり、取り付け部10aおよび10bと第1の領域R1との間に第2の領域R2が位置している。
以下、さらに図5も参照しながら、第1の領域R1および第2の領域R2におけるフレーム部材10Rおよび10Lの断面構造を説明する。図5は、フレーム部材10Lの取り付け部10aおよび10b近傍を拡大して示す斜視図である。図5では、取り付け部10aおよび10bとして、貫通孔10a1、10b1を有するボスを例示している。
第1の領域R1では、図4(a)および図5に示すように、内側側壁部11の上端と外側側壁部12の上端とが連結壁部13によって連結されている。従って、第1の領域R1においてフレーム部材10Rおよび10Lの上部は、U字状(コの字状)の断面構造を有する。
これに対し、第2の領域R2では、図4(b)および図5に示すように、内側側壁部11の上端よりも下側の部分と外側側壁部12の上端よりも下側の部分とが連結壁部13によって連結されている。従って、第2の領域R2においてフレーム部材10Rおよび10Lの上部は、H字状(エの字状)の断面構造を有する。
このように、本実施形態におけるシートフレーム100のフレーム部材10Rおよび10Lは、断面構造の異なる2つの領域R1およびR2を有している。H字状の断面構造は、ねじりの際に発生する応力が小さいので、U字状の断面構造よりも強度が高い。従って、フレーム部材10Rおよび10Lの一部に第2の領域R2を有するシートフレーム100は、フレーム部材の全体がU字状の断面構造を有する従来のシートフレームよりも強度に優れている。そのため、連結壁部13を厚く形成する必要がなく、連結壁部13と側壁部(内側側壁部11および外側側壁部12)との厚さの差を小さくすることができる。それ故、連結壁部13と側壁部とでの鋳造時の冷却速度の差を小さくすることができ、引け割れや引け巣の発生を抑制することができる。
なお、H字状の断面構造では、図4(b)および図5からもわかるように、内側側壁部11および外側側壁部12の上端が連結壁部13の上面よりも上側に突出するので、フレーム部材10Rおよび10Lがその全体にわたってH字状の断面構造を有していると、シートの取り付けを行うことが難しい。しかしながら、本実施形態におけるシートフレーム100では、図3に示すように、シートを固定するためのシート固定部13a、13bおよび13cは、第1の領域(断面構造がU字状である領域)R1内に配置されている。そのため、シートの固定を容易に行うことができる。つまり、本実施形態のように、断面構造の異なる2つの領域R1およびR2をフレーム部材10Rおよび10Lのそれぞれに混在させることにより、シートの固定に支障をきたすことなく、鋳造欠陥の発生を抑制することができる。
また、本実施形態では、第2の領域R2が取り付け部10aおよび10b近傍に位置している。このことにより、取り付け部10aおよび10b近傍における鋳造欠陥の発生をより確実に抑制することができる。この理由を、図6(a)および(b)を参照しながら説明する。
図6(a)および(b)は、フレーム部材10Lの取り付け部10aおよび10b近傍を示す側面図である。図6(a)は、取り付け部10aおよび10b近傍に第2の領域R2が位置している場合を示し、図6(b)は、取り付け部10aおよび10b近傍に第1の領域R1が位置している場合を示している。
取り付け部10aおよび10bは、図6(a)および(b)に示しているように、貫通孔10a1および10b1を有する円筒状のボスである。一方のボス10aは、フレーム部材10Lの前端部における上端に設けられており、他方のボス10bは、フレーム部材10Lの前端部における下端に設けられている。
図6(a)に示す例では、上側のボス10aの中央部と連結壁部13とが連結されている。これに対し、図6(b)に示す例では、上側のボス10aの上部と連結壁部13とが連結されている。図6(a)と図6(b)との比較からわかるように、図6(b)に示した例では、ボス10a近傍に余肉9が発生しており、この部分で肉厚が他の部分に比べて大きくなっている。このように、取り付け部10aおよび10b近傍に第1の領域R1が位置していると、取り付け部10aおよび10bの構造や配置によっては、余肉が発生し、その部分で鋳造時の冷却速度が低下してしまう。これに対し、取り付け部10aおよび10b近傍に第2の領域R2が位置していると、そのような余肉を少なくすることができるので、取り付け部(図6(a)に示す例では上側のボス10a)近傍において冷却性が向上し、鋳造欠陥の発生をより確実に抑制することができる。
また、第2の領域R2が取り付け部10aおよび10b近傍に位置していると、以下に説明するような効果も得られる。ライダーがシートに着座すると、図7に模式的に示しているように、ライダーの体重によってシートフレーム100には曲げ応力が作用する。
このとき、取り付け部10a近傍に着目すると、図8(a)に示すように取り付け部10a近傍に第1の領域R1が位置している場合には、図8(b)に示すように取り付け部10a近傍に第2の領域R2が位置している場合に比べ、貫通孔10a1の中心軸から連結壁部13が離れているので、連結壁部13に作用する曲げ応力が大きくなる。この大きな曲げ応力に抗するために、連結壁部13の肉厚を大きくすると、連結壁部13の冷却速度が低下し、引け巣や引け割れが発生するおそれがある。これに対し、図8(b)に示す場合には、図8(a)に示す場合に比べて貫通孔10a1の中心軸から連結壁部13が離れていないので、連結壁部13に作用する曲げ応力を低減することができる。そのため、過大な曲げ応力に抗するために連結壁部13を厚く形成する必要がなく、このことによっても鋳造欠陥の発生が抑制される。
また、シートフレーム100をメインフレーム102に取り付ける際、取り付け部10a近傍にねじり応力が作用する場合がある。例えば、図9に示すように、シートフレーム100の取り付け部(第4の係合部)10aとメインフレーム102の第1の係合部102aとの間には、係合部同士の位置合わせを容易にするために、所定のクリアランスが設けられている。この場合にシートフレーム100とメインフレーム102とを締結(例えばボルトによる締結)により結合すると、締結力によってシートフレーム100の取り付け部10a近傍にはねじり応力が作用する。
図10(a)および(b)に、図9中の10A−10A’線に沿った断面を示す。図10(a)は、取り付け部10a近傍においてフレーム部材10Rおよび10Lの上部がU字状の断面構造を有している場合(つまり取り付け部10a近傍に第1の領域R1が位置している場合)を示している。図10(b)は、取り付け部10a近傍においてフレーム部材10Rおよび10Lの上部がH字状の断面構造を有している場合(つまり取り付け部10a近傍に第2の領域R2が位置している場合)を示している。
図10(a)に示す場合には、図10(b)に示す場合に比べ、貫通孔10a1の中心軸から連結壁部13が離れているので、取り付け部10aにおけるフレーム部材10Rおよび10Lのねじり剛性が高くなる。ねじり剛性が高すぎると、取り付け時に発生する応力が大きくなり、シートフレーム100が破損するおそれがある。連結壁部13の肉厚を小さくすれば、ねじり剛性を低くしてそのような破損を防止できるが、その場合、図8(a)を参照しながら説明したような大きな曲げ応力に抗することができなくなる。これに対し、図10(b)に示す場合には、図10(a)に示す場合に比べ、貫通孔10a1の中心軸から連結壁部13が離れていないので、取り付け部10aにおけるフレーム部材10Rおよび10Lのねじり剛性を低減できるので、取り付け時の応力を小さくすることができる。
なお、図8(b)や図10(b)には、連結壁部13と貫通孔10a1とが実質的に同じ高さに位置する場合、つまり、連結壁部13の延長線上に貫通孔10a1の中心軸が位置する場合を例示しているが、連結壁部13と貫通孔10a1の中心軸との相対的な位置関係はこれに限定されるものではない。連結壁部13の延長線上に貫通孔10a1の中心軸が位置していると、連結壁部13に作用する(中心軸周りに発生する)曲げ応力を低減する効果が高く、また、取り付け部10a近傍のねじり剛性を低減する効果も高い。
シートフレーム100の強度を向上させるためには、フレーム部材10Rおよび10Lの幅(車幅方向Bに沿った幅)は広いことが好ましいが、ライダーがシートに着座したときの両脚の間隔や内容物(燃料タンク101等)の容量との関係上、フレーム部材10Rおよび10Lの幅をむやみに広くすることはできない。このような制約の下、十分に高い強度を確保するためには、第2の領域R2は、取り付け部であるボス10aの貫通孔10a1の中心軸から後方に少なくとも50mm離れた位置まで延びていることが好ましい。つまり、貫通孔10a1の中心軸から第2の領域R2の端(取り付け部10a側とは反対側の端)までの距離が50mm以上であることが好ましい。
続いて、図11(a)、(b)および(c)も参照しながら、第2の領域R2における内側側壁部11および外側側壁部12のより好ましい構造を説明する。図11(a)、(b)および(c)は、フレーム部材10Lの取り付け部10a近傍を示している。図11(a)がフレーム部材10Lを車幅方向Bにおける内側から見た側面図であるのに対し、図11(b)は、フレーム部材10Lを車幅方向Bにおける外側から見た側面図である。図11(c)は、フレーム部材10Lを上方から見た上面図である。
第2の領域R2において、連結壁部13の上面から内側側壁部11の上端までの高さh1および連結壁部13の上面から外側側壁部12の上端までの高さh2は、図11(a)および(b)に示しているように、取り付け部10aに近いほど大きいことが好ましい。つまり、連結壁部13、内側側壁部11および外側側壁部12によって構成される溝の深さが、取り付け部10aに近づくほど連続的に大きくなることが好ましい。このような構成により、第2の領域R2内でなだらかに応力を変化させることができるので、応力集中部の発生を防止することができる。
縦方向(上下方向)の曲げ強度をいっそう向上させる観点からは、第2の領域R2の取り付け部10a側の端部におけるこれらの高さh1およびh2(図11(a)および(b)中にh1’、h2’として示している)は、6mm以上であることが好ましい。
ライダーがシートに着座したときの両脚の間隔を適切に(広すぎないように)設定しつつ、内容物(燃料タンク101等)の容量を十分に確保するためには、第2の領域R2において、内側側壁部11と外側側壁部12との間隔sp(図11(c)参照)は、12mm以下であることが好ましい。
また、より高い強度を確保する観点からは、内側側壁部11の厚さt1および外側側壁部12の厚さt2(図11(c)参照)は、2mm以上であることが好ましい。
シートフレーム100の内部に収容する内容物の容量(例えば燃料タンク101の容量)を十分に確保するために、フレーム部材10Rおよび10Lが車長方向Aに対して湾曲した部分(湾曲部)を有してもよい。図5には、湾曲部を有するフレーム部材10Lが示されている。フレーム部材10Rおよび10Lが湾曲部を有する場合、湾曲部における連結壁部13の幅が図5に例示しているように狭くなることがあるが、湾曲部を第2の領域(断面がH字状の領域)R2内に位置させることにより、連結壁部13の幅が狭い部分においても十分な強度を容易に確保することができる。
上述したように、本実施形態におけるシートフレーム100では、フレーム部材10Rおよび10Lが断面構造の異なる2つの領域(第1の領域R1および第2の領域R2)を有していることにより、シートの固定に支障をきたすことなく、鋳造欠陥の発生を抑制することができる。
フレーム部材10Rおよび10Lのそれぞれは、図12および図13に示すように、上記の第1の領域R1および第2の領域R2とは断面構造が異なる第3の領域R3をさらに有してもよい。図12は、第3の領域R3を有するフレーム部材10Lを示す斜視図であり、図13は、第3の領域R3を有するフレーム部材10Rおよび10Lを示す断面図である。図12および図13に示すように、第3の領域R3では、内側側壁部11の上端と外側側壁部12の上端よりも下側の部分とが連結壁部13によって連結されている。従って、第3の領域R3においてフレーム部材10Lの上部は、h字状(ユの字状)の断面構造を有している。
第3の領域R3が、図12に示すように、第1の領域R1と第2の領域R2との間に位置していると、内側側壁部11および外側側壁部12を、シートを取り付ける際の位置決め部として機能させることができる。具体的には、第3の領域R3では、図14に示すように、内側側壁部11を車長方向Aにおける位置決め部として機能させ、外側側壁部12を車幅方向Bにおける位置決め部として機能させることができる。そのため、シートの取り付けをいっそう容易に行うことができる。
第2の領域R2および第3の領域R3において、連結壁部13の上面から内側側壁部11の上端までの高さh1および連結壁部13の上面から外側側壁部12の上端までの高さh2は、図11(a)および(b)に示しているように、取り付け部10aに近いほど大きいことが好ましい。このような構成により、断面構造が異なる第2の領域R2と第3の領域R3との間でなだらかに応力を変化させることができるので、応力集中部の発生を防止することができる。
また、フレーム部材10Rおよび10Lの連結壁部13は、取り付け部10a近傍に穴部を有することが好ましい。図15に、取り付け部10a近傍に穴部13Hが形成されたフレーム部材10Lを示す。ここでは、穴部13Hは、貫通孔である。取り付け部10a近傍に穴部13Hが形成されていることにより、穴部13H周辺の冷却速度が大きくなるので、この部分における鋳造欠陥の発生をより確実に抑制することができる。また、軽量化という効果も得られる。
なお、穴部13Hは非貫通孔(有底孔)であってもよい。穴部13Hが非貫通孔である場合には、穴部13Hの深さは、穴部13H全体にわたって一定であってもよいし、取り付け部10aに近づくにつれて大きくなってもよい。
本実施形態のように穴部13Hが貫通孔であると、鋳造欠陥の発生を抑制する効果が高い。また、穴部13Hが貫通孔であると、穴部13Hを水抜き孔として機能させることができるので、耐食性が向上する。さらに、塗装下地処理の際や電着塗装の際のエアポケットの発生を防止することができるので、塗装のつきまわり性(均一着色性)を高くするという効果も得られる。
図15には、外縁(エッジ)が取り付け部10aに接するような穴部13Hを例示しているが、穴部13Hの配置はこれに限定されるものではない。例えば図16に示すように、穴部13Hの外縁が取り付け部10aから多少離間していてもよい。鋳造欠陥の発生を抑制する効果を高くする観点からは、穴部13Hの少なくとも一部が、取り付け部10aから3mm以内の領域に位置していることが好ましい。
また、穴部13Hの形状は、図15および図16に例示しているような矩形(正方形または長方形)に限定されるものではない。穴部13Hの形状は、図17(a)に示すような円形であってもよいし、図17(b)に示すような矩形と円の一部(ここでは半円)とを組み合わせた形状であってもよい。
穴部13Hの大きさに特に制限はないが、穴部13Hは、6mm2以上160mm2以下の面積を有することが好ましい。穴部13Hの面積が6mm2未満であると、鋳造欠陥の発生を抑制する効果が十分に得られないことがある。また、穴部13Hの面積が160mm2を超えると、強度の確保が困難になる場合がある。なお、ここでいう穴部13Hの「面積」とは、穴部13Hをその上方から見たときの断面積であり、図16〜図18においてハッチングを付された領域に囲まれた白色部分の面積である。
また、図15〜図17では、取り付け部10a近傍に穴部13Hを1つだけ形成する構成を例示したが、図18に示すように、内側側壁部11と取り付け部10aとの交差部近傍に穴部13H1を設けるとともに、外側側壁部12と取り付け部10aとの交差部近傍に穴部13H2を設けてもよい。鋳造欠陥の発生を抑制する効果を高くする観点からは、穴部13H1の少なくとも一部が、内側側壁部11と取り付け部10aとの交差部から3mm以内の領域に位置していることが好ましい。また、同様の観点から、穴部13H2の少なくとも一部が、外側側壁部12と取り付け部10aとの交差部から3mm以内の領域に位置していることが好ましい。
続いて、シートフレーム100の製造方法を説明する。シートフレーム100は、例えばダイキャスト法により好適に製造することができる。金型を用いた鋳造方法であるダイキャスト法は、寸法精度が高く、量産に適している。
シートフレーム100をマグネシウム合金から形成する場合、マグネシウム合金としてMg−Al−Mn系合金を用いることが好ましい。特に、延性を確保するために3wt%以上9wt%以下のAlおよび0.1wt%以上6.5wt%以下のMnを含むMg−Al−Mn系合金を用いることが好ましい。例えば、ASTM規格のAM60B合金(5.5〜6.5wt%のAl、0.22wt%以下のZn、0.25〜0.5wt%のMn、0.1wt%以下のSi、0.01wt%以下のCu、0.002wt%以下のNi、0.005wt%以下のFeおよび0.02wt%以下のその他の不純物を含むMg−Al−Mn系合金)を好適に用いることができる。
シートフレーム100をアルミニウム合金から形成する場合、アルミニウム合金としてAl−Si−Mg系合金を用いることが好ましい。特に、Al−10Si−1Mg合金を用いることがさらに好ましい。
また、シートフレーム100は、チクソモールディング法によっても好適に製造することができる。チクソモールディング法においては、半溶融状態の金属材料が金型内に射出されて成形される。本願明細書では、半溶融状態の金属材料も特に断らない限り溶湯と呼ぶ。本発明は、ダイキャスト法やチクソモールディング法のように、金型内に高速・高圧で溶湯が注入される手法で成形されるシートフレーム100に好適に用いられる。
上述したように、本発明によれば、マグネシウム合金製のシートフレームやアルミニウム合金製のシートフレームを成形する際の鋳造欠陥の発生を抑制することができる。そのため、軽量な自動二輪車用シートフレームを低コストで実現することができる。軽量な本発明によるシートフレームを備えた自動二輪車は、走行性能に優れている。