JP5385518B2 - 流動性改質剤、熱可塑性樹脂組成物および成形品 - Google Patents

流動性改質剤、熱可塑性樹脂組成物および成形品 Download PDF

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Description

本発明は、共重合体、これを用いた流動性改質剤、熱可塑性樹脂組成物および成形品に関する。
アクリル樹脂は、透明性、耐熱性、及び機械強度(例えば引張破断強度等)等に優れ、OA(オフィスオートメーション)機器、情報・通信機器、電気・電子機器、家庭電化機器、自動車分野、建築分野等の様々な分野において幅広く利用されている。
近年、上記した様々な分野においてアクリル樹脂の成形品は、大型化、薄肉化、形状複雑化、高性能化、および成形の際の高効率化を求められている。従って、アクリル樹脂の特性である、透明性、耐熱性、及び機械強度等を損なうことなく、成形の際の溶融流動性を向上させ、射出成形性を高めることが可能な、アクリル樹脂の流動性改質剤、および流動性改質剤をアクリル樹脂に添加したアクリル樹脂組成物が求められている。
上記した、アクリル樹脂の特性を損なうことなく溶融流動性(成形加工性)を改良する方法としては、マトリクス樹脂であるアクリル樹脂自体を低分子量化する方法が一般的である。
また、他の方法としては、屈曲性の高いビニル単量体としてアクリル酸メチル等の組成比を増やす方法、低分子量のメタクリレート系樹脂オリゴマーを添加することで流動性を改良する方法(例えば特許文献1)が挙げられ、更に上記の技術を複合した方法(例えば特許文献2)も開示されている。
特開2006−193647号公報 特開2004−339442号公報
しかしながら、上記の各従来法においては、ある程度の溶融流動性(成形加工性)が改良されるものの、以下のような問題点がある。
アクリル樹脂自体を低分子量化する方法では、低分子量化により溶融流動性が大きく向上するものの、実用に耐えうる機械強度を損なうため、溶融流動性を向上させるには限界がある。
次に、アクリル酸メチル等の屈曲性の高い単量体の組成比を増やす方法は、耐熱性の低下を引き起こすため、成形されたアクリル樹脂の用途が限定される。
低分子量のメタクリレート系樹脂オリゴマーを添加する方法では、溶融流動性を向上させるために、メタクリレート系樹脂オリゴマーをより低分子量化し、かつその添加量を多くする必要がある。しかし、低分子量のメタクリレート系樹脂オリゴマーを過剰に添加すると、機械強度や耐熱性の低下を伴う。従って、昨今求められる十分な溶融流動性と、アクリル樹脂の特性である、機械強度や耐熱性とのバランスをとるのが難しい。また、マトリクス樹脂であるアクリル樹脂とは異なる樹脂を添加する際は、両樹脂の相溶性(耐剥離性)等にも配慮する必要がある。
その他の複合技術においても、アクリル樹脂の特性と十分な溶融流動性のバランスを得ることは難しい。
以上のことから、従来技術においてはそのいずれもが、ポリメチルメタクリレートに代表される、アクリル樹脂の特性を損なうことなく、溶融流動性を改良するという点では未だ不十分であるという問題がある。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたもので、アクリル樹脂の耐熱性、透明性、及び機械強度等を損なうことなく、相溶性(耐剥離性)にすぐれ、アクリル樹脂の溶融流動性(成形加工性)を向上させることができる流動性改質剤、およびこれを用いたアクリル樹脂組成物、並びにアクリル樹脂組成物を用いた成形品を目的とする。
本発明の流動性改質剤は共重合体(A)からなり、共重合体(A)は、少なくとも、芳香族ビニル単量体単位(a1)40〜60質量%と、末端に炭素‐水素結合を有し且つフッ素を含有したアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位(a2)60〜40質量%とを含有することを特徴とする。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物(C)は、上記共重合体(A)とアクリル樹脂(B)とを含有する。
更に、本発明の成形品は、上記熱可塑性樹脂組成物(C)を射出形成して得ることが好ましい。
本発明によれば、アクリル樹脂の耐熱性、透明性、及び機械強度等を損なうことなく、相溶性(耐剥離性)にすぐれ、アクリル樹脂の溶融流動性(成形加工性)を向上させることができる共重合体およびこれを使用した流動性改質剤、熱可塑性樹脂組成物、並びにアクリル樹脂組成物を用いた成形品を得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の共重合体(A)は、少なくとも、芳香族ビニル単量体単位(a1)と、末端に炭素‐水素結合を有し且つフッ素を含有したアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位(a2)とを含有する。
また、本発明の流動性改質剤は該共重合体(A)からなるものである。
〔共重合体(A)〕
(芳香族ビニル単量体単位(a1))
共重合体(A)は、芳香族ビニル単量体単位(a1)を含有する。
芳香族ビニル単量体単位(a1)を構成する単量体としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-メトキシスチレン、o−メトキシスチレン、2,4−ジメチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン等が挙げられ、これらを単独あるいは2種以上併用することができる。これらの中でも、スチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
共重合体(A)における芳香族ビニル単量体単位(a1)の含有量は、0.5〜99.5質量%である。
芳香族ビニル単量体単位(a1)の含有量が、99.5質量%を越えると、共重合体(A)と、熱可塑性樹脂(B)との相溶性が不十分となる。従って、熱可塑性樹脂(B)に共重合体(A)を配合した、熱可塑性樹脂組成物(C)から得られる成形品は層状剥離を引き起こし、外観や機械強度を損なう場合がある。
また、芳香族ビニル単量体単位(a1)の含有量が、0.5質量%未満であると、共重合体(A)と、熱可塑性樹脂(B)との相溶性が過度となる。従って、熱可塑性樹脂(B)に共重合体(A)を配合した熱可塑性樹脂組成物(C)を溶融し成形加工する際に、著しく溶融流動性を向上させる相分離挙動が起きにくい場合がある。
以上のバランスを考えると、共重合体(A)中の芳香族ビニル単量体単位(a1)は、90質量%以下が好ましく、80質量%以下であると更に好ましく、60質量%以下であると特に好ましい。また、該含有量は、10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であるとより好ましく、30質量%以上でると更に好ましく、40質量%以上であると特に好ましい。
((メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位(a2))
共重合体(A)は、末端に炭素‐水素結合を有し且つフッ素を含有したアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位(a2)を含有する。
末端に炭素‐水素結合を有し且つフッ素を含有したアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位(a2)を構成する単量体としては、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1,1,2,2-テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6-ドデカフルオロヘプチル(メタ)アクリレート、等が挙げられ、これらを単独あるいは2種以上併用することが好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位(a2)が含有するアルキル基の末端炭素が全てフッ素と結合していると、熱可塑性樹脂(B)との相溶性が不十分なものとなり、透明性を損なう。末端に炭素−水素結合を有することで、熱可塑性樹脂(B)との相溶性が向上し、良好な透明性を発現する。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位(a2)の含有量は、0.5〜99.5質量%である。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位(a2)の含有量が、0.5質量%未満であると、共重合体(A)と、熱可塑性樹脂(B)との相溶性が不十分となる。従って、熱可塑性樹脂(B)に共重合体(A)を配合した熱可塑性樹脂組成物(C)を成形して得られた成形品が、層状剥離を引き起こし、外観や機械強度を損なう場合がある。
また、(メタ)アクリル酸エステル単量体(a2)の含有量が、99.5質量%を越えると、共重合体(A)と熱可塑性樹脂(B)との相溶性が過度となる。従って、熱可塑性樹脂(B)に共重合体(A)を配合した熱可塑性樹脂組成物(C)を溶融し成形加工する際に、著しく溶融流動性(成形加工性)を向上させる相分離挙動が起きにくい場合がある。
以上のバランスを考えると、該(メタ)アクリル酸エステル単量体(a2)の含有量は、90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、70質量%以下が更に好ましく、60質量%以下が特に好ましい。また、該含有量は10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であると更に好ましく、40質量%以上であると特に好ましい。
(他の単量体単位)
本発明の流動性改質剤になりうる共重合体(A)は、溶融流動性を損なわない範囲において、必要に応じて、芳香族ビニル単量体単位(a1)や、末端に炭素‐水素結合を有し且つフッ素を含有したアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位(a2)と共重合が可能な他の単量体に由来する他の単量体単位を0〜40質量%の範囲内で含んでも良い。
他の単量体単位を構成する単量体は、α,β−不飽和単量体であり、具体的にはメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の反応性官能基を有する(メタ)アクリレート、安息香酸ビニル、酢酸ビニル、無水マレイン酸等の共重合可能な成分の1種または2種以上を用いることが可能である。
重合体(A)における他の単量体単位の含有量は0〜40質量%の範囲内であると好ましい。該単量体単位の含有量が40質量%を超えると、熱可塑性樹脂(B)に共重合体(A)を配合した熱可塑性樹脂組成物(C)の溶融流動性、透明性等が低下する傾向にある。
共重合体(A)中の他の単量体単位の含有量は、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、10質量%以下が更に好ましく、5質量%以下が最も好ましい。
(重合方法)
本発明の共重合体(A)を得るための重合方法としては、乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法、塊状重合法等が挙げられるが、回収方法が容易である点で懸濁重合法、乳化重合法が好ましい。ただし乳化重合法の場合は、熱可塑性樹脂中に残存塩がアクリル樹脂に熱分解を引き起こす恐れがあるため、カルボン酸塩乳化剤等を使用し、酸析凝固等により共重合体を回収することが好ましい。
上記重合法により得られた、共重合体(A)は、特にポリメチルメタクリレートに代表されるアクリル樹脂との相溶性に優れる。従って、これらの混合した熱可塑性樹脂組成物から得られる成形品の透明性は良好である。
特に、共重合体(A)を、優れた流動性を発現する上記芳香族ビニル単量体単位(a1)と、優れた相溶性(耐剥離性)を発現する上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位(a2)との二成分系とし、更にこれらの含有量を、後述する好ましい特定範囲内とすることで、アクリル樹脂との優れた相溶性を示し、極めて高度な透明性を発現させることが可能となる。
上記二成分系の含有量の好ましい特定範囲とは、共重合体(A)中における該芳香族ビニル単量体単位(a1)の含有量を40〜60質量%とし、該(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位(a2)の含有量を40〜60質量%(両者の合計量が100質量%)とした範囲である。
また、共重合体(A)の質量平均分子量(Mw)は、5000〜200000であることが好ましい。
共重合体(A)の質量平均分子量(Mw)が5000未満であると、相対的に低分子量の物質が多くなるため、本発明の熱可塑性樹脂組成物(C)の耐熱性や機械強度の種々の特性を低下させる可能性がある。また、熱可塑性樹脂組成物(C)を溶融させ、成形品とする際、発煙、ミスト、機械汚れ、フィッシュアイやシルバー等の成形品の外観不良発生しやすくなる傾向にある。
一方、共重合体(A)の質量平均分子量(Mw)が200000を越えると、共重合体(A)を配合した熱可塑性樹脂組成物(C)の溶融粘度が高くなり、流動性改質効果が低下する傾向にある。
著しい溶融流動性の向上が必要な場合は、質量平均分子量(Mw)を150000以下とすることが好ましく、120000以下であるとより好ましく、80000以下であると更に好ましく、50000以下であると特に好ましい。
〔熱可塑性樹脂(B)〕
本発明において用いる熱可塑性樹脂(B)は特に限定されるものではないが、アクリル樹脂を使用することが好ましい。
本発明でいうアクリル樹脂とは、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等のメタクリル酸アルキルエステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸アルキルエステルや、(メタ)アクリル酸等のアクリル系モノマーに由来する単量体単位を50〜100質量%と、その他の単量体単位を0〜50質量%とを含有する樹脂をいう。
アクリル系モノマーに由来する単量体単位の含有量は、好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上のものが好ましい。
また、高度に耐熱性に優れ、溶融流動性が必要とされる耐熱アクリル系樹脂なども本発明におけるアクリル樹脂として例示することができる。
上記熱可塑性樹脂(B)の分子量は、所望に応じて適宜決定すればよく、本発明において特に制限はない。ただし、熱可塑性樹脂(B)がポリメチルメタクリレートの場合、質量平均分子量(Mw)は50000〜200000であると好ましく、80000〜150000であると更に好ましい。Mwを50000以上とすることで、得られる成形品の強度が向上し、Mwを200000以下とすることで、成形時の流動性が向上し、良好な成形品を得ることができる。
熱可塑性樹脂(B)は、従来から知られている、各種の方法で製造することができる。例えば、ポリメチルメタクリレートを製造する場合には、メタクリル酸メチルと各種(メタ)アクリル酸エステルを原料として懸濁重合によって重合させる方法や、予備重合したシラップを連続塊状重合させる方法が挙げられる。
また、熱可塑性樹脂(B)には、アクリル樹脂の優れた透明性、耐熱性、及び機械強度等を損なわない範囲、具体的にはアクリル樹脂100質量部に対して50質量部以下の範囲で、ポリカーボネート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エラストマー等のアクリル樹脂以外の熱可塑性樹脂を配合したポリマーアロイを使用することも可能である。
〔熱可塑性組成物(C)〕
本発明の熱可塑性組成物(C)は熱可塑性樹脂(B)と、共重合体(A)とを含有する。
熱可塑性組成物(C)における、共重合体(A)と、熱可塑性樹脂(B)との配合割合は、所望の物性等に応じて適宜決定すればよいが、熱可塑性樹脂100質量部に対して、共重合体(A)を0.1〜25質量部配合することが好ましい。共重合体(A)が前記範囲で配合されると、特に熱可塑性樹脂(B)として、アクリル樹脂を使用した場合、耐熱性、透明性、及び機械強度等を低下させることなく有効な溶融流動性を得ることができる。共重合体(A)の配合量が0.1質量部以上とすることで、有効な溶融流動性を得ることができ、25質量部以下とすることで、機械強度の高い製品を得ることができる。
更に、共重合体(A)の配合量の下限値は、5質量部以上であると好ましく、7.5質量部以上であると更に好ましく、10質量部以上であると特に好ましい。一方、共重合体(A)の配合量の上限値は、20質量部以下であると好ましく、15質量部以下であると特に好ましい。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物(C)には、必要に応じて、公知の安定剤、強化剤、無機フィラー、耐衝撃性改質剤、難燃剤、フルオロオレフィン等の添加剤を配合してもよい。
例えば、熱可塑性樹脂組成物(C)による成形品の機械強度、剛性、さらには難燃性を向上させるために、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウム繊維などを含有させることができる。さらに、耐薬品性などの改良のためにポリエチレンテレフタレートなどの他のエンジニアリングプラスチック組成物、耐衝撃性を向上させるためのコアシェル2層構造からなるゴム状弾性体等を配合してもよい。
熱可塑性樹脂組成物(C)を得るにあたって、共重合体(A)と熱可塑性樹脂(B)との配合は、粉体で混合されたものでよく、また共重合体(A)と熱可塑性樹脂(B)とを加熱混練して得られたものであってもよい。
配合方法としては、例えば、ヘンシェルミキサ、バンバリーミキサ、単軸スクリュウ押出機、二軸スクリュウ押出機、2本ロール、ニーダ、ブラベンダ等を使用する方法が挙げられる。
また、予め共重合体(A)の比率が大きくなるように、共重合体(A)と熱可塑性樹脂(B)とを混合したマスターバッチを調製し、その後マスターバッチと熱可塑性樹脂(B)とを再度混合し、所望の組成物を得ることもできる。
〔成形品〕
本発明の成形品は、上述した熱可塑性樹脂組成物(C)を射出成形することにより得られることが好ましい。
本発明の成形品の具体的な例としては、車輌用ランプレンズ、導光板、光ファイバーなどの光学製品、OA機器、家電製品などの電気部品、一般雑貨等が挙げられる。
以上説明したように、本発明の共重合体(A)をアクリル樹脂等の熱可塑性樹脂(B)と共に用いた場合、共重合体(A)が、熱可塑性樹脂(B)と溶融成形時に相分離挙動を起こすことにより、良好な溶融流動性を発現する。一方、共重合体(A)と熱可塑性樹脂(B)は、成形品の使用温度領域では良好な相溶性(耐剥離性)を有しており、アクリル樹脂が本来有する、透明性、耐熱性、及び機械強度等の優れた特性を損なうことなく、従来にない良好な溶融流動性(成形加工性)を発現する。
従って、アクリル樹脂等の熱可塑性樹脂(B)と本発明の共重合体(A)と含有した熱可塑性組成成物(C)から得られる成形品は、アクリル樹脂が本来有する、透明性、耐熱性、及び機械強度等の優れた特性を有している。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、以下の記載において、「部」および「%」は特に断らない限り「質量部」および「質量%」を意味する。
〔共重合体の製造〕
〔実施例1〕共重合体(A−1)
冷却管および攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、フォスファノールRS610Na(東邦化学工業(株)製)1.0部、蒸留水290部を仕込み、窒素雰囲気下に水浴中で60℃まで加熱した。次いで、硫酸第一鉄0.0001部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.0003部、ロンガリット0.3部を蒸留水10部に溶かして該セパラブルフラスコに加えた。
更に、スチレン50部、2,2,3,3-テトラフルオロプロピルメタクリレート50部、t−ブチルヒドロパーオキサイド0.2部、n−オクチルメルカプタン0.5部の混合物を該セパラブルフラスコ中に180分かけて滴下し、その後60分間攪拌し、重合を終了し重合体エマルションを得た。
次いで、酢酸カルシウムを0.7%の割合で溶解した水溶液600部を70℃に加温し攪拌した。この中に得られた重合体エマルションを徐々に滴下して凝固を行った。析出物を分離洗浄後、75℃で24時間乾燥し、共重合体(A−1)を得た。
共重合体(A−1)の質量平均分子量(Mw)は、44000であった。
〔実施例2〕共重合体(A−2)
スチレンの量を50部から40部に、2,2,3,3-テトラフルオロプロピルメタクリレートの量を50部から60部に変更する以外は製造例1と同様の方法により共重合体(A−2)を得た。
共重合体(A−2)の質量平均分子量(Mw)は、42000であった。
〔実施例3〕共重合体(A−3)
スチレンの量を50部から60部に、2,2,3,3-テトラフルオロプロピルメタクリレートの量を50部から40部に変更する以外は製造例1と同様の方法により共重合体(A−3)を得た。
共重合体(A−3)の質量平均分子量(Mw)は、43500であった。
〔実施例4〕共重合体(A−4)の製造
2,2,3,3-テトラフルオロプロピルメタクリレートを2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチルメタクリレートに変更する以外は製造例1と同様の方法により共重合体(A−4)を得た。
共重合体(A−4)の質量平均分子量(Mw)は、41000であった。
〔実施例5〕共重合体(A−5)
n−オクチルメルカプタンの量を0.5部から0.25部に変更する以外は製造例1と同様の方法により共重合体(A−5)を得た。
共重合体(A−5)の質量平均分子量(Mw)は、82500であった。
〔実施例6〕共重合体(A−6)の製造
n−オクチルメルカプタンの量を0.5部から1.0部に変更する以外は製造例1と同様の方法により共重合体(A−6)を得た。
共重合体(A−6)の質量平均分子量(Mw)は、26000であった。
〔比較例1〕共重合体(A−7)の製造
2,2,3,3-テトラフルオロプロピルメタクリレートをトリフルオロエチルメタクリレートに変更する以外は製造例1と同様の方法により共重合体(A−7)を得た。
共重合体(A−6)の質量平均分子量(Mw)は、42500であった。
〔比較例2〕共重合体(A−8)の製造
冷却管および攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、メタクリル酸カリウムおよびメタクリル酸からなる分散安定剤を0.3部、蒸留水150部を仕込み、次いでメチルメタクリレート98.5部、メチルアクリレート1.5部、AIBN0(アゾビスイソブチロニトリル)1部、n−オクチルメルカプタン0.8部を溶解した混合物を加え、しばらく攪拌後、窒素バブリングを30分実施した。窒素雰囲気下、80℃で2時間攪拌し、さらに90℃で1時間攪拌を行い、重合を終了した。沈殿物を分離洗浄後、75℃で24時間乾燥し共重合体(A−8)を得た。
共重合体(A−8)の質量平均分子量(Mw)は、37000であった。
実施例1〜6および比較例1,2で製造した共重合体の単量体組成、得られた共重合体の質量平均分子量(Mw)、重合様式を表1に示した。
Figure 0005385518
表中の略号は以下の通りである。
St:スチレン
3FMA:トリフルオロエチルメタクリレート
4FMA:2,2,3,3-テトラフルオロプロピルメタクリレート
8FMA:2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチルメタクリレート
MMA:メチルメタクリレート
MA:メチルアクリレート
AIBN:アゾビスイソブチロニトリル
〔アクリル樹脂組成物の製造〕
〔実施例7〜14、比較例3〜6〕
実施例1〜6及び比較例3〜6で得られた共重合体およびアクリル樹脂を表2に示す質量比で混合し、単軸押出機(機種名「30mm単軸押出機」、サーモ・プラスティックス工業製)に供給し、250℃で溶融混練し、アクリル樹脂組成物を得た。
得られたアクリル樹脂組成物について、以下の(1)〜(6)の方法で評価を行った。その結果を表2に示す。
〔性能評価方法〕
(1)溶融流動性
得られたアクリル樹脂組成物のスパイラルフロー長さSFLを射出成形機(「IS−100」、東芝機械(株)製)を用いて評価した。なお、成形温度は250℃、金型温度は60℃、射出圧力は98MPaとした。また、成形品の肉厚は2mm、幅は15mmとした。
(2)表層剥離性(耐剥離性)
成形品の突き出しピン跡にカッターで切り込みを入れ、剥理状態を目視観察した。その結果の評価基準は以下の通りである。
○:剥離なく良好
×:表層剥離が見られる
(3)透明性
得られたアクリル樹脂組成物を用い、射出成形機(「IS−100」、東芝機械(株)製)により、厚さ3mm、5cm角の平板の成形品を成形した。
成形品の全光線透過率、ヘイズをISO13468−1に準拠して23℃と100℃で測定した。
(4)荷重たわみ温度(耐熱性)
得られたアクリル樹脂組成物を用い、射出成形機(「IS−100」、東芝機械(株)製)により、肉厚4mmの成形品を成形した。成形品の荷重たわみ温度をISO75に準拠して測定した。アニールは80℃で12時間行った。荷重は1.80MPaとした。
(5)機械強度
得られたアクリル樹脂組成物を用い、射出成形機(「IS−100」、東芝機械(株)製)により、厚さ4mmの1A形ダンベル試験片を得た。試験片を23℃相対湿度50%で調温調湿後、引張試験をISO527−2に準拠して、試験片の引張破断強度を測定した。
(6)表面硬度
得られたアクリル樹脂組成物を用い、射出成形機(「IS−100」、東芝機械(株)製)により、厚さ3mm、5cm角の平板の成形品を成形した。
試験片を23℃相対湿度50%で調温調湿後、ロックウェル表面硬度をISO2039−2に準拠してMスケールにて測定した。
Figure 0005385518
表中の略号は以下の通りである。
PMMA:アクリル樹脂(「アクリペットVH3」、三菱レイヨン株式会社製、質量平均分子量(Mw)10万)
表2の結果から明らかなように、実施例7〜14で得られたアクリル樹脂組成物は、強度、耐熱性、透明性を損なうことなく流動性の著しい向上が見られ、物性バランスに非常に優れていた。
一方、比較例3で得られたアクリル樹脂は、流動性改質剤を含有していないため、充分な流動性が得られなかった。
また、比較例4、5で得られたアクリル樹脂組成物は、流動性改質剤が芳香族ビニル化合物を含んでおらず、かつアクリル樹脂との相溶性が良すぎるため、充分な流動性が得られなかった。また、配合割合の増大に伴う機械強度の低下が見られた。
また、比較例6で得られたアクリル樹脂組成物は、流動性改質剤を形成する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位が、末端に炭素‐水素結合を有し且つフッ素を含有したアルキル基を有しておらず、良好な透明性が得られなかった。
本発明で得られた共重合体は、熱可塑性樹脂に少量配合することにより、透明性、耐熱性、及び機械強度等を損なうことなく、著しい溶融流動性(成形加工性)改良効果を得ることが可能である。
本流動性改質剤を含む熱可塑性樹脂組成物は、各種物性に優れかつ溶融流動性(成形加工性)が良好であることから、より複雑な形状、大型、薄型等の任意の形状の成形品を容易、かつ安定に成形することができ、OA(オフィスオートメーション)機器、情報・通信機器、電気・電子機器、家庭電化機器、自動車部材、建築部材として工業的に極めて有用である。

Claims (3)

  1. 少なくとも、芳香族ビニル単量体単位(a1)40〜60質量%と、
    2,2,3,3-テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1,1,2,2-テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6-ドデカフルオロヘプチル(メタ)アクリレートから選択された少なくとも一種の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位(a2)60〜40質量%とを含有する共重合体(A)からなる流動性改質剤
  2. 少なくとも、芳香族ビニル単量体単位(a1)40〜60質量%と、
    2,2,3,3-テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1,1,2,2-テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6-ドデカフルオロヘプチル(メタ)アクリレートから選択された少なくとも一種の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位(a2)60〜40質量%とを含有する共重合体(A)と、
    アクリル樹脂(B)とを含有する、熱可塑性樹脂組成物(C)。
  3. 請求項記載の熱可塑性樹脂組成物(C)を射出成形することにより得られた成形品。
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