JP5384090B2 - 滑り止め手袋及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は滑り止め手袋に関し、更に詳しくは、特に、水や油等を使用する状況下においても優れた滑り止め効果を発揮する手袋及びその製造方法に関する。
一般に、ゴムや熱可塑性樹脂(以下、単に樹脂と記す場合がある)で被覆された手袋は、乾いた状況下では優れた滑り止め効果が得られるものの、水や油等を使用する状況下においては、ゴムや樹脂の皮膜と作業対象物(把持される対象物)との界面に水や油等の薄層が形成され、滑り止め効果が著しく低下する。とりわけ、油を使用する状況下では滑り止め効果の低下が顕著である。
この問題を解決する方法として、ゴムや樹脂を機械的に、あるいは化学的に発泡させたり、予めゴムや樹脂を含む手袋浸漬用原料に無機塩や親水性溶剤等の親水性物質を配合しておき、手袋成形時にこの親水性物質を抽出・除去することにより物理的に皮膜に多孔質構造を形成させる方法などが提案されているが、多孔質構造が油等で飽和し埋まってしまうと滑り止め効果が低下するなどの問題がある。
近年、手袋の表面に、指の関節に沿ってほぼ平行となる凸状を横縞模様状に現出させ、ゴムや樹脂の原料液で被覆した作業用手袋が提案され(例えば、特許文献1参照)、また主糸(タテ糸)に対して添糸(ヨコ糸)が表面側にのみ出るようにプレーティング編みした手袋の表面をコーティング材によりコーティングした作業用手袋が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2000−45114号公報(図1、図8) WO00/65941号公報(FIG.1、FIG.2、FIG.4、FIG.10、FIG.11)
上記特許文献1、2で提案されている手袋は、いずれも指関節に対して平行となる凸状を横縞模様状に現出させた原手の表面をゴムや樹脂で被覆したものである。
しかしながら、これらの手袋は、着用した際に手にフィットしてよく馴染み、屈伸し易いという特徴を有するものの、水や油等が手袋表面に付着た場合の滑り止め効果は十分とは言い難い。
本発明の滑り止め手袋は、上記課題を解決するためになされたもので、下記を特徴とするものである。
(1)平編表目と平編裏目とからなる原手の該平編表目であって指先部分と裾部分とを連通する凸状部からなる縦縞模様の表面がゴム又は熱可塑性樹脂の多孔質皮膜層で被覆され、該多孔質皮膜層の内部に、前記平編表目の凸状部と前記平編裏目とにより形成される凹状部に沿ってゴム又は熱可塑性樹脂の多孔質皮膜層で囲まれた空洞部が形成されている。
(2)多孔質皮膜層の表層部が実質的に平坦である。
(3)多孔質皮膜層の表層部厚みが1〜300μmである。
(4)熱可塑性樹脂がポリウレタン樹脂である。
また、本発明の滑り止め手袋の製造方法は下記を特徴とするものである。
(1)平編表目と平編裏目とからなる原手の該平編表目であって指先部分と裾部分とを連通する凸状部からなる縦縞模様の表面に、ゴム又は熱可塑性樹脂の多孔質皮膜層を形成させる。
(2)熱可塑性樹脂の多孔質皮膜層が、親水性溶媒中に溶解した濃度7〜12重量%の熱可塑性樹脂溶液から形成される。
(3)熱可塑性樹脂溶液の粘度が100〜800mPa/secである。
(4)熱可塑性樹脂がポリウレタン樹脂である。
本発明の滑り止め手袋は、手袋の表面側(作業対象物を把持する側)に、指先部分と裾部分とを連通する、多孔質皮膜層に囲まれた空洞部、即ち、部分的に連続したトンネル構造を有するため、水や油の吸収性が大きく、多孔質皮膜層の表層部と作業対象物との界面に水や油の薄層の形成が防止され、優れた滑り止め効果を発揮する。
また、トンネル構造となっている空洞部は、水や油の十分な吸収能を有し、たとえ空洞部が水や油で吸収飽和したとしても、この空洞部は多孔質皮膜層で囲まれて形成されているため、水や油を空洞外へ容易に排出することができるので、優れた滑り止め効果を持続することが可能である。
更に、手袋の表面側(作業対象物を把持する側)が多孔質皮膜層(表層部)からなるため、水や油の吸収性が高められるばかりでなく、作業対象物との接触面積が大きくなり、滑り止め効果の向上が図られる。
更にまた、指先部分と裾部分とを連通する凸状部からなる縦縞模様の表面に多孔質皮膜層が形成されているため、作業対象物を把持した際に、作業対象物が滑る方向に対し該凸状部が略垂直方向に押圧作用することになり、その結果、作業対象物に対する摩擦抵抗が高められ、顕著な滑り止め効果が発揮される。
本発明は、平編表目と平編裏目とからなる原手の該平編表目であって指先部分と裾部分とを連通する凸状部からなる縦縞模様の表面がゴム又は熱可塑性樹脂の多孔質皮膜層で被覆され、該多孔質皮膜層の内部に、前記平編表目の凸状部と前記平編裏目とにより形成される凹状部に沿って空洞部が形成されていることを特徴とする。
即ち、図1は、本発明に用いられる原手の概略図、図2は、原手の表面がゴム又は樹脂の多孔質皮膜層で被覆された本発明の滑り止め手袋の水平方向の要部概略断面図であるが、これらの図に示すように、平編表目2と平編裏目3とからなる原手1の該平編表目2で指先部分Yと裾部分Sとを連通する凸状部5からなる縦縞模様の表面が多孔質皮膜層4で被覆されており、該多孔質皮膜層4の内部には、前記平編表目2の凸状部5と平編裏目3とにより形成される凹状部6に沿って空洞部7が形成されていることを特徴とする。
尚、本発明において、平編表目とは、編み上げられた手袋の外表面を、そのまま手袋の表面側とすることを意味する。
本発明において、繊維基材からなる手袋である原手を構成する糸は、その種類を問わずいずれの繊維も用いることが可能であるが、装着感などの面から綿、ナイロン、弾性ポリウレタン、ポリエステル、レーヨン、アクリル、ポリプロピレン等が好ましく、機能面からは高強度繊維であるポリアラミド、延伸ポリエチレン等の合成繊維が好ましい。また、これらの混紡繊維から形成されるものであってもよく、また、金属細線やグラスファイバーを含んでいてもよい。
このような原手としては、捲縮処理したウーリーナイロン繊維をシームレス編みして形成される伸縮性に優れた編み手袋が好ましい。原手は、手袋編機にて編成され、編みゲージについてはいずれのゲージも用いることができるが、装着感・使用感の面から10〜18ゲージとすることが好ましい。
原手は、手袋編機(例えば、株式会社島精機製作所製N−SFG)にて編成され、平編表目を外表面として、そのまま浸漬加工用手型に被せられた後、ゴムまたは樹脂を原手内部に含浸付着させて、多孔質構造を形成することで本発明の滑り止め手袋が得られる。
多孔質皮膜層の形成に使用される素材はゴム又は熱可塑性樹脂が用いられ、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリウレタン樹脂、塩化ビニリデン樹脂、シリコーン樹脂、ブチルゴム、ポリブタジエンゴム、フッ素ゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、あるいはこれらをブレンドしたものなどが挙げられる。
通常、これらのゴムまたは樹脂は溶剤に溶解した状態あるいは水に分散した状態で使用され、酸化防止剤、顔料、安定剤、レべリング剤等の添加の有無、また、加硫工程や架橋工程については従来公知と同様の工程条件で差し支えない。
上記素材の中で、多孔質構造の形成のしやすさからポリウレタン樹脂が好ましい。ポリウレタン樹脂の形態は特に制限されず、有機溶剤に溶解されたポリウレタン樹脂、W/Oエマルジョン型ポリウレタン樹脂、水分散型ポリウレタンエマルジョンなどが挙げられるが、その中でも好ましくは有機溶剤に溶解されたポリウレタン樹脂溶液である。
特に、ポリウレタン樹脂溶液が親水性有機溶剤を主体とする溶媒に溶解されたウレタン樹脂溶液は、湿式製法により皮膜を形成することにより、連泡した多孔質皮膜が得られ、高い滑り止め効果を付与することができるので好ましい。
ここで、湿式製法とは、浸漬用手型に原手を装着し、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミドなどの親水性溶媒を主体とする溶媒に溶解されたポリウレタン樹脂溶液に、この手型に装着された原手をゆっくりと浸漬し、ポリウレタン樹脂溶液を原手中に含浸付着させた後、次いで再びゆっくりと手型を引き上げ、滴下する余分な樹脂溶液を除去し、手型を水もしくは温水に浸漬して溶媒である親水性溶媒を抽出・除去する方法である。
この製法は、親水性溶媒が水中に抽出されることで、それまで溶媒和していたポリウレタン樹脂をゲル化し析出することができる。また、原手に対しては、当該ポリウレタン樹脂溶液を含浸させた後に、同様に親水性溶媒を水中に抽出することによって連泡した多孔質皮膜を形成することができる。
湿式製法の場合、得られる多孔質皮膜層は溶媒の種類、ポリウレタン樹脂溶液の樹脂濃度や樹脂粘度による原手に含浸する樹脂量、さらには凝固槽の水温などにより多孔質構造の形状が変化する。
樹脂溶液の粘度は通常、樹脂溶液の樹脂濃度に比例し、樹脂濃度が高過ぎる場合には、原手への樹脂の付着量が多くなり、得られる多孔質皮膜層中に占める樹脂分が多くなることから密度が大きく空隙の少ない多孔質皮膜層となる。この場合には、水や油の吸収のための表層部の表面積が小さくなり、多孔質皮膜層の利点は失われ十分な滑り止め効果は得られない。反対に、樹脂濃度が低過ぎる場合には、原手への樹脂の付着量が極めて少なくなり、得られる多孔質皮膜層中に占める樹脂分が少なくなることから密度が小さく空隙の多い多孔質皮膜層となる。このように空隙の多い多孔質皮膜層の場合は実用強度に乏しい。また、原手に対しても十分に樹脂が含浸されず、部分的に樹脂の付着していない原手繊維が手袋表面に出ることにより滑り止め効果が低下する場合がある。
上記の理由から、樹脂溶液の粘度は100〜800mPa/secであることが好ましく、樹脂濃度は7 〜12重量%であることが好ましい。
原手中にゴムや樹脂溶液を含浸付着させた後、余分なゴムや樹脂溶液を除去するが、除去の量が少ないと、上記した如く、多孔質皮膜層中に占める樹脂分が多くなるケースと同様の問題が生じ、また除去の量が多いと、多孔質皮膜層中に占める樹脂分が少なくなるケースと同様の問題が生じるので注意を要する。
また、本発明において、多孔質皮膜層を形成する方法は、上記湿式製法に限られず、機械的又は化学的に発泡させる方法も使用可能である。
本発明においては、ゴムまたは樹脂の多孔質皮膜層からなる滑り止め層は、少なくとも原手の一部に形成されていればよく、形成箇所は特に限定されるものではない。例えば、原手の外表面全体や指先部分のみ、または、背抜き状態となるように手の平部分にのみ浸透皮膜を形成することができる。
上記の如くして得られる本発明の滑り止め手袋は、図1、図2に示したように、原手1の平編表目2であって指先部分Yと裾部分Sとを連通する凸状部5が列設された縦縞模様の表面がゴム又は樹脂の多孔質皮膜層4で被覆されており、その多孔質皮膜層4の内部には、隣接する前記凸状部と原手1の平編裏目3とにより形成される凹状部6に沿って空洞部7が形成される。
空洞部7は、手袋の指先部分Yと裾部分Sとを連通し、通常、部分的に連続したトンネル構造を形成している。即ち、空洞部7からなるトンネル構造は、多孔質皮膜層4により囲まれ、更に詳しくは、図2に示すように、多孔質皮膜層の表層部4aと、平編表目2の凸状部5と平編裏目3とにより形成される凹状部6に沿って形成される多孔質皮膜層の内層部4bとにより形成されている。
多孔質皮膜層の表層部4aは特に重要であり、実質的に平坦であることが望ましい。実質的に平坦とは、作業対象物を把持した際に、表層部4aと作業対象物との接触面積が大きく、十分な摩擦抵抗が得られ、十分な滑り止め効果が得られることを意味する。従って、表層部4aが実質的に平坦でない場合は、作業対象物を把持した際に、接触面積が小さいために十分な摩擦抵抗が得られず、目的とする滑り止め効果を十分に得ることができない。それゆえ、実質的に平坦とは、作業対象物を把持した際の表層部4aの接触面積が概ね70%以上、好ましくは80%以上であることが望ましい。
また、多孔質皮膜層の表層部4aの厚みは1〜300μm程度が好ましく、より好ましくは10〜200μm程度である。この表層部4aの厚みが1μmより小さいと実用強度に欠け耐久性に問題が生じる傾向にあり、300μmを超えると、手袋が柔軟性に欠け硬くなり、作業性が低下する傾向にある。
本発明の滑り止め手袋は、手袋の表面側(作業対象物を把持する側)に、指先部分Yと裾部分Sとを連通する、多孔質皮膜層に囲まれた空洞部7、即ち、部分的に連続したトンネル構造を有するため、水や油の吸収率が大きく、多孔質皮膜層4の表層部4aと作業対象物との界面に水や油の薄層の形成が防止される。
また、トンネル構造となっている空洞部7は、水や油の十分な吸収能を有し、たとえ空洞部7が水や油で吸収飽和したとしても、この空洞部7は多孔質皮膜層4で囲まれて形成されているため、水や油を空洞部7の外へ容易に排出することができるので、優れた滑り止め効果を持続することが可能である。
更に、手袋の表面側(作業対象物を把持する側)が多孔質皮膜層(表層部4a)からなるため、水や油の吸収率が高められるばかりでなく、作業対象物との接触面積が大きくなり、滑り止め効果の向上が図られる。この効果は、手袋の表面側(表層部4a)を実質的に平坦とすることにより一層高められる。
更にまた、指先部分Yと裾部分Sとを連通する凸状部5からなる縦縞模様の表面に多孔質皮膜層4が形成されているため、作業対象物を把持した際に、作業対象物が滑る方向に対し該凸状部5が略垂直方向に押圧作用することになり、その結果、作業対象物に対する摩擦抵抗が高められ、顕著な滑り止め効果が発揮される。
以下、本発明を実施例を挙げて更に詳細に説明するが、これらは本発明を何ら限定するものではない。
以下の実施例、比較例において、多孔質皮膜層の表面層の厚みの測定、吸油性及び滑り止めの評価は下記の方法で行った。
(多孔質皮膜層の表面層の厚みの測定方法)
電子顕微鏡として日本電子株式会社製JSM−6060LAを用い、多孔質皮膜層で被覆された手袋の指先部分Yから裾部分Sの方向に3cmの位置で、Y−S方向に対して垂直に切断したときの断面の拡大写真(200倍と500倍)を撮影し、多孔質皮膜層の表面層の厚みを実測した。
(吸油性評価方法)
JIS L1907滴下法を参考にし、手袋より20mm×20mmの正方形に切り取られた試験片を用意し、試験片の10mm上方より、油滴(エマルカットFA−500KS 協同油脂株式会社製)を1滴(約25mg)滴下する。そして、23℃下で油滴が完全に多孔質皮膜層の内部に吸収されるまでの時間を測定した。ここで、油滴が完全に皮膜層内部に吸収される時間とは、「油滴が表面に達したときから、その油滴が特別な反射をしなくなるまでの時間」である。
油滴が完全に皮膜層内部に吸収されるまでの時間が短いほど、油の吸収性に優れることを示し、時間が長いほど油の吸収性に劣ることを示す。
(滑り止め評価方法)
水溶性切削油「エマルカットFA-500KS」(協同油脂株式会社)を20ml計量し、10人の被験者に装着された手袋にとり、左右の手袋で掌部分、指部分などまんべんなくこすり合わせて馴染ませる。
直径4cm 、長さ20cmのステンレス棒を用意し、上記油を馴染ませた手袋で握った時と、指先でつまんだ時の滑り止め効果を下記の基準で5段階評価し、5人の被験者の評価の平均値を表に示す。
5 滑らない。
4 滑りにくい(時折、滑る時がある)。
3 滑り易い。
2 滑る。
1 非常に滑る。
配合例1
湿式加工用ポリウレタン樹脂「クリスボンMP−812(DIC株式会社製)」をジメチルホルムアミドに溶解して樹脂濃度が5重量%で粘度が30mPa/secのポリウレタン樹脂溶液を作製した。
配合例2
湿式加工用ポリウレタン樹脂「クリスボンMP−812(DIC株式会社製)」をジメチルホルムアミドに溶解して樹脂濃度が7重量%で粘度が110mPa/secのポリウレタン樹脂溶液を作製した。
配合例3
湿式加工用ポリウレタン樹脂「クリスボンMP−812(DIC株式会社製)」をジメチルホルムアミドに溶解して樹脂濃度が10重量%で粘度が200mPa/secのポリウレタン樹脂溶液を作製した。
配合例4
湿式加工用ポリウレタン樹脂「クリスボンMP−812(DIC株式会社製)」をジメチルホルムアミドに溶解して樹脂濃度が12重量%で粘度が410mPa/secのポリウレタン樹脂溶液を作製した。
配合例5
湿式加工用ポリウレタン樹脂「クリスボンMP−812(DIC株式会社製)」をジメチルホルムアミドに溶解して樹脂濃度が13重量%で粘度が960mPa/secのポリウレタン樹脂溶液を作製した。
実施例1
ウーリーナイロン糸にて編成された13ゲージのシームレス編手袋を原手として、この原手を平編表目にて浸漬用手型に被せ、上記の配合例2で得られた原料溶液にゆっくりと浸漬し、背抜き状態となるようにポリウレタン樹脂溶液を原手中に含浸付着させた後、ゆっくりと手型を引き上げ、滴下する余分な樹脂溶液を除去した。次いで、これを50℃の温水中に60分間浸漬し、水溶性有機溶媒を水中へ抽出することによってポリウレタンの多孔質皮膜層を形成させた。その後、温水中から手型を取り出し、100 ℃〜140 ℃で30分間乾燥させた。乾燥終了後に放冷したのち、手型から手袋を脱型して滑り止め手袋を得た。得られた滑り止め手袋の電子顕微鏡による拡大写真(45倍)を図3に示す。
実施例2
配合例2で得られた原料溶液の代わりに配合例3で得られた原料溶液を使用したこと以外は、全て実施例1と同様の方法で滑り止め手袋を得た。得られた滑り止め手袋の電子顕微鏡による拡大写真(45倍)を図4に示す。
実施例3
配合例2で得られた原料溶液の代わりに配合例4で得られた原料溶液を使用したこと以外は、全て実施例1と同様の方法で滑り止め手袋を得た。
比較例1
配合例2で得られた原料溶液の代わりに配合例1で得られた原料溶液を使用したこと以外は、全て実施例1と同様の方法で滑り止め手袋を得た。得られた滑り止め手袋の電子顕微鏡による拡大写真(45倍)を図5に示す。
比較例2
配合例2で得られた原料溶液の代わりに配合例5で得られた原料溶液を使用したこと以外は、全て実施例1と同様の方法で滑り止め手袋を得た。得られた滑り止め手袋の電子顕微鏡による拡大写真(45倍)を図6に示す。
比較例3
配合例2で得られた原料溶液の代わりに配合例3で得られた原料溶液を使用し、この原料溶液にゆっくりと浸漬し、背抜き状態となるようにポリウレタン樹脂溶液を原手中に含浸付着させた後、ゆっくりと手型を引き上げ、60秒間、滴下する余分な樹脂溶液を十分に(実施例1の場合に比べ多目に)除去した。
次いで、これを50℃の温水中に60分間浸漬し、水溶性有機溶媒を水中へ抽出することによってポリウレタンの多孔質皮膜層を形成させた。その後、温水中から手型を取り出し、100 ℃〜140 ℃で30分間乾燥させた。乾燥終了後に放冷したのち、手型から手袋を脱型して滑り止め手袋を得た。得られた滑り止め手袋の電子顕微鏡による拡大写真(45倍)を図7に示す。
比較例4
ウーリーナイロン糸にて編成された13ゲージのシームレス編手袋を原手として、平編裏目にて、すなわち、編み上げられた原手の内側表面が、手袋における表面側となるように浸漬用手型に被せ、上記の配合例で得られた原料溶液にゆっくりと浸漬し、背抜き状態となるようにポリウレタン樹脂溶液を原手中に含浸付着させた後、ゆっくりと手型を引き上げ、滴下する余分な樹脂溶液を除去した。次いで、これを50℃の温水中に60分間浸漬し、水溶性有機溶媒を水中へ抽出することによってポリウレタンの多孔質皮膜層を形成させた。その後、温水中から手型を取り出し、100 ℃〜140 ℃で30分間乾燥させた。乾燥終了後に放冷したのち、手型から手袋を脱型して滑り止め手袋を得た。得られた滑り止め手袋の電子顕微鏡による拡大写真(45倍)を図8に示す。
上記実施例1〜3及び比較例1〜4で得られた滑り止め手袋の測定、評価の結果を表1に示す。
表1の結果と図3〜図8とから、実施例1〜3の滑り止め手袋は、指先部分と裾部分とを連通する凸状部からなる縦縞模様の表面が樹脂の多孔質皮膜層で被覆され、該多孔質皮膜層の内部には空洞部(トンネル構造)が形成され、また、滑り止め層である多孔質皮膜層の表層部が実質的に平坦で作業対象物との接触面積が大きく適度な厚みを有するため、吸油性が良好で、優れた滑り止め効果を有している。
尚、実施例1の手袋では表層部の平坦度が若干低いため作業対象物との接触面積が小さく、一方、実施例3の手袋では油を吸収する表層部の表面積が若干小さく、従って、実施例2の手袋が最も優れている。
これに対し、比較例1の滑り止め手袋は、樹脂の溶液濃度が小さいことによって、また、比較例3の滑り止め手袋は、樹脂を十分に除去したために樹脂の付着量が少ないことによって、滑り止め層である多孔質皮膜層の表層部の樹脂密度が小さく空洞が多く存在し、かつ該表層部が平坦でなく油を吸収する表面積が極めて大きくなっているため、吸油性がかなり大きい。しかし、作業対象物との接触面積が小さいため、滑り止め効果が小さい。
また、比較例2の滑り止め手袋は、樹脂の溶液濃度が大きいことによって、滑り止め層である多孔質皮膜層の表層部の樹脂密度が極めて大きく空洞が小さく、かつ油を吸収する表面積が極めて小さくなっているため、吸油性が極端に小さい。また、吸油性が極めて小さいことにより、油のほとんどが滑り止め層(表層部)と対象物の界面に存在することで滑り止め効果が著しく小さい。
また、比較例4の滑り止め手袋は、滑り止め層である多孔質皮膜層の表層部の樹脂密度がある程度大きく、また表面積が小さいために吸油性が小さく、実施例2の 3分の2 程度の吸油性である。また、表層部が実質的に平坦で作業対象物との接触面積が大きいが、吸油性が小さいことにより、油の一部が滑り止め層(表層部)と作業対象物の界面に存在することで滑り止め効果が小さくなっている。また、作業対象物であるステンレス棒の滑る方向に対して凸状部が同じ方向(水平方向)であるため摩擦抵抗が小さく、これも滑り止め効果が小さい一因と考えられる。
以上のとおり、本発明の滑り止め手袋は、手袋の表面側(作業対象物を把持する側)に、指先部分と裾部分とを連通する、多孔質皮膜層に囲まれた空洞部、即ち、部分的に連続したトンネル構造を有するため、水や油の吸収性が大きく、多孔質皮膜層の表層部と作業対象物との界面に水や油の薄層の形成が防止される。従って、水や油等に対して優れた滑り止め効果を有し、特に作業用手袋として有用である。
本発明に用いる原手の概略図である。 本発明の滑り止め手袋の水平方向の要部概略断面図である。 実施例1の滑り止め手袋の電子顕微鏡による拡大写真である。 実施例2の滑り止め手袋の電子顕微鏡による拡大写真である。 比較例1の滑り止め手袋の電子顕微鏡による拡大写真である。 比較例2の滑り止め手袋の電子顕微鏡による拡大写真である。 比較例3の滑り止め手袋の電子顕微鏡による拡大写真である。 比較例4の滑り止め手袋の電子顕微鏡による拡大写真である。
符号の説明
1 原手
2 平編表目
3 平編裏目
4 多孔質皮膜層
4a 表層部
4b 内層部
5 凸状部
6 凹状部
7 空洞部
Y 手袋の指先部分
S 手袋の裾部分

Claims (8)

  1. 平編表目と平編裏目とからなる原手の該平編表目であって指先部分と裾部分とを連通する凸状部からなる縦縞模様の表面がゴム又は熱可塑性樹脂の多孔質皮膜層で被覆され、該多孔質皮膜層の内部に、前記平編表目の凸状部と前記平編裏目とにより形成される凹状部に沿ってゴム又は熱可塑性樹脂の多孔質皮膜層で囲まれた空洞部が形成されていることを特徴とする滑り止め手袋。
  2. 多孔質皮膜層の表層部が実質的に平坦であることを特徴とする請求項1記載の滑り止め手袋。
  3. 多孔質皮膜層の表層部厚みが1〜300μmであることを特徴とする請求項1又は2記載の滑り止め手袋。
  4. 熱可塑性樹脂がポリウレタン樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の滑り止め手袋。
  5. 平編表目と平編裏目とからなる原手の該平編表目であって指先部分と裾部分とを連通する凸状部からなる縦縞模様の表面に、ゴム又は熱可塑性樹脂の多孔質皮膜層を形成させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の滑り止め手袋の製造方法。
  6. 熱可塑性樹脂の多孔質皮膜層が、親水性溶媒中に溶解した濃度7〜12重量%の熱可塑性樹脂溶液から形成されることを特徴とする請求項5記載の滑り止め手袋の製造方法。
  7. 熱可塑性樹脂溶液の粘度が100〜800mPa/secであることを特徴とする請求項5又は6記載の滑り止め手袋の製造方法。
  8. 熱可塑性樹脂がポリウレタン樹脂であることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の滑り止め手袋の製造方法。
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