JP5383581B2 - 樹脂レンズおよび樹脂レンズの成形方法 - Google Patents
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したがって、樹脂レンズの基準面を取付け枠の対応する受面に当接させた際に、樹脂レンズの位置や傾き(光軸方向)等が設定された状態となるように設計されている。
また、樹脂レンズは基本的にその外縁が円状となるが、上記切断部により円の一部が変形した状態となる。
ここで、予め樹脂レンズの外縁、すなわちフランジ部の外縁の前記切断部が発生する部分に半径方向に直交する方向で切断した形状となるように直線部を設けたものが知られている。このフランジ部の直線部は、ゲート部を切断した際に形成されるものではなく、予めフランジ部を成形する金型に設けられた形状により成形されたもので、この直線部に沿ってゲート部を切断する。この際に、前記直線部は、円形の樹脂レンズの外周を半径方向に直交する直線で切断した形状となっているので、樹脂レンズの外周に沿った仮想円よりも内側となっており、ゲート部の切断部が樹脂レンズの外周に沿った仮想円よりも突出しないようにすることが可能となり、ゲート部の切断痕が樹脂レンズの光学装置への取り付けの妨げとなることがない。
したがって、ホルダで成形される基準面と、入子で成形される光学的機能部との間には、金型製造時の誤差や成形に伴なう誤差に、さらに、入子の回転により生じる誤差が加わることになり、基準面に対する光学的機能部の光軸の角度の誤差が大きくなる可能性があり、さらなる高精度の樹脂レンズの開発に対する阻害要因となってしまう。
成形に際して、当該基準面が形成される側の面が、主に光学的機能部を形成する第1金型と、主に前記フランジ部を形成する第2金型とにより成形され、
前記基準面は、前記フランジ部の内周側に形成され、
かつ、前記フランジ部の前記基準面と、前記光学的機能部の当該基準面側の面である光学的機能面とが一つの第1金型で成形され、前記フランジ部の前記基準面より外周側の面が第2金型で成形され、
前記基準面からの前記光軸方向に沿った距離を高さとした場合に、
前記基準面より外周側に第1金型で形成された部分と第2金型で形成された部分との境界が配置され、
前記基準面より外周側で前記境界を含む部分が前記基準面より低くされ、
前記境界を含む部分には、第2金型で形成された部分が第1金型で形成された部分より低くされることで、段差が形成されていることを特徴とする。
また、入子を回転しても基準面に対する光学的機能面の光軸方向の傾きが変わることがなく、基準面に基いて樹脂レンズを光学装置に組み込んだ場合に、入子の回転角度により光軸方向がずれるようなことがなく、光学装置の品質のばらつきを抑制することができる。
また、第1金型と第2金型との間のクリアランスがあり、これら第1金型と第2金型とにより成形される樹脂レンズに第1金型と第2金型との境界部分にバリが発生する場合に、バリの発生部分が基準面よりも低くなっていることになる。この基準面とバリが発生する境界部分との高低差によりバリの突出量が短ければ、取付け枠の受面に基準面を当接させる際に邪魔にならず、樹脂レンズの取付け精度に影響を与えないものとなる。
したがって、取り付け枠の受面に基準面を当接した際の精度の低下を防止し、かつ、バリ除去を必要としないので樹脂レンズの製造工程を増やすことによるコスト増加も防止することができる。
さらに、第1金型と第2金型との間のクリアランスがあり、これら第1金型と第2金型とにより成形される樹脂レンズに第1金型と第2金型との境界部分にバリが発生する場合に、バリの発生部分が基準面よりも低くなっていることになる。この基準面とバリが発生する境界部分との高低差よりバリの突出量が短ければ、取付け枠の受面に基準面を当接させる際に邪魔にならず、樹脂レンズの取付け精度に影響を与えないものとなる。
したがって、取り付け枠の受面に基準面を当接した際の精度の低下を防止し、かつ、バリ除去を必要としないので樹脂レンズの製造工程を増やすことによるコスト増加も防止することができる。
前記フランジ部は、略円形状に形成されるとともに、成形後に切り離される部分に対応して円の外周の一部を半径方向に略直交する方向に直線状とした直線部が設けられ、
前記基準面の外周の半径は、前記光学的機能部の中心から直線部までの半径方向の距離より短くされていることを特徴とする。
ここで、基準面に対する光学的機能面の傾きを防止する上では、光学的機能部とフランジ部の基準面側となる面の全体を一つの入子で形成することも考えられるが、この場合に、フランジ部のゲート切断部に予め直線状の形状を形成することが困難になってしまう。すなわち、フランジ部の外縁まで一つの入子で形成するものとし、かつ、フランジ部の円形の外縁に直線部分を設けてしまうと、入子となる第1金型の形成面が円形状ではなくなり、入子を回転することができなくなってしまう。
そして、フランジ部の外縁の直線部分は、回転しないホルダとしての第2金型で成形することになり、樹脂レンズのフランジ部の外縁に直線部分があり、かつ、入子となる第1金型を回転させるものとしても問題なく、基準面と光学的機能面を一体に第1金型で成形可能とすることができる。
前記基準面と、当該基準面より外周側で当該基準面より低くされた前記境界を含む部分との高低差が、第1金型と第2金型とのクリアランスに入り込む樹脂により光軸方向に沿って突出して形成されるバリの光軸方向に沿った突出長さより長いことを特徴とする。
前記基準面を前記フランジ部の内周側に形成するとともに、
前記樹脂レンズの成形に際し、当該基準面が形成される側の面を、主に光学的機能部を形成するとともに前記樹脂レンズの光軸に沿った回転中心回りに回転自在な第1金型と、主に前記フランジ部を形成するとともに、第1金型を回転可能に保持する円孔が形成された第2金型とを用い、
前記フランジ部の前記基準面と、前記光学的機能部の当該基準面側の面である光学的機能面とを一つの第1金型で成形し、前記フランジ部の前記基準面より外周側の面を第2金型で成形し、
前記基準面からの前記光軸方向に沿った距離を高さとした場合に、
前記基準面より外周側に第1金型で形成された部分と第2金型で形成された部分との境界を配置し、
前記基準面より外周側で前記境界を含む部分を前記基準面より低くするとともに、
前記境界を含む部分に、第2金型で形成する部分を第1金型で形成する部分より低くすることで、段差を形成することを特徴とする。
また、この際に、光学的機能部とフランジ部との基準面側を全て第1金型で形成するのではなく、基準面をフランジ部の最外周部より内側で、かつ、フランジ部の外縁に設けられた直線部より内側とすることで、光学的機能面および基準面を形成する部分を円形で回転可能なものとすることができる。これにより入子を回転可能な状態に保持することが可能となる。
まず、本実施の形態の樹脂レンズとなる成形品について説明する。図1〜図2(a),(b),(c)は、この例の樹脂レンズを含む成形品を示し、図3(a)、(b)はこの例の樹脂レンズと射出成形金型の入子との関係を示すものであり、図4(a),(b),(c)は、この例の樹脂レンズにおけるバリを説明するための図面である。
そして、成形品10は、射出成形金型において、樹脂レンズ1が成形されるキャビティに樹脂(例えば、熱可塑性樹脂)を導くために、樹脂が射出されるスプルー、スプルーから複数のキャビティに向かって分岐し、樹脂を各キャビティに分散して導くためのランナ、ランナとキャビティとの間のゲートに対応して成形されている。したがって、成形品10は、スプルーで形成されるスプルー部1a、ランナで形成されるランナ部1b、ゲートで形成されるゲート部1c、キャビティで形成されると共に成形される樹脂レンズ1とからなっている。
言い換えれば、可動金型に残り易い形状とされており、その一つとして、ランナ部1bにランナロック1dが形成され、ランナ部1bがランナロック1dを形成する部分を有する可動金型側に残り易い形状となっている。なお、可動金型と固定金型との境界部分は、図1に示される成形品において、ランナ部1bの軸方向に沿った中心線の部分となっている。
そして、図2から図4に示すように、この樹脂レンズ1は、たとえば、ブルーレイディスクの光ピックアップ装置のピックアップレンズ(対物レンズ)として使用されるものである。
ここで、樹脂レンズ1の形状の説明において、光軸に直交し、かつ、肉厚内にある所定の基準面を、この例では固定金型と可動金型とのパーティングラインに沿った平面とし、当該基準面からの前記光軸方向に沿った距離を高さと表現する。なお、基準面から離れるほど高く、近づくほど低くなる。また、後述の第1面12側でも第2面11側でも基準面からの距離を高さでそれぞれ表すものとする。
また、樹脂レンズ1は、情報の読取や書込みが行われる光ディスク側を向く第2面11と、光源からの光が入射する第1面12とを有し、それぞれが光学的機能部2の表面となる光学的機能面21,22と、フランジ部3の表面となるフランジ面31,32とを有する。
すなわち、第2面11は、その中央部が光学的機能面21となり、その外周部がフランジ面31となっており、第1面12は、その中央部が光学的機能面22となり、その外周部がフランジ面32となっている。
なお、フランジ面31は、光ディスク側を向くことから、光ピックアップ装置の取付け枠に樹脂レンズ1を取り付けた状態でもマーク37を認識可能に露出するとともに、取付け枠に樹脂レンズ1を設置して固定する際に、鏡面部41に光を照射するとともに、所定のセンサで鏡面部41から反射光を認識させることで、取付け枠上の樹脂レンズ1の傾きを測定可能となっている。
マーク37は、鏡面部41に設けられ、樹脂レンズ1の製造に用いられた金型および当該金型におけるキャビティを特定可能とするものである。
そして、光ピックアップ装置に当該樹脂レンズ1が取り付けられるが、樹脂レンズ1の取付け位置は、光ピックアップ装置において、光ディスクに最も近接する位置であり、取付け枠(ピックアップホルダ)に樹脂レンズ1がそのフランジ部3を固定された状態となる。なお、この際には、樹脂レンズ1の第1面12側となるフランジ部3のフランジ面32が前記取付け枠の先端面に当接されて、たとえば、接着固定される。そして、光学的機能部2は取付け枠の内部空間に対応し、光が通過可能となっている。
すなわち、直線部36を樹脂レンズ1の円周方向に沿った位置の基準位置とすることができる。言い換えると、直線部を切断部に係り無く、金型で形成される樹脂レンズ1の円周方向に沿った位置の基準と見なすことが可能である。
そして、基準面33の外形は、直線部36より中心側で円形となっている。
また、基準面33は、樹脂レンズ1の光軸に直交する平面となっている。
そして、基本的に樹脂レンズ1の第2面11側の光学的機能面21が固定金型に設けられた円柱状の入子71により成形される。また、樹脂レンズ1の第1面12側の光学的機能面22が可動金型に設けられた円柱状の入子72(第1金型)により成形される。なお、図2(b)において、入子71,72の部分をハッチングで図示した。また、図2(a),(c)において、樹脂レンズ1の入子71もしくは入子72の形成面により形成される部分をハッチングで図示した。
それに対して樹脂レンズ1の第1面12側では、光学的機能面22に加えてその周囲のフランジ面32のうちの内周側となる基準面33とその僅かに外周となる部分が入子72により成形されるようになっている。したがって、光学的機能面22と基準面33とは一体の金型となる入子72より形成されることになる。
また、フランジ面32の基準面33より僅かに外周となる部分よりさらに外周側の最外周部34は、入子72を挿入する孔を備えたホルダとなる金型部分(第2金型)で形成されるようになっている。なお、ホルダとなる金型部分は回転する必要がないので、円筒状とされる必要はない。
図4において、(a)は、樹脂レンズ1と入子71,72を示す断面図であり、(b)は(a)で円で囲まれたフランジ部3の拡大図であり、(c)は入子71,72から離型されたフランジ部3の拡大図である。
そして、基準面33の高さと最外周部34の基準面33側となる面の高さとは異なっており、基準面33の方が高く、最外周部34は基準面より低くなっている。その間には段差38が形成されている。なお、段差38は、スロープも含む概念とする。
したがって、基準面33を光ピックアップ装置の取付け枠の受面に当接させた際にバリ39が受面に接触することがない。
なお、この例において、前述のクリアランスの設定量や樹脂の組成、射出される樹脂の温度等の製造条件により、バリ39の前記突出量を例えば0.03mm以下に抑えることが可能であることから、たとえば、前記段差を0.04mmとするものとしてもよい。なお、これら数値は一例であり、バリ39の突出量に対して段差の方が長くなっていればよい。
ここで、前記境界40で入子72とホルダとが接触した状態となるが、この部分で段差を設けない設計としていた場合でも、入子72およびホルダの製造誤差やこれらの組立時の誤差等により段差が発生する可能性がある。ここで、ホルダにより成形される最外周部34の境界40より外周側の部分が高くなってしまうと、基準面33と最外周部34の境界40より外周側の部分との高低差が小さくなってしまう。ここで、境界40で発生するバリ39は、境界40に段差がある場合に、段差の上となる側より高くなり、基準面33と最外周部34の境界40より外周側の部分との高低差が小さくなってしまうと、バリ39が基準面33より高くなる可能性がある。
また、段差38の僅かに外側となる境界40からフランジ面32の外縁までの最外周部34は、入子72の外側の金型部分となるホルダにより成形される。なお、フランジ部3の外縁に形成された直線部36は、ホルダ側で形成されるので、入子72で形成される部分は円形となっている。
また、樹脂レンズ1は最外周となる部分にゲート部1cの切断部に対応した直線部36を有するものとなっているが、基準面33を直線部36より中心側で外形が円形となる円環状に形成しているので、入子72の形成面が円状となり、入子72の回転に対応することができる。
また、入子72とホルダとの境界部分となるフランジ面32の外周となる部分において、段差38を形成し、入子72とホルダとの境界部分に対応するフランジ面32の境界40が基準面33より低くなるようにすることで、上述の入子72とホルダのクリアランスに浸入する樹脂により形成されるバリ39を、基準面33より低くすることができる。これにより、バリ39を除去しなくても、基準面33を樹脂レンズ1が取付けられる取付け枠の受面に当接させる際に、バリ39が邪魔になることがない。
11 第2面
12 第1面(一方の面)
2 光学的機能部
21 光学的機能面
22 光学的機能面
3 フランジ部
31 フランジ面
32 フランジ面
33 基準面
34 最外周部
36 直線部
38 段差
39 バリ
71 入子(第1金型)
Claims (4)
- 光学的機能を有する光学的機能部と、当該光学的機能部の周囲に形成されるフランジ部を備え、光学装置への組み込みに際し前記フランジ部で位置決め固定され、かつ、前記フランジ部の光源から光が入射する側の面に位置決め固定の際の基準となる基準面が設けられ、
成形に際して、当該基準面が形成される側の面が、主に光学的機能部を形成する第1金型と、主に前記フランジ部を形成する第2金型とにより成形され、
前記基準面は、前記フランジ部の内周側に形成され、
かつ、前記フランジ部の前記基準面と、前記光学的機能部の当該基準面側の面である光学的機能面とが一つの第1金型で成形され、前記フランジ部の前記基準面より外周側の面が第2金型で成形され、
前記基準面からの前記光軸方向に沿った距離を高さとした場合に、
前記基準面より外周側に第1金型で形成された部分と第2金型で形成された部分との境界が配置され、
前記基準面より外周側で前記境界を含む部分が前記基準面より低くされ、
前記境界を含む部分には、第2金型で形成された部分が第1金型で形成された部分より低くされることで、段差が形成されていることを特徴とする樹脂レンズ。 - 前記フランジ部は、略円形状に形成されるとともに、成形後に切り離される部分に対応して円の外周の一部を半径方向に略直交する方向に直線状とした直線部が設けられ、
前記基準面の外周の半径は、前記光学的機能部の中心から直線部までの半径方向の距離より短くされていることを特徴とする請求項1に記載の樹脂レンズ。 - 前記基準面と、当該基準面より外周側で当該基準面より低くされた前記境界を含む部分との高低差が、第1金型と第2金型とのクリアランスに入り込む樹脂により光軸方向に沿って突出して形成されるバリの光軸方向に沿った突出長さより長いことを特徴とする請求項1に記載の樹脂レンズ。
- 光学的機能を有する光学的機能部と、当該光学的機能部の周囲に形成されるフランジ部を備え、光学装置への組み込みに際し前記フランジ部で位置決め固定され、かつ、前記フランジ部の光源から光が入射する側の面に位置決め固定の際の基準となる基準面が設けられた樹脂レンズの成形方法であって、
前記基準面を前記フランジ部の内周側に形成するとともに、
前記樹脂レンズの成形に際し、当該基準面が形成される側の面を、主に光学的機能部を形成するとともに前記樹脂レンズの光軸に沿った回転中心回りに回転自在な第1金型と、主に前記フランジ部を形成するとともに、第1金型を回転可能に保持する円孔が形成された第2金型とを用い、
前記フランジ部の前記基準面と、前記光学的機能部の当該基準面側の面である光学的機能面とを一つの第1金型で成形し、前記フランジ部の前記基準面より外周側の面を第2金型で成形し、
前記基準面からの前記光軸方向に沿った距離を高さとした場合に、
前記基準面より外周側に第1金型で形成された部分と第2金型で形成された部分との境界を配置し、
前記基準面より外周側で前記境界を含む部分を前記基準面より低くするとともに、
前記境界を含む部分に、第2金型で形成する部分を第1金型で形成する部分より低くすることで、段差を形成することを特徴とする樹脂レンズの成形方法。
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