以下、本発明による燃料電池システムの一実施の形態について説明する。図1はこの燃料電池システムの概要を示す概要図である。この燃料電池システムは、箱状の筐体11、燃料電池モジュール20、排熱回収システム30、インバータ装置50、燃料電池システム制御装置(以下、制御装置という。)60および排水装置70を備えている。
筐体11は、筐体11内を区画して第1室R1および第2室R2を形成する仕切部材12を備えている。仕切部材12は、筐体11を上下に区画する(仕切る)板状部材である。筐体11内には、仕切部材12より上方および下方に第1室R1および第2室R2が形成される。なお、本実施の形態では、仕切部材12を一枚の板状部材で構成したが、仕切部材12を箱状部材で構成してもよく、また、第1室R1および第2室R2をそれぞれ区画する箱状に形成された2つの別部材
で構成してもよい。
燃料電池モジュール20は、第1室R1内にその第1室R1の内壁面から空間をおいて収納されている。燃料電池モジュール20は、ケーシング21、燃料電池24を少なくとも含んで構成されるものである。本実施の形態では、燃料電池モジュール20は、ケーシング21、蒸発部22、改質部23および燃料電池24を備えている。
ケーシング21は、断熱性材料で箱状に形成されている。ケーシング21は、第1室R1内にその第1室R1の内壁面から空間をおいて図示しない支持構造により支持されている。なお、ケーシング21のいずれかの面が第1室R1の内壁面に接していなければよく、すなわちケーシング21の面(6面)のうちいずれかが第1室R1の内壁面との間に空間があればよい。ケーシング21内には、蒸発部22、改質部23および燃料電池24が配設されている。このとき、蒸発部22、改質部23が燃料電池24の上方に位置するように配設されている。
蒸発部22は、後述する燃焼ガスにより加熱されて、供給された改質水を蒸発させて水蒸気を生成するとともに、供給された改質用原料を予熱するものである。蒸発部22は、このように生成された水蒸気と予熱された改質用原料を混合して改質部23に供給するものである。改質用原料としては天然ガス、LPGなどの改質用気体燃料、灯油、ガソリン、メタノールなどの改質用液体燃料があり、本実施形態においては天然ガスにて説明する。
この蒸発部22には、一端(下端)が純水タンク13内に配設された給水管41の他端が接続されている。給水管41には、改質水ポンプ(水供給手段)41aが設けられている。改質水ポンプ41aは、蒸発部22に改質水を供給するとともにその改質水供給量を調整するものである。改質水ポンプ41aは、貯水器16である純水タンク13に貯蔵されている凝縮水を改質水(水)として燃料電池モジュール20に供給するものである。
また、蒸発部22には、燃料供給源(図示省略)からの改質用原料が改質用原料供給管42を介して供給されている。改質用原料供給管42には、上流から順番に一対の原料バルブ(図示省略)、脱硫器42a、および原料ポンプ42bが設けられている。原料バルブは改質用原料供給管42を開閉する電磁開閉弁である。脱硫器42aは改質用原料中の硫黄分(例えば、硫黄化合物)を除去するものである。原料ポンプ42bは、燃料供給源からの燃料供給量を調整するものであり、その吐出量は調整制御(例えば燃料電池24の負荷電力量(消費電力量)に応じて制御)されるものである。
改質部23は、後述する燃焼ガスにより加熱されて水蒸気改質反応に必要な熱が供給されることで、蒸発部22から供給された混合ガス(改質用原料、水蒸気)から改質ガスを生成して導出するものである。改質部23内には、触媒(例えば、RuまたはNi系の触媒)が充填されており、混合ガスが触媒によって反応し改質されて水素ガスと一酸化炭素ガスが生成されている(いわゆる水蒸気改質反応)。これと同時に、水蒸気改質反応にて生成された一酸化炭素と水蒸気が反応して水素ガスと二酸化炭素とに変成するいわゆる一酸化炭素シフト反応が生じている。これら生成されたガス(いわゆる改質ガス)は燃料電池24の燃料極に導出されるようになっている。改質ガスは、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、水蒸気、未改質の天然ガス(メタンガス)を含んでいる。なお、水蒸気改質反応は吸熱反応であり、一酸化炭素シフト反応は発熱反応である。
燃料電池24は、燃料極、空気極(酸化剤極)、および両極の間に介装された電解質からなり板状に形成された複数のセル24aが積層されて構成されている。本実施の形態の燃料電池は、固体酸化物形燃料電池であり、電解質として固体酸化物の一種である酸化ジルコニウムを使用している。燃料電池24の燃料極には、燃料として水素、一酸化炭素、メタンガスが供給される。動作温度は700〜1000℃程度である。水素だけではなく天然ガスや石炭ガスなども直接燃料として用いることが可能である。この場合、改質部23は省略することができる。
セル24aの燃料極側には、燃料である改質ガスが流通する燃料流路24bが形成されている。セル24aの空気極側には、酸化剤ガスである空気(カソードエア)が流通する空気流路24cが形成されている。
燃料電池24は、マニホールド25上に設けられている。マニホールド25には、改質部23からの改質ガスが改質ガス供給管43を介して供給されるとともに、カソードエアがカソードエア供給管44を介して供給されるようになっている。燃料流路24bは、その下端(一端)がマニホールド25の燃料導出口に接続されており、その燃料導出口から導出される改質ガスが下端から導入され上端から導出されるようになっている。空気流路24cは、その下端(一端)がエア用マニホールドを介してカソードエア供給管44に接続されており、カソードエア供給管44から導出されるカソードガスが下端から導入され上端から導出されるようになっている。
なお、カソードエア供給管44の一端はエア用マニホールド(図示しない)に接続され、他端はカソードエアブロワ44a(カソードエア送出(送風)手段)に接続されている。カソードエアブロワ44aは、第2室R2内に配設されている。カソードエアブロワ44aは、第2室R2内の空気を吸入し燃料電池24の空気極に吐出するものであり、その吐出量は調整制御(例えば燃料電池24の負荷電力量(消費電力量)に応じて制御)されるものである。
燃料電池24においては、燃料極に供給された燃料と空気極に供給された酸化剤ガスによって発電が行われる。すなわち、燃料極では、下記化1および化2に示す反応が生じ、空気極では、下記化3に示す反応が生じている。すなわち、空気極で生成した酸化物イオン(O2−)が電解質を透過し、燃料極で水素と反応することにより電気エネルギーを発生させている。したがって、燃料流路24bおよび空気流路24cからは、発電に使用されなかった改質ガスおよび酸化剤ガス(空気)が導出する。
(化1)
H2+O2−→H2O+2e−
(化2)
CO+O2−→CO2+2e−
(化3)
1/2O2+2e−→O2−
そして、燃料流路24bおよび空気流路24cから導出した、発電に使用されなかった改質ガスは、燃料電池24と蒸発部22(改質部23)の間の燃焼空間R3にて、発電に使用されなかった酸化剤ガス(空気)によって燃焼され、その燃焼ガスによって蒸発部22および改質部23が加熱される。さらには、燃料電池モジュール20内を動作温度に加熱している。その後、燃焼ガスは導出口21aから燃料電池モジュール20の外に排気される。
排熱回収システム30は、貯湯水を貯湯する貯湯槽31と、貯湯水が循環する貯湯水循環ライン32と、燃料電池モジュール20からの燃焼排ガスと貯湯水との間で熱交換が行われる第1熱交換器33と、が備えられている。
貯湯槽31は、1つの柱状容器を備えており、その内部に温水が層状に、すなわち上部の温度が最も高温であり下部にいくにしたがって低温となり下部の温度が最も低温であるように貯留されるようになっている。貯湯槽31の柱状容器の下部には水道水などの水(低温の補給水)が補給管31aから補給され、貯湯槽31に貯留された高温の温水(貯湯水)が貯湯槽31の柱状容器の上部から導出管(給湯導出管)31bから導出(給湯)されるようになっている。
貯湯水循環ライン32の一端は貯湯槽31の下部に接続され、貯湯水循環ライン32の他端は貯湯槽31の上部に接続されている。貯湯水循環ライン32上には、一端から他端に向かって順番に貯湯水循環手段である貯湯水循環ポンプ32a、ラジエータ32b、第1熱交換器33、および温度センサ32cが配設されている。貯湯水循環ポンプ32aは、貯湯槽31の下部の貯湯水を吸い込んで貯湯水循環ライン32を図示矢印方向へ通水させて貯湯槽31の上部に吐出するものであり、その流量(送出量)が制御装置60により制御されるようになっている。ラジエータ32bは、貯湯水を冷却するものであり、例えば冷却用ファン(図示省略)を備えている。ラジエータ32bは、制御装置60の指令によって駆動・駆動停止され、駆動指令で駆動され貯湯水を冷却し駆動停止指令で駆動停止され貯湯水の冷却を停止する。温度センサ32cは、貯湯水の貯湯槽31の入口温度を検出するものであり、その検出結果を制御装置(図示省略)に送信するようになっている。貯湯水循環ポンプ32aは、温度センサ32cの検出温度(貯湯水の貯湯槽31の入口温度)が所定の温度または温度範囲となるように、送出量が制御されるようになっている。
第1熱交換器(凝縮器)33は、燃料電池システムの中で流通する水分を含んだガス中の水蒸気を液状の熱媒体との熱交換で凝縮し凝縮水を生成する凝縮器である。第1熱交換器(凝縮器)33は、燃料電池モジュール20から排気される燃焼排ガスが供給されるとともに貯湯槽31からの貯湯水が供給され燃焼排ガスと貯湯水が熱交換する熱交換器である。この第1熱交換器33は、筐体11内に配設されている。本実施の形態では、第1熱交換器33は、燃料電池モジュール20の下部に設けられており、少なくとも第1熱交換器33の下部は仕切部材12を貫通して第2室R2に突出されて配設されている。
第1熱交換器33は、ケーシング33aを備えている。ケーシング33aには、燃焼排ガスが導入される導入口33b、燃焼排ガスが導出される導出口33c、および凝縮された凝縮水が導出される導出口33dが設けられている。ケーシング33a内には、貯湯水循環ライン32に接続されている熱交換部(凝縮部)33eが配設されている。導入口33bは、燃料電池モジュール20のケーシング21の下部に設けられ燃焼排ガスが導出される導出口21aに連通するようになっている。燃焼排ガスの導出口33cは、排気管45を介して第1排気口11aに接続されている。凝縮水の導出口33dは、ケーシング33aの底部に形成されている。燃焼排ガスの導出口33cは、凝縮水が燃焼排ガスの導出口33cから導出するのを防止するため、凝縮水の導出口33dより上方に形成されている。
このように構成された第1熱交換器33においては、燃料電池モジュール20からの燃焼排ガスは、導入口33bからケーシング33a内に導入され、貯湯水(熱媒体)が流通する熱交換部33eを通る際に貯湯水との間で熱交換が行われ凝縮されるとともに冷却される。凝縮後の燃焼排ガスは導出口33cおよび排気管45を通って第1排気口11aから外部に排出される。また、凝縮された凝縮水は、凝縮水の導出口33dおよび凝縮水供給管46を通って純水器14に供給される(自重で落水する)。一方、熱交換部33eに流入した貯湯水は、加熱されて流出される。
また、貯湯水循環ライン32には、排湯管34が接続されている。排湯管34の上端は、貯湯槽31の貯湯水入口と第1熱交換器33の貯湯水出口との間の貯湯水循環ライン32に接続されている。排湯管34の下端は、下方に延ばされ、排水装置70の水受け部材71の上方位置まで延設されている。貯湯水循環ライン32の貯湯水(貯湯槽31の貯湯水入口と第1熱交換器33の貯湯水出口との間にある貯湯水)が排湯管34を通って排水装置70に導かれるようになっている。
さらに、排湯管34には、排湯管34を開閉する排湯弁34aが備えられている。排湯弁34aは、制御装置60からの指示によって開閉制御される電磁弁である。排湯弁34aが開かれているとき、第1熱交換器33で熱交換された後の貯湯水が排湯管34を通って排水装置70に導かれ(排水され)、排湯弁34aが閉じられているとき、第1熱交換器33で熱交換された後の貯湯水が排湯管34を通って排水装置70に導かれない(排水されない)。
また、燃料電池システムは、凝縮器33から供給された凝縮水を貯蔵する貯水器16を備えている。貯水器16は、純水タンク13および純水器14を備えている。純水タンク13および純水器14は第2室R2内に配設されている。
純水タンク13は、純水器14から導出された純水(すなわち、純水器14で処理された後の水)を貯めておくもの(液体を貯蔵する容器)である。純水タンク13には、純水タンク13内の純水量を検出する図示しない水量センサ(水位センサ)が備えられている。水量センサは例えばフロート式、静電容量式などの水位計である。水量センサは制御装置60に検出信号を送信するようになっている。
また、純水タンク13には、オーバーフローライン(第1導水管)13bが設けられている。オーバーフローライン13bの上端は純水タンク13の上部に接続されている。オーバーフローライン13bの下端は下方に延ばされ、排水装置70の水受け部材71の上方位置まで延設されている。純水タンク13からオーバーフローした純水がオーバーフローライン13bを通って排水装置70に導かれるようになっている。また、純水タンク13の上部はシールをしないで密閉性がなくてもよい。燃料電池システムが冠水した場合、純水タンク13には、オーバーフローライン13bや、上部のシールしていない部分から外部の水が浸入する。オーバーフローライン13bは、貯水器16である純水タンク13に備えられ純水タンク13から溢れ出た水を水受け部材71に導く導水管17である。
純水器14は、活性炭とイオン交換樹脂を内蔵しており、例えばフレーク状の活性炭と粒状のイオン交換樹脂を充填している。また被処理水の状態によっては、中空糸フィルタを設置しても良い。純水器14は、折り返し流路(略U字状)を備えている。凝縮水供給管46が接続されている方が入口側であり、配管47が接続されている方が出口側である。純水器14は、第1熱交換器33からの凝縮水を活性炭とイオン交換樹脂によって純水化するものである。純水器14は、配管47を介して純水タンク13に連通しており、純水器14内の純水は配管47を通って純水タンク13に導出される。凝縮水の水質が、燃料電池24の要求水質に対してよい場合は純水器14を設けなくてもよい。
さらに、燃料電池システムは、排水装置70および導電率計72aを備えている。排水装置70は、水受け部材71、排水管72を備えている。水受け部材71は、筐体11内に配設され純水タンク13から溢れ出た水を少なくとも受けるものである。本実施の形態では、水受け部材71は、上方に開口する開口部71aを有するとともに平らな底部71bを有するトレー状に形成された容器である。水受け部材71の開口部71aの直上には、オーバーフローライン13b、排湯管34の各下端が配設されている。これにより、水受け部材71は、純水タンク13から溢れ出た水をオーバーフローライン13bを介して確実に受けることができ、貯湯水循環ライン32からの排湯を排湯管34を介して確実に受けることができる。
また、水受け部材71は、少なくとも、純水タンク13のオーバーフローライン13bの接続位置(純水タンク13のオーバーフロー口)、排湯管34の上端位置の全てより下方に配設されている。
底部71bには、排水管72が接続されている。排水管72は、水受け部材71が受けた水を水受け部材71から筐体11の外部に排出するものである。排水管72の上端が底部71bの下面に接続され、排水管72の下端が下方に延ばされ筐体11の下部(底板、側板の下部)を貫通して筐体11の外部に突設されている。なお、底部71bの構造は、排水管72が接続されている部分に向けて水が流れるように構成されるのが好ましい。
導電率計72aは、排水管72や、水受け部材71、特に受けた水が流れる部分例えば排水管72が接続されている排水口付近に備えられている。導電率計72aは、排水装置70から排水される排水の導電率を検知するものである。導電率計72aの検知結果は、制御装置60に送信されるようになっている。なお、導電率計72aは水受け部材71の水受け部に設けてもよい。この場合、排水管72は、水受け部材71の側面に接続されていることが好ましい。また、導電率計に代えて抵抗計を使用するようにしてもよい。導電率計と抵抗計は実質的に同等である。
さらに、燃料電池システムにおいて、第1室R1は、第1室R1内に外部からの空気を導入する空気導入口12aと、第1室R1内の空気を外部に導出する空気導出口(第2排気口)11bと、空気導入口12aから空気導出口11bまでの空気が流通する流通路上に設けられその空気(換気用空気)を送出するための換気用空気ブロワ(送風手段)15と、を備えている。
空気導入口12aは、仕切部材12に形成されている。なお、空気導入口12aは、第1室R1を形成する筐体11に形成するようにしてもよい。第2排気口11bは、第1室R1を形成する筐体11に形成されている。換気用空気ブロワ15は、空気導入口12aに設けられている。換気用空気ブロワ15は、第2室R2内の空気を吸い込んで、空気導入口12aを通して第1室R1内に送出している。なお、空気導入口12aから空気導出口11bまでの空気が流通する流通路には、空気導入口12aおよび空気導出口11bも含まれる。また、第2室R2は、第2室R2内に外部からの空気を導入する空気導入口11cを備えている。
これにより、換気用空気ブロワ15の駆動によって、第2室R2内の空気が空気導入口12aを通して第1室R1内に送出される。第1室R1内に導入された換気用空気は、第1室R1の内壁面とケーシング21と間を、空気導出口11bに向かって流通し、空気導出口11bから外部に排出される。
さらに、燃料電池システムは、インバータ装置(電力変換装置)50を備えている。インバータ装置50は、燃料電池24から出力される直流電圧を入力し所定の交流電圧に変換して交流の系統電源51および外部電力負荷53に接続されている電源ライン52に出力する第1機能と、系統電源51からの交流電圧を電源ライン52を介して入力し所定の直流電圧に変換して補機55に出力する第2機能と、を有している。
図2に示すように、インバータ装置50は、DC/DCコンバータ50a、DC/ACインバータ50b、系統連系インバータ制御装置50c、およびインバータ用電源DC/DCコンバータ50dを備えている。
DC/DCコンバータ(コンバータ)50aは、燃料電池24から出力される直流電圧(例えば40V)を入力し所定の直流電圧(例えば350V)に変換して出力するものである。DC/DCコンバータ50aは、本燃料電池システムを運転させるための補機55に、燃料電池24から入力した直流電圧を所定の直流電圧に変換して出力するものである。DC/DCコンバータ50aは、例えばトランスを構成要素として構成され入力側と出力側が絶縁されている絶縁型であることが好ましい。
DC/ACインバータ(インバータ)50bは、DC/DCコンバータ50aから出力される直流電圧(例えば350V)を入力し交流電圧(例えば200V)に変換して電源ライン52に出力し、かつ電源ライン52から入力した交流電圧(例えば200V)を所定の直流電圧(例えば350V)に変換して補機用電源基板54を介して補機55に出力するものである。このように、DC/ACインバータ50bは、直流を交流に変換する機能と、交流を直流に変換する機能とを有している。
DC/ACインバータ50bは、燃料電池24から入力した電力を変換して電源ライン52に出力する出力電力を測定する電力測定装置50eを有している。電力測定装置50eは、燃料電池システムの起動時および/または停止制御時に、系統電源51から電源ライン52を介して入力した電力を変換して補機55に消費電力として出力する補機消費電力も測定するものである。本実施の形態では、DC/ACインバータ50bは、直流を交流に変換する機能と交流を直流に変換する機能の両機能を内蔵した一つの機器で構成しているが、それぞれの機能を別の機器で構成するようにしてもよい。この場合、電力測定装置50eは、それぞれ別の機器に予め備えられていることが望ましい。
系統連系インバータ制御装置50cは、DC/DCコンバータ50a、DC/ACインバータ50bの駆動、第1接続器50g、第2接続器50hのオン・オフ(連通・遮断)を制御するものである。この系統連系インバータ制御装置50cは、制御装置60と互いに通信可能に接続されており、制御装置60の指示にしたがってDC/DCコンバータ50a、DC/ACインバータ50bの駆動、第1接続器50g、第2接続器50hのオン・オフ(連通・遮断)を制御する。
系統連系インバータ制御装置50cは、電力測定装置50eが接続されており、電力測定装置50eからの検出信号(電力測定値)が入力されるようになっている。系統連系インバータ制御装置50cは、電力測定値を制御装置60に送信するようになっている。制御装置60は、起動時や停止制御時には電力測定値に基づいて起動時や停止制御時の消費電力を算出している。
インバータ用電源DC/DCコンバータ50dは、DC/DCコンバータ50a、DC/ACインバータ50bまたは整流回路50fからの直流電圧を入力して所定の直流電圧に変換して、DC/DCコンバータ50aとDC/ACインバータ50bと系統連系インバータ制御装置50cに電源電圧(駆動電圧)として供給するものである。
整流回路50fは、電源ライン52と補機55との間にDC/ACインバータ50bに並列に設けられ、電源ライン52からの交流電圧を整流して直流電圧に変換して補機55に供給可能なものである。例えば、整流回路50fは、整流素子である4つのダイオードから構成され、ダイオードブリッジ回路から構成されている。トランスと組み合わせてもよく、平滑化のため抵抗、コンデンサ、コイルなどと組み合わせてもよい。
補機用電源基板54は、DC/DCコンバータ50a、DC/ACインバータ50bおよび整流回路50fに接続されており、DC/DCコンバータ50a、DC/ACインバータ50bまたは整流回路50fからの直流電圧を入力して所定の直流電圧(例えば24V)に変換して、補機55に電源電圧として供給するものである。補機用電源基板54は、制御装置60の指令によって制御されている。
さらに、燃料電池システムは、燃料電池24とDC/DCコンバータ50aとの間に設けられた第1接続器50g、およびDC/ACインバータ50bと電源ライン52との間に設けられた第2接続器50hをさらに備えている。
第1接続器50gは、燃料電池24とDC/DCコンバータ50aとを連通・遮断(オン・オフ)するものであり、系統連系インバータ制御装置50cに接続されその指示によってオン・オフ制御されるものである。第2接続器50hはDC/ACインバータ50bと電源ライン52とを連通・遮断(オン・オフ)するものであり、系統連系インバータ制御装置50cに接続されその指示によってオン・オフ制御されるものである。
電源ライン52には、系統電源51に対する電力の入出力および電力量を検知する電力測定装置52aが設けられており、その検知結果が系統連系インバータ制御装置50cに出力されている。系統連系インバータ制御装置50cは、電力測定値を制御装置60に送信するようになっている。なお、電力測定値を制御装置60に出力するようにしてもよい。
また、燃料電池システムは、独自のブレーカ52bを備えている。ブレーカ52bは、電源ライン52とインバータ装置50とを接続する電源ラインに設けられている。ブレーカ52bは、ある量以上の電力を使ったり、異常電流が流れたりすると、回路を自動的に遮断して、ブレーカ52bからシステム内部側に電力が供給されるのを禁止する。この遮断時においても、ブレーカ52bの入力端52b1には電力が供給されている。この入力端52b1は浸水すると、漏電する可能性があるので、入力端52b1は漏電可能部位である。
なお、系統電源(または商用電源)51は、系統電源51に接続された電源ライン52を介して電力負荷53に電力を供給するものである。燃料電池24はインバータ装置50を介して電源ライン52に接続されている。電力負荷53は、交流電源で駆動される負荷であり、例えばドライヤ、冷蔵庫、テレビなどの電化製品である。補機55は、燃料電池モジュール20に改質用原料、水、空気を供給するためのモータ駆動のポンプ41a,42bおよび換気用空気ブロワ15などから構成されている。すなわち、補機55は燃料電池システムを起動、発電、停止させるためのものである。この補機55は直流電圧にて駆動されるものであり、その駆動電圧は補機用電源基板18から供給されるようになっている。
また、上述した燃料電池システム内(すなわち筐体11内)であって系統電源51からインバータ装置50までの交流電流系統56のうち浸水することで漏電する可能性のある部位が漏電可能部位である。例えば、ブレーカ52bの入力端52b1は漏電可能部位である。また、インバータ装置50も漏電可能部位であり、特に、DC/ACインバータ50b、電力測定装置50e、整流回路50f、第2接続器50h(特にそれぞれの下端部)が漏電可能部位である。
本実施の形態の燃料電池システムにおいては、この漏電可能部位が導電率計72aより上方に設置されている。
さらに、燃料電池システムは、制御装置60を備えている。制御装置60には、上述した導電率計72a、各ポンプ32a,41a,42b、各ブロワ15,44a、系統連系インバータ制御装置50c、ラジエータ32bおよび排湯弁34aが接続されている(図3参照)。制御装置60はマイクロコンピュータ(図示省略)を有しており、マイクロコンピュータは、バスを介してそれぞれ接続された入出力インターフェース、CPU、RAMおよびROM(いずれも図示省略)を備えている。CPUは、燃料電池システムの運転を実施している。RAMは同プログラムの実行に必要な変数を一時的に記憶するものであり、ROMは前記プログラムを記憶するものである。
この制御装置60は、燃料電池24が発電可能な状態において、電力測定装置50cにより検知されるインバータ装置50からの出力電力、および電力測定装置52aにより検知される系統電源51に入出する電力に基づいて外部電力負荷53で消費される消費電力(発電負荷)を算出する。例えば、インバータ装置50からの出力電力と系統電源51に入出する電力との和が消費電力として算出される。制御装置60は、燃料電池24の発電電力が、算出した消費電力となるように、燃料電池モジュール20に供給する原料、水などの供給量を制御する。なお、消費電力が燃料電池24の最大発電電力を超える場合には、燃料電池24は最大発電電力で運転される(すなわち発電負荷は最大発電電力となる。)。
また、制御装置60は、燃料電池システムの全体的な制御を一括集中して行うものであり、燃料電池24を制御したり、補機55の駆動を制御したり、インバータ装置50の駆動を制御したり、補機用電源基板54を制御したりする。制御装置60は、DC/DCコンバータ50a、DC/ACインバータ50bおよび整流回路50fに接続されているので、制御装置60には、待機時でも運転時(起動時(起動制御時)、発電時、停止制御時を含む。)でも常に電圧が供給されている。起動時は起動指令が出てから発電開始するまでの間であり、停止制御時は、停止指令が出てからシステムが停止するまでの間である。待機時は、燃料電池システムの発電停止状態のことであり、発電指示(スタートスイッチのオンなど)を待っている状態のことである。
なお、上述した燃料電池システムにおける導電率について以下説明する。純水器14が正常な場合の純水の導電率は1〜10μS/cmであり、凝縮水の正常な場合の導電率は2〜20μS/cmであり、水道水(貯湯水、給水)の導電率は100〜300μS/cmであり、冠水(雨水、泥水)した場合の導電率は100〜300μS/cm以上である。
そして、正常な場合(水不足が生じていない場合)において、純水タンク13のオーバーフロー水の導電率は1〜10μS/cmであり、純水器14の出口側(純水化後の水)のオーバーフロー水の導電率は1〜10μS/cmであり、純水器14の入口側(純水化前の水)のオーバーフロー水の導電率は1〜20μS/cmである(凝縮水の混入比率により変わる)。なお、純水器14には出口側しかないタイプがある。すなわち、純水器14は、折り返し流路はなく、単なる筒状容器であり、凝縮水供給管46が純水器14内下部まで延設されているタイプである。また、純水器14は、折り返し流路はなく、単なる筒状容器であり、凝縮水供給管46が純水器14の下部に接続されているタイプである。いずれも、凝縮水供給管46から流出する凝縮水が純水器14の下部から上方に向けて流れるようになっている。
次に正常でない場合について説明する。水不足の場合の導電率は、0μS/cmである。冠水の場合の導電率は、100〜300μS/cm以上である(導水管に導電率計が設けられた場合には純水の影響を受けるが、大きくは変わらない)。
排湯弁34aが開の場合の導電率は100〜300μS/cmである。
給水弁14cが開の場合、凝縮器33に熱媒体が漏れ純水器14に流れる場合であって、純水材が正常であれば、純水器14出口側、純水タンク13のオーバーフロー水の導電率は1〜20μS/cmであり、純水器14入口側のオーバーフロー水の導電率は30〜250μS/cmである。一方、純水材が寿命であれば、純水器14出口側、純水タンク14のオーバーフロー水の導電率は100〜300μS/cmであり、貯水器16からの漏水の導電率は1〜10μS/cmである。
凝縮器33からの漏水であって、凝縮水のみの場合の導電率は2〜20μS/cmであり、凝縮器33に熱媒体が漏れた場合の導電率は100〜300μS/cmである。また、純水材が寿命の場合の導電率は初期1〜20μS/cmであり徐々に導電率が上昇する。また、貯湯水配管や給水配管から漏れた場合の導電率は100〜300μS/cmである。
本発明は、使用水(燃料電池モジュール20に供給する水(改質水))より生成水(凝縮水)が多くなり水が余ることを前提としている。このため、前述したように、正常な状態では導電率計は1〜20μS/cm、水タンクや純水器の出口側から溢れ出る水は1〜10μS/cm、純水器の入口側から溢れ出る水は1〜20μS/cmの導電率を示す。水不足が起こった場合、貯水器から水が溢れ出なくなるため導電率は0μS/cmになり、水不足を検知できる。
次に、上述した燃料電池システムの作動について図4を参照して説明する。制御装置60は、図示しない起動スイッチがオンされると、図4に示すフローチャートに対応するプログラムを所定の短時間毎(例えば、10ミリ秒)に実行する。制御装置60は、排水管72に設けられた導電率計72aから導電率を読み込む(ステップ102)。
導電率値が第2所定値より大きく第1所定値未満である場合であって、排湯弁34aへの指示が閉である場合(排湯弁閉指示である場合)、制御装置60は、ステップ104,106,108で「YES」,「閉」,「YES」と判定し、ステップ110で定常運転(または起動運転)を行う(継続する)。
第1所定値は、水道水や冠水を検知してシステム停止する基準であり、30〜80μS/cm(マイクロジーメンス/センチメートル)の所定の値であり、例えば50μS/cmに設定されている。純水器14が劣化していない場合には、純水器14で純水処理された純水の導電率は1〜10μS/cmであり、一般的な水道水の導電率は100〜300μS/cm、洪水などで燃料電池が冠水する場合の泥水の導電率は100〜300μS/cm以上であるので、第1所定値は純水の導電率と冠水時の導電率との間の値に設定されている。なお、凝縮水の正常な場合の導電率は2〜20μS/cmである。
第2所定値は、水不足を検知する基準であり、0.2〜0.8μS/cmの所定値ある。第2所定値は、第1所定値より小さい値に設定されており、例えば0.5μS/cmに設定されている。排水管72に排水が流れていない場合には、導電率計72aは空気の導電率を測定することになるので導電率計72aはほぼ0μS/cmを示す。したがって、第2所定値は、空気の導電率(0μS/cm)と純水器14で純水処理された純水の導電率(1〜10μS/cm)との間の値に設定されている。
ステップ104において、ステップ102で測定した導電率値が第1所定値未満であるか否かを判定する。ステップ106において、制御装置60から排湯弁34aへの制御指示が開指示であるか閉指示であるかを判定する。ステップ108において、ステップ102で測定した導電率値が第2所定値より大きいか否かを判定する。
導電率値が第2所定値以下である場合であって、排湯弁34aへの指示が閉であり、かつ、導電率値が第2所定値以下である状態が第1所定時間以上継続しない場合、制御装置60は、ステップ104,106,108,112で「YES」,「閉」,「NO」,「NO」と判定し、ステップ110で定常運転(または起動運転)を行う。ステップ112において、導電率値が第2所定値以下である状態が第1所定時間以上継続しているか否かを判定する。第1所定時間は、純水タンク13容量から決定される時間である。第2所定値以下である場合、燃料電池24で使用される水に対して凝縮水量が不足しており、継続して水を使用した場合に水タンク13内の水量が減少する。第1所定時間、水タンク13内の水量が減少しても運転継続可能な時間内に設定されている。例えば、第1所定時間は10分と設定される、凝縮水が不足した場合に必要な水量(例えば100cc)が水タンク容量としてあれば10分以内の時間(例えば5分)が設定される。
導電率値が第2所定値以下である場合であって、排湯弁34aへの指示が閉であり、かつ、導電率値が第2所定値以下である状態が第1所定時間以上継続した場合、制御装置60は、ステップ104,106,108,112で「YES」,「閉」,「NO」,「YES」と判定し、燃料電池モジュール20に供給する水が不足すると判断し、ステップ114において回収水を増大させる制御(回収水増大制御)を行う。
回収水増大制御は、具体的には、制御装置60が排湯弁34aを開いて第1熱交換器33で昇温された貯湯水を排水することで、貯湯槽31から低温の貯湯水を第1熱交換器33に供給させて、燃料電池モジュール20に供給する水が増大するように燃料電池システムを制御することである。なお、回収水増大制御停止は、制御装置60が排湯弁34aを閉じることで行われる。また、他の回収水増大制御は、ラジエータ32bを駆動させて第1熱交換器33に供給される貯湯水を冷却するようにしてもよい。また、燃料電池24の発電量を減少するようにしてもよい。発電量を減少させることで熱負荷を低減することで貯湯水の冷却温度(ラジエータ32bで放熱され)を低下することが可能となる。
回収水増大制御は第2所定時間が経過するまで継続して行われる。第2所定時間以上継続して回収水増大制御が行われても、導電率値が第2所定値より大きくならない場合には、制御装置60は、ステップ116,115で「NO」、「YES」と判定し、警告し(ステップ118)、システムを停止する(ステップ120)。
ステップ115の判定処理は、ステップ108の判定処理と同じである。ステップ116において、回収水増大制御が開始されてから第2所定時間が経過したか否かを判定する。制御装置60は、ステップ116で「NO」と判定すれば、プログラムをステップ115に戻し、「YES」と判定すれば、プログラムをステップ118に進める。
なお、第2所定時間を経過する前に、導電率値が第2所定値より大きくなれば(ステップ115で「YES」と判定し)、既定量以上の水が回収可能となったと判定し、制御装置60は、本フローチャートでの今回の処理を終了する。その後、次の処理で制御装置60は、導電率値が第2所定値より大きくなっているので、ステップ108で「YES」と判定し、回収水増大制御を止めて定常運転(または起動運転)を行う(ステップ110)。なお、第2所定時間は、回収水増大制御が開始されても凝縮水の生成量が増大しない場合(導電率値が第2所定値より大きくならない場合)、回収水の生成量増加が不十分と判定するのに適切な時間に設定されている。例えば、通常の水増大制御を行った場合に純水タンク13が既定水位以上となる時間である5分に設定されている。
ステップ118において、制御装置60は、システムを停止するに先立って、停止する旨の警告を行う。この警告は、音声、画像、点灯などで行われる。ステップ120において、制御装置60は、最初に第2接続器50hを遮断させ(開状態とし)、次に原料ポンプ42b、改質水ポンプ41aの駆動を停止することで燃料電池24の発電を停止させ、貯湯水循環ポンプ32a、各ブロワ15,44aの駆動を停止させ、その後、第1接続器50gを遮断させる(開状態とする)。その後、系統連系インバータ制御装置50cは、DC/DCコンバータ50a、DC/ACインバータ50b、およびインバータ用電源DC/DCコンバータ50dの動作を停止する。
導電率値が第1所定値未満である場合であって、排湯弁34aに開指示が行われている場合、制御装置60は、ステップ104,106で「YES」,「開」と判定し、ステップ124にて、排湯弁34aの故障(開かない)であると判定し、排湯弁34aが開かない故障である旨を警告し(ステップ118)、システムを停止する(ステップ120)。
導電率値が第1所定値以上である場合であって、排湯弁34aに開指示が行われている場合(排湯弁開指示である場合)、制御装置60は、ステップ104,122で「NO」,「開」と判定し、ステップ110で定常運転(または起動運転)を行う。
導電率値が第1所定値以上である場合であって、排湯弁34aに閉指示が行われている場合、制御装置60は、ステップ104,122で「NO」,「閉」と判定し、ステップ124にて、排湯弁34aが閉じない故障、貯湯水漏れ、冠水、燃料電池24の劣化のいずれかである旨の判定し、その旨を警告し(ステップ118)、システムを停止する(ステップ120)。
上述した燃料電池システムの作動によれば、燃料電池システムには、燃料電池モジュール20へ供給する水(改質水)をシステム内で回収する水(凝縮水)を効率よく使用し運転が可能である。
本燃料電池システムにおいては、改質用原料、カソードエア、改質水が燃料電池モジュール20に供給され、燃料電池24で発電された電力がインバータ装置50を介して外部負荷電力53に対して電力供給される。燃料電池モジュール20から排出される燃焼排ガスは第1熱交換器33で貯湯水と熱交換され、燃焼排ガスの熱は湯として熱回収されるとともに、燃焼排ガス中の水蒸気は凝縮される。凝縮水は自重で純水器14を流通し改質水のタンク(純水タンク)13へと回収される。
本燃料電池システムでは、水収支(=回収水流量−改質水必要流量)は、図5に示すようになることが実験からわかっている。回収水流量、改質水必要流量いずれも単位時間(本実施の形態では分)あたりの流量である。定格負荷(最大発電量)では、燃焼排ガス温度の第1熱交換器出口温度(第1熱交換器33を流れる貯湯水の温度)が約45℃より高い場合、回収水流量は、改質水必要流量より小さいので、改質水に必要な流量に対して不足する。約45℃より低い場合、回収水流量は、改質水必要流量より大きいので、改質水に必要な流量に対して余る。また、燃焼排ガス温度の第1熱交換器出口温度が低いほど、水収支は大きい。
定格の50%負荷(最大発電量の50%)では、燃焼排ガス温度の第1熱交換器出口温度が約46℃より高い場合、回収水流量は、改質水必要流量より小さいので、改質水に必要な流量に対して不足する。約46℃より低い場合、回収水流量は、改質水必要流量より大きいので、改質水に必要な流量に対して余る。定格の場合に比べて、水収支はほぼ半減する。
定格の25%負荷(最大発電量の25%)では、燃焼排ガス温度の第1熱交換器出口温度が約46℃より高い場合、回収水流量は、改質水必要流量より小さいので、改質水に必要な流量に対して不足する。約46℃より低い場合、回収水流量は、改質水必要流量より大きいので、改質水に必要な流量に対して余る。定格50%の場合に比べて、水収支は小さくなっている。
このように、燃焼排ガス温度(燃焼排ガス温度の第1熱交換器出口温度)により、燃焼排ガス中の飽和水蒸気圧が変化することで凝縮水量が変化する。燃焼排ガス温度が低いほど、回収水流量が増大し、燃焼排ガス温度が水収支0となる温度以下であれば、改質水の必要流量に対して余剰水が発生しオーバーフローライン14aや13bを通って排気管72に余剰水が流通する。このとき、導電率計72aは、凝縮水(回収水)の導電率を検出するので、その値は1〜10μS/cmである。
一方、貯湯水は貯湯槽31の下部から改質水ポンプ32aにて送出され、第1熱交換器33で燃焼排ガス中の顕熱,潜熱を回収した湯を貯湯槽31の上部に熱回収する。貯湯水循環ライン32の第1熱交換器33後に排湯管34が分岐して設けられ、排湯弁34aの開にて排水管72に排水できる構造となっている。貯湯槽31内が高温の湯で満水状態であり、第1熱交換器33への流入温度が高く燃焼排ガスが規定温度まで冷却できず水不足となった場合に排湯弁34aを開き高温の湯を排水し、貯湯槽31に接続されている市水ラインから貯湯槽31へ冷水がされ第1熱交換器33での冷却能力向上,水自立性向上を図るようになっている。
このとき、導電率計72aは大気の導電率を検出することとなり、その導電率値は第2所定値以下(0μS/cm)となる。そのため、回収水不足が検出でき、排湯弁34aの開制御(回収水増大制御)を行って、水自立を図る。この制御にも関わらず、第2所定時間が経過しても導電率計値が1〜10μS/cmへ復帰しない場合は異常としてシステム停止する。
また、上述した実施形態では、純水タンク13にオーバーフローライン13bを設ける代わりに、または設けるとともに、純水器14にオーバーフローライン(第2導水管)14aを設けるようにしてもよい。オーバーフローライン14aの上端は純水器14の上部に接続されている。そのオーバーフローライン14aの接続位置は、配管47の接続位置より高くなるようになっている。オーバーフローライン14aの下端は下方に延ばされ、排水装置70の水受け部材71の上方位置まで延設されている。純水器14からオーバーフローした凝縮水がオーバーフローライン14aを通って排水装置70に導かれるようになっている。オーバーフローライン14aは、貯水器16である純水器14に備えられ純水器14から溢れ出た水を水受け部材71に導く導水管17である。
このとき、水受け部材71は、筐体11内に配設され純水器14から溢れ出た水を受けることが望ましい。水受け部材71の開口部71aの直上には、オーバーフローライン14aの下端が配設されている。これにより、水受け部材71は、純水器14から溢れ出た水をオーバーフローライン14aを介して確実に受けることができる。また、水受け部材71は、少なくとも、純水器14のオーバーフローライン14aの接続位置(純水器14のオーバーフロー口)より下方に配設されている。
なお、オーバーフローライン14aは常設されているわけではないので、破線で示している。また、燃料電池24とインバータ装置50とを接続する電源ライン、電源ライン52、電源ライン52とインバータ装置50とを接続する電源ラインは、常設されているが、電源ラインを表示するために破線で示している。
上述した説明から明らかなように、本実施の形態においては、排水装置70は、燃料電池システムの中で流通する水分を含んだガス(燃焼排ガス)中の水蒸気を液状の熱媒体(貯湯水)との熱交換で凝縮し凝縮水(凝縮水は水として燃料電池モジュール20に供給される)を生成する凝縮器(第1熱交換器33)から供給された凝縮水を貯蔵する貯水器16から溢れ出た水を排出する。導電率計72aは、排水装置70に備えられて排水の導電率を検知する。
これにより、第1に、燃料電池システムの起動運転中または発電運転中において、貯水器16である純水タンク13から水が溢れ出ない場合には、凝縮器33から熱媒体が漏るなどの他の異常がなければ、排水装置70を通って液体が外部に排出されないので、導電率計72aはほぼ0を示す。一方、純水タンク13から水が溢れ出た場合には、その溢れ出た水は排水装置70を通って外部に排水され、その排水の導電率が導電率計72aによって検知される。また、純水タンク13から水が溢れ出るということは、凝縮器33からの凝縮水(回収水)が燃料電池モジュールに供給する水(供給水)より多いということを示しており、一方、純水タンク13から水が溢れ出ないということは、回収水流量が供給水流量(改質水必要流量)と一致しているか少ないということを示している。以上のことから、排水装置70に設けた導電率計72aの検知結果に基づいて、凝縮器33から熱媒体が漏るなどの他の異常がないことを前提に、凝縮器33からの凝縮水(回収水)が燃料電池モジュール20に供給する水(供給水、改質水)より多いか否かを判断することが可能であり、すなわち、燃料電池モジュール20に供給する水が不足しているかを判断することが可能となる。
第2に、燃料電池システムが冠水した場合、外部の水(例えば洪水時の水:一般的に正常状態の燃料電池システムの回収水より導電率が高い)が排水装置70内に浸入する(逆流する)と、その外部の水は導電率が高いので、導電率計72aの測定値が比較的高くなる。したがって、このことを利用することで、外部の水が排水装置70内に浸入することすなわち燃料電池システムの冠水を確実かつ的確に検出することが可能であり、この検出時から時間をおかないで燃料電池システムを早期に停止することが可能となる。そうすると、さらに冠水が進んで、導電率計72aより上方に配設されたインバータ装置59を含む漏電可能部位が浸水する前に、燃料電池システムを停止することができ、ひいては漏電可能部位が浸水しても漏電可能部位からの漏電を抑制することができる。
第3に、燃料電池24が劣化、故障して燃料電池24の電極の触媒の細粒などが燃焼排ガスに含まれて導出された場合、凝縮器33で凝縮された凝縮水中の電解質が増大し凝縮水の導電率は増大する。さらに、その導電率の比較的高い水(凝縮水)が純水タンク13から溢れ出た場合には、その溢れ出た水は排水装置70を通って外部に排水され、その排水の導電率が導電率計72aによって検知される。このとき、正常な凝縮水より高い導電率を導電率計72aが検知するので、排水装置70に設けた導電率計72aの検知結果に基づいて、凝縮器33から熱媒体が漏るなどの他の異常がないことを前提に、燃料電池24の劣化、故障を判断することが可能となる。そして、燃料電池24が劣化や故障していると判断した場合には、燃料電池システムを停止することが可能となる。
第4に凝縮器33内のガスラインと熱媒体ライン(貯湯水循環ライン32)の間の隔壁が破れ、熱媒体(貯湯水)が凝縮水ライン(凝縮水供給管46)に流入するような異常に関しても、溢れた水が導電率計72aが正常な凝縮水より高い導電率を検知することで、排水装置70に設けた導電率計72aの検知結果に基づいて燃料電池システムを停止することができる。これにより、導電率の高い水を燃料電池モジュール20に送ることによる劣化,故障を防ぐことが可能である。
また、一つの導電率計13aを使用することで、コスト上昇を招くことなく、上述した水自立の確保、冠水の的確な検知、燃料電池劣化の的確な検知を可能とする。
また、燃料電池モジュール20、凝縮器33、貯水器16および排水装置70は筐体11内に配設され、排水装置70は、貯水器16から溢れ出た水を少なくとも受ける水受け部材71と、受けた水を水受け部材71から筐体11の外部に排出する排水管72とを備えている。これにより、筐体11内に燃料電池モジュール20、凝縮器33、貯水器16および排水装置70が配設された燃料電池システムにおいて、前述と同様な作用・効果を得ることができる。
また、貯水器16である純水タンク13に備えられ純水タンク13から溢れ出た水を水受け部材71に導く導水管17であるオーバーフローライン(第1導水管)13bをさらに備えたので、純水タンク13から溢れ出た水を確実に排水装置70に導くことができ、ひいては、燃料電池モジュール20に供給する水が不足しているかを判断することが可能となる。
また、貯水器16である純水器14に備えられ純水器14から溢れ出た水を水受け部材71に導く導水管17であるオーバーフローライン(第2導水管)14aをさらに備えている。これにより、純水器14から溢れ出た水を確実に排水装置70に導くことができ、ひいては、燃料電池モジュール20に供給する水が不足しているかを判断することが可能となる。
また、貯水器16は、凝縮器33から供給された凝縮水を純水化する純水器14と、純水器14から供給された純水と貯水する水タンク13を備え、水タンク13に備えられ水タンク13から溢れ出た水を水受け部材に導く第1導水管13b、純水器14に備えられ純水器14から溢れ出た水を水受け部材に導く第2導水管14aのうち少なくとも一方を導水管17として備えた。これにより、水タンク13から溢れ出た水を第1導水管13bにより確実に排水装置70に導くことができ、純水器14から溢れ出た水を第2導水管14aにより確実に排水装置70に導くことができ、ひいては、燃料電池モジュール20に供給する水が不足しているかを判断することが可能となる。
また、貯湯水を貯水し、高温の貯湯水を上部から給湯しその減少分だけ低温の補給水を下部から補給する貯湯槽31と、貯湯槽31の下部に一端が接続され貯湯槽31の上部に他端が接続され途中に凝縮器33が設けられるとともに、貯湯水を熱媒体として凝縮器33に供給する貯湯水循環ライン32と、貯湯槽31の貯湯水入口と凝縮器33の貯湯水出口との間の貯湯水循環ライン32に接続され凝縮器33で熱交換された後の貯湯水を排水装置に排水する排湯管34と、排湯管34に備えられ排湯管34を開閉する排湯弁34aと、をさらに備えた。これにより、排湯弁34aを開くと、凝縮器33で昇温された熱媒体は、貯湯槽31に戻らないで排湯管34を通って外部に排出される。これに伴って、貯湯槽31の下部から低温の補給水が供給され、その低温の補給水が凝縮器33に供給される。凝縮器33では、低温の熱媒体により凝縮水の生成量が増大する。したがって、凝縮器33からの凝縮水(回収水)が燃料電池モジュール20に供給する水(供給水)より少ない場合、すなわち、燃料電池モジュール20に供給する水が不足している場合、排湯弁34aを開くことで、凝縮水の供給量を増大させて、燃料電池モジュール20に供給する水の不足を解消することができる。
また、導電率計72aで計測した導電率値に基づいて燃料電池システムの運転を制御する制御装置60をさらに備え、制御装置60は、排水装置70の排水の導電率値が第1所定値以上となった場合、燃料電池システムを停止する。これにより、凝縮器33や凝縮器33に熱媒体を供給する供給管などの熱媒体が流れる部材から熱媒体が漏れたこと、燃料電池システムが冠水したこと、燃料電池24が劣化、故障したことを検出した場合、燃料電池システムを確実に停止することができる。
また、導電率計72aで計測した導電率値に基づいて燃料電池システムの運転を制御する制御装置60をさらに備え、制御装置60は、排水装置70の排水の導電率値が第2所定値以下である場合、燃料電池モジュール20に供給する水が不足していると判断し、燃料電池モジュール20に供給する水が増大するように燃料電池システムを制御する。これにより、燃料電池モジュール20に供給する水が不足していることを確実に判断することができる。そして、貯湯槽31が熱余り状態である場合であっても、排湯弁34aを開いて凝縮器33で昇温された貯湯水を排水することで貯湯槽31から低温の貯湯水を凝縮器33に供給させることで、回収される凝縮水を増大させて燃料電池モジュール20へ供給する水の不足を確実に解消することができる。
また、導電率計72aで計測した導電率値に基づいて燃料電池システムの運転を制御する制御装置60をさらに備え、制御装置60は、排湯弁34aに閉指示をしたにも拘わらず、排水装置70の排水の導電率値が第3所定値以上である場合、または、排湯弁34aに開指示をしたにも拘わらず、排水装置70の排水の導電率値が第4所定値以下である場合、燃料電池システムを停止する。これにより、排湯弁34aの異常を的確に判断して、燃料電池システムを適切に停止することができる。なお、第3所定値は、排湯弁閉動作異常を検知する基準である。第3所定値は、30〜80μS/cmの所定の値であり、例えば、60μS/cmに設定されている。第3所定値は、第1所定値と同じでも、異なっていても良い。第4所定値は、排湯弁開動作異常を検知する基準である。第4所定値は、30〜80μS/cmの所定の値であり、例えば、70μS/cmに設定されている。第4所定値は、第1所定値や第3所定値と同じでも、異なっていても良い。
なお、第3所定値と第4所定値が第1所定値と同じである場合には、上述した図4のフローチャートを使用できる。すなわち、排湯弁34aに閉指示をしたにも拘わらず、排水装置70の排水の導電率値が第1所定値(第3所定値)以上である場合には、制御装置60は、ステップ104,122で「NO」、「Y閉」と判定しプログラムをステップ124に進める。排湯弁34aに開指示をしたにも拘わらず、排水装置70の排水の導電率値が第1所定値(第4所定値)以下である場合には、制御装置60は、ステップ104,122で「YES」、「開」と判定しプログラムをステップ124に進める。また、第3所定値と第4所定値が第1所定値と異なる場合には、排湯弁34aに閉指示をしたにも拘わらず、排水装置70の排水の導電率値が第3所定値以上である場合には、制御装置60は、ステップ124以降の処理を行うようにすればよい。排湯弁34aに開指示をしたにも拘わらず、排水装置70の排水の導電率値が第4所定値以下である場合には、制御装置60は、ステップ124以降の処理を行うようにすればよい。
また、凝縮器33から供給された凝縮水を純水化した後で純水タンク13に供給する純水器14をさらに備え、水受け部材71は、さらに純水器14から溢れ出た水を少なくとも受けるように構成されている。これにより、純水器14が劣化した場合、凝縮器33で凝縮された凝縮水中の電解質は純水器14で取り除かれないので、純水タンク13に供給された凝縮水の導電率は大きい値となる。さらに、その導電率の比較的高い水(凝縮水)が純水タンク13から溢れ出た場合には、その溢れ出た水は排水装置70を通って外部に排水され、その排水の導電率が導電率計72aによって検知される。このとき、正常な純水器14で純水化された凝縮水より高い導電率を導電率計72aが検知するので、排水装置70に設けた導電率計72aの検知結果に基づいて、凝縮器33から熱媒体が漏るなどの他の異常がないことを前提に、純水器14の劣化を判断することが可能となる。そして、純水器14が劣化していると判断した場合には、燃料電池システムを停止することが可能となる。
なお、上述した実施の形態において、水受け部材71の代わりに、図6に示すように、貯水器16である純水タンク13の下方に純水タンク13を覆うように配設され、純水タンク13から溢れ出てまたは漏れて落水する水を受けるように構成されている水受け部材73を使用するようにしてもよい。水受け部材73が、純水タンク13から漏れたり溢れ出て落水する水を確実に受けて排水することができ、それらの液体の導電率を確実に検知することができる。
また、水受け部材73は、さらに、凝縮器33の下方に凝縮器33を覆うように配設され、凝縮器33から漏れて落水する熱媒体(貯湯水)を受けるように構成されるようにしてもよい。これにより、凝縮器33や凝縮器33に熱媒体を供給する供給管(貯湯水循環ライン32のうち筐体11内に配設されている部分)などの熱媒体が流れる部材から熱媒体が漏れた場合、その漏れた熱媒体は排水装置70を通って外部に排水され、その排水の導電率が導電率計72aによって検知される。一般的に、前記熱媒体の導電率は、正常な凝縮器33で凝縮された凝縮水の導電率より大きい。すなわち、正常な凝縮水より高い導電率を導電率計72aが検知した場合、凝縮器33や凝縮器33に熱媒体を供給する供給管などの熱媒体が流れる部材から熱媒体が漏れた可能性があると判断することが可能となる。そして、熱媒体が漏れたと判断した場合には、燃料電池システムを停止することが可能となる。なお、熱媒体が凝縮器33から漏れるためには凝縮器33内の熱媒体配管が破損し、熱媒体配管から熱媒体が排ガス側に漏れていることが前提である。
また、水受け部材73は、さらに、貯水器16である純水器14の下方に純水器14を覆うように配設され、純水器14から溢れ出てまたは漏れて落水する水を受けるように構成されている。これにより、水受け部材73が、純水器14から漏れたり溢れ出て落水する水を確実に受けて排水することができ、それらの液体の導電率を確実に検知することができる。なお、熱媒体が凝縮器33から漏れるためには凝縮器33内の熱媒体配管が破損し、熱媒体配管から熱媒体が排ガス側に漏れていることが前提である。
また、前述した水受け部材73は、一つの水受け部材が、純水タンク13、純水器14、凝縮器33から漏れた液体とオーバーフローライン13b、14aからの液体の両方を受けるように構成されているが、純水タンク13、純水器14、凝縮器33から漏れた液体を受ける水受け部材とオーバーフローライン13b、14aからの液体の両方を受ける水受け部材の二つの水受け部材から構成されるようにしてもよい。この場合、いずれか一方が他方の水を受けるように構成し一方に排水管72を設けるようにすればよい。また、二つの水受け部材から水を受けるもう一つの水受け部材を設け、その水受け部材に排水管72を設けるようにすればよい。
また、上述した水自立制御が行われていないシステムにおいても本発明を適用できる。そのシステムにおいては、図7に示すように、水道水など外部の水が回収水系(凝縮器33から純水タンク13の間)に供給されるようになっている。すなわち、純水器14に給水管14bが接続されており、水道水が給水管14bを通して純水器14に供給されるようになっている。給水管14bには給水弁14cが設けられており、その開閉が制御装置60の指令によって制御されている。また、純水タンク13内には、容器内の液体(本実施の形態では純水)の導電率を検知する導電率計13aが備えられている。導電率計13aの検知結果は、制御装置60に送信されるようになっている。導電率計13aは、水自立制御が行われていない場合において、純水器14の劣化、燃料電池24の劣化を検知するためのものである。
また、液体の導電率を検知する導電率計13aを容器内に備えた純水タンク13が、燃料電池システム内であって系統電源51からインバータ装置50までの交流電流系統56のうち浸水することで漏電する可能性のある漏電可能部位より下方に設置されている。これにより、燃料電池システムが冠水した場合、外部の水(例えば洪水時の水:一般的に正常状態の燃料電池システムの回収水や水道水より導電率が高い)が、オーバーフローライン13bを逆流したり純水タンク13の上部から流入するなどして純水タンク13内に浸入すると、その外部の水は導電率が高いので、導電率計13aの測定値がそれまでの値(外部の水が進水する前の純水タンク13a内の液体の値)より高くなる。したがって、このことを利用することで、外部の水が純水タンク13内に浸入することすなわち燃料電池システムの冠水を確実かつ的確に検出することが可能であり、この検出時から時間をおかないで燃料電池システムを早期に停止(電力変換装置の停止も含む)することが可能となる。
また、冠水時は導電率計13aより導電率計72aの方が下方にあるため、導電率計13aより早期に検知可能である。また、給水弁14cが故障時の検知が可能である。具体的には、閉指示に関わらず開いている故障(開故障)の検知が可能である。すなわち、水道水が多量に入ることで純水器14が早期に劣化し、純水タンク13内の導電率が増大し導電率が第1所定値以上に上がった場合に、検知・停止が可能である。さらに、開指示に関わらず閉じている故障(閉故障)の検知が可能である。すなわち、排湯弁のモードと同等に、水補給しているのに水不足が解消されないことを検知して停止することが可能である。
なお、導電率計72aは、配水管72のうち筐体11の外に出ている部分に設けてもよい。また、排水装置70は筐体11の外に配置するようにしてもよい。
また、本発明は、高分子電解質型燃料電池を備えた燃料電池システムでも適用することができる。この場合、燃焼排ガスの凝縮器以外に、改質ガス凝縮器、オフガス凝縮器が存在する。改質ガス凝縮器とオフガス凝縮器だけで水(凝縮水)が余る。