JP5380931B2 - メチレン架橋ポリフェニルポリイソシアネートの製造方法 - Google Patents

メチレン架橋ポリフェニルポリイソシアネートの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、メチレン架橋ポリフェニルポリイソシアネートの製造方法に関する。
ポリウレタンフォームなどの原料となるメチレン架橋ポリフェニルポリイソシアネート(以下、必要に応じて、ポリMDIと記載)は、工業的には、ポリメチレンポリフェニルポリアミンを不活性溶媒の存在下、ホスゲンと反応させること(ホスゲン化反応)によって製造される。その後、減圧蒸留によってジフェニルメタンジイソシアネート(以下、必要に応じて、単にMDIと記載)を分離し、所定量のMDIを含有するポリMDIに調整することもできる。しかし、このような方法によって得られたポリMDIは、不純物として酸分や加水分解性塩素含有化合物を含んでおり、これらの不純物が多いと、ウレタン製造時の反応性が悪くなることが知られている。そこで、このような不純物を低減するために、従来、減圧下での加熱処理が行われていた。
しかし、上述したような加熱処理を行うとポリMDIの色相が悪化し、ウレタン製品の着色原因となる。このように、加熱処理によってポリMDIの色相が悪化する理由は、ホスゲン化反応で副生したウレア化合物が、加熱によって、反応液中に残存するホスゲンと反応してウレアホスゲン化物(着色誘発物質)に変化(もしくは生成)するためと考えられている。
ところで、従来から、ポリアミンとホスゲンの反応液に塩化水素を導入し、塩化水素の存在下で加熱処理を行うと、ポリMDIの色相悪化を抑制できることが知られている。例えば、特許文献1には、ホスゲン化反応後の反応液から140℃以下の温度条件で残存ホスゲンを除去した後、塩化水素ガスの存在下で140℃以上の温度に加熱する方法が開示されている。
また、一方で、反応液に塩化水素を導入せず、その代わりに、ホスゲン化反応や残存ホスゲンの除去における溶液温度を比較的低い温度に抑えることによって、ポリMDIの色相を改善する方法も知られている。例えば、特許文献2には、ホスゲン化反応を120℃以下で行い、その後、100〜120℃で残存ホスゲンを反応液から除去する方法が開示されている。
特開平7−233136号公報 特開平7−316122号公報
前記特許文献1に記載の方法のように、ホスゲン化反応後の反応液に塩化水素を導入することによってポリMDIの色相を改善することは確かに可能であるが、塩化水素導入のための工程が別に必要となるためにコストアップにつながる。また、塩化水素を扱うポンプ等、塩化水素導入のための専用の装置が必要となるし、塩化水素の使用によりプラント設備の腐食も発生しやすくなる。以上の観点からは、塩化水素を導入することなくポリMDIの色相改善を行うことが望ましい。
一方、前記特許文献2に記載の方法では、ホスゲン化反応工程や残存ホスゲンの除去工程において温度を低く抑えているものの、それでも、副生したウレア化合物と残存ホスゲンとが100℃以上で共存することになる。しかし、本願発明者らの検討によって、このような温度条件下では、実際には、副生したウレア化合物と残存ホスゲンとの反応がやはり進行して着色誘発物質が生じてしまい、色相改善が不十分となることがわかった。
本発明の目的は、塩化水素を外部から導入しなくとも、高い色相改善効果が得られる、メチレン架橋ポリフェニルポリイソシアネートの製造方法を提供することである。
本発明のメチレン架橋ポリフェニレンポリイソシアネートの製造方法は、ポリメチレンポリフェニルポリアミンを不活性溶媒の存在下、ホスゲンと反応させてメチレン架橋ポリフェニレンポリイソシアネートを製造する方法において、50℃〜93℃でポリメチレンポリフェニルポリアミンとホスゲンとを反応させるホスゲン化反応工程と、前記ホスゲン化反応工程で得られた反応液から、50℃〜93℃で残存ホスゲンを除去する除去工程とを備えることを特徴とするものである。
本発明のメチレン架橋ポリフェニレンポリイソシアネートの製造方法においては、前記ホスゲン化反応工程において、60℃〜80℃でポリメチレンポリフェニルポリアミンとホスゲンとを反応させ、且つ、前記除去工程において、60℃〜80℃で残存ホスゲンを除去することが好ましい。
本発明のメチレン架橋ポリフェニレンポリイソシアネートの製造方法においては、前記除去工程において、前記ホスゲン化反応工程よりも低い圧力条件下で、残存ホスゲンを除去することが好ましい。
本発明のメチレン架橋ポリフェニレンポリイソシアネートの製造方法においては、前記ホスゲン化反応工程において、50kPa・G〜250kPa・Gの圧力条件下でポリメチレンポリフェニルポリアミンとホスゲンとを反応させ、前記除去工程においては、常圧以下まで減圧して、残存ホスゲンを除去することが好ましい。尚、本願中において「常圧」とは、地球上の通常の圧力、即ち、1気圧(0kPa・G)のことをいう。
本発明のメチレン架橋ポリフェニレンポリイソシアネートの製造方法においては、前記除去工程において、前記反応液に不活性ガスを導入することにより、前記反応液から残存ホスゲンを除去することが好ましい。
本発明のメチレン架橋ポリフェニレンポリイソシアネートの製造方法においては、前記除去工程において、常圧以下まで減圧することにより、前記反応液から残存ホスゲンを除去することが好ましく、−95kPa・G〜−50kPa・Gまで減圧することにより、前記反応液から残存ホスゲンを除去することがさらに好ましい。
本発明によれば、50℃〜93℃でポリメチレンポリフェニルポリアミンとホスゲンとを反応させた後、得られた反応液から50℃〜93℃で残存ホスゲンを除去する。つまり、ホスゲン化反応工程や残存ホスゲンの除去工程において、反応液の温度を93℃以下にすることによって、ホスゲン化反応で副生するウレア化合物と残存ホスゲンとの副反応が大きく進行すると考えられる、100℃以上の温度で、両者を共存させないことになる。これにより、反応液への塩化水素の導入を行うことなく、ポリMDIの十分な色相改善が可能となる。
次に、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
本実施形態のメチレン架橋ポリフェニレンポリイソシアネートの製造方法は、ポリメチレンポリフェニルポリアミンとホスゲンとを反応させた後(ホスゲン化反応工程)、ホスゲン化反応後の反応液から残存ホスゲンを除去する(除去工程)。その後、濃縮してジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を分離することも可能である。
(ホスゲン化反応工程)
ホスゲン化反応工程で使用されるポリメチレンポリフェニルポリアミン(以下、ポリMDAともいう)は、下記一般式(化1)で表される。このポリMDAの製法は特に限定されるものではないが、一般的には、酸触媒の存在下でのアニリンとホルムアルデヒドの付加縮合によって得られる。尚、下記式(化1)中のnは、0又は1以上の整数を表している。
Figure 0005380931
上記において、n=0の場合は、一般式(化1)で表されるポリアミンは、メチレンジアニリン(MDA)であり2核体に相当する。また、n=1の場合は3核体、n=2の場合は4核体であり、n=mの場合は(m+2)核体となる。上記一般式(化1)で表されるポリアミンは、アニリンに由来する骨格(1つのアミノ基と1つのベンゼン環からなる骨格)の数が異なるものの混合物であってもよい。即ち、2核体、3核体、4核体、5核体、及び、それ以上の多核体の混合物であってもよい。
ホスゲン化反応は、上記ポリMDAを不活性溶媒に溶解させ、これにホスゲンを導入することによって行うことができる。ここで、使用可能な不活性溶媒としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、クロロトルエン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素、酢酸ブチル、酢酸アミル等のエステル類、メチルイソブチルケトン等のケトン類等が挙げられる。また、ホスゲン化の手法は特に限定されるものではなく、塩酸塩法、冷熱2段法、ホスゲン加圧法等の公知の方法を用いて行うことができる。また、バッチ的に反応を生じさせることも可能であるが、工業的見地からは、連続的に反応を生じさせる方法が好ましい。
ポリアミンのホスゲン化反応は、以下の主反応4式(1)〜(4)で表すことができる。尚、下記式(1)〜(4)中のRは、一般式(化1)において、アミノ基を除いた残基を示す。
(1)R−NH+COCl→R−NHCOCl+HCl
(2)R−NH+HCl→R−NH・HCl
(3)R−NH・HCl+COCl→R−NHCOCl+2HCl
(4)R−NHCOCl→R−NCO+HCl
上記(1)〜(4)で表される反応が進行することによって、生成される物質は、下記一般式(化2)で表される、メチレン架橋ポリフェニルポリイソシアネートである。尚、下記一般式(化2)中のnは、0又は1以上の整数を表しており、n=0のときはモノメリックMDI(2核体)であり、n≧1のときはポリメリックMDI(3核体以上)である。また、一般式(化1)で表されるポリアミンが多核体の混合物である場合には、一般式(化2)で表される物質も多核体の混合物となる。
Figure 0005380931
ここで、ホスゲン化反応を生じさせるときの温度(反応液温度)は、50℃〜100℃が好ましく、60℃〜80℃がより好ましい。
温度が100℃を超えると、色相悪化の原因となる着色誘発物質が生成されるのを十分に抑制できない。この理由は以下のように推測される。
ホスゲン化反応工程においては、上記式(1)〜(4)の主反応の他、下記式(5)で示される副反応も進行することが考えられる。
(5)2R−NH+COCl→R−NHCONH−R+2HCl
ここで、式(5)の右辺のR−NHCONH−Rは、ホスゲン化反応時に副生するウレア化合物であり、反応液中で不純物として存在するが、ウレア化合物自体はポリMDIの色相には影響を及ぼさない物質である。
しかし、反応液中にホスゲン(COCl)が残存している状態で、反応液の温度が100℃を超えると、さらに副反応が進行するようになる。即ち、ウレア化合物(R−NHCONH−R)が残存ホスゲンと反応して、着色誘発物質であるウレアホスゲン化物が生成する。
つまり、1)反応液中にホスゲンが残存している、2)反応液温度が100℃を超える、の2つの条件が満たされている場合に、着色誘発物質が生成されることになる。ここで、ホスゲン化反応工程においては、その主反応(特に、上記式(1)及び(3))を進行させるためにホスゲンが必要であることから、反応液中にはホスゲンを存在させる必要があり、上記1)の条件は必然的に満たされる。そこで、上記2)の条件を満たさないように、反応液温度を100℃以下とすることが好ましいのである。
尚、少し補足すると、先にも述べたように、従来技術(例えば、特許文献1)として、ホスゲン化反応時に、塩化水素を反応液に導入することにより、着色を抑制する技術が知られている。これは、ウレア化合物とホスゲンとの反応によって得られた、ウレアホスゲン化物(着色誘発物質)に塩化水素を添加することによって、ウレアホスゲン化物を、着色に関して無害な別の物質に変化させることができるためである。このように、塩化水素を添加する場合には、ウレアホスゲン化物が生成されても問題ないことから、100℃以下まで温度を低くしてウレア化合物とホスゲンとの反応を抑える必要はさほどない。一方、本実施形態では、外部から塩化水素を導入しない代わりに、温度を低く抑えることによって、ウレア化合物とホスゲンとの反応を抑制しているのである。
一方、反応液の温度が低いと着色誘発物質の生成を抑制するという点では有利であるが、あまり温度が低いとホスゲン化反応の進行速度が非常に遅くなるために、工業的には不適である。従って、実際の製造工程に適用しうる現実的な反応速度を考慮して、ホスゲン化反応工程の温度は50℃以上であることが好ましい。
尚、上記式(5)で副生するウレア化合物は、それ自体は色相に影響を及ぼさない物質であり、ウレア化合物のままで存在する限り(ホスゲンと反応してウレアホスゲン化物にならない限り)、色相に関して無害である。しかし、ポリMDIを製造する上では不純物であることには変わらず、不純物であるウレア化合物の生成を少なくするためには式(5)の反応をできるだけ抑制することが好ましい。ここで、式(5)の反応は、加圧条件下では進行しにくいことが知られている。そこで、このホスゲン化反応工程においては、50kPa・G〜250kPa・Gの加圧条件下で、ポリアミンとホスゲンの反応を進行させることが好ましい。
(除去工程)
上記ホスゲン化反応工程で得られた反応液中には、通常、未反応のホスゲンが残存している。そのため、上述のホスゲン化反応工程で着色誘発物質の生成を抑制できたとしても、未反応ホスゲンが残存した状態のまま、後工程(減圧蒸留等)へ移行して加熱処理がなされると、反応液中のウレア化合物と残存ホスゲンが反応し(式(5))、着色誘発物質の生成が行われてしまう。そこで、この除去工程において、反応液から未反応の残存ホスゲンを除去する。
反応液から残存ホスゲンを除去する方法としては、反応液に窒素、ヘリウム、アルゴン等の、反応液と反応しない不活性ガスを導入する方法や、雰囲気圧力を常圧以下まで減圧して反応液中のホスゲンを気化させる方法等を採用できる。さらに、不活性ガスの導入と減圧の両方を組み合わせてもよい。
また、この除去工程中の反応液の温度も、上記ホスゲン化反応工程と同様に、50℃〜100℃が好ましく、60℃〜80℃がより好ましい。
温度を100℃以下とする理由は、ホスゲン化反応工程と同じく、着色誘発物質の生成を抑制するためである。即ち、上記式(5)の反応によって生成したウレア化合物が、残存ホスゲンと反応することをできるだけ抑制するために、反応液温度を100℃以下とすることが好ましい。
一方、反応液の温度が低すぎると、反応液中のホスゲンが気化しにくくなり、ホスゲンを効果的に除去することができない。この観点から、除去工程における反応液温度は50℃以上とすることが好ましい。
また、先に述べたように、副反応(式(5))抑制の観点からホスゲン化反応を加圧条件下で行った場合には、この除去工程おいて減圧し、ホスゲン化反応工程よりも低い圧力条件下で、残存ホスゲンを除去することが好ましい。具体的には、常圧以下の圧力まで減圧することが好ましい。
尚、上記ホスゲン化反応工程で説明した主反応(1)〜(4)のうち、実際にホスゲン(COCl)を要する反応は、式(1)と式(3)のみである。従って、まず、ホスゲン化反応を加圧条件下で行い、ウレア化合物の生成を抑制しながら式(1)〜(3)の反応を生じさせる(式(4)の反応もある程度進行する)。その後、ホスゲンを要する式(3)の反応がほぼ完了した段階で減圧し、低圧条件下で残存ホスゲンの除去を行いつつ、同時に式(4)の反応を進行させるという流れになる。
このように、残存ホスゲンの除去を低圧条件下で行うと、反応液中のホスゲンの気化が促進されるため、残存ホスゲンの除去をより効率よく行うことができる。
また、イソシアネートを生成する反応である式(4)(R−NHCOCl→R−NCO+HCl)は、塩化水素(HCl)を生成する反応でもある。一方で、雰囲気圧力が低圧であるほど反応液中に含まれる塩化水素が気化しやすく、反応液中の塩化水素が減少する傾向をとる。従って、除去工程で減圧することによって、反応液中の塩化水素が減少して、塩化水素を生成する式(4)の反応が進行し、その結果、イソシアネートの生成(NHCOCl→NCO)が促進される。この観点からも、除去工程において減圧し、低圧条件下で残存ホスゲンの除去を行うことが好ましい。
以上のようにしてポリMDIを得る。また、反応液から未反応の残存ホスゲンを除去した後、この反応液を濃縮して、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を分離し、ポリMDIを得ることも可能である。尚、この段階では既に残存ホスゲンが除去されているため、反応液を加熱(例えば、200℃以上)しても、着色誘発物質が生成されることはない。
以上説明したように、本実施形態によれば、50℃〜100℃でポリメチレンポリフェニルポリアミンとホスゲンとを反応させた後、50℃〜100℃で反応液から残存ホスゲンを除去する。つまり、ホスゲン化反応工程や残存ホスゲンの除去工程において、反応液の温度を100℃以下にすることにより、ホスゲン化反応で副生するウレア化合物と残存ホスゲンとの副反応が大きく進行すると考えられる100℃以上の温度で、両者を共存させないことになる。これにより、反応液への塩化水素の導入を行うことなく、十分な色相改善が可能となる。
尚、さらなる着色改善のために、反応液へのフェノール系や亜燐酸系の酸化防止剤や金属水素化物(ボラン)などの還元剤の添加や、アルコールあるいは水の添加といった、従来から知られた着色改善方法を併用してもよい。
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施例によって何ら限定して解釈されるものではない。また、以下の説明において,特段の記載がない限り、「%」は「質量%」を示す。
以下の実施例及び比較例では、ポリMDAとして、アミン基濃度:9.5mol/kg、2,2’体及び2,4’体:14.3質量%、4,4’体:53.4質量%、3核体:32質量%、のものを使用した。
<実施例1〜3>
実施例1〜3では、以下の1)〜5)の工程を経て、ポリMDIを製造し、それぞれの色相を測定した。
1)熱交換器を備えた3Lの加圧反応容器にクロロベンゼン700gを仕込み、容器内を10℃に冷却した後、容器内を撹拌しながらホスゲン132gを吹き込んだ。
2)次に、ホスゲン/クロロベンゼン溶液が入った容器内の圧力を120kPa・Gとした後、30℃に調整したポリMDAのモノクロロベンゼン溶液(ポリMDA濃度10%)700gを容器内に一気に仕込み、混合撹拌した。
3)上記混合後、直ちに混合液を所定の反応温度まで上昇させ、この反応温度を90分保持してホスゲン化反応を行った。尚、この反応温度は、実施例1では65℃、実施例2では78℃、実施例3では93℃とした。
4)次に、容器内の圧力を常圧(0kPa・G)まで下げ、前記反応温度を維持したまま、窒素を3L/minで通気することにより残存ホスゲンの除去を70分間かけて行った。尚、上記の窒素通気時間は、反応液中のホスゲン量が所定濃度(800ppm以下、より好ましくは300ppm以下)となるように設定されている。
5)ホスゲン除去後、130℃/20torrでモノクロロベンゼンを留去させ、さらに、得られた濃縮液を窒素通気下、220℃で10分保持後、即座に60℃まで冷却し、得られたポリMDIの溶液色を目視にて測定した。
<実施例4,5>
実施例4,5では、ホスゲン化反応後に、反応温度(実施例4では65℃、実施例5では78℃)と反応圧力(120kPa・G)を維持し(つまり、容器内を常圧まで減圧せずに加圧状態のままで)、窒素を3L/minで通気することにより残存ホスゲンの除去を行った。但し、これらの実施例4,5においては、溶液中に残存するホスゲンを、前記実施例1〜3と同等の濃度以下まで除去するのに190分の窒素通気が必要であった。それ以外の条件については、前記実施例1〜3と同じである。
<比較例1〜4>
比較例1〜4では、前記実施例1〜3と、ホスゲン化反応時の温度、及び、その後の残存ホスゲン除去時の温度をそれぞれ異ならせた。具体的には、ホスゲン化反応温度は、比較例1では78℃、比較例2では105℃、比較例3では115℃、比較例4では115℃とした。また、ホスゲン除去時の温度は、比較例1では115℃、比較例2では105℃、比較例3では115℃、比較例4では78℃とした。それ以外の条件については、前記実施例1〜3と同じである。
<溶液色測定方法>
450mlの無色透明瓶に、上述した実施例1〜5、及び、比較例1〜4によってそれぞれ得られた試料2gとアセトン400mlを加えて溶解し、23℃で溶液色を目視にて測定した。値はAPHA(ハーゼン単位色数)で示した。
<検証>
以上の実施例1〜5と比較例1〜4のそれぞれについて、ホスゲン化反応条件及びホスゲン除去条件と、得られたポリMDI溶液の色相をまとめたものを表1に示す。
Figure 0005380931
表1に示すように、ホスゲン化反応とホスゲン除去の両方を100℃以下の温度で行う実施例1〜5では、ホスゲン化反応と残存ホスゲン除去の一方又は両方において溶液温度が100℃〜120℃となる比較例1〜4と比べて、色相が大幅に改善されていることがわかる。
また、ホスゲン化反応温度とホスゲン除去時の処理温度を、60℃〜80℃の範囲とした実施例1,2,4,5では、これらよりも温度の高い実施例3と比べて、色相がさらに改善していることがわかる。色相が低いほど、そのMDIを使用したポリウレタンフォーム等の成形品の色が良好となることから、ホスゲン化反応温度とホスゲン除去温度は、60℃〜80℃であることがより好ましい。
また、実施例4,5は、実施例1,2と比較して、ホスゲン除去時に常圧まで減圧していない点で異なるものの、ホスゲン化反応温度とホスゲン除去時の処理温度は60℃〜80℃となっており、得られたポリMDIの色相は実施例1,2と同程度となっている。つまり、色相の良好なポリMDIを得るという観点からは、ホスゲン除去時の減圧は必須ではない。しかし、上述したように、ホスゲン除去時に減圧しない実施例4,5では、ホスゲンを効率よく除去することができず、残存ホスゲン除去に要する時間が長くなってしまう。従って、処理時間を短縮するという観点からは、実施例1,2のように、ホスゲン除去時に減圧することが好ましい。
本発明により得ることが可能となった、着色の極めて少ないポリMDIは、該ポリMDIを原料とする分野(バインダー等)、又は、該ポリMDIを原料として得られるポリウレタン樹脂が用いられるあらゆる分野(発泡体、塗料、接着剤、シーラント、エラストマー等)において、低着色が要求される場合に有用である。

Claims (6)

  1. ポリメチレンポリフェニルポリアミンを不活性溶媒の存在下、ホスゲンと反応させてメチレン架橋ポリフェニレンポリイソシアネートを製造する方法において、
    50℃〜93℃でポリメチレンポリフェニルポリアミンとホスゲンとを反応させるホスゲン化反応工程と、
    前記ホスゲン化反応工程で得られた反応液から、50℃〜93℃で残存ホスゲンを除去する除去工程と、
    を備えることを特徴とするメチレン架橋ポリフェニレンポリイソシアネートの製造方法。
  2. 前記ホスゲン化反応工程において、60℃〜80℃でポリメチレンポリフェニルポリアミンとホスゲンとを反応させ、
    且つ、前記除去工程において、60℃〜80℃で残存ホスゲンを除去することを特徴とする請求項1に記載のメチレン架橋ポリフェニレンポリイソシアネートの製造方法。
  3. 前記除去工程において、前記ホスゲン化反応工程よりも低い圧力条件下で、残存ホスゲンを除去することを特徴とする請求項1又は2に記載のメチレン架橋ポリフェニレンポリイソシアネートの製造方法。
  4. 前記ホスゲン化反応工程において、50kPa・G〜250kPa・Gの圧力条件下でポリメチレンポリフェニルポリアミンとホスゲンとを反応させ、
    前記除去工程においては、常圧以下まで減圧して、残存ホスゲンを除去することを特徴とする請求項3に記載のメチレン架橋ポリフェニレンポリイソシアネートの製造方法。
  5. 前記除去工程において、前記反応液に不活性ガスを導入することにより、前記反応液から残存ホスゲンを除去することを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のメチレン架橋ポリフェニレンポリイソシアネートの製造方法。
  6. 前記除去工程において、常圧以下まで減圧することにより、前記反応液から残存ホスゲンを除去することを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のメチレン架橋ポリフェニレンポリイソシアネートの製造方法。
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