JP5380434B2 - アクリル酸の製造方法ならびにその製造方法を用いた親水性樹脂の製造方法および吸水性樹脂の製造方法 - Google Patents

アクリル酸の製造方法ならびにその製造方法を用いた親水性樹脂の製造方法および吸水性樹脂の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、アクリル酸の製造方法ならびにその製造方法を用いた親水性樹脂の製造方法および吸水性樹脂の製造方法に関する。
プロパン、プロピレンおよびアクロレイン(以下、「プロピレン等」ということがある)からなる群から選択される少なくとも1種以上のアクリル酸原料を、酸化触媒の存在下に分子状酸素含有ガスにより接触気相酸化すると、目的物であるアクリル酸の他、酢酸、ホルムアルデヒド、アクロレイン、プロピオン酸、マレイン酸、アセトン、フルフラール、ベンズアルデヒド、プロトアネモニン等の副生成物や不純物を含む混合ガスが反応生成物として得られる。次に、この反応生成物を種々の精製方法により精製することによってこれらの副生成物や不純物を除去して精製アクリル酸を得ることができる。
例えば、プロピレン等を分子状酸素含有ガスにより接触気相酸化してアクリル酸を工業的に製造する方法においては、接触気相酸化して得た混合ガスを捕集塔に導入して水等の捕集用水溶液と接触させて冷却、吸収して捕集することによって、アクリル酸と酢酸等の副生物を含む水溶液を得、この水溶液から蒸留などによってアクリル酸を分離、精製して精製アクリル酸を得る方法がある。
さらに具体的には、アクリル酸を含有する上記水溶液から、製品としての高純度のアクリル酸を得る方法として、共沸分離塔において難水溶性の溶剤を用いて蒸留し、塔底から酢酸、水および難水溶性の溶剤を実質的に含まない高純度のアクリル酸を回収する方法(例えば、特開平5−246941号公報 EP0551111A1参照)、捕集工程より得たアクリル酸含有液を結晶化工程に導くことにより比較的簡便な工程で高純度の精製アクリル酸を得る方法などがある(例えば、特開2005−15478号公報 US2004249199A1参照)。
ところが、上記方法などによって得られる精製アクリル酸には、通常の蒸留および/または晶析によって完全に除去することが困難な微量の不純物が依然として存在する。この不純物はアクリル酸を単独重合またはこれと共重合可能な単量体と共重合させたときに重合反応の誘導時間を長くしたり、また、低重合度ポリマーの生成原因となる連鎖停止剤的な働きをしたりするなどという欠点を有していることが知られている(例えば、特開昭61−218556号公報参照)。種々の不純物の中でも特にプロトアネモニンによる重合遅延を防止する目的で、精製アクリル酸中のこのプロトアネモニンを除去する、あるいは濃度を低減するための手段が多く提案されている。なお、プロトアネモニンはアクリル酸含有溶液に対して重合防止効果を有することも知られている(例えば、特開昭47−17714号公報参照)。
上記プロトアネモニンの処理に関する方法として、具体的には次に示すものなどが提案されている。(1)プロピレンやアクロレインの接触気相酸化反応により得られる粗アクリル酸中の不純物(プロトアネモニン)をその精製工程において重亜硫酸塩水溶液で処理したのちに、さらにヒドラジン類化合物で処理する方法(例えば、特開昭61−218556号公報参照)。(2)イソブチレンなどの接触気相酸化反応により得られる粗製メタクリル酸中の不純物質(プロトアネモニン)をその精製工程において重亜硫酸塩水溶液で処理する方法(例えば、特開昭59−93027号公報)。(3)パラフェニレンジアミンおよびその塩の有効量をメタクリル酸水溶液中に添加する方法(例えば、特許第3359368号公報)。(4)蒸留塔の理論段数の増加、還流比の増加、および、晶析回数の増加という追加の精製処理を行なうなどして、精製アクリル酸から更にプロトアネモニンを低減した超精製アクリル酸を得るか、あるいはこのものをさらに強アルカリ処理して超精製アクリル酸を得る方法(例えば、国際公開番号 WO01/098382号公報)。
しかしながら、上記従来の種々の不純物(特にプロトアネモニン)を低減する方法を用いたアクリル酸の製造方法は、いずれも高価な薬剤を必要とし、またその使用後に薬剤処理を行う必要があり、また、蒸留や晶析による超精製も設備費や用役費などが高くなりすぎるという問題点がある。さらに、前記超精製によりこれら種々の不純物の除去率を向上させることだけに注力すると、得られるアクリル酸の収率が低下するという問題もある。
よって、本発明の目的は、特殊な薬剤などを使用することなく、低コストで簡便な方法で不純物(特にプロトアネモニン)を低減させ、さらに収率を向上させたアクリル酸の製造方法を提供することにある。
より詳しくは、プロピレン等の接触気相酸化によるアクリル酸を生成させる工程、次いで吸収、捕集および/または凝縮により該アクリル酸を捕集する工程、次いで捕集されたアクリル酸から精製アクリル酸を得るための精製工程を含む従来のアクリル酸製造プロセスに簡便な改良を加えるだけで、不純物(特にプロトアネモニン)を低減させることが可能なアクリル酸の製造方法を提供することにある。
本発明の目的は、A)アクリル酸原料を含むガスの接触気相酸化反応によって、アクリル酸含有ガスを得る工程と、B)前記アクリル酸含有ガスを、捕集塔または凝縮塔へ導入し、捕集または凝縮を行うことによって、アクリル酸含有液を得る工程と、C)前記アクリル酸含有液を、蒸留塔または晶析器へ導入し、蒸留または晶析することによって、粗製アクリル酸を得る工程と、を含む、アクリル酸の製造方法であって、前記アクリル酸含有液または前記粗製アクリル酸を、100℃以上、1時間以上の条件下で加熱処理する工程と、加熱処理されたアクリル酸含有液または粗製アクリル酸を、前記捕集塔、前記凝縮塔、前記蒸留塔または前記晶析器に導入する工程を含む、アクリル酸の製造方法を提供することによって、達成する。
本発明の方法を用いることによって、アクリル酸のプロセス中に生成する不純物(特にプロトアネモニン)を低減することが可能となり、不純物(特にプロトアネモニン)によるアクリル酸の汚染を緩和することができる。より詳しくは、本発明によれば、特殊な薬剤などを使用することなく、低コストで簡便な方法で不純物(特にプロトアネモニン)を低減させ、さらに収率を向上させたアクリル酸の製造方法を提供することができる。なお、不純物(特にプロトアネモニン)を単に、「プロトアネモニン」とも称する。
本発明の第1のアクリル酸の製造方法の第1実施形態で用いられる製造装置を示す概略図である。 本発明の第1のアクリル酸の製造方法の第2実施形態で用いられる製造装置を示す概略図である。
<本発明の第1>
本発明の第1は、A)アクリル酸原料を含むガスの接触気相酸化反応によって、アクリル酸含有ガスを得る工程と、B)前記アクリル酸含有ガスを、捕集塔または凝縮塔へ導入し、捕集または凝縮を行うことによって、アクリル酸含有液を得る工程と、C)前記アクリル酸含有液を、蒸留塔または晶析器へ導入し、蒸留または晶析することによって、粗製アクリル酸を得る工程と、を含む、アクリル酸の製造方法であって、プロトアネモニンを100質量ppm以上含む、前記アクリル酸含有液または前記粗製アクリル酸を、100℃以上、1時間以上の条件下で加熱処理する工程と、加熱処理されたアクリル酸含有液または粗製アクリル酸を、前記捕集塔、前記凝縮塔、前記蒸留塔または前記晶析器に導入する工程を含む、アクリル酸の製造方法である。
本発明の特徴は、アクリル酸含有ガスを捕集もしくは凝縮を行うことによって得られたアクリル酸含有液、または、かかるアクリル酸含有液を蒸留または晶析することによって得られた粗製アクリル酸を、あるいは、後述する、蒸留残分または晶析母液を、一定時間、一定温度の条件下で加熱処理し(以下、「一定時間、一定温度の条件下での加熱処理」を、「本発明の加熱処理」とも称する)、その後、捕集塔、凝縮塔、蒸留塔または晶析器に導入させる点にある。つまり、本発明の特徴は、アクリル酸を製造する系において生成するアクリル酸含有液、粗製アクリル酸、蒸留残分または晶析母液に、本発明の加熱処理を施して、その後、捕集塔、凝縮塔、蒸留塔または晶析器(以下、「捕集塔、凝縮塔、蒸留塔または晶析塔」を総称して、「系内」とも称する)に導入(循環)させる点にある。なお、本明細書中に記載する「系内」は、「捕集塔、凝縮塔、蒸留塔または晶析塔」のみならず、本発明のアクリル酸の製造方法におけるプロセスの系内をすべて含む概念である。つまり、本発明のアクリル酸の製造方法におけるプロセスにおいて「捕集塔、凝縮塔、蒸留塔または晶析塔」以外の器具(例えば、アクロレイン放散塔やアクリル酸回収塔)が介在しても本発明の技術的範囲には含まれる。
従来においては、精製されたアクリル酸を製造する際に、例えば、蒸留塔の理論段数の増加、還流比の増加、晶析回数の増加という追加の精製処理によりアクリル酸中のプロトアネモニンを除去して超精製アクリル酸を得ていた。
本発明の方法においては、これら追加の精製処理を行う必要がなく、アクリル酸の製造工程を簡略化できる。また、本発明の第1の製造方法によって製造されたアクリル酸はプロトアネモニンの含有量が有意に低減されているので、アクリル酸の重合体の原料として用いた場合、重合遅延問題などを引き起こすことなく、安定した重合操作が可能となる。本発明によれば、通常の蒸留および/または晶析では除去することは困難であった特定の不純物(プロトアネモニン)を、特殊な薬剤などを使用することなく、低コストで、簡便な方法によって低減させることができる。
以下、適宜図面を参照しながら、本発明を詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の一具体例に過ぎないため、かかる具体例に本発明が限定されないのは言うまでもない。また、各図面は説明の便宜上誇張されて表現されており、各図面における各構成要素の寸法比率が実際とは異なる場合がある。
なお、本明細書において、「低沸点物質」とは、標準状態においてアクリル酸よりも沸点が低い物質をいい、「高沸点物質」とは、標準状態においてアクリル酸よりも沸点が高い物質をいう。「凝縮性物質」とは、20℃、大気圧において液体である物質をいう。「蒸留」とは、溶液をその沸点まで加熱し含まれる揮発性成分を分離する方法である。「放散」とは、放散ガスを供給したり加熱したりすることによって、溶液中の目的物を気相に移す方法をいう。「晶析」とは、液相および気相から結晶を析出させる操作である。また、「動的結晶化工程」とは、結晶化に際して、ポンプなどの強制対流によって液相を移動させる晶析方法をいう。「静的結晶化工程」とは、ポンプなどを使用せず自然対流だけで液相を移動させる晶析方法をいう。また、蒸留塔または捕集塔の理論段数をn段としたとき、「塔頂」とは理論段数1段の部分を意味し、「塔底」とは理論段数n段の部分を意味し、「塔頂以外」とは、理論段数2〜n段の部分を意味する。また、本明細書では、捕集塔の塔頂からの排出ガス(捕集塔塔頂排出ガス)のうち、捕集塔を含む系内に導入させる排出ガスを「リサイクルガス」といい、系外に排出されるガスを「廃ガス」という。また、本明細書では、「プロトアネモニン」の含有量は、実施例に記載の方法で測定される数値とする。また、本明細書中、低沸点蒸留塔、第1高沸点蒸留塔と、第2高沸点蒸留塔を総称して、単に、蒸留塔と称する場合もある。また、「低沸点蒸留塔」を「共沸蒸留塔」と称する場合もある。より具体的には、低沸点の物質を除去するために使用する蒸留装置が「低沸点蒸留塔」であり、「低沸点蒸留塔」が「共沸蒸留塔」の上位概念であり、特に、共沸溶剤のようなものを用いて蒸留する場合は「共沸蒸留塔」となる。本明細書中、「蒸留」とは、「低沸点蒸留塔」、「第1高沸点蒸留塔」「第2高沸点蒸留塔」のいずれで行う場合も含む概念である。
以下、本発明のアクリル酸の製造方法を詳細に説明する。
[第1実施形態]
本発明の第1の第1実施形態は、
A)アクリル酸原料を含むガスの接触気相酸化反応によって、アクリル酸含有ガスを得る工程と、
B)前記アクリル酸含有ガスを、捕集塔へ導入し、捕集を行うことによって、アクリル酸含有液を得る工程と、
C)前記アクリル酸含有液を、低沸点蒸留塔へ導入し、蒸留することによって、粗製アクリル酸を得る工程と、
C’)前記粗製アクリル酸を、第1高沸点蒸留塔へ導入し、蒸留する工程と、
D)前記第1高沸点蒸留塔から排出される蒸留残分を回収する工程を含む、アクリル酸の製造方法であって、
プロトアネモニンを100質量ppm以上含む、前記アクリル酸含有液、前記粗製アクリル酸または前記蒸留残分を、100℃以上、1時間以上の条件下で加熱処理する工程と、
加熱処理されたアクリル酸含有液、粗製アクリル酸または蒸留残分を、前記捕集塔、前記低沸点蒸留塔または前記第1高沸点蒸留塔に導入する工程と、
を含む、アクリル酸の製造方法である。
(A工程)
本発明の第1の第1実施形態におけるA工程は、アクリル酸原料を含むガスの接触気相酸化反応によって、アクリル酸含有ガスを得る工程である。
図1に示すように、まず、アクリル酸原料1と、分子状酸素含有ガス3と、希釈ガス5と、を混合し、混合ガス6とする。なお、この工程においては、後述するB工程における捕集塔30の塔頂から排出されるリサイクルガス34も、アクリル酸原料1、分子状酸素含有ガス3および希釈ガス5に混合し、混合ガス6とすることができる。この混合ガス6を、接触気相酸化触媒10を充填した反応器20に供給し、接触気相酸化反応によって、アクリル酸含有ガス25を得る。
アクリル酸原料ガス1としては、例えば、プロパン、プロピレンおよびアクロレインからなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。
分子状酸素含有ガス3としては、例えば、分子状酸素等が挙げられる。該分子状酸素の供給源としては空気を用いることができる。なお、該空気が水分を含んでいる場合には、反応器20に供給する前に予め除湿することが好ましい。また、空気に代えて酸素富化空気、純酸素を用いることもできる。
希釈ガス5としては、特に制限されないが、窒素、二酸化炭素、その他の不活性ガスなどが挙げられる。
反応器20としては、接触気相酸化反応が行えれば特に制限されないが、反応効率に優れる点で多管式反応器を好ましく使用することができる。
接触気相酸化反応の方法としても特に制限はないが、例えば、反応器20に、公知の接触気相酸化触媒10を充填し、アクリル酸原料ガス1と、分子状酸素含有ガス3と、希釈ガス5と、を接触させて酸化させることによって行うことができる。なお、アクリル酸原料ガス1としてプロピレンを使用する場合には、混合ガス6を100体積%として、プロピレン濃度は7〜15体積%、水分0〜10体積%、分子状酸素はプロピレン:分子状酸素(体積比)を1:1.0〜2.0の範囲であると好ましい。アクリル酸原料ガス1としてプロピレンを使用する場合、接触気相酸化反応は、通常二段階で行い、二種類の接触気相酸化触媒10を使用すると好ましい。一段目の接触気相酸化触媒10は、プロピレンを含むアクリル酸原料ガス1を気相酸化して、主としてアクロレインを生成し得る。二段目の接触気相酸化触媒10は、アクロレインを含むアクリル酸原料ガス1を気相酸化して主としてアクリル酸を生成し得る。また、一段目の接触気相酸化触媒10としては、鉄、モリブデンおよびビスマスを含有する複合酸化物が好適に使用でき、また二段目の接触気相酸化触媒10としては、バナジウムを含むものを好適に使用できる。
なお、図1においては、接触気相酸化反応を、1つの反応器20を接続したシングルリアクターで行なう態様を示したが、異なる2つの反応器20を接続したタンデム型リアクターで行なってもよい。
なお、本発明のA工程を上記のように説明したが、他に、特開2000−325795号公報(US6383973B1)などの方法を適宜参照して用いることができる。
(B工程)
本発明の第1の第1実施形態におけるB工程は、前記アクリル酸含有ガスを、捕集塔へ導入し、捕集を行うことによって、アクリル酸含有液を得る工程である。本発明の第1の第1実施形態のB工程においては、高濃度のアクリル酸含有溶液を得ることができる。
図1に示すように、アクリル酸含有ガス25を捕集塔30の塔底に供給し、捕集塔30の塔頂からは、捕集用水溶液33を供給してアクリル酸含有ガス25と接触させ、捕集し、アクリル酸含有液35を得ることができる。
捕集塔30は、常圧以上で操作するのが一般的である。塔頂圧力(ゲージ圧)としては、0〜0.4MPaが好ましく、より好ましくは0〜0.1MPa、さらに好ましくは0〜0.03MPaである。0MPa(ゲージ圧)より低いと減圧装置が必要となり設備費、用役費がかかる場合がある。一方で、0.4MPa(ゲージ圧)より高いと塔頂から低沸点物質を排出させるために捕集塔30の温度をかなり上げる必要が生じ捕集効率が低下する場合がある。また、塔頂温度としては、一般には30〜85℃、特には40〜80℃であることが好ましい。
アクリル酸含有ガス25と、捕集用水溶液33との接触方法には公知の接触方法を使用することができ、例えば、泡鐘トレイ、ユニフラットトレイ、多孔板トレイ、ジェットトレイ、バブルトレイ、ベンチュリートレイを用いる十字流接触;ターボグリッドトレイ、デュアルフロートレイ、リップルトレイ、キッテルトレイ、ガーゼ型、シート型、グリット型の規則充填物、不規則充填物を用いる向流接触などが挙げられる。
なお、捕集塔30の塔頂からの排出ガス(捕集塔塔頂排出ガス32)の内、リサイクルガス34のみを冷却塔36に導入して、新たに系内に供給する捕集用水33’と気液接触して冷却させ、リサイクルガス34に含まれる凝縮性物質を凝縮して除去した後に反応器20に循環させることが好ましい。それは、リサイクルガスに含まれる水分を減少させることができ、その結果、捕集塔30の塔底から高濃度にアクリル酸を含有するアクリル酸含有液35が得られるからである。よって、冷却塔36と冷却器39とを組み合わせた冷却方法が好ましい。なお、リサイクルガスのみを冷却することは、アクリル酸の捕集効率が向上する点で好ましい。また、リサイクルガスの冷却によって水分のみならず酸分も凝縮させることができ、反応器20に供給される酸分を減少させることもでき、酸によって引き起こされうる接触気相酸化触媒10の劣化を防止することもできる点で好ましい。
捕集用水33’としては、アクリル酸を捕集できる水溶液であれば従来公知のものを広く使用することができる。具体的には、水、水を含む高沸点溶剤などが挙げられる。なお、水としては、アクリル酸の製造装置内で得られるプロセス水を用いるのが好ましい。捕集用水33’の温度は、0〜50℃、好ましくは10〜40℃であることが好ましい。捕集用水33’には、アクリル酸などの重合性物質の重合を防止するために、特開2001−348360号公報、特開2001−348358号公報、特開2001−348359号公報等に記載されるN−オキシル化合物、フェノール化合物、酢酸マンガン等のマンガン塩、ジブチルチオカルバミン酸銅などのジアルキルジチオカルバミン酸銅塩、ニトロソ化合物、アミン化合物およびフェノチアジンからなる群から選ばれる1種以上の化合物を含有させてもよい。
なお、リサイクルガスを冷却して凝縮性物質を凝縮し、凝縮液とした後に、反応器20に導入する場合は、反応器20に供給するアクリル酸原料ガス1中の水分濃度が0〜10体積%、より好ましくは0〜7体積%、特には0〜6体積%となるように予めリサイクルガス中の水分を除去すると好ましい。10体積%を超えると反応器20を経て捕集塔30に供給される水分によって、アクリル酸のロス率が増加する場合があるからである。また、全酸濃度は、0〜0.2体積%、より好ましくは0〜0.1体積%であるとよい。全酸濃度が0.2体積%を超えると接触気相酸化触媒10の酸化による劣化を促進する場合があるからである。リサイクルガスには、水分や酸成分のほかに、未反応のプロピレンやアクロレイン、酸素、希釈ガス等も含まれている。原料ガス中の水分濃度や全酸濃度が上記至適範囲になるようにリサイクルガスに含まれる水分量及び原料ガスへの配合量を算出し、リサイクルガスに含まれるプロピレン濃度および酸素濃度を算出し、新たに反応器20に供給するプロピレン濃度と空気量とを決定すれば、上記プロピレン濃度、酸素濃度、水分濃度、全酸濃度を容易に調整することができる。なお、「全酸」とは、カルボキシル基を有する化合物であり、リサイクルガス中には、アクリル酸、ギ酸、酢酸等が含まれる。
なお、リサイクルガスの冷却方法に制限はなく、リサイクルガスに含まれる凝縮性物質を凝縮できる装置であればよい。例えば、多管式熱交換器、フィンチューブ式熱交換器、空冷熱式交換器、二重管式熱交換器、コイル式熱交換器、直接接触式熱交換器、プレート式熱交換器などを使用できる。
また、リサイクルガスの冷却温度に制限はないが、反応器20に供給する混合ガス6全量中の水分濃度を0〜10体積%、より好ましくは0〜7体積%、特には0〜6体積%となるように、より好ましくは更に全酸濃度が0〜0.2体積%、より好ましくは0〜0.1体積%になるように冷却により凝縮する。分子状酸素含有ガス3として空気を使用すると、該空気には水分が含まれている。空気の配合量と混合ガス6の上記好ましい水分濃度および配合量から、リサイクルガスを冷却した後の水分量を求め、該水分濃度になるように冷却する。本発明では、廃ガスの温度よりも該リサイクルガスの温度を好ましくは1〜50℃、より好ましくは2〜40℃、特に好ましくは3〜30℃低い温度に冷却する。
本発明の第1の第1実施形態においては、アクリル酸含有液、粗製アクリル酸または蒸留残分に対し、本発明の加熱処理を行う。ここで、捕集によって得られたアクリル酸含有液35には、アクリル酸含有液35全体の質量に対し、100〜500質量ppm程度のプロトアネモニンが含まれていることがある。
よって、本発明の第1の第1実施形態のB工程において得られるアクリル酸含有液に対して、本発明の加熱処理を行うと好ましい。ただし、後述の粗製アクリル酸に対し、本発明の加熱処理を行うのであれば、アクリル酸含有液に対して、本発明の加熱処理を行うことは必須ではない。ただし、よりプロトアネモニンが低減されたアクリル酸を製造するという観点からは、なるべく多くの段階で本発明の加熱処理を行うことが好ましいため、アクリル酸含有液に対して、本発明の加熱処理を行うことは好ましい。なお、アクリル酸含有液35に対する、本発明の加熱処理は、B工程におけるアクリル酸含有液35に行ってもよいし、後述するC工程におけるアクリル酸含有液35に行ってもよい。つまり、C工程における高沸点蒸留塔70に導入する前に行ってもよいし、C工程における高沸点蒸留塔70に導入する後に行ってもよい。
本発明の加熱処理を施すことによって、従来の方法のような高価な薬剤やその使用後に行う薬剤処理も不要となり、蒸留や晶析による超精製も不要となるため、設備費や用役費などのコストを抑え、アクリル酸プロセス中の不純物(特にプロトアネモニン)を低減することが可能となる。さらに、不純物(特にプロトアネモニン)によるアクリル酸の汚染を緩和することができ、さらに収率を向上させたアクリル酸の製造方法を提供することができる。
捕集によって得られたプロトアネモニンを含むアクリル酸含有液35に対して行う本発明の加熱処理は、100℃以上で、1時間以上であれば特に制限されないが、好ましくは130℃以上で、より好ましくは150℃以上で、さらに好ましくは170℃以上であり、好ましくは3時間以上、より好ましくは10時間以上である。上限としても、特に制限されないが、加熱温度は、200℃以下が好ましく、より好ましくは180℃以下である。また、加熱時間は、50時間以下が好ましく、より好ましくは20時間以下である。
かような本発明の加熱処理を施すことによって、アクリル酸含有液35全体の質量に対し、100〜500質量ppm程度のプロトアネモニンが含まれていた場合であっても、該プロトアネモニンを、好ましくは60%以下、より好ましくは40%以下、さらに好ましくは30%以下に低減することができる。なお、徒に長い時間で、本発明の加熱処理をしたり、徒に高い温度で本発明の加熱処理をしたりしてしまうと、目的物であるアクリル酸が二量化してしまい、アクリル酸の製造効率が低下してしまう場合があるので温度と時間を適宜調整する必要がある。
なお、本発明の加熱処理を施すことによって、プロトアネモニンを有意に低減することができる機構は必ずしも明らかではないが、以下の通りと考えられる。すなわち、本発明の加熱処理によって、プロトアネモニンが多量化してより高い沸点の化合物(二量化した場合、アネモニン)になると考えられる。そうであるため、本発明におけるプロトアネモニンおよびアクリル酸を含む溶液(本発明のアクリル酸の製造のプロセスにて生成されるすべてのものを含む)を、本願に記載する各工程の少なくとも1つの工程に導入した場合、より高沸点の物質として挙動する。かような「高沸点の物質」は、図1、図2で示される熱分解槽75から系外に抜き出される廃油78により高い割合で存在する。換言すれば、製品アクリル酸(60,60’)におけるプロトアネモニンの存在割合は、より低くなる。極端な話をすると、プロトアネモニンが、本発明の加熱処理によって、全く揮発性のない物質に変化したと仮定すると、本願に記載する各工程の少なくとも1つの工程に、本発明の加熱処理を施した対象物を戻しても、製品アクリル酸60には留出しようが無い(例えば、本発明の第1の第2実施形態に対応する図2においては、71で示される留出液側には、非揮発物質と変化したプロトアネモニンが留出しない)。よって、本発明の加熱処理を施すことで、簡単に、プロトアネモニンを実質含まない製品アクリル酸60を提供することができる。よって、本願明細書において、「低減」または「除去」は、プロトアネモニンが留去するという概念ではなく、プロトアネモニンが多量体に変化して、プロトアネモニン単量体が低減または除去されるという意味で使用している。
本発明の加熱処理の具体的な方法については、加熱処理を施す対象物の温度を100℃以上にせしめ、その状態を1時間以上行う形態であれば、従来公知の知見を参照し、あるいは組み合わせて行うことができる。ここで、本発明における「1時間以上」とは、加熱処理を施す対象物の温度が100℃である状態が、通算して1時間以上であれば、本発明の技術的範囲に属する。つまり、一旦、加熱を停止し、100℃を下回っても、再度加熱を再開して、100℃である状態が通算して1時間以上となればよい。無論、生産性を考慮すると、1時間以上継続して行うことがよい。
また、加熱処理を行う形態については、例えば、本発明の加熱処理を施す対象物を一旦系外に取り出して、容器(例えば、撹拌器を備えた加熱容器、加熱手段を備えた塔槽類、加熱手段を備えた配管類、撹拌器の代わりに循環ポンプ、加熱手段として熱交換器を備えた容器)に導入して、本発明の加熱処理を行ってもよい。なお系外に取り出す形態において、本発明の加熱処理を施す際、冷却器などを更に備えた容器で行うことが好ましい。そのようにすることで、加熱処理の温度、時間を確実に制御することができる。
一方で、本発明の加熱処理を施す対象物を系外に取り出すことなく系内において、本発明の加熱処理を行ってもよい。このようにすることで新たな追加の設備を設けることなく、速やかに本発明の加熱処理を行うことができるとの利益がある。
なお、本発明の加熱処理においては、アクリル酸含有液35に、重合防止剤を添加しておくとよい。重合防止剤としては、N−オキシル化合物、フェノール化合物、酢酸マンガン等のマンガン塩、ジブチルジチオカルバミン酸銅などのジアルキルジチオカルバミン酸銅塩、ニトロソ化合物、アミン化合物およびフェノチアジンからなる群から選ばれる1種以上の化合物を含有させればよい。N−オキシル化合物またはジアルキルジチオカルバミン酸銅塩は少量で効果を発揮するため、本発明の加熱処理をより安定に行なうことができる。
次いで、上記の本発明の加熱処理が施されたアクリル酸含有液35(無論、後述する粗製アクリル酸または蒸留残分に対し、本発明の加熱処理を行うのであれば、アクリル酸含有液に対して、本発明の加熱処理を行うことは必須ではない。)を、C工程に供するために、系内(ここでは、共沸蒸留塔50)に導入する。ただし、共沸蒸留塔50に導入する前に、かかるアクリル酸含有液35をアクロレイン放散塔31に供給し、含まれるアクロレインを分離処理し、塔底からアクロレイン量を低減させたアクリル酸含有液35’を得ることが好ましい。アクリル酸含有液35には、アクリル酸原料であるアクロレインが含まれている場合があるためである。なお、アクロレイン放散塔31の塔頂留出液は、捕集塔30の塔底に循環させると、アクロレインと共に留出したアクリル酸を有効に回収することができる点で好ましい。
アクロレイン放散塔31は、アクロレインの分離ができれば特に限定はされないが、例えば、充填塔、棚段塔(トレイ塔)等を用いることができる。アクロレイン放散の条件は、含まれるアクリル酸濃度やアクロレイン濃度によって蒸留、放散等の各方法を適宜選択することができる。蒸留の場合には、塔頂圧力(絶対圧)は20〜800hPa、好ましくは40〜600hPa、特には60〜400hPaとすることが好ましい。20hPa(絶対圧)より低いと、塔、コンデンサ、真空装置が大型化し設備費がかかり不利である場合がある。一方、重合性を考慮すると、800hPa(絶対圧)より低い方が好ましい。また、塔頂温度は、一般には30〜100℃、特には40〜80℃が好ましい。一方、塔底温度は、一般には40〜110℃、特には50〜90℃が好ましい。なお、放散の場合も従来公知の方法によってアクロレインを分離することができる。
(C工程)
本発明の第1の第1実施形態におけるC工程は、前記アクリル酸含有液を、共沸蒸留塔へ導入し、蒸留することによって、粗製アクリル酸を得る工程である。
アクロレインが放散したアクリル酸含有液35’を、共沸蒸留塔50に導入して、蒸留を行い、粗製アクリル酸を得る。無論、アクロレインを放散する工程を経ないまま、アクリル酸含有液35を直接、共沸蒸留塔50に導入して、粗製アクリル酸を得てもよい。
共沸蒸留塔50における蒸留条件としては、水や酢酸などの低沸点物質を留出させる条件であれば、適宜選択することができ、特に制限はない。
共沸蒸留塔50における塔頂圧力(絶対圧)は10〜400hPa、好ましくは15〜300hPa、特には20〜200hPaとすることが好ましい。10hPa(絶対圧)より低いと、塔、コンデンサ、真空装置が大型化し設備費がかかり不利である。一方、重合性を考慮すると、400hPa(絶対圧)より低い方がよい。
また、共沸蒸留塔50における塔頂温度は、一般には30〜70℃、特には40〜60℃である。一方、塔底温度は、一般には50〜140℃、特には60〜120℃である。
共沸溶剤としては、従来公知のものを選択して使用することができるが、本発明においては、トルエン、ヘプタン、メチルシクロヘキサン、ジエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−t−ブチルケトン、酢酸n−プロピルなどを用いることができる。これら共沸溶剤は1種単独で、または2種以上を混合して用いることができる。これらの量も、当業者であれば適宜選択して設定することができる。
共沸蒸留塔50における蒸留によって、共沸蒸留塔50の塔頂から、アクリル酸含有液35’に含まれている低沸点物質(例えば、水、酢酸、ホルムアルデヒド、ギ酸など)を、排出させることができる。タンク50aにおいて、黒塗りの部分が水層で、白い部分が有機層(トルエンを主成分とする還流液の層であって、共沸蒸留塔50に循環している)を表している。ここで共沸脱水を行い、水層の部分は33’へ戻して、捕集用水33’としてもよい。共沸蒸留塔50の塔頂から留出した成分は、アクリル酸をあまり含まない(水に近い)。そうであるため、捕集用水33’として使用する。一方で、後述する図2で示す留出液71にはアクリル酸が有意に含まれているため、捕集塔30に戻す(好ましくは中段の下の方に戻す)。
一方で、共沸蒸留塔50の塔底から粗製アクリル酸を得ることができる。この共沸蒸留塔50の塔底から得られる粗製アクリル酸は、溶液形態となっているが(以下、「粗製アクリル酸溶液」とも称する)、この粗製アクリル酸溶液には、アクリル酸含有液35に本発明の加熱処理を行ったか否かによっても異なるが、行っていない場合、粗製アクリル酸溶液全体の質量に対し、100〜500ppm程度のプロトアネモニンが含まれていることがある。
よって、この共沸蒸留塔50の塔底のプロトアネモニンを含む粗製アクリル酸は、本発明の加熱処理を施すと好ましい。なお、上記も述べたが、アクリル酸含有液に対して本発明の加熱処理を行うのであれば、粗製アクリル酸に対して本発明の加熱処理を行うことは必須ではない。ただし、よりプロトアネモニンが低減されたアクリル酸を製造するとの観点からは、なるべく多くの時点で本発明の加熱処理を行うことが好ましいため、粗製アクリル酸に対して、本発明の加熱処理を行うことは好ましい。
共沸蒸留塔50の塔底の粗製アクリル酸に対する、本発明の加熱処理は、100℃以上で、1時間以上であれば特に制限されないが、好ましくは130℃以上で、より好ましくは150℃以上で、さらに好ましくは170℃以上であり、好ましくは3時間以上、より好ましくは10時間以上である。上限としても、特に制限されないが、加熱温度は、200℃以下が好ましく、より好ましくは180℃以下である。また、加熱時間は、50時間以下が好ましく、より好ましくは20時間以下である。
かような本発明の加熱処理を施すことによって、粗製アクリル酸溶液全体の質量に対し、100〜500質量ppm程度のプロトアネモニンが含まれていた場合であっても、該プロトアネモニンを、好ましくは60%以下、より好ましくは40%以下、さらに好ましくは30%以下に低減することができる。上限としても特に制限はないが、実質70%程度である。
徒に長い時間で、本発明の加熱処理をしたり、徒に高い温度で本発明の加熱処理をしたりしてしまうと、目的物であるアクリル酸が二量化してしまい、アクリル酸の製造効率が低下してしまう場合があるので温度と時間を適宜調整する必要がある。
(C’工程)
本発明の第1の第1実施形態におけるC’工程は、前記粗製アクリル酸を、高沸点蒸留塔へ導入し、蒸留する工程を含む。
C工程によって得られた粗製アクリル酸を、系内(ここでは、第1高沸点蒸留塔70)に導入する。C工程によって得られた粗製アクリル酸には、高濃度のアクリル酸のほか、アクリル酸ダイマー、マレイン酸、プロトアネモニン、ベンズアルデヒド、重合防止剤などの高沸点物質が含まれている場合があるからである。
本発明の第1の第1実施形態におけるC’工程においては、粗製アクリル酸をさらに精製するために、第1高沸点蒸留塔70に供給し、塔底からは高沸点物質(蒸留残分)を抜き出し、回収する。一方で、塔頂からは高い純度のアクリル酸60’を得ることができる。このアクリル酸60’は、製品アクリル酸60として使用してもよいし、さらなる純度を求めて、さらなる精製を行ってもよい。具体的には、以下の通りである。すなわち、このアクリル酸60’には、例えば、アクロレイン、フルフラールなどが微量に含まれている場合がある。この場合、ヒドラジンヒドラートなどのアルデヒド処理剤を使用して、これらの不純物をさらに高沸点の物質にせしめ、蒸留することによって、アクリル酸60’の純度がさらに向上する。
第1高沸点蒸留塔70は、充填塔、棚段塔(トレイ塔)等を用いることができる。
第1高沸点蒸留塔70における蒸留条件としては、アクリル酸を塔頂から効率よく抜き出し、アクリル酸ダイマー、マレイン酸、プロトアネモニンなどの高沸点物質と効率よく分離できる条件であれば、特に制限はない。
第1高沸点蒸留塔70における塔頂圧力(絶対圧)は10〜400hPa、好ましくは15〜300hPa、特には20〜200hPaとすることが好ましい。その理由は、10hPa(絶対圧)より低いと、塔、コンデンサ、真空装置が大型化し設備費がかかり不利である。一方、重合性を考慮すると、400hPa(絶対圧)より低い方が好ましい。
また、第1高沸点蒸留塔70における塔頂温度は、一般には30〜70℃、特には40〜60℃である。一方、塔底温度は、一般には50〜140℃、特には60〜120℃である。
(D工程)
本発明の第1の第1実施形態におけるD工程は、前記第1高沸点蒸留塔から排出される蒸留残分を回収する工程を含む。
第1高沸点蒸留塔70の塔底液にはアクリル酸ダイマー、マレイン酸、ベンズアルデヒドが含まれる。ただ、この第1高沸点蒸留塔70の塔底液には、数質量%〜約50質量%のアクリル酸が含まれている。よって、アクリル酸の製造収率を向上させるために、塔底液からアクリル酸を回収し、系内に戻した方が好ましい。
しかしながら、第1高沸点蒸留塔70の塔底液には、かかる塔底液全体の質量に対し、1000〜5000ppm程度のプロトアネモニンが含まれていることがあり、回収したアクリル酸に同伴してプロトアネモニンも系内に戻されることとなる。よって、第1高沸点蒸留塔70の塔底液は、本発明の加熱処理を施すと好ましい。
第1高沸点蒸留塔70の塔底液に対する、本発明の加熱処理は、共沸蒸留塔50から導入された粗製アクリル酸に本発明の加熱処理を施すかどうかによっても異なるが、施していない場合、100℃以上で、1時間以上であれば特に制限されないが、好ましくは130℃以上で、より好ましくは150℃以上で、さらに好ましくは170℃以上であり、好ましくは3時間以上、より好ましくは10時間以上である。上限としても、特に制限されないが、加熱温度は、200℃以下が好ましく、より好ましくは180℃以下である。また、加熱時間は、50時間以下が好ましく、より好ましくは20時間以下である。
かような本発明の加熱処理を施すことによって、第1高沸点蒸留塔70の塔底液に含まれていたプロトアネモニンを、好ましくは60%以下、より好ましくは40%以下、さらに好ましくは30%以下に低減することができる。
徒に長い時間で、本発明の加熱処理をしたり、徒に高い温度で本発明の加熱処理をしたりしてしまうと、目的物であるアクリル酸が二量化してしまい、アクリル酸の製造効率が低下してしまう場合があるので温度と時間を適宜調整する必要がある。
なお、第1高沸点蒸留塔70の塔底液は、本発明の加熱処理を施した後であっても、アクリル酸ダイマーが含まれる場合がある。よって、本発明の加熱処理を施した第1高沸点蒸留塔70の塔底液は、アクリル酸回収塔80、薄膜蒸発器73を経て熱分解槽75に滞留させてアクリル酸に熱分解すると好ましい(これらの装置を「アクリル酸ダイマー分解装置」とも称する)。なお、アクリル酸ダイマー分解の方法は、アクリル酸ダイマーなどを分解し、アクリル酸として回収するものであれば特に限定されない。例えばアクリル酸ダイマー分解とアクリル酸の留出とを同時に行うものであってもよく(特公昭61−35977号公報、特公昭61−36501号公報など参照)、好ましくは、熱分解槽75と段塔を併設した薄膜蒸発器を備えたアクリル酸回収塔80を用いたものが挙げられる(特開平11−12222号公報など参照)。なお、本発明の加熱処理を施した第1高沸点蒸留塔70の塔底液は、アクリル酸回収塔80を経ないで直接、薄膜蒸発器73に導入してもよい。ただし、アクリル酸回収塔80を経ることで、このアクリル酸回収塔80からアクリル酸を回収して、再度第1高沸点蒸留塔70に導入できるため、アクリル酸の収率が向上する点で好ましい。
該分解槽75は、アクリル酸ダイマーを120〜220℃の範囲の温度で分解し、滞留時間(熱分解槽溶量/廃油量)は熱分解温度によって変わるが、通常0.1〜60時間とする。アクリル酸ダイマーがアクリル酸に分解された後、これを薄膜蒸発器73に循環し、アクリル酸回収塔80を経由して第1高沸点蒸留塔70に戻すことで、第1高沸点蒸留塔70の塔頂よりアクリル酸を回収することができる。一方で、分解槽75から廃油78も排出される。
なお、該熱分解槽75には、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、特開2003−89672号公報記載のN−オキシル化合物などの分解触媒をアクリル酸ダイマー分解の際に添加することができる。捕集工程や蒸留工程で重合防止剤として該N−オキシル化合物を用いた場合には、アクリル酸ダイマーの分解触媒としても作用する。
図1においては、アクリル酸含有溶液を得る方法として、捕集塔30を使用した形態について説明したが、本発明においては、凝縮塔を用いてアクリル酸含有溶液を得てもよい。凝縮塔を用いてアクリル酸含有溶液35を得るためには、捕集塔30(冷却塔36、冷却器39など含む)を、従来公知の凝縮塔に置換することによって、行うことができる。そのため、具体的な説明は割愛するが、例えば、特表2001−516737号公報などを参照して行えばよい。なお、凝縮塔を用いれば、水や高沸点溶剤などの捕集用溶液33’を用いることなく、混合ガス6を、凝縮塔に備えられている噴霧冷却器などで急冷し、凝縮してアクリル酸含有液35を得ることができる。
[第2実施形態]
本発明の第1の第2実施形態は、
A)アクリル酸原料を含むガスの接触気相酸化反応によって、アクリル酸含有ガスを得る工程と、
B)前記アクリル酸含有ガスを、捕集塔へ導入し、捕集を行うことによって、アクリル酸含有液を得る工程と、
C)前記アクリル酸含有液を、晶析器へ導入し、晶析することによって、粗製アクリル酸を得る工程と、
D)前記晶析器から排出される晶析母液を回収する工程と、
C’’)前記晶析母液を、第2高沸点蒸留塔へ導入し、蒸留する工程と、
D’)前記第2高沸点蒸留塔から排出される蒸留残分を回収する工程と、
プロトアネモニンを100質量ppm以上含む、前記アクリル酸含有液、前記粗製アクリル酸、前記晶析母液または前記蒸留残分を、100℃以上、1時間以上の条件下で加熱処理する工程と、
加熱処理されたアクリル酸含有液、粗製アクリル酸、晶析母液または蒸留残分を、前記捕集塔、前記第2高沸点蒸留塔または前記晶析器に導入する工程と、
を含む、アクリル酸の製造方法である。
本発明の第1の第1実施形態と、本発明の第1の第2実施形態との主な相違点は以下である。
まず、C工程において、晶析器によって、粗製アクリル酸を得る点である。もう1つは、高沸点不純物を蒸留する際に、第1高沸点蒸留塔ではなく、第2高沸点蒸留塔を使用する点である。なお、第2高沸点蒸留塔において設定される蒸留条件は、第1高沸点蒸留塔においてにおいて設定される条件と異なり、それは、低沸点蒸留塔で得られる粗製アクリル酸の成分と、晶析器で得られる粗製アクリル酸の成分とが異なるからである。ただ、両者とも、高沸点不純物を除去するという観点からは同一である。
上記に記載の相違点以外については、基本的には、本発明の第1の第1実施形態での説明が同様に妥当するため、必要がなければ、それらの説明は割愛する。
(A工程)
本発明の第1の第2実施形態のA工程は、アクリル酸原料を含むガスの接触気相酸化反応によって、アクリル酸含有ガスを得る。かかるA工程は、本発明の第1の第1実施形態の説明が同様に妥当する。
(B工程)
本発明の第1の第2実施形態のB工程は、前記アクリル酸含有ガスを、捕集塔へ導入し、捕集を行うことによって、アクリル酸含有液を得る。かかるB工程は、本発明の第1の第1実施形態の説明に準じる。
捕集用水溶液33、捕集用水33’の説明は、上記の説明が同様に妥当するが、本発明の第1の第2実施形態のB工程においては、さらに第2高沸点蒸留塔70’から排出される留出液71や晶析母液を循環液として捕集塔30に循環させてもよい。その理由は、捕集塔30の塔頂以外の箇所から酢酸を導入すると、アクリル酸捕集率が向上するからである。前記循環液に含まれる酢酸濃度は、2質量%以上、より好ましくは2〜20質量%、特には3〜15質量%とすることが好ましい。2質量%を下回ると、上記捕集塔30内の気相分布の変動効果が低い。特に、導入する酢酸量をアクリル酸含有ガスに含まれるアクリル酸の質量流量の好ましくは0.005〜0.2倍、より好ましくは0.008〜0.15倍、特に好ましくは0.01〜0.1倍の質量流量となるように、循環液量を調整する。場合によっては、新たに酢酸を加えることができる。0.005倍を下回るとアクリル酸の捕集効率向上効果がなく、その一方、0.2倍を超えると、捕集塔に導入される酢酸の量が大幅に増加するため、高濃度のアクリル酸含有液を得ることが困難となる。
(C工程)
本発明の第1の第2実施形態のC工程は、前記アクリル酸含有液を、晶析器へ導入し、晶析することによって、粗製アクリル酸を得る。
まず、晶析について説明を行う。
使用される結晶化法に制限はなく、連続式または回分式のいずれでもよく、1段または2段以上で実施することができる。連続式晶析器としては例えば、結晶化部、固液分離部、結晶精製部が一体となった塔型のBMC(Backmixing Colum Crystallizer)型晶析器(新日鉄化学社:日本)、結晶化部として例えばCDC(Cooling Disk Crystallizer)晶析器(GOUDA社:オランダ)などと、固液分離部として例えばベルトフィルターあるいは遠心分離器などと、結晶精製部として例えばKCP(Kureha Crystal Purifier)精製装置(呉羽テクノエンジ社:日本)などを組み合わせた晶析器を使用することができる。
晶析器55としては、結晶化装置、固液分離装置、結晶精製装置を組み合わせたものが例示でき、連続式晶析器を用いる方法であるが好ましい。結晶化部として、例えば「化学装置2001年7月号、p77〜78」に記載される結晶化装置(CDC)を2つに配列した装置を使用することができる。各結晶化装置(1)、(2)は、横型の結晶化槽の内部が下部に通り道の隙間が空けられている数枚の冷却板で仕切られており、この冷却板を通して冷却および結晶化が行われる。冷却板中央を貫通する撹拌軸には、撹拌翼と冷却伝面を更新するためのワイパーが設けられ、原料液投入口から供給された液は撹拌軸により冷却板の下の通り道から順次もう一方の端へと移動する。
例えば、結晶化装置(1)にアクリル酸含有溶液を供給すると、ここでアクリル酸を結晶化し、固液分離部として、ベルトフィルターを使用し、結晶と母液を分離した後に晶析母液を結晶化装置(2)に供給してアクリル酸を結晶化し、ベルトフィルターで結晶と母液を分離することができる。次いで、これら結晶化装置(1)、(2)で得られた結晶を、結晶精製部に導入する。
結晶精製部としては、例えば「化学装置2001年7月号p76〜77」や特公昭47−40621号公報に記載される結晶精製装置(KCP)を使用することができる。例えば、金属製の管の中心にスクリューコンベヤーを備え、上部に結晶を融解するための融解器および融解後の製品の取り出し口、下部に残査液の取りだし口、下部塔側部に結晶の供給口を備えたものが例示できる。結晶はスクリューコンベヤーによって精製塔上部へと運ばれ、融解器によって融解される。融解液は製品取りだし口より取り出され、一部は精製塔上部より落下される。この落下液により、スクリューコンベヤーから運ばれる結晶の洗浄、発汗が行われ、上部より落下する液は下部の残さ取りだし口より抜き出される。上記落下液の量は、目的とするアクリル酸の純度によって適宜選択できる
本発明における他の有利な形態は、回分式晶析器を用いる方法である。このような装置としては、例えばSulzer Chemtech社スイスの層結晶化装置(動的結晶化装置)、BEFS PROKEM社フランスの静的結晶化装置などを使用することができる。
回分式においては、必要となる結晶化段数の数は、どの程度の純度が要求されるかに依存する。本発明においては、高い純度のアクリル酸を製造するために、精製工程(動的結晶化工程)は1〜6回、好ましくは2〜5回、さらに好ましくは2〜4回、ストリッピング工程(動的結晶化工程および/または静的晶析化工程)は0〜5回、好ましくは0〜3回行うことが好ましい。
また、上記晶析精製工程の前に予め前精製を行ってもよい。前精製は結晶化によって実施される。従って、前精製工程と続く精製工程は一連の晶析工程と見なすことができる。前精製には結晶化装置と固液分離装置などを組み合わせた前精製装置を使用することができる。結晶化装置としてはCDC結晶化装置、タンク結晶化装置などを使用することができ、固液分離装置としてはベルトフィルター、遠心分離機などを使用することができる。
本発明における前精製を含んだ一つの有利な形態は、前精製装置としては、タンク結晶化装置と遠心分離器とを含み、該タンク結晶化装置は直列に配置された2つの槽から成り、それぞれ撹拌機を備え、表面は二重ジャケットから構成され、このジャケットはサーモスタットである一定温度になるように制御されている。まず、第1の結晶化槽にアクリル酸含有溶液を供給してアクリル酸を結晶化し、遠心分離器で結晶と母液を分離後、溶融液を用いて結晶を洗浄する。次いで得られた母液と洗浄液を第2の結晶化槽に供給してアクリル酸を結晶化し、遠心分離機で結晶と母液を分離後、溶融液を用いて結晶を洗浄する。
本発明の第1に第2実施形態のC工程においては、前記アクリル酸含有液を、上記で説明したような晶析器55へ導入し、1〜2回の結晶化を行うことによって、粗製アクリル酸を得ることができる。よりプロトアネモニンが低減された製品アクリル酸を得るためには、この晶析器55を経て得られた粗製アクリル酸に対しても、本発明の加熱処理を行うことができる。晶析器55において結晶化をさらに繰り返し行うことより、より純度の高い製品アクリル酸を得ることができる。製品アクリル酸を得る上で好ましい結晶化の回数は上記の通りである。
(D工程)
本発明の第1の第2実施形態のD工程は、前記晶析器から排出される晶析母液を回収する。
この晶析母液にも、アクリル酸含有液または粗製アクリル酸に対して本発明の加熱処理を行ったか否かによってことなるが、行っていない場合、晶析母液全質量に対して、1000〜10000質量ppm程度のプロトアネモニンが含まれていることがある。
よって、プロトアネモニンを含む晶析母液は、本発明の加熱処理を施すと好ましい。
晶析母液に対する、本発明の加熱処理は、100℃以上で、1時間以上であれば特に制限されないが、好ましくは130℃以上で、より好ましくは150℃以上で、さらに好ましくは170℃以上であり、好ましくは3時間以上、より好ましくは10時間以上である。上限としても、特に制限されないが、加熱温度は、200℃以下が好ましく、より好ましくは180℃以下である。また、加熱時間は、50時間以下が好ましく、より好ましくは20時間以下である。
かような本発明の加熱処理を施すことによって、晶析母液全質量に対し、1000〜10000質量ppm程度のプロトアネモニンが含まれていた場合であっても、該プロトアネモニンを、好ましくは60%以下、より好ましくは40%以下、さらに好ましくは30%以下に低減することができる。上限としても特に制限はないが、実質70%程度である。
徒に長い時間で、本発明の加熱処理をしたり、徒に高い温度で本発明の加熱処理をしたりしてしまうと、目的物であるアクリル酸が二量化してしまい、アクリル酸の製造効率が低下してしまう場合があるので温度と時間を適宜調整する必要がある。
(C’’工程)
本発明の第1の第2実施形態のC’’工程は、前記晶析母液を、第2高沸点蒸留塔へ導入し、蒸留する。
第2高沸点蒸留塔70’は、充填塔、棚段塔(トレイ塔)等を用いることができる。
第2高沸点蒸留塔70’における蒸留条件としては、アクリル酸を塔頂から効率よく抜き出し、アクリル酸ダイマー、マレイン酸、プロトアネモニンなどの高沸点物質と効率よく分離できる条件であれば、特に制限はない。
また、第2高沸点蒸留塔70’における塔頂圧力(絶対圧)は10〜400hPa、好ましくは15〜300hPa、特には20〜200hPaとすることが好ましい。10hPa(絶対圧)より低いと、塔、コンデンサ、真空装置が大型化し設備費がかかり不利である。一方、重合性を考慮すると、400hPa(絶対圧)より低い方が好ましい。また、第2高沸点蒸留塔70’における塔頂温度は、一般には30〜70℃、特には40〜60℃である。一方、塔底温度は、一般には50〜140℃、特には60〜120℃である。
なお、上記も述べたが、第2高沸点蒸留塔70’から排出される留出液71や晶析母液を循環液として捕集塔30に循環させてもよい。
(D’工程)
本発明の第1の第2実施形態のD’工程は、前記第2高沸点蒸留塔から排出される蒸留残分を回収する。
C’’工程の条件で蒸留を行うことによって、第2高沸点蒸留塔70’の塔頂からは気化されたアクリル酸を含むガスが留出して留出液71となる。なお、これは、捕集塔30に導入(循環)させると好ましい。
一方で、第2高沸点蒸留塔70’の塔底液にはアクリル酸ダイマー、マレイン酸、ベンズアルデヒドなどが含まれる。ただ、この第2高沸点蒸留塔70’の塔底液には、アクリル酸が含まれている。よって、アクリル酸の製造収率を向上させるために、塔底液からアクリル酸を回収し、系内に戻した方が好ましい。しかしながら、第2高沸点蒸留塔70’の塔底液には、かかる塔底液全体の質量に対し、1000〜10000ppm程度のプロトアネモニンが含まれていることがある。よって、第2高沸点蒸留塔70’の塔底液は、本発明の加熱処理を施すと好ましい。
第2高沸点蒸留塔70’の塔底液に対する、本発明の加熱処理は、他の時点で本発明の加熱処理を施すかどうかによっても異なるが、施していない場合、100℃以上で、1時間以上であれば特に制限されないが、好ましくは130℃以上で、より好ましくは150℃以上で、さらに好ましくは170℃以上であり、好ましくは3時間以上、より好ましくは10時間以上である。上限としても、特に制限されないが、加熱温度は、200℃以下が好ましく、より好ましくは180℃以下である。また、加熱時間は、50時間以下が好ましく、より好ましくは20時間以下である。
かような本発明の加熱処理を施すことによって、第2高沸点蒸留塔70’の塔底液全質量に対し、1000〜10000質量ppm程度のプロトアネモニンが含まれていた場合であっても、該プロトアネモニンを、好ましくは60%以下、より好ましくは40%以下、さらに好ましくは30%以下に低減することができる。
徒に長い時間で、本発明の加熱処理をしたり、徒に高い温度で本発明の加熱処理をしたりしてしまうと、目的物であるアクリル酸が二量化してしまい、アクリル酸の製造効率が低下してしまう場合があるので温度と時間を適宜調整する必要がある。
なお、第2高沸点蒸留塔70’の塔底液は、図2のAで示す時点で、本発明の第1の第1実施形態で説明したアクリル酸回収塔80を介在させてもよい。このようにすることで、アクリル酸の収率が向上する。その後、上記で説明したように、薄膜蒸発器73、熱分解槽75の工程を経るとよい。その理由は、先で説明した通りである。
このように、本発明においては、アクリル酸を製造する系における、様々な時点において、本発明の特異的な加熱処理を施す点も非常に有用である。その点も、本発明の特徴の一つといえる。
上記においては、本発明のアクリル酸の製造方法における工程の各時点の、本発明の加熱処理の条件やプロトアネモニンの低減量について説明を行った。
以下においては、効率よくプロトアネモニンを低減するとの観点に基づく説明を行う。
効率よくプロトアネモニンを低減するとの観点では、加熱処理を施す対象物に含まれるプロトアネモニンの量は、対象物の全質量に対し、好ましくは100質量ppm以上、より好ましくは200質量ppm以上、さらに好ましくは500質量ppm以上、特に好ましくは1000質量ppm以上である。上限としても、特に制限されないが、50000ppm以下である。
加熱処理を施す対象物に含有するプロトアネモニンの量が100ppm未満の場合は、本発明の加熱処理を行なっても低減されるプロトアネモニンの量が少ないため、効率が良いとはいえない。つまり、効率よくプロトアネモニンによるアクリル酸の汚染を緩和することができない。よって、加熱処理を施すアクリル酸を含有する対象物に含まれるプロトアネモニンの量を100質量ppm以上であると好ましい。なお、「アクリル酸含有液」および「粗製アクリル酸」の両者に対して、本発明の加熱処理を行う場合、これらの混合液全体の質量のプロトアネモニン濃度が100ppm以上であると好ましい。その一方で、加熱処理を施す対象物に含有するプロトアネモニンの量が1000ppm以上の場合は、本発明の加熱処理を行なった場合、プロトアネモニンを効率よく低減することができる。つまり、効率よくプロトアネモニンによるアクリル酸の汚染を緩和することができる。
効率よくプロトアネモニンを低減するとの観点では、本発明の加熱処理を行なった後、好ましくは50質量%低減され、より好ましくは60〜90質量%低減される。
つまり、本発明におけるプロトアネモニンおよびアクリル酸を含む溶液(本発明のアクリル酸の製造のプロセスにて生成されるすべてのものを含む)本発明の加熱処理を施すことによって、施す前のプロトアネモニンおよびアクリル酸を含む溶液に対して、プロトアネモニンの含有量を、好ましくは60%以下、より好ましくは40%以下、さらに好ましくは30%以下に低減することができる。ただ、実質は、5%以上であることがある。
上記の観点で考えると、本発明の加熱処理の温度は100℃以上であることが好ましく、より好ましくは130℃以上、さらに好ましくは150℃以上、特に好ましくは170℃以上であればよい。なお、上限としては、200℃以下であることが好ましい。
また、本発明の加熱処理の時間は、好ましくは1時間以上であり、より好ましくは3時間以上、さら好ましくは10時間以上であればよい。なお、上限としては、50時間以下であることが好ましい。
上記のような観点から、本発明においては、効率よくプロトアネモニンによるアクリル酸の汚染を緩和する方法が提供される。つまりは、本発明においては、アクリル酸の製造方法において、効率のよいプロトアネモニンを低減または除去する方法が提供される。
なお、最終製品としてのアクリル酸60に含まれるプロトアネモニンの量は、全質量に対して、好ましくは10質量ppm以下、より好ましくは5質量ppm以下、さらに好ましくは2質量ppm以下である。ただし、実質的に0.1ppm以上含まれる場合がある。
<本発明の第2>
本発明の第2は、本発明の第1の方法によって得られたアクリル酸を含む単量体成分を重合することを含む、親水性樹脂の製造方法である。
<本発明の第3>
本発明の第3は、本発明の第1の方法によって得られたアクリル酸を含む単量体成分を重合することを含む、吸水性樹脂の製造方法である。
本発明の第1の方法によって得られるアクリル酸を、吸水性樹脂または水溶性樹脂等の親水性樹脂製造用の原料として用いた場合、重合反応の制御がし易くなり、得られる親水性樹脂の品質が安定し、吸水性能、無機材料分散剤の各種性能が改善される。特に本発明の第1の方法によって得られるアクリル酸は吸水性樹脂製造用の原料として用いた場合、重合反応の制御がし易くなり、得られる吸水性樹脂の吸水性能が改善される。
以下に好適な態様について説明する。
本発明で得られるアクリル酸および/またはその塩を単量体の主成分(好ましくは70モル%以上、より好ましくは90モル%以上)とし、さらに0.001〜5モル%(アクリル酸に対する値)程度の架橋剤、0.001〜2モル%程度のラジカル重合開始剤を用いて架橋重合させ、乾燥、粉砕することにより吸水性樹脂が得られる。
吸水性樹脂とは、架橋構造を有した水膨潤性水不溶性のポリアクリル酸をいい、自重の3倍以上、好ましくは10〜1000倍の純水或いは生理食塩水を吸水し、水溶性成分(水可溶分)が好ましくは25質量%以下、より好ましくは10質量%以下の水不溶性ヒドロゲルを生成するものをいう。この様な吸水性樹脂の例示や物性測定方法としては例えば米国特許第6107358号、米国特許第6174978号、米国特許第6241928号が例示される。
また、生産性向上の点で好ましい製造方法としては例えば米国特許第6867269号、米国特許第6906159号、米国特許第7091253号、国際公開WO01/038402号、国際公開WO2006/034806号が例示される。
アクリル酸を出発原料として中和、重合、乾燥等により吸水性樹脂を製造する一連の工程は以下の通りである。
本発明の製法で得られるアクリル酸の一部はラインを介して吸水性樹脂製造プロセスに供給される。吸収性樹脂の製造プロセスにおいては該アクリル酸を中和工程,重合工程,乾燥工程に導入して所望の処理を施すことによって吸水性樹脂が製造される。
各種物性の改善を目的として所望の処理を施してもよく、例えば重合中,或いは重合後に架橋工程を介在させてもよい。
中和工程は任意の工程であり、例えば所定量の塩基性物質の粉末や水溶液とアクリル酸や、得られたポリアクリル酸(塩)とを混合する方法が例示されるが、公知の方法を採用すればよく、特に限定されない。尚、中和工程は重合前或いは重合後のいずれで行なってもよく、また重合前後の両方で行なってもよい。アクリル酸の中和に用いられる塩基性物質としては、例えば炭酸(水素)塩、アルカリ金属の水酸化物、アンモニア、有機アミンなど公知の塩基性物質を適宜用いればよい。またポリアクリル酸の中和率についても特に限定されず、任意の中和率(例えば30〜100モル%の任意の値)となる様に調整すればよい。
重合工程での重合方法は特に限定されず、ラジカル重合開始剤による重合、放射線重合、電子線や活性エネルギー線の照射による重合、光増感剤による紫外線重合など公知の重合方法を用いればよい。また重合開始剤、重合条件など各種条件については任意に選択できる。勿論、必要に応じて架橋剤や他の単量体、更には水溶性連鎖移動剤や親水性高分子など公知の添加剤を添加してもよい。
重合後のアクリル酸塩系ポリマー(以下、「吸水性樹脂」)は乾燥工程に付される。乾燥方法としては特に限定されず、熱風乾燥機,流動層乾燥機,ナウター式乾燥機など公知の乾燥手段を用いて、適宜所望の乾燥温度(好ましくは70〜230℃)で乾燥させればよい。
乾燥工程を経て得られた吸水性樹脂はそのままで使用してもよく、或いは更に所望の形状に造粒・粉砕、表面架橋をしてもよく、また還元剤、香料、バインダーなど各種添加剤を更に添加するなど、用途に応じた利用に供することができる。
(実施例1)
アクリル酸原料としてのプロピレンと、分子状酸素含有ガスとしての空気と、希釈ガスと、接触気相酸化して得た混合ガスを、捕集塔に導入して、捕集用水溶液としての水と接触させて、アクリル酸含有溶液を得た。
次いで、かかるアクリル酸含有溶液をアクロレイン放散塔に導入してアクロレインを放散させ、アクロレインを放散させたアクリル酸含有液を得た。
次いで、このアクリル酸含有液を低沸点蒸留塔(共沸蒸留塔)に供給し、共沸溶剤としてトルエンを用いて、水と酢酸等の低沸点不純物を蒸留除去し、250質量ppmのプロトアネモニンを含む粗製アクリル酸を得た。
なお、プロトアネモニンの含有量は、液体クロマトグラフィー(島津製作所社製の型番SCL−10Avp)を用いて定量した。他の実施例、比較例においても同様に行った。
この粗製アクリル酸500gを、撹拌器を備えたフラスコに仕込んだ。このフラスコ内の温度を100℃に保ち20時間撹拌し、加熱処理を行った。その結果、加熱処理後の粗製アクリル酸中のプロトアネモニンは90質量ppmとなっていた。
よって、この加熱処理後の粗製アクリル酸を、系内(特に、捕集塔、共沸蒸留塔のいずれか)に導入することによって、アクリル酸製造プロセス内におけるプロトアネモニンによる汚染を緩和することができる。
(実施例2)
実施例1に記載の粗製アクリル酸(本発明の加熱処理をしていないもの)を、第1高沸点蒸留塔に導入して、マレイン酸やアクリル酸ダイマーなどの高沸点不純物を除去し、塔頂から精製アクリル酸を得た。
一方で、かかる高沸点蒸留塔の塔底から、プロトアネモニン1500質量ppmを含有する蒸留残分を得た。
この粗製アクリル酸500gを、撹拌器を備えたフラスコに仕込んだ。このフラスコ内の温度を150℃に保ち5時間撹拌し、加熱処理を行った。その結果、加熱処理後の蒸留残分中のプロトアネモニンの含有量は、260質量ppmとなった。
よって、加熱処理後の蒸留残分を系内(特に、捕集塔、共沸蒸留塔、第1高沸点蒸留塔のいずれか)に導入することによって、アクリル酸製造プロセス内におけるプロトアネモニンによる汚染を緩和することができる。
(実施例3)
アクリル酸原料としてのプロピレンと、分子状酸素含有ガスとしての空気と、希釈ガスと、接触気相酸化して得た混合ガスを、捕集塔に導入して水と接触させて、アクリル酸含有液を得た。
次いで、かかるアクリル酸含有液を晶析器に導入し、粗製アクリル酸を得ると共に、晶析母液を晶析器から抜き出した。
次いで、晶析母液を第2高沸点蒸留塔に供給して、マレイン酸やアクリル酸ダイマーなどの高沸点不純物を除去し、塔頂から精製アクリル酸を回収すると共に、塔底からプロトアネモニン1700質量ppmを含有する粗製アクリル酸を得た。
この粗製アクリル酸500gを、撹拌器を備えたフラスコに仕込んだ。このフラスコ内の温度を170℃に保ち5時間撹拌し、加熱処理を行った。その結果、加熱処理後の粗製アクリル酸中のプロトアネモニンは290ppmであった。
よって、加熱処理後のアクリル酸含有液を、系内(特に、捕集塔、晶析器、第2高沸点蒸留塔のいずれか)に導入することによって、アクリル酸製造プロセス内におけるプロトアネモニンによる汚染を緩和することができる。
(比較例1)
加熱処理の時間を0.5時間にした以外は、実施例1と同様にして、粗製アクリル酸の加熱処理を行なった。
その結果、加熱処理後のアクリル酸中のプロトアネモニンは、240質量ppmであった。
(比較例2)
加熱処理の温度を50℃にした以外は、実施例1と同様にして、粗製アクリル酸の加熱処理を行なった。その結果、加熱処理後のアクリル酸中のプロトアネモニンは250質量ppmのままであった。
なお、本出願は、2008年 4月27日に出願された日本国特許出願第2008−116504号に基づいており、その開示内容は、参照により全体として引用されている。
1 アクリル酸原料、
3 分子状酸素含有ガス、
5 希釈ガス、
6 混合ガス、
10 接触気相酸化触媒、
20 反応器、
25 アクリル酸含有ガス、
30 捕集塔、
31 アクロレイン放散塔、
32 捕集塔塔頂排出ガス、
33 捕集用水溶液、
33’ 捕集用水、
34 リサイクルガス、
35、35’ アクリル酸含有溶液、
36 冷却塔、
39 冷却器、
50 低沸点蒸留塔(共沸蒸留塔)、
50a タンク、
53 前精製分離装置、
55 晶析器、
60 製品アクリル酸、
60’ 高い純度のアクリル酸、
70 第1高沸点蒸留塔、
70’ 第2高沸点蒸留塔、
71 留出液、
73 薄膜蒸発器、
75 熱分解槽、
78 廃油、
80 アクリル酸回収塔。

Claims (4)

  1. A)アクリル酸原料を含むガスの接触気相酸化反応によって、アクリル酸含有ガスを得る工程と、
    B)前記アクリル酸含有ガスを、捕集塔または凝縮塔へ導入し、捕集または凝縮を行うことによって、アクリル酸含有液を得る工程と、
    C)前記アクリル酸含有液を、蒸留塔または晶析器へ導入し、蒸留または晶析することによって、粗製アクリル酸を得る工程と、を含む、アクリル酸の製造方法であって、
    プロトアネモニンを100質量ppm以上含む、前記アクリル酸含有液または前記粗製アクリル酸を、100℃以上、1時間以上の条件下で加熱処理する工程と、
    加熱処理されたアクリル酸含有液または粗製アクリル酸を、前記捕集塔、前記凝縮塔、前記蒸留塔または前記晶析器に導入する工程を含む、アクリル酸の製造方法。
  2. D)前記蒸留塔または前記晶析器から排出される蒸留残分または晶析母液を回収する工程をさらに含み、
    プロトアネモニンを100質量ppm以上含む、前記アクリル酸含有液、前記粗製アクリル酸、前記蒸留残分または前記晶析母液を、100℃以上、1時間以上の条件下で加熱処理する工程と、
    加熱処理されたアクリル酸含有液、粗製アクリル酸、蒸留残分または晶析母液を、前記捕集塔、前記凝縮塔、前記蒸留塔または前記晶析器に導入する工程を含む、請求項1に記載のアクリル酸の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の製造方法によって得られたアクリル酸を含む単量体成分を重合することを含む、親水性樹脂の製造方法。
  4. 請求項1または2に記載の製造方法によって得られたアクリル酸を含む単量体成分を重合することを含む、吸水性樹脂の製造方法。
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