JP5377072B2 - 無段変速機の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、締付プーリにキャンセル油室を備える無段変速機の制御装置に関する。
車両等の動力伝達系に組み付けられる無段変速機(CVT)は、入力軸に設けられるプライマリプーリと、出力軸に設けられるセカンダリプーリと、これらのプーリに掛け渡される駆動チェーンとを有している。これらのプーリは固定シーブとこれに対面する可動シーブとを備えており、油圧駆動される可動シーブを軸方向にスライドさせてプーリ溝幅を変化させることが可能となっている。このように、プーリ溝幅を変化させて駆動チェーンの巻き付け径を変化させることにより、変速比を連続的に変化させることが可能となっている。このような無段変速機においては、プライマリプーリに供給するプライマリ圧によって駆動チェーンの巻き付け径が制御され、セカンダリプーリ(締付プーリ)に供給するセカンダリ圧(クランプ圧)によって駆動チェーンの張力が制御されている(例えば、特許文献1参照)。また、セカンダリ圧が供給される油圧室に遠心油圧が発生した場合には、セカンダリ圧が過大となって駆動チェーンが強く締め付けられることから、セカンダリプーリの油圧室に対向するようにキャンセル油室を設けるようにした無段変速機も提案されている。
特開2005−172011号公報
ところで、駆動チェーンのスリップを防止するためのセカンダリ圧を設定する際には、目標変速比と入力トルクとに基づいて目標セカンダリ圧を設定することが多い。しかしながら、セカンダリプーリにキャンセル油室を備える無段変速機においては、キャンセル油室から作動油が排出されるダウンシフト時に、流路抵抗によってキャンセル油室内の圧力が上昇してしまうおそれがある。このようなキャンセル油室での圧力上昇は、セカンダリプーリの溝幅を広げる方向に作用することから、セカンダリプーリのクランプ力を低下させてしまう要因となっていた。
本発明の目的は、締付プーリにキャンセル油室を備える無段変速機において、目標クランプ圧を適切に設定することにある。
本発明の無段変速機の制御装置は、変速圧が供給される変速油室を備える変速プーリと、クランプ圧が供給されるクランプ油室を備える締付プーリと、前記変速プーリと前記締付プーリとに巻き掛けられる動力伝達要素とを備える無段変速機の制御装置であって、前記締付プーリの溝幅を調整する可動シーブに設けられ、前記クランプ油室の遠心油圧による推力を打ち消す方向の推力を前記可動シーブに加えるキャンセル油室と、変速時に移動する前記可動シーブの移動速度を算出する移動速度算出手段と、前記キャンセル油室に供給される作動油の温度を検出する油温検出手段と、前記可動シーブの移動速度と前記作動油の温度とに基づいて、作動油排出時に前記キャンセル油室に生じる抵抗圧を推定する抵抗圧推定手段と、前記抵抗圧に基づいて、前記クランプ油室に対する目標クランプ圧を補正するクランプ圧補正手段とを有し、前記移動速度算出手段は、前記可動シーブの実移動速度と目標移動速度とを算出し、前記抵抗圧推定手段は、前記実移動速度と前記目標移動速度とのうち高い方の移動速度を用いて前記抵抗圧を推定することを特徴とする。
本発明によれば、可動シーブの移動速度と作動油の温度とに基づいて作動油排出時にキャンセル油室に生じる抵抗圧を推定し、この抵抗圧に基づいてクランプ油室に対する目標クランプ圧を補正している。これにより、キャンセル油室に抵抗圧が生じていた場合であっても、クランプ圧の不足を招くことがないように目標クランプ圧を適切に設定することが可能となる。
本発明の一実施の形態である無段変速機の制御装置によって制御される無段変速機を示すスケルトン図である。 無段変速機に組み込まれる変速機構を示す断面図である。 無段変速機の油圧制御系を示す概略図である。 目標プライマリ圧を設定するCVT制御ユニットの変速制御系を示すブロック図である。 目標セカンダリ圧を設定するCVT制御ユニットのクランプ制御系を示すブロック図である。 油圧比マップの一例を示すイメージ図である。 最低圧マップの一例を示すイメージ図である。 バランス補償圧算出部を示すブロック図である。 (A)は目標ストローク速度算出部によって参照されるシーブ位置データの一例を示すイメージ図である。また、(B)は実ストローク速度算出部によって参照されるシーブ位置データの一例を示すイメージ図である。 補償圧マップの一例を示すイメージ図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の一実施の形態である無段変速機の制御装置によって制御される無段変速機10を示すスケルトン図である。また、図2は無段変速機10に組み込まれる変速機構14を示す断面図である。図1に示すように、無段変速機10は、エンジン11に駆動されるプライマリ軸12と、これに平行となるセカンダリ軸13とを有している。プライマリ軸12とセカンダリ軸13との間には変速機構14が設けられており、セカンダリ軸13と駆動輪15との間には減速機構16や差動機構17が設けられている。
図1および図2に示すように、プライマリ軸12には変速プーリとしてのプライマリプーリ20が設けられている。このプライマリプーリ20は、プライマリ軸12に固定される固定シーブ20aと、プライマリ軸12に軸方向に摺動自在に設けられる可動シーブ20bとを有している。また、セカンダリ軸13には締付プーリとしてのセカンダリプーリ21が設けられている。このセカンダリプーリ21は、セカンダリ軸13に固定される固定シーブ21aと、セカンダリ軸13に軸方向に摺動自在に設けられる可動シーブ21bとを有している。さらに、プライマリプーリ20とセカンダリプーリ21とには、動力伝達要素としての駆動チェーン22が巻き掛けられている。
また、プライマリ軸12には、2つの外筒部23a,23bを備えたシリンダ部材23が固定されている。さらに、プライマリプーリ20の可動シーブ20bには、外筒部23aの内周面に摺動自在に接触する内筒部24が設けられるとともに、外筒部23bの内周面に摺動自在に接触する隔壁部材25が設けられている。このようなシリンダ部材23を可動シーブ20bの背面側に設けることにより、可動シーブ20bの背面側には2つの油圧室P1,P2が区画される。そして、それぞれの油圧室P1,P2に対する作動油の供給状態を制御することにより、可動シーブ20bを軸方向にスライド移動させることができ、プライマリプーリ20の溝幅を変化させることが可能となる。
また、セカンダリプーリ21の可動シーブ21bには、背面側に延びるように外筒部26が設けられている。さらに、セカンダリ軸13には、可動シーブ21bの外筒部26の内周面に摺動自在に接触する隔壁部材27が固定されている。このような隔壁部材27を可動シーブ21bの背面側に設けることにより、可動シーブ21bの背面側には油圧室S1が区画される。そして、油圧室S1に対する作動油の供給状態を制御することにより、可動シーブ21bを軸方向にスライド移動させることができ、セカンダリプーリ21の溝幅を変化させることが可能となる。このように、プーリ20,21の溝幅を変化させて駆動チェーン22の巻き付け径を変化させることにより、ロー(Low)からハイ(High)まで変速比を無段階に制御することが可能となっている。
さらに、セカンダリプーリ21が備える可動シーブ21bの外筒部26には、隔壁部材27を覆うように環状のディスク部材28が固定されている。このように、外筒部26の端部に対してディスク部材28を設けることにより、隔壁部材27を介して油圧室S1に隣り合うようにキャンセル油室S2が区画されている。また、キャンセル油室S2に作動油を供給するため、隔壁部材27の外側には流路29aを区画するカバー部材29が配置されている。このカバー部材29は、セカンダリ軸13に対して固定されるとともに、ディスク部材28の内縁部に対して摺動自在に設けられている。このような流路29aからキャンセル油室S2に対して作動油を充填しておくことにより、セカンダリプーリ21の回転に伴って油圧室S1内に遠心油圧が作用する場合であっても、遠心油圧の影響を抑制して制御精度を高めることが可能となる。すなわち、油圧室S1内の遠心油圧によって溝幅を狭める方向の推力が可動シーブ21bに加えられる一方、キャンセル油室S2内の遠心油圧によって溝幅を広げる方向の推力が可動シーブ21bに加えられる。このように、油圧室S1に遠心油圧が発生する状況であっても。可動シーブ21bに作用する推力を互いに打ち消すことができ、遠心油圧による影響を抑制することが可能となる。なお、キャンセル油室S2に対しては、後述する油圧系統から所定圧力の作動油が常時供給されているが、可動シーブ21bの移動に伴ってキャンセル油室S2の容量が縮小されるダウンシフト時には、隔壁部材27とカバー部材29との間の流路29aに作動油が逆流してオイルパンに向けて排出されるようになっている。
また、変速機構14に対してエンジン動力を伝達するため、クランク軸11aとプライマリ軸12との間にはトルクコンバータ30および前後進切換機構31が設けられている。トルクコンバータ30は、クランク軸11aにフロントカバー32を介して連結されるポンプインペラ33と、このポンプインペラ33に対向するとともにタービン軸34に連結されるタービンランナ35とを備えている。このトルクコンバータ30内には作動油が供給されており、トルクコンバータ30は作動油を介してポンプインペラ33からタービンランナ35にエンジン動力を伝達する構造を有している。このような滑り要素であるトルクコンバータ30には、エンジン動力の伝達効率を向上させるため、クランク軸11aとタービン軸34とを直結するロックアップクラッチ36が設けられている。
また、前後進切換機構31は、ダブルピニオン式の遊星歯車列40、前進クラッチ41および後退ブレーキ42を備えている。これら前進クラッチ41や後退ブレーキ42を制御することにより、エンジン動力の伝達径路を切り換えることが可能となっている。前進クラッチ41および後退ブレーキ42を共に解放することにより、タービン軸34とプライマリ軸12とを切り離すことが可能となる。また、後退ブレーキ42を開放して前進クラッチ41を締結することにより、タービン軸34の回転をそのままプライマリプーリ20に伝達することが可能となる。さらに、前進クラッチ41を開放して後退ブレーキ42を締結することにより、タービン軸34の回転を逆転してプライマリプーリ20に伝達することが可能となる。
図3は無段変速機10の油圧制御系を示す概略図である。図3に示すように、プライマリプーリ20やセカンダリプーリ21に作動油を供給するため、無段変速機10にはエンジン11に駆動されるオイルポンプ50が設けられている。オイルポンプ50に接続されるセカンダリ油路51は、セカンダリプーリ21の油圧室S1に接続されるとともに、分岐油路52を介してセカンダリ制御弁53に接続されている。そして、セカンダリ油路51からクランプ油室である油圧室S1に供給される作動油は、セカンダリ制御弁53によってセカンダリ圧(クランプ圧)Psに調圧される。このセカンダリ圧Psは、駆動チェーン22に滑りを生じさせないように供給される油圧である。なお、セカンダリ圧Psを調圧する際にセカンダリ制御弁53から排出される作動油は、潤滑油路54を介して潤滑回路55に案内され、無段変速機10内の各摺動部やキャンセル油室S2に供給されることになる。
また、セカンダリ油路51から分岐する分岐油路56は、プライマリ制御弁57を介してプライマリプーリ20の変速油室である油圧室P2に接続されている。分岐油路56から油圧室P2に供給される作動油は、プライマリ制御弁57によってプライマリ圧(変速圧)Ppに調圧される。このプライマリ圧Ppは、目標変速比に向けてプライマリプーリ20の溝幅を制御するために供給される油圧である。さらに、セカンダリ油路51から分岐する分岐油路58はプライマリプーリ20の油圧室P1に接続されている。このように、プライマリプーリ20の油圧室P2にはプライマリ圧Ppが供給される一方、プライマリプーリ20の油圧室P1にはセカンダリ圧Psが供給されるようになっている。プライマリプーリ20に対してセカンダリ圧Psを供給することにより、セカンダリ圧Psによって可動シーブ20bに推力を加えることが可能となる。これにより、変速制御に必要なプライマリ圧Ppを引き下げることができるため、プライマリ圧Ppの元圧となるセカンダリ圧Psを引き下げることが可能となる。
なお、プライマリ制御弁57は、CVT制御ユニット60からの指示電流によって駆動されるソレノイド部を有しており、指示電流に応じて一義的に流量を制御する電磁流量制御弁となっている。また、セカンダリ制御弁53は、CVT制御ユニット60からの指示電流によって駆動されるソレノイド部を有しており、指示電流に応じて一義的に圧力を制御する電磁圧力制御弁となっている。それぞれの制御弁53,57に対して指示電流を出力するCVT制御ユニット60は、図示しないマイクロプロセッサ(CPU)を備えており、このCPUにはバスラインを介してROM、RAMおよびI/Oポートが接続される。ROMには制御プログラムや各種マップデータなどが格納され、RAMにはCPUで演算処理したデータが一時的に格納される。さらに、I/Oポートを介してCPUには各種センサから車両の走行状態を示す信号が入力されている。
CVT制御ユニット60に信号を入力する各種センサとしては、プライマリプーリ20のプライマリ回転数(実プライマリ回転数)を検出するプライマリ回転数センサ61、セカンダリプーリ21のセカンダリ回転数(実セカンダリ回転数)を検出するセカンダリ回転数センサ62、エンジン回転数を検出するエンジン回転数センサ63、エンジン11の吸気系に設けられるスロットルバルブの開度を検出するスロットル開度センサ64、車速を検出する車速センサ65、セレクトレバーの操作位置を検出するインヒビタスイッチ66、変速機構14に供給される作動油の温度を検出する油温検出手段としての油温センサ67等が設けられている。
続いて、CVT制御ユニット60による目標プライマリ圧Pptおよび目標セカンダリ圧Pstの設定手順について説明する。図4は目標プライマリ圧Pptを設定するCVT制御ユニット60の変速制御系を示すブロック図である。図4に示すように、CVT制御ユニット60は、目標プライマリ圧Pptを算出するため、目標プライマリ回転数算出部70、目標変速比算出部71、実変速比算出部72、目標プライマリ圧算出部73を備えている。目標プライマリ回転数算出部70は、車速Vとスロットル開度Toに基づいて所定の変速特性マップを参照することにより目標プライマリ回転数Nptを算出する。また、目標変速比算出部71は、目標プライマリ回転数Nptと実セカンダリ回転数Ns’とに基づいて目標変速比itを算出する。さらに、実変速比算出部72は、実プライマリ回転数Np’と実セカンダリ回転数Ns’とに基づいて実変速比i’を算出する。次いで、目標プライマリ圧算出部73は、目標変速比itに実変速比i’を収束させるように目標プライマリ圧Pptを算出する。そして、CVT制御ユニット60は、目標プライマリ圧Pptに基づき設定される指示電流をプライマリ制御弁57に出力する。
図5は目標セカンダリ圧Pstを設定するCVT制御ユニット60のクランプ制御系を示すブロック図である。図5に示すように、CVT制御ユニット60は、油圧比(Pp/Ps)を設定するため、入力トルク算出部74および油圧比算出部75を備えている。入力トルク算出部74は、エンジン回転数Neとスロットル開度Toとに基づいて、エンジン11からプライマリ軸12に伝達される入力トルクTiを算出する。そして、油圧比設定手段として機能する油圧比算出部75は、目標変速比itと入力トルクTiとに基づいて所定の油圧比マップを参照することにより、プライマリ圧Ppとセカンダリ圧Psとの油圧比(Pp/Ps)を算出する。
ここで、図6は油圧比マップの一例を示すイメージ図である。図6に示すように、油圧比マップには様々な変速比に対応する特性線が設定されている。そして、油圧比算出部75は、目標変速比itに基づいて特性線を選択するとともに、選択された特性線と入力トルクTiとに基づいて油圧比(Pp/Ps)を設定する。しかしながら、図6に示すような油圧比マップは、特定の走行状況下で有効に機能するマップであり、一般的には変速比が一定となる定常走行状態において有効となるように設計されている。すなわち、変速比を変化させながら走行する変速過渡状態においては、変速速度等を加味した適切な油圧比(Pp/Ps)を設定することが困難である。このため、従来のように、油圧比(Pp/Ps)に対して目標プライマリ圧Pptを乗算して目標セカンダリ圧Pstを算出した場合には、変速過渡状態においてセカンダリ圧Psの過不足を生じさせる要因となっていた。
そこで、CVT制御ユニット60は、定常走行状態において有効に機能する油圧比マップを用いつつ、変速過渡状態を考慮しながら目標セカンダリ圧Pstを設定するようにしている。図5に示すように、CVT制御ユニット60は、変速過渡状態を加味して目標セカンダリ圧Pstを設定するため、目標変速速度算出部76、プライマリ最低圧算出部77、プライマリ遠心油圧算出部78、セカンダリ最低圧算出部79を備えている。目標変速速度算出部76は、スロットル開度Toと目標変速比itとに基づいて、目標変速速度Vpつまりプライマリプーリ20の可動シーブの目標移動速度を算出する。そして、最低変速圧設定手段として機能するプライマリ最低圧算出部77は、目標変速速度Vpと目標プライマリ回転数Nptとに基づき図7の最低圧マップを参照することにより、目標変速速度Vpを満たすために必要なプライマリ最低圧Ppminを設定する。また、遠心油圧算出手段として機能するプライマリ遠心油圧算出部78は、実プライマリ回転数Np’に基づいてプライマリプーリ20の油圧室P1に作用する遠心油圧Ppcを算出する。そして、目標クランプ圧設定手段として機能するセカンダリ最低圧算出部79は、プライマリ最低圧Ppminと遠心油圧Ppcとに基づいて演算用のプライマリ圧Pp(=Ppmin+Ppc)を算出した後に、演算用のプライマリ圧Ppと油圧比(Pp/Ps)とに基づいてセカンダリ最低圧Psminを算出する。
さらに、CVT制御ユニット60は、入力トルクTiを加味して目標セカンダリ圧Pstを設定するため、必要セカンダリ圧算出部80および目標セカンダリ圧算出部81を備えている。必要セカンダリ圧算出部80は、目標変速比itに基づいて単位トルク当たりの必要セカンダリ圧Psnを算出する。そして、目標クランプ圧設定手段として機能する目標セカンダリ圧算出部81は、入力トルクTiと必要セカンダリ圧Psnとに基づいて基本セカンダリ圧Psb(=Ti×Psn)を算出した後に、基本セカンダリ圧Psbとセカンダリ最低圧Psminとに基づいて目標セカンダリ圧(目標クランプ圧)Pstを算出する。
ところで、ダウンシフト時には、セカンダリプーリ21の油圧室S1が拡張される一方、油圧室S1に対向するキャンセル油室S2は縮小されることになる。すなわち、キャンセル油室S2内の作動油は流路29aから排出されることになるが、作動油の排出径路には流路抵抗があることから、可動シーブ21bの移動速度やキャンセル油室S2内の油温によっては、キャンセル油室S2内に無視できない大きさの抵抗圧が発生することになっていた。このようにキャンセル油室S2内に発生した抵抗圧は、可動シーブ21bを図2の矢印α方向に付勢することから、セカンダリプーリ21の溝幅を広げてクランプ力を低下させる要因となっていた。
そこで、本発明の無段変速機の制御装置は、ダウンシフト時におけるセカンダリプーリ21のクランプ力の低下を回避するため、CVT制御ユニット60にバランス補償圧算出部82および目標セカンダリ圧補正部83を設けている。抵抗圧推定手段として機能するバランス補償圧算出部82は、キャンセル油室S2内に生じる抵抗圧を推定するとともに、この抵抗圧に基づいてバランス補償圧Pbを算出する。そして、クランプ圧補正手段として機能する目標セカンダリ圧補正部83は、バランス補償圧Pbを用いて目標セカンダリ圧Pstを補正する。以下、バランス補償圧Pbの算出から目標セカンダリ圧Pstを補正する迄の手順について説明する。なお、バランス補償圧Pbとは、キャンセル油室S2の抵抗圧によって可動シーブ21bに加えられる推力を打ち消すため、油圧室S1に加算することが必要な圧力である。
図8はバランス補償圧算出部82を示すブロック図である。図8に示すように、バランス補償圧算出部82は、可動シーブ21bの目標移動速度である目標ストローク速度Vsを、目標変速比iを用いて算出する目標ストローク速度算出部90を有している。また、バランス補償圧算出部82は、可動シーブ21bの実移動速度である実ストローク速度Vs’を、実変速比i’を用いて算出する実ストローク速度算出部91を有している。ここで、図9(A)は目標ストローク速度算出部90によって参照されるシーブ位置データの一例を示すイメージ図である。また、図9(B)は実ストローク速度算出部91によって参照されるシーブ位置データの一例を示すイメージ図である。図9(A)に示すように、シーブ位置データには目標変速比iとこれに対応する可動シーブ21bのシーブ位置とが格納されている。移動速度算出手段としての目標ストローク速度算出部90は、所定時間毎(例えば100ms毎)に目標変速比iからシーブ位置を求め、シーブ位置の変化量から可動シーブ21bの目標ストローク速度Vsを算出する。同様に、図9(B)に示すように、シーブ位置データには実変速比i’とこれに対応する可動シーブ21bのシーブ位置とが格納されている。移動速度算出手段としての実ストローク速度算出部91は、所定時間毎(例えば100ms毎)に実変速比i’からシーブ位置を求め、シーブ位置の変化量から可動シーブ21bの実ストローク速度Vs’を算出する。
また、バランス補償圧算出部82は、ストローク速度比較部92および補償圧算出部93を有している。ストローク速度比較部92は、目標ストローク速度Vsと実ストローク速度Vs’との大きさを比較判定し、速い方のストローク速度Vs,Vs’を補償圧算出部93に向けて出力する。また、補償圧算出部93には、油温センサ67からキャンセル油室S2に供給される作動油の温度(油温)TOILが入力されている。そして、補償圧算出部93は、油温TOILと速い方のストローク速度Vs,Vs’とに基づいて、図10の補償圧マップを参照することにより、抵抗圧に基づくバランス補償圧Pbを算出する。続いて、目標セカンダリ圧補正部83は、目標セカンダリ圧Pstに対してバランス補償圧Pbを加算することにより、補正後の目標セカンダリ圧Pst’を算出する。そして、CVT制御ユニット60は、目標セカンダリ圧Pst’に基づき設定される指示電流をセカンダリ制御弁53に出力する。
なお、図10に示すように、油温TOILが低くなる程に、キャンセル油室S2の抵抗圧が大きくなることから、バランス補償圧Pbは大きくなるように設定されている。同様に、可動シーブ21bのストローク速度が速くなる程に、キャンセル油室S2の抵抗圧が大きくなることから、バランス補償圧Pbは大きくなるように設定されている。また、図10に示すストローク速度はロー側にダウンシフトする場合を正の値として示している。すなわち、ストローク速度が負の値になる場合には、アップシフトの実行に伴いキャンセル油室S2に抵抗圧が発生しないことから、バランス補償圧Pbは「0」に設定されている。
これまで説明したように、可動シーブ21bのストローク速度Vs,Vs’と油温TOILとに基づいてバランス補償圧Pbを算出するとともに、このバランス補償圧Pbを目標セカンダリ圧Pstに対して加算している。このように、目標セカンダリ圧Pstを補正することにより、キャンセル油室S2内に発生する抵抗圧を打ち消すように、セカンダリ圧Psを引き上げることができるため、セカンダリプーリ21のクランプ力を適正に制御することが可能となる。これにより、駆動チェーン22のスリップを防止することができ、無段変速機10の耐久性を向上させることが可能となる。しかも、目標ストローク速度Vsと実ストローク速度Vs’との高い方を用いてバランス補償圧Pbを算出するようにしたので、如何なる変速状況においてもセカンダリ圧Psの不足を招くことがなく、駆動チェーン22のスリップを確実に防止することが可能となる。
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。たとえば、前述の説明では、横置きの無段変速機10を示しているが、これに限られることはなく、縦置きの無段変速機に対して本発明の制御装置を適用しても良い。また、動力伝達要素として駆動チェーン22を用いているが、これに限られることはなく、多数のエレメントをスチールバンドによって保持するようにした駆動ベルトを動力伝達要素として用いても良い。
また、前述の説明では、プライマリプーリ20を変速プーリとして機能させ、セカンダリプーリ21を締付プーリとして機能させているが、これに限られることはなく、プライマリプーリ20を締付プーリとして機能させ、セカンダリプーリ21を変速プーリとして機能させても良い。さらに、図示するプライマリプーリ20はダブルシリンダタイプのプーリ構造を有しているが、これに限られることはなく、シングルシリンダタイプのプーリ構造を有していても良い。
さらに、図示する場合には、セカンダリ圧Psよりも低いプライマリ圧Ppを調整して変速制御を行う片調圧方式の油圧制御系を有しているが、これに限られることはなく、変速状況に応じてプライマリ圧Ppとセカンダリ圧Psとの大小関係が入れ替わる両調圧方式の油圧制御系を設けるようにしても良い。なお、前述の説明では、プライマリ制御弁57を電磁流量制御弁として機能させ、セカンダリ制御弁53を電磁圧力制御弁として機能させているが、これに限られることはなく、プライマリ制御弁57を電磁圧力制御弁として機能させ、セカンダリ制御弁53を電磁流量制御弁として機能させても良い。
10 無段変速機
20 プライマリプーリ(変速プーリ)
21 セカンダリプーリ(締付プーリ)
21b 可動シーブ
22 駆動チェーン(動力伝達要素)
67 油温センサ(油温検出手段)
82 バランス補償圧算出部(抵抗圧推定手段)
83 目標セカンダリ圧補正部(クランプ圧補正手段)
90 目標ストローク速度算出部(移動速度算出手段)
91 実ストローク速度算出部(移動速度算出手段)
P1 油圧室(変速油室)
S1 油圧室(クランプ油室)
S2 キャンセル油室
Pp プライマリ圧(変速圧)
Ps セカンダリ圧(クランプ圧)
Pst 目標セカンダリ圧(目標クランプ圧)
Vs 目標ストローク速度(目標移動速度,移動速度)
Vs’ 実ストローク速度(実移動速度,移動速度)
OIL 作動油の温度

Claims (1)

  1. 変速圧が供給される変速油室を備える変速プーリと、クランプ圧が供給されるクランプ油室を備える締付プーリと、前記変速プーリと前記締付プーリとに巻き掛けられる動力伝達要素とを備える無段変速機の制御装置であって、
    前記締付プーリの溝幅を調整する可動シーブに設けられ、前記クランプ油室の遠心油圧による推力を打ち消す方向の推力を前記可動シーブに加えるキャンセル油室と、
    変速時に移動する前記可動シーブの移動速度を算出する移動速度算出手段と、
    前記キャンセル油室に供給される作動油の温度を検出する油温検出手段と、
    前記可動シーブの移動速度と前記作動油の温度とに基づいて、作動油排出時に前記キャンセル油室に生じる抵抗圧を推定する抵抗圧推定手段と、
    前記抵抗圧に基づいて、前記クランプ油室に対する目標クランプ圧を補正するクランプ圧補正手段とを有し、
    前記移動速度算出手段は、前記可動シーブの実移動速度と目標移動速度とを算出し、
    前記抵抗圧推定手段は、前記実移動速度と前記目標移動速度とのうち高い方の移動速度を用いて前記抵抗圧を推定することを特徴とする無段変速機の制御装置。
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