JP5377045B2 - インクジェット用インク、インクジェット用インクの作製方法、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法 - Google Patents
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Description
また、本発明の別の実施態様にかかるインクジェット用インクの作製方法は、インクジェット用インクの作製方法であって、色材として、下記一般式(I)で表される化合物を含有するインクジェット用インクを収容するインクカートリッジのインク収容部に、C.I.ダイレクトバイオレット107、C.I.アシッドレッド14、C.I.アシッドレッド52、C.I.アシッドレッド87、C.I.アシッドレッド289、及びC.I.リアクティブレッド180からなる群から選ばれる少なくとも1種を色材として含有するインクジェット用インクを、前記一般式(I)で表される化合物の含有量(質量%)の含有量が、色材の含有量の合計(質量%)に対して15.0質量%以上40.0質量%以下となるように充填して、インクジェット用インクを得る工程を有することを特徴とする。
また、本発明の別の実施態様にかかるインクジェット用インクは、上記構成のインクジェット用インクの作製方法により得られたことを特徴とする。
以下、本発明のインクジェット用インク(以下、単にインクと呼ぶこともある)を構成する成分等について詳細に述べる。
本発明のインクは、C.I.ダイレクトバイオレット107、C.I.アシッドレッド14、C.I.アシッドレッド52、C.I.アシッドレッド87、C.I.アシッドレッド289、及びC.I.リアクティブレッド180からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有することが必須である。この色材群を構成する各色材は、画像の発色性等に優れるため、これらの色材を含有するインクを用いることで、銀塩写真の発色性に匹敵するインクジェット記録画像を形成することができる。以下、本発明においては、C.I.ダイレクトバイオレット107、C.I.アシッドレッド14、C.I.アシッドレッド52、C.I.アシッドレッド87、C.I.アシッドレッド289、及びC.I.リアクティブレッド180からなる群を、「色材群」と呼ぶことがある。
一般式(I)におけるMはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムである。前記アルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。また、前記有機アンモニウムとしては、例えば、アセトアミド、ベンズアミド、メチルアミノ、ブチルアミノ、ジエチルアミノ、トリエタノールアミノ、及びフェニルアミノ等が挙げられる。
一般式(II)におけるMはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムである。前記アルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられ、前記有機アンモニウムとしては、例えば、アセトアミド、ベンズアミド、メチルアミノ、ブチルアミノ、ジエチルアミノ、及びフェニルアミノ等が挙げられる。
上記で述べた通り、本発明のインクにおいては、インク中における、一般式(I)で表される化合物の含有量(質量%)が、色材の含有量の合計(質量%)に占める割合が15.0質量%以上40.0質量%以下であることが必要である。前記割合が15.0質量%未満であると、画像の耐光性及び耐ガス性が得られない場合があり、40.0質量%を越えると、画像の発色性が十分に得られない場合がある。なお、この場合の一般式(I)で表される化合物の含有量や色材の含有量の合計は、インク全質量を基準とした値である。
本発明で用いる色材がインク中に含まれているか否かの検証には、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いた下記(1)〜(3)の検証方法が適用できる。
(1) ピークの保持時間
(2) (1)のピークについての最大吸収波長
(3) (1)のピークについてのマススペクトルのM/Z(posi)、M/Z(nega)
高速液体クロマトグラフィーの分析条件は、以下に示す通りである。純水で約1,000倍に希釈した液体(インク)を測定用サンプルとした。そして、下記の条件で高速液体クロマトグラフィーでの分析を行い、ピークの保持時間(retention time)、及び、ピークの最大吸収波長を測定した。
・カラム:SunFire C18 2.1mm×150mm(日本ウォーターズ製)
・カラム温度:40℃
・流速:0.2mL/min
・PDA:200nm〜700nm
・移動相及びグラジエント条件:表1
・イオン化法
・ESI
キャピラリ電圧:3.5kV
脱溶媒ガス:300℃
イオン源温度:120℃
・検出器
posi:40V 200〜1500amu/0.9sec
nega:40V 200〜1500amu/0.9sec。
本発明においては、上記色材群から選ばれる少なくとも1種の色材と一般式(I)で表される化合物とに、必要に応じて使用する一般式(II)で表される化合物に加えて、その他の色材を組み合わせてもよい。
本発明のインクは、水、又は水と水溶性有機溶剤との混合溶媒である水性媒体を含有することが好ましい。水としては、脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、10.0質量%以上90.0質量%以下であることが好ましい。また、インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、5.0質量%以上90.0質量%以下、更には10.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。含有量が5.0質量%未満であると、吐出性等が低下する場合があり、含有量が10.0質量%を越えると、インクの粘度が高くなり、インクの供給不良等が起きる場合がある。
エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、iso−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール等の炭素数1乃至4のアルキルアルコール類。N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のカルボン酸アミド類。アセトン、メチルエチルケトン、2−メチル−2−ヒドロキシペンタン−4−オン等のケトン類又はケトアルコール類。テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル類。グリセリン、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン等の多価アルコール類。エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2又は1,3−プロピレングリコール、1,2又は1,4−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、アセチレングリコール誘導体等のグリコール類。エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノエチル(又はブチル)エーテル等の多価アルコールのアルキルエーテル類。2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルモルホリン等の複素環類。チオジグリコール、ジメチルスルホキシド等の含硫黄化合物。尿素、尿素誘導体等の含窒素化合物。これらの水溶性有機溶剤は、1種又は2種以上を用いることができる。
本発明のインクには必要に応じて、界面活性剤、pH調整剤、キレート剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、紫外線吸収剤、粘度調整剤、消泡剤、及び、水溶性ポリマー等、種々の添加剤を含有させてもよい。例えば、界面活性剤の具体例としては、アニオン界面活性剤、両面界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤等が挙げられる。
本発明のインクは、インクジェット方法でインクを吐出して記録媒体に記録を行うインクジェット記録方法に好ましく適用することができる。インクジェット記録方法は、インクに力学的エネルギーを作用させてインクを吐出させる記録方法や、インクに熱エネルギーを作用させてインクを吐出させる記録方法等がある。特に、本発明においては、熱エネルギーを利用するインクジェット記録方法を好ましく用いることができる。
本発明のインクを適用するのに好適なインクカートリッジは、これらのインクを収容するインク収容部を備えたインクカートリッジが挙げられ、前記インク収容部に収容されたインクが、本発明のインクであることが好ましい。以下にインクカートリッジの具体例を示す。
本発明のインクの作製方法は、本発明のインクにおける必須の構成要件を満足するインクが得られれば、その方法は特に限定されない。すなわち、色材として、上記色材群から選ばれる少なくとも1種及び一般式(I)で表される化合物を含有し、かつ一般式(I)で表される化合物の含有量が全色材に占める割合が特定の範囲であるインクが得られる方法であれば、どのような工程を用いてもよい。
以下に示す手順にしたがって、化合物(I)(一般式(I)におけるMがナトリウム原子である化合物)を合成した。
下記表3〜6の上段に示した各成分を混合し、十分撹拌した後、ポアサイズ0.2μmのメンブランフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過を行い、各インクを調製した。
上記で得られた各インクをそれぞれ充填したインクカートリッジをインクジェット記録装置(商品名:Pixus iP8600;キヤノン製)に搭載して、記録物を作製した。記録条件を、温度23℃、相対湿度55%、記録密度2,400dpi×1,200dpi、吐出量2.5pLとした。記録媒体(商品名:プロフェッショナルフォトペーパーPR101;キヤノン製)に、記録デューティを50%とした画像を形成し、得られた記録物を温度23℃、相対湿度55%の環境で24時間自然乾燥させた。
(発色性)
上記で得られた記録物の画像の部分について、分光光度計(Spectorolino;Gretag Macbeth製)を用いて、光源:D50、視野:2°の条件でマゼンタ成分の光学濃度を測定して、発色性の評価を行った。発色性の評価基準は以下の通りである。評価結果を表7及び表8に示した。本発明においては、下記の評価基準でAを優れているレベル、B及びCを許容できないレベルとした。
A:光学濃度が1.7以上であった
B:光学濃度が1.5以上1.7未満であった
C:光学濃度が1.5未満であった。
上記で得られた記録物の画像の部分について、分光光度計(Spectorolino;Gretag Macbeth製)を用いて、光源:D50、視野:2°の条件でマゼンタ成分の光学濃度を測定した(「試験前の光学濃度」とする)。その後、スーパーキセノン試験機(商品名:SX−75;スガ試験機製)中に上記で得られた記録物を入れ、照射強度100キロルクス、槽内温度24℃、相対湿度60%の条件で48時間曝露した。その後更に、記録物の画像の部分について、上記と同様の条件でマゼンタ成分の光学濃度を測定した(「試験後の光学濃度」とする)。得られた試験前の光学濃度及び試験後の光学濃度の各値から、下記式に基づいて光学濃度の残存率を算出して、耐光性の評価を行った。耐光性の基準は以下の通りである。評価結果を表7及び表8に示した。本発明においては、下記の評価基準でAを優れているレベル、B及びCを許容できないレベルとした。
B:光学濃度の残存率が70%以上80%未満であった
C:光学濃度の残存率が70%未満であった。
上記で得られた記録物の画像の部分について、分光光度計(Spectorolino;Gretag Macbeth製)を用いて、光源:D50、視野:2°の条件でマゼンタ成分の光学濃度を測定した(「試験前の光学濃度」とする)。その後、オゾン試験装置(商品名:OMS−H;スガ試験機製)中に上記で得られた記録物を入れ、オゾンガス濃度2.5ppm、槽内温度40℃、相対湿度60%の条件で32時間暴露した。その後更に、記録物の画像の部分について、上記と同様の条件でマゼンタ成分の光学濃度を測定した(「試験後の光学濃度」とする)。得られた試験前の光学濃度及び試験後の光学濃度の各値から、上記式に基づいて光学濃度の残存率を算出して、耐ガス性の評価を行った。耐ガス性の基準は以下の通りである。評価結果を表7及び表8に示した。本発明においては、下記の評価基準でAA、Aを十分な性能を有するレベルとし、AAを特に優れているレベル、B及びCを許容できないレベルとした。
AA:光学濃度の残存率が85%以上であった
A:光学濃度の残存率が80%以上85%未満であった
B:光学濃度の残存率が70%以上80%未満であった
C:光学濃度の残存率が70%未満であった。
上記で得られた各インクをそれぞれ充填したインクカートリッジをインクジェット記録装置(商品名:Pixus iP8600;キヤノン製)に搭載して、記録物を作製した。記録条件を、温度23℃、相対湿度55%、記録密度2,400dpi×1,200dpi、吐出量2.5pLとした。記録媒体(商品名:プロフェッショナルフォトペーパーPR101;キヤノン製)に、記録デューティを50%とした画像を形成した。このようにして作製した、温度25℃、相対湿度20%の環境で24時間自然乾燥させた記録物と、同様の記録を行ってから5分後の記録物とについて、画像における色相のずれの状態を目視で確認してこれらの記録物を比較して、色安定性の評価を行った。色安定性の基準は以下の通りである。評価結果を表7及び表8に示した。
A:色相のずれがなく、優れたレベルであった
B:色相のずれが若干あったが、許容できるレベルであった
C:色相のずれが明らかにあり、許容できないレベルであった。
下記表9に示した各成分を混合し、十分撹拌した後、ポアサイズ0.2μmのメンブランフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過を行い、インクAを調製した。
上記で得られた実施例25〜30の各インクが充填されたインクカートリッジを、インクジェット記録装置(商品名:Pixus iP8600;キヤノン製)にそれぞれ搭載して、記録物を作製した。記録条件を、温度23℃、相対湿度55%、記録密度2,400dpi×1,200dpi、吐出量2.5pLとした。記録媒体(商品名:プロフェッショナルフォトペーパーPR101;キヤノン製)に、記録デューティを50%とした画像を形成し、得られた記録物を温度23℃、相対湿度55%の環境で24時間自然乾燥した。このようにして得られた記録物について、上記と同様の方法及び評価基準で、発色性、耐光性、及び耐ガス性の評価を行った。また、上記と同様の方法で5分及び24時間保存した記録物をそれぞれ作製して、上記と同様の評価基準で色安定性の評価を行った。評価結果を表11に示した。
114 インク供給口
132A 第2の負圧発生部材
132B 第1の負圧発生部材
132C 第1の負圧発生部材と第2の負圧発生部材の境界層
134 負圧発生部材収容室
136 インク収容室
138 仕切壁
140 連通孔
146 圧接体
150 大気導入溝
L インクの液面
1001 インクカートリッジ
1100 記録素子基板
1200 インク供給口
1300 電気配線テープ
1400 インク供給部材
1500 インク吸収体
1501 インク吸収体
1502 インク吸収体
1503 インク吸収体
1600 蓋部材
1700 係合部
Claims (7)
- 少なくとも色材を含有するインクジェット用インクであって、
前記色材が、下記一般式(I)で表される化合物、並びに、C.I.ダイレクトバイオレット107、C.I.アシッドレッド14、C.I.アシッドレッド52、C.I.アシッドレッド87、C.I.アシッドレッド289、及びC.I.リアクティブレッド180からなる群から選ばれる少なくとも1種を含み、
前記インク中における、前記一般式(I)で表される化合物の含有量(質量%)が、色材の含有量の合計(質量%)に占める割合が15.0質量%以上40.0質量%以下であることを特徴とするインクジェット用インク。
一般式(I)
(一般式(I)中、Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムである。) - 前記インク中における、前記一般式(I)で表される化合物の含有量(質量%)が、インク全質量を基準として、0.8質量%以上2.0質量%以下である請求項1に記載のインクジェット用インク。
- インクジェット用インクの作製方法であって、
色材として、下記一般式(I)で表される化合物を含有するインクジェット用インクを収容するインクカートリッジのインク収容部に、C.I.ダイレクトバイオレット107、C.I.アシッドレッド14、C.I.アシッドレッド52、C.I.アシッドレッド87、C.I.アシッドレッド289、及びC.I.リアクティブレッド180からなる群から選ばれる少なくとも1種を色材として含有するインクジェット用インクを、前記一般式(I)で表される化合物の含有量(質量%)の含有量が、色材の含有量の合計(質量%)に対して15.0質量%以上40.0質量%以下となるように充填して、インクジェット用インクを得る工程を有することを特徴とするインクジェット用インクの作製方法。
一般式(I)
(一般式(I)中、Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムである。) - 前記得られたインク中における、前記一般式(I)で表される化合物の含有量(質量%)が、インク全質量を基準として、0.8質量%以上2.0質量%以下である請求項3に記載のインクジェット用インクの作製方法。
- 請求項3又は4に記載のインクジェット用インクの作製方法により得られたことを特徴とするインクジェット用インク。
- インクを収容するインク収容部を備えたインクカートリッジであって、
前記インク収容部に収容されたインクが、請求項1、2、及び5のいずれか1項に記載のインクジェット用インクであることを特徴とするインクカートリッジ。 - インクをインクジェット方法で吐出して記録媒体に記録を行う工程を有するインクジェット記録方法であって、
前記インクが、請求項1、2、及び5のいずれか1項に記載のインクジェット用インクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
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