JP5377045B2 - インクジェット用インク、インクジェット用インクの作製方法、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法 - Google Patents

インクジェット用インク、インクジェット用インクの作製方法、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法 Download PDF

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Description

本発明は、インクジェット用インク、インクジェット用インクの作製方法、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法に関する。
インクジェット記録方法は、インク小滴を普通紙や光沢メディア等の記録媒体に付与して画像を形成する記録方法であり、その低価格化、記録速度の向上により、急速に普及が進んでいる。また、インクジェット記録方法により得られる画像の高画質化が進んだことに加えて、デジタルカメラの急速な普及に伴い、インクジェット記録方法には銀塩写真と同等の記録物を出力することが要求されている。
近年、インク滴の極小化や、多色インクの導入に伴う色域の向上等により、今まで以上に高画質化が進んでいる。しかしその反面、色材やインクに対する要求はより大きくなり、発色性の向上や、目詰まり、吐出安定性等の信頼性においてより厳しい特性が要求されている。
一方で、インクジェット記録方法の問題点としては、得られた記録物の堅牢性に劣ることが挙げられる。一般に、インクジェット記録方法で得られた記録物は銀塩写真と比較してその画像の堅牢性が低い。具体的には、記録物が、光、湿度、熱、又は空気中に存在する環境ガス等に長時間さらされた際に、記録物上の色材が劣化し、画像の色調変化や褪色が発生しやすいといった問題がある。
特に、シアン、マゼンタ、及びイエローの各インクの中でも画像の堅牢性が低いマゼンタインクに用いる染料に関しては、画像の耐光性や耐ガス性を向上させるために、従来から数多くの提案がなされている。
例えば、発色性に優れた画像を形成することができる色材として、キサンテン系染料やH酸を用いたアゾ系染料に関する提案がある(特許文献1及び2参照)。これらのタイプの染料について、発色性、耐光性、及び耐ガス性に優れたマゼンタ染料に関する検討が広く行われている。また、耐光性及び耐ガス性に優れたマゼンタ染料として、アントラピリドン系染料に関する提案がある(特許文献3〜5参照)。中でも、特許文献4及び5には、2分子のアントラピリドン化合物を連結基により連結した構造を有する化合物や、該化合物を含有するインクが記載されている。
更に、キサンテン系染料又はアゾ系染料とアントラピリドン系染料とをインクに含有させることで、発色性が良好であり、耐光性及び耐ガス性が良好な画像を形成させることに関する提案がある(特許文献6参照)。具体的には、発色性に優れ、耐光性及び耐ガス性が低いキサンテン系染料又はアゾ系染料と、耐光性及び耐ガス性が高いアントラピリドン系染料とが互いの特性を補い合うことで、発色性に優れ、耐光性及び耐ガス性に優れた画像が得られることが記載されている。
特開平8−73791号公報 特開平9−255882号公報 WO2004/104108号国際公開パンフレット 特開2003−192930号公報 WO2006/075706号国際公開パンフレット 特許第3907671号公報
マゼンタインクで形成された画像の堅牢性を向上することを目的として、これまでにも上記で挙げたような様々な検討がなされている。しかし、これらのようないずれの方法をもってしても、近年要求されるような高いレベルの発色性、耐光性、及び耐ガス性の全てを満足するマゼンタインクは得られていない。具体的には、本発明者らが上記で挙げたような従来の技術について検討した結果、以下のことがわかった。すなわち、特許文献1及び2に記載されているキサンテン系染料及びH酸を用いたアゾ系染料は、発色性には非常に優れるが、耐光性や耐ガス性が劣ることがわかった。更に、銅フタロシアニン系染料に代表されるシアン染料や、イエロー染料等の他の色相を有する染料と比較すると、これらのタイプの染料は依然として耐光性や耐ガス性が劣る水準にある。また、特許文献3〜5に記載されているアントラピリドン系染料を含有するインクを用いることで、記録画像の耐光性や耐ガス性は向上するが、他の色相の染料を含有するインクに匹敵するレベルの発色性は得られなかった。また、特許文献6に記載されているキサンテン系染料又はアゾ系染料とアントラピリドン系染料とを含有する従来のインクには、以下のような課題があることがわかった。具体的には、アゾ系染料のみ又はキサンテン系染料のみを色材として含有する各インクと比較して、記録画像の耐光性や耐ガス性はある程度向上するが、近年要求されるような高いレベルの堅牢性の水準には依然として達していない。
本発明者らの更なる検討の結果、上記のような従来のインクを用いて記録を行った場合に、記録してから数分後の画像と、室内で数日放置した画像とでは、色相にずれが生じる場合があることが新たに判明した。本発明においては以下、このような、画像の色相についての経時的な安定性のことを「色安定性」と呼ぶ。
これまでに述べてきたように、画像の発色性、耐光性、及び耐ガス性に優れ、更には色安定性にも優れるという性能を全て同時に満たすことが可能なインクジェット用インクは、これまでには得られていなかった。
したがって、本発明の第1の目的は、発色性、耐光性、耐ガス性、更には色安定性に優れる画像を与えるインクジェット用インクを提供することにある。また、本発明の第2の目的は、発色性、耐光性、耐ガス性に優れ、且つ色安定性に優れた画像を与えるインクジェット用インクの作製方法を提供することにある。更に、本発明の別の目的は、前記インクジェット用インクを使用したインクジェット記録方法及びインクカートリッジを提供することにある。
上記の目的は、下記の本発明によって達成される。すなわち、本発明にかかるインクジェット用インクは、少なくとも色材を含有するインクジェット用インクであって、前記色材が、下記一般式(I)で表される化合物、並びに、C.I.ダイレクトバイオレット107、C.I.アシッドレッド14、C.I.アシッドレッド52、C.I.アシッドレッド87、C.I.アシッドレッド289、及びC.I.リアクティブレッド180からなる群から選ばれる少なくとも1種を含み、前記インク中における、前記一般式(I)で表される化合物の含有量(質量%)が、色材の含有量の合計(質量%)に占める割合が15.0質量%以上40.0質量%以下であることを特徴とする。
一般式(I)
(一般式(I)中、Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムである。)
また、本発明の別の実施態様にかかるインクジェット用インクの作製方法は、インクジェット用インクの作製方法であって、色材として、下記一般式(I)で表される化合物を含有するインクジェット用インクを収容するインクカートリッジのインク収容部に、C.I.ダイレクトバイオレット107、C.I.アシッドレッド14、C.I.アシッドレッド52、C.I.アシッドレッド87、C.I.アシッドレッド289、及びC.I.リアクティブレッド180からなる群から選ばれる少なくとも1種を色材として含有するインクジェット用インクを、前記一般式(I)で表される化合物の含有量(質量%)の含有量が、色材の含有量の合計(質量%)に対して15.0質量%以上40.0質量%以下となるように充填して、インクジェット用インクを得る工程を有することを特徴とする。
一般式(I)
(一般式(I)中、Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムである。)
また、本発明の別の実施態様にかかるインクジェット用インクは、上記構成のインクジェット用インクの作製方法により得られたことを特徴とする。
また、本発明の別の実施態様にかかるインクカートリッジは、インクを収容するインク収容部を備えたインクカートリッジであって、前記インク収容部に収容されたインクが、上記構成のインクジェット用インクであることを特徴とする。
また、本発明の別の実施態様にかかるインクジェット記録方法は、インクをインクジェット方法で吐出して記録媒体に記録を行う工程を有するインクジェット記録方法であって、前記インクが、上記構成のインクジェット用インクであることを特徴とする。
本発明によれば、発色性、耐光性、耐ガス性、更には色安定性に優れる画像を与えるインクジェット用インクを提供することができる。また、本発明の別の実施態様によれば、発色性、耐光性、耐ガス性に優れ、且つ色安定性に優れた画像を与えるインクジェット用インクの作製方法を提供することができる。また、本発明の別の実施態様によれば、前記インクジェット用インクを使用したインクジェット記録方法及びインクカートリッジを提供することができる。
インクカートリッジの概略説明図である。 インクカートリッジの概略説明図である。
以下に、本発明の好ましい実施の形態を挙げて、本発明を詳細に説明する。なお、本発明においては、色材が塩である場合は、インク中では塩はイオンに解離して存在しているが、便宜上、「塩を含有する」と表現する。
<インク>
以下、本発明のインクジェット用インク(以下、単にインクと呼ぶこともある)を構成する成分等について詳細に述べる。
(色材)
本発明のインクは、C.I.ダイレクトバイオレット107、C.I.アシッドレッド14、C.I.アシッドレッド52、C.I.アシッドレッド87、C.I.アシッドレッド289、及びC.I.リアクティブレッド180からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有することが必須である。この色材群を構成する各色材は、画像の発色性等に優れるため、これらの色材を含有するインクを用いることで、銀塩写真の発色性に匹敵するインクジェット記録画像を形成することができる。以下、本発明においては、C.I.ダイレクトバイオレット107、C.I.アシッドレッド14、C.I.アシッドレッド52、C.I.アシッドレッド87、C.I.アシッドレッド289、及びC.I.リアクティブレッド180からなる群を、「色材群」と呼ぶことがある。
本発明のインクは、上記色材群から選ばれる少なくとも1種に加えて、更に、下記一般式(I)で表される化合物を含有することが必須である。一般式(I)で表される化合物は、画像の耐光性及び耐ガス性に非常に優れるため、インク中の含有量が微量であっても、上記色材群から選ばれる少なくとも1種の色材を用いた画像の耐光性及び耐ガス性を向上させることができる。更に、本発明のインクにおいては、一般式(I)で表される化合物の含有量(質量%)が色材の含有量の合計(質量%)に占める割合が、15.0質量%以上40.0質量%以下であることが必要である。なお、この場合の一般式(I)で表される化合物の含有量や色材の含有量の合計は、インク全質量を基準とした値である。かかる構成のインクとすることで、併用するこれらの色材が記録媒体上において相乗的に作用し合うことにより、上記色材群が本来有する優れた発色性を損なうことなく、画像の耐光性及び耐ガス性を特に顕著に向上することができる。逆に、前記割合が15.0質量%未満であると、画像の耐光性及び耐ガス性が得られない場合があり、40.0質量%を越えると、画像の発色性が十分に得られない場合がある。
一般式(I)で表される化合物が、画像の耐光性及び耐ガス性に非常に優れている理由を、本発明者らは以下のように推測している。一般式(I)で表される化合物は、その分子構造において、電子密度が相対的に高い位置、すなわちトリアジン環に置換したアリールオキシド基のp−位に、電子吸引性の高いスルホン酸基が結合している。かかる構造を有することで、記録物が環境ガスや光にさらされた際の色材の劣化が抑制されることによって、従来のアントラピリドン化合物に比べて、優れた画像の耐光性及び耐ガス性が得られると考えられる。
一般式(I)
(一般式(I)中、Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムである。)
一般式(I)におけるMはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムである。前記アルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。また、前記有機アンモニウムとしては、例えば、アセトアミド、ベンズアミド、メチルアミノ、ブチルアミノ、ジエチルアミノ、トリエタノールアミノ、及びフェニルアミノ等が挙げられる。
なお、本発明においては、アントラピリドン系染料である一般式(I)で表される化合物を使用するが、該染料は、アントラピリドン系染料であればどのような構造を有する化合物を用いてもよいというわけではない。例えば、アントラピリドン系染料である下記の化合物(II)を、上記色材群から選ばれる少なくとも1種と併用したインクでは、優れた色安定性を有する画像を得ることはできない。
化合物(II)
上記でも述べたように、本発明においては、色材の組み合わせ及びこれらの含有量の割合が規定されたインクとすることで、発色性、耐光性、及び耐ガス性に優れた画像が得られる。ここで、アントラピリドン系染料として前記化合物(II)を用いた場合に、画像の色安定性が十分に得られない理由を本発明者らは以下のように推測している。
本発明者らの検討の結果、画像の色安定性の低下は、記録媒体に付与された色材が一定の位置に存在するのではなく、時間の経過と共に記録媒体の主として厚さ(深さ)方向に動くことによって生じることがわかった。したがって、画像の色安定性を向上させるためには、色材を記録媒体中において動きにくいような構造とする、すなわち、色材の分子量を大きくする方向にすることが有利である。一方で、色材の分子量を大きくすると、色材の構造に占める発色団の割合が小さくなるため、発色効率が下がり、画像の発色性が低下する方向となる。つまり、画像の色安定性と発色性とはトレードオフの関係を有するのである。このため、アントラピリドン系染料として例えば上記の化合物(II)を用いても、画像の発色性と色安定性とを両立することが困難となる。
これまでに述べてきたように、画像の発色性、耐光性、耐ガス性、及び色安定性の向上という本発明の効果は、数多くの色材の中から特定の色材を選び、これらを特定の含有量の割合で組み合わせて使用するという本発明の構成により初めて達成されるのである。
本発明においては、上記色材群から選ばれる少なくとも1種の色材と一般式(I)で表される化合物とを用い、更に下記一般式(II)で表される化合物を併用することが特に好ましい。
一般式(II)
(一般式(II)中、Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムである。)
一般式(II)におけるMはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムである。前記アルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられ、前記有機アンモニウムとしては、例えば、アセトアミド、ベンズアミド、メチルアミノ、ブチルアミノ、ジエチルアミノ、及びフェニルアミノ等が挙げられる。
〔色材の含有量〕
上記で述べた通り、本発明のインクにおいては、インク中における、一般式(I)で表される化合物の含有量(質量%)が、色材の含有量の合計(質量%)に占める割合が15.0質量%以上40.0質量%以下であることが必要である。前記割合が15.0質量%未満であると、画像の耐光性及び耐ガス性が得られない場合があり、40.0質量%を越えると、画像の発色性が十分に得られない場合がある。なお、この場合の一般式(I)で表される化合物の含有量や色材の含有量の合計は、インク全質量を基準とした値である。
また、インク中の一般式(I)で表される化合物の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.8質量%以上2.0質量%以下であることが好ましい。一般式(I)で表される化合物の含有量が0.8質量%未満であると、画像の耐光性及び耐ガス性が十分に得られない場合があり、2.0質量%を越えると、画像の発色性が十分に得られない場合がある。
また、インク中の上記色材群から選ばれる少なくとも1種の色材の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.06質量%以上8.5質量%以下であることが好ましい。
また、インク中の色材の含有量の合計(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。色材の含有量の合計が0.1質量%未満であると、画像の耐光性、耐ガス性、及び画像濃度が十分に得られない場合があり、また、10.0質量%を越えると、耐固着性等のインクの信頼性が十分に得られない場合がある。
〔色材の検証方法〕
本発明で用いる色材がインク中に含まれているか否かの検証には、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いた下記(1)〜(3)の検証方法が適用できる。
(1) ピークの保持時間
(2) (1)のピークについての最大吸収波長
(3) (1)のピークについてのマススペクトルのM/Z(posi)、M/Z(nega)
高速液体クロマトグラフィーの分析条件は、以下に示す通りである。純水で約1,000倍に希釈した液体(インク)を測定用サンプルとした。そして、下記の条件で高速液体クロマトグラフィーでの分析を行い、ピークの保持時間(retention time)、及び、ピークの最大吸収波長を測定した。
・カラム:SunFire C18 2.1mm×150mm(日本ウォーターズ製)
・カラム温度:40℃
・流速:0.2mL/min
・PDA:200nm〜700nm
・移動相及びグラジエント条件:表1
また、マススペクトルの分析条件は以下に示す通りである。得られたピークについて、下記の条件でマススペクトルを測定し、最も強く検出されたM/Zをposi及びnegaのそれぞれに対して測定する。
・イオン化法
・ESI
キャピラリ電圧:3.5kV
脱溶媒ガス:300℃
イオン源温度:120℃
・検出器
posi:40V 200〜1500amu/0.9sec
nega:40V 200〜1500amu/0.9sec。
上記した方法及び条件下で、色材の代表例として、一般式(I)で表される化合物の具体例である化合物(I)について測定を行った。その結果、得られた保持時間、最大吸収波長、M/Z(posi)、M/Z(nega)の値を表2に示した。未知のインクについて、上記と同様の方法及び条件下で測定を行って、表2に示す値に該当する場合、本発明において用いる化合物に該当すると判断できる。
(その他の色材)
本発明においては、上記色材群から選ばれる少なくとも1種の色材と一般式(I)で表される化合物とに、必要に応じて使用する一般式(II)で表される化合物に加えて、その他の色材を組み合わせてもよい。
また、フルカラーの画像を形成するために、本発明のインクとは別の色調を有する、例えば、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク、グレーインク、及びブラックインク等のインクを併用することができる。更に、これらのインクと同一の色調を有する淡インクを組み合わせてもよい。上記の別の色調を有するインクや淡インクの色材としては、公知の色材であっても、新規に合成された色材であっても用いることができる。
(水性媒体)
本発明のインクは、水、又は水と水溶性有機溶剤との混合溶媒である水性媒体を含有することが好ましい。水としては、脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、10.0質量%以上90.0質量%以下であることが好ましい。また、インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、5.0質量%以上90.0質量%以下、更には10.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。含有量が5.0質量%未満であると、吐出性等が低下する場合があり、含有量が10.0質量%を越えると、インクの粘度が高くなり、インクの供給不良等が起きる場合がある。
水溶性有機溶剤は、水溶性であれば特に制限はなく、以下に挙げるようなものを用いることができる。
エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、iso−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール等の炭素数1乃至4のアルキルアルコール類。N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のカルボン酸アミド類。アセトン、メチルエチルケトン、2−メチル−2−ヒドロキシペンタン−4−オン等のケトン類又はケトアルコール類。テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル類。グリセリン、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン等の多価アルコール類。エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2又は1,3−プロピレングリコール、1,2又は1,4−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、アセチレングリコール誘導体等のグリコール類。エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノエチル(又はブチル)エーテル等の多価アルコールのアルキルエーテル類。2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルモルホリン等の複素環類。チオジグリコール、ジメチルスルホキシド等の含硫黄化合物。尿素、尿素誘導体等の含窒素化合物。これらの水溶性有機溶剤は、1種又は2種以上を用いることができる。
(その他の添加剤)
本発明のインクには必要に応じて、界面活性剤、pH調整剤、キレート剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、紫外線吸収剤、粘度調整剤、消泡剤、及び、水溶性ポリマー等、種々の添加剤を含有させてもよい。例えば、界面活性剤の具体例としては、アニオン界面活性剤、両面界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤等が挙げられる。
<インクジェット記録方法>
本発明のインクは、インクジェット方法でインクを吐出して記録媒体に記録を行うインクジェット記録方法に好ましく適用することができる。インクジェット記録方法は、インクに力学的エネルギーを作用させてインクを吐出させる記録方法や、インクに熱エネルギーを作用させてインクを吐出させる記録方法等がある。特に、本発明においては、熱エネルギーを利用するインクジェット記録方法を好ましく用いることができる。
<インクカートリッジ>
本発明のインクを適用するのに好適なインクカートリッジは、これらのインクを収容するインク収容部を備えたインクカートリッジが挙げられ、前記インク収容部に収容されたインクが、本発明のインクであることが好ましい。以下にインクカートリッジの具体例を示す。
図1は、インクカートリッジの概略説明図である。インクカートリッジは、内部に負圧発生部材132を収容する負圧発生部材収容室134、及び、インクを収容する実質的に密閉されたインク収容室136、を仕切壁138で仕切る構造を有する。また、上部で大気連通口112を介して大気に連通し、下部でインク供給口114に連通する。負圧発生部材収容室134及びインク収容室136は、インクカートリッジの底部付近で仕切壁138に形成された連通孔140、及びインク供給動作時にインク収容室136への大気の導入を促進するための大気導入溝150を介してのみ連通されている。負圧発生部材収容室134を形成するインクカートリッジの上壁には、内部に突出する形態で複数個のリブが一体に成形され、負圧発生部材収容室134に圧縮状態で収容される負圧発生部材と当接している。このリブにより、上壁と負圧発生部材の上面との間にエアバッファ室が形成されている。また、インク供給口114を備えたインク供給筒には、負圧発生部材より毛管力が高く、且つ物理的強度が大きい圧接体146が設けられており、負圧発生部材と圧接している。
負圧発生部材収容室134内には、負圧発生部材として、ポリエチレン等のオレフィン系樹脂の繊維で構成される、第1の負圧発生部材132Bと第2の負圧発生部材132Aとの2つの毛管力発生型の負圧発生部材を収容している。132Cはこの2つの負圧発生部材の境界層であり、境界層132Cの仕切壁138との交差部分は、インク供給口114を下方にしたインクカートリッジの使用時の姿勢において大気導入溝150の上端部より上方に存在している。また、負圧発生部材内に収容されるインクは、インクの液面Lで示されるように、上記境界層132Cよりも上方まで存在している。
ここで、第1の負圧発生部材132Bと第2の負圧発生部材132Aとの境界層132Cは圧接しており、負圧発生部材132の境界層132C近傍は他の部位と比較して圧縮率が高く、毛管力が強い状態となっている。ここで、第1の負圧発生部材132Bの毛管力をP1、第2の負圧発生部材132Aの毛管力をP2、負圧発生部材同士の界面の持つ毛管力をPSとすると、P2<P1<PSとなっている。
図2は、別のインクカートリッジの概略説明図であり、このインクカートリッジには記録ヘッドが一体となって構成されている。インクカートリッジ1001は、インクジェット記録装置本体に載置されているキャリッジの位置決め手段及び電気的接点によって支持固定されるとともに、キャリッジに着脱可能となっており、収容したインクが消費されると交換することができる。
インクカートリッジ1001は異なる複数の色のインク(例えば、シアンインク、マゼンタインク、及びイエローインク)を吐出させるものである。そして、インクカートリッジは、記録素子基板1100、電気配線テープ1300、インク供給保持部材1400、インク吸収体1501、1502、及び1503、蓋部材1600等で構成される。記録素子基板1100には、シアン、マゼンタ、及びイエローの各インクを供給するインク供給口1200が並列して形成されており、電気配線テープ1300はインクを吐出するための電気信号を印加する。また、樹脂により成型されたインク供給保持部材1400の内部には、インクを保持するための負圧を発生するインク吸収体1501、1502、及び1503が収容される。
インク供給保持部材1400は、インクカートリッジの機能とインク供給機能とを備えている。すなわち、内部にシアン、マゼンタ、イエローのインクを保持するための負圧を発生するための吸収体1500を保持するための空間を有することでインクカートリッジの機能を有する。また、記録素子基板1100のインク供給口にインクを導くための独立したインク流路を形成することでインク供給機能を有する。インク流路の下流部には、記録素子基板1100にインクを供給するためのインク供給口1200が形成されている。そして、記録素子基板1100のインク供給口がインク供給保持部材1400のインク供給口1200に連通するよう、記録素子基板1100がインク供給保持部材1400に対して固定される。又、インク供給口1200付近周囲の平面には、電気配線テープ1300の一部の裏面が固定される。蓋部材1600は、インク供給保持部材1400の上部開口部に溶着されることで、インク供給保持部材1400内部の空間を閉塞するものである。蓋部材1600は記録ヘッドをインクジェット記録装置に固定するための係合部1700を有している。
<インクジェット用インクの作製方法>
本発明のインクの作製方法は、本発明のインクにおける必須の構成要件を満足するインクが得られれば、その方法は特に限定されない。すなわち、色材として、上記色材群から選ばれる少なくとも1種及び一般式(I)で表される化合物を含有し、かつ一般式(I)で表される化合物の含有量が全色材に占める割合が特定の範囲であるインクが得られる方法であれば、どのような工程を用いてもよい。
本発明においては、一般式(I)で表される化合物を含有するインクを収容するインクカートリッジのインク収容部に、色材として、上記色材群から選ばれる少なくとも1種を含有するインクを充填する工程を有することが特に好ましい。これは、画像の堅牢性等の特性に優れた一般式(I)で表される化合物を含有するインク、及び該インクを収容するインクカートリッジを再利用することにより、コストの削減や廃棄物の削減による環境負荷の軽減が可能となるためである。また更に、上記の効果に加えて、一度インクを収容したインクカートリッジは、インクの再充填が容易となるという付帯的効果も同時に得ることができるためである。
インクを充填する工程においては、得られたインク中における、一般式(I)で表される化合物の含有量が全色材に占める割合が上記特定の範囲内となるように、上記色材群から選ばれる少なくとも1種を含有するインクを充填することが特に好ましい。一般式(I)で表される化合物の含有量が占める割合は、例えば、充填するインク中の上記色材群から選ばれる少なくとも1種の色材の含有量や、インクカートリッジの容積に応じてインクの充填量を適切に決定するなどことにより行うことができる。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。なお、下記の「色材の合成」及び「インクの調製」の項目において、「部」又は「%」とあるのは、特に指定のない限り、質量基準である。
<色材の合成>
以下に示す手順にしたがって、化合物(I)(一般式(I)におけるMがナトリウム原子である化合物)を合成した。
(A)キシレン360部中に、下記式(1)の化合物94.8部、炭酸ナトリウム3.0部、ベンゾイル酢酸エチルエステル144.0部を撹拌下で順次添加し、液体の温度を140〜150℃に昇温して8時間反応を行った。その間、反応で生成したエタノール及び水をキシレンと共沸させながら系外へ留出して、反応を完結した。反応液を温度30℃に冷却し、メタノール240部を添加して30分撹拌した。その後、析出した固体を濾取した。得られた固体をメタノール360部で洗浄した後、乾燥して、下記式(2)の化合物124.8部を淡黄色針状結晶として得た。
式(1)
式(2)
(B)N,N−ジメチルホルムアミド300.0部中に、上記で得られた式(2)の化合物88.8部、メタアミノアセトアニリド75.0部、酢酸銅1水和物24.0部、及び炭酸ナトリウム12.8部を撹拌下で順次添加した。そして、液体の温度を120〜130℃に昇温して3時間反応を行った。反応液を約50℃に冷却し、メタノール120部を添加して30分撹拌した。その後、析出した固体を濾取した。得られた固体をメタノール500部、次いで80℃の温水で洗浄した後、乾燥して、下記式(3)の化合物79.2部を青味の赤色結晶として得た。
式(3)
(C)98%の硫酸130部に、水冷しながら、28%の発煙硫酸170部を撹拌下で添加して、12%の発煙硫酸300部を調製した。水冷しながら、上記で得られた式(3)の化合物51.3部を温度50℃以下で添加した後、液体の温度を85〜90℃に昇温して4時間反応を行った。600部の氷水中に反応液を添加し、その間氷を加えながら発熱による液温の上昇を抑え、液温を40℃以下に保った。更に、水を加えて反応液の液量を1,000部とした後、ろ過を行い、非溶解物を除去した。得られた母液に温水を加えて1,500部とし、液温を60〜65℃に保ちながら、塩化ナトリウム300部を添加して2時間撹拌し、析出した結晶を濾取した。得られた結晶を20%塩化ナトリウム水溶液300部で洗浄し、よく水分を絞って、下記式(4)の化合物59.2部を含むウェットケーキ100.3部を赤色結晶として得た。
式(4)
(D)水60部中に、上記で得られた式(4)の化合物のウェットケーキ67.7部を添加した。次いで、これに25%の水酸化ナトリウム水溶液24部を添加して撹拌し、更に、25%の水酸化ナトリウム水溶液を加えて液体のpHを3〜4に調整しながら溶解した。一方、60部の氷水に、リパールOH(商品名、アニオン界面活性剤;ライオン製)0.4部を添加し、これにシアヌルクロライド8.9部を添加して30分撹拌して懸濁液を得た。得られた懸濁液を、上記で得られた式(4)を含む溶液中に添加した。そして、10%の水酸化ナトリウム水溶液を用いて、液体のpHを2.7〜3.0に保ちながら、温度25〜30℃で4時間反応を行うことにより、下記式(5)の化合物を含有する反応液を得た。
式(5)
(E)上記で得られた式(5)の化合物を含有する反応液中に、p−フェノールスルホン酸ナトリウム2水和物9.5部を添加した。次いで、これに25%の水酸化ナトリウム水溶液を加えて、液体のpHを6.5±0.3に保ちながら、液体の温度を50〜55℃に昇温して、その温度で1時間反応を行うことにより、下記式(6)の化合物を含有する反応液を得た。
式(6)
(F)上記で得られた式(6)の化合物を含有する反応液中に、エチレンジアミン1.2部を添加した。次いで、これに25%の水酸化ナトリウム水溶液を添加して、液体のpHを7.8〜8.2に保ちながら、液体の温度を78〜82℃に昇温して、その温度で1時間反応を行った。その後、水を加えて液量を約350部にした後、ろ過を行い、非溶解物を除去した。得られた母液に水を加えて液量を400部とした後、液体の温度を55±2℃に保ちながら、濃塩酸を添加して、液体のpHを3に調整した。次いで、この液体に、塩化ナトリウム40部を15分かけて添加し、30分間撹拌して、更に濃塩酸を添加して、液体のpHを2に調整した。得られた酸性の水溶液を1時間撹拌して、析出した結晶を濾取し、得られた結晶を20%の塩化ナトリウム水溶液100部で洗浄することにより、下記の化合物(I)を得た。
化合物(I)
下記の化合物(II)は、特許文献3の実施例4で合成された染料をナトリウム塩型としたものを用いた。
化合物(II)
下記の化合物(III)は、特許文献4の実施例3で合成された染料をナトリウム塩型としたものを用いた。
化合物(III)
下記の化合物(IV)は、特許文献5の実施例1で合成された染料(ナトリウム塩型)を用いた。
化合物(IV)
<インクの調製>
下記表3〜6の上段に示した各成分を混合し、十分撹拌した後、ポアサイズ0.2μmのメンブランフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過を行い、各インクを調製した。
<記録物の作製>
上記で得られた各インクをそれぞれ充填したインクカートリッジをインクジェット記録装置(商品名:Pixus iP8600;キヤノン製)に搭載して、記録物を作製した。記録条件を、温度23℃、相対湿度55%、記録密度2,400dpi×1,200dpi、吐出量2.5pLとした。記録媒体(商品名:プロフェッショナルフォトペーパーPR101;キヤノン製)に、記録デューティを50%とした画像を形成し、得られた記録物を温度23℃、相対湿度55%の環境で24時間自然乾燥させた。
<評価>
(発色性)
上記で得られた記録物の画像の部分について、分光光度計(Spectorolino;Gretag Macbeth製)を用いて、光源:D50、視野:2°の条件でマゼンタ成分の光学濃度を測定して、発色性の評価を行った。発色性の評価基準は以下の通りである。評価結果を表7及び表8に示した。本発明においては、下記の評価基準でAを優れているレベル、B及びCを許容できないレベルとした。
A:光学濃度が1.7以上であった
B:光学濃度が1.5以上1.7未満であった
C:光学濃度が1.5未満であった。
(耐光性)
上記で得られた記録物の画像の部分について、分光光度計(Spectorolino;Gretag Macbeth製)を用いて、光源:D50、視野:2°の条件でマゼンタ成分の光学濃度を測定した(「試験前の光学濃度」とする)。その後、スーパーキセノン試験機(商品名:SX−75;スガ試験機製)中に上記で得られた記録物を入れ、照射強度100キロルクス、槽内温度24℃、相対湿度60%の条件で48時間曝露した。その後更に、記録物の画像の部分について、上記と同様の条件でマゼンタ成分の光学濃度を測定した(「試験後の光学濃度」とする)。得られた試験前の光学濃度及び試験後の光学濃度の各値から、下記式に基づいて光学濃度の残存率を算出して、耐光性の評価を行った。耐光性の基準は以下の通りである。評価結果を表7及び表8に示した。本発明においては、下記の評価基準でAを優れているレベル、B及びCを許容できないレベルとした。
A:光学濃度の残存率が80%以上であった
B:光学濃度の残存率が70%以上80%未満であった
C:光学濃度の残存率が70%未満であった。
(耐ガス性)
上記で得られた記録物の画像の部分について、分光光度計(Spectorolino;Gretag Macbeth製)を用いて、光源:D50、視野:2°の条件でマゼンタ成分の光学濃度を測定した(「試験前の光学濃度」とする)。その後、オゾン試験装置(商品名:OMS−H;スガ試験機製)中に上記で得られた記録物を入れ、オゾンガス濃度2.5ppm、槽内温度40℃、相対湿度60%の条件で32時間暴露した。その後更に、記録物の画像の部分について、上記と同様の条件でマゼンタ成分の光学濃度を測定した(「試験後の光学濃度」とする)。得られた試験前の光学濃度及び試験後の光学濃度の各値から、上記式に基づいて光学濃度の残存率を算出して、耐ガス性の評価を行った。耐ガス性の基準は以下の通りである。評価結果を表7及び表8に示した。本発明においては、下記の評価基準でAA、Aを十分な性能を有するレベルとし、AAを特に優れているレベル、B及びCを許容できないレベルとした。
AA:光学濃度の残存率が85%以上であった
A:光学濃度の残存率が80%以上85%未満であった
B:光学濃度の残存率が70%以上80%未満であった
C:光学濃度の残存率が70%未満であった。
(色安定性)
上記で得られた各インクをそれぞれ充填したインクカートリッジをインクジェット記録装置(商品名:Pixus iP8600;キヤノン製)に搭載して、記録物を作製した。記録条件を、温度23℃、相対湿度55%、記録密度2,400dpi×1,200dpi、吐出量2.5pLとした。記録媒体(商品名:プロフェッショナルフォトペーパーPR101;キヤノン製)に、記録デューティを50%とした画像を形成した。このようにして作製した、温度25℃、相対湿度20%の環境で24時間自然乾燥させた記録物と、同様の記録を行ってから5分後の記録物とについて、画像における色相のずれの状態を目視で確認してこれらの記録物を比較して、色安定性の評価を行った。色安定性の基準は以下の通りである。評価結果を表7及び表8に示した。
A:色相のずれがなく、優れたレベルであった
B:色相のずれが若干あったが、許容できるレベルであった
C:色相のずれが明らかにあり、許容できないレベルであった。
<インクの調製>
下記表9に示した各成分を混合し、十分撹拌した後、ポアサイズ0.2μmのメンブランフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過を行い、インクAを調製した。
図1の構成を有するインクカートリッジに、表6に示す処方で調製したインクAを10.0gずつ充填したインクカートリッジを6つ作製した。その後、各インクカートリッジから8.0gのインクAを排出した。更に、比較例1〜6の各インクを、前記6つのインクカートリッジにそれぞれ8.0gずつ充填して、実施例25〜30の各インクを調製した。実施例25〜30のインクをインクカートリッジから抜き取り、組成を分析したところ、下記表10の上段に示す組成であることがわかった。
<インクの作製方法の評価>
上記で得られた実施例25〜30の各インクが充填されたインクカートリッジを、インクジェット記録装置(商品名:Pixus iP8600;キヤノン製)にそれぞれ搭載して、記録物を作製した。記録条件を、温度23℃、相対湿度55%、記録密度2,400dpi×1,200dpi、吐出量2.5pLとした。記録媒体(商品名:プロフェッショナルフォトペーパーPR101;キヤノン製)に、記録デューティを50%とした画像を形成し、得られた記録物を温度23℃、相対湿度55%の環境で24時間自然乾燥した。このようにして得られた記録物について、上記と同様の方法及び評価基準で、発色性、耐光性、及び耐ガス性の評価を行った。また、上記と同様の方法で5分及び24時間保存した記録物をそれぞれ作製して、上記と同様の評価基準で色安定性の評価を行った。評価結果を表11に示した。
112 大気連通口
114 インク供給口
132A 第2の負圧発生部材
132B 第1の負圧発生部材
132C 第1の負圧発生部材と第2の負圧発生部材の境界層
134 負圧発生部材収容室
136 インク収容室
138 仕切壁
140 連通孔
146 圧接体
150 大気導入溝
L インクの液面
1001 インクカートリッジ
1100 記録素子基板
1200 インク供給口
1300 電気配線テープ
1400 インク供給部材
1500 インク吸収体
1501 インク吸収体
1502 インク吸収体
1503 インク吸収体
1600 蓋部材
1700 係合部

Claims (7)

  1. 少なくとも色材を含有するインクジェット用インクであって、
    前記色材が、下記一般式(I)で表される化合物、並びに、C.I.ダイレクトバイオレット107、C.I.アシッドレッド14、C.I.アシッドレッド52、C.I.アシッドレッド87、C.I.アシッドレッド289、及びC.I.リアクティブレッド180からなる群から選ばれる少なくとも1種を含み、
    前記インク中における、前記一般式(I)で表される化合物の含有量(質量%)が、色材の含有量の合計(質量%)に占める割合が15.0質量%以上40.0質量%以下であることを特徴とするインクジェット用インク。
    一般式(I)

    (一般式(I)中、Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムである。)
  2. 前記インク中における、前記一般式(I)で表される化合物の含有量(質量%)が、インク全質量を基準として、0.8質量%以上2.0質量%以下である請求項1に記載のインクジェット用インク。
  3. インクジェット用インクの作製方法であって、
    色材として、下記一般式(I)で表される化合物を含有するインクジェット用インクを収容するインクカートリッジのインク収容部に、C.I.ダイレクトバイオレット107、C.I.アシッドレッド14、C.I.アシッドレッド52、C.I.アシッドレッド87、C.I.アシッドレッド289、及びC.I.リアクティブレッド180からなる群から選ばれる少なくとも1種を色材として含有するインクジェット用インクを、前記一般式(I)で表される化合物の含有量(質量%)の含有量が、色材の含有量の合計(質量%)に対して15.0質量%以上40.0質量%以下となるように充填して、インクジェット用インクを得る工程を有することを特徴とするインクジェット用インクの作製方法。
    一般式(I)

    (一般式(I)中、Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムである。)
  4. 前記得られたインク中における、前記一般式(I)で表される化合物の含有量(質量%)が、インク全質量を基準として、0.8質量%以上2.0質量%以下である請求項3に記載のインクジェット用インクの作製方法。
  5. 請求項3又は4に記載のインクジェット用インクの作製方法により得られたことを特徴とするインクジェット用インク。
  6. インクを収容するインク収容部を備えたインクカートリッジであって、
    前記インク収容部に収容されたインクが、請求項1、2、及び5のいずれか1項に記載のインクジェット用インクであることを特徴とするインクカートリッジ。
  7. インクをインクジェット方法で吐出して記録媒体に記録を行う工程を有するインクジェット記録方法であって、
    前記インクが、請求項1、2、及び5のいずれか1項に記載のインクジェット用インクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
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