JP5376147B2 - 液状樹脂組成物、接着層付き半導体素子、その製造方法および半導体装置 - Google Patents

液状樹脂組成物、接着層付き半導体素子、その製造方法および半導体装置 Download PDF

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本発明は、液状樹脂組成物、接着層付き半導体素子、その製造方法および半導体装置に関するものである。
近年の携帯電話、携帯情報端末、DVC(Digital Video Camera)などの高機能化、小型化、軽量化の進展は著しいものがあり、半導体装置の高機能化、小型化、軽量化が強く求められている。そこで半導体装置の高機能化のため機能の異なる複数の半導体素子、あるいは同一機能の複数の半導体素子を1つの半導体装置に搭載すること、小型化または軽量化のため半導体素子の大きさと半導体装置の大きさを可能な限り近づけることといった試みがなされてきている。このため半導体素子の薄型化はより進み、半導体素子と金属または有機基板といった支持体のワイヤボンドパッドの距離は益々近くなってきている。
従来の半導体装置の組立工程におけるダイアタッチ工程では、支持体に液状のダイアタッチ材を塗布して室温で半導体素子を搭載後加熱硬化することで半導体素子を支持体に接着していたが、半導体素子表面やワイヤボンドパッドへのダイアタッチ材の付着の問題、ダイアタッチ材のブリード(ダイアタッチ材の液状成分のみ毛細管現象で伝わる現象)による汚染問題が無視できなくなってきている。
そこで液状のダイアタッチ材の替わりにフィルム状のダイアタッチ材を用い、フィルム状のダイアタッチ材を支持体に貼り付けた後、加熱しながらダイ(半導体素子)を搭載する方法、半導体ウエハ裏面にフィルム状ダイアタッチ材を貼り付けた状態でさらにダイシングシートに貼り付けた後個片化することで得られたダイアタッチ材付き半導体素子を加熱しながら支持体に搭載する方法、ダイシングシート機能を有するダイアタッチフィルムに半導体ウエハを貼り付け半導体素子に個片化することで得られたダイアタッチ材付き半導体素子を加熱しながら支持体に搭載する方法などが採用されている。(例えば、特許文献1、2参照。)
一方、半導体素子の更なる多層化、半導体装置の更なる薄型化のため半導体素子のみならず支持体の薄型化も進んでいる。薄型の支持体を用いた場合、半導体構成材料の熱膨張率の差に基づく半導体装置の反りがより顕著になる。またデバイスの高速化のため配線間の寄生容量に起因する信号伝搬速度の低下による伝送遅延を少なくする目的で層間絶縁膜に低誘電率の絶縁膜の適用が行われているが一般に低誘電率の絶縁膜は機械的強度が弱く、半導体素子の反りは時には絶縁膜の破壊の原因となる。
ここで半導体装置または半導体素子の反りは、各構成部材の熱膨張率の差により生じるので、フィルム状のダイアタッチ材を使用する場合に半導体素子を搭載する温度を下げることが望まれる。ところが、フィルム状のダイアタッチ材の半導体素子搭載温度を下げるためにはガラス転移温度の低い熱可塑成分を使用するか、低分子量の成分を増やす必要があり、その結果室温付近においてもタック(べたつき)が発生してしまう。
室温付近のべたつきは、しばしば半導体素子をダイシングシートから剥がす工程においてピックアップ性の悪化の原因となり、またピックアップした半導体素子を一旦別のステージに置く工程(例えば、特許文献3〜5参照。)でステージに貼り付く原因となる。
ここで室温においてタックのない材料については、ウエハレベルチップサイズパッケージの封止材としていくつかの試みが提案されている(例えば、特許文献6〜8参照)。
これらの発明では半田などのバンプの付いた半導体ウエハに液状樹脂組成物を塗布し加熱処理することで室温においてタックのない状態にした後、半導体素子に個片化しているが、次の工程で封止と半田接合を同時に行うため半田の融点以上の温度で接合する必要があった。
このように低温でも搭載可能であり、室温ではべたつきのない接着層付き半導体素子の要求に対し満足のいくものはなかった。
特開2002−294177号公報(特許請求の範囲) 特開2003−347321号公報(特許請求の範囲) 特開平6−132327号公報(特許請求の範囲) 特開平7−201897号公報(特許請求の範囲) 特開2000−252303号公報(特許請求の範囲) 特開2000−174044号公報(特許請求の範囲) 特開2001−93940号公報(特許請求の範囲) 特開2003−212964号公報(特許請求の範囲)
本発明は、支持体への半導体素子の搭載を低温で行うことが可能で、かつ室温(25℃)ではべたつきのない接着層を与える液状樹脂組成物を提供すること、該液状樹脂組成物を用いて作製した接着層付き半導体素子およびその製造方法を提供すること、さらには該接着層付き半導体素子を用いて作製された信頼性に優れる半導体装置を提供ことである。
このような目的は、下記(1)〜(7)に記載の本発明により達成される。
(1)半導体ウエハまたは半導体素子に接着層が形成されており、
前記接着層が、エポキシ樹脂成分(A)及び硬化剤成分(B)を含む液状樹脂組成物であり、前記エポキシ樹脂成分(A)が、室温で液状であり、前記硬化剤成分(B)が、フェノール性水酸基を有し且つ軟化点又は融点が200℃以下である化合物(B1)と、フェノール性水酸基を有し且つ融点が200℃を超える化合物(B2)との組合せであり、以下の溶解試験において、該化合物(B1)は、該エポキシ樹脂成分(A)90gと該化合物(B1)10gを300ccのセパラブルフラスコに入れ撹拌装置で撹拌しながらオイルバスを使用して内温が145〜155℃になるように加熱し、内温が145℃になった時点から30分間撹拌を続けた後、室温まで冷却し、その後25℃で72時間放置後に、目視にて観察したときに、透明となる化合物であり、該化合物(B2)は、該エポキシ樹脂成分(A)90gと該化合物(B2)10gを300ccのセパラブルフラスコに入れ撹拌装置で撹拌しながらオイルバスを使用して内温が145〜155℃になるように加熱し、内温が145℃になった時点から30分間撹拌を続けた後、室温まで冷却し、その後25℃で72時間放置後に、目視にて観察したときに、透明とはならない化合物である液状樹脂組成物を半導体ウエハまたは半導体素子に塗布し、次いで、60〜150℃の加熱温度で加熱して得られた接着層であることを特徴とする接着層付き半導体ウエハまたは接着層付き半導体素子。
)前記化合物(B1)及び(B2)のいずれも、1分子中にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物であることを特徴とする前記(1)記載の接着層付き半導体ウエハまたは接着層付き半導体素子
)前記(1)又は(2)いずれか1項に記載の接着層付き半導体ウエハをダイシングにより切断し接着層付き半導体素子に個片化して得られたことを特徴とする接着層付き半導体素子。
)前記(1)〜(3)いずれか1項に記載した接着層付き半導体素子を回路基板に搭載し、作製されたことを特徴とする半導体装置。
エポキシ樹脂成分(A)及び硬化剤成分(B)を含む液状樹脂組成物であり、前記エポキシ樹脂成分(A)が、室温で液状であり、前記硬化剤成分(B)が、フェノール性水酸基を有し且つ軟化点又は融点が200℃以下である化合物(B1)と、フェノール性水酸基を有し且つ融点が200℃を超える化合物(B2)との組合せであり、以下の溶解試験において、該化合物(B1)は、該エポキシ樹脂成分(A)90gと該化合物(B1)10gを300ccのセパラブルフラスコに入れ撹拌装置で撹拌しながらオイルバスを使用して内温が145〜155℃になるように加熱し、内温が145℃になった時点から30分間撹拌を続けた後、室温まで冷却し、その後25℃で72時間放置後に、目視にて観察したときに、透明となる化合物であり、該化合物(B2)は、該エポキシ樹脂成分(A)90gと該化合物(B2)10gを300ccのセパラブルフラスコに入れ撹拌装置で撹拌しながらオイルバスを使用して内温が145〜155℃になるように加熱し、内温が145℃になった時点から30分間撹拌を続けた後、室温まで冷却し、その後25℃で72時間放置後に、目視にて観察したときに、透明とはならない化合物である液状樹脂組成物を半導体ウエハの一方の面に塗布し、液状樹脂組成物が塗布された半導体ウエハを得る塗布工程、前記液状樹脂組成物が塗布された半導体ウエハを60〜150℃の加熱温度で加熱し、接着層を形成する接着層形成工程、前記接着層付き半導体ウエハをダイシングシートに貼り付ける貼付工程、及びダイシングにより前記接着層付き半導体ウエハを切断し、接着層付き半導体素子に個片化する個片化工程を有することを特徴とする接着層付き半導体素子の製造方法。
)前記()に記載の接着層付き半導体素子の製造方法により作製した接着層付き半導体素子を加熱圧着し、回路基板に搭載する搭載工程を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
本発明によれば、支持体への半導体素子の搭載を低温で行うことが可能で、かつ室温ではべたつきのない接着層を与える液状樹脂組成物を提供すること、該液状樹脂組成物を用いて作製した接着層付き半導体素子およびその製造方法を提供すること、さらには該接着層付き半導体素子を用いて作製された信頼性に優れる半導体装置を提供することができる。
本発明は、エポキシ樹脂成分(A)及び硬化剤成分(B)を含む液状樹脂組成物において、前記エポキシ樹脂成分(A)が、室温(25℃)で液状であり、前記硬化剤成分(B)が、フェノール性水酸基を有し且つ前記エポキシ樹脂成分(A)に溶解する化合物(B1)と、フェノール性水酸基を有し且つ前記エポキシ樹脂成分(A)に溶解しない化合物(B2)との組合せであることを特徴とする液状樹脂組成物であり、支持体に低温で搭載可能、かつ室温でべたつきのない接着層を与える液状樹脂組成物を提供し、及び該液状樹脂組成物を用いて作製した接着層付き半導体素子およびその製造方法を提供し、さらには該接着層付き半導体素子を用いた半導体装置であり、信頼性に優れる半導体装置を提供する。
本発明に係るエポキシ樹脂成分(A)は、液状樹脂組成物中のエポキシ樹脂全体を指し、1種のみのエポキシ樹脂が用いられている場合には、その1種のエポキシ樹脂のことを指し、2種以上のエポキシ樹脂が組合せて用いられている場合には、それら2種以上のエポキシ樹脂全部の混合物を指す。そして、エポキシ樹脂成分(A)は、室温で液状である。つまり、エポキシ樹脂成分(A)として、1種のみのエポキシ樹脂が用いられている場合、その1種のエポキシ樹脂が、室温で液状である。また、エポキシ樹脂成分(A)として、2種以上のエポキシ樹脂が組合せて用いられている場合、これらの2種以上のエポキシ樹脂全部を混合した混合物が、室温で液状である。そのため、エポキシ樹脂成分(A)として、2種以上のエポキシ樹脂が組合せて用いられている場合、エポキシ樹脂成分(A)は、全てが室温で液状のエポキシ樹脂の組合せであってもよく、あるいは、一部が室温で固形のエポキシ樹脂あっても他の室温で液状のエポキシ樹脂と混合することにより、混合物が室温で液状となるのであれば、室温で液状のエポキシ樹脂と室温で固形のエポキシ樹脂との組合せであってもよい。なお、エポキシ樹脂成分(A)として、2種以上のエポキシ樹脂が組合せて用いられている場合、必ずしも、使用する全てのエポキシ樹脂を混合してから、他の成分と混合して、液状樹脂組成物を製造する必要はなく、使用するエポキシ樹脂を別々に混合して、液状樹脂組成物を製造してもよい。本発明で、エポキシ樹脂成分(A)が、室温で液状であるとは、エポキシ樹脂成分(A)として使用する全てのエポキシ樹脂を混合した場合に、その混合物が室温で液状になるということである。
エポキシ樹脂成分(A)を構成するエポキシ樹脂は、グリシジル基を有する化合物であり、反応性の観点から、1分子内にグリシジル基を2個以上有することが好ましい。また、該エポキシ樹脂は、本発明の液状樹脂組成物の用途が半導体用であることから、イオン性の不純物が少ないことが好ましく、また、後述するように硬化剤としてフェノール性水酸基を有する化合物を使用するため、反応性の観点から、芳香族環に結合するグリシジルエーテル基を有する化合物が好ましい。
エポキシ樹脂成分(A)を構成するエポキシ樹脂のうち、室温で液状のエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA、ビスフェノールFなどのビスフェノール類をエポキシ化した化合物であり室温で液状の化合物、アミノフェノール類をエポキシ化した化合物であり室温で液状の化合物、分子内にアルキレンオキサイド骨格を有する芳香族グリシジルエーテル化合物であり室温で液状の化合物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。エポキシ樹脂成分(A)を構成するエポキシ樹脂のうち、必要に応じて室温で液状のエポキシ樹脂と併用される室温で固形のエポキシ樹脂としては、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、その他トリフェニルメチン骨格を有するエポキシ樹脂、ナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂、アントラセン骨格を有するエポキシ樹脂などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
なお、本発明では、フェニルグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテルなどの室温で液状の単官能のエポキシ化合物も、エポキシ樹脂成分(A)を構成するエポキシ樹脂に含まれるものとする。室温で液状の単官能のエポキシ化合物は、室温で固形のエポキシ樹脂を用いる場合に、室温で固形のエポキシ樹脂と組み合わせることにより、エポキシ樹脂成分全体を室温で液状とするのに好適に用いられる。
本発明において、エポキシ樹脂成分(A)が室温で液状であるとは、エポキシ樹脂成分(A)が、室温(25℃)で流動性を有していることを指し、好ましくは室温(25℃)での粘度が1000Pa・s以下であることを指す。なお、エポキシ樹脂成分(A)の25℃の粘度は、JIS K 7233の毛細管粘度計法にて測定される値である。
本発明に係る硬化剤成分(B)は、エポキシ樹脂成分(A)の硬化剤であり、フェノール性水酸基を有し且つエポキシ樹脂成分(A)に溶解する化合物(B1)と、フェノール性水酸基を有し且つエポキシ樹脂成分(A)に溶解しない化合物(B2)との組合せである。つまり、硬化剤成分(B)は、化合物(B1)と化合物(B2)により構成されている。
ここで、エポキシ樹脂成分(A)に溶解する化合物(B1)とは、使用するエポキシ樹脂成分(A)90gと化合物(B1)10gを300ccのセパラブルフラスコに入れ撹拌装置で撹拌しながらオイルバスを使用して内温が145〜155℃になるように加熱し、内温が145℃になった時点から30分間撹拌を続けた後、室温まで冷却し、その後25℃で72時間放置後に、目視にて観察し、透明であったものを指す。一方、エポキシ樹脂成分(A)に溶解しない化合物(B2)とは、同様の操作を行った後、目視にて観察し、透明ではなかったものを指す。
化合物(B1)は、一般に軟化点または融点が200℃以下であり、具体的にはビスフェノールA、ビスフェノールFなどのビスフェノール類またはこれらの誘導体、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなどフェノールまたはその誘導体とホルムアルデヒドとの反応により得られる化合物、フェノールまたはその誘導体とベンズアルデヒドとの反応により得られる化合物、フェノールアラルキル型フェノール樹脂、ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂、その他ナフタレン骨格を有する化合物、アントラセン骨格を有するもので1分子内にフェノール性水酸基(ナフトール型水酸基など芳香族環に直接結合した水酸基を含むものとする)を2個以上有する化合物などが挙げられる。一方、化合物(B2)は、一般に高結晶性であり融点が200℃を超える化合物であり、具体的にはビフェノール、トリフェニルエタンなどが挙げられる。
硬化剤成分(B)として、エポキシ樹脂脂成分(A)に溶解する化合物(B1)と溶解しない化合物(B2)を併用する理由は、本発明の液状樹脂組成物を、第1の温度で加熱することで、室温では粘着性がなく且つ第1の温度以上では粘着性を示す接着層に変化させるためである。つまり、硬化剤成分(B)として、エポキシ樹脂成分(A)に溶解する化合物(B1)と溶解しない化合物(B2)を併用することにより、第1の温度で加熱後に、室温では粘着性がなく且つ第1の温度以上では粘着性を示す接着層が得られる。
一方、化合物(B1)のみを使用した場合には、第1の温度で加熱後、第1の温度以上の温度で粘着性を示さなくなり、また、化合物(B2)のみを使用した場合には、第1の温度で加熱後も、室温で粘着性を示すかまたは第1の温度以上の温度で粘着性を示さなくなる。
すなわち、本発明の液状樹脂組成物を、第1の温度で加熱することにより、エポキシ樹脂成分(A)と化合物(B1)の全部又は一部を反応させて高分子量化することで、本発明の液状樹脂組成物は、室温では粘着性を示さない程度にまで性状が変化するが、硬化反応が完結しているわけではないので、第1の温度以上では粘着性を示す。次いで、第1の温度で加熱して得られる接着層を、第2の温度で加熱することにより、残存しているグリシジル基と化合物(B2)及び未反応の化合物(B1)とを反応させて硬化させ、接着対象物の永久接着を行うことができる。
化合物(B1)としては、1分子内に含まれるフェノール性水酸基の数が2個以上の化合物が、化合物(B1)全体の80重量%以上であることが好ましい。これより少ないと、第2の温度で加熱した後の粘着性が不足する場合があるからである。化合物(B1)と化合物(B2)の配合比(化合物(B1):化合物(B2))は、重量比で、1:5〜5:1が好ましく、さらに好ましくは1:4〜4:1である。また、化合物(B1)と化合物(B2)のいずれも、1分子中にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物であることが好ましい。
ここで、第1の温度とは、液状樹脂組成物を塗布した半導体ウエハまたは半導体素子を加熱し、液状樹脂組成物を、室温では粘着性を示さず且つ第1の温度以上では粘着性を示す接着層に変化させる温度であり、60〜200℃が好ましく、より好ましくは80〜150℃であり、特に好ましくは100〜120℃である。また、第2の温度とは、第1の温度で加熱して得られた接着層を硬化させる温度であり、第1の温度より高い温度である。第2の温度は、低温硬化という点では、200℃以下が好ましい。なお、第1の温度及び第2の温度は、使用されるエポキシ樹脂成分(A)及び硬化剤成分(B)の種類により、適宜選択される。
本発明の液状樹脂組成物は、グリシジル基とフェノール性水酸基の反応触媒を含むことが好ましい。使用可能な反応触媒は、一般にグリシジル基とフェノール性水酸基の反応触媒として知られている化合物であれば特に限定されない。このような触媒としては、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスフィンの塩類などのリン系触媒、ジアザビシクロウンデセン、ジシアンジアミド、ヒドラジン誘導体、イミダゾール類などの窒素系のものが挙げられる。第1の温度での加熱と第2の温度での加熱を考慮すると、リン系、3級アミン、融点の低いイミダゾール類などの反応触媒とジシアンジアミド、融点の高いイミダゾール類などの反応触媒との併用も好ましい。融点の高いイミダゾール類としては、融点が180℃以上のものが好ましく、具体的には2−メチルイミダゾールと2,4−ジアミノ−6−ビニルトリアジンとの付加物、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾールが挙げられる。
本発明の液状樹脂組成物は、充填材を含むことができる。充填材としては、銀粉、金粉、銅粉、アルミニウム粉、ニッケル粉、パラジウム粉などの金属粉、シリカ粉末、アルミナ粉末、チタニア粉末、アルミニウムナイトライド粉末、ボロンナイトライド粉末などのセラミック粉末、ポリエチレン粉末、ポリアクリル酸エステル粉末、ポリテトラフルオロエチレン粉末、ポリアミド粉末、ポリウレタン粉末、ポリシロキサン粉末、ポリシルセスキオキサン粉末などの高分子粉末が挙げられる。液状樹脂組成物を塗布する際に、ノズルを使用する場合があること、また、ブレードを用いた印刷後の平坦性という観点から、充填材の平均粒径は、15μm以下が好ましく、より好ましくは10μm以下である。また粗粒子は少ないことが好ましく、開口径30μmのふるいを通したものが好ましい。さらにナトリウム、塩素などのイオン性の不純物が少ないことが好ましい。
特に導電性または熱伝導性が要求される場合には銀粉を使用することが好ましい。銀粉としては、通常電子材料用として市販されている銀粉であればよく、還元粉、アトマイズ粉などが入手可能なものとして挙げられる。銀粉の平均粒径は、好ましくは1μm以上、15μm以下である。銀粉の平均粒径がこの範囲未満だと液状樹脂組成物の粘度が高くなりすぎ、また、この範囲を超えると上述のようにディスペンス時のノズル詰まりあるいは印刷後の平坦性悪化の原因となりうる。また、電子材料用以外の銀粉ではイオン性不純物の量が多い場合があるので注意が必要である。充填材の形状は、フレーク状、球状など特に限定されないが、好ましくはフレーク状である。銀粉の含有量は、通常、液状樹脂組成物中、70重量%以上、95重量%以下である。銀粉の含有量が、この範囲より少ない場合には導電性が低くなり易く、また、この範囲より多い場合には液状樹脂組成物の粘度が高くなりすぎる。
本発明の液状樹脂組成物は、さらにカップリング剤を含むことができる。カップリング剤としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどのエポキシシランカップリング剤、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどのビニルシランカップリング剤、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシランなどの(メタ)アクリロキシシランカップリング剤、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノシランカップリング剤、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのメルカプトシランカップリング剤が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのうち、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)ジスルフィド、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィドなどのスルフィドシランカップリング剤が、特に好ましい。
さらに本発明の液状樹脂組成物は、必要により低応力剤、消泡剤、レベリング剤、界面活性剤などの添加剤を含むこともできる。
本発明の液状樹脂組成物は、室温(25℃)で流動性を有している。本発明の液状樹脂組成物の粘度は、25℃で、10〜100Pa・s、好ましくは15〜80Pa・s、特に好ましくは20〜60Pa・sである。なお、液状樹脂組成物の粘度は、BF型粘度計(CP51コーン)を用い、25℃、5.0rpmで測定される値である。
本発明の液状樹脂組成物は、例えば各成分を予備混合した後、3本ロールを用いて混練した後真空下脱泡することにより製造される。
本発明の半導体装置を製作する方法としては、公知の方法が挙げられる。例えば、液状樹脂組成物を半導体素子または半導体ウエハに塗布し加熱することにより接着層付き半導体素子を得た後、接着層付き半導体素子を回路基板にマウントし、加熱圧着して搭載し、硬化させる方法が挙げられる。その後、ワイヤーボンディングして、さらにエポキシ樹脂を用いてトランスファー成形することによって半導体装置を製作する。本発明の半導体装置とは、ダイオード、トランジスタなども含むものである。
以下、本発明の液状樹脂組成物を用る接着層付き半導体素子の製造方法および半導体装置の製造方法について説明する。
[塗布工程]
先ず、本発明の液状樹脂組成物を、ワイヤボンド用のボンディングパッドなどを有する半導体ウエハの裏面(回路面の裏)に塗布する。ここで、半導体ウエハとしては、表面に回路が形成されていないものが使用される場合もある。通常半導体ウエハは、厚みを制御する目的で、ダイシング前に裏面研削が行わる。そして、裏面を研削した後に液状樹脂組成物を塗布する。液状樹脂組成物の塗布方法としては、スクリーン印刷、ステンシル印刷、スピンコートなどが挙げられ、公知の方法が適用可能である。例えばバックグラインドテープ(裏面研削時に半導体ウエハの回路面を保護する目的で回路面に貼り付けるテープ)を貼り付けた状態の半導体ウエハを、半導体ウエハ裏面が上になるように印刷機にセットし、スクリーンマスクまたはステンシルマスクを使用し、金属またはポリマー製のブレードを用いて液状樹脂組成物を厚みが均一になるように塗布する方法や、スピンコーターにセットし、液状樹脂組成物を半導体ウエハの中央部に供給し、半導体ウエハを回転させることで液状樹脂組成物を半導体ウエハ裏面全体に均一に塗布する方法が挙げられる。また単一または複数のノズルを移動させることで、静止状態のウエハに塗布していく方法や、回転しているウエハにノズルを移動させながら塗布する方法が挙げられる。
使用するバックグラインドテープは、後段での加熱に耐える耐熱性に優れるものが好ましく、半導体ウエハサポート機能(裏面研磨後に薄くなった半導体ウエハの反り、変形を抑制する機能)を有するものも好ましい。
[接着層形成工程]
次に、液状樹脂組成物を塗布した半導体ウエハを第1の温度で加熱し、液状樹脂組成物を、室温では粘着性を示さず且つ第1の温度以上では粘着性を示す接着層に変化させて、室温では粘着性を示さず且つ第1の温度以上では粘着性を示す接着層を形成させる接着層形成工程を行う。第1の温度での加熱方法としては、熱板上での加熱、オーブン中での加熱、リフロー炉での加熱などが挙げられ、加熱温度(第1の温度)は、60〜200℃が好ましく、より好ましくは80〜150℃、特に好ましくは100〜120℃である。加熱温度(第1の温度)を低温にした方が、加熱処理後の反りが小さくなる。また、加熱時間は、1時間以下が好ましい。加熱時間が、これより長い場合には、生産性が悪くなると共に加熱後に半導体ウエハに反りが起こるという面でも不利になる。特に好ましい加熱条件は、150℃以下且つ30分以下であり、更に好ましくは120℃以下且つ30分以下である。
加熱後の接着層の厚みは、200μm以下が好ましく、より好ましくは5μm以上50μm以下である。厚みの制御は、塗布条件の調整および液状樹脂組成物の粘度の調整により可能である。例えば低粘度の液状樹脂組成物を使用すればより薄い接着層を得ることが可能である。フィルム状のダイアタッチ材を用いる場合には、目的とする厚みのフィルム状のダイアタッチ材を準備しなくてはならないが、本発明の液状樹脂組成物では、塗布条件の調整および液状樹脂組成物の粘度の調整により厚みの制御が可能である。
加熱後に揮発分が多量に接着層に含まれる場合には、後述する接着層のべたつきの原因、ピックアップ性の悪化の原因、支持体への搭載時のボイドの原因となりうるので、液状樹脂組成物を半導体ウエハ裏面に50μmの厚みで塗布し110℃で30分間加熱処理した後の接着層の揮発分が1重量%以下であることが好ましい。ここで塗布後の液状樹脂組成物の厚みは、非接触の厚み計にて測定される値である。揮発分とは、液状樹脂組成物が50±5μmで塗布された半導体ウエハを110±5℃に制御した乾燥機中で30±5分間加熱した後、取り出し、半導体ウエハが冷却される前にスパチュラにて接着層5〜30mgをサンプリングし、得られたサンプルを、熱天秤法(TGA)で室温から300℃まで10℃/分で昇温して測定した重量減少曲線における200℃での重量減少率である。より好ましい重量減少率は0.5重量%以下であり、特に好ましくは0.1重量%以下である。
接着層形成工程を行うことにより得られる接着層は、室温で粘着性を示さない。粘着性があると、ダイシングシートに貼り付ける貼付工程において、搬送不良が発生する可能性があるとともに、後述するピックアップ工程においても不具合が発生する可能性がある。
接着層付き半導体ウエハにおける接着層の厚み精度は、±5μm以内が好ましく、より好ましくは±3μm以内である。ここで厚み精度とは半導体素子面内の凹凸の変化をレーザー粗さ計で測定した表面プロファイルの平均値からの隔たりである。厚み精度がこれより大きい場合には安定した厚みが得られ難い。
[貼付工程、個片化工程]
次に得られた接着層付き半導体ウエハをダイシングシートに貼り付ける貼付工程、次いで、ダイシングにより接着層付き半導体ウエハを切断し、接着層付き半導体素子に個片化(ダイシング)する個片化工程を行う。ここでダイシングシートとしては市販のものが使用可能である。また、ダイシングシートは、ウエハリングに貼り付ける等によりウエハリングに固定される。また、通常ダイシングソーなどの専用装置を用いて個片化し、接着層付き半導体素子を得る。ここで前述のように接着層の平滑性が十分でない場合には接着層とダイシングシートの間にエアが残る場合があり、このためダイシング時にチップ欠け(半導体素子のエッジ部分が欠けてしまう現象)、チップクラック(半導体素子のエッジ部分にクラックがはいる現象)、チップ飛び(ダイシング時に半導体素子がダイシングシートから外れてしまう現象)などが起こり、接着層付き半導体素子の歩留まり悪化の原因となる場合がある。
[半導体装置の製造方法]
このようにして得られた接着層付き半導体素子を、ダイシングシートに貼り付いた状態で、ダイボンダーにセットし、ダイシングシートから、接着層付き半導体素子を取るピックアップ工程、次いで、接着層付き半導体素子を加熱下で支持体に圧着して搭載する搭載工程を行う。ピックアップ時には接着層付半導体素子とダイシングシートとの界面で剥がれる必要があり、接着層が室温で粘着性を示す場合にはピックアップできない、ピックアップ時に半導体素子がずれて正しい位置に搭載できない、接着層の一部がダイシングシートに残るなどの問題が生じる可能性がある。なお、ピックアップの際には、ダイシングシートは、ウエハリングに固定されている。
本発明に係る接着層付き半導体素子を搭載する支持体とは、リードフレーム、有機基板などであり、半導体素子を積層する場合にはリードフレーム、有機基板などに搭載された第2の半導体素子である。半導体素子を搭載する温度(搭載温度)は、第1の温度以上である。そして、半導体素子の搭載温度は、200℃以下が好ましく、より好ましくは175℃以下である。高温での半導体素子搭載はしばしば反りの原因となる。また半導体素子の搭載時には荷重をかけるが、荷重はダイボンダーの種類より異なる。一部LOC(Lead On Chip)ボンダーのように半導体素子あたり20Nほどの荷重をかけられる機種もあるが、通常は3〜5N程度の荷重である。半導体素子の薄型化、機械的強度の低い半導体素子を考慮すると、5N以下、より好ましくは1〜4Nの荷重が好ましい。搭載時間、すなわち、半導体素子を支持体に加圧している時間は、生産性の観点から10秒以下が好ましく、より好ましく3秒以下であり、特に好ましくは1秒以下である。
また、搭載後硬化前の接着層の25℃での接着力は、1N以上であることが好ましい。搭載後硬化前の接着層の25℃での接着力は、6×6mmに個片化された接着層付き半導体素子をダイボンダー上でピックアップし、ボンド加重1.0N、支持体加熱温度165℃、搭載時間8秒(なお、支持体表面の温度が165℃まで昇温する時間7秒を含む)の条件で、QFP用リードフレーム(パッケージサイズ14×20mm、ダイパッドサイズ7.5×7.5mm、ダイパッド表面およびリードの先端を銀めっきした銅フレーム、厚み0.15mm)に搭載したサンプルを、ダイシェアテスター(Dage社製、シリーズ4000)にて測定した値である。搭載後硬化前の接着層の25℃での接着力が、これより低い場合には搬送中に半導体素子が脱落する可能性がある。搭載後硬化前の接着層の25℃での接着力は、より好ましくは10N以上であり、さらに好ましくは20N以上である。
半導体素子を搭載した支持体を、第2の温度で加熱して硬化した後、ワイヤボンドを行う。ワイヤボンドの条件は特に限定されず、通常の条件を選択することができるが、前述の反りの問題を考慮すると低温で行うことが好ましい。特に好ましいワイヤボンド温度は200℃以下である。ワイヤボンド時に接着層の接着力が低すぎると半導体素子の脱落が生じる場合や、ワイヤボンドの強度が十分でない場合がある。そこで、硬化後の接着層の175℃での接着力が30N以上であることが好ましい。ここで硬化後の接着層の175℃での接着力は、6×6mmに個片化された接着層付き半導体素子をダイボンダー上でピックアップしボンド加重1.0N、支持体加熱温度165℃、搭載時間8秒(支持体表面の温度が165℃まで昇温する時間7秒を含む)の条件でQFP用リードフレーム(パッケージサイズ14×20mm、ダイパッドサイズ7.5×7.5mm、ダイパッド表面およびリードの先端を銀めっきした銅フレーム、厚み0.15mm)に搭載し、次いで175℃で60分間硬化したサンプルを、ダイシェアテスター(Dage社製、シリーズ4000)にて測定した値である。硬化後の接着層の175℃での接着力は、より好ましくは50N以上であり、さらに好ましくは100N以上である。
ワイヤボンドの次に樹脂封止工程を行う。通常はエポキシ樹脂にフィラーを分散させたトランスファー成形用封止材が使用される。トランスファー成形用封止材としては、特に限定されないが、環境問題よりアンチモン化合物、臭素化化合物を使用していないものが好ましく、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂および/またはビフェニルアラルキル型フェノール樹脂を使用した封止材で、アンチモン化合物、臭素化化合物を使用していないものが、より好ましい。ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂および/またはビフェニルアラルキル型フェノール樹脂を使用した封止材は、アンチモン化合物、臭素化化合物を使用しなくても良好な耐燃性(UL試験)を示すとともに良好な耐リフロークラック性を示すからである。
樹脂封止を行ったのち、必要に応じてポストモールド硬化を行い、支持体としてリードフレームを使用する場合には必要に応じてリード加工、外装めっきなどを施し半導体装置を得る。また支持体として有機基板を用いる場合には必要に応じて半田ボールアタッチなどを行い半導体装置を得る。
次に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。
[実施例1]
エポキシ樹脂成分(A)として、ビスフェノールAとエピクロロヒドリンとの反応により得られるジグリシジルビスフェノールA(エポキシ当量180、常温で液体、以下ビスAエポキシ)、クレジルグリシジルエーテル(エポキシ当量185、以下CGE)、化合物(B1)として、フェノールノボラック(水酸基当量104、軟化点80〜90℃、以下フェノール系B11)、化合物(B2)として、3,3’,5,5’−テトラメチルビフェノール(本州化学工業(株)製、以下フェノール系B2)、反応触媒として2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール(四国化成工業(株)製、以下2PHZ)、ジアザビシクロウンデセン、ジシアンジアミド、充填剤として粒径1〜30μmで平均粒径3μmのフレーク状銀粉(以下銀粉)を表1に示す割合で配合し、3本ロールで混練して液状樹脂組成物を得た。配合量は、重量部である。
この液状樹脂組成物を真空チャンバーにて2mmHgで30分間脱泡した後以下の方法により各種性能を評価した。
なお、エポキシ樹脂成分(A)の25℃の粘度は、ビスフェノールAとエピクロロヒドリンとの反応により得られるジグリシジルビスフェノールAとクレジルグリシジルエーテルだけを混合した混合物を、JIS K 7233の毛細管粘度計法にて、25℃で測定した粘度であり、14Pa・sであった。
[評価方法]
・液状樹脂組成物の粘度:BF型粘度計(CP51コーン)を用い25℃、5.0rpmでの値を液状樹脂組成物作製後に測定した。
・エポキシ樹脂成分(A)の粘度:JIS K7233の毛細管粘度計法にて、25℃の値を測定した。
・接着層厚さ:上記液状樹脂組成物を塗布した半導体ウエハを第1の温度(110℃30分間)で加熱処理した後の接着層の厚さを求めた。塗布前の半導体ウエハと、半導体ウエハに液状樹脂組成物を塗布し加熱処理後の厚さを測定し、その差より算出した。
・揮発分、外観:上記の液状樹脂組成物を、半導体ウエハに塗布し、110℃30分間加熱処理後すぐに接着層の一部をスパチュラにてかき集め、揮発分の測定用サンプルとした。揮発分はTGA(示差熱天秤)にてサンプル重量10mg、室温から昇温速度10℃/分で測定した200℃における重量減少率の値である。加熱処理後すぐにサンプリングを行ったのは、室温まで冷却されると接着層が固形になりサンプリングが困難になる場合があるからである。またサンプリングを行った以外の部分を用いて外観を目視で観察した。外観は、ピンホール、ボイド、異物の数を数えた。ピンホール、ボイド、異物のないものは良好とした。
・タック性:上記の液状樹脂組成物を、スライドガラスに塗布し、110℃30分間加熱処理後、テフロン(登録商標)テープ(日東電工(株)製、NITOFLON ADHESIVE TAPES)を貼り付けた。その後、テフロン(登録商標)テープを引き剥がし、テフロン(登録商標)テープに付着している液状樹脂組成物を目視で観察した。テフロン(登録商標)テープに液状樹脂組成物が付着していない場合を良好とし合格とした。
・接着強度:6×6mmに個片化された接着層付き半導体素子をダイボンダー上でピックアップし、ボンド加重1.0N、支持体加熱温度165℃、搭載時間8秒(支持体表面の温度が165℃まで昇温する時間7秒を含む)の条件でQFP用リードフレーム(パッケージサイズ14×20mm、ダイパッドサイズ7.5×7.5mm、パッド表面およびリードの先端を銀めっきした銅フレーム、厚み0.15mm)に搭載し、接着層付き半導体素子搭載後硬化前のサンプルの接着力を25℃で測定した。また、同様にして、接着層付き半導体素子をQFP用リードフレームに搭載したサンプルを、175℃60分間硬化し、硬化後のサンプルの接着力を175℃で測定した。接着力の測定はダイシェアテスター(Dage社製、シリーズ4000)にて行った。硬化後の175℃での接着力が30N以上の場合を合格とした。
・耐湿半田性試験:上記液状樹脂組成物を用いて回路面側をポリイミド樹脂(CRC−8800 住友ベークライト(株)製)で保護した模擬半導体ウエハ(Phase8 日立ULSI社製)の裏面に50μmの厚みで塗布した。次に、110℃30分間加熱処理した後、6×6mmに個片化して用意した接着層付き半導体素子を、オートダイボンダーにて、ボンド加重1.0N、支持体加熱温度165℃、搭載時間8秒(支持体表面の温度が165℃まで昇温する時間7秒を含む)の条件でQFN用リードフレーム(パッケージサイズ14×20mm、ダイパッドサイズ7.5×7.5mm、パッド表面およびリードの先端を銀めっきした銅フレーム、厚み0.15mm)に搭載し、次いで175℃で60分間硬化した。これを、半導体用封止材(EME−G700 住友ベークライト(株)製)にて175℃90秒成形の後、4時間硬化を行い、半導体装置を得た。この半導体装置を用いて、60℃、相対湿度60%、120時間吸湿処理した後、IRリフロー処理(260℃、10秒、3回リフロー)を行った。処理後の半導体装置を超音波探傷装置(透過型)により剥離の程度を測定した。ダイアタッチ部の剥離面積が10%未満の場合を合格とした。剥離面積の単位は%である。
[実施例2〜5]
表1に示す割合で配合し、実施例1と同様に液状樹脂組成物を作製し、実施例1と同様の評価を行った。
実施例1と異なる材料は、以下のとおりである。
化合物(B1)として、フェノールアラルキル樹脂(水酸基当量180、住友ベークライト(株)製、PR−54869、以下フェノール系B12)
実施例3のエポキシ樹脂成分(A)の25℃の粘度は、ビスフェノールAとエピクロロヒドリンとの反応により得られるジグリシジルビスフェノールAとクレジルグリシジルエーテルだけを混合した混合物を、JIS K 7233の毛細管粘度計法にて測定した25℃の粘度であり、11Pa・sであった。
[比較例1〜2]
表1に示す割合で配合し、実施例1と同様に液状樹脂組成物を作製して、実施例1と同様に評価した。
本発明の液状樹脂組成物は、室温ではべたつきがなく且つ低温で半導体素子の搭載が可能な接着層を与えるので、本発明によれば、信頼性に優れる半導体装置を、製造効率良く製造することができる。

Claims (6)

  1. 半導体ウエハまたは半導体素子に接着層が形成されており、
    前記接着層が、エポキシ樹脂成分(A)及び硬化剤成分(B)を含む液状樹脂組成物であり、前記エポキシ樹脂成分(A)が、室温で液状であり、前記硬化剤成分(B)が、フェノール性水酸基を有し且つ軟化点又は融点が200℃以下である化合物(B1)と、フェノール性水酸基を有し且つ融点が200℃を超える化合物(B2)との組合せであり、以下の溶解試験において、該化合物(B1)は、該エポキシ樹脂成分(A)90gと該化合物(B1)10gを300ccのセパラブルフラスコに入れ撹拌装置で撹拌しながらオイルバスを使用して内温が145〜155℃になるように加熱し、内温が145℃になった時点から30分間撹拌を続けた後、室温まで冷却し、その後25℃で72時間放置後に、目視にて観察したときに、透明となる化合物であり、該化合物(B2)は、該エポキシ樹脂成分(A)90gと該化合物(B2)10gを300ccのセパラブルフラスコに入れ撹拌装置で撹拌しながらオイルバスを使用して内温が145〜155℃になるように加熱し、内温が145℃になった時点から30分間撹拌を続けた後、室温まで冷却し、その後25℃で72時間放置後に、目視にて観察したときに、透明とはならない化合物である液状樹脂組成物を半導体ウエハまたは半導体素子に塗布し、次いで、60〜150℃の加熱温度で加熱して得られた接着層であることを特徴とする接着層付き半導体ウエハまたは接着層付き半導体素子。
  2. 前記化合物(B1)及び(B2)のいずれも、1分子中にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物であることを特徴とする請求項1記載の接着層付き半導体ウエハまたは接着層付き半導体素子
  3. 請求項1又は2いずれか1項に記載の接着層付き半導体ウエハをダイシングにより切断し接着層付き半導体素子に個片化して得られたことを特徴とする接着層付き半導体素子。
  4. 前記請求項1〜3いずれか1項に記載した接着層付き半導体素子を回路基板に搭載し、作製されたことを特徴とする半導体装置。
  5. エポキシ樹脂成分(A)及び硬化剤成分(B)を含む液状樹脂組成物であり、前記エポキシ樹脂成分(A)が、室温で液状であり、前記硬化剤成分(B)が、フェノール性水酸基を有し且つ軟化点又は融点が200℃以下である化合物(B1)と、フェノール性水酸基を有し且つ融点が200℃を超える化合物(B2)との組合せであり、以下の溶解試験において、該化合物(B1)は、該エポキシ樹脂成分(A)90gと該化合物(B1)10gを300ccのセパラブルフラスコに入れ撹拌装置で撹拌しながらオイルバスを使用して内温が145〜155℃になるように加熱し、内温が145℃になった時点から30分間撹拌を続けた後、室温まで冷却し、その後25℃で72時間放置後に、目視にて観察したときに、透明となる化合物であり、該化合物(B2)は、該エポキシ樹脂成分(A)90gと該化合物(B2)10gを300ccのセパラブルフラスコに入れ撹拌装置で撹拌しながらオイルバスを使用して内温が145〜155℃になるように加熱し、内温が145℃になった時点から30分間撹拌を続けた後、室温まで冷却し、その後25℃で72時間放置後に、目視にて観察したときに、透明とはならない化合物である液状樹脂組成物を半導体ウエハの一方の面に塗布し、液状樹脂組成物が塗布された半導体ウエハを得る塗布工程、前記液状樹脂組成物が塗布された半導体ウエハを60〜150℃の加熱温度で加熱し、接着層を形成する接着層形成工程、前記接着層付き半導体ウエハをダイシングシートに貼り付ける貼付工程、及びダイシングにより前記接着層付き半導体ウエハを切断し、接着層付き半導体素子に個片化する個片化工程を有することを特徴とする接着層付き半導体素子の製造方法。
  6. 請求項に記載の接着層付き半導体素子の製造方法により作製した接着層付き半導体素子を加熱圧着し、回路基板に搭載する搭載工程を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
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