JP5375351B2 - 半導体回路部材の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体回路部材の製造方法に関する。
近年、電子機器の小型化、高機能化に伴って、電子機器に搭載される電子部品に対して、小型化、薄型化、高密度化や高速化が求められている。携帯電話などのモバイル機器においては、画像の高精細化及び高密度化や伝達する情報量の増大に伴って、ロジックの高速・高機能化やメモリの大容量化が必要となる反面、搭載する半導体チップ等の部品のための容積は縮小している。
このような状況下、半導体チップには小型化、高集積化が求められており、また半導体パッケージを形成する場合は多段積層が求められている。多段積層の実装においては、基板と部品とをワイヤーにより接続する従来のワイヤーボンディングによる方法に代えて、バンプと呼ばれる導電性の突起電極を介して接続するフリップチップ接続方式が適用されることが増えつつある。
フリップチップ接続方式において、基板と部品との間等の電気的接続を行う方法としては、はんだバンプを介して金属結合を形成する方法、金バンプとスズなどによって金属結合を形成する方法、金バンプを超音波印加により基板配線に融着させて金属接合を形成する方法、金バンプと基板配線間に異方導電性接着剤などを介して接触接続する方法、金バンプを配線に押し当てて直接接触を行う方法などが利用されている。
これらのいずれの方法においても、バンプと回路基板上の配線等との電気的接続を保持するために、半導体チップと回路基板との間を封止樹脂で充填することが行われる。封止充てんの方法としては、はんだや超音波接合などでバンプを接合した後に、半導体チップと回路基板間の隙間を、毛細管現象を利用して液状のアンダーフィル材によって充てんする方法が一般的である。
また、近年では、基板と部品とを、異方導電性接着剤(ACF)や、非導電性接着シート(NCF)を用いて接続又は接着する方法が知られている。これらの方法では、ACFやNCFがアンダーフィル材としても働くことから、液状樹脂を充てんする場合に比べて封止のための時間が短縮できる。さらに、工程の簡略化の観点から、ウェハ状態で樹脂を供給する方法や、フラックス機能を付与した樹脂を用いて金属接合へ寄与する方法等が提案されている(特許文献1〜4参照)。
特開2000−100862号公報 特開2003−142529号公報 特開2001−332520号公報 特開2005−028734号公報
ところで、半導体パッケージをさらに薄型化、高密度化させる方法としては、半導体チップに貫通電極をあけ、この貫通電極を有する薄膜化したチップを積み上げる方法や、バンプとして銅バンプを用いる方法などが提案されている。これらの技術において、半導体の薄膜化に伴い、貫通電極により積層するチップとチップとの空隙や、チップと回路基板との空隙が狭くなるとともに、端子間のピッチも細かくなってきており、これらの空隙に対し、接続後に封止樹脂を注入することが困難となっている。そのため、接続後ではなく、接続前に封止樹脂を配置しておく先置き型の封止樹脂システムが要求されている。
また、半導体チップの端子と回路基板の端子とを電気的に接続する場合、例えばはんだを用いて金属接合を形成しようとすると、はんだ表面に酸化皮膜が形成されている等の理由によって端子同士の接続抵抗を十分に低くできないこともあった。そのため、接続すべき端子同士を良好に電気的に接続させることができる手法も求められている。
そこで、本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、先置き型の封止が可能であり、且つ、接続すべき電子部材における端子同士の電気的な接続を良好に得ることができる、半導体回路部材の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の半導体回路部材の製造方法は、第1基板上に第1端子が設けられた第1の電子部材と、第2基板上に第2端子が設けられた第2の電子部材とを、第1端子と第2端子とが向き合うように対向させ、回路部材接続用接着剤を介して接着して半導体回路部材を得る半導体回路部材の製造方法であって、第1端子の高さをtc、第2端子の高さをts、半導体回路部材における第1基板と第2基板との間の距離をt、接着前の回路部材接続用接着剤の厚さをtとしたとき、式(1);t≦(tc+ts)及び式(2);(tc+ts)≦tで示される条件を満たすようにすることを特徴とする。
上記本発明の半導体回路部材の製造方法においては、上記式(1)及び(2)で表される条件を満たすようにすることで、第1基板と第2基板との間に回路部材接続用接着剤が良好に充填されるとともに、対向する第1端子と第2端子とを確実に密着させることができる。したがって、先置き型の樹脂封止を良好に行うことができるほか、第1端子と第2端子とが確実に密着するため、これらを良好に接続させることができる。また例えば、第11及び/又は第2端子上にはんだを配置しても、第1端子と第2端子とが確実に密着することからこれらに挟まれるはんだが十分に引き伸ばされるため、はんだ表面の酸化被膜を良好に除去しつつ金属接合を形成させることも可能となる。
本発明の半導体回路部材の製造方法において、回路部材接続用接着剤としては、高分子量成分、熱硬化性樹脂及びこの熱硬化性樹脂の硬化剤を含む接着剤組成物を含有するものを用いることが好ましい。これにより、先置き型の封止を行う場合に、第1基板と第2基板との間に回路部材接続用接着剤を更に良好に充填することが可能となる。
また、回路部材接続用接着剤は、フィラー、架橋構造を有する高分子量微粒子、及びはんだよりも低い融点を有し室温で固体である粉状化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の成分を更に含むと好ましい。これらの成分を含むことにより、第1基板と第2基板との接続部分の信頼性を更に向上させることが可能となる。
さらに、回路部材接続用接着剤は、円盤フローで測定した際の圧着温度での流動性が、1.1〜2.5であることが好ましい。これにより、接続時に回路部材接続用接着剤を、第1端子と第2端子との間からは良好に除去できるとともに、第1基板と第2基板との間には良好に満たすことができ、更に、接続時の発泡等の発生を防止してボイドの生成を大幅に低減することができる。
本発明によれば、先置き型の樹脂封止が可能であり、且つ、はんだ表面に形成される酸化皮膜を良好に除去しながら接続を行うことができる、半導体回路部材の製造方法を提供することが可能となる。
好適な実施形態の半導体回路部材の製造工程を模式的に示す図である。
以下、必要に応じて図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について説明する。本実施形態の半導体回路部材の製造方法は、第1基板上に第1端子が設けられた第1の電子部材と、第2基板上に第2端子が設けられた第2の電子部材とを、第1端子と第2端子とが向き合うように対向させ、回路部材接続用接着剤を介して接着して半導体回路部材を得る工程を有しており、第1端子の高さをtc、第2端子の高さをts、半導体回路部材における第1基板と第2基板との間の距離をt、接着前の回路部材接続用接着剤の厚さをtとしたとき、式(1);t≦(tc+ts)及び式(2);(tc+ts)≦tで示される条件を満たすようにする。ここでは、第1の電子部材として半導体チップを、第2の電子部材として回路基板を用いる場合を例に挙げて説明を行うこととする。
図1は、好適な実施形態の半導体回路部材の製造工程を模式的に示す図である。本実施形態においては、まず、図1(a)に示すように、半導体加工用接着フィルム積層体(以下、「接着フィルム積層体10」と略す。)を準備する。接着フィルム積層体10は、基材2、粘着剤からなる粘着剤層4、及び回路部材接続用接着剤からなる回路部材接続用接着剤層(以下、「接着剤層6」と略す。)がこの順に積層された構造を有している。接着フィルム積層体10における接着剤層6は、厚さtを有している。かかる接着フィルム積層体10の詳細な構成については、後述する。
次に、図1(b)に示すように、半導体ウェハ20に、接着フィルム積層体10を貼り付ける。半導体ウェハ20は、回路基板上の端子との接続を行うために、半導体からなる半導体部22と、ここから突出した高さtcを有する端子24を備えている。半導体ウェハ20を加工することで、後述する半導体チップ30(第1の電子部材)が得られる。この工程では、接着フィルム積層体10を、接着剤層6が端子24を覆うように半導体ウェハ20に貼り付ける。
半導体ウェハ20における端子24としては、めっきや蒸着、又は金属ワイヤーを用いて形成される金バンプ、銅バンプ、ニッケルバンプ等が挙げられる。なお、金属ワイヤーを用いて形成されるバンプに関しては、接続荷重の影響や回路部材接続用接着剤の排除性の違いによって接続後の高さのばらつきが発生しないように、あらかじめバンプの先端を押しつぶして平坦化するレベリングを実施したバンプであることが望ましい。また、樹脂によって形成された導電樹脂バンプや、樹脂をコアとし表面に金属を蒸着した樹脂コアバンプも適用できる。端子24は、単一の金属で構成されている必要はなく、金、銀、銅、ニッケル、インジウム、パラジウム、スズ、ビスマス等から選ばれる複数の金属成分を含んでいてもよく、これらの金属からなる層が複数積層されたものであってもよい。また、端子24には、回路基板の端子との金属接合を行うために、スズや合金のはんだ等があらかじめ設置されていてもよい。
半導体ウェハ20への接着フィルム積層体10の貼り付けは、市販のフィルム貼付装置やラミネータを使用して行うことができる。貼り付けに用いる接着フィルム積層体10は、シート状態であってもよく、シートが巻き取られたロール状態であってもよく、またウェハの外形に合わせて加工されたものであってもよい。貼り付けの際には、半導体ウェハ20と接着剤層6との間にボイドの巻き込みが無いように、加熱や加圧、更には真空吸引を行うことが好ましい。そのために、フィルム貼付装置やラミネータには、加熱機構、加圧機構や、真空吸引機構が備わっていると好適である。
半導体ウェハ20への接着フィルム積層体10の貼り付けは、接着剤層6を構成する回路部材接続用接着剤が軟化する温度で行うことが好ましい。例えば、40〜80℃、好ましくは50〜80℃、より好ましくは60〜80℃で加熱しながら行うことができる。
貼り付けを、回路部材接続用接着剤が軟化する温度以下で行うと、接着剤層6への端子24の埋め込みが不十分となり、その結果これらの間にボイドが巻き込まれる場合がある。こうなると、後述するダイシング時に接着剤層6の剥がれが生じたり、ダイシング後の半導体チップを取り出す際に接着剤層6が変形したり、位置合わせ用の認識マークが識別しづらくなり、回路基板との位置あわせが困難となったり、接続後にボイドが残ることによって接続信頼性が低下したりするおそれがある。
一方、過度に高温で貼り付けを行うと、接着剤層6が硬化してしまい、接着力を失うおそれがあるほか、貼り付け後に冷却する際に熱収縮が生じ、これが半導体ウェハ20に反りの発生させる原因となるおそれがある。
このように半導体ウェハ20に接着フィルム積層体10を貼り付けた後、半導体ウェハ20の加工を行い、半導体チップ30を形成する。
すなわち、まず、図1(c)に示すように、半導体ウェハ20における半導体部22の研削を行い、半導体部22を薄片化する。半導体ウェハ20における半導体部22の研削は、端子24の反対の面側から行う。研削は、一般的なバックグラインド(B/G)装置を用いて行うことができる。この工程において半導体部22を厚みムラなく均一に研削するためには、接着剤層6が半導体ウェハ20にムラ無く均一に貼り付けられていることが好ましい。このためにも、半導体ウェハ20への接着フィルム積層体10の貼り付けは、上述したような貼付装置を用いて行うことが望ましい。
次いで、研削された接着フィルム積層体10付きの半導体ウェハ20に対し、後述するダイシングを容易に行うため、図1(d)に示すように、研削面にダイシングテープ52を貼り付け、ダイシングフレーム50等に固定することが好ましい。ダイシングテープ52の貼り付けは、一般的なウェハマウンタを使用し、ダイシングフレーム50への固定と同一の工程で実施することができる。ダイシングテープ52としては、市販のものを適用することができ、例えばUV硬化型であってもよく、感圧型であってもよい。
また、図1(d)に示すように、接着フィルム積層体10における基材2及び粘着層4を剥離する。この工程は、上述したようなダイシングテープの貼り付け、且つダイシングフレームへの固定を行った後に行うことが好ましい。接着フィルム積層体10からの基材2及び粘着層4の剥離は、一般的なフィルム引き剥がし装置を用いて行うことができる。
それから、図1(e)に示すように、回路部材接着剤層6が密着した状態の半導体ウェハ20をダイシングする。これにより、半導体ウェハ20が個片化されてなり、端子24を覆うように回路部材接続用接着層6が密着した状態の半導体チップ30が得られる。半導体ウェハ20のダイシングは、一般的なダイシング装置を用い、ダイシングブレード60等で切断を行うことにより実施することができる。そして、ダイシング後、ダイシングフレーム50及びダイシングテープ52を適宜剥離することによって、個片化された半導体チップ30が得られる。
個片化された半導体チップ30は、一般的なピックアップ装置で個々にピックアップすることができる。これらは、保管のためトレー詰めしてもよく、またそのままフリップチップボンダーを用いて回路基板に実装してもよい。
このようにして得られた半導体チップ30は、図1(f)に示すように、回路基板接続用接着剤層6を介して回路基板40(第2の電子部材)と接着することによって、回路基板40上に半導体チップ30が実装される。
回路基板40は、例えば、基板42上に配線(図示せず)が形成された構成を有しており、この配線の一部に半導体チップとの接続を行うための、基板42から突出した高さtsの端子44が設けられている。基板42としては、有機基板、セラミックス基板等が挙げられる。また、回路基板40は、半導体回路基板であってもよい。
実装は、例えば公知のフリップチップボンダーを用いて行うことができ、この際、半導体チップ30における端子24と、回路基板40における端子44とが接合されるように位置合わせする。位置合わせは、例えば、あらかじめ半導体チップ30と回路基板40のそれぞれに、所定の位置認識用の位置合わせ(アライメント)マークを設けておき、これを透明な接着剤層6を通して確認しながら行うことができる。
そして、接着剤層6を必要に応じて硬化することによって、半導体チップ30と回路基板40とが、硬化後の接着剤層6によって接着された半導体回路基板100を得ることができる。この半導体回路基板100においては、端子24と端子44とが接合することで、半導体チップ30と回路基板40とが電気的に接続されるとともに、半導体チップ30と回路基板40との間が硬化後の接着剤層6によって封止されている。半導体回路部材100において、半導体チップ30の半導体部22と回路基板40の基板42との間の距離は、tで表される。
このような半導体回路部材100の製造方法においては、半導体チップ30における端子24(第1端子)の高さtc(図1(b))、回路基板40における端子44(第2端子)の高さts(図1(f))、半導体回路部材100における半導体チップ30の半導体部22(第1基板)と回路基板40の基板42(第2基板)との間の距離t(図1(f))、及び、接着前の接着剤層6(回路部材接続用接着剤)の厚さt2(図1(a))は、式(1);t≦(tc+ts)及び式(2);(tc+ts)≦tで示される条件を満たすようにする。ここで、端子24及び端子44の「高さ」とは、これらに接合用の材料としてあらかじめはんだ等が設けられている場合は、この接合用の材料を除いた端子部分の高さを意味する。すなわち、端子24及び端子44の「高さ」は、実装温度で溶融しない部分の高さをいうこととする。
まず、式(1)の条件を満たすことで、端子24と端子44とが確実に接触し、はんだにより金属接合を形成した場合は、はんだが端子24と端子44とに挟まれて押しつぶされることにより、はんだ表面の酸化皮膜が除去され、それによって金属接合が良好に形成されるようになる。
また、半導体部22と基板42との間を隙間なく回路部材接続用接着剤で充填する場合は、(tc+ts)=t2であることが求められる。これに対し、本発明では、式(2);(tc+ts)≦t、より好ましくは(tc+ts)<tを満たすようにすることによって、接着剤層6のボイドを確実に排除することができるとともに、段差の埋め込み等も確実に行われるようになる。
さらに、tについては、(tc+ts)≦t≦(tc+ts)×1.5で表される関係を満たすことが好ましく、(tc+ts)≦t≦(tc+ts)×1.2で表される関係を満たすことがより好ましく、(tc+ts)≦t≦(tc+ts)×1.1で表される関係を満たすことが更に好ましい。
が(tc+ts)×1.5よりも大きい場合、端子22と端子24との間の樹脂を完全に除去することが困難となり、これらの間の導通が得られなくなるおそれがある。また、tが、(tc+ts)×1.2よりも大きい場合、十分な導通を得ながら良好に充填を行うことはできるものの、接着時にはみ出される回路部材接続用接着剤の量が多くなるため、側面から接続用の装置等に接着剤が回り込み、装置等の洗浄が必要となって歩留りが悪くなることがある。また、回路部材接続用接着剤の流動性が極端に悪い場合は、導通が得難くなることもある。なお、この場合は接続時の圧力を大きくすることによって接着剤を強く除去し、導通を得ることも可能であるが、近年では、半導体の絶縁層に脆弱なlow−k膜が適用されることが多く、接続荷重の低荷重化が要求されているため、このような高荷重を加えることは好ましくない場合がある。
一方、tが(tc+ts)よりも小さいと、半導体部22と基板42との間の隙間が回路部材接続用接着剤で十分に充てんされなくなり空隙が残るため、この空隙に湿気等が侵入して、接続信頼性に悪影響を及ぼす傾向がある。
以上、半導体回路部材100の製造方法の好適な実施形態について説明したが、以下では、この方法に用いる接着フィルム積層体10の構造及び製造方法の例について詳細に説明する。
まず、接着フィルム積層体10における基材2としては、耐熱性を有し、且つ熱膨張が少ないプラスチックフィルム等を好適に用いることができる。例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム等のポリエステル系フィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリイミドフィルム等が挙げられ、なかでも工業的に安価に入手可能なポリエステル系フィルム、特にポリエチレンテレフタレートからなるフィルムが好ましい。これらのプラスチックフィルムは多層構造を有していてもよい。
基材2の厚さは、接着フィルム積層体10を用いて接着を行う際の作業性を低下させない範囲であると好ましい。特に、後述するような使用において、半導体ウェハから引き剥がす際に良好となるように粘着性を十分に小さくする観点からは、基材2の厚さは100μm以下であると好ましく、5〜50μmであるとより好ましい。
また、基材2としては、そのガラス転移温度(Tg)以上の温度でフィルム加工時の熱歪を取り除いたアニール処理済のフィルムを適用すると好ましい。このようなフィルムからなる基材2を用いることで、薄い半導体ウェハを用いる場合であっても、ウェハにおける反りの発生を更に抑制することが可能となる。
さらに、基材2は、基材2と粘着剤層4との密着性を向上する観点から、粘着剤層2側の表面が所定の表面処理、例えば、クロム酸処理、オゾン暴露、火炎暴露、高圧電撃暴露、イオン化放射線処理等の化学的又は物理的処理が施されたものであってもよい。
粘着剤層4は、室温で粘着力があり、被着体に対する必要な密着力を有する樹脂等の材料からなる層であると好ましい。このような材料としては、例えば、アクリル系樹脂、各種合成ゴム、天然ゴム、ポリイミド樹脂等が挙げられる。また、粘着剤層4は、紫外線や放射線といった高エネルギー線や熱によって硬化し、粘着力が低下するものであると好ましい。
粘着剤層4の厚さは、5〜50μmであると好ましく、5〜25μmであるとより好ましく、5〜15μmであると更に好ましい。粘着剤層の厚さがこのような好適範囲であることで、 粘着剤層4の表面の凹凸や塗工むらの発生を抑制することが可能となる。
接着剤層6は、回路部材接続用接着剤からなる層である。この接着フィルム積層体10における接着剤層6は、回路部材接着剤が完全には硬化していない状態のものであり、例えば、DSCで測定される硬化の反応開始温度よりも高い温度が印加されていない未硬化の状態であると好ましい。
接着剤層6の厚さtは、上述した式(1)及び式(2)の関係を満たすように設定するが、このtは、5〜200μmであると好ましく、7〜150μmであるとより好ましく、10〜100μmであると更に好ましい。接着剤層6の厚さtが5μmよりも薄いと、十分な接着力を確保するのが困難となるほか、回路基板において表面に突出した電極を埋められなくなり半導体ウェハと回路基板との隙間を十分に充填できなくなったりするおそれがある。一方、200μmよりも厚くても、特性上の利点はないほか、半導体装置の小型化の要求に応えられず、またコストの増大を招くおそれがある。
接着剤層6は、可視光透過率が5%以上であると好ましく、8%以上であるとより好ましく、10%以上であると更に好ましい。可視光透過率が5%よりも小さいと、フリップチップ実装を行う際、例えばフリップチップボンダーによる端子等の認識が困難となり、接着時の位置あわせ作業が行い難くなる傾向にある。この観点からは可視光透過率は高いほど好ましく、その上限は特に限定されない。接着剤層6の可視光透過率は、この層を構成する回路部材接続用接着剤の組成等によって調整することができる。
接着剤層6の可視光透過率は、分光光度計(例えば、日立製作所製U−3310)を用いて測定することができる。具体的には、例えば、膜厚50umのPETフィルム(帝人デュポン製ピューレックス、555nmの透過率86.03%)を基準物質としてベースライン補正測定を行った後、このPETフィルムに25um厚で回路接続用接着剤を塗工して接着剤層を形成し、この層の400nm〜800nmの可視光領域の透過率を測定して得られた値を適用することができる。なお、フリップチップボンダーで使用されるハロゲン光源とライトガイドの波長相対強度は、550nm〜600nmが最も強いことから、555nmの透過率をもって可視光透過率を設定すると好ましい。
接着剤層6を構成する回路部材接続用接着剤としては、高分子量成分、熱硬化性樹脂及び熱硬化性樹脂の硬化剤を含む接着剤組成物を含有するものが好適である。
接着剤組成物における高分子量成分は、主に回路部材接続用接着剤に成膜性を付与する成分であり、後述する熱硬化性樹脂とは異なる化合物から構成される成分である。ここでいう高分子成分とは、単一又は複数のモノマーが重合し、直鎖又は直鎖から分岐した側鎖を有する高分子化合物であって、一般的な熱可塑性樹脂、エラストマー、ゴム等を含む。これらの高分子成分は、反応性の官能基を主鎖中や、主鎖の末端又は側鎖に含んでいても良い。高分子量成分の分子量は、回路部材接続用接着剤に成膜性を付与することができれば特に制限はないが、例えば、GPCで測定したポリスチレン換算の分子量で2万〜100万程度の分子量が好ましい。分子量が100万以上になると、溶解性の低下を招き、接着剤組成物を溶剤に溶解させて調整することが困難になる傾向にある。一方、分子量が2万以下では、成膜性が乏しくなるため、他の成分と混合した後に膜状態の成型物を得ることが困難になる傾向にある。
このような高分子量成分としては、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノキシ樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリヒドロキシポリエーテル樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリブタジエン、アクリロニトリルブタジエン共重合体、アクリロニトリルブタジエンゴムスチレン樹脂、スチレンブタジエン共重合体、アクリル酸共重合体などが挙げられる。これらは、単独または二種以上を併用して使用することができる。これらのなかでも、良好な耐熱性及びフィルム形成性を得る観点から、ポリイミド樹脂又はフェノキシ樹脂が好ましい。
また、高分子量成分は、成膜性を有するとともに、未硬化時の回路部材接続用接着剤に優れた粘接着性を付与するために、そのガラス転移温度(Tg)が20℃から120℃であることが好ましい。Tgが20℃より低いと、室温での成膜性が低下し、これにより例えば半導体ウェハの加工中に回路部材接続用接着剤の変形が生じ易くなり、バックグラインド工程での半導体ウェハの加工やダイシング工程での個片化を行い難くなる場合がある。一方、ガラス転移温度が100℃よりも高いと、回路部材接続用接着剤を半導体ウェハに貼り付ける際の貼付温度が100℃よりも高くなり、これによって貼り付け時に後述する熱硬化性樹脂の硬化反応が進んでしまい、半導体チップを回路基板に接続する際に流動性が低くなるため、接続不良の原因となるおそれがある。
熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、ビスマレイミド樹脂、トリアジン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、シアノアクリレート樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイソシアネート樹脂、フラン樹脂、レゾルシノール樹脂、キシレン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、シロキサン変性エポキシ樹脂、シロキサン変性ポリアミドイミド樹脂、アクリレート樹脂が挙げられる。これらは、単独もしくは2種以上の混合物として用いることもできる。本発明の効果を良好に得る観点から、熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂が好ましい。
熱硬化性樹脂の硬化剤としては、加熱によって硬化を開始させる潜在性の硬化剤が好ましい。例えば、フェノール系、イミダゾール系、ヒドラジド系、チオール系、ベンゾオキサジン、三フッ化ホウ素−アミン錯体、スルホニウム塩、アミンイミド、ポリアミンの塩、ジシアンジアミド、有機過酸化物系の硬化剤が好ましい。また、可使時間を長くする観点から、これらの硬化剤をポリウレタン系、ポリエステル系の高分子物質等で被覆してマイクロカプセル化したマイクロカプセル型の硬化剤も好ましい。マイクロカプセル型硬化剤としては、硬化剤を核とし、この核がポリウレタン、ポリスチレン、ゼラチン、ポリイソシアネート等の高分子物質や、ケイ酸カルシウム、ゼオライト等の無機物、ニッケルや銅等の金属薄膜等の被膜によって実質的に覆われているものが例示される。マイクロカプセル型硬化剤は、その平均粒径が10μm以下であるものが好ましく、5μm以下のものがより好ましい。
回路部材接続用接着剤は、接着剤組成物に加えて、必要な特性に応じてその他の成分を含んでいてもよい。例えば、まず、回路部材接続用接着剤は、フィラーを含むことが好ましい。フィラーの添加により、接着剤層6の低吸湿率化、低線膨張係数化、高弾性化が可能となり、半導体パッケージの長期接続信頼性を向上することが可能となる。
フィラーを含む場合、上述の如く、接着剤層6は、ある程度以上(5%以上)の可視光透過率を有することが好ましいことから、良好な可視光透過率が得られるようにフィラーを選択することが望ましい。フィラーを高充填しつつ可視光透過率を低下させない手法としては、可視光の波長よりも細かい粒子径のフィラーを配合する方法や、配合される樹脂に近似する屈折率を有するフィラーを配合し、可視光の散乱を防止して透過率の低下を抑制する方法等がある。
前者の細かい粒子径のフィラーを配合する方法の場合、フィラーとしては、0.3μmより小さい粒子径を有するものが好ましく、0.1μm以下の粒子径を有するものがより好ましい。また、フィラーとしては、透明性を有するフィラーが好ましく、例えば、屈折率1.46〜1.7のフィラーを用いることが好適である。なお、フィラーの屈折率は、アッベ屈折計を用い、ナトリウムD線(589nm)を光源として測定することができる。
一方、後者の樹脂に近似する屈折率を有するフィラーを配合する方法の場合、好適なフィラーの屈折率は、例えば、フィラーを配合しない回路部材接続用接着剤(接着剤組成物)を準備し、その屈折率を測定して、これに近い屈折率とすればよい。この方法の場合、フィラーの粒子径には特に制限はないものの、回路部材接続用接着剤が適用される半導体チップと回路基板との空隙への充てん性の観点や、接続工程でのボイドの発生を抑制する観点からは、微細なフィラーを用いることが好ましい。
フィラーの粒子径の範囲は、0.01μmから5μmの範囲が好ましく、0.1μmから2μmの範囲がより好ましく、0.3μmから1μmの範囲が更に好ましい。フィラーの粒子径が0.01μmより微細であると、粒子の被表面積が増大することによって回路部材接続用接着剤の粘度増加が著しくなり、フィラーの高充てん化が困難になる。フィラーが高充てん化ができないと、回路部材接続用接着剤の低線膨張係数化及び高弾性化ができなくなり、高信頼性を得ることが困難となる傾向にある。
樹脂に近似する屈折率を有するフィラーの屈折率は、フィラーを除く回路部材接続用接着剤(例えば接着剤組成物)の屈折率の±0.06の範囲であると好ましい。このようなフィラーとしては、複合酸化物フィラー、複合水酸化物フィラー、硫酸バリウム、粘度鉱物等を適用することができる。より具体的には、例えば、回路部材接続用接着剤のフィラーを除いた組成の屈折率が1.60である場合、屈折率1.54から1.66のフィラーを用いることが好ましい。その具体例としては、コージェライト、フォルスライト、ムライト、硫酸バリウム、水酸化マグネシウム、ホウ酸アルミニウム、バリウム、シリカチタニア等が挙げられる。
なお、細かい粒子径のフィラーを配合する方法と、樹脂に近似する屈折率を有するフィラーを配合する方法とは、組み合わせて行ってもよい。ただし、この場合であっても、回路部材接続用接着剤の粘度増加を抑制するため、細かい粒子径のフィラーの添加量は、回路部材接続用接着剤の組成の10質量%よりも低い濃度となるようにすることが好ましい。
フィラーの線膨張係数は0℃以上700℃以下の温度範囲で、7×10−6/℃以下であることが好ましく、3×10−6/℃以下であるとより好ましい。フィラーの線膨張係数がこのような範囲であると、回路部材接続用接着剤の線膨張を良好に低減することができ、耐熱試験において高い接続信頼性を得ることが可能となる。
回路部材接続用接着剤においては、フィラーの配合量は、接着剤組成物100質量部に対し、25〜200質量部であると好ましく、50〜150質量部であるとより好ましく、75〜125質量部であると更に好ましい。このフィラーの配合量が25質量部よりも小さい場合、回路部材接続用接着剤の線膨張係数が増大し、また弾性率の低下が生じるため、圧着後の半導体チップと回路基板との接続信頼性が低下するおそれがある。また、接続時のボイド発生を抑制するのが困難となる場合もある。一方、200質量部よりも多いと、回路部材接続用接着剤の溶融粘度が増大し、半導体チップと接着剤層6との界面、または接着剤層6と回路基板との界面の濡れ性が低下し、これらのはく離や埋め込み不足が生じ、ボイドの除去が困難となるおそれがある。
また、回路部材接続用接着剤は、その他の成分として、フィラー以外に、架橋構造を有する高分子量微粒子からなる粉体を含有させてもよい。このような高分子量微粒子の構成材料としては、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ブタジエン系、ポリエステル、ポリウレタン、ポリビニルブチラール、ポリアリレート、ポリメチルメタクリレート、アクリルゴム、ポリスチレン、NBR、SBR、やシリコーン変性樹脂等を成分として含む共重合体を適用することができる。また、微粒子は、コアシェル型の構造を有しており、コア部分とシェル部分とで組成が異なるものであってもよい。
架橋構造を有する高分子量微粒子は、架橋構造を有するため、配合の際に有機溶剤に溶解することなく、粒子の形状のまま回路部材接続用接着剤に配合される。高分子量微粒子が架橋構造を有しない場合、溶剤に溶解してしまうため、例えば成型後に回路部材接続用接着剤中で島状に分散することが困難となり、この接着剤の硬化物の強度を低下させる原因となるおそれがある。
架橋構造を有する高分子量微粒子は、その粒子径が0.1μmから2μmであると好ましい。粒子径が0.1μmよりも小さい場合は、回路部材接続用接着剤の溶融粘度が増加してしまい、接続時の濡れ性を低下させるおそれがある。一方、粒子径が2μmよりも大きい場合は、回路部材接続用接着剤の粘度を低減する効果が少なくなり、接続時にボイドを抑制することが困難となる場合がある。
架橋構造を有する高分子量微粒子の配合量は、接着剤層6による接続時のボイドを抑制すること、及び接続後に良好な応力緩和効果を得る観点から、上述したフィラー及び高分子量微粒子を除いた回路部材接続用接着剤(例えば接着剤組成物)を100質量部としたとき、5〜20質量部であることが好ましい。この高分子量微粒子の配合量が5質量部よりも少ない場合、接続時のボイドの抑制が困難となるとともに応力緩和効果も十分に発現されなくなるおそれがある。一方、20質量部よりも多い場合、回路部材接続用接着剤の流動性が低くなるため、濡れ性が低下し、残留ボイドの原因となるほか、硬化物の弾性率が低くなりすぎ、接続信頼性の低下を招くおそれがある。
また、回路部材接続用接着剤は、半導体チップや回路基板における端子上のはんだとの濡れ性を改善するために、はんだよりも低い融点を有し、室温で固体である粉状化合物を含有していると好ましい。このような粉状化合物は、はんだにより金属接合を形成する際に融解し、これが表面の酸化皮膜等を除去することができることから、はんだの濡れ性を改善して端子同士の金属接合を良好に形成することを可能にする。
このような粉状化合物としては、はんだよりも低い融点を有し、溶解度に表面の酸化皮膜を除去できるものであれば特に制限されないが、例えば、カルボキシル基を有する化合物、メチロール基を有する化合物、ヒドラジド化合物のうちの少なくとも1種類の化合物が挙げられる。
これらの粉状化合物は、回路部材接続用接着剤の製膜性を妨げないために、最大粒径が20μm以下であると好ましい。粉状化合物としては、具体的には、例えば、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、2,6−ジメトキシメチルパラクレゾール、アジピン酸ジヒドラジドなどを適用することができる。これらの化合物を、乳鉢ですりつぶし、微粉化した後に、10μmのフィルターにより大粒径物を除去することで、良好な粉状化合物が得られる。
回路部材接続用接着剤における粉状化合物の配合量は、回路部材接続用接着剤の全量を100としたき、1〜20質量部が好ましい。この配合量が1重量部より少ない場合、はんだの濡れ性を改善する効果が十分に得られなくなるおそれがある。一方、20重量部より多くても問題はないが、過剰成分となり、特性の向上には殆ど寄与しない傾向にある。
回路部材接続用接着剤は、更に、回路部材接着剤層6による接着強度の増大や、フィラーの表面改質等を目的として、例えば、シラン系、チタン系、アルミニウム系等のシリコーンオイル、ポリシロキサン、シリコーンオリゴマー、カップリング剤を含んでもよい。
例えば、シラン系のカップリング剤としては、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン等を適用できる。これらは、単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。
また、回路部材接続用接着剤には、イオン性不純物を吸着して、吸湿時の絶縁信頼性を向上させるために、イオン捕捉剤を添加することもできる。イオン捕捉剤としては、例えば、トリアジンチオール化合物、ビスフェノール系還元剤等の、銅がイオン化して溶け出すことを防止するため銅害防止剤として知られる化合物や、ジルコニウム系、アンチモンビスマス系マグネシウムアルミニウム化合物等の無機イオン吸着剤等が挙げられる。
回路部材接続用接着剤は、接着剤層6により半導体チップと回路基板を接続した後の温度変化や、加熱吸湿による膨張等を抑制して、高接続信頼性を達成する観点から、硬化後の40〜100℃の線膨張係数が60×10−6/℃以下であることが好ましく、55×10−6/℃以下であることがより好ましく、50×10−6/℃以下であることがさらに好ましい。硬化後の線膨張係数が60×10−6/℃を超えると、実装後の温度変化や加熱吸湿による膨張が生じ易くなり、半導体チップの端子と回路基板の配線間等での電気的接続が良好に保持されなくなる場合がある。
また、回路部材接続用接着剤は、円盤フローで測定した際の圧着温度での流動性が、1.1〜2.5であることが好ましい。回路部材接続用接着剤の流動性が1.1よりも小さい場合、接続のための圧着を行う際、接着剤が十分に排除されず、例えば端子22と端子44との間等に残留するため、これらの間の電気的接続が得られなくなり、製造不良の原因となる場合がある。一方、回路部材接続用接着剤の流動性が2.5よりも大きい場合、加熱・加圧時の接着剤の粘度が下がりすぎるため、発泡を十分に抑制し難くなり、接着剤層6にボイドが残留し、信頼性を低下させる要因となる場合がある。
回路部材接続用接着剤の円盤フローにより測定した際の流動性は、例えば、平坦な部材間に回路部材接続用接着剤を挟み込み、これを所定の温度と荷重でプレスし、プレス後の接着剤の面積を、流動前の接着剤の面積と比較することで計算することができる。すなわち、初期面積をaとし、プレス後の面積をbとした時、樹脂の流動性は、b/aとして計算できる。平坦な部材としてはガラス、シリコンチップ等が挙げられる。
さらに、回路部材接続用接着剤は、250℃で10秒加熱した後にDSCで測定される反応率が60%以上となるものであって、且つ、室温で14日間放置した後にDSCで測定される反応率が10%よりも低いものであると好適である。このような回路部材接続用接着剤からなる接着剤層6によれば、半導体チップ30と回路基板40との接着を加熱によって迅速に行うことができる一方、例えば半導体チップ30に接着剤層6を貼り付けた状態で長期間保管しても接着剤層6の接着性が十分に維持されるため、先置き型の封止に用いるのに極めて有利である。
上述した構成を有する接着フィルム積層体10は、例えば、次のようにして得ることができる。
すなわち、接着フィルム積層体10は、所定のプラスチックフィルム上に接着剤層6を形成した積層体、及び、基材2上に粘着剤層4を形成した積層体をそれぞれ準備し、これらを接着剤層6と粘着剤層4とが向き合うように貼り合わせた後、上記の所定のプラスチックフィルムを剥離することにより得ることができる。
所定のプラスチックフィルム上に接着剤層6を形成する方法としては、プラスチックフィルム上に、上述した回路部材接続用接着剤を溶剤等に溶解又は分散させてワニス化したものを塗布した後、乾燥させる方法が挙げられる。ワニスの塗布は、例えば、ナイフコート法、ロールコート法、スプレーコート法、グラビアコート法、バーコート法、カーテンコート法等によって行うことができる。
接着剤層6を形成する所定のプラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタラート、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリメチルペンテンフィルムなどのプラスチックフィルム等が挙げられる。より具体的には、例えば、帝人(株)製のA−63(離型処理剤:変性シリコーン系)や、帝人(株)製のA−31(離型処理剤:Pt系シリコーン系)等が挙げられる。
プラスチックフィルムは、接着フィルム積層体10の製造時の剥離を容易にするため、接着剤層6側の面が離型剤で処理されていてもよい。離型剤としては、シリコーン系剥離剤、フッ素系剥離剤、長鎖アルキルアクリレート系剥離剤等が挙げられる。また、プラスチックフィルムとしては、フッ素樹脂からなるフィルムのような、もともと表面エネルギーの低いものを用いることも好ましい。
プラスチックフィルムの厚さは、作業性を損なわない範囲で適宜に選択できる。例えば、100μm以下が好ましく、10〜75μmであるとより好ましく、25〜50μmであると更に好ましい。
また、ワニスを調製するための溶剤としては、有機溶剤が挙げられ、揮発性を考慮して選択することが好ましい。例えば、メタノール、エタノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン等の比較的低沸点の溶媒が好ましい。これらの低沸点の溶媒を用いることで、接着剤層6を形成する際に低温で乾燥を行うことが可能となり、回路部材接続用接着剤の硬化を防止することができる。溶剤としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
一方、基材2上に粘着剤層4を形成する方法としては、粘着剤層6を形成するための材料(粘着剤組成物)を溶剤等に溶解又は分散させたワニスを準備し、これを基材2上に塗布した後、乾燥させる方法が挙げられる。ワニスに用いる溶剤や、ワニスを塗布する方法は、接着剤層6を形成する場合と同様のものが適用できる。
プラスチックフィルム上に接着剤層6を形成した積層体と、基材2上に粘着剤層4を形成した積層体との貼り合わせは、例えば、これらを、接着剤層6と粘着剤層4とが向き合うように配置し、常温〜60℃程度で重ね合わせることによって行うことができる。この際、適当な圧力で積層方向への加圧を行ってもよい。
以上、説明した実施形態の半導体回路部材100の製造方法では、半導体ウェハ20の状態で接着フィルム積層体10を貼り付け、半導体ウェハ20を加工して半導体チップ30を形成した後に、あらかじめ貼り付けられた接着フィルム積層体10における接着剤層6を用いて回路基板40への接着を行うことから、接着剤層6は、先置き型の封止樹脂として機能する。
従来、半導体パッケージ等の小型化を意図して、半導体チップと回路基板との接続部分の空隙を狭くし、また端子間のピッチを細かくした場合、接続時の封止樹脂の充てんが不十分となり、接続部分に生じたボイドが、信頼性が低下させてしまう傾向にあった。これに対し、本実施形態では、上記のように、tc、ts、t及びtについて、式(1)及び式(2)の条件を満たすようにしているため、端子同士が良好に密着されるほか、はんだを用いる場合でも、はんだ表面の酸化皮膜を除去しつつ良好に端子同士を接続することができる。また、これに加えて、半導体部22と基板42との間を良好に回路部材接続用接着剤で充填することができるため、実装時や実装後のボイドの発生が抑制される。その結果、半導体チップ30と回路基板40との接続部分の信頼性が高い半導体回路部材100が得られる。
さらに、従来、接続部分の空隙が狭くなることに伴って、この部分にかかる応力が増大し、これによっても接続部分の信頼性の低下が生じ易い傾向にあったが、上述した組成を有する回路部材接続用接着剤を用いた接着剤層6によれば、接続部分の応力の発生を抑制しつつ実装を行うことが容易となる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明を行ったが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することができる。
例えば、上述した実施形態では、半導体チップを回路基板に実装する方法について説明したが、本発明の条件を満たす限り、このような形態に限定されず、例えば半導体チップ同士を接続するための方法等にも適用することができる。また、必ずしも接着フィルム積層体10を用いる必要はなく、例えば、直接半導体ウェハ(半導体チップ)に接着剤層を形成して接続を行うようにしてもよい。
さらに、上述した接着フィルム積層体を用いた実装方法の説明においては、半導体ウェハに接着フィルム積層体を貼り付けた後、半導体ウェハの加工を行って半導体チップを形成したが、半導体ウェハに代え、はじめから半導体チップを用いるようにしてもよい。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は必ずしもこれらの実施例に限定されるものではない。
[回路部材接続用接着剤層の形成]
(調製例1)
フェノキシ樹脂(東都化成株式会社製:商品名ZX1356−2)を25重量部、エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製、商品名1032H60)を20重量部、液状エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、商品名エピコート828)を15重量部、マイクロカプセル型潜在性硬化剤(旭化成エレクトロニクス株式会社製:商品名HX3941HP)を40重量部、それぞれ準備し、これらをトルエンと酢酸エチルの混合溶媒中に溶解した。
次いで、得られた溶液に、コアシェルタイプの耐衝撃改質剤(三菱レーヨン株式会社製、商品名SRK−200)を10重量部、大粒径を除去するために5μmの分級処理を行った平均粒径1μmのコージェライト粒子(2MgO・2Al・5SiO、比重2.4、線膨張係数1.5×10−6/℃、屈折率1.57)を75重量部、大粒径を除去するために10μmの分級処理を行ったアジピン酸ジヒドラジド(ADH、大塚化学製)10重量部を分散させて、塗布液を得た。
その後、この塗布液を、プラスチックフィルム(PETフィルム)上にロールコータを用いて塗布した後、70℃のオーブンで5分間乾燥させて、PETフィルム上に回路部材接続用接着剤からなる接着剤層(厚みt:55μm)を備える積層体を形成した。
(調製例2〜5)
接着剤層の厚みtが表1に記載したとおりとなるようにしたこと以外は、調製例1と同様にして、調製例2〜5の積層体を形成した。
(調製例6〜10)
コージェライト粒子を100重量部用いたこと、及び、表1に記載した接着剤層の厚みtとなるようにしたこと以外は、調製例1と同様にして、調製例6〜10の積層体を形成した。
(調製例11〜14)
コージェライト粒子を150重量部用いたこと、及び、表1に記載した接着剤層の厚みtとなるようにしたこと以外は、実施例1と同様にして、調製例11〜14の積層体を形成した。
(比較調製例1)
接着剤層の厚みtが40μmとなるようにしたこと以外は、調製例1と同様にして、比較調製例2の積層体を形成した。
(比較調製例2)
接着剤層の厚みtが25μmとなるようにしたこと以外は、調製例1と同様にして、比較調製例6の積層体を形成した。
[半導体回路部材の作製]
調製例1〜14及び比較調製例1〜2で得た、PET上に回路部材接続用接着剤からなる接着剤層を備える積層体をそれぞれ用い、以下の方法にしたがって、実施例1〜14及び比較例1〜2の半導体回路部材の製造を行った。
(基材及び粘着剤層を有する積層体の形成)
粘着剤層を形成するための材料として、次のような粘着剤溶液を調製した。まず、主として骨格を形成するモノマーとして2−エチルヘキシルアクリレートとメチルメタクリレートを用い、側鎖に官能基を導入するためのモノマーとしてヒドロキシエチルアクリレートとアクリル酸を用い、溶液重合法によりこれらが重合してなるアクリル共重合体を得た。このアクリル共重合体の重量平均分子量は40万であり、ガラス転移温度は−38℃であった。次いで、得られたアクリル共重合体100重量部に対し、多官能イソシアネート架橋剤(日本ポリウレタン工業株式会社製、コローネートHL)を10重量部配合して、粘着剤溶液を得た。
この粘着剤溶液を、基材であるアニール処理を施したポリエチレンフィルム(厚さ100μm)の上に、乾燥後に得られる粘着剤層の厚さが10μmとなるように塗布し、乾燥して、粘着剤層を形成した。さらに、シリコーン系離型剤を塗布したニ軸延伸ポリエステルフィルムセパレータ(厚さ25μm)を、粘着剤層にラミネートした。このようにして、基材であるポリエチレンフィルム、粘着剤層及びポリエステルフィルムセパレータをこの順に備える積層体を得た後、これを室温で1週間放置して十分にエージングした。
(半導体加工用接着フィルム積層体の作製)
PETフィルム上に回路部材接続用接着剤からなる接着剤層が形成された積層体と、基材及び粘着剤層を有する積層体とを貼り合わせて、半導体加工用接着フィルム積層体を製造した。貼り合わせは、両積層体における粘着剤層と接着剤層とが向き合うようにして行った。
(半導体回路部材の作製)
<半導体ウェハへの半導体加工用接着フィルム積層体の貼り付け>
まず、ジェイシーエム社製のダイアタッチフィルムマウンターの吸着ステージを80℃に加熱した後、この吸着ステージ上に、金めっきバンプ(半導体チップの端子、高さtc:25μm)が形成された厚さ725μm、直径6インチの半導体ウェハを、バンプ側が上に向くように搭載した。
次いで、上記で得た半導体加工用接着フィルムを200mm×200mmに切断した後、この半導体加工用接着フィルムを、接着剤層が半導体ウェハのバンプ側に向くようにし、エアを巻き込まないようにしながら、半導体ウェハの端部からダイアタッチマウンターの貼付ローラを用いて押しつけ、ラミネートした。ラミネート後、ウェハの外形に沿って半導体加工用接着フィルムのはみ出し部分を切断した。
<半導体ウェハのバックグラインド、並びに基材及び粘着剤層の剥離>
上記で得られた、半導体加工用接着フィルムが貼り付けられた半導体ウェハにおけるウェハ部分を、株式会社ディスコ製バックグラインド装置を用いて、150μmにバックグラインドした。それから、バックグラインド後の半導体ウェハを、ジェイシーエム製のダイアタッチフィルムマウンターに対し、半導体加工用接着フィルム積層体側が吸着ステージ側に向くようにして設置した。それから、半導体ウェハの研削面に対し、ダイシングフレームとともにアデカ製ダイシングテープAD80Hを室温にて貼り付けた。
その後、半導体ウェハに貼り付けられた半導体加工用接着フィルム積層体の基材に、日東電工製バックグラインドテープはく離テープを貼り付けて端部から180℃ピール引き剥がしを行い、半導体加工用接着フィルム積層体における粘着剤層と接着剤層との間で剥離させて、基材及び粘着剤層を除去した。
<ダイシング>
上記のようにしてダイシングフレームに固定された接着剤層付き半導体ウェハを、株式会社ディスコ製フルオートマチックダイシングソーDFD6361を用いて10mm×10mmにダイシングし、更に洗浄し、水分を飛ばした後、ダイシングテープ側からUV照射を行った。その後、ダイシングにより個片化された接着剤層付き半導体チップをピックアップした。
<半導体チップと回路基板との接続>
上記で得た接着剤層付き半導体チップを、銅+ニッケル+金の端子(回路基板における端子、高さts:12μm)上にSnAgCuを構成成分とするはんだが12μmの高さで形成された回路を有する回路基板(ガラエポ基板)とを、松下電気産業製フリップチップボンダFCB3を用いて、半導体チップにおける金めっきバンプと回路基板における端子とが向き合うように位置合わせした後、250℃、10秒、0.5MPaで熱圧着することにより、半導体回路基板を得た。熱圧着では、半導体回路基板における半導体チップと回路基板との端子を除く部分間の距離t1が、いずれも表1〜4に示す値となるようにした。
[特性評価]
上述した実施例1〜14及び比較例1〜2で行った半導体回路基板の製造及びこれにより得られた半導体回路基板について、以下のようにして各種の特性評価を行った。得られた結果を、上述した半導体回路基板の製造におけるt、t、tc、tsやこれらにより得られる値とともに、表1〜4に示す。
(回路部材接続用接着剤による充填の確認及び接続抵抗値の測定)
まず、半導体回路基板について、半導体チップと回路基板との間の回路部材接続用接着剤(接着剤層)の充填状態について、日立建機製超音波探傷装置(SAT)を用いて確認した。表中、連続したボイドが観察されなかった場合が○、樹脂の発泡に起因するボイドはないが、チップを搭載する際の空気の巻き込みに由来するボイドが部分的に観察される場合が△、連続したボイドが確認された場合が×と示した。
また、半導体回路基板について、アドバンテスト社製デジタルマルチメータを用いて、半導体チップの有する金めっきバンプと、回路基板の有する端子との接続抵抗値を測定し、これらの間の導通(以下、「圧着後の導通」という。)の有無について評価した。表1において、導通の評価は、金めっきバンプと端子との全ての接続箇所(本実施例では176箇所とした。)のうち、全ての箇所で導通が得られた場合を○とし、一部で導通が得られなかった場合を△とし、全ての箇所で導通が得られなかった場合を×とした。
その後、半導体回路基板について、85℃60%RHの高温高湿機に168時間放置して吸湿させ、続いて260℃に設定したリフロー炉に3回暴露した。この半導体回路基板について、上記と同様にSATでの観察を行い、接着剤層と半導体チップ又は回路基板との間に剥離が生じているか否かについて確認した。表中、この「リフロー後の剥離」が生じていなかった場合を○、剥離が生じていた場合を×と示した。また、この半導体回路基板について、上記と同様に金めっきバンプと端子との間の導通(以下、「リフロー後の導通」という。)の有無について評価した。
さらに、上記の曝露を行った後の半導体回路基板を、−55℃で30分、及び125℃で30分間の処理を1サイクルとする温度サイクル試験に投入し、半導体チップと回路基板との間の導通が得られなくなるまでのサイクル回数を評価した。なお、1000サイクルを超えても導通が得られた場合は、表中、1000サイクル以上と示し、それ以上の試験は行わなかった。
(円盤フロー測定)
接着剤層の厚みが25μmとなるようにしたこと以外は、それぞれ対応する調製例又は比較調製例と同様の条件で、各実施例及び比較例で用いたPETフィルム上に回路部材接続用接着剤からなる接着剤層を備える積層体を形成した。得られた積層体を5mm×5mmの大きさに切り抜いた後、これを接着剤層側が接するように厚さ0.5mm、大きさ15mm×15mmにカットした#1737ガラスに転写し、次いでPETフィルムをはく離して、接着剤層のみをガラスチップ上に残した。
ガラスチップ上の接着剤層に12mm×12mmに切断した550μm厚のシリコンチップ(表面ミラー処理)を重ねて、接着剤層がガラスとシリコンチップに挟まれた状態とした。この状態での接着剤層の面積(初期面積)を、画像処理装置によって読み取った。続いて、20秒後に180℃に到達する条件とするとともに、加熱ツール設定温度を197℃とした熱圧着機を使用し、シリコンチップ側から20秒間の加熱、加圧を行い、接着剤層を流動、硬化させた。この流動、硬化後の接着剤層の面積(流動、硬化後面積)を、上記と同様に読み取った。そして、流動、硬化後面積を、初期面積と比較することにより、接着剤層を構成する回路部材接続用接着剤のフロー量を算出した。
Figure 0005375351
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表1〜4に示されるように、式(1);t≦(tc+ts)及び式(2);(tc+ts)≦tで示される条件を満たすように半導体回路部材の製造を行った実施例1〜14では、硬化後の接着剤層にボイドが生じることはなく、リフロー後に接着剤層において剥離が生じることも無かった。また、実施例1〜14では、圧着後及びリフロー後の導通が良好に得られた。これに対し、式(1)又は式(2)の条件を満たさなかった比較例1〜2では、圧着後及びリフロー後の導通が得られないか、接着剤層にボイドの発生が見られたり、リフロー後に剥離が生じたりする不都合が生じた。





Claims (4)

  1. 第1基板上に第1端子が設けられた第1の電子部材と、第2基板上に第2端子が設けられた第2の電子部材とを、前記第1端子と前記第2端子とが向き合うように対向させ、高分子量成分、熱硬化性樹脂及び該熱硬化性樹脂の硬化剤を含む接着剤組成物を含有する回路部材接続用接着剤を介して接着して半導体回路部材を得る、半導体回路部材の製造方法であって、
    前記回路部材接続用接着剤は、フィラー、架橋構造を有する高分子量微粒子、及び、はんだよりも低い融点を有し室温で固体である粉状化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の成分を更に含むものであり、
    前記回路部材接続用接着剤は、円盤フローで測定した際の圧着温度での流動性が、1.1〜2.5であるものであり、
    前記流動性は、前記回路部材接続用接着剤を用い形成した厚み25μm、大きさ5mm×5mmの接着剤層が、厚さ0.5mm、大きさ15mm×15mmのガラスチップと、厚さ550μm、大きさ12mm×12mmのシリコンチップとの間に挟み込まれた状態で画像処理装置により読み取った接着剤層の初期面積をaとし、20秒後に180℃に到達する条件で前記シリコンチップ側から20秒間の加熱、加圧を行い、前記接着剤層を流動、硬化させた後に前記画像処理装置により読み取った接着剤層の面積をbとした時、b/aとして計算される値であり、
    前記第1端子の高さをtc、前記第2端子の高さをts、前記半導体回路部材における前記第1基板と前記第2基板との間の距離をt、接着前の前記回路部材接続用接着剤の厚さをtとしたとき、式(1);t≦(tc+ts)及び式(2);(tc+ts)≦tで示される条件を満たすようにする、ことを特徴とする半導体回路部材の製造方法。
  2. について、(tc+ts)≦t≦(tc+ts)×1.5で表される関係を満たすようにする、ことを特徴とする請求項1記載の半導体回路部材の製造方法。
  3. 前記回路部材接続用接着剤は、前記フィラー及び前記粉状化合物を含有する、ことを特徴とする請求項1又は2記載の半導体回路部材の製造方法。
  4. 前記回路部材接続用接着剤は、硬化後の40〜100℃の線膨張係数が60×10−6/℃以下であるものである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の半導体回路部材の製造方法。
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