JP5375003B2 - 電気化学デバイス - Google Patents

電気化学デバイス Download PDF

Info

Publication number
JP5375003B2
JP5375003B2 JP2008249953A JP2008249953A JP5375003B2 JP 5375003 B2 JP5375003 B2 JP 5375003B2 JP 2008249953 A JP2008249953 A JP 2008249953A JP 2008249953 A JP2008249953 A JP 2008249953A JP 5375003 B2 JP5375003 B2 JP 5375003B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
active material
electrolyte
electrochemical device
battery
layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2008249953A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010080376A (ja
Inventor
森 長山
佳子 塚田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Motor Co Ltd filed Critical Nissan Motor Co Ltd
Priority to JP2008249953A priority Critical patent/JP5375003B2/ja
Publication of JP2010080376A publication Critical patent/JP2010080376A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5375003B2 publication Critical patent/JP5375003B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/13Energy storage using capacitors
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P70/00Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
    • Y02P70/50Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product

Landscapes

  • Electric Double-Layer Capacitors Or The Like (AREA)
  • Secondary Cells (AREA)
  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)

Description

本発明は、電気化学デバイスに関する。特に本発明は、電気化学デバイスの信頼性を向上させるための改良に関する。
近年、大気汚染や地球温暖化に対処するため、二酸化炭素量の低減が切に望まれている。自動車業界では、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)の導入による二酸化炭素排出量の低減に期待が集まっており、これらの実用化の鍵を握るモータ駆動用二次電池の開発が盛んに行われている。
モータ駆動用二次電池としては、全ての電池の中で最も高い理論エネルギを有するリチウムイオン二次電池が注目を集めており、現在急速に開発が進められている。リチウムイオン二次電池は、一般に、バインダを用いて正極活物質等を正極集電体の両面に塗布した正極と、バインダを用いて負極活物質等を負極集電体の両面に塗布した負極とが、電解質(リチウム塩)を保持したセパレータからなる電解質層を介して接続され、電池ケースに収納される構成を有している。
ところで、リチウムイオン二次電池に関するものではないが、ナノサイズのウィスカーをレドックスキャパシタの電極材料として用いる技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。ここで、JIS H 0400によれば、「ウィスカー」とは「単結晶の微小金属繊維成長物」と定義されている。同様の発想から、ウィスカー状の材料をリチウムイオン二次電池の活物質として用いることが考えられる。しかしながら、何らの手当てもせずただ単にウィスカー状の活物質を用いて電池を構成すると、かような活物質の形状に起因して、以下のような問題が生じる。すなわち、リチウムイオン二次電池のセパレータは、1枚の樹脂製微多孔質フィルムからなるのが一般的である。かようなセパレータの有する細孔の平均孔径は通常、例えば特許文献2に開示されているように0.1〜15μm程度である。この程度の孔径の細孔を有する微多孔質フィルムからなるセパレータに、上述したウィスカー状の活物質を組み合わせて用いると、セパレータの細孔にウィスカーが入り込み、セパレータを貫通して正負極間で短絡が発生する虞があるのである。
また、特許文献3には、短絡の発生を防止することを目的として、針状活物質を予めポリマー中に埋め込んでおく技術が開示されている。しかしながら、かような手段によっては、仮に短絡の発生が抑制されたとしても、電池のサイクル耐久性が低下してしまうという問題があった。
特開2005−252217号公報 特開2005−268096号公報 特開平8−505227号公報
そこで本発明は、ウィスカーのような針状の活物質粒子が電極に存在するリチウムイオン二次電池などの電気化学デバイスにおいて、電池のサイクル耐久性の低下を最小限に抑制しつつ、短絡の発生を抑制しうる手段を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行なった。その過程で、リチウムイオン二次電池などの電気化学デバイスの電極において、活物質として用いる針状活物質粒子(ウィスカーなど)を集電体の表面に接合することを試みた。そしてその上で、当該粒子を含む活物質層に固体電解質を充填することで、上記課題が解決されうることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の電気化学デバイスは、正極と、電解質層と、負極と、がこの順に積層されてなる積層体を有する。そして、当該正極または当該負極の少なくとも一方が、集電体と、前記集電体の表面に接合された針状活物質粒子を含む活物質層とを有する。さらに、当該活物質層には、固体電解質が充填されている点に特徴を有する。
本発明によれば、リチウムイオン二次電池などの電気化学デバイスにおいて、固体電解質が針状活物質粒子の突出を防止することで、ウィスカーのような針状の活物質粒子が電極に存在する場合であっても、短絡の発生が抑制されうる。また、集電体と活物質粒子との接触も確保され、サイクル耐久性の低下も抑えられる。
以下、本発明の実施の形態を説明するが、本発明の技術的範囲は特許請求の範囲の記載に基づいて定められるべきであり、下記の形態のみに制限されることはない。
以下、図面を参照しながら、非水電解質リチウムイオン二次電池を例に挙げて、本発明を詳細に説明する。なお、本明細書においては、説明の都合上、図面が誇張されて記載されている。従って、本発明の技術的範囲は、図面に掲示する形態のみに限定されず、図面以外の実施形態も採用されうる。
図1は、本発明の一実施形態であるリチウムイオン二次電池の全体構造を模式的に表した断面概略図である。
図1に示す本実施形態のリチウムイオン二次電池10は、実際に充放電反応が進行する略矩形の電池要素21が、外装であるラミネートシート29の内部に封止された構造を有する。
図1に示すように、本実施形態のリチウムイオン二次電池10の電池要素21は、複数の単電池層19を含む。単電池層19は、電解質層17と、電解質層17の一方の面に形成された正極活物質層13と、電解質層17の他方の面に形成された負極活物質層15と、から構成される。そして、各正極活物質層13間には正極集電体33が配置され、各負極活物質層15間には負極集電体35が配置される。すなわち、電池要素21は、複数の単電池層19および複数の各集電体(正極集電体33および負極集電体35)から構成される。
さらに、正極集電体33および負極集電体35は、それぞれ正極タブ25および負極タブ27に電気的に接続される。そして電池要素21は、これらの正極タブ25および負極タブ27が外部に導出するように、外装であるラミネートシート29により封止されている。
なお、図1に示すリチウムイオン二次電池10においては、負極活物質層15が正極活物質層13よりも一回り小さいが、かような形態のみには制限されない。正極活物質層13と同じかまたは一回り大きい負極活物質層15もまた、用いられうる。
以下、本実施形態のリチウムイオン二次電池10を構成する部材について簡単に説明するが、下記の形態のみに制限されることはなく、従来公知の形態が同様に採用されうる。
[集電体]
集電体(33、35)は導電性の材料から構成される。この集電体(33、35)は、通常のリチウムイオン二次電池におけるのと同様の集電機能のほか、後述する活物質層に含まれる針状活物質粒子が接合される金属基体としても機能する。
集電体(33、35)を構成する材料に特に制限はない。例えば、ケイ素(Si)、マンガン(Mn)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、インジウム(In)、銀(Ag)、ガリウム(Ga)、錫(Sn)、銅(Cu)、スカンジウム(Sc)またはゲルマニウム(Ge)、亜鉛(Zn)、およびこれらの任意の組み合わせに係るものが挙げられる。これらは蒸気圧の高い金属であり、これらの金属を蒸発させて金属基体の表面に析出させることで、後述する活物質層に含まれる針状活物質粒子(以下、「ウィスカー」とも称する)が形成されうる。また、後述するように、析出時の雰囲気に酸素が存在すると、酸化物ウィスカーが形成されうる。
さらに、自らウィスカーを形成可能な上述の材料を含まない金属基体が用いられてもよい。かような材料としては、例えば、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)などが挙げられる。
また、集電体の大きさは、電池の使用用途に応じて決定される。例えば、高エネルギ密度が要求される大型の電池に用いられるのであれば、面積の大きな集電体が用いられる。
集電体(33、35)の厚さについても特に制限はない。集電体の厚さは、通常は1〜100μm程度である。
なお、図1に示すように、複数の単電池層が積層されてなる発電要素を有する電池において最外層に位置する電極は電池反応に関与しないため、最外層に位置する集電体においては、発電要素の内側のみに活物質層が存在すればよい。
[活物質層]
本実施形態においては、活物質層が針状の活物質粒子を含む点が特徴の1つである。本明細書において、「針状活物質粒子」とは、活物質粒子の粒子長径(a)の粒子短径(b)に対するアスペクト比(c=a/b)が5以上の活物質粒子を意味する。なお、針状の活物質粒子は、ナノワイヤやナノロッドなどとも称される。かような活物質粒子は比表面積が大きい。従って、かような活物質を採用することで、電池の出力特性が向上しうるという利点がある。一方、アスペクト比が大きくなりすぎると、活物質層に含まれる活物質粒子の数の減少に伴って、セパレータを貫通する可能性のある粒子の先端の数も同様に減少する。かような観点のもと、本発明の作用効果をより一層発揮させうるには、上述したアスペクト比(c)は好ましくは10〜100000であり、より好ましくは20〜10000である。ただし、これらの範囲を外れても勿論よい。
正極活物質層13に含まれる針状活物質粒子の構成材料は特に制限されず、リチウムイオン二次電池の正極活物質として従来公知の材料が同様に用いられうる。正極活物質としては、例えば、LiMnやLiNiO等のリチウム−遷移金属複合酸化物、リチウム−遷移金属リン酸化合物、リチウム−遷移金属硫酸化合物などが挙げられる。かような材料を用いることで、電池のエネルギ密度が向上し、出力特性と容量特性とのバランスに優れる電池が提供されうる。場合によっては、2種以上の正極活物質が併用されてもよい。なお、上記以外の正極活物質が用いられてもよいことは勿論である(下記を参照)。
負極活物質層15に含まれる針状活物質粒子の構成材料についても特に制限はなく、リチウムイオン二次電池の負極活物質として従来公知の材料が同様に用いられうる。負極活物質としては、例えば、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化タングステン、酸化バナジウム等の金属酸化物、グラファイト、ソフトカーボン、ハードカーボン等の炭素材料、上述したようなリチウム−遷移金属化合物、金属材料、リチウム−金属合金材料などが挙げられる。場合によっては、2種以上の負極活物質が併用されてもよい。なお、上記以外の負極活物質が用いられてもよいことは勿論である(下記を参照)。
本実施形態において、活物質層に含まれる針状活物質粒子(以下、単に「ウィスカー」とも称する)は、集電体としての金属基体の表面に形成・接合されてなる形態を有する。
ウィスカーは、上述した集電体としての金属基体を構成する金属成分を蒸発させて金属基体の表面に析出させることにより、形成されうる。また、析出時の雰囲気に酸素が存在すると、酸化物ウィスカーが形成されうる。
ここで、上述した金属基体の表面に形成されるウィスカーの形態としては、幹部の先端に球状頭部を有する構成や、幹部のみの構成が挙げられる。ただし、これらの他にも枝分かれ状、モール状、毛玉状などの構成であってもよい。また、ウィスカーが形成されることによって金属基体の集電体としての機能や他の製作工程が阻害されなければ、基本的に集電体としての金属基体の表面の任意の部位にウィスカーが形成されうる。
ウィスカーの構成材料としては、例えば、上述した金属基体に含まれる金属元素またはその酸化物を主成分とする材料が例示される。かような形態によれば、ウィスカーが金属基体から連続的に形成されることとなる。また、ウィスカー形成成分が金属基材の表面部の構成材料と同じであるため、金属基体とウィスカーとの密着強度が高められ、耐久性も向上しうる。なお、本明細書において「主成分」とは、50〜100質量%程度含まれることを意味する。
一方、金属基体の表面に、上述したウィスカーの主成分である元素を含むウィスカー形成層(例えば、スズめっき層)が配設されてもよい。かような形態によれば、金属基体にウィスカー形成成分が含まれない場合であってもウィスカーの形成が可能となる。さらに上記と同様に、ウィスカー形成成分が金属基材の表面部の構成材料と同じとなるため、金属基体とウィスカーとの密着強度が高められ、耐久性も向上しうる。なお、針状活物質粒子としてのウィスカーが集電体としての金属基体から連続的に形成されている限りにおいて、間にウィスカー形成層が配設される本形態もまた、本発明の技術的範囲に包含されうる。
ここで、ウィスカーの主成分である元素としては、例えば、スズ、亜鉛、インジウム、タングステン、バナジウム、シリコン、マンガン、アルミニウム、クロム、銀、ガリウム、銅、スカンジウムまたはゲルマニウム、およびこれらの任意の組み合わせに係るものが挙げられる。
針状活物質粒子としてのウィスカーのサイズについて特に制限はない。ただし、上述したウィスカーの長さ(粒子長径(a)に相当)は、好ましくは0.1〜1000μmであり、より好ましくは1〜500μmであり、さらに好ましくは5〜200μmである。また、当該針状活物質粒子の粒子短径(b)は、好ましくは10nm〜10μmであり、より好ましくは20nm〜2μmであり、さらに好ましくは30〜500nmである。なお、本明細書において、針状活物質粒子(ウィスカー)のサイズは、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)などの観察手段を用い、数〜数十視野中に観察される活物質粒子における測定値の平均値として算出される値を採用するものとする。
このように、金属基体の表面にウィスカーを形成させる手法について特に制限はなく、従来公知の知見が適宜参照されうる。例えば、金属基体またはその前駆体を減圧下または不活性ガス雰囲気中で加熱処理することにより、金属基体の表面にウィスカーが形成されうる。この際、微量酸素の存在中で加熱処理を施すと、上述した元素の酸化物からなるウィスカーが形成される。なお、「金属基体またはその前駆体」と記載したのは、金属基体が加熱処理によって組成変化する場合を考慮したものである。ここで、「微量酸素」とは、ウィスカー原料となる元素やその含有率によって異なるが、通常は1〜1000体積ppmの酸素量である。また、加熱処理は、通常700〜1100℃の範囲で行われうる。
また、金属基体の表面にウィスカーを形成する際、好ましくは、金属基体またはその前駆体の表面に、酸化物ウィスカーの主成分である元素を含むウィスカー形成層を配設し、このウィスカー形成層の表面に酸化物ウィスカーを形成するとよい(後述する実施例を参照)。かような形態によれば、金属基体がウィスカー形成材料を含まない場合であっても、ウィスカー形成層を金属基体の表面に配設することで、金属基体の任意の部位にウィスカーが形成されうる。
好ましい形態においては、上述した金属元素の酸化物(例えば、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化タングステン、酸化バナジウムなど)からなるウィスカーが、同様に上述した金属基体の表面に形成されて、負極に用いられる。特に、酸化スズが好ましく用いられうる。かような金属酸化物は活物質としての容量が大きい。このため、これらの材料を負極活物質として用いると、電池のエネルギ密度が向上しうる。なお、この際、ウィスカーが針状負極活物質粒子に相当し、金属基体が負極集電体に相当することとなる。
本実施形態のリチウムイオン二次電池10において、活物質層(13、15)には、固体電解質が充填されている。
固体電解質は、リチウムイオンを伝導可能な、固体成分を含む電解質であればよく、特に制限はない。固体電解質の一例としては、高分子電解質や、各種セラミック(例えば、リチウム含有硫化物ガラス、LISICON(Li14Zn(GeO)、Thio−LISICON等)などが挙げられる。
なかでも、高分子電解質は、電解液を含む高分子ゲル電解質と、電解液を含まない高分子固体電解質に分類される。高分子電解質は、イオン伝導性が高く、形成が容易であるという点で、好ましく用いられうる。
高分子ゲル電解質は、リチウムイオン伝導性を有するマトリックスポリマーに、液体電解質が注入されてなる構成を有する。かような構成を有することで、高分子ゲル電解質は通常の液体電解質と同等のイオン伝導性を達成でき、電池の出力特性を向上させうるため、好ましい。
リチウムイオン伝導性を有するマトリックスポリマーとしては、例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、およびこれらの共重合体などが挙げられる。かようなマトリックスポリマーには、リチウム塩などの電解質塩がよく溶解しうる。ここで、ゲル電解質に含まれる液体電解質は、可塑剤である有機溶媒に支持塩であるリチウム塩が溶解した形態を有する。可塑剤として用いられる有機溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)やプロピレンカーボネート(PC)などのカーボネート類が挙げられる。また、支持塩(リチウム塩)としては、LiN(SO、LiN(SOCF、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiSOCFなどが挙げられる。なお、高分子ゲル電解質が活物質層に充填される場合、当該高分子ゲル電解質は、その全量100質量%を基準として、マトリックスポリマーを好ましくは3〜20質量%、より好ましくは4〜15質量%、さらに好ましくは5〜10質量%含む。かような形態とすることで、電池の出力を高い値に維持しつつ、短絡の発生が防止されうる。
一方、高分子固体電解質は、上記のマトリックスポリマーに支持塩(リチウム塩)が溶解してなる構成を有し、可塑剤である有機溶媒を含まない。したがって、固体電解質として高分子固体電解質が採用される場合には、電池からの液漏れの心配がなく、電池の信頼性が向上しうる。
高分子ゲル電解質や高分子固体電解質のマトリックスポリマーは、架橋構造を形成することによって、優れた機械的強度を発揮しうる。架橋構造を形成させるには、適当な重合開始剤を用いて、高分子電解質形成用の重合性ポリマー(例えば、PEOやPPO)に対して熱重合、紫外線重合、放射線重合、電子線重合などの重合処理を施せばよい。
本実施形態のリチウムイオン二次電池を製造するに際しては、まず、上述したように表面にウィスカーが形成された金属基体を準備する。一方で、固体電解質を含む電解質層形成用組成物を調製する。高分子固体電解質を活物質層に充填したい場合には、マトリックスポリマーおよび必要に応じて重合開始剤や揮発性の溶媒を混合することにより、電解質層形成用組成物を調製すればよい。また、高分子ゲル電解質を活物質層に充填したい場合には、これに加えてさらに上述した液体電解質を含む電解質層形成用組成物を調整すればよい。そして、調製した電解質層形成用組成物を金属基体のウィスカーが形成された側に塗布し、必要に応じて重合処理(熱処理や光照射処理など)を施すことにより、高分子固体電解質または高分子ゲル電解質が充填されてなる活物質層が形成されうる。
活物質層は、必要に応じてさらに添加剤を含んでもよい。活物質層に含まれうる添加剤としては、例えば、バインダ、導電助剤などが挙げられる。バインダとしては、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、合成ゴム系バインダ等が挙げられる。導電助剤とは、活物質層の導電性を向上させるために配合される添加物をいう。導電助剤としては、アセチレンブラック等のカーボンブラック、グラファイト、気相成長炭素繊維などの炭素材料が挙げられる。活物質層が導電助剤を含むと、活物質層の内部における電子ネットワークが効果的に形成され、電池の出力特性の向上に寄与しうる。ただし、本発明においては、活物質層が針状活物質粒子(ウィスカー)を含む場合には、ウィスカーの有する針状の形状によって、活物質層の導電性は比較的確保される。したがって、本発明は、活物質層へ導電助剤を添加しなくとも導電性を確保しうるという利点も有する。
活物質層中に含まれる成分の配合比は、特に限定されない。配合比は、リチウムイオン二次電池についての公知の知見を適宜参照することにより、調整されうる。
各活物質層(13、15)の厚さについても特に制限はなく、リチウムイオン二次電池についての従来公知の知見が適宜参照されうる。一例を挙げると、各活物質層(13、15)の厚さは、2〜100μm程度である。
[電解質層]
電解質層17は、正極活物質層13と負極活物質層15との短絡を防止するための隔壁として機能する。従来、針状活物質粒子(ウィスカー)を活物質として用いる電池においては、電解質層を構成するセパレータをウィスカーが貫通することで、単電池層における短絡が発生し、電池電圧が低下するといった問題が生じていた。これに対し、本発明によれば、活物質層に固体電解質が充填されていることで、活物質層からのウィスカーの突出が抑制され、従来問題となっていた単電池層における短絡が抑制されうる。
本実施形態のリチウムイオン二次電池において、電解質層17は、電解質を含む。電解質層17は、上述した固体電解質(高分子ゲル電解質や高分子固体電解質)から構成されてもよいし、固体電解質以外の電解質(すなわち、液体電解質)から構成されてもよい。電解質層17が固体電解質を含むと、ハンドリングが容易となり、電池からの液漏れの虞が低減しうるという利点がある。この利点は、電解質層17が高分子固体電解質から構成される場合に特に顕著である。一方、他の観点からは、電解質層17が液体電解質を含む(すなわち、電解質層が高分子ゲル電解質または液体電解質から構成される)と、電解質層におけるリチウムイオン伝導性が向上しうる。その結果、電池の出力特性が向上しうるため、好ましい。
なお、電解質層17が液体電解質を含む場合には、電解質層17の基体としてセパレータが用いられうる。セパレータとしては、従来公知のセパレータがそのまま用いられうる。ただし、上述したウィスカーによる短絡を防止するための工夫が施されたセパレータが用いられても、勿論よい。
セパレータの材質について特に制限はなく、従来公知の知見が適宜参照されうる。好ましい形態としては、セパレータを樹脂から構成する形態が挙げられる。かような形態によれば、樹脂の柔軟性に起因して、セパレータのハンドリング性に優れる。セパレータを構成しうる樹脂としては、例えば、オレフィン系のポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素系のポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、セルロースなどが挙げられる。ただし、これら以外の材料が用いられても勿論よい。
セパレータの厚さについても特に制限はない。一例を挙げると、セパレータの厚さは、5〜100μm程度である。
[タブ]
リチウムイオン二次電池10においては、電池外部に電流を取り出す目的で、集電体(33、35)に電気的に接続されたタブ(正極タブ25および負極タブ27)が外装であるラミネートシート29の外部に取り出される。具体的には、正極集電体33に電気的に接続された正極タブ25と、負極集電体35に電気的に接続された負極タブ27とが、外装の外部に取り出される。
タブ(正極タブ25および負極タブ27)を構成する材料は特に制限されず、リチウムイオン二次電池用のタブとして従来用いられている公知の材料が用いられうる。タブの構成材料としては、例えば、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、ステンレス鋼(SUS)、これらの合金等が例示される。なお、正極タブ25と負極タブ27とでは、同一の材質が用いられてもよいし、異なる材質が用いられてもよい。また、本実施形態のように、別途準備したタブ(25、27)を集電体(33、35)に接続してもよいし、集電体を延長することによりタブとしてもよい。
[正極および負極端子リード]
必要に応じて、正極端子リードおよび負極端子リードを用いてもよい。例えば、各集電体から出力電極端子となる正極タブおよび負極タブを直接取り出す場合には、正極端子リードおよび負極端子リードは用いなくてもよい。
正極端子リードおよび負極端子リードとしては、従来公知のリチウムイオン電池で用いられる端子リードが用いられうる。なお、ラミネートシート29から取り出された部分は、周辺機器や配線などに接触して漏電したりして製品(例えば、自動車部品、特に電子機器など)に影響を与えないように、耐熱絶縁性の熱収縮チューブなどにより被覆することが好ましい。
[外装]
リチウムイオン二次電池10においては、使用時の外部からの衝撃や環境劣化を防止するために、電池要素21は、ラミネートシート29などの外装内に収容されることが好ましい。外装としては特に制限されず、従来公知の外装が用いられうる。自動車の熱源から効率よく熱を伝え、電池内部を迅速に電池動作温度まで加熱しうる点で、好ましくは、熱伝導性に優れた高分子−金属複合ラミネートシート等が用いられうる。
なお、上述した本発明の実施形態のリチウムイオン二次電池10の製造方法については特に制限はなく、電池の製造分野において従来公知の知見を参照して、製造されうる。
また、本発明の電気化学デバイスがリチウムイオン二次電池である場合に、当該電池は双極型電池であってもよい。
図2に本発明の一実施形態である双極型電池の全体構造を模式的に表した断面概略図を示すが、本発明の技術的範囲はかような形態のみに制限されない。
図2に示すように、本実施形態の双極型電池10’の電池要素21は、集電体11の一方の面に正極活物質層13が形成され他方の面に負極活物質層15が形成された複数の双極型電極を有する。各双極型電極は、電解質層17を介して積層されて電池要素21を形成する。この際、一の双極型電極の正極活物質層13と前記一の双極型電極に隣接する他の双極型電極の負極活物質層15とが電解質層17を介して向き合うように、各双極型電極および電解質層17が積層されている。
隣接する正極活物質層13、電解質層17、および負極活物質層15は、一つの単電池層19を構成する。従って、双極型電池10’は、単電池層19が面を介して電気的に直列に接続されてなる構成を有するともいえる。よって、図1に示す形態の並列接続型の電池と比較して、高出力が得られうる。なお、電池要素21の最外層に位置する集電体(最外層集電体)(11a、11b)には、片面のみに、正極活物質層13(正極側最外層集電体11a)または負極活物質層15(負極側最外層集電体11b)のいずれか一方が形成されている。
さらに、図2に示す双極型電池10’では、正極側最外層集電体11aが延長されて正極タブ25とされ、外装であるラミネートシート29から導出している。一方、負極側最外層集電体11bが延長されて負極タブ27とされ、同様にラミネートシート29から導出している。
[絶縁層]
双極型電池10’においては、通常、各単電池層19の周囲に絶縁層31が設けられる。この絶縁層31は、電池内で隣り合う集電体11同士が接触したり、電池要素21における単電池層19の端部の僅かな不揃いなどに起因する短絡が起こったりするのを防止する目的で設けられる。かような絶縁層31の設置により、長期間の信頼性および安全性が確保され、高品質の双極型電池10’が提供されうる。
絶縁層31を構成する材料としては、絶縁性、固体電解質の脱落に対するシール性や外部からの水分の透湿に対するシール性(密封性)、電池動作温度下での耐熱性などを有するものであればよく、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリイミド樹脂、ゴムなどが用いられうる。なかでも、耐蝕性、耐薬品性、作り易さ(製膜性)、経済性などの観点から、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂が、絶縁層31の構成材料として好ましく用いられる。
(蓄電モジュール;組電池)
上述したリチウムイオン二次電池(10、10’)は、複数電気的に接続されて、蓄電モジュールである組電池とされてもよい。
図3は、本発明の一実施形態である組電池を示す斜視図である。
図3に示すように、組電池40は、上記のリチウムイオン二次電池(10、10’)が複数個接続されることにより構成される。各リチウムイオン二次電池の正極タブおよび負極タブがバスバーを用いて接続されることにより、各リチウムイオン二次電池が接続されている。組電池40の一の側面には、組電池40全体の電極として、電極ターミナル(42、43)が設けられている。
組電池を構成する複数個のリチウムイオン二次電池を接続する際の接続方法は特に制限されず、従来公知の手法が適宜採用されうる。例えば、超音波溶接、スポット溶接などの溶接を用いる手法や、リベット、カシメなどを用いて固定する手法が採用されうる。かような接続方法によれば、組電池の長期信頼性が向上しうる。
本発明の組電池によれば、上記のリチウムイオン二次電池を用いて組電池化することで、長期信頼性に優れる組電池が提供されうる。
なお、組電池を構成する電池の接続は、複数個全て並列に接続してもよく、また、複数個全て直列に接続してもよく、さらに、直列接続と並列接続とを組み合わせてもよい。
[車両]
上述した電池や組電池(蓄電モジュール)は、車両に搭載されうる。車両に搭載された電池は、例えば、車両のモータを駆動する電源として用いられうる。
電池または組電池をモータ用電源として用いる車両としては、例えば、ガソリンを用いない完全電気自動車、シリーズハイブリッド自動車やパラレルハイブリッド自動車などのハイブリッド自動車、および燃料電池自動車などの、車輪をモータによって駆動する自動車が挙げられる。場合によっては、二輪車、列車などの他の輸送機器用の電源として採用されてもよい。
参考までに、図4に、組電池40を搭載する自動車50の概略図を示す。自動車50に搭載される組電池40は、上記で説明したような特性を有する。このため、自動車50に組電池40を搭載することで、自動車50の長期信頼性が向上しうる。
以上、リチウムイオン二次電池を例に挙げて、本発明の電気化学デバイスを詳細に説明したが、本発明は他の電気化学デバイスにも適用可能である。例えば、電気二重層キャパシタやレドックスキャパシタなどのキャパシタにも適用可能である。また、上述した針状活物質粒子の表面に白金等の触媒成分を担持し、これを固体電解質が充填されてなる導電性の触媒層として用いることで、本発明は燃料電池にも適用可能である。かような燃料電池においては、出力特性が向上し、短絡の危険性が低減されうる。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例に示す形態のみに制限されるわけではない。
<実施例1>
以下の手法により、集電体としての金属基体の表面に針状活物質粒子であるウィスカーが形成されてなる電極を作製した。
まず、正極活物質であるマンガン酸リチウム(LiMn)(粒子径:1μm、85質量%)、導電助剤であるアセチレンブラック(10質量%)およびバインダであるポリフッ化ビニリデン(PVdF)(5質量%)を混合し、次いでスラリー粘度調整溶媒であるN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を適量添加して、正極活物質スラリーを調製した。
また、正極用の集電体として、アルミニウム箔(厚さ:20μm)を準備した。準備した集電体の一方の表面に、上記で調製した正極活物質スラリーをドクターブレード法により塗布し、塗膜を形成させた。次いでこの塗膜を乾燥させて、正極活物質層(厚さ:30μm)を形成した。その後、得られた積層体をφ15mmで打ち抜き、正極前駆体とした。
一方、集電体としての金属基体として、ニッケル基板(厚さ:100μm)を準備した。次いで、このニッケル基板の一方の表面にスズめっき処理を施し、スズめっき層(厚さ:20μm)を形成した。その後、このスズめっきニッケル基板を、100%アルゴン雰囲気下で800℃まで昇温し、昇温後100体積ppmの酸素雰囲気下で1時間維持して、基板上にスズ酸化物の針状結晶(ウィスカー)を成長させた。得られたウィスカーを走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察した写真(倍率:1000倍)を図5に示す。このようにして得られたウィスカー形成基板をφ16mmで打ち抜き、負極前駆体とした。なお、基板上に形成されたウィスカーのアスペクト比は約2000であった。
次いで、電解液として、エチレンカーボネート(EC)とプロピレンカーボネート(PC)との等体積混合液にリチウム塩であるLiBFを1mol/Lの濃度に溶解させた溶液を調製した。そして、この電解液(97質量%)に、イオン伝導性ポリマーであるポリエチレンオキシドマクロモノマー(3質量%)、および熱重合開始剤であるアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)(0.05質量%)を添加し、混合して、電解質層形成用組成物を調製した。
そして、調製した電解質層形成用組成物を、上記で作製した正極前駆体および負極前駆体のそれぞれの活物質層の表面に塗布し、真空中で80℃にて1時間熱処理を施して、ポリエチレンオキシドマクロモノマーを架橋させて、高分子ゲル電解質を生成させた。これにより、正極および負極が完成した。
別途、セパレータとして、一軸延伸ポリプロピレン微多孔質膜(厚さ:24μm、空孔率:60%、屈曲度:1.7)を準備した。
上記で作製した正極、セパレータおよび負極を、正極活物質層および負極活物質層(ウィスカーが形成された側)が向き合うようにこの順に積層し、得られた積層体に上記で調製した電解液を注入して、電池要素を作製した。得られた電池要素を2032型コインセル中に封止して、本実施例の電池を完成させた。
<実施例2>
電解質層形成用組成物における配合量を、電解液(95質量%)、ポリエチレンオキシドマクロモノマー(5質量%)としたこと以外は、上述した実施例1と同様の手法により、電池を作製した。
<実施例3>
電解質層形成用組成物における配合量を、電解液(90質量%)、ポリエチレンオキシドマクロモノマー(10質量%)としたこと以外は、上述した実施例1と同様の手法により、電池を作製した。
<実施例4>
電解質層形成用組成物における配合量を、電解液(80質量%)、ポリエチレンオキシドマクロモノマー(20質量%)としたこと以外は、上述した実施例1と同様の手法により、電池を作製した。
<実施例5>
電解質層形成用組成物における配合量を、電解液(70質量%)、ポリエチレンオキシドマクロモノマー(30質量%)としたこと以外は、上述した実施例1と同様の手法により、電池を作製した。
<比較例1>
基板上に成長したスズ酸化物の針状結晶(ウィスカー)を、スパチュラを用いて一旦基板から剥離させた後に、電解質層形成用組成物の塗布以降の操作を行なったこと以外は、上述した実施例1と同様の手法により、電池を作製した。
<比較例2>
基板上に成長したスズ酸化物の針状結晶(ウィスカー)を、スパチュラを用いて一旦基板から剥離させた後に、電解質層形成用組成物の塗布以降の操作を行なったこと以外は、上述した実施例5と同様の手法により、電池を作製した。
<比較例3>
電解質層形成用組成物に代えて、上述した電解液を用いたこと以外は、上述した実施例1と同様の手法により、電池を作製した。
<評価>
上述した各実施例および比較例について、それぞれ10個ずつの電池を作製した。そして、それぞれの電池を4Vに保持した状態で1日間放置し、その際の電圧降下を測定した。その結果を下記の表1に示す。表1では、実施例/比較例ごとに、10個の電池の電圧降下の値が範囲を区切って分類されている。
また、上記で電圧降下を測定した後に、電池の抵抗値を測定した。その後さらに、20サイクルの充放電試験を行ない、試験前の電池容量に対する20サイクル後の電池容量の維持率(容量維持率)を算出した。これらの結果を下記の表2に示す。
表1に示すように、本発明に係る電気化学デバイスの1種であるリチウムイオン二次電池によれば、負極活物質としてウィスカー形状の針状活物質粒子を用いた場合であっても、電池電圧の低下(すなわち、出力特性の悪化)が抑制されうることが示される。本発明に係る電池では、針状活物質粒子を集電体としての基板に接合させ、かつ、活物質層に固体電解質を充填することで活物質層からの針状活物質粒子の突出を抑えている。こうすることでウィスカーによるセパレータの貫通が抑制され、単電池層の内部における微小短絡が防止され、その結果、電池電圧の低下が防止されたと考えられる。
一方、比較例1および2の電池では電池電圧の低下は本発明の電池と同程度であった。しかしながら、比較例3の電池では、著しい電池電圧の低下が観察された。これは、活物質層に固体電解質を含まないことに起因して、ウィスカーによるセパレータの貫通が防止できず、単電池層における内部短絡が発生してしまったためと考えられる。
また、表2に示す結果から、本発明に係る電気化学デバイスの1種であるリチウムイオン二次電池によれば、20サイクル終了時のサイクル耐久性が比較的高い値に維持されうることが示される。さらに、電池の抵抗値も比較的低い値に抑えられることも示される。
一方、比較例3の電池では容量維持率および電池の抵抗値ともに本発明に係る電池と同程度の結果が観察された。しかしながら、比較例1および2の電池では、容量維持率が極めて低いという結果が観察され、サイクル耐久性に劣ることが示された。これは、充放電による活物質の膨張収縮により、集電体と活物質の界面が剥離したことによるものと考えられる。
以上をまとめると、本発明の一実施形態によるリチウムイオン二次電池によれば、針状活物質を用いる場合であっても、サイクル耐久性の低下を最小限に抑制しつつ、短絡の発生を効果的に防止することが可能であることが示される。
本発明の一実施形態であるリチウムイオン二次電池の全体構造を模式的に表した断面概略図である。 本発明の一実施形態である双極型電池の全体構造を模式的に表した断面概略図である。 本発明の一実施形態である組電池を示す斜視図である。 図3に示す組電池を搭載する自動車の概略図である。 実施例1で得られたウィスカーを走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察した写真(倍率:1000倍)である。
符号の説明
10 リチウムイオン二次電池、
10’ 双極型リチウムイオン二次電池、
11 集電体、
11a、11b 最外層集電体、
13 正極活物質層、
15 負極活物質層、
17 電解質層、
19 単電池層、
21 電池要素、
25 正極タブ、
27 負極タブ、
29 ラミネートシート、
31 絶縁層、
33 正極集電体、
35 負極集電体、
40 組電池、
42、43 電極ターミナル、
50 自動車。

Claims (13)

  1. 正極と、電解質層と、負極と、がこの順に積層されてなる積層体を有する電気化学デバイスであって、
    前記正極または前記負極の少なくとも一方が、集電体と、前記集電体の表面に接合された針状活物質粒子を含む活物質層とを有し、かつ、前記活物質層に固体電解質が充填されてなることを特徴とする、電気化学デバイス。
  2. 正極と、電解質層と、負極と、がこの順に積層されてなる積層体を有する電気化学デバイスであって、
    前記正極または前記負極の少なくとも一方が、
    表面に針状活物質粒子が接合されてなる集電体としての金属基体の、前記針状活物質粒子が接合された面に、未架橋の固体電解質および重合開始剤を含む組成物を塗布する工程と、
    前記組成物が塗布された前記金属基体に熱処理または光照射処理を施すことにより、前記固体電解質を架橋させる工程と、
    を含む製造方法により製造されたものである、電気化学デバイス。
  3. 前記針状活物質粒子の粒子長径(a)の粒子短径(b)に対するアスペクト比(c=a/b)が10〜100000である、請求項1または2に記載の電気化学デバイス。
  4. 前記固体電解質が高分子電解質を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電気化学デバイス。
  5. 前記固体電解質が高分子ゲル電解質である、請求項に記載の電気化学デバイス。
  6. 前記高分子ゲル電解質が、その全量100質量%を基準としてマトリックスポリマーを3〜20質量%含む、請求項に記載の電気化学デバイス。
  7. 前記電解質層が固体電解質を含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の電気化学デバイス。
  8. 前記電解質層が液体電解質を含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の電気化学デバイス。
  9. 前記正極の前記活物質層が、リチウム−遷移金属複合酸化物、リチウム−遷移金属リン酸化合物、およびリチウム−遷移金属硫酸化合物からなる群から選択される材料から構成される針状活物質粒子を含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の電気化学デバイス。
  10. 前記負極の前記活物質層が、金属酸化物から構成される針状活物質粒子を含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の電気化学デバイス。
  11. 前記金属酸化物が、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化タングステン、および酸化バナジウムからなる群から選択される1種または2種以上の金属酸化物である、請求項10に記載の電気化学デバイス。
  12. 非水電解質二次電池である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の電気化学デバイス。
  13. 表面に針状活物質粒子が接合されてなる金属基体の、前記針状活物質粒子が接合された面に、未架橋の固体電解質および重合開始剤を含む組成物を塗布する工程と、
    前記組成物が塗布された前記金属基体に熱処理または光照射処理を施すことにより、前記固体電解質を架橋させて電極を得る工程と、
    を含む、電気化学デバイスの製造方法。
JP2008249953A 2008-09-29 2008-09-29 電気化学デバイス Expired - Fee Related JP5375003B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008249953A JP5375003B2 (ja) 2008-09-29 2008-09-29 電気化学デバイス

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008249953A JP5375003B2 (ja) 2008-09-29 2008-09-29 電気化学デバイス

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010080376A JP2010080376A (ja) 2010-04-08
JP5375003B2 true JP5375003B2 (ja) 2013-12-25

Family

ID=42210556

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008249953A Expired - Fee Related JP5375003B2 (ja) 2008-09-29 2008-09-29 電気化学デバイス

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5375003B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR102256769B1 (ko) 2013-02-01 2021-05-26 가부시키가이샤 닛폰 쇼쿠바이 전극 전구체, 전극 및 전지
JP6492958B2 (ja) * 2014-05-19 2019-04-03 Tdk株式会社 固体電池及びそれを用いた組電池。
JP6683084B2 (ja) * 2016-09-21 2020-04-15 株式会社豊田自動織機 蓄電装置

Family Cites Families (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS61281461A (ja) * 1985-05-16 1986-12-11 Sanyo Electric Co Ltd アルカリ亜鉛二次電池
JP3717085B2 (ja) * 1994-10-21 2005-11-16 キヤノン株式会社 二次電池用負極、該負極を有する二次電池及び電極の作製方法
JPH11297327A (ja) * 1998-04-06 1999-10-29 Mitsubishi Chemical Corp リチウム二次電池
JP2000223111A (ja) * 1999-01-28 2000-08-11 Kyocera Corp 電気化学素子
JP2001052742A (ja) * 1999-08-09 2001-02-23 Yuasa Corp シート状二次電池
JP2003020298A (ja) * 2001-07-02 2003-01-24 Kagawa Industry Support Foundation 金属酸化物の製造法
JP2006179237A (ja) * 2004-12-21 2006-07-06 Nissan Motor Co Ltd 電池
JP5011674B2 (ja) * 2005-08-08 2012-08-29 日産自動車株式会社 リチウムイオン二次電池の製造方法
JP5038751B2 (ja) * 2006-08-04 2012-10-03 協立化学産業株式会社 電極板製造用塗工液、アンダーコート剤およびその使用
JP2008159576A (ja) * 2006-11-27 2008-07-10 Nissan Motor Co Ltd リチウムイオン電池、組電池、組電池モジュール、車両及びリチウムイオン電池の正極電極の製造方法
JP2008176981A (ja) * 2007-01-17 2008-07-31 Toyota Motor Corp 全固体リチウム二次電池用電極および全固体リチウム二次電池
JP5407110B2 (ja) * 2007-01-24 2014-02-05 日産自動車株式会社 リチウムイオン二次電池用電極およびその製造方法ならびにリチウムイオン二次電池
JP5144108B2 (ja) * 2007-04-12 2013-02-13 トヨタ自動車株式会社 電極材料の製造方法、電極材料および電池

Also Published As

Publication number Publication date
JP2010080376A (ja) 2010-04-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5217596B2 (ja) 非水溶媒二次電池用集電体並びにこれを用いた電極および電池
JP5470817B2 (ja) 電池用電極およびこれを用いた電池、並びにその製造方法
JP5387011B2 (ja) リチウムイオン二次電池用負極およびこれを用いたリチウムイオン二次電池
KR100985606B1 (ko) 비수용매 2차 전지용 집전체 및 이것을 이용한 전극 및전지
JP4577024B2 (ja) 真性ポリマー電池用電極
EP2579363A1 (en) Negative electrode for secondary battery, and process for production thereof
JP2010160984A (ja) リチウムイオン二次電池用負極およびこれを用いたリチウムイオン二次電池
JP5564768B2 (ja) 電気化学デバイス
JP2010205609A (ja) 電極およびこれを用いた電池
JP5309421B2 (ja) リチウムイオン二次電池
JP2009016340A (ja) 二次電池およびその製造方法
JP2007018861A (ja) 電池用セパレータおよびこれを用いた電池
EP2717357A1 (en) Negative electrode active material for electrical device, negative electrode for electrical device and electrical device
JP2012009209A (ja) リチウムイオン二次電池用負極
EP2800175A1 (en) Negative electrode active material for electrical device, negative electrode for electrical device, and electrical device
JP2007193986A (ja) 非水電解質二次電池およびその使用方法
JP5205745B2 (ja) 非水電解質二次電池
JP5176262B2 (ja) 非水電解質電池用電極の製造方法
EP2717356A1 (en) Negative electrode active material for electrical devices
JP2008021635A (ja) 非水電解質二次電池用電極およびこれを用いた非水電解質二次電池
JP5375003B2 (ja) 電気化学デバイス
JP5186909B2 (ja) リチウムイオン二次電池用集電体
EP3471195B1 (en) Nonaqueous electrolyte secondary battery
JP2009009858A (ja) リチウムイオン二次電池用電極
JP2013191382A (ja) 平板積層型電池

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110829

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130529

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130604

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130802

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130827

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130909

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees