JP5374834B2 - 色素増感型光電変換素子及び色素増感型太陽電池 - Google Patents

色素増感型光電変換素子及び色素増感型太陽電池 Download PDF

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Description

本発明は、色素増感型光電変換素子及び色素増感型太陽電池に関する。
光電変換素子とは、電極間の電気化学反応を利用して光エネルギーを電気エネルギーに変換する素子である。光電変換素子に光を照射すると、一方の電極側で電子が発生し、対電極に移動する。対電極に移動した電子は、電解質中をイオンとして移動して一方の電極にもどる。
すなわち、光電変換素子は光エネルギーを電気エネルギーとして連続して取り出せる素子であり、例えば、太陽電池などに利用されている。太陽電池にはいくつかの種類があるが、住居設置用発電パネル、卓上計算機、時計、携帯用ゲーム機等に実用化されているものの大部分はシリコン太陽電池である。
しかし、最近になって色素増感型太陽電池が注目され、実用化を目指して研究されている。色素増感型太陽電池は古くから研究されており、その基本構造は、具体的には金属酸化物半導体及びそこに吸着した色素、電解質溶液及び対向電極からなる。この場合の光電変換素子は、半導体表面に可視光領域に吸収を持つ色素を吸着させたものが用いられている。
例えば、金属酸化物半導体の表面に、遷移金属錯体などの分光増感色素層を有する太陽電池が記載されて(例えば、特許文献1参照。)いる。また、金属イオンでドープした酸化チタン半導体層の表面に、遷移金属錯体などの分光増感色素層を有する太陽電池が記載されて(例えば、特許文献2参照)いる。
一方、光電変換能力を有する酸化物半導体電極としては、初期の頃は半導体の単結晶電極が用いられてきた。その種類としては、酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)等がある。
しかし、単結晶電極は色素の吸着量が少ないため効率は非常に低く、コストが高いというデメリットがあった。そこで考え出されてきたのが、微粒子を焼結して形成された多数の細孔を有する高表面積半導体電極である。坪村らによって有機色素を吸着した多孔質酸化亜鉛電極が非常に性能が高いことが報告されて(例えば、非特許文献1参照)いる。
その後は色素にも改良がされるようになり、ルテニウム錯体系色素を多孔質酸化チタン電極に吸着させる(例えば、非特許文献2参照)ことで、現在、シリコン太陽電池並みの性能を有するまでになっている。しかし、シリコン太陽電池を代替する実用化のためには、今まで以上に高いエネルギー変換効率や、さらに高い短絡電流、開放電圧、形状因子が必要になってくる。現在のところ、多孔質半導体電極で報告されている物質としてはZnO、TiO2、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化ニオブ(Nb25)等が挙げられる。
色素増感型太陽電池における増感色素としてルテニウム(Ru)錯体が広く使われているが、ルテニウム自体が稀少かつ高価な金属元素であるため、安価に製造できる有機色素を用いた色素増感型太陽電池の開発が進行している。例えば、増感色素にインドリン構造を有する化合物を用いると、光電変換効率が高い素子が形成されることが知られて(例えば、特許文献3、4参照)いる。しかしながら、変換効率はまだ不十分である。
特開平1−220380号公報 (第2、3、5、6頁) 特表平5−504023号公報 (第1〜2頁) Nature,261(1976)p402 Graetzelら:J.Am.Chem.Soc.115(1993)6382 特開2004−63274号公報 特開2004−235052号公報
本発明の目的は、高い吸光係数と、長波長側の吸収の増加が可能となり、高い光電変換率を有する色素増感型光電変換素子及び色素増感型太陽電池を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成することができる。
1.対向電極間に、下記一般式(1)で表される化合物を増感色素分子として担持させてなる半導体層と、電解質層とが設けられていることを特徴とする色素増感型光電変換素子。
Figure 0005374834
(式中、D 及びはそれぞれ独立に下記式d1〜d9で表される原子団を表し、D は下記式d10で表される原子団を表し、各々は同じであっても異なっていてもよい。式d1〜d10中、「※」は、L 〜L のいずれかと結合する位置を示す。Aは下記一般式(2)〜(4)のいずれかで表される構造を表す。L、L、L、Lはそれぞれ独立に−(CH=CH)−結合を表し各々は同じであっても異なっていてもよい。nは0又は1を表し、mは1又は2を表す。)
Figure 0005374834
Figure 0005374834
Figure 0005374834
(式中、Xは電子求引性基を表し、Yは酸性基を表す。は上記一般式(1)のL またはL と結合する位置を表し、**は上記一般式(1)のL 又はL と結合する位置を表す。)
Figure 0005374834
(式中、X及びYは上記一般式(2)のX及びYと同義の基を表す。R、Rは水素原子又は低級アルキル基を表す。*は上記一般式(1)のL またはL と結合する位置を表し、**は上記一般式(1)のL 又はL と結合する位置を表す。)
Figure 0005374834
(式中、Zは、少なくとも一つ以上の酸性基を有し、かつ炭素原子と共に五員環または六員環を形成するのに必要な原子群を示す。*は上記一般式(1)のLまたはLと結合する位置を表し、**は上記一般式(1)のL又はLと結合する位置を表す。)
2.前記一般式(1)で表される化合物は、後述する式D−1〜D−13、D−15、D−16で表される化合物のいずれかであることを特徴とする前記1記載の色素増感型光電変換素子。
3.前記一般式(1)で表される化合物は、前記式D−1、D−4、D−5、D−7又はD−15で表される化合物のいずれかであることを特徴とする前記2記載の色素増感型光電変換素子。
.前記1〜のいずれか1項記載の色素増感型光電変換素子を用いて構成したことを特徴とする色素増感型太陽電池。
本発明により、高い吸光係数と、長波長側の吸収の増加が可能となり、高い光電変換率を有する色素増感型光電変換素子及び色素増感型太陽電池を提供することができた。
本発明を更に詳しく説明する。本発明の色素増感型光電変換素子に用いる化合物は上記一般式(1)で表される化合物であり、大きな二光子吸収断面を持つ有機化合物でπ電子共役系を拡げて軌道の重なりを増やすことと、電子ドナーとアクセプターを組み合わせることによって分子の分極率を大きくした化合物である。即ち、ドナー部とアクセプター部が交互に結合したπ共役分子である。その結果、高い吸光係数と、長波長側の吸収の増加が可能となった。
一般式(1)において、D1、D2、D3はそれぞれ独立に電子供与体または電子供与性基を有する原子団を表すが、具体的には、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基、アミノアルケニル基、アミノアルキニル基、アルキルスルフィド基、アリールスルフィド基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基等が挙げられる。
一般式(1)において、Aは電子求引性基を有する原子団を表すが、上記一般式(2)、一般式(3)又は一般式(4)で表される基が好ましい。
一般式(1)において、L1、L2、L3、L4はそれぞれ独立に−(CH=CH)m−結合を表し、mは1又は2を表すがmは1が好ましい。
nは0又は1を表すが0が好ましい。
電子求引性基としては、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ニトロ基、シアノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、パーフルオロアルキルスルホニル基、パーフルオロアリールスルホニル基等が挙げられ、これらの官能基は、以下に示す酸性基を有していてもよい。酸性基としては、水酸基、スルフィド基、カルボキシル基等が挙げられる。
一般式(2)及び一般式(3)において、Xは電子求引性基を表し、Yは酸性基を表し、具体的には上述した基を挙げることができる。*は上記一般式(1)のL またはL と結合する位置を表し、**は上記一般式(1)のL 又はL と結合する位置を表す。
一般式(4)において、少なくとも一つ以上の酸性基を有し、かつ炭素原子と共に五員環または六員環を形成するのに必要な原子群を示すが単環でなく縮合環も好ましい。具体的には、ピラゾロン環、ピラゾロアゾール環等を挙げることができる。
一般式(1)で表される具体的な化合物を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 0005374834
Figure 0005374834
Figure 0005374834
Figure 0005374834
Figure 0005374834
〔合成例〕
(中間体A、Bの合成)
Figure 0005374834
トルエン100mlに、N,N−ビス(p−メチルフェニル)アニリンの20g、1.2当量の塩化ホスホリル、1.2当量のDMFを加え、窒素下で計20時間60℃に加熱した。反応後、酢酸エチルを加えて有機層(酢酸エチル)を抽出、水洗し、乾燥乾固させて、16gのホルミル体(黄褐色粉末)を得た。続いて、メタノール50mlに、前記ホルミル体 8g、2,6−ジメチル−γ−ピロン1.0当量、水酸化カリウム0.95当量を加え、70℃、10時間、加熱環流した。得られた反応液に、酢酸エチル、水を加え、分液。得られた有機層を減圧下でに留去し、中間体溶解液を得た。
続いて、カラム処理を行い、中間体Aと中間体Bを得た。それぞれの中間体の構造は、1H−NMR、13C−NMR等を用いて確認した。
(例示化合物D−1の合成)
Figure 0005374834
無水酢酸50mlに、中間体B 4g、シアノ酢酸1.2当量、酢酸アンモニウム1.2当量を加え、120℃、15分、加熱環流した。
得られた反応液に、酢エチ300ml、水300mlを加え、分液。
得られた有機層(酢酸エチル)を減圧下でに留去した後、酢エチで再結処理して、目的物7.8gを得た。構造は、1H−NMR、13C−NMR等を用いて確認した。
(比較化合物R−2の合成)
Figure 0005374834
無水酢酸50mlに、中間体A 4g、シアノ酢酸1.2当量、酢酸アンモニウム1.2当量を加え、120℃、15分、加熱環流した。
得られた反応液に、酢酸エチル、水を加え、分液。
得られた有機層(酢酸エチル)を減圧下でに留去した後、酢エチで再結処理して、目的物2.1gを得た。構造は、1H−NMR、13C−NMR等を用いて確認した。
半導体に本発明の一般式(1)で表される化合物(以後、本発明の化合物ともいう)を吸着させる際には、本発明の化合物を単独で用いてもよいし、本発明の化合物の複数を併用することも、本発明の化合物と他の化合物(例えば米国特許第4,684,537号、同4,927,721号、同5,084,365号、同5,350,644号、同5,463,057号、同5,525,440号の各明細書、特開平7−249790号、特開2000−150007号に記載の化合物)とを混合して用いることもできる。特に半導体の用途が太陽電池である場合、光電変換の波長域をできるだけ広くして太陽光を有効に利用できるように、吸収波長の異なる二種類以上の色素を混合して用いることも好ましい。
吸着処理を行うには、本発明の化合物を適切な溶媒(エタノールなど)に溶解し、その溶液中によく乾燥した半導体を長時間浸漬する方法が一般的である。
一般式(1)で表される化合物を複数種類併用したり、一般式(1)で表される化合物とその他の化合物を併用した色素増感型光電変換素子を作製する際には、各々の化合物の混合溶液を調製して用いてもよいし、各々の化合物について溶液を用意して、各溶液に順に浸漬して作製することもできる。各化合物について別々の溶液を用意し、各溶液に順に浸漬して作製する場合は、半導体に一般式(1)で表される化合物とその他の化合物を吸着させる順序がどのようであっても本発明の効果を得ることができる。また、各化合物を単独で吸着させた半導体微粒子を混合することで作製してもよい。
吸着処理は半導体が粒子状の時に行ってもよいし、支持体上に膜を形成した後に行ってもよい。
吸着処理に用いる化合物を溶解した溶液は、それを常温で用いてもよいし、該化合物が分解せず溶液が沸騰しない温度範囲で加熱して用いてもよい。
また、後述する色素増感型光電変換素子の製造のように、半導体微粒子の塗布後(感光層の形成後)に、本発明の化合物の吸着を実施してもよい。また、半導体微粒子と本発明の化合物とを同時に塗布することにより、本発明の化合物の吸着を実施してもよい。未吸着の本発明の化合物は洗浄によって除去する。
本発明の色素増感型光電変換素子に用いられる半導体としては、シリコン、ゲルマニウムのような単体、III−V系化合物、金属のカルコゲニド(例えば酸化物、硫化物、セレン化物等)、金属窒化物、ペロブスカイト構造を有する化合物(例えばチタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウム等)等を使用することができる。
好ましい金属のカルコゲニドとして、チタン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、またはタンタルの酸化物、カドミウム、亜鉛、鉛、銀、アンチモンまたはビスマスの硫化物、カドミウムまたは鉛のセレン化物、カドミウムのテルル化物等が挙げられる。他の化合物半導体としては亜鉛、ガリウム、インジウム、カドミウム等のリン化物、ガリウム・ヒ素または銅・インジウムのセレン化物、銅−インジウムの硫化物、チタンの窒化物等が挙げられる。
本発明の色素増感型光電変換素子に用いる半導体の好ましい具体例は、Si、TiO2、SnO2、Fe23、WO3、ZnO、Nb25、CdS、ZnS、PbS、Bi23、CdSe、CdTe、GaP、InP、GaAs、CuInS2、CuInSe2、Ti34等であり、より好ましくはTiO2、ZnO、SnO2、Fe23、WO3、Nb25、CdS、PbS、CdSe、InP、GaAs、CuInS2、CuInSe2、Ti34であり、特に好ましくはTiO2またはNb25であり、最も好ましくはTiO2である。
また本発明の色素増感型光電変換素子に用いる半導体は、上述した複数の半導体を併用して用いてもよい。例えば、上述した金属酸化物もしくは金属硫化物の数種類を併用することもできるし、また、酸化チタン半導体に20質量%の窒化チタン(Ti34)を混合して使用してもよい。また、J.Chem.Soc.,Chem.Commun.,15(1999)記載の酸化亜鉛/酸化錫複合としてもよい。このとき、半導体として金属酸化物もしくは金属硫化物以外に成分を加える場合、追加成分の金属酸化物もしくは金属硫化物半導体に対する質量比は30%以下であることが好ましい。
導電性支持体上に半導体を焼成により形成する場合は、上述の化合物の吸着は焼成後に実施することが好ましい。焼成後、半導体に水が吸着する前に、素早く化合物の吸着処理を実施することが特に好ましい。
本発明の色素増感型光電変換素子は、アミンを用いて表面処理してもよい。アミンとしては、ピリジン、4−t−ブチルピリジン及びポリビニルピリジンが好ましい。アミンが液体の場合はそのまま、固体の場合は有機溶媒に溶解した溶液を準備し、本発明の色素増感型光電変換素子を液体アミンまたはアミン溶液に浸漬することで、表面処理を実施することができる。
本発明における分光増感とは半導体自身の吸収が殆ど見られないようなスペクトル領域に、半導体の光応答を生じさせることを言い、一般には化合物固有の固有吸収の波長域で認められる。また、銀塩写真或いは電子写真等のプロセスが可視光を用いて作動するための本質的な要因でもある。
本発明の色素増感型光電変換素子は導電性支持体を用いることが好ましい。これら導電性支持体には、金属板のような導電性材料や、ガラス板やプラスチックフイルムのような非導電性材料に導電性物質を設けた構造のものを用いることができる。導電性支持体に用いられる材料の例としては金属(例えば白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウム)あるいは導電性金属酸化物(例えばインジウム−スズ複合酸化物、酸化スズにフッ素をドープしたもの)や炭素を挙げることができる。この導電性支持体が一方の対向電極となる。
また導電性支持体は実質的に透明であることが好ましく、実質的に透明であるとは光の透過率が10%以上であることを意味し、50%以上であることがさらに好ましく、80%以上であることが最も好ましい。透明な導電性支持体を得るためには、ガラス板またはプラスチックフイルムの表面に、導電性金属酸化物からなる導電性層を設けることが好ましい。透明な導電性支持体を用いる場合、光は支持体側から入射させることが好ましい。
導電性支持体は表面抵抗は、50Ω/cm2以下であることが好ましく、10Ω/cm2以下であることがさらに好ましい。
電解層はレドックス電解質を含有し、導電性支持体、半導体層、対向電極に接触している。
本発明に用いることができるレドックス電解質としては、I-/I3 -系や、Br-/Br3 -系、キノン/ハイドロキノン系等が挙げられる。このようなレドックス電解質は、従来公知の方法によって得ることができ、例えば、I-/I3 -系の電解質は、ヨウ素のアンモニウム塩とヨウ素を混合することによって得ることができる。電解層はこれらレドックス電解質の分散物で構成され、それら分散物は溶液である場合に液体電解質、常温において固体である高分子中に分散させた場合に固体高分子電解質、ゲル状物質に分散された場合にゲル電解質と呼ばれる。電解層として液体電解質が用いられる場合、その溶媒としては、電気化学的に不活性なものが用いられ、例えば、アセトニトリル、炭酸プロピレン、エチレンカーボネート等が用いられる。固体高分子電解質の例としては特開2001−160427号公報記載の電解質が、ゲル電解質の例としては『表面科学』21巻、第5号288〜293頁に記載の電解質が挙げられる。
他方の対向電極は、導電性を有するものであればよく、任意の導電性材料が用いられるが、I3 -イオン等の酸化や他のレドックスイオンの還元反応を充分な速さで行わせる触媒能を持ったものの使用が好ましい。このようなものとしては、白金電極、導電材料表面に白金めっきや白金蒸着を施したもの、ロジウム金属、ルテニウム金属、酸化ルテニウム、カーボン等が挙げられる。
次に、色素増感型光電変換素子を製造する方法を説明する。まず、半導体の微粉末を含む塗布液を作る。この半導体微粉末は、その1次粒子径が微細な程好ましく、その1次粒子径は、通常、1〜5000nm、好ましくは2〜50nmである。半導体微粉末を含む塗布液は、半導体微粉末を溶媒中に分散させることによって調製することができる。溶媒中に分散された半導体微粉末は、その1次粒子状で分散する。溶媒としては、半導体微粉末を分散し得るものであればどのようなものでもよく、特に制約されない。このような溶媒には、水、有機溶媒、水と有機溶媒との混合液が包含される。有機溶媒としては、メタノールやエタノール等のアルコール、メチルエチルケトン、アセトン、アセチルアセトン等のケトン、ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素等が用いられる。塗布液中には、必要に応じ、界面活性剤や粘度調節剤(ポリエチレングリコール等の多価アルコール等)を加えることができる。溶媒中の半導体微粉末濃度は、0.1〜70質量%、好ましくは0.1〜30質量%である。
また、前記のようにして得られた基板上の半導体膜表面が本発明の化合物によって修飾されていない場合には、この時点で半導体表面に本発明の化合物を吸着する。
吸着処理は先に説明したとおり、本発明の化合物を適切な溶媒に溶解し、その溶液に前記半導体を焼成した基板を浸漬することによって行われる。その際には半導体膜を焼成した基板を、あらかじめ減圧処理したり加熱処理したりして膜中の気泡を除去し、本発明の化合物が半導体膜内部深くに進入できるようにしておくことが好ましく、半導体膜が多孔質構造膜である場合には特に好ましい。
本発明の化合物を溶解するのに用いる溶媒は、本発明の化合物を溶解することができ、なおかつ半導体を溶解したり半導体と反応したりすることのないものであれば格別の制限はないが、溶媒に溶解している水分及び気体が半導体膜に進入して本発明の化合物の吸着を妨げることを防ぐために、あらかじめ脱気及び蒸留精製しておくことが好ましい。本発明の化合物に対して好ましく用いられる溶媒はメタノール、エタノール、n−プロパノールなどのアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル系溶媒、塩化メチレン、1,1,2−トリクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素溶媒であり、特に好ましくはメタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、塩化メチレンである。
前記半導体を焼成した基板を本発明の化合物の溶液に浸漬する時間は、25℃では3〜48時間が好ましい。時間が短すぎると半導体膜に本発明の化合物が深く進入できず、吸着が充分に進行しないため半導体の増感が不充分となり、発明の効果が小さくなるので好ましくない。これは特に、半導体膜が多孔質構造膜である場合において顕著である。一方で、時間が長すぎると本発明の化合物がわずかながら徐々に分解するため、分解生成物が半導体表面に吸着されて本発明の化合物の吸着を妨げる場合があり、これも発明の効果を充分に得る上で好ましくない。とくに好ましい浸漬時間は4〜24時間である。但し、浸漬時間は温度変化により変化するため上記の限りではない。
浸漬しておくにあたり本発明の化合物溶液は、本発明の化合物が分解しないかぎりにおいて、沸騰しない温度にまで加熱して用いてもよい。好ましい温度範囲は10〜100℃、好ましくは25〜90℃であるが、前記のとおり溶媒が前記温度範囲で沸騰する場合はこの限りでない。
次に、前記塗布液を導電性支持体上に塗布、乾燥し、次いで空気中または不活性ガス中で焼成して、導電性支持体上に半導体膜を形成する。
導電性支持体としては、少なくともその表面が導電性表面に形成された基板が用いられる。このような基板としては、ガラス等の耐熱性基板上に、In23やSnO2の導電性金属酸化物薄膜を形成したものや金属等の導電性材料からなる基板が用いられる。このような導電性基板は従来よく知られたものである。
基板の厚さは特に制約されないが、通常、0.3〜5mmである。この導電性基板は、透明または不透明であることができる。
導電性支持体上に塗布液を塗布、乾燥して得られる皮膜は、半導体微粒子の集合体からなるもので、その微粒子の粒径は使用した半導体微粉末の1次粒子径に対応するものである。このようにして導電性支持体上に形成された半導体微粒子集合体膜は、基板との結合力及びその微粒子相互の結合力が弱く、機械的強度の弱いものであることから、これを焼成して機械的強度が高められ、かつ基板に強く固着した焼成物膜とする。
本発明においては、この焼成物膜はどのような構造を有していても良いが、多孔質構造膜であることが好ましい。その厚さは少なくとも10nm、好ましくは100〜10000nmである。前記のような多孔質構造の焼成物膜は、半導体微粒子を含む塗布液を基板上に塗布、乾燥して形成された微粒子集合体膜を焼結させることによって得ることができる。この場合、焼成温度は1000℃より低く、通常、200〜800℃、好ましくは300〜800℃である。焼成温度が1000℃より高くなると、焼成物膜の焼結が進みすぎてその実表面積が小さくなり、所望する焼成物膜を得ることができない。前記見かけ表面積に対する実表面積の比は、半導体微粒子の粒径及び比表面積や、焼成温度等によりコントロールすることができる。また、加熱処理後、半導体粒子の表面積を増大させたり、半導体粒子近傍の純度を高め、本発明の化合物から半導体粒子への電子注入効率を高める目的で、例えば四塩化チタン水溶液を用いた化学メッキや三塩化チタン水溶液を用いた電気化学的メッキ処理を行ってもよい。
本発明の色素増感型太陽電池は、本発明の色素増感型光電変換素子を用いて太陽光により光電変換を行うことができる構造としたものである。即ち、色素増感型光電変換素子に太陽光が照射されうる構造となっている。本発明の色素増感型太陽電池を構成する際には、前記半導体電極、電解層及び対向電極をケース内に収納して封止するか、あるいはそれら全体を樹脂封止することが好ましい。
本発明の色素増感型太陽電池に太陽光または太陽光と同等の電磁波を照射すると、色素増感型光電変換素子に吸着された本発明の化合物は、照射された光もしくは電磁波を吸収して励起する。励起によって発生した電子は半導体に移動し、次いで導電性支持体を経由して対向電極に移動して、電解層のレドックス電解質を還元する。一方、半導体に電子を移動させた本発明の化合物は酸化体となっているが、対向電極から電解層のレドックス電解質を経由して電子が供給されることにより、還元されて元の状態に戻り、同時に電解層のレドックス電解質は酸化されて、再び対向電極から供給される電子により還元されうる状態に戻る。このようにして電子が流れ、本発明の色素増感型光電変換素子を用いた色素増感型太陽電池を構成することができる。
以下実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
実施例1
〔色素増感型光電変換素子及び色素増感型太陽電池の作製〕
下記に記載の手順にて、色素増感型太陽電池を作製した。
色素増感型太陽電池SC−1の作製
市販の酸化チタンペースト(粒径18nm)をフッ素ドープ酸化スズ(FTO)導電性ガラス基板へドクターブレード法により塗布した。60℃で10分間加熱してペーストを乾燥させた後、500℃で30分間焼成を行い厚さ5μmの酸化チタン薄膜を得た。これを三回繰り返し、トータル15μmの酸化チタン薄膜を得た。
上記の合成例で示した方法で得た例示化合物D−1をエタノールに溶解させ、5×10-4モル/リットルの溶液を作製した。酸化チタンを塗布焼結させたFTOガラス基板を、この溶液に室温で20時間浸漬させて、本発明の化合物の吸着処理を行なった後、クロロホルムで洗浄、真空乾燥し、色素増感型光電変換素子とした。
電解液にはヨウ化リチウム0.4モル/リットル、ヨウ素0.05モル/リットル、4−(t−ブチル)ピリジン0.5モル/リットルの3−メチルプロピオニトリル溶液を用いた。
対極に白金板を用い、先に作製した色素増感型光電変換素子ならびに電解液とクランプセルで組み立てることにより色素増感型太陽電池SC−1を得た。
色素増感型太陽電池SC−2〜SC−5の作製
色素増感型太陽電池SC−1の作製において、例示化合物D−1を例示化合物D−4、D−5、D−7、D−15にそれぞれ変更した以外は同様にして、色素増感型太陽電池SC−2〜SC−5を得た。
色素増感型太陽電池SC−R1及びSC−R2の作製
上記の色素増感型太陽電池SC−1の作製において、例示化合物D−1を下記のR1及びR2に変更した以外は同様にして、色素増感型太陽電池SC−R1及びR2を作製した。
Figure 0005374834
〔評価方法〕
得られた色素増感型太陽電池SC−1〜5及びSC−R1、R2について以下の評価を行い、結果を表1に示す。
(短絡電流値及び開放電圧値)
作製した色素増感型太陽電池に強度100mW/cm2のキセノンランプ照射下、半導体電極に5×5mm2のマスクをかけた条件下で、短絡電流値及び開放電圧値を測定した。示した値は、同じ構成及び作製方法の色素増感型太陽電池3つについての測定結果の平均値とした。
(形状因子)
最大の出力電力を与える動作点における開放電圧[V]をVoc、短絡電流密度[mA・cm-2]をJsc、そのときの電流値、および電圧値をImax、Vmaxとしたとき、形状因子(F.F.)は以下の式で求められる。
F.F.=(Vmax×Imax)/(Voc×Jsc)
(変換効率)
色素増感型太陽電池の光電変換効率(η(%))は、下記式で求められる。
η=100×(Voc×Jsc×F.F.)/P
ここで、Pは入射光強度[mW/cm-2]、Vocは開放電圧[V]、Jscは短絡電流密度[mA・cm-2]、F.F.は形状因子を示す。
Figure 0005374834
表1から明らかなように、本発明の一般式(1)で表される化合物を用いたSC−1〜5いずれも比較例を上回る変換効率を有することが判る。

Claims (4)

  1. 対向電極間に、下記一般式(1)で表される化合物を増感色素分子として担持させてなる半導体層と、電解質層とが設けられていることを特徴とする色素増感型光電変換素子。
    Figure 0005374834
    (式中、D 及びはそれぞれ独立に下記式d1〜d9で表される原子団を表し、D は下記式d10で表される原子団を表し、各々は同じであっても異なっていてもよい。式d1〜d10中、「※」は、L 〜L のいずれかと結合する位置を示す。Aは下記一般式(2)〜(4)のいずれかで表される構造を表す。L、L、L、Lはそれぞれ独立に−(CH=CH)−結合を表し各々は同じであっても異なっていてもよい。nは0又は1を表し、mは1又は2を表す。)
    Figure 0005374834
    Figure 0005374834
    Figure 0005374834
    (式中、Xは電子求引性基を表し、Yは酸性基を表す。*は上記一般式(1)のL またはL と結合する位置を表し、**は上記一般式(1)のL 又はL と結合する位置を表す。)
    Figure 0005374834
    (式中、X及びYは上記一般式(2)のX及びYと同義の基を表す。R 、R は水素原子又は低級アルキル基を表す。*は上記一般式(1)のL またはL と結合する位置を表し、**は上記一般式(1)のL 又はL と結合する位置を表す。)
    Figure 0005374834
    (式中、Zは、少なくとも一つ以上の酸性基を有し、かつ炭素原子と共に五員環または六員環を形成するのに必要な原子群を示す。*は上記一般式(1)のL またはL と結合する位置を表し、**は上記一般式(1)のL 又はL と結合する位置を表す。)
  2. 前記一般式(1)で表される化合物は、下記式D−1〜D−13、D−15、D−16で表される化合物のいずれかであることを特徴とする請求項1記載の色素増感型光電変換素子。
    Figure 0005374834
    Figure 0005374834
    Figure 0005374834
    Figure 0005374834
    Figure 0005374834
  3. 前記一般式(1)で表される化合物は、前記式D−1、D−4、D−5、D−7又はD−15で表される化合物のいずれかであることを特徴とする請求項2記載の色素増感型光電変換素子。
  4. 請求項1〜のいずれか1項記載の色素増感型光電変換素子を用いて構成したことを特徴とする色素増感型太陽電池。
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