JP5374257B2 - 配管補修方法 - Google Patents
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例えば欠陥に接着剤を盛り付ける方法では、補修した部分ごとに硬化後の接着剤の形状や寸法がばらついてしまう。追加の補修や再度の補修を行うには、硬化後の接着剤の凹凸をなくすために、あるいは硬化後の接着剤を所定の寸法や形状に成型するために、複雑な加工が必要になる。
水中接着剤を欠陥内に埋め込む方法では、欠陥内の水中接着剤の分布を制御することが難しく、水中接着剤の充填度が相対的に低い部分に流体の漏洩経路(リークパス)が形成されることがある。漏洩経路は、欠陥よりも内径が小さいのでここに水中接着剤を充填することは難しい。漏洩経路を生じている水中接着剤を除去して水中接着剤を再度充填するには、複雑な加工が必要になる。
本発明の配管補修方法は、配管を流れる流体の漏洩を生じさせる欠陥を封止する配管補修方法であって、配管の外周面に欠陥を包囲するように枠体を配置する工程と、前記配管の周方向に沿う部分の前記枠体の開口縁部を前記配管に押圧する第1治具を取り付ける工程と、前記配管の軸方向に沿う部分の前記枠体の開口縁部を前記配管に押圧する第2治具を取り付ける工程と、前記第1治具及び前記第2治具が取り付けられた状態で、前記枠体の開口に硬化型の封止剤を充填する工程と、前記封止剤が充填された前記枠体の開口を蓋で塞ぐ工程と、前記蓋で塞ぐ工程の後に前記封止剤を硬化させる工程と、前記封止剤を硬化させる工程の後に前記枠体及び前記蓋を取り外す工程と、を有することを特徴とする。
第1治具及び第2治具を取り付けると、配管の周方向及び軸方向における枠体の開口縁部が配管に押圧されるので、開口縁部が配管の外周面から浮き上がることが防止される。したがって、開口内に充填された封止剤が枠体と配管の外周面との隙間に漏れ出すことが防止され、封止に必要な量の封止剤を開口内に留めることができる。
封止剤が充填された枠体の開口を蓋で塞ぐので、蓋と枠体と配管の外周面とに囲まれる空間に、封止剤が欠陥から漏洩する流体の圧力に抗して緻密に充填される。これにより、硬化後の封止剤に隙間を生じることが防止され、硬化後の封止剤が欠陥を隙間なく被覆するので、流体の漏洩を止めることができる。
封止剤の硬化前に開口を蓋で塞いでいるので、硬化後の封止剤の形状や寸法が高精度に制御される。また、枠体及び蓋を取り外すので、硬化後の封止剤を容易に加工することができる。
前記第2治具は、前記配管の周方向に前記開口を挟む一対の開口縁部の一方に当接する第1当接部と他方に当接する第2当接部とを有しており、該第2治具が前記配管に取り付けられた状態で前記第1当接部と前記第2当接部とが前記配管の外周面に向かう方向に付勢されるとよい。
このように外周側における封止剤に流体が混入しなくなるので、外周側における封止剤に流体の混入による隙間を生じることが防止される。したがって、仮に欠陥近傍において隙間を生じたとしても、外周側における封止剤にて流体の漏洩を止めることができる。
このようにすれば、外周側において欠陥近傍よりも封止剤の硬化度が相対的に高くなるので、外周側における封止剤に流体が混入しにくくなる。欠陥近傍における封止剤に流体の混入による隙間を生じた場合でも、この隙間を通り封止剤の外側に向かう流体を外周側における封止剤で止めることができ、流体の漏洩を防止することができる。
このようにすれば、第2の封止剤が欠陥から漏洩する流体と混じり合わないので、硬化後の第2の封止剤に隙間を生じることが防止され、欠陥を覆う部分において流体の漏洩を防止することができる。
このようにすれば、封止剤と第2の封止剤の間に界面ができにくくなり、界面に隙間を生じることが防止される。
このようにすれば、封止剤に溶媒の揮発ガスによる隙間を生じることが防止される。
このようにすれば、矩形の一辺に対応する開口縁部を配管の周方向に沿わせるとともに、矩形の他辺に対応する開口縁部を配管の軸方向に沿わせることができる。したがって、一辺に対応する開口縁部を第1治具で押圧するとともに、他辺に対応する開口縁部を第2治具で押圧することができる。よって、外周面の形状に対応させて枠体を押圧することができ、枠体が配管の外周面から浮き上がることが防止される。
枠体がシリコーンゴムを主体として構成されていれば、枠体を配管の外周面に追従させることが容易になる。また、シリコーンゴムは、通常の接着剤に対して易剥離性を有するので、枠体を除去することが容易になる。
このようにすれば、封止剤が蓋を介して加圧され、封止剤に間隙を生じることが防止される。また、硬化完了前の封止剤が占める空間を高精度に規制することができ、硬化後の封止剤の形状及び寸法を高精度に制御することができる。
このようにすれば、アンカーの固定位置によりベルトが蓋を押圧する方向を制御することができ、蓋を配管の屈曲部に沿わせて押圧することが可能になる。
このようにすれば、枠体の少なくとも開口縁部が屈曲部の表面に沿うので、枠体と配管との間に封止剤が漏れ出すことが防止される。また、枠体の開口と反対側の外周部に切欠が設けられていれば、枠体の歪みを切欠により緩和することができ、枠体を屈曲部の表面に沿わせることが容易になる。
図1(a)は、欠陥10を生じている配管1を模式的に示す斜視図、図1(b)は、欠陥10と配管1の中心軸とを含んだ側断面A1において欠陥10付近を拡大して示す図、図1(c)は、欠陥10を含み配管1の中心軸に直交する軸断面A2において欠陥10付近を拡大して示す図である。
第1治具3a、3bは、周方向D2に沿う部分の枠体2の開口縁部21を押圧する治具であり、例えばベルト等からなる。第1治具3aを取り付けるには、まず、開口20を軸方向D1に挟む一対の第1延在部21aの一方に対し、第1延在部21a上と外周面11上とにわたって、配管1の周方向D2に第1治具3aを巻回す。そして、第1治具3aを閉環して締め上げ、結束すること(以下、締結と称することがある)により第1治具3aを取り付ける。また、第1延在部21aの他方に対して、第1治具3aと同様にして第1治具3bを取り付ける。これにより、開口20を軸方向D1に挟む両側の開口縁部21が、周方向D2における略全幅にわたって配管1に押圧される。
第1治具3a、3b、第2治具4が、開口20を塞がないように取り付けられているので、後の工程で開口20内を対象として作業を行うことが容易になる。
第1当接部41、第2当接部42は、針金からなり円柱状であるので、外周面11に沿う形状の接触面を有するものと比較して枠体2との接触面積が小さくなる。したがって、枠体2を押圧する応力が大きくなり、開口縁部21が外周面11から浮き上がることが防止される。
硬化型の封止剤としては、流体Fに対して耐食性を示す材質のものを適宜選択して用いることができ、組成物が反応することにより硬化する反応硬化型の封止剤を用いるとよい。反応硬化型の封止剤としては、例えば2液反応型接着剤、熱硬化型樹脂、光硬化型樹脂等が挙げられる。このような硬化型の封止剤であれば、溶媒の揮発ガスがほとんど発生しないので、封止剤中に揮発ガスによる間隙を生じることが防止される。
1つ目の方法では、2液混合のタイミングを異ならせること等により、硬化開始時刻が異なる2つの2液反応型接着剤を用意する。そして、硬化開始時刻が相対的に早い方を開口内の外周側に塗布し、硬化開始時刻が相対的に遅い方を欠陥上、及び欠陥近傍に塗布する。
2つ目の方法では、硬化速度が異なる2つの2液反応型接着剤を用意する。そして、硬化速度が相対的に速い方を開口内の外周側に塗布し、硬化開始時刻が相対的に遅い方を欠陥上、及び欠陥近傍に塗布する。
3つ目の方法では、2液反応型接着剤を開口内の外周側に塗布した後、塗布された2液反応型接着剤を加熱すること等により、この部分の硬化反応を促進させる。そして、液反応型接着剤を欠陥上、及び欠陥近傍に塗布する。
4つ目の方法では、1〜3つ目の方法のうちの2以上を適宜組み合わせて、硬化度を管理する。
開口20を蓋5で塞ぐには、閉蓋工程S4中に又は閉蓋工程S4よりも前に、蓋5を準備する。蓋5は、例えば枠体2と同様の材質からなり、変形可能なものである。蓋5は、開口20全体を塞ぐことが可能な寸法のものである。ここでは、軸方向D1に対応する蓋5の寸法が、配管1に取り付けられた第1治具3a、3bの軸方向D1における間隔以下になっている。
以上のようにして、図8(b)に示すように、配管1の欠陥10を封止する封止部Q5を形成することができ、封止部Q5により欠陥10からの流体Fの漏洩を止めることができる。
次に、第2実施形態の配管補修方法を説明する。第2実施形態が第1実施形態と異なる点は、T字型の配管を補修する点である。
図10(a)、(b)に示すように、配管7は、第1円筒部71、第2円筒部72、及び屈曲部73を含んでいる。第1円筒部71は、軸方向D4に延在する直管円筒状のものである。第1円筒部71の外周面74は、周方向D5に沿う曲面になっている。第2円筒部72は、軸方向D6に延在する直管円筒状のものである。第2円筒部72の外周面75は、周方向D7に沿う曲面になっている。ここでは、軸方向D4が軸方向D6と略直交している。第1円筒部71及び第2円筒部72は、屈曲部73にて接続されている。
以上のように枠体2Bを取り付けた後、第1実施形態と同様に封止剤充填工程S3を行って開口20B内に硬化型の封止剤を塗布する。
また、枠体2Bを屈曲部73の表面に追従させて固定するので、枠体2Bと配管7の表面との管に封止剤が漏れ出すことが防止される。蓋5Bを屈曲部73の表面に追従させて押圧するので、蓋5Bにより封止剤を良好に加圧することができる。このようにして硬化後の封止剤が高精度な形状や寸法に形成されるので、硬化後の封止剤を容易に加工することができる。以上のように、第2実施形態の配管補修方法によれば、屈曲部73を有する配管7に対して良好に補修を行うことができる。
4、4B、4C・・・第2治具、5、5B・・・蓋、6a、6b、6c・・・第3治具、10・・・欠陥、11・・・外周面、20、20B・・・開口、21・・・開口縁部、
7・・・配管、21a、22、24・・・第1延在部、21b、23、25・・・第2延在部、
26・・・湾曲部、27・・・切欠、40C・・・押さえ板、
41、41B・・・第1当接部、41C、42C、43、43C・・・支持部、
42、42B・・・第2当接部、43B・・・接合部、44B・・・付勢部、
45、46・・・アーム、60・・・アンカー、61・・・突起部、70・・・欠陥、
71・・・第1円筒部、72・・・第2円筒部、73・・・屈曲部、
74、75・・・外周面、90・・・ポンプ、91・・・ディスペンサー、
92・・・超音波カッター、A1・・・側断面、A2・・・軸断面、
D1・・・軸方向、D2・・・周方向、D3・・・塗布方向、D4・・・軸方向、
D5・・・周方向、D6・・・軸方向、D7・・・周方向、F・・・流体、
L・・・距離、Q1・・・封止剤、Q2・・・第2の封止剤、Q3・・・封止剤、
Q4・・・余剰部、Q5・・・封止部、S1・・・枠体配置工程、
S2・・・枠体固定工程、S3・・・封止剤充填工程、S4・・・閉蓋工程、
S5・・・封止剤硬化工程、S6・・・蓋除去工程
Claims (14)
- 配管を流れる流体の漏洩を生じさせる欠陥を封止する配管補修方法であって、
配管の外周面に欠陥を包囲するように枠体を配置する工程と、
前記配管の周方向に沿う部分の前記枠体の開口縁部を前記配管に押圧する第1治具を取り付ける工程と、
前記配管の軸方向に沿う部分の前記枠体の開口縁部を前記配管に押圧する第2治具を取り付ける工程と、
前記第1治具及び前記第2治具が取り付けられた状態で、前記枠体の開口に硬化型の封止剤を充填する工程と、
前記封止剤が充填された前記枠体の開口を蓋で塞ぐ工程と、
前記蓋で塞ぐ工程の後に前記封止剤を硬化させる工程と、
前記封止剤を硬化させる工程の後に前記枠体及び前記蓋を取り外す工程と、を有することを特徴とすることを特徴とする配管補修方法。 - 前記第2治具は、前記配管の周方向に前記開口を挟む一対の開口縁部の一方に当接する第1当接部と他方に当接する第2当接部とを有しており、該第2治具が前記配管に取り付けられた状態で前記第1当接部と前記第2当接部とが前記配管の外周面に向かう方向に付勢されることを特徴とする請求項1に記載の配管補修方法。
- 前記封止剤を充填する工程では、前記開口の外周から前記欠陥に向かって前記封止剤を塗布することを特徴とする請求項1又は2に記載の配管補修方法。
- 前記封止剤を充填する工程では、前記欠陥から漏洩する流体を吸引しつつ前記封止剤を塗布することを特徴とする請求項3に記載の配管補修方法。
- 前記封止剤を充填する工程では、前記開口に充填された封止剤の前記開口の外周側での硬化度が前記欠陥近傍での硬化度よりも高くなるように、前記封止剤の硬化度を管理することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に配管補修方法。
- 前記蓋で塞ぐ工程では、前記蓋における前記欠陥を覆う部分に硬化型の第2の封止剤を配置し、該第2の封止剤を前記欠陥から漏洩する流体と混じり合わない硬化度まで硬化させた後に前記開口を該蓋で塞ぐことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の配管補修方法。
- 前記第2の封止剤が、前記封止剤と化学的に結合するものであることを特徴とする請求項6に記載の配管補修方法。
- 前記封止剤が反応硬化型であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の配管補修方法。
- 前記枠体は、該枠体を平板状に展開した状態で前記開口が略矩形であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の配管補修方法。
- 前記枠体がシリコーンゴムにより構成されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の配管補修方法。
- 前記蓋で塞ぐ工程では、前記開口を前記蓋で覆った後に、該蓋を前記配管の外周面に向かう方向に押圧する第3治具を取り付けることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の配管補修方法。
- 前記配管が屈曲部を有しており、前記欠陥が該屈曲部近傍に生じている場合に、
前記第3治具としてベルトを用いるとともに、前記配管に対して所定の位置にアンカーを固定した後に前記ベルトを前記アンカーに引っ掛けて該ベルトに張力を発現させ、前記屈曲部における前記蓋を該ベルトにより押圧することを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の配管補修方法。 - 前記配管が屈曲部を有しており、前記欠陥が該屈曲部近傍に生じている場合に、
前記枠体の少なくとも開口縁部が前記屈曲部の表面に沿うように該枠体の形状を選択することを特徴とする請求項1〜8、10〜12のいずれか一項に記載の配管補修方法。 - 前記枠体の前記開口と反対側の外周部に切欠が設けられていることを特徴とする請求項13に記載の配管補修方法。
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