JP5374233B2 - 軟磁性鋼材および軟磁性鋼部品ならびにこれらの製造方法 - Google Patents
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C:0.002〜0.01%(質量%の意味、成分について以下同じ)、
Si:0.1%以下(0%を含まない)、
Mn:0.01〜0.09%、
P:0.025%以下(0%を含まない)、
S:0.005%以下(0%を含まない)、
Al:0.005%以下(0%を含まない)、
N:0.0025%以下(0%を含まない)、
B:0.0008〜0.0025%、および
O:0.006%以下(0%を含まない)
を満たし、残部:鉄および不可避不純物からなり、下記式(1)を満たすと共に、
鋼組織がフェライト単相組織であり、かつMnSの面積率が1.2%以下であるところに特徴を有する。
−0.0013≦[N]−(10.8/14)[B]≦0.0013 …(1)
{式(1)において、[N]は鋼中のN量(質量%)、[B]は鋼中のB量(質量%)を示す}
(ア)下記式(1)を満たすように、鋼中N量と鋼中B量のバランスを図り、特に鋼中Bにより固溶Nを低減させること;および、
(イ)鋼中Mn量を0.09%以下と、従来の軟磁性鋼材よりも十分に低減させて、固溶Mn量を低減させると共に、MnSを一定以下とすればよいこと;
を見出し、本発明を完成した。
−0.0013≦[N]−(10.8/14)[B]≦0.0013 …(1)
{式(1)において、[N]は鋼中のN量(質量%、以下「%」と示す)、[B]は鋼中のB量(質量%、以下「%」と示す)を示す}
Cは、鋼材の強度と延性のバランスを支配する基本元素であり、含有量が低減するほど強度は低下し、延性は向上する。またCは、鋼中に固溶してひずみ時効硬化を生じさせ易い元素であるため、極力低減することが望ましく、優れた磁気特性を確保する(JIS−SUYB−0種以上の磁気特性を満足させる)面から極低量であることが好ましい。よって本発明では、C量の上限を0.01%とした。好ましくは0.007%以下である。一方、電装部品としての最低限の強度の確保や、Bが過剰に存在した場合に、このBを安定な炭化物として存在させる観点から、C量の下限を0.002%とした。好ましくは0.003%以上である。
Siは、溶製時に脱酸剤として作用し、また磁気特性を向上させる効果をもたらす元素である。この様な効果を発揮させる観点からは、Siを0.003%以上含有させてもよいが、Si量が過剰になると冷間鍛造性が低下する。本発明では、部品成型時の冷間鍛造性を確保する観点から、0.1%を上限とした。好ましくは0.05%以下、より好ましくは0.01%以下である。
P(リン)は、粒界偏析を起こして、冷間鍛造性と磁気特性の低下を招く元素である。よって本発明では、P量の上限を0.025%とする。好ましくは0.015%以下である。
S(硫黄)は、著しい凝固偏析を示し、熱間脆性が低下する。またSが過剰であると、FeSの形成により磁気特性が低下する。そのため、S量の上限を0.005%とする必要がある。好ましくは0.003%以下である。
Alは、固溶NをAlNの形で固定する元素である。Al量が過剰になり、AlNが多く存在すると、結晶粒の成長が抑制されて結晶粒界が増加しやすく、磁気特性の低下を招く。そのため、本発明ではAl量を0.005%以下に抑える。好ましくは0.003%以下である。
N(窒素)は、Ti、B、Al等と結合して窒化物を形成するが、これらの元素と窒化物を形成しないNは、固溶Nの状態で残存する。固溶Nが増加すると、上述した通りフェライト相の格子ひずみが増加し、磁気特性が低下する。固溶N量を低減するには、鋼中の全窒素量を低減することが効果的であることから、N量を0.0025%以下とする。好ましくは0.0020%以下である。
Bは、固溶NをBNの形で固定し、フェライト相の格子ひずみによる磁気特性の低下を抑制する。この効果を発揮させるため、Bを0.0008%以上含有させる。好ましくは0.0010%以上である。Nと結合しなかったBは、安定な炭化物[Fe23(CB)6]を形成するが、B量が過剰になると、結晶粒界にFe2Bとして析出し、熱間延性の著しい低下を招くと共に、磁気特性が低下する。よって、B量は0.0025%を上限とする。好ましくは0.0020%以下である。
O(酸素)は常温では鋼にほとんど固溶せず、硬質酸化物(Al2O3、SiO2など)として存在し、磁気特性を大幅に低下させる。また、上記硬質酸化物の増大を招き、変形抵抗が上昇する原因ともなる。ゆえにO量は極力低減すべきであり、本発明では0.006%以下に抑える。好ましくは0.004%以下である。
合金成分を母相に完全に固溶させるには、できるだけ高温で加熱することが望ましい。また加熱温度が低すぎると、圧延中に異なる相が局所的に生成し、圧延時に割れが生じる場合がある。更には圧延時のロール負荷が上昇し、生産性が低下し易くなる。これらの観点から加熱温度を1000℃以上とする。好ましくは1050℃以上である。しかし、加熱温度が高すぎると、フェライト結晶粒の粗大化が部分的に顕著となり、部品成形時の冷間鍛造性が低下する。よって加熱温度の上限を1200℃とする。好ましくは1150℃以下である。
熱間圧延における圧延終了温度が低すぎると、鋼組織(ミクロ組織)が細粒となりやすく、その後の冷却過程や部品製造時の焼鈍過程において、部分的な異常粒成長(GG、混粒)の発生を招く。GG発生部は冷間鍛造時の肌荒れや磁気特性ばらつきの原因となるため、均一な整粒を確保するのがよい。この様な観点から圧延終了温度を850℃以上とする。好ましくは875℃以上である。
熱間圧延後の巻取り温度が低いと、上記圧延終了温度が低い場合と同様に、鋼組織(ミクロ組織)が細粒となりやすく、冷間鍛造性が低下する。また磁気特性も低下する。よって巻取りは800℃以上(好ましくは850℃以上)で完了させる。尚、巻取り後の冷却方法については特に問わず、例えば徐冷等を行えばよい。
磁気焼鈍を施していない本発明の軟磁性鋼材であっても優れた磁気特性を示すが、JIS−SUYB−0種レベルのより優れた磁気特性を発揮する軟磁性鋼部品を製造するには、前記軟磁性鋼材を所定の部品形状に加工(例えば、冷間鍛造または温間鍛造(好ましくは冷間鍛造)や切削加工等)した後、下記条件で磁気焼鈍を行い、上記鋼部品の鋼組織を、JIS G 0552(2005年)で規定するフェライト結晶粒度番号で4.0以下とフェライト結晶粒の粗大化したフェライト単相組織とすることが大変有効である。
Claims (5)
- C:0.002〜0.01%(質量%の意味、成分について以下同じ)、
Si:0.1%以下(0%を含まない)、
Mn:0.01〜0.06%、
P:0.025%以下(0%を含まない)、
S:0.005%以下(0%を含まない)、
Al:0.005%以下(0%を含まない)、
N:0.0025%以下(0%を含まない)、
B:0.0008〜0.0025%、および
O:0.006%以下(0%を含まない)
を満たし、残部:鉄および不可避不純物からなり、下記式(1)を満たすと共に、
鋼組織がフェライト単相組織であり、かつMnSの面積率が1.05%以下であることを特徴とする軟磁性鋼材。
−0.0013≦[N]−(10.8/14)[B]≦0.0013 …(1)
{式(1)において、[N]は鋼中のN量(質量%)、[B]は鋼中のB量(質量%)を示す} - 更に、Cu:0.04%以下(0%を含む)、Ni:0.04%以下(0%を含む)、およびCr:0.04%以下(0%を含む)を満たす請求項1に記載の軟磁性鋼材。
- 請求項1または2に記載の軟磁性鋼材を製造する方法であって、請求項1または2に記載の成分組成を有する鋼を、1000〜1200℃に加熱してから熱間圧延し、850℃以上の温度(圧延終了温度)で圧延終了後、800℃以上で巻取りを完了することを特徴とする軟磁性鋼材の製造方法。
- 請求項1または2に記載の軟磁性鋼材を用い、焼鈍を施して得られる軟磁性鋼部品であって、請求項1または2に記載の成分組成を満たし、かつ鋼組織が、フェライト単相組織であると共に、JIS G 0552(2005年)で規定するフェライト結晶粒度番号が4.0以下であることを特徴とする軟磁性鋼部品。
- 請求項4に記載の軟磁性鋼部品の製造方法であって、請求項1または2に記載の軟磁性鋼材を、部品形状に加工後、850〜900℃で2時間以上焼鈍することを特徴とする軟磁性鋼部品の製造方法。
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