以下に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は第1実施形態の電気掃除機を示す斜視図である。電気掃除機1は制御装置、電動送風機(いずれも不図示)及びサイクロン分離装置20(図2参照)を内装する本体部2を備えている。制御装置はCPU、RAM、ROM等を有し、CPUがROMに記憶された制御プログラムに従って各種の処理を実行して電気掃除機1の各部を制御する。
本体部2の背面には引き出し及び収納が可能な電源コード8が設けられる。電源コード8は電源プラグ9を先端に有し、商用電源のコンセントに差し込んで本体部2に電力供給される。
本体部2の前面には可撓性の接続ホース3が接続され、接続ホース3の先端には延長パイプ4が接続される。延長パイプ4の先端には床面に対峙する吸込口(不図示)を有した吸込口体5が設けられる。また、延長パイプ4には把持部6及び操作部7が設けられる。
操作部7には使用者が電気掃除機1の稼働の有無や運転モードの選択操作等を行うための操作スイッチ(不図示)が設けられている。操作スイッチの近傍には電気掃除機1の運転状態を表示するLED等の表示部(不図示)も設けられている。使用者により操作部7を操作して掃除運転が実行され、把持部6を把持して吸込口体5が移動される。
図2、図3はサイクロン分離装置20の異なる縦断面を示す断面図である。また、図4は筐体10の分解斜視図を示している。サイクロン分離装置20は本体部2(図1参照)に対して上下方向に着脱自在に形成され、筐体10及び捕集容器11を備えている。筐体10はカバー部40、フィルタユニット13、フィルタユニット保持部14、除塵駆動機構15、内筒12及び圧縮部123が連結して設けられる。
捕集容器11は詳細を後述するように透明な樹脂成形品から成り、内面が略円筒面に形成される。捕集容器11、フィルタユニット13、フィルタユニット保持部14、内筒12及び圧縮部123は垂直な中心軸Pを中心に同軸状に設けられる。
筐体10の上部に配されるカバー部40は本体部2(図1参照)の外装を形成し、サイクロン分離装置20の着脱時に把持されるハンドル41が設けられる。カバー部40の後端面にはサイクロン分離装置20から排気する排気口40aが開口する。
フィルタユニット保持部14はカバー部40の下方に配される。フィルタユニット保持部14の下部は円錐面14bに形成され、上部にフィルタユニット13が配される。フィルタユニット13の外周面とフィルタユニット保持部14の内周面との間には、環状のシール部材162が設けられている。これにより、フィルタユニット13の外側からの空気漏れが抑止される。
図5、図6はフィルタユニット13を上方から見た斜視図及び下方から見た斜視図をそれぞれ示している。フィルタユニット13はHEPAフィルタ(High Efficiency Particulate Air Filter)131、フィルタ除塵部材132及び傾斜除塵部材134を有している。
HEPAフィルタ131は中心軸Pの周りに環状に配置固定された複数枚のフィルタの集合により形成されている。HEPAフィルタ131に含まれた各フィルタは略水平方向に山部と谷部とを繰り返すプリーツ状に配置されている。これにより、HEPAフィルタ131におけるフィルタ面積が十分に確保されている。
HEPAフィルタ131の各フィルタは枠部131cに固定される。枠部131cはHEPAフィルタ131の中央に配される筒状の中空部131aとHEPAフィルタ131の外周面を覆う環状部131dとの間を放射状のリブによって連結される。
フィルタ除塵部材132はHEPAフィルタ131の枠部131cの上部周面を覆い、HEPAフィルタ131の上方に配される2つの接触部132aを支持する。接触部132aは板バネ状の弾性部材から成り、HEPAフィルタ131の谷部内に挿入される。
フィルタ除塵部材132の中央部には中空部131aに挿通される連結部材133(図2参照)が設けられる。連結部材133は中空部131aに設けた支持部131b(図2参照)によって回転自在に支持される。また、フィルタ除塵部材132の周面には除塵駆動機構15のギア15a(図2参照)に噛合するギヤ132bが設けられる。
傾斜除塵部材134はHEPAフィルタ131の下方に配され、連結部133の下面に設けられたネジ穴133a(図2参照)にネジ133b(図2参照)で螺着される。これにより、フィルタ除塵部材132及び傾斜除塵部材134が一体回転可能に連結される。尚、傾斜除塵部材134と中空部131aの内面との間には、隙間を埋める環状のシール部材163(図2参照)が設けられている。これにより、中空部131aからの空気の漏れが抑止される。
傾斜除塵部材134は放射状に延びる2個の腕部134dを下端に有している。腕部134dにはフィルタユニット保持部14の下部の円錐面14b(図2参照)に摺動するゴム製の摺動部134aが設けられる。腕部134d及び摺動部134aを1個または3個以上設けてもよい。尚、腕部134dの内周部には下方に突出する係合部134cが設けられる。
図2〜図4において、除塵駆動機構15は本体部2(図1参照)に設けられた駆動モータ(不図示)に減速器を介して連結されたギア15aを有している。駆動モータの回転によってギヤ15a及びギヤ132bを介してフィルタ除塵部材132及び傾斜除塵部材134が回転する。これにより、接触部132aがHEPAフィルタ131に断続的に衝突し、HEPAフィルタ131が振動して除塵される。
HEPAフィルタ131の除塵によって脱落した塵埃はフィルタユニット保持部14の円錐面14b上に落下する。円錐面14b上の塵埃は傾斜除塵部材134の回転によって摺動部134aが円錐面14bに摺動して内筒12内に導かれる。
尚、除塵駆動機構15を駆動モータに替えてフィルタ除塵部材132を手動で回転させるようにしてもよい。また、除塵駆動機構15の駆動モータ以外のモータによって後述する圧縮部123を回転し、HEPAフィルタ131の除塵と圧縮部123の回転とを別々に行ってもよい。
円筒状の捕集容器11はフィルタユニット保持部14の外周部にシール部材161を介して着脱自在に取り付けられる。シール部材161によってフィルタユニット保持部14と捕集容器11との間の空気漏れが抑止される。
捕集容器11の周面には先端に流入口111aを有する接続部111が突設される。接続部111は接続ホース3(図1参照)が接続され、流入口111aから捕集容器11の周接線方向に気流を流入させるように設けられる。これにより、捕集容器11内には旋回気流が形成され、旋回気流による遠心力によって塵埃が分離される。
また、捕集容器11の下部の内面は底面に向かって内径が小さくなるように傾斜する。これにより、捕集容器11の底部に堆積した塵埃を上面から容易に廃棄できるようになっている。
内筒12は円筒状に形成され、捕集容器11と同軸に配される。内筒12の上端には環状の凹部12aが設けられる。フィルタユニット保持部14の下端に設けた環状の支持部14cが凹部12aに係合して内筒12がフィルタユニット保持部14の下端に回転自在に吊り下げられている。内筒12の上下の端部を軸支して内筒12をフィルタユニット保持部14に対して回転自在に支持してもよい。
また、内筒12の上端には周方向に並ぶ複数の連結部12bが上方に突出して設けられる。連結部12bは傾斜除塵部材134の係合部134cに係合し、内筒12と傾斜除塵部材134とが一体回転可能になっている。内筒12及び傾斜除塵部材134にそれぞれ設けられた嵌合部を嵌合させることにより一体回転可能に連結してもよい。
内筒12の周面には気流の流出口121が開口する。流出口121の内周側には流出口121の全体を覆う円筒状の内筒フィルタ122が設けられている。内筒フィルタ122はメッシュ状のエアフィルタ等により形成され、流出口121を通過する空気を濾過する。
内筒フィルタ122は内筒12の外周側に設けてもよく、内筒フィルタ122に替えて流出口121をメッシュ状の孔により形成してもよい。しかしながら、本実施形態に示すように内筒フィルタ122を内筒12の内周側に設けるとより望ましい。これにより、内筒フィルタ122の外周面に捕集された塵埃を回転する内筒12の摺動によって脱落させ、内筒フィルタ122の清掃を行うことができる。
圧縮部123は内筒12の下端に取り付けられ、内筒12と一体に回転する。圧縮部123には軸部123b、遮蔽部123c及び螺旋部123aが設けられる。軸部123bは内筒12と同軸の筒状に形成され、内筒12に連通する。軸部123bの下端は捕集容器11の底面に突設される嵌合部11aにシール部材11bを介して嵌合する。
これにより、HEPAフィルタ131から除塵によって脱落した小さい塵埃は内筒12及び軸部123bを介して捕集容器11の底部に堆積する。この時、軸部123bが隔壁を形成し、捕集容器11の旋回気流内への小さい塵埃の流出が防止される。
遮蔽部123cは軸部123bと内筒12との境界面から径方向に延びた円板状に形成され、外周縁に環状のリブが軸方向に突設される。遮蔽部123cによって捕集容器11内が上部の分離部104と下部の集塵部105とに仕切られる。分離部104では旋回気流の遠心力によって塵埃を分離し、集塵部105では分離された塵埃が堆積する。
遮蔽部123cの外径は分離部104の内径より小さく、遮蔽部123cの外周と捕集容器11の内壁との間には隙間106が形成される。隙間106を大きく形成すると、分離部104で分離した比較的大きな塵埃を集塵部105へスムーズに移動させることができる。一方、隙間106を小さく形成すると、集塵部105に堆積した塵埃が上方に逆流することを抑制して内筒フィルタ122の目詰まりを低減することができる。このため、本実施形態では実験的に隙間106の最適値を取得し、約13mmにしている。
また、遮蔽部123cの外周縁に立設されるリブの高さを低くすると、分離部104における遠心分離性能が向上する。一方、該リブの高さを高くすると、集塵部105に堆積した塵埃が上方に逆流することを抑制できる。このため、本実施形態では実験的に遮蔽部123cの外周縁のリブの高さの最適値を取得し、約13mmにしている。
螺旋部123aは遮蔽部123cの下方に設けられ、軸部123bの周面から径方向に突出した一条または多条の螺旋状のネジ構造に形成される。また、図7に示すように、螺旋部123aは捕集容器11内の下方に向かって旋回する旋回気流(矢印R1)と同じ方向に傾斜するように形成される。
内筒12等とともに圧縮部123が矢印A方向(旋回気流と逆方向)に回転すると、螺旋部123aの下面が回転方向前方に向かって回転する。これにより、図8〜図11に示すように、捕集容器11の集塵部105内に堆積する綿埃等の比較的大きな塵埃200が圧縮される。
即ち、集塵部105内の塵埃200は捕集容器11の内面との摩擦によって周方向の移動が規制され、螺旋部123aの回転によって捕集容器11の底面に向かって軸方向に送り出される。そして、捕集容器11の底面と螺旋部123aの下面とによって塵埃200が圧縮される。
また、図12に示すように、圧縮された塵埃200上に新たに堆積した塵埃201は同様に圧縮部123の回転によって圧縮される。
ここで、比較的大きい塵埃200には例えば、髪の毛、綿埃、紙くず、ゴム・ビニール系の塵埃等が挙げられる。特に、直径が0.05〜0.15mmの髪の毛や、繊維の直径が約0.02mmの綿埃等の繊維系塵埃は紙くずやゴム・ビニール系の塵埃に比して本実施形態による圧縮率の向上効果が大きい。
図7において、螺旋部123aの上端の始端部123d(不図示、遮蔽部123cとの接続部)から下端の終端部123eまでの巻き付き角度は360゜(1周分)以上形成される。巻き付き角度を約570゜(約1.6周分)に形成するとより望ましい。
螺旋部123aの外径は遮蔽部123bの外径とほぼ同じに形成され、螺旋部123aの外周と捕集容器11の内壁との間には隙間107が形成される。隙間107は捕集容器11の内面が傾斜する部分に設けられるため、捕集容器11の底部に向かって小さくなっている。これにより、塵埃と捕集容器11の内壁との摩擦が大きくなり、塵埃をより効率的に軸方向に送り出して圧縮が行なわれる。
また、螺旋部123aの終端部123e(下端)と捕集容器11の底面との間には隙間108が形成される。これにより、圧縮された塵埃200(図11参照)が終端部123eに滞留することによる螺旋部123aの破損や、異物の詰まり等を防止することができる。
ここで、隙間108を設けても塵埃200が下方に送り出されることによって、終端部123eには大きい応力が作用する。このため、隙間108の大きさは圧縮された塵埃200の滞留や異物の詰まりが生じない程度に大きくすべきである。本実施形態ではIEC規格に基づくDMT標準ゴミTYPE8を試験ゴミとして10g使用した実験結果に基づき、隙間108の大きさを6〜13mmにしている。
尚、螺旋部123aの傾斜方向を上記と反対方向に形成し、捕集容器11内を上方に向かって旋回する気流と同じ方向に傾斜させてもよい。この時、圧縮部123は図7の矢印Aと反対方向に回転され、螺旋部123aの下面が回転方向前方に向かって回転する。これにより、塵埃を圧縮することができる。しかしながら、本実施形態に示すように、捕集容器11内を下方に向かって旋回する気流と同じ方向に螺旋部123a傾斜させると、下方に向かう旋回気流によって螺旋部123a間の塵埃を捕集容器11の底部に導くことができる。これにより、塵埃の圧縮率をより高くすることができる。
図13は圧縮部123を下方から見た斜視図を示している。同図において、圧縮部123の螺旋部123aを二条に形成した場合を示している。螺旋部123aが他の多条または一条の場合も同様に構成することができる。
螺旋部123aの捕集容器11の底面に対向した下端の面には多数の突起300aが設けられる。突起300aは後述するように、圧縮された塵埃を掛止して再膨張を抑制する掛止部を構成する。
突起300aは径方向及び周方向に並設して放射状に配置される。即ち、径方向に並ぶ複数の突起300aの列が放射状に複数配列されている。これにより、螺旋部123aの内周側と外周側で周方向に同じ数の突起部300aが形成される。各列の突起300aの径方向の位置は隣接した列の径方向に隣接する突起300aの間に配置される。これにより、各突起300aに塵埃が掛止されやすくなる。
突起300aは平面視線対称の三角錐に形成される。突起300aの突出量は圧縮部123の回転方向(矢印A)の前方から後方に向かって徐々に増加する。また、突起300aの径方向の長さL1は圧縮部123の回転方向(矢印A)の前方から後方に向かって徐々に減少する。
また、螺旋部123aの内周側に配される突起300aの径方向及び周方向の長さL1、L2が外周側に配される突起300aの径方向及び周方向の長さL1、L2よりも短くなっている。
図14、図15は圧縮部123の回転時及び回転停止時の塵埃の状態を示す概略図である。また、図16は比較のため、突起部300aを省いた圧縮部123の回転停止時の塵埃の状態を示す概略図である。図14に示すように、圧縮部123の矢印A方向の回転によって塵埃200は矢印Bに示すように下方に送り出される。
この時、突起部300aの突出量が回転方向(矢印A)の前方から後方に向かって徐々に増加するため、塵埃200の圧縮時の抵抗を小さくできる。
圧縮部123の回転を停止した際に、図16に示すように突起300aが設けられない場合は圧縮された塵埃200が破線200’に示すように弾性によって矢印C方向に上方に向かって膨張する。このため、塵埃が十分に圧縮されない。図15に示すように突起部300aが設けられると、圧縮された塵埃200は弾性により膨張し始めるが、突起300aに掛止されて膨張が抑制される。
この時、塵埃200は遠心力により分離されるため螺旋部123aの内周側よりも外周側で堆積量が多い。このため、螺旋部123aの内周側では突起300aの径方向及び周方向の長さL1、L2を短くしても塵埃200の掛止力を低下させずに圧縮時の抵抗を小さくすることができる。
また、図17に示すように、螺旋部123a上を流通する気流に含まれる比較的小さい粒子状の塵埃202は螺旋部123aの表面に付着する。この時、突起300aの下流側は流速が低い領域または流速が0の淀み領域となるため、粒子状の塵埃202が堆積しやすくなっている。大きな塵埃200は矢印Bに示すように下方に送り出されて圧縮される。
そして、図18に示すように、圧縮された塵埃200が突起300aによって掛止される。この時、突起300aに掛止された圧縮後の塵埃200は膨張が抑制されるため密度が高く、螺旋部123aの表面に付着した粒子状の塵埃202と接触して吸着しやすい。このため、圧縮された塵埃200が粒子状の塵埃202を吸着し、次回の圧縮時に塵埃202を含む塵埃200が圧縮される。これにより、捕集容器11内の塵埃の廃棄時に飛散する粒子状の塵埃を低減することができる。
特に、突起300aの下流端で粒子状の塵埃202が堆積しやすいため、突起300aに掛止された圧縮後の塵埃200と接触しやすくなる。加えて、螺旋部123a上を流通する気流は突起300aの下流端で渦を発生するため、気流に含まれる比較的小さい粒子状の塵埃の衝突確率が高くなる。このため、突起300aの下流端で粒子状の塵埃202は大きくなるとともに圧縮される。これにより、圧縮後の塵埃200に塵埃202がより吸着しやすくなるとともに、塵埃202を吸着した塵埃200をより強固に圧縮することができる。
上記構成の電気掃除機1において、電動送風機(不図示)の駆動によって吸込口体5から床面の塵埃が吸い込まれ、延長パイプ4及び接続ホース3を流通する。塵埃を含む気流はサイクロン分離装置20の流入口111aから捕集容器11に流入し、矢印R1(図7参照)に示すように捕集容器11内に旋回気流を形成する。旋回気流の遠心力によって分離部104で気流に含まれる比較的大きな塵埃が除去され、捕集容器11の集塵部105に堆積する。
塵埃が除去された気流は捕集容器11の底面に到達した後に旋回しながら上昇する。そして、矢印R2(図2参照)に示すように流出口121から内筒12内に流出して上昇し、HEPAフィルタ131により小さい塵埃が捕集される。HEPAフィルタ131を通過した気流は排気口40aを介してサイクロン分離装置20から流出する。サイクロン分離装置20から流出した気流は本体部2に設けた排気口(不図示)から排気される。
操作部7の操作により電動送風機を停止すると、除塵駆動機構15の駆動モータ(不図示)が所定時間だけ駆動される。これにより、ギヤ15a及びギヤ132bを介してフィルタ除塵部材132、傾斜除塵部材134、内筒12及び圧縮部123が一体に回転する。
フィルタ除塵部材132の回転によって接触部132aがHEPAフィルタ131に断続的に衝突する。これにより、HEPAフィルタ131には振動が加えられ、HEPAフィルタ131に捕集された塵埃が除塵されてフィルタユニット保持部14の円錐面14b上に落下する。この時、傾斜除塵部材134の摺動部134aが円錐面14bに摺動し、円錐面14b上の塵埃が内筒12及び圧縮部123の軸部123bを介して捕集容器11の底部に堆積する。
また、内筒12の回転によって内筒フィルタ121の外面に捕集された塵埃が除去される。圧縮部123の回転によって捕集容器11の集塵部105の塵埃が圧縮される。
サイクロン分離装置20を本体部2から脱着して捕集容器11を筐体10から上方へ取り外すと、捕集容器11の上面の開口面から塵埃を廃棄することができる。この時、圧縮部123により圧縮された塵埃200が突起300aによって膨張を抑制されるため密度が高く、ドーナツ型に固められて一体化される。これにより、廃棄時の塵埃200の飛散を低減することができる。
また、粒子状の塵埃202が圧縮された塵埃200に吸着されやすくなるため、捕集容器11の底部に堆積する粒子状の塵埃202や捕集容器11の内面に付着する塵埃202を低減することができる。これにより、塵埃の廃棄時に捕集容器11を揺動した際に飛散する粒子状の塵埃202を低減することができる。従って、使用者の不快感をより軽減することができる。
図19は本実施形態のサイクロン分離装置20の圧縮部123の圧縮による塵埃の体積と突起300aの突出量との関係を示している。縦軸は同じ体積の繊維系の塵埃200について突起300aを設けた場合と突起300aを省いた場合との圧縮後の体積比である。横軸は螺旋部123aのクリアランスに対する突起300aの突出量の比である。ここで、クリアランスは隣接する螺旋部123a間の軸方向の距離である。
同図によると、突起300aの突出量が小さいと塵埃を十分圧縮することができるが、突起300aの突出量が大きくなるに従って突起300aが圧縮時の邪魔になるため圧縮後の塵埃200の体積が大きくなる。
図20は本実施形態のサイクロン分離装置20の圧縮部123の回転を停止して圧縮が解除された後の塵埃の体積と突起300aの突出量との関係を示している。縦軸は圧縮後に同じ体積の繊維系の塵埃200について突起300aを設けた場合と突起300aを省いた場合との圧縮解除後の体積比である。横軸は螺旋部123aのクリアランスに対する突起300aの突出量の比である。
同図によると、突起300aの突出量が塵埃のスケールに対して半分以下程度に小さいと塵埃は容易に膨張し、突起300aのない従来と同等まで体積が大きくなる。しかし、突起300aの突出量が所定値を超えると突起300aの掛止によって塵埃の膨張を従来に対し抑制することができる。
図21は圧縮前に同じ体積の繊維系の塵埃に対し、圧縮及び圧縮解除した後の塵埃200の体積と突起300aの突出量との関係を示している。縦軸は圧縮前に同じ体積の塵埃200について突起300aを設けた場合と突起300aを省いた場合との圧縮解除後の体積比である。即ち、縦軸は図19の結果と図20の結果とを掛けた値である。横軸は螺旋部123aのクリアランスに対する突起300aの突出量の比である。
同図によると、突起300aの突出量を螺旋部123aのクリアランスの1/2以下にすると、突起300aが設けられない場合に比して塵埃の体積を小さくすることができる。また、突起300aの突出量を螺旋部123aのクリアランスの1/30〜1/5にすると、突起300aが設けられない場合に比して塵埃の体積を約90%以下にすることができる。
尚、圧縮後の塵埃200を確実に掛止するために、突起300aの突出量は少なくとも0.01mm以上設けることが望ましい。
本実施形態によると、圧縮部123の螺旋部123aの表面に突起300a(掛止部)を設けたので、圧縮部123によって圧縮された塵埃200の膨張が抑制される。従って、捕集容器11から塵埃を廃棄する頻度を削減して利便性を向上できるとともに、膨張により結合が緩くなる塵埃200の飛散を防止することができる。また、膨張が規制されて密度の高い塵埃200は螺旋部123aの表面に付着した粒子状の塵埃202を接触により吸着しやすくなり、粒子状の塵埃202の飛散を低減することができる。従って、使用者の不快感を軽減することができる。
また、突起300aを設けることにより、捕集容器11内の旋回気流によって突起300aの下流端に渦が発生し、塵埃の衝突確率が高くなる。これにより、塵埃が大型化されるとともに圧縮される。従って、圧縮部123で圧縮された塵埃に粒子状の塵埃が吸着されやすくなるとともに、塵埃をより強固に圧縮することができる。
また、突起300aの突出量が圧縮部123の回転方向前方から後方に向かって徐々に増加するので、塵埃の圧縮時の抵抗を小さくできるとともに、膨張する塵埃を容易に掛止することができる。特に、圧縮部123による塵埃の圧縮が掃除終了後に行われるため、圧縮時の抵抗を小さくすると圧縮時間を短縮でき、電気掃除機1の利便性を向上することができる。
また、螺旋部123aの内周側に配される突起300aが外周側に配される突起300aよりも径方向及び周方向に短いので、圧縮時の抵抗を小さくし、塵埃の堆積量の多い外周側で塵埃を確実に掛止することができる。
また、突起300aの突出量を螺旋部123aのクリアランスの1/2以下にしたので、突起300aがない場合に比して塵埃の体積を小さくすることができる。
また、突起300aの突出量を螺旋部123aのクリアランスの1/30〜1/5にすると、突起300aが設けられない場合に比して塵埃の体積を約90%以下にすることができる。
また、螺旋部123aが捕集容器11の底面に対向する下端面のみに突起300aを有するので、螺旋部123a間の塵埃を下方に送り出す際の抵抗を小さくできるとともに、螺旋部123aの下端面と捕集容器11の底面との間で圧縮された塵埃の膨張を確実に抑制することができる。また、圧縮部123を成形加工する際に金型を下方に抜いて容易に突起300aを形成することができる。
尚、突起300aを螺旋部123aの下端面以外の面にも設けてもよく、螺旋部123aの軸方向の両面に設けてもよい。これにより、圧縮部123の突起300aの形成が複雑になるが、塵埃の膨張をより確実に抑制できる。この時、螺旋部123aの下端面に設けた突起300aの突出量を他の面に設けた突起300aの突出量よりも大きするとより望ましい。これにより、螺旋部123a間の塵埃を下方に送り出す際の抵抗を小さくできる。
また、放射状の各列の突起300aの径方向の位置は隣接した列の径方向に隣接する突起300aの間に配置されるので、各突起300aによって塵埃をより確実に掛止することができる。
本実施形態において、突起300aが放射状に配置されるため、螺旋部123aの内周側及び外周側で周方向に同じ数量の突起300aが形成される。これに対し、螺旋部123aの外周側に配される突起300aの数量を内周側に配される突起300aの数量よりも多くしてもよい。これにより、圧縮時の抵抗を小さくし、塵埃の堆積量の多い外周側で塵埃を確実に掛止することができる。
また、螺旋部123aの外周側で径方向に隣接する突起300aの間隔を内周側で径方向に隣接する突起300aの間隔よりも小さくしてもよい。これにより、圧縮時の抵抗を小さくし、塵埃の堆積量の多い外周側で塵埃を確実に掛止することができる。
本実施形態の突起300aは三角錐により形成されるが、他の形状により形成してもよい。図22〜図28は突起300aの変形例を示している。図22は第1変形例の突起300aを示す斜視図である。第1変形例の突起300aは三角柱に形成され、周方向に同じ突出量に形成される。また、突起300aの径方向の長さL1は圧縮部123の回転方向(矢印A)の前方から後方に向かって徐々に増加する。これにより、塵埃の圧縮時の抵抗を小さくできる。
図23は第2変形例の突起300aを示す斜視図である。第2変形例の突起300aは三角錐に形成され、圧縮部123の回転方向(矢印A)の前方から後方に向かって突出量が徐々に増加する。また、突起300aの径方向の長さL1は圧縮部123の回転方向(矢印A)の前方から後方に向かって徐々に増加する。これにより、塵埃の圧縮時の抵抗を小さくできる。
図24は第3変形例の突起300aを示す斜視図である。第3変形例の突起300aは四角錐に形成され、圧縮部123の回転方向(矢印A)の前方から後方に向かって突出量が徐々に増加する。また、突起300aの径方向の長さL1は圧縮部123の回転方向(矢印A)の前方から後方に向かって徐々に増加する。これにより、塵埃の圧縮時の抵抗を小さくできる。
図25は第4変形例の突起300aを示す斜視図である。第4変形例の突起300aは五角錐に形成され、圧縮部123の回転方向(矢印A)の前方から後方に向かって突出量が徐々に増加する。また、突起300aの径方向の長さL1は圧縮部123の回転方向(矢印A)の前方から後方に向かって徐々に増加する。これにより、塵埃の圧縮時の抵抗を小さくできる。尚、突起300aを他の多角錐形状に形成してもよい。
図26は第5変形例の突起300aを示す斜視図である。第5変形例の突起300aは半円錐形に形成され、圧縮部123の回転方向(矢印A)の前方から後方に向かって突出量が徐々に増加する。また、突起300aの径方向の長さL1は圧縮部123の回転方向(矢印A)の前方から後方に向かって徐々に増加する。これにより、塵埃の圧縮時の抵抗を小さくできる。
図27、図28は第6変形例の突起300aを示す側面図及び平面図である。第6変形例の突起300aは曲面の周面を有している。突起300aの突出量は圧縮部123の回転方向(矢印A)の前方から後方に向かって徐々に増加した後、徐々に減少する。また、突起300aの径方向の長さL1は圧縮部123の回転方向(矢印A)の前方から後方に向かって徐々に増加した後、徐々に減少する。これにより、塵埃の圧縮時の抵抗を小さくできる。
次に、図29は第2実施形態の電気掃除機1のサイクロン分離装置20に係る圧縮部123の底面図を示している。説明の便宜上、前述の図1〜図18に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。本実施形態は圧縮部123の螺旋部123aの表面に突起300a(図13参照)に替えて放射状に延びる突起300bが設けられる。その他の部分は第1実施形態と同様である。
圧縮部123の螺旋部123aは捕集容器11(図2参照)の底面に対向する下端面のみに突起300bを有する。また、突起300aの突出量は圧縮部123の回転方向(矢印A)の前方から後方に向かって徐々に増加する。これにより、螺旋部123aの下端面はのこぎり歯形状に形成される。
本実施形態によると、第1実施形態と同様に、圧縮部123の回転によって塵埃を圧縮し、圧縮後の塵埃の膨張を突起300bの掛止によって防止することができる。
また、突起300bが螺旋部123aの下端面のみに設けられるので、螺旋部123a間の塵埃を下方に送り出す際の抵抗を小さくできる。加えて、圧縮部123を成形加工する際に金型を下方に抜いて容易に突起300bを形成することができる
また、突起300bの突出量が圧縮部123の回転方向(矢印A)の前方から後方に向かって徐々に増加するので、塵埃の圧縮時の抵抗をより小さくすることができる。
尚、加工が複雑になるが、突起300bを螺旋部123aの下端面以外の面にも設けてもよく、螺旋部123aの軸方向の両面に設けてもよい。
次に、図30は第3実施形態の電気掃除機1のサイクロン分離装置20に係る圧縮部123の上方から見た斜視図を示している。また、図31は図30のF矢視図であり、下部の螺旋部123aの上面図を示している。説明の便宜上、前述の図29に示す第2実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。本実施形態は圧縮部123の螺旋部123a上の突起300bが平行に延びて形成される。その他の部分は第2実施形態と同様である。
突起300bの突出量は圧縮部123の回転方向(矢印A)の前方から後方に向かって徐々に増加する。これにより、螺旋部123aの表面はのこぎり歯形状に形成され、塵埃の圧縮時の抵抗を小さくすることができる。また、突起300bは螺旋部123aの下端面及びその他の面の軸方向の両面に設けられる。これにより、圧縮後の塵埃を確実に掛止できる。
また、突起300bを平行に形成したので、圧縮部123を成形加工する際に矢印Dに示すように金型を軸方向に垂直な方向に抜いて螺旋部123aの複数の面に容易に突起300bを形成することができる。
この時、平行に配される突起300bは圧縮部123の中心線に対して延びた方向の傾斜角αが所定値よりも小さくなる範囲に形成される。即ち、傾斜角αが大きくなる範囲には突起300bが形成されない。傾斜角αが大きくなる範囲では圧縮部123を矢印A方向に回転して塵埃を圧縮する際に突起300bによる抵抗が大きくなる。このため、傾斜角αが所定値よりも小さい範囲に突起300bを形成して塵埃の圧縮時の抵抗を小さくすることができる。
次に、図32は第4実施形態の電気掃除機1のサイクロン分離装置20に係る圧縮部123の要部を示す側面図である。説明の便宜上、前述の図1〜図18に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。本実施形態は圧縮部123の螺旋部123aの両面に突起300aが設けられるとともに、軸部123bの周面に突起300cが設けられる。その他の部分は第1実施形態と同様である。
突起300cは前述の図23に示す突起300aと同様に形成され、平面視線対称の三角錐に形成される。突起300cの対称線Eは螺旋部123aと同じ傾斜角で傾斜する。突起300cの突出量は圧縮部123の回転方向(矢印A)の前方から後方に向かって徐々に増加する。また、突起300cの軸方向の長さは圧縮部123の回転方向(矢印A)の前方から後方に向かって徐々に増加する。尚、突起300a、300cを他の形状により形成してもよい。
上記構成の電気掃除機1において、圧縮部123が矢印A方向に回転すると、螺旋部123aの下面が回転方向前方に向かって回転する。これにより、捕集容器11の集塵部105内に堆積する綿埃等の比較的大きな塵埃200が圧縮される。
圧縮部123の回転が停止されると、圧縮された塵埃200は弾性により膨張し始めるが、突起300a及び突起300cに掛止されて膨張が抑制される。この時、突起300a及び突起300cに掛止された圧縮後の塵埃200は膨張が抑制されるため密度が高く、螺旋部123a及び軸部123bの表面に付着した粒子状の塵埃202(図17参照)と接触して吸着しやすい。このため、捕集容器11内の塵埃の廃棄時に飛散する小さい塵埃を低減することができる。
尚、突起300cの突出量は突起300aと同様に、螺旋部123aのクリアランスの1/2以下が望ましく、1/30〜1/5にするとより望ましい。
本実施形態によると、螺旋部123a及び軸部123bにそれぞれ突起300a及び突起300cが設けられるので圧縮後の塵埃をより確実に掛止することができる。
また、突起300cの対称線Eが螺旋部123aと同じ傾斜角で傾斜するので、塵埃の圧縮時の抵抗を小さくすることができる。
本実施形態において、螺旋部123aの突起300aを省き、軸部123b上の突起300cのみによって圧縮後の塵埃を掛止してもよい。
次に、第5実施形態について説明する。本実施形態の電気掃除機1のサイクロン分離装置20は圧縮部123の螺旋部123aの表面に第1実施形態の突起300a(図13参照)に替えて多数の凹部300d(図33参照)が設けられる。その他の部分は第1実施形態と同様である。
図33は本実施形態の螺旋部123aの表面を示す斜視図である。説明の便宜上、前述の図1〜図18に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。螺旋部123aの表面には平面視線対称の三角錐形状の凹部300dが形成される。凹部300dを螺旋部123aの下端面のみに設けてもよく、下端面及び他の面に設けてもよい。また、凹部300dを螺旋部123aの軸方向の両面に設けてもよい。
凹部300dは径方向及び周方向に並設して放射状に配置される。即ち、径方向に並ぶ複数の凹部300dの列が周方向に放射状に複数配列されている。これにより、螺旋部123aの内周側と外周側で周方向に同じ数の凹部300dが形成される。各列の凹部300dの径方向の位置は隣接した列の径方向に隣接する凹部300dの間に配置される。
凹部300dの深さ及び径方向の長さL1は圧縮部123の回転方向(矢印A)の前方から後方に向かって徐々に減少する。また、螺旋部123aの内周側に配される凹部300dの径方向及び周方向の長さL1、L2が外周側に配される凹部300dの径方向及び周方向の長さL1、L2よりも短くなっている。
圧縮部123が矢印A方向に回転すると、螺旋部123aの下面が回転方向前方に向かって回転する。捕集容器11の集塵部105内に堆積する綿埃等の比較的大きな塵埃200(図15参照)が圧縮される。また、圧縮された塵埃200は弾性により膨張し始めるが、凹部300dに掛止されて膨張が抑制される。これにより、凹部300dは圧縮された塵埃を掛止して再膨張を抑制する掛止部を構成する。
また、凹部300d内には小さい粒子状の塵埃202(図17参照)が堆積する。凹部300dに掛止された圧縮後の塵埃200は膨張が抑制されるため密度が高く、螺旋部123aの表面に付着した粒子状の塵埃202と接触して吸着しやすい。このため、捕集容器11内の塵埃の廃棄時に飛散する小さい塵埃を低減することができる。
本実施形態によると、第1実施形態と同様に、圧縮部123の螺旋部123aの表面に凹部300d(掛止部)を設けたので、圧縮部123によって圧縮された塵埃200の膨張が抑制される。従って、捕集容器11から塵埃を廃棄する頻度を削減して利便性を向上できるとともに、膨張により結合が緩くなる塵埃200の飛散を防止することができる。また、膨張が規制されて密度の高い塵埃200は螺旋部123aの表面に付着した粒子状の塵埃202を接触により吸着しやすくなり、粒子状の塵埃202の飛散を低減することができる。従って、使用者の不快感を軽減することができる。
尚、凹部300dは前述の図22〜図28と同様に他の形状に形成してもよい。
第1〜第5実施形態において、捕集容器11の底面に開閉自在の蓋部を設けてもよい。この場合、第4実施形態の電気掃除機1のサイクロン分離装置20に係る圧縮部123において、下部の隙間108(図7参照)に配された軸部123b(図32参照)上に突起300cを形成するとより望ましい。これにより、圧縮された塵埃200が突起300cに掛止されることで隙間108に留まりやすくなり、蓋部を開いた際に所定時間遅延して塵埃200が落下する。このため、サイクロン分離装置20がごみ箱上に搬送される直前に蓋部を開いてしまった場合でも塵埃を確実にごみ箱内に廃棄することができ、塵埃の飛散を低減することができる。
また、サイクロン分離装置20は電気掃除機1に搭載され、塵埃を分離して捕集する集塵装置を構成するが、これに限らずサイクロン分離装置20によって他の捕集物を分離して捕集してもよい。例えば、気流に含まれる穀物等の粉体から成る捕集物をサイクロン分離装置20により捕集してもよい。