JP5368302B2 - 硬化性組成物及びその硬化物 - Google Patents

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Description

本発明は、硬化性組成物及びその硬化物に関する。さらに詳しくは、アルケニル基含有ビニル系重合体と、ヒドロシリル基含有化合物、ヒドロシリル化触媒、およびアミン系酸化防止剤を含有してなる、潤滑油浸漬後の耐熱性が優れる硬化物を与えうる硬化性組成物及びその硬化物に関する。
ビニル系重合体を主成分とする成形体は、高分子量の重合体を各種添加剤とともにロールやミル等を用いて加熱状態で混練し、成形することにより得られる。その中で(メタ)アクリル系重合体を主成分とするアクリルゴムの成形体は、未加硫ゴム(アクリルゴム)に充填材、加硫剤等の配合剤を混練した後に加熱加硫成形することにより得られる。しかし、混練り時にロールに付着したり、シーティング時に平滑になりにくい等、作業性に劣る上に、成形時に非流動性である等の加工性の悪さと加硫速度が遅い上にスコーチしやすい等の硬化性の悪さといった問題がある(非特許文献1)。
これらの問題点を解決する方法として、本発明者らは、開始剤として有機ハロゲン化物等を、触媒として遷移金属錯体を用いる重合方法により得られる、特定末端構造を有する(メタ)アクリル系重合体のハロゲンをアルケニル基含有置換基に変換することにより、末端にアルケニル基を有する分子量分布が狭い(メタ)アクリル系重合体を製造する方法(特許文献1)を開発し、工場規模での製造を可能にしている。また、末端にアルケニル基を含有するビニル系重合体とヒドロシリル基含有化合物とを含む硬化性組成物を硬化させてなる成形体(特許文献2)や現場成形ガスケット(特許文献3、特許文献4)を提案している。末端にアルケニル基を含有するビニル系重合体とヒドロシリル基含有化合物とを含む硬化性組成物の硬化に利用されるヒドロシリル化反応は、低温では反応速度が非常に遅いか実質的には進行せず、加熱することによって速やかに反応が完結するという熱潜在性に優れた特徴を有する。従って、この硬化性組成物は、成形時にスコーチすることなく速やかに硬化物を得られるという利点を有する。
一方、従来の(メタ)アクリル系重合体を使用するアクリルゴムは、耐油性、耐熱性に優れることから潤滑油用シール材として広く用いられているが、アクリルゴム単独の耐熱老化性は実際の使用条件下では充分ではなく、耐熱老化性を改善するためにフェノール系酸化防止剤やアミン系酸化防止剤を添加することが一般的である(非特許文献2、特許文献5)。特に(メタ)アクリル系重合体を使用するアクリルゴムの場合には、アミン系酸化防止剤であるp,p´−ジクミルジフェニルアミンが卓越した効果を示すことが記されている。ヒドロシリル化可能なアルケニル基を有するビニル系重合体を含有する硬化性組成物に用いられる酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤としてジフェニルアミン系酸化防止剤、二次酸化防止剤としてイオウ系酸化防止剤が開示されている(特許文献6)。さらに、一般的なアクリルゴムに、二種類のアミン系酸化防止剤を添加する技術が開示されているが、高温耐熱性を向上させることができることを開示しているにすぎず、かつ、ヒドロシリル化可能なアルケニル基を有するアクリルゴムに関しても同様の効果を奏するかは不明である(特許文献5)。
アクリルゴム組成物に、充填剤あるいは白色顔料として酸化チタンを用いることは従来知られている技術であるが、酸化チタンとして本発明のアナターゼ型酸化チタンを示唆する具体的な記述はなく、耐熱性が向上するとの具体的な記述もない(特許文献7,8,9)。また、シリコンゴムに熱安定剤として火炎加水分解により製造された酸化チタンを用いることが提案されているが、その利用はシリコンゴムに限られており、アクリルゴムに関する具体的な記述はない(特許文献10)。
特開平9−272714号公報 特開2000−154255号公報 特開2000−154370号公報 特開2003−113288号公報 特開平11−21411号公報 WO2005/116134号公報 特開2000−154255号公報 特開平7−188356号公報 特開2004−59821号公報 特開平6−191848号公報 日本ゴム協会誌、第73巻第10号555頁(2000) 新版ゴム技術の基礎改訂版、日本ゴム協会編、156頁
本発明の目的は、一般的に良好な機械特性、耐油性、耐熱性等を示す硬化物を与える、ビニル系重合体を含有し、ヒドロシリル化反応により硬化し得る硬化性組成物において、潤滑油浸漬後も良好な耐熱性を有する硬化性組成物を提供することにある。
本発明者らは、従来の酸化防止剤を用いて、ヒドロシリル化可能なアルケニル基を有するビニル系重合体を含有する硬化性組成物を調製し、この硬化性組成物を硬化して硬化物を作製したところ、当該硬化物は潤滑油等に浸漬した後において耐熱性が充分ではない傾向を示す点に気づいた。そして、このような傾向は、硬化物が潤滑油に浸漬されると酸化防止剤が抽出されることにより製品中の酸化防止剤が減少し、その結果期待される耐熱性が得られないためと考えられた。そこで、本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、老化防止剤としてp−フェニレンジアミン系酸化防止剤、または、従来より知られているアミン系老化防止剤にアナターゼ型酸化チタンを加えることによって潤滑油浸漬後も良好な耐熱性を奏することを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、
(A)ヒドロシリル化反応可能なアルケニル基を分子中に少なくとも1個含有するビニル系重合体(I)(以下、単に「ビニル系重合体(I)」と称することがある。)、(B)ヒドロシリル基含有化合物(II)、(C)ヒドロシリル化触媒、および、(D)p−フェニレンジアミン系酸化防止剤を成分として含有する、硬化性組成物、または、
(A)ヒドロシリル化反応可能なアルケニル基を分子中に少なくとも1個含有するビニル系重合体(I)、(B)ヒドロシリル基含有化合物(II)、(C)ヒドロシリル化触媒、(E)アミン系酸化防止剤、及び、(F)アナターゼ型酸化チタン、を成分として含有する、硬化性組成物に関する。
上記ビニル系重合体(I)は、分子量分布が1.8未満であることが好ましい。
上記ビニル系重合体(I)としては、当該主鎖が(メタ)アクリル系モノマー、アクリロニトリル系モノマー、芳香族ビニル系モノマー、フッ素含有ビニル系モノマー及びケイ素含有ビニル系モノマーからなる群から選ばれるモノマーを主として重合して製造されるものを使用することができる。
上記ビニル系重合体(I)は、(メタ)アクリル系重合体であることが好ましく、アクリル系重合体であることがより好ましく、アクリル酸エステル系重合体であることがさらに好ましい。なかでも、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸2−メトキシブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリルからからなる群から選ばれる少なくとも1種を主として重合して製造されるものであることが特に好ましい。
上記ビニル系重合体(I)の主鎖はリビングラジカル重合法により製造されるものが好ましく、このリビングラジカル重合が原子移動ラジカル重合であることがより好ましい。
上記原子移動ラジカル重合は、触媒として周期律表第7族、8族、9族、10族、または11族元素を中心金属とする遷移金属錯体からなる群から選ばれる錯体を用いて行われることが好ましく、銅、ニッケル、ルテニウム、又は鉄の錯体からなる群より選ばれることがより好ましく、銅の錯体であることがさらに好ましい。
上記ビニル系重合体(I)は、以下の工程:
(1a)ビニル系モノマーを原子移動ラジカル重合法により重合することにより、一般式(1)
−C(R)(R)(X) (1)
(式中、RおよびRはビニル系モノマーのエチレン性不飽和基に結合した基を示す。Xは塩素、臭素またはヨウ素を示す。)で示す末端構造を有するビニル系重合体を製造し、
(2a)前記重合体の末端ハロゲンをヒドロシリル化反応可能なアルケニル基を有する置換基に変換する;
により得られるものであることが好ましい。
上記ビニル系重合体(I)は、以下の工程:
(1b)ビニル系モノマーをリビングラジカル重合法により重合することにより、ビニル系重合体を製造し、
(2b)前記重合体を重合性の低いアルケニル基を少なくとも2個有する化合物と反応させる;
により得られるビニル系重合体であることが好ましい。
上記ビニル系重合体(I)は、ヒドロシリル化反応可能なアルケニル基を分子鎖の末端に有することが好ましい。
上記(B)ヒドロシリル基含有化合物(II)はオルガノハイドロジェンポリシロキサンであることが好ましい。
上記硬化性組成物は、さらに(F)補強性シリカを含有することができる。
本発明は、上記硬化性組成物を硬化してなる硬化物に関する。
本発明によれば、一般的に良好な機械特性、耐油性、耐熱性等を示す硬化物を与える、ビニル系重合体を含有し、ヒドロシリル化反応により硬化し得る硬化性組成物において、潤滑油浸漬後も良好な耐熱性を有する硬化物およびその硬化物を与えうる硬化性組成物が得られる。
以下に、本発明の硬化性組成物およびその硬化物について詳述する。
<<(A)ビニル系重合体(I)>>
<主鎖>
本発明におけるビニル系重合体(I)は、ヒドロシリル化反応可能なアルケニル基を分子中に少なくとも1個含有するビニル系重合体であって、その主鎖を構成するビニル系モノマーとしては特に限定されず、各種のものを用いることができる。具体的には特開2005−232419公報段落[0018]記載の各種モノマーのような、(メタ)アクリル酸系モノマー、芳香族ビニル系モノマー、フッ素含有ビニル系モノマー、ケイ素含有ビニル系モノマー、マレイミド系モノマー、ニトリル基含有ビニル系モノマー、アミド基含有ビニル系モノマー、ビニルエステル類、アルケン類、共役ジエン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、塩化アリル、アリルアルコール等が挙げられる。これらは、単独で用いても良いし、複数を共重合させても構わない。ここで、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を表す。
本発明の硬化性組成物に使用されるビニル系重合体(I)の主鎖は、(メタ)アクリル系モノマー、アクリロニトリル系モノマー、芳香族ビニル系モノマー、フッ素含有ビニル系モノマー及びケイ素含有ビニル系モノマーからなる群より選ばれる少なくとも1つのモノマーを主として重合して製造されるものであることが好ましい。ここで「主として」とは、ビニル系重合体(I)を構成するモノマー単位のうち、50モル%以上が上記モノマーであることを意味し、好ましくは70モル%以上である。
なかでも、生成物の物性等から、芳香族ビニル系モノマー及び/または(メタ)アクリル酸系モノマーが好ましく、アクリル酸エステルモノマー及び/又はメタクリル酸エステルモノマーがより好ましく、アクリル酸エステルモノマーがさらに好ましい。特に好ましいアクリル酸エステルモノマーとしては、アクリル酸アルキルエステルモノマーが挙げられ、具体的には、アクリル酸エチル、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−メトキシブチルである。
本発明においては、これらの好ましいモノマーを他のモノマーと共重合、更にはブロック共重合させても構わなく、その際は、これらの好ましいモノマーが重量比で40重量%以上含まれていることが好ましい。
本発明におけるビニル系重合体(I)の分子量分布、即ち、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)は、特に限定されないが、好ましくは1.8未満であり、より好ましくは1.7以下であり、さらに好ましくは1.6以下であり、よりさらに好ましくは1.5以下であり、特に好ましくは1.4以下であり、最も好ましくは1.3以下である。分子量分布が大きすぎると同一架橋点間分子量における粘度が増大し、取り扱いが困難になる傾向にある。本発明でのGPC測定は、移動相としてクロロホルムを用い、測定はポリスチレンゲルカラムにて行い、数平均分子量等はポリスチレン換算で求めることができる。
本発明におけるビニル系重合体(I)の数平均分子量は特に制限はないが、GPCで測定した場合に、500〜1,000,000の範囲が好ましく、1,000〜100,000がより好ましく、5,000〜80,000がさらに好ましく、8,000〜50,000がなおさら好ましい。分子量が低くなりすぎると、ビニル系重合体(I)の本来の特性が発現されにくい傾向があり、一方、高くなりすぎると、取扱いが困難になる傾向がある。
<ビニル系重合体(I)の合成法>
本発明で使用するビニル系重合体(I)は、種々の重合法により得ることができ、特に限定されないが、モノマーの汎用性、制御の容易性等の点からラジカル重合法が好ましく、ラジカル重合の中でも制御ラジカル重合がより好ましい。この制御ラジカル重合法は「連鎖移動剤法」と「リビングラジカル重合法」とに分類することができる。得られるビニル系重合体(I)の分子量、分子量分布の制御が容易であるリビングラジカル重合がさらに好ましく、原料の入手性、重合体末端への官能基導入の容易さから原子移動ラジカル重合が特に好ましい。上記ラジカル重合、制御ラジカル重合、連鎖移動剤法、リビングラジカル重合法、原子移動ラジカル重合は公知の重合法ではあるが、これら各重合法については、たとえば、特開2005−232419公報や、特開2006−291073公報などの記載を参照できる。
本発明におけるビニル系重合体(I)の好ましい合成法の一つである、原子移動ラジカル重合について以下に簡単に説明する。
原子移動ラジカル重合では、有機ハロゲン化物、特に反応性の高い炭素−ハロゲン結合を有する有機ハロゲン化物(例えば、α位にハロゲンを有するカルボニル化合物や、ベンジル位にハロゲンを有する化合物)、あるいはハロゲン化スルホニル化合物等が開始剤として用いられることが好ましい。具体的には特開2005−232419公報 段落[0040]〜 [0064]記載の化合物が挙げられる。
ヒドロシリル化反応可能なアルケニル基を1分子内に2つ以上有するビニル系重合体を得るためには、2つ以上の開始点を持つ有機ハロゲン化物、又はハロゲン化スルホニル化合物を開始剤として用いるのが好ましい。具体的に例示するならば、
Figure 0005368302
Figure 0005368302
等が挙げられる。
原子移動ラジカル重合において用いられるビニル系モノマーとしては特に制約はなく、上述した例示したビニル系モノマーをすべて好適に用いることができる。
重合触媒として用いられる遷移金属錯体としては特に限定されないが、好ましくは周期律表第7族、8族、9族、10族、又は11族元素を中心金属とする金属錯体であり、より好ましくは0価の銅、1価の銅、2価のルテニウム、2価の鉄又は2価のニッケルを中心金属とする遷移金属錯体、特に好ましくは銅の錯体が挙げられる。銅の錯体を形成するために使用される1価の銅化合物を具体的に例示するならば、塩化第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、シアン化第一銅、酸化第一銅、過塩素酸第一銅等である。銅化合物を用いる場合、触媒活性を高めるために2,2′−ビピリジル若しくはその誘導体、1,10−フェナントロリン若しくはその誘導体、テトラメチルエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン若しくはヘキサメチルトリス(2−アミノエチル)アミン等のポリアミン等が配位子として添加される。
重合反応は、無溶媒でも可能であるが、各種の溶媒中で行うこともできる。溶媒の種類としては特に限定されず、特開2005−232419公報 段落[0067]]記載の
溶剤が挙げられる。これらは、単独でもよく、2種以上を併用してもよい。また、エマルジョン系もしくは超臨界流体COを媒体とする系においても重合を行うことができる。
重合温度は、限定はされないが、0〜200℃の範囲で行うことができ、好ましくは、室温〜150℃の範囲である。
<ヒドロシリル化反応可能なアルケニル基>
本発明で使用されるビニル系重合体(I)が含有するヒドロシリル化反応可能なアルケニル基としては、限定はされないが、一般式(2)で表されるものであることが好ましい。
C=C(R)− (2)
(式中、Rは水素又は炭素数1〜20の有機基を示す。)
上記Rの炭素数1〜20の有機基としては、特に限定されないが、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基が好ましく挙げられ、具体的には以下のような基が例示される。
−(CH−CH、−CH(CH)−(CH−CH、−CH(CHCH)−(CH−CH、−CH(CHCH、−C(CH−(CH−CH、−C(CH)(CHCH)−(CH−CH、−C、−C(CH)、−C(CH、−(CH−C、−(CH−C(CH)、−(CH−C(CH
(nは0以上の整数で、各基の合計炭素数は20以下)
ヒドロシリル化反応の活性の点から、Rとしては水素又はメチル基がより好ましい。
ビニル系重合体(I)のヒドロシリル化反応可能なアルケニル基は、特に限定はされないが、その炭素−炭素二重結合と共役するカルボニル基、アルケニル基、芳香族環により活性化されていないことが好ましい。
ヒドロシリル化反応可能なアルケニル基とビニル系重合体(I)の主鎖との結合形式は、特に限定されないが、炭素−炭素結合、エステル結合、エーテル結合、カーボネート結合、アミド結合、ウレタン結合等を介して結合されていることが好ましい。
ビニル系重合体(I)は、ヒドロシリル化反応可能なアルケニル基を分子中に少なくとも1個有するものであり、硬化物の機械物性の点から、ビニル系重合体1分子当たり平均して1.2個〜3.0個有するものが好ましい。特に限定するわけではないが、具体的には、ビニル系重合体1分子当たりに導入されたヒドロシリル化反応可能なアルケニル基の数をH−NMR分析により求めた平均値が1.2個〜3.0個であることが好ましく、1.5個〜2.5個であることがより好ましい。
本発明の硬化性組成物から得られる硬化物にゴム的な性質が特に要求される場合には、ゴム弾性に大きな影響を与える架橋点間分子量が大きくとれるため、ヒドロシリル化反応可能なアルケニル基の少なくとも1個は分子鎖(主鎖)の末端にあることが好ましい。より好ましくは、全てのヒドロシリル化反応可能なアルケニル基を分子鎖末端に有するものである。
上記ヒドロシリル化反応可能なアルケニル基を分子末端に少なくとも1個有するビニル系重合体、中でも(メタ)アクリル系重合体は、特公平3−14068号公報、特公平4−55444号公報、特開平6−211922号公報等に開示されている方法により製造できる。しかしながら、これらの方法は上記「連鎖移動剤法」を用いたフリーラジカル重合法であるので、得られる重合体は、ヒドロシリル化反応可能なアルケニル基を比較的高い割合で分子鎖末端に有する一方で、分子量分布(Mw/Mn)の値が一般に2以上と大きく、粘度が高くなるという問題を有している。従って、分子量分布が狭く、粘度の低いビニル系重合体であって、高い割合で分子鎖末端にヒドロシリル化反応可能なアルケニル基を有するビニル系重合体を得るためには、上記「リビングラジカル重合法」を用いることが好ましい。
<ヒドロシリル化反応可能なアルケニル基導入法>
得られたビニル系重合体へのヒドロシリル化反応可能なアルケニル基の導入方法としては、公知の方法を利用することができる。例えば、特開2005−232419公報 段落[0074]〜[0099]記載の方法が挙げられる。これらの方法の中でも制御がより容易である点から、ジエン化合物添加法が好ましい。水酸基を分子中に少なくとも1個含有するビニル系重合体から得る場合は、制御がより容易である点から重合の終期にアルケニルアルコールを反応させる方法(B−b)、重合体の反応末端に安定化カルバニオンを反応させる方法(B−i)により得られる、水酸基を分子中に少なくとも1個含有するビニル系重合体を用いることが好ましい。
ここでは、好ましい導入方法の一つである、ジエン化合物添加法について以下に簡単に説明する。ジエン化合物添加法は、ビニル系モノマーのリビングラジカル重合により得られるビニル系重合体に、重合性の低いアルケニル基を少なくとも2個有する化合物(以下、「ジエン化合物」という。)を反応させる。
ジエン化合物が有するアルケニル基としては、末端アルケニル基[CH=C(R)−R’;Rは水素又は炭素数1〜20の有機基、R’は炭素数1〜20の一価または二価の有機基であり、RとR’は互いに結合して環状構造を有していてもよい。]又は内部アルケニル基[R’−C(R)=C(R)−R’;Rは水素又は炭素数1〜20の有機基、R’は炭素数1〜20の一価または二価の有機基であり、二つのR若しくは二つのR’は互いに同一であってもよく異なっていてもよい。二つのRと二つのR’のうちいずれか二つが互いに結合して環状構造を有していてもよい。]のいずれでもよいが、末端アルケニル基がより好ましい。Rは水素又は炭素数1〜20の有機基であるが、炭素数1〜20の有機基としては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基が好ましい。これらの中でもRとしては水素又はメチル基が特に好ましい。R’の炭素数1〜20の一価または二価の有機基としては、炭素数1〜20の一価または二価のアルキル基、炭素数6〜20の一価または二価のアリール基、炭素数7〜20の一価または二価のアラルキル基が好ましい。これらの中でもR’としてはメチレン基、エチレン基、イソプロピレン基が特に好ましい。ジエン化合物の少なくとも2つのアルケニル基は互いに同一又は異なっていてもよく、ジエン化合物のアルケニル基のうち、少なくとも2つのアルケニル基は共役していてもよい。
ジエン化合物の具体例としては例えば、イソプレン、ピペリレン、ブタジエン、ミルセン、1,5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエン、4−ビニル−1−シクロヘキセン等が挙げられるが、1,5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエンが好ましい。
ビニル系モノマーのリビングラジカル重合を行い、得られた重合体を重合系より単離した後、単離した重合体とジエン化合物をラジカル反応させることにより、目的とする末端にアルケニル基を有するビニル系重合体を得ることも可能であるが、重合反応の終期あるいは所定のビニル系モノマーの反応終了後にジエン化合物を重合反応系中に添加する方法が簡便であるのでより好ましい。
ジエン化合物の添加量は、2つのアルケニル基の反応性に大きな差があるジエン化合物を使用する場合、重合体成長末端に対して当量又は小過剰量程度であればよく、2つのアルケニル基の反応性が等しい又はあまり差がないジエン化合物を使用する場合、重合体生長末端に対して過剰量であることが好ましく、具体的には1.5倍以上が好ましく、さらに好ましくは3倍以上、特に好ましくは5倍以上である。
本発明の硬化性組成物に使用されるビニル系重合体(I)としては、上述した製法の中でも、下記方法により得られるものが特に好適である。
第1の方法としては、
(1a)ビニル系モノマーを原子移動ラジカル重合法により重合することにより、下記一般式(1)
−C(R)(R)(X) (1)
(式中、R及びRはビニル系モノマーのエチレン性不飽和基に結合した基を示す。Xは塩素、臭素又はヨウ素を示す。)
で示す末端構造を有するビニル系重合体を製造し、
(2a)前記重合体の末端ハロゲンを、ヒドロシリル化反応可能なアルケニル基を有する置換基に変換する、
方法が挙げられる。
第2の方法としては、
(1b)ビニル系モノマーをリビングラジカル重合法により重合することにより、ビニル系重合体を製造し、
(2b)前記重合体を、重合性の低いアルケニル基を少なくとも2個有する化合物と反応させる、
方法が挙げられる。
<<(B)ヒドロシリル基含有化合物(II)>>
(B)成分のヒドロシリル基含有化合物(II)としては、(A)成分のヒドロシリル化反応可能なアルケニル基を分子中に少なくとも1個含有するビニル系重合体(I)と架橋により硬化できるヒドロシリル基含有化合物であれば、特に制限はなく、各種のものを用いることができるが、オルガノハイドロジェンポリシロキサンであることが好ましい。
オルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、公知の鎖状または環状オルガノハイドロジェンポリシロキサンを使用することができ、(メタ)アクリル系重合体との相溶性の観点からは、芳香族環含有鎖状または環状オルガノハイドロジェンシロキサンが好適である。具体的には、特開2006−291073号公報 段落[0088]〜[0093]記載のヒドロシリル基含有化合物が挙げられる。
また、分子中に2個以上のアルケニル基を有する低分子化合物でヒドロシリル基の一部が置換された鎖状または環状オルガノハイドロジェンポリシロキサンを使用することもできる。具体的には、過剰量の上記ヒドロシリル基含有化合物に対し、後述するヒドロシリル化触媒の存在下、分子中に2個以上のアルケニル基を有する低分子化合物をゆっくり滴下することにより得られる変性ヒドロシリル基含有化合物をヒドロシリル基含有化合物(II)として使用できる。分子中に2個以上のアルケニル基を有する低分子化合物としては、脂肪族炭化水素系化合物、エーテル系化合物、エステル系化合物、カーボネート系化合物、イソシアヌレート系化合物や芳香族炭化水素系化合物等が挙げられ、具体的には特開2006−291073号公報 段落[0094]記載の化合物を使用できる。このような変性ヒドロシリル基含有化合物のうち、原料の入手容易性、過剰に用いたヒドロシリル基含有化合物の除去のしやすさ、さらにはビニル系重合体(I)への相溶性を考慮して、下記のものが好ましく挙げられる。
Figure 0005368302
本発明の硬化性組成物における(B)成分の配合量としては特に限定されないが、硬化性の面から、(A)成分中のヒドロシリル化反応可能なアルケニル基と(B)成分中のSiH(ヒドロシリル)基のモル比((B)/(A))が5〜0.2の範囲にあることが好ましく、2.5〜0.4であることが特に好ましい。モル比が5より大きいと、硬化後も硬化物中に活性なヒドロシリル基が多く残るので、クラック、ボイドが発生し、均一で強度のある硬化物が得られにくくなる傾向があり、0.2より小さいと、硬化が不十分で強度の小さい硬化物が得られ易くなる傾向がある。
本発明の硬化性組成物においては、上記ヒドロシリル基含有化合物を1種類のみで使用しても良いし、2種類以上混合使用しても良い。
<<(C)ヒドロシリル化触媒>>
本発明における(C)成分であるヒドロシリル化触媒については、特に制限はなく、通常ヒドロシリル化反応に使用される公知のヒドロシリル化触媒を任意に使用できる。具体的には、白金触媒、特開2005−232419公報36頁段落[0137]記載のヒドロシリル化触媒が挙げられる。これらの触媒は単独で使用してもよく、2種以上併用しても構わない。触媒活性の点から塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体、Pt(acac)等が好ましい。
本発明の硬化性組成物における(C)ヒドロシリル化触媒の使用量としては特に制限はないが、(A)成分中のヒドロシリル化反応可能なアルケニル基1molに対して10−1〜10−8molの範囲で用いるのが好ましい。より好ましくは10−2〜10−6molの範囲である。また、ヒドロシリル化触媒は、一般に高価で腐食性であり、また、水素ガスを大量に発生して硬化物を発泡させてしまう場合があるので、10−1molより多く用いない方がよい。
<<(D)p−フェニレンジアミン系酸化防止剤>>
本発明の硬化性組成物では、(D)p−フェニレンジアミン系酸化防止剤を使用することにより潤滑油浸漬後の耐熱性を改善できる。本発明で用いられる(D)p−フェニレンジアミン系酸化防止剤については、特に制限はなく、公知のものを任意に使用できる。p−フェニレンジアミン系酸化防止剤としては具体的に例示すれば、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニルジアミン、N−フェニル−N’−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−p−フェニレンジアミン、4−(アニリノフェニル)メタクリルアミド、4−(メルカプトアセトアミド)ジフェニルアミン、2−〔(メルカプトアセチル)オキシ〕エチル−3−[〔4−(フェニルアミノ)フェニル〕アミノ]ブタネート、N,N’−ビス(1−メチルへプチル)−p−フェニレンジアミン、N,N−ビス(1,4−ジメチルペンチル)−p−フェニレンジアミン、N−(1,3−ジメチルブチル)−N‘−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−シクロへキシル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、2,4,6−トリス(N−1,4−ジメチルペンチル−p−フェニレンジアミノ)1,3,5−トリアジン、ジアリル−p−フェニレンジアミン混合物、フェニル−オクチル−p−フェニレンジアミン等のp−フェニレンジアミン系酸化防止剤等が挙げられる。具体的に商品名を挙げると、ノクラックWhite、ノクラックDP、ノクラック810−NA、ノクラック6C、ノクラックG−1、ノクラック500(以上いずれも大内新興化学工業製)、アンテージ3C、アンテージ6C(以上いずれも川口化学製)、ノンフレックスH、ノンフレックスF、ノンフレックス3CH、オゾノン3C、オゾノン6C、オゾノン35、オゾノン35−PR、オゾノン3W(以上いずれも精工化学製)、ブルカノックス4010NA、ブルカノックス4030、ブルカノックス4020/LG、ブルカノックス3100、レノグランIPPD(以上いずれもバイエル製)、(以上いずれもエスアンドエスジャパン製)、イルガゾーン997(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)、アンチゲン3C、アンチゲン6C(以上いずれも住友化学製)、パーマナックスIPPD、サントフレックス44、サントフレックス6PPD(以上いずれもフレキシス製)等が例示できるがこれらに限定されるものではない。
これらの中でも、耐熱性に優れる点から、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−p−フェニレンジアミン等が好ましく、入手性、硬化物表面へのブリードが少ない点から、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−p−フェニレンジアミンがより好ましい。
本発明の硬化性組成物における(D)p−フェニレンジアミン系酸化防止剤の使用量としては特に制限はないが、(A)成分100重量部に対し、0.1〜10重量部が好ましく、0.5〜5重量部用いることがより好ましい。配合量が0.1重量部未満の場合には、耐熱性の改善効果が充分でないことがあり、10重量部を越えると経済的に不利であるばかりでなく、逆に耐熱性が劣化してしまう場合がある。上記p−フェニレンジアミン系酸化防止剤は1種類のみで使用しても良いし、2種類以上混合使用しても良い。
<<(E)アミン系酸化防止剤>>
本発明の硬化性組成物において(E)アミン系酸化防止剤を使用する場合は、後述の(F)アナターゼ型酸化チタンと併用することにより潤滑油浸漬後の耐熱性が改善できる。本発明で用いられる(E)アミン系酸化防止剤については、特に制限はなく、公知のものを任意に使用できる。アミン系酸化防止剤としては、アミン−ケトン系化合物および芳香族系アミン化合物が例示される。アミン−ケトン系化合物としては、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体、6−エトキシ−1,2−ジヒドロ−2,2,4−トリメチルキノリン、ジフェニルアミンとアセトンの反応物等が挙げられる。具体的に商品名を挙げると、ノクラック224、ノクラックAW、ノクラックAW−N、ノクラックB、ノクラックB−N(以上いずれも大内新興化学工業製)、アンテージRD、アンテージRD−G、アンテージAW(以上いずれも川口化学製)、ノンフレックスRD、ノンフレックスQS、ノンフレックスAW、ノンフレックスBA、ノンフレックスBA−P、ノンフレックスBAR(以上いずれも精工化学製)、ブルカノックスHS/LG、ブルカノックスHS/粉末(以上いずれもバイエル製)、KorestabTMQ(エスアンドエスジャパン製)、アミノックス(白石カルシウム製)等が例示できるがこれらに限定されるものではない。
芳香族系アミン化合物としては、ナフチルアミン系酸化防止剤、ジフェニルアミン系酸化防止剤、およびp−フェニレンジアミン系酸化防止剤が挙げられ、これらの化合物を具体的に例示すれば、フェニル−α−ナフチルアミン等のナフチルアミン系酸化防止剤;p−(p−トルエンスルホニルアミド)ジフェニルアミン、4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、4,4’−ジスチリルジフェニルアミン、4,4’−ジオクチルジフェニルアミン、オクチル化ジフェニルアミン、ジフェニルアミンとジイソブチレンの反応物、アルキル化ジフェニルアミン、p−イソプロポキシ−ジフェニルアミン、ビス(フェニル−イソプロピリデン)−4,4−ジフェニルアミン、4−(α−フェニルエチル)ジフェニルアミン、4,4’−ビス(α−フェニルエチル)ジフェニルアミン、スチレン化ジフェニルアミン、ジ−tert−ブチルジフェニルアミン、ジフェニルアミン誘導体等のジフェニルアミン系酸化防止剤等が挙げられる。ナフチルアミン系酸化防止剤やジフェニルアミン系酸化防止剤の商品名を具体的に挙げると、ノクラックPA、ノクラックODA、ノクラックODA−N、ノクラックAD−F、ノクラックCD、ノクラックTD、アンテージOD、アンテージLDA、アンテージDDA、アンテージSTDP−N、アンテージBC(以上いずれも川口化学製)、ノンフレックスOD−R、ノンフレックスBA、ノンフレックスBAR、ノンフレックスOD−3、ノンフレックスDCD、ノンフレックスLAS−P、ステアラーLAS、ステアラーSTAR(以上いずれも精工化学製)、ブルカノックスOCD/SG(以上いずれもバイエル製)、(以上いずれもエスアンドエスジャパン製)ナウガードPANA、アラノックス、ナウガード445(以上いずれも白石カルシウム製)、Irganox5057(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)、Wingstay29(米国貿易製)、スミライザー9A(以上いずれも住友化学製)等が例示できるがこれらに限定されるものではない。p−フェニレンジアミン系酸化防止剤の具体的な化合物および商品名として、上記(D)p−フェニレンジアミン系酸化防止剤で列挙されたものと同一のものが挙げられる。
これらの中でも、耐熱性に優れる点から、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体、4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、4,4’−ジオクチルジフェニルアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−p−フェニレンジアミン等が好ましく、入手性、硬化物表面へのブリードが少ない点から、4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−p−フェニレンジアミンがより好ましい。
本発明の硬化性組成物における(E)アミン系酸化防止剤の使用量としては特に制限はないが、(A)成分100重量部に対し、0.1〜10重量部が好ましく、0.5〜5重量部用いることがより好ましい。配合量が0.1重量部未満の場合には、耐熱性の改善効果が充分でないことがあり、10重量部を越えると経済的に不利であるばかりでなく、逆に耐熱性が劣化してしまう場合がある。上記アミン系酸化防止剤は1種類のみで使用しても良いし、2種類以上混合使用しても良い。
<<(F)アナターゼ型酸化チタン>>
本発明の硬化性組成物において(E)アミン系酸化防止剤が使用される場合は、(F)アナターゼ型酸化チタンが併用される。ただし、本発明の硬化性組成物において(E)アミン系酸化防止剤のうち(D)p−フェニレンジアミン系酸化防止剤が使用される場合は、(F)アナターゼ型酸化チタンを併用しなくても、潤滑油浸漬後の耐熱性が改善できる。もちろん、(D)p−フェニレンジアミン系酸化防止剤が使用される場合に(F)アナターゼ型酸化チタンを併用しても本願発明の効果を奏することができる。
本発明で用いられる(F)アナターゼ型酸化チタンについては、特に制限はなく、任意のものが使用できる。酸化チタンには、アナターゼ、ルチル、ブルッカイトの三種の結晶形が存在するが、本発明で使用可能な酸化チタンはアナターゼ型のものである。酸化チタンは一般的に白色顔料として使用されているが、これは三種の結晶形のうちルチル型を用いたものであり、アナターゼ型酸化チタンは主として光触媒用酸化チタンとして用いられている。本発明のアナターゼ型酸化チタンは、結晶構造としてアナターゼ型を含んでいればよく、他の結晶構造の酸化チタンとの混合物、あるいは他の化合物との混合物でもよい。また、アナターゼ型酸化チタンを他の化合物に担持したもの、例えば新東Vセラックス社の光触媒シリカゲルHQCシリーズ等でもよい。
このようなアナターゼ型酸化チタンとしては、例えば、石原産業社のST−01、ST−21、ST−31、ST−41、ST−30L、STS−01、STS−02、STS−21、STS−100等、テイカ社のJA−1、JA−C、JA−3、JA−4、JA−5、ST−157、AMT−100、AMT−600、TITANIX JA−1、TKP−TKP−102、TKS−201、TKS−202、TKS−203、TKS−251、TKD−701、TKD−702、TKC−303、TKC−304、TKC−305等、堺化学社のA−110、TCA−123E、A−190、A−197、SA−1、SA−1L、SSP−25、SSP−20、SSP−M、CSBシリーズ等、チタン工業社のSTT−65C−S、STT−30EHJ、PC−101、PC−201、富士チタン工業社のTA−100、TA−200、TA−300、TA−400、TA−500、TP−2等、多木化学社のタイノックA−6、M−6、AM−15、H−30、R−30、A−100等、日本アエロジル社のアエロキサイドP25等を挙げることができる。これらの中でも、取り扱いやすさおよび潤滑油浸漬後の耐熱性改善の効果に優れる点からアエロキサイドP25が好ましい。
本発明の硬化性組成物における(F)アナターゼ型酸化チタンの使用量としては特に制限はないが、(A)成分100重量部に対し、0.1〜100重量部が好ましく、0.5〜50重量部がより好ましく、0.5〜5重量部用いることがさらに好ましい。配合量が0.1重量部未満の場合には、耐熱性の改善効果が充分でないことがあり、100重量部を越えると経済的に不利であるばかりでなく、逆に耐熱性が劣化してしまう場合がある。上記(F)アナターゼ型酸化チタンは1種類のみで使用しても良いし、2種類以上混合使用しても良い。
<<(G)補強性シリカ>>
本発明で用いられる硬化性組成物には、必要に応じて(G)補強性シリカをさらに含有させることができる。
補強性シリカとしては、ヒュームドシリカ、湿式法シリカ等が挙げられる。これらの中でも粒子径が50μm以下であり、比表面積(BET法(不活性気体の低温低湿物理吸着)による)が80m/g以上のものが補強性の効果から好ましい。また、表面処理シリカ、例えば、オルガノシラン、オルガノシラザン、ジオルガノシクロポリシロキサン等で表面処理されたものは、成形に適した流動性を発現しやすいためさらに好ましい。補強性シリカのより具体的な例としては、特に限定されないが、ヒュームドシリカの1つである日本アエロジル社のアエロジル、トクヤマ社のレオロシール、湿式法シリカの1つである東ソー・シリカ社のNipsil、富士シリシア社のサイリシア、サイロホービック、トクヤマ社のトクシール、ファインシール、デグッサ社のカープレックス、Sipernat、水澤化学社のミズカシル等が挙げられる。
本発明の硬化性組成物における(G)補強性シリカの添加量としては特に制限はないが、(A)成分100重量部に対して、好ましくは0.1〜100重量部、より好ましくは0.5〜80重量部、さらに好ましくは1〜50重量部である。配合量が0.1重量部未満の場合には、補強性の改善効果が充分でないことがあり、100重量部を越えると該硬化性組成物の作業性が低下したりすることがある。また、当該補強性シリカ(G)は単独で使用しても良いし、2種以上併用しても良い。
<<硬化性組成物>>
本発明で用いられる硬化性組成物は、上記(A)、(B)、(C)および(D)、または、(A)、(B)、(C)、(E)および(F)、必要に応じ(G)成分を含有してなるものであるが、物性を調整するために、さらに各種の添加剤、例えば、硬化調整剤、金属石鹸、充填材、微小中空粒子、可塑剤、接着性付与剤、溶剤、難燃剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、物性調整剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、オゾン劣化防止剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、発泡剤、光硬化性樹脂等を、必要に応じて適宜配合してもよい。これらの各種添加剤は、単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
<硬化調整剤>
本発明で用いられる硬化性組成物には、貯蔵安定性と硬化性のバランスを両立させるために、必要に応じて硬化調整剤をさらに含有させることができる。
硬化調整剤としては、特に制限はなく、任意のものが使用できるが、脂肪族不飽和結合を含む化合物であることが好ましい。
脂肪族不飽和結合を含む化合物としては、例えば、
Figure 0005368302
(式中、R、Rは、同一又は異なって、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、又は、炭素数6〜10のアリール基を表し、両者は相互に連結していてもよい。)で示されるアセチレンアルコール類が例示される。特に、これらアセチレンアルコール類においては、RあるいはRのかさ高さが貯蔵安定性に大きく関与しており、RあるいはRがかさ高いものが高温での貯蔵安定性に優れることから好ましい。しかし、かさ高いものになりすぎると、貯蔵安定性には優れるものの、硬化性が悪くなるという欠点があり、貯蔵安定性と硬化性のバランスのとれたアセチレンアルコールを選ぶことが重要である。
貯蔵安定性と硬化性のバランスのとれたアセチレンアルコール類の例としては、特開2005−232419公報 段落[0143]記載のアセチレンアルコール類が挙げられる。これらの中でも、入手性の点から、1−エチニル−1−シクロヘキサノール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オールがより好ましい。
アセチレンアルコール類以外の高温での貯蔵安定性を改良する脂肪族不飽和結合を含む化合物としては、特開2005−232419公報 段落[0143]〜39頁段落[0152]に記載の化合物等が挙げられる。
硬化調整剤の使用量としては、(A)成分及び(B)成分に均一に分散する限りにおいては、ほぼ任意に選ぶことができるが、(C)成分のヒドロシリル化触媒に対して、2〜10000モル当量の範囲で用いることが好ましい。より好ましくは5〜1000モル当量の範囲である。2モル当量より少ない場合には、貯蔵安定性が不十分となる場合があり、10000モル当量を超える場合は、硬化が遅くなる傾向がある。
また、硬化調整剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<金属石鹸>
本発明で用いられる硬化性組成物には、金型離型性を高めるために必要に応じて金属石鹸をさらに含有させることができる。
金属石鹸としては、特に制限はないが、一般に長鎖脂肪酸と金属イオンが結合したものであり、脂肪酸に基づく無極性あるいは低極性の部分と、金属との結合部分に基づく極性の部分を一分子中に合わせて持っているものであれば、公知のものを任意に使用できる。
長鎖脂肪酸としては、例えば炭素数1〜18の飽和脂肪酸、炭素数3〜18の不飽和脂肪酸、脂肪族ジカルボン酸等が挙げられる。これらの中では、入手性の点から炭素数1〜18の飽和脂肪酸が好ましく、離型性の効果の点から炭素数6〜18の飽和脂肪酸が特に好ましい。金属イオンとしては、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウム)、アルカリ土類金属(マグネシウム、カルシウム、バリウム)、亜鉛、鉛、コバルト、アルミニウム、マンガン、ストロンチウム等が挙げられる。
具体的に例示すれば、特開2005−232419公報 段落[0155]記載の金属石鹸が挙げられる。
これらの金属石鹸の中では、入手性、安全性の点からステアリン酸金属塩類が好ましく、特に経済性の点から、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛からなる群から選択される1つ以上のものが最も好ましい。
この金属石鹸の添加量としては特に制限はないが、ビニル系重合体(I)100重量部に対して0.025〜5重量部の範囲で使用することが好ましく、0.05〜4重量部使用するのがより好ましい。配合量が5重量部より多いと硬化物の物性が低下する傾向があり、0.025重量部より少ないと金型離型性が得られにくい傾向がある。
<充填材>
本発明の硬化性組成物には、(G)成分である補強性シリカの他に、各種充填材を必要に応じて用いても良い。
充填材としては、特に限定されないが特開2005−232419公報 段落[0158]記載の充填材が挙げられる。
これら充填材のうちでは、結晶性シリカ、溶融シリカ、ドロマイト、カーボンブラック、炭酸カルシウム、酸化チタン、タルク等が好ましい。
特に、これら充填材で強度の高い硬化物を得たい場合には、主に結晶性シリカ、溶融シリカ、無水ケイ酸、含水ケイ酸、カーボンブラック、表面処理微細炭酸カルシウム、焼成クレー、クレー及び活性亜鉛華等から選ばれる充填材を添加できる。なかでも、比表面積(BET吸着法による)が50m/g以上、通常50〜400m/g、好ましくは100〜300m/g程度の超微粉末状のシリカが好ましい。またその表面が、オルガノシランやオルガノシラザン、ジオルガノポリシロキサン等の有機ケイ素化合物で予め疎水処理されたシリカが更に好ましい。
また、低強度で伸びが大である硬化物を得たい場合には、主に酸化チタン、炭酸カルシウム、タルク、酸化第二鉄、酸化亜鉛及びシラスバルーン等から選ばれる充填材を添加できる。なお、一般的に、炭酸カルシウムは、比表面積が小さいと、硬化物の破断強度、破断伸びの改善効果が充分でないことがある。比表面積の値が大きいほど、硬化物の破断強度、破断伸びの改善効果はより大きくなる。
更に、炭酸カルシウムは、表面処理剤を用いて表面処理を施してある方がより好ましい。表面処理炭酸カルシウムを用いた場合、表面処理していない炭酸カルシウムを用いた場合に比較して、本発明の硬化性組成物の作業性を改善し、該硬化性組成物の貯蔵安定性効果がより向上すると考えられる。
前記の表面処理剤としては、公知のものを使用でき、例えば、特開2005−232419公報 段落[0161]記載の表面処理剤が挙げられる。
この表面処理剤の処理量は、炭酸カルシウムに対して、0.1〜20重量%の範囲で処理するのが好ましく、1〜5重量%の範囲で処理するのがより好ましい。処理量が0.1重量%未満の場合には、作業性の改善効果が充分でないことがあり、20重量%を越えると、該硬化性組成物の貯蔵安定性が低下することがある。
特に限定はされないが、炭酸カルシウムを用いる場合、配合物のチクソ性や硬化物の破断強度、破断伸び等の改善効果を特に期待する場合には、膠質炭酸カルシウムを用いるのが好ましい。
一方、重質炭酸カルシウムを配合物の増量、コストダウン等を目的として添加することがある特開2005−232419公報 段落[0163]記載のものを使用することができる。
上記充填材は、目的や必要に応じて単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。充填材を用いる場合の添加量は、ビニル系重合体(I)100重量部に対して、充填材を5〜1000重量部の範囲で使用するのが好ましく、20〜500重量部の範囲で使用するのがより好ましく、40〜300重量部の範囲で使用するのが特に好ましい。配合量が5重量部未満の場合には、硬化物の破断強度、破断伸び、接着性と耐候接着性の改善効果が充分でないことがあり、1000重量部を越えると該硬化性組成物の作業性が低下することがある。
<微小中空粒子>
物性の大きな低下を起こすことなく軽量化、低コスト化を図ることを目的として、微小中空粒子をこれら補強性充填材に併用して添加することができる。
このような微小中空粒子(以下において、「バルーン」と称することがある。)には、特に限定はされないが、「機能性フィラーの最新技術」(CMC)に記載されているように、直径が1mm以下、好ましくは500μm以下、更に好ましくは200μm以下の無機質あるいは有機質の材料で構成された中空体(無機系バルーンや有機系バルーン)が挙げられる。特に、真比重が1.0g/cm以下である微小中空体を用いることが好ましく、更には0.5g/cm以下である微小中空体を用いることが好ましい。
前記無機系バルーン及び有機系バルーンとしては、特開2005−232419公報 段落[0168]〜[0170]に記載されているバルーンを使用することができる。
上記バルーンは単独で使用しても良く、2種類以上混合して用いても良い。さらに、これらバルーンの表面を脂肪酸、脂肪酸エステル、ロジン、ロジン酸リグニン、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミカップリング剤、ポリプロピレングリコール等で、分散性及び配合物の作業性を改良するために処理したものも使用することができる。これらのバルーンは、配合物を硬化させた場合の物性のうち、柔軟性及び伸び・強度を損なうことなく、軽量化させコストダウンするために使用される。
バルーンの添加量は、特に限定されないが、ビニル系重合体(I)100重量部に対して、好ましくは0.1〜50重量部、更に好ましくは0.1〜30重量部の範囲で使用できる。この量が0.1重量部未満では軽量化の効果が小さく、50重量部より多いとこの配合物を硬化させた場合の機械特性のうち、引張強度の低下が認められることがある。また、バルーンの比重が0.1以上の場合は、その添加量は好ましくは3〜50重量部、更に好ましくは5〜30重量部である。
<可塑剤>
本発明で用いられる硬化性組成物には、必要に応じて可塑剤を配合することができる。
可塑剤としては特に限定されないが、物性の調整、性状の調節等の目的により、例えば、特開2005−232419公報 段落[0173]記載の可塑剤が挙げられる。これらの中では、粘度の低減効果が顕著であり、耐熱性試験時における揮散率が低いという点から、ポリエステル系可塑剤、ビニル系重合体が好ましい。また、数平均分子量500〜15000の重合体である高分子可塑剤が、添加することにより、該硬化性組成物の粘度及び該組成物を硬化して得られる硬化物の引張り強度、伸び等の機械特性が調整できるとともに、重合体成分を分子中に含まない可塑剤である低分子可塑剤を使用した場合に比較して、初期の物性を長期にわたり維持できるため好適である。なお、限定はされないがこの高分子可塑剤は、官能基を有しても有しなくても構わない。
上記高分子可塑剤の数平均分子量は、500〜15000と記載したが、好ましくは800〜10000であり、より好ましくは1000〜8000である。分子量が低すぎると熱にさらされたり液体に接した場合に可塑剤が経時的に流出し、初期の物性を長期にわたり維持できないことがある。また、分子量が高すぎると粘度が高くなり、作業性が低下する傾向がある。
これらの高分子可塑剤のうちで、ビニル系重合体(I)と相溶するものが好ましい。中でも相溶性及び耐候性、耐熱老化性の点からビニル系重合体が好ましい。ビニル系重合体の中でも(メタ)アクリル系重合体が好ましく、アクリル系重合体がさらに好ましい。このアクリル系重合体の合成法は、従来からの溶液重合で得られるものや、無溶剤型アクリルポリマー等を挙げることができる。後者のアクリル系可塑剤は溶剤や連鎖移動剤を使用せず高温連続重合法(USP4414370、特開昭59−6207号公報、特公平5−58005号公報、特開平1−313522号公報、USP5010166)にて作製されるため、本発明の目的にはより好ましい。その例としては特に限定されないが、東亞合成品UPシリーズ等が挙げられる(工業材料1999年10月号参照)。勿論、他の合成法としてリビングラジカル重合法をも挙げることができる。この方法によれば、その重合体の分子量分布が狭く、低粘度化が可能なことから好ましく、更には原子移動ラジカル重合法がより好ましいが、これに限定されるものではない。
高分子可塑剤の分子量分布は特に限定されないが、狭いことが好ましく、1.8未満が好ましい。1.7以下がより好ましく、1.6以下がなお好ましく、1.5以下がさらに好ましく、1.4以下が特に好ましく、1.3以下が最も好ましい。
上記高分子可塑剤を含む可塑剤は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよいが、必ずしも必要とするものではない。また必要によっては高分子可塑剤を用い、物性に悪影響を与えない範囲で低分子可塑剤を更に併用しても良い。
なおこれら可塑剤は、重合体製造時に配合することも可能である。
可塑剤を用いる場合の使用量は、限定されないが、ビニル系重合体(I)100重量部に対して、好ましくは1〜100重量部、より好ましくは5〜50重量部である。1重量部未満では可塑剤としての効果が発現しにくい傾向があり、100重量部を越えると硬化物の機械強度が不足する傾向がある。
上記可塑剤以外に、本発明においては、次に述べる反応性希釈剤を用いても構わない。
反応性希釈剤としては、分子中に少なくとも1個のヒドロシリル化反応可能なアルケニル基又はアルキニル基を有する有機化合物が挙げられる。この有機化合物は、硬化前の組成物の粘度を低下させるとともに、硬化反応時にはヒドロシリル基含有化合物(II)のSiH基とヒドロシリル化反応により結合し、結局網目構造に取り込まれるものである。
このため本発明においては、分子中に少なくとも1個のヒドロシリル化反応可能なアルケニル基又はアルキニル基を有する有機化合物であれば特に制限はないが、本発明のビニル系重合体(I)との相溶性が良好であるという観点から、エステル基等の極性基をもった化合物が好ましい。また分子量は低いほど相溶し易くなるため好ましいが、充分相溶するものであれば、ある程度分子量が高くても構わない。また、本発明の硬化性組成物から得られる硬化物の特徴である耐熱老化性、耐候性等の観点からは、この反応性希釈剤中にはヒドロシリル化に対する活性の低い炭素−炭素不飽和結合を有さないことが更に好ましい。
また、反応性希釈剤として、硬化養生中に揮発し得るような低沸点の化合物を用いた場合は、硬化前後で形状変化を起こしたり、揮発物により環境にも悪影響を及ぼしたりすることから、常温での沸点が100℃以上である有機化合物が特に好ましい。
反応性希釈剤の具体例としては、1−オクテン、4−ビニルシクロヘキセン、酢酸アリル、1,1−ジアセトキシ−2−プロペン、1−ウンデセン酸メチル、8−アセトキシ−1,6−オクタジエン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
反応性希釈剤の添加量は、ビニル系重合体(I)とヒドロシリル基含有化合物(II)とのヒドロシリル化反応による3次元的架橋構造の形成を妨げない範囲内であれば、特に制限はない。反応性希釈剤の添加量が過剰になった場合、ヒドロシリル基含有化合物(II)のSiH基は反応性希釈剤の不飽和基とのヒドロシリル化反応により消費されてしまい、ビニル系重合体(I)による3次元架橋構造の形成が不充分になることがある。
反応性希釈剤の添加量は、ビニル系重合体(I)100重量部に対し、好ましくは0.1〜100重量部、より好ましくは0.5〜70重量部、さらに好ましくは1〜50重量部である。
<溶剤>
本発明で用いられる硬化性組成物には、必要に応じて溶剤を配合することができる。
配合できる溶剤としては、例えばトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸セロソルブ等のエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン系溶剤等が挙げられる。これらの溶剤は重合体の製造時に用いてもよい。
<接着性付与剤>
本発明の硬化性組成物を成形ゴムとして単独で使用する場合には、特に接着付与剤を添加する必要はないが、異種基材との二色成形等に使用する場合には、ビニル系重合体(I)とヒドロシリル基含有化合物(II)との架橋反応を著しく阻害せず、また得られる硬化物物性に著しい影響を及ぼさない程度に接着性付与剤を添加することが可能である。
配合できる接着性付与剤としては、硬化性組成物に接着性を付与するものであれば特に限定されないが、架橋性シリル基含有化合物が好ましく、更にはシランカップリング剤が好ましい。
これらを具体的に例示すると、特開2005−232419公報 段落[0184]記載の接着性付与剤が挙げられる。
また、ヒドロシリル化反応を阻害しない範囲において、分子中にエポキシ基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、カルバメート基、アミノ基、メルカプト基、カルボキシル基、ハロゲン基、(メタ)アクリル基等の、炭素原子及び水素原子以外の原子を有する有機基と、架橋性シリル基を併せ持つシランカップリング剤を用いることができる。
これらを具体的に例示すると、特開2005−232419公報 段落[0185]記載の炭素原子及び水素原子以外の原子を有する有機基と、架橋性シリル基を併せ持つシランカップリング剤が挙げられる。
これらの中でも、硬化性及び接着性の点から、分子中にエポキシ基あるいは(メタ)アクリル基を有するアルコキシシラン類がより好ましい。
これらは、単独で用いてもよく、また2種以上を併用してもよい。
シランカップリング剤以外の接着性付与剤の具体例としては、特に限定されないが、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、硫黄、アルキルチタネート類、芳香族ポリイソシアネート等が挙げられる。
また、接着性を更に向上させるために、架橋性シリル基縮合触媒を上記接着性付与剤とともに併用することができる。架橋性シリル基縮合触媒としては、例えば、特開2005−232419公報 段落[0187]記載されているものが挙げられる。
上記接着性付与剤は、ビニル系重合体(I)100重量部に対して、0.01〜20重量部配合するのが好ましい。0.01重量部未満では接着性の改善効果が小さく、20重量部を越えると硬化物物性が低下し易い傾向がある。好ましくは0.1〜10重量部であり、更に好ましくは0.5〜5重量部である。
上記接着性付与剤は1種類のみで使用しても良いし、2種類以上混合使用しても良い。
<酸化防止剤>
本発明で用いられる硬化性組成物には、(D)成分であるp−フェニレンジアミン系酸化防止剤、(E)成分であるアミン系酸化防止剤の他に、各種酸化防止剤を必要に応じて用いてもよい。これらの酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤や、二次酸化防止剤としてリン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤等が挙げられる。
<<硬化物の作製方法>>
本発明の上記硬化性組成物より得られる硬化物について、以下に説明する。
本発明においては、ヒドロシリル化触媒を用いたアルケニル基に対するSiH基の付加反応によって硬化性組成物が硬化するので、硬化速度が非常に速く、ライン生産を行う上で好都合である。特に、熱硬化させる温度は、100℃〜180℃の範囲内が好ましい。本発明の硬化性組成物は、貯蔵安定性に優れているため、100℃より低い温度では硬化反応はほとんど進行しないが、100℃程度以上になると、急激にヒドロシリル化反応が進行し、短い時間で硬化物を得ることができる。
本発明の硬化性組成物は、比較的高温でも貯蔵安定性に優れることから、組成物をより低い粘度で扱うことが可能となり、高温での液状射出成形等に好適である。
本発明において、硬化性組成物を流動させる際には、20℃以上100℃未満の温度で行うのが好ましいが、40℃以上80℃未満の温度で流動させることがより好ましい。
また、本発明においては、硬化性組成物を20℃以上100℃未満の温度で流動させるとともに、さらに20℃以上で流動させながら硬化反応を行うことができる。即ち本発明の硬化性組成物を、液状射出成形(LIM等)用樹脂として用いることも可能である。
本発明で用いられる硬化性組成物は、すべての配合成分を予め配合保存し、硬化時に加熱することで硬化する1成分型として調製しても良く、長期に渡る貯蔵安定性を確保する場合には、二液、あるいは三液以上の形態として調製し、硬化前に混合して使用してもよい。
二液の形態として調製する場合、配合成分をどのように分割するかは特に制限はないが、より長期の貯蔵安定性を求める場合には、(B)ヒドロシリル基含有化合物と(C)ヒドロシリル化触媒を分割し、一方の配合液(a液と称する)には、(A)成分のビニル系重合体(I)、(C)成分のヒドロシリル化触媒を配合し、他方の配合液(b液と称する)には(A)成分のビニル系重合体(I)、(B)成分のヒドロシリル基含有化合物を配合することが望ましい。(D)成分および(E)成分は、a液、b液いずれに配合してもよいが、安定性を考慮するとb液に配合するほうが好ましい。(G)成分の補強性シリカを含む充填材、硬化調整剤、金属石鹸、可塑剤、老化防止剤等は、a液、b液いずれに配合してもよい。各成分の安定性を考慮し、硬化調整剤、金属石鹸をb液に配合した方がよい場合がある。混合時の作業性がよくなることから、a液、b液は当量混合すればよいように各液の配合材料を調整することが好ましく、また両液の粘度は同程度になるように調整することがより好ましい。
<<成形方法>>
本発明の硬化性組成物を成形体として用いる場合の成形方法としては、特に限定されず、一般に使用されている各種の成形方法を用いることができる。例えば、注型成形、圧縮成形、トランスファー成形、射出成形、押し出し成形、回転成形、中空成形、熱成形等が挙げられる。特に自動化、連続化が可能で、生産性に優れるという観点から射出成形によるものが好ましい。
<<用途>>
本発明の硬化性組成物は、特に限定はされないが、自動車用材料、電気・電子部品材料、電線・ケーブル用絶縁被覆材等の電気絶縁材料、コーティング材、発泡体、電気電子用ポッティング材、フィルム、ガスケット、オイルシール、Oリング、パッキン、ホース・チューブ類、ロール、ダイヤフラム、注型材料、各種成形材料等の様々な用途に利用可能である。
更に、本発明の硬化性組成物から得られたゴム弾性を示す成形体は、ガスケット、パッキン類を中心にシール材用途にも適用できる。
例えば自動車分野では、ボディ部品として、気密保持のためのシール材、ガラスの振動防止材、車体部位の防振材、特にウインドシールガスケット、ドアガラス用ガスケットに使用することができる。シャーシ部品として、防振、防音用のエンジン及びサスペンジョンゴム、特にエンジンマウントラバーに使用することができる。エンジン部品としては、トランスミッションオイルクーラーホース、エンジンオイルクーラーホース、エアダクトホース、ターボインタークーラーホース、ホットエアーホース、ラジエターホース、パワーステアリングホース、燃料ホース、ドレインホース等の冷却用、燃料供給用、吸気及び排気用等のホース類、エンジンカムカバーやオイルパンのガスケット、オイルポンプ用ガスケット、パワーステアリングベーンポンプ用ガスケット、インテークマニホールド用ガスケット、スロットルボディ用ガスケット、コンプレッサー用ガスケット、タイミングベルトカバー用ガスケット、クランクシャフトシールガスケット、カムシャフトシールガスケット、トランスミッションシールガスケット、等のガスケット類、各種Oリング、オイルシール、パワーステアリングシールベルトカバーシール、シールワッシャ−、オイルレシーバ、プラグチューブシール、スクイーズパッキン、リップシールパッキン、ボアプラグ、インジェクションパイプシール、ブレーキドラムシール、ワイヤーハーネス等のコネクタシール、オイルレベルゲージ、ブリーザ、バルブ、ダイアフラム等各種ゴム部品、燃料噴射装置、燃料加熱装置、エアダンパ、圧力検出装置、熱交換器用樹脂タンクのオイルクーラー、可変圧縮比エンジン、シリンダ装置、圧縮天然ガス用レギュレータ、圧力容器、筒内直噴式内燃機関の燃料供給システムもしくは高圧ポンプ用のOリング、イグナイタHICもしくは自動車用ハイブリッドIC用のボッティング材、等速ジョイントブーツ材及びラック&ピニオンブーツ材、エンジンコントロール基板用のコーティング材、モール、ヘッドランプレンズ、サンルーフシールもしくはミラー用の接着剤に使用することができる。また、排ガス清浄装置部品、ブレーキ部品にも使用できる。
電気分野では、コーティング、ポッティング、パッキン、Oリング、ベルト等に使用できる。具体的には、高電圧用厚膜抵抗器、ハイブリッドICの回路素子、HIC、電気絶縁部品、半導電部品、導電部品、モジュール、印刷回路、セラミック基板、ダイオード、トランジスタもしくはボンディングワイヤーのバッファー材、半導電体素子、または光通信用オプティカルファイバー等のコーティング材、トランス高圧回路、プリント基板、可変抵抗部付き高電圧用トランス、電気絶縁部品、半導電部品、導電部品、太陽電池またはテレビ用フライバックトランス等のポッティング材、重電部品、弱電部品、太陽電池の裏面封止、電気・電子機器の回路や基板等のシーリング材、照明器具用の飾り類、防水パッキン類、防振ゴム類、防虫パッキン類、クリーナ用の防振・吸音と空気シール材、電気温水器用の防滴カバー、ヒータ部パッキン、電極部パッキン、安全弁ダイアフラム、酒かん器用のホース類、防水パッキン、電磁弁、スチームオーブンレンジ及びジャー炊飯器用の防水パッキン、給水タンクパッキン、吸水バルブ、水受けパッキン、接続ホース、ベルト、保温ヒータ部パッキン、蒸気吹き出し口シール等、燃焼機器用のオイルパッキン、Oリング、ドレインパッキン、加圧チューブ、送風チューブ、送・吸気パッキン、防振ゴム、給油口パッキン、油量計パッキン、送油管、ダイアフラム弁、送気管等、音響機器用のスピーカーガスケット、スピーカーエッジ、ターンテーブルシート、ベルト、プーリー等のゴム部品が挙げられる。また、ブラウン管ウェッジ、ネック、電気絶縁部品、半導電部品または導電部品等の接着剤、電線被覆の補修材、電線ジョイント部品の絶縁シール材、OA機器用ロール、インク用ワイパ、振動吸収剤、ゲル等にも使用できる。
建築分野では、構造用ガスケット(ジッパーガスケット)、空気膜構造屋根材、防水材、定形シーリング材、防振材、防音材、セッティングブロック、摺動材等に使用できる。
スポーツ分野では、スポーツ床として全天候型舗装材、体育館床等、スポーツシューズとして靴底材、中底材等、球技用ボールとしてゴルフボール等に使用できる。
防振ゴム分野では、自動車用防振ゴム、鉄道車両用防振ゴム、航空機用防振ゴム、防舷材等に使用できる。
以下に、具体的な実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
なお、下記実施例及び比較例中の「部」及び「%」は、それぞれ「重量部」及び「重量%」を表す。
(製造例1〜3)
各原料の使用量を表1に示す。
(1)重合工程
アクリル酸エステル(共重合する場合には予め所定量混合されたアクリル酸エステル)を脱酸素した。攪拌機付ステンレス製反応容器の内部を脱酸素し、臭化第一銅、全アクリル酸エステルの一部(表1では初期仕込みモノマーとして記載)を仕込み、加熱攪拌した。アセトニトリル(表1では重合用アセトニトリルと記載)、開始剤としてジエチル2,5−ジブロモアジペート(DBAE)を添加、混合し、混合液の温度を約80℃に調節した段階でペンタメチルジエチレントリアミン(以下、トリアミンと略す)を添加し、重合反応を開始した。残りのアクリル酸エステル(表1では追加用モノマーとして記載)を逐次添加し、重合反応を進めた。重合途中、適宜トリアミンを追加し、重合速度を調整した。重合時に使用したトリアミンの総量を重合用トリアミンとして表1に示す。重合が進行すると重合熱により内温が上昇するので内温を約80℃〜約90℃に調整しながら重合を進行させた。モノマー転化率(重合反応率)が約95%以上の時点で揮発分を減圧脱揮して除去し、重合体濃縮物を得た。
(2)ジエン反応工程
上記濃縮物に1,7−オクタジエン(以下ジエン若しくはオクタジエンと略す)、アセトニトリル(表1ではジエン反応用アセトニトリルと記載)を添加し、トリアミン(表1ではジエン反応用トリアミンと記載)を追加した。内温を約80℃〜約90℃に調節しながら数時間加熱攪拌させて、重合体末端にオクタジエンを反応させた。アセトニトリル及び未反応のオクタジエンを減圧脱揮して除去し、末端にアルケニル基を有する重合体を含有する濃縮物を得た。
(3)粗精製工程
上記濃縮物をトルエンで希釈し、ろ過助剤、吸着剤(キョーワード700SEN:協和化学製)、ハイドロタルサイト(キョーワード500SH:協和化学製))を添加し、80〜100℃程度に加熱攪拌した後、固形成分をろ別した。ろ液を濃縮し、重合体粗精製物を得た。
(4)高温加熱処理・吸着精製工程
重合体粗精製物、熱安定剤(スミライザーGS:住友化学(株)製)、吸着剤(キョーワード700SEN、キョーワード500SH)を添加し、減圧脱揮、加熱攪拌しながら昇温し、約170℃〜約200℃の高温状態で数時間程度加熱攪拌、減圧脱揮を行なった。吸着剤(キョーワード700SEN、キョーワード500SH)、を追加し、重合体に対して約10重量部のトルエンを添加し、約170℃〜約200℃の高温状態で更に数時間程度加熱攪拌した。
処理液を更にトルエンで希釈し、吸着剤をろ別した。ろ液を濃縮し、両末端にアルケニル基を有する重合体を得た。得られた重合体の1分子あたりに導入されたアルケニル基数、数平均分子量、分子量分布を表1に示す。
Figure 0005368302
(製造例4)
5Lの二口フラスコにトルエン1800g、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン1440gを入れ、120℃のオイルバス中で窒素下、加熱攪拌した。この溶液に、トリアリルイソシアヌレート200g、トルエン200g及び白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)144μlの混合液を、50分かけて滴下した。得られた溶液をそのまま6時間加温、攪拌した。1−エチニル−1−シクロヘキサノール2.95mgを加えた後、未反応の1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン及びトルエンを減圧留去し、ヒドロシリル基含有化合物[B1]を得た。
H−NMR分析により、ヒドロシリル基含有化合物[B1]は、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンのSiH基の一部がトリアリルイソシアヌレートと反応したものであることがわかった(ヒドロシリル基含有化合物[B1]は混合物であるが、主成分として1分子中に9個のSiH基を有する下記化合物を含有する)。
Figure 0005368302
(実施例1)
製造例1で得られた共重合体[P1]100部に、充填剤としてシリカ(商品名:ニップシールLP、東ソー・シリカ製)を20部、酸化防止剤として、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン(商品名:ノクラックWhite、大内新興化学工業製)を2部配合し、プラネタリーミキサーを用いて充分混合した。その後、アルケニル末端共重合体[P1]に対して、ヒドロシリル基含有化合物[B1]を、[B1]のSiH基がアルケニル末端共重合体[P1]のアルケニル基の1.8モル当量分となる量を添加し、0価白金の1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニルジシロキサン錯体のイソプロパノール溶液(白金として3wt%含有)を白金換算でアルケニル末端共重合体[P1]のアルケニル基の5×10−4モル当量添加し、硬化調整剤として3,5−ジメチル−1−へキシン−3−オール(商品名:サーフィノール61、日信化学製)を、白金触媒に対し150モル当量添加し、更に均一に混合し硬化性組成物を得た。
得られた硬化性組成物を金型に流し込み、温度180℃でプレス加硫を10分間行い、その後180℃オーブン内で22時間の後加硫を行い、厚さ約2mmのゴム状硬化物シートを得た。
(耐熱老化試験)
得られたシートから2cm×2cmのサンプルを切り出し、JIS K 6258に準じて試験用潤滑油No.1油(ASTM No.1油)に150℃×70時間浸漬し、取出し後175℃オーブン中でサンプルがゴム弾性を消失するまでの時間を測定した。試験用潤滑油No.1油に浸漬後、175℃オーブンにサンプルを入れた時点を開始時間とし、サンプルの弾性状態は手で触ることで確かめた。結果を表2に示す。
(実施例2〜6)
表2記載の共重合体、充填剤、酸化防止剤、ヒドロシリル基含有化合物を用いる以外は実施例1と同様にしてゴム状硬化物シートを作製し、試験油に浸漬後175℃での耐熱老化試験を行なった。結果を表2に示す。
(比較例1〜3)
表2記載の共重合体、充填剤、酸化防止剤、ヒドロシリル基含有化合物を用いる以外は実施例1と同様にしてゴム状硬化物シートを作製し、試験油に浸漬後175℃での耐熱老化試験を行なった。結果を表2に示す。
Figure 0005368302
実施例1〜6と比較例1〜3の比較から以下のことが明らかである。酸化防止剤としてジフェニルアミン系酸化防止剤を用いた場合(比較例1〜3)は、試験用潤滑油No.1油(ASTM No.1油)浸漬後の175℃耐熱試験においていずれも300時間以内にゴム弾性を消失し硬く樹脂化するが、p−フェニレンジアミン系酸化防止剤を用いた場合(実施例1〜6)は、試験用潤滑油No.1油(ASTM No.1油)浸漬後、175℃耐熱試験において500時間以上のゴム弾性を保持することから、本発明のp-フェニレンジアミン系酸化防止剤は潤滑油浸漬後の耐熱性に優れていることが明らかである。
(実施例7〜15)
表3記載の共重合体、充填剤、酸化防止剤、酸化チタン、ヒドロシリル基含有化合物を用いる以外は実施例1と同様にしてゴム状硬化物シートを作製し、試験用潤滑油No.1油(ASTM No.1油)あるいは試験用潤滑油No.3油(IRM903油)に浸漬後175℃での耐熱老化試験を行なった。結果を表3に示す。
(比較例4〜11)
表3記載の共重合体、充填剤、酸化防止剤、酸化チタン、ヒドロシリル基含有化合物を用いる以外は実施例1と同様にしてゴム状硬化物シートを作製し、試験用潤滑油No.1油(ASTM No.1油)あるいは試験用潤滑油No.3油(IRM903油)に浸漬後175℃での耐熱老化試験を行なった。結果を表3に示す。
Figure 0005368302
実施例7〜15と比較例4〜11の比較から以下のことが明らかである。比較例4より、シリコーン樹脂への熱安定剤として効果のある火炎加水分解により製造された酸化チタン(AEROXIDE P25)は、単独で用いた場合には本発明の硬化物へはまったく効果はなく、比較例5との比較から、むしろ潤滑油浸漬後の耐熱性を悪くする。しかしながら、アミン系酸化防止剤とアナターゼ型酸化チタンを含む二酸化チタン(AEROXIDE P25)を併用した場合(実施例7〜15)は、いずれも併用しない場合と比較して潤滑油浸漬後の耐熱試験においてゴム弾性を保持する時間が改善される。また、ルチル型酸化チタンであるタイペークR820とアミン系酸化防止剤とを併用した場合(比較例7,8)では潤滑油浸漬後の耐熱試験におけるゴム弾性を保持する時間は改善されず、アナターゼ型酸化チタンとの併用(実施例9)が潤滑油浸漬後の耐熱性に効果がある。
本発明の硬化性組成物は、良好な機械特性、耐油性、耐熱性等を示す硬化物を与えるビニル系重合体を含有し、ヒドロシリル化反応により硬化し得る硬化性組成物であり、この硬化性組成物を硬化してなる硬化物は潤滑油浸漬後の耐熱性が優れる特性を有する。

Claims (15)

  1. (A)ヒドロシリル化反応可能なアルケニル基を分子中に少なくとも1個含有するビニル系重合体(I)、
    (B)ヒドロシリル基含有化合物(II)、
    (C)ヒドロシリル化触媒、
    (E)アミン系酸化防止剤、および、
    (F)アナターゼ型酸化チタン
    を含有する、硬化性組成物。
  2. 前記ビニル系重合体(I)の分子量分布が1.8未満である、請求項1に記載の硬化性組成物。
  3. 前記ビニル系重合体(I)の主鎖が(メタ)アクリル系モノマー、アクリロニトリル系モノマー、芳香族ビニル系モノマー、フッ素含有ビニル系モノマー及びケイ素含有ビニル系モノマーからなる群から選ばれる少なくとも1種を主として重合して製造される、請求項1または2に記載の硬化性組成物。
  4. 前記ビニル系重合体(I)が(メタ)アクリル系重合体である、請求項1〜のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
  5. 前記ビニル系重合体(I)がアクリル系重合体である、請求項1〜のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
  6. 前記ビニル系重合体(I)がアクリル酸エステル系重合体である、請求項1〜のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
  7. 前記ビニル系重合体(I)がアクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸2−メトキシブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリルからなる群から選ばれる少なくとも1種を主として重合して製造されるものである、請求項1〜のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
  8. 前記ビニル系重合体(I)の主鎖がリビングラジカル重合法により製造されるものである、請求項1〜のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
  9. 前記リビングラジカル重合が原子移動ラジカル重合である、請求項に記載の硬化性組成物。
  10. 前記ビニル系重合体(I)が、以下の工程:
    (1a)ビニル系モノマーを原子移動ラジカル重合法により重合することにより、一般式(1)
    −C(R)(R)(X) (1)
    (式中、R及びRはビニル系モノマーのエチレン性不飽和基に結合した基を示す。Xは塩素、臭素又はヨウ素を示す。)
    で示す末端構造を有するビニル系重合体を製造し、
    (2a)前記重合体の末端ハロゲンを、ヒドロシリル化反応可能なアルケニル基を有する置換基に変換する;
    により得られるものである、請求項1〜のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
  11. 前記ビニル系重合体(I)が、以下の工程:
    (1b)ビニル系モノマーをリビングラジカル重合法により重合することにより、ビニル系重合体を製造し、
    (2b)前記重合体を、重合性の低いアルケニル基を少なくとも2個有する化合物と反応させる;
    により得られるものである、請求項1〜のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
  12. 前記ビニル系重合体(I)がヒドロシリル化反応可能なアルケニル基を分子鎖の末端に有する、請求項1〜11のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
  13. 前記(B)ヒドロシリル基含有化合物(II)がオルガノハイドロジェンポリシロキサンである、請求項1〜12のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
  14. さらに、(G)補強性シリカを含有する、請求項1〜13のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
  15. 請求項1〜14のいずれか一項に記載の硬化性組成物を硬化してなる硬化物。
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