JP5365901B2 - ポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子、及び型内発泡成形体 - Google Patents

ポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子、及び型内発泡成形体 Download PDF

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Description

本発明は、自動車内装部材、自動車バンパー用芯材、断熱材、緩衝包材、通箱などに用いられるポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子、及び該予備発泡粒子を用いて得られる型内発泡成形体に関するものである。
ポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子を用いて得られる型内発泡成形体は、型内発泡成形体の長所である形状の任意性、軽量性、断熱性などの特徴をもつ。また同様の型内発泡成形体と比較しても、ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子を用いて得られる型内発泡成形体と比較すると、耐薬品性、耐熱性、圧縮後の歪回復率に優れており、またポリエチレン系樹脂予備発泡粒子を用いて得られる型内発泡成形体と比較すると、寸法精度、耐熱性、圧縮強度が優れている。これらの特徴により、ポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子を用いて得られる型内発泡成形体は、自動車内装部材、自動車バンパー用芯材をはじめ、断熱材、緩衝包装材など様々な用途に用いられている。
ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を用いて得られる型内発泡成形体に要求される重要な性質として、予備発泡粒子間の融着性、表面の美麗性、収縮回復性が挙げられる。
予備発泡粒子間の融着性とは、型内発泡成形体における予備発泡粒子間の融着の程度であり、融着が不十分であれば型内発泡成形体の機械強度が不十分になる。特に型内発泡成形体内部において融着性が不十分になる場合が多い。
表面の美麗性とは、型内発泡成形体表面が平滑である程度である。表面美麗性の低下は、予備発泡粒子の不十分な発泡に起因すると考えられる型内発泡成形体表面の予備発泡粒子間の溝部分に生じる凹みや型内発泡成形体の収縮に起因すると考えられる筋状の溝によって引き起こされる。
ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を用いて得られる型内発泡成形体は成形後、金型から取り出したとき収縮するのが通常であり、反りや変形を引き起こす。型内発泡成形体を加温雰囲気下に一定時間保持する、いわゆる養生工程により型内発泡成形体の収縮や変形を回復させることができる。養生後においても型内発泡成形体が金型の大きさに回復しがたいが、金型に比較し養生後の型内発泡成形体の寸法収縮率が小さい場合、収縮回復性が優れるとされている。
ポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子の型内発泡成形用の成形機は、耐圧0.4MPaの仕様であるものが大半を占めており、該成形機を用いて通常生産される成形加熱蒸気圧力はおおむね0.36MPa程度までである。型内発泡成形に用いられるポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子は、これに対応できるような特性の樹脂を用いており、一般には融点が140〜150℃程度のエチレン−ランダムポリプロピレンが用いられている。しかしながら、昨今の燃料価格の高騰などにより、成形加熱蒸気圧のさらなる低減策が待望されている。
成形加熱蒸気圧を下げる方法としては、基材樹脂の融点がさらに低いものを用いる方法、つまり130℃台のランダムポリプロピレンを用いる方法があるが、一般に、プロピレン系樹脂の融点と樹脂の剛性とは正の相関関係にあり、融点の低い樹脂を用いると剛性が低く、型内発泡成形体の収縮や変形が大きくなる傾向がある。
一方、高い剛性を達成するためにコモノマー含量の少ない、融点の高い樹脂を用いると、樹脂の融点が高くなるため良好な型内発泡成形体を得るために必要となる成形加熱蒸気圧は高くなる傾向にある。このため、より高い剛性を求める場合、耐圧仕様の高い成形機や金型を用いる必要があり、設備コストが高くなると共に、ユーティリティコストが高くなるため成形加工コストが高くなる。
また、近年型内発泡成形体においても外観が重要視されるものが増えてきている。これは使用者の目に触れる場所に使用される自動車内装部材や通い箱と言った用途に多く、型内発泡成形体に通常求められる剛性、軽量性、断熱性などの物性に加え、良好な外観が求められる。型内発泡成形体はその製法上、予備発泡粒子間の隙間や予備発泡粒子の亀甲模様が見られるが、外観を重視する製品にはこれらを嫌うものも多い。予備発泡粒子間の隙間を目立たなくさせるためには、一般に型内発泡成形時の加熱蒸気圧力を高くし、予備発泡粒子同士の融着を促進させるなどの方法が採られる。すなわち表面美麗性の高い型内発泡成形体を得るためには、型内発泡成形時の成形加熱蒸気圧力を予備発泡粒子間の融着に必要となる圧力より高くする必要がある。
以上のように、剛性が高く、かつ表面美麗性の高いポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体を、特殊な成形機を使用しなくとも安定的により低い成形加工温度で製造することができる技術が求められている。
型内発泡成形体の剛性を向上するための技術に関して、様々な技術が検討されている。ポリプロピレン系樹脂で高い剛性を得るためには単純にホモポリプロピレンを用いることが考えられるが、例えば特許文献1には引張弾性率が15000〜25000kg/cm2で示差走査型熱量計にて得られるDSC曲線の高温側ピークの熱量が30〜60J/gであるホモポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子に関しての技術が開示されている。また特許文献2にはメルトフローレートが20〜100g/10分の範囲にあるホモポリプロピレンまたはα−オレフィン含有量が1重量%未満のプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体を用いて、比較的低い成形温度で型内発泡成形体を得ることのできる予備発泡粒子が作製しうるという技術が開示されている。
しかし、特許文献1記載の技術では、良好な型内発泡成形体を得るために必要な成形時の加熱蒸気の圧力が0.4〜0.6MPaであると記載されており、前述のように0.4MPa耐圧仕様の成形機では成形できない。また成形体の表面美麗性に関しては特段の記載はない。また、特許文献2記載の技術では表面美麗性や収縮率に関して特段の記載は無く、発泡粒子同士の融着が60%以上を達成するための最低成形蒸気圧は3.1kgf/cm2となっており、成形蒸気圧が低いとは言いがたい。
また、例えば特許文献3には、融点が155〜165℃、Z平均分子量と重量平均分子量の比であるMz/Mwが3〜6であり、かつメルトフローレートが10〜150g/Lである樹脂粒子を用いる技術が開示されているが、当該文献の主目的はいわゆるドカン法を用いずとも型内発泡成形用の発泡粒子を得ることが出来るというものであり、さらには樹脂融点が155℃を越えていることからも分かるように、型内発泡成形体を得る為の加熱条件は4kgf/cm2を越える極めて高い条件である。
また、特許文献4には、基材樹脂として融点が149〜157℃、MFRが1〜20g/10分、かつ半結晶時間が一定の値以下のプロピレン系ランダム共重合体を基材樹脂として用いる技術が開示されている。
また、特許文献5には、型内発泡成形に用いるポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子の結晶状態について、示差走査型熱量分析(以下DSCと略す)を用いて得られる融解結晶カーブの高温側結晶量と低温側結晶量の関係を一定の範囲に設定することにより、得られる型内発泡成形体の圧縮強度を向上する技術が開示されている。
しかし、これらの技術に関しては、型内発泡成形に必要となる加熱蒸気の圧力は0.4〜0.5MPaと高く、前記特許文献1〜2に記載の技術と同様、特に耐圧性能の高い成形機を用いることによって可能となっている技術である。
さらに特許文献6には、1−ブテンをコモノマーとして含むポリプロピレン系樹脂を用いると樹脂融点に対して高い引っ張り弾性率、すなわち剛性を持つ樹脂が得られ、これを用いることにより、高い剛性をもつ型内発泡成形体を得ることができるという技術が開示されている。
しかし、該技術に関しても、型内発泡成形に必要となる加熱蒸気の圧力は0.4MPa前後であり、他の技術と比較すると比較的低い成形加熱蒸気圧力であるものの、実施されている例の中で最も低いもので0.36MPaであり、現状よく用いられている0.4MPa耐圧仕様の成形機の仕様ぎりぎりのレベルである。また成形体の表面美麗性や収縮率に関して特段の記載もない。
さらに特許文献7には、1−ブテン成分量を3〜12重量%含むプロピレン・1−ブテンランダム共重合体を基材樹脂とするポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子を用いることにより、高い剛性を持つポリプロピレン系樹脂発泡成形体が得られる技術が開示されている。該技術を用いた場合、成形加熱蒸気の圧力が0.3MPa前後と現状よく用いられる0.4MPa耐圧仕様の成形機でも成形可能であると記載されている。しかし、当該文献記載の実施例を見ると、最低成形圧が0.3MPa前後のものが例示されているが、さらなる低温成形性が望まれており、また、型内発泡成形体の表面美麗性や収縮率に関する特段の記載もない。また、エチレン成分を含まないプロピレン・1−ブテンランダム共重合体は、エチレン成分を含むポリプロピレン系樹脂ランダム共重合体に比べ硬くもろい性質があり、この性質が型内発泡成形体の基材樹脂として用いた場合に、圧縮後の寸法回復性や、低温領域での衝撃特性が劣ると言う性質へと繋がる。ポリプロピレン系樹脂発泡成形体は、同じ型内発泡成形体であるポリスチレン系樹脂発泡成形体と比べ、剛性面では劣るものの、繰り返し衝撃への耐性や柔軟性に優位性があり、これをもって緩衝包装材などに用いられている面もある。このため、該技術記載の技術では、剛性のみを目的とする用途以外の一般的な緩衝包装用途には向いていないという欠点もある。
以上のように高い剛性が必要とされる用途には、高い加熱蒸気圧力に耐えうる特殊な成形機を使用している現状がある。しかし成形機の耐圧性能を上げるためには、成形機の強度を高めるため装置を大型にする必要があり、また金型も肉厚にする必要があるため、装置コストがかなり上昇するという短所がある。
また、成形加熱蒸気の圧力を上げるということは、成形時の加熱に必要な蒸気量も増加することとなり、これを冷却するための冷却水量が増加するなどユーティリティコストも上昇する。さらに、より高温に加熱するために成形時の加熱時間が長くなり、さらに加熱された金型を冷却水で冷却する工程にもより長い時間を必要とするため、製品あたりの生産サイクルが長くなり生産性が悪化する。またさらには型内発泡成形では金型形状が複雑であるため、形状によっては成形加熱時に金型の一部に応力が集中し、金型が破損することもあり、さらにコストアップの原因となる。
以上のように、型内発泡成形において成形加熱蒸気圧力が高いということは様々な欠点を有しており、できる限り低い成形加熱蒸気圧力で成形できることが望ましい。既存技術の範疇では、現状多く用いられている0.4MPa耐圧仕様の成形機にて安定生産できることは勿論のこと、さらに低い蒸気圧での成形が可能であり、表面美麗性に優れ、かつ高い剛性を有することにより寸法収縮率にも優れる型内発泡成形用ポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子を得ることは困難である。
さらに特許文献8にはポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子の樹脂融点と結晶融解熱量との関係を規定することにより、比較的低い成形蒸気圧で表面美麗性、剛性に優れた型内発泡成型体を得る方法が開示されているが、実施例記載の最低成形蒸気圧は0.3MPa前後であり、さらなる蒸気圧の低下が望まれる。また当該文献には型内発泡成形体の収縮率に関する記載もない。
特開平8−277340号公報 特開平10−45938号公報 特開平10−306173号公報 特開平10−316791号公報 特開平11−156879号公報 特開平7−258455号公報 特開平1−242638号公報 国際公開2006/075491号公報
本発明は、低い加熱蒸気圧で型内発泡成形体を生産でき、そして、得られた型内発泡成形体は、収縮率が小さく、かつ表面美麗性の高いポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子を提供することにある。
上記課題に鑑みて鋭意研究した結果、曲げ弾性率と融点の間に一定の関係があるポリプロピレン系樹脂を基材樹脂とするポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子を用いることにより、成形時の加熱成形蒸気圧が著しく低く、さらに型内発泡成形体の収縮率が小さく、かつ表面美麗性の高い型内発泡成形体が得られることを見出し、本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明の第1は、メルトフローレートが4g/10min以上20g/10min以下、融点が132.0〜143.0℃、曲げ弾性率が684〜1025MPaであり、融点と曲げ弾性率が下記式(1)を満たし、共重合成分として1−ブテンを1重量%以上含むエチレン−プロピレン−ブテンランダム共重合体(但し、融点が135℃以下の重合体を除く。)を基材樹脂とすることを特徴とするポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子に関する。
〔曲げ弾性率(MPa)〕≧31.19×〔融点(℃)〕−3500 (1)
好ましい態様としては、
〔1〕基材樹脂として用いるエチレン−プロピレン−ブテンランダム共重合体が、共重合成分として1−ブテンを3重量%以上含むこと、
〔2〕示差走査熱量計法による測定で、40℃から200℃まで10℃/分の速度で昇温した時に得られるDSC曲線において2つの融解ピークを有し、該融解ピークのうち低温側のピーク温度が140℃以下であり、且つ、低温側の融解ピーク熱量(Ql)と、高温側の融解ピーク熱量(Qh)から算出した、高温側の融解ピークの比率(Qh/(Ql+Qh)×100)が10%以上50%以下であること、
〔3〕ポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子表面に付着した無機分散剤量が1000ppm以下であること、
を特徴とする前記記載のポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子に関する。
本発明の第2は、前記記載のポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子を用いて得られる、密度が10kg/m3以上300kg/m3以下の型内発泡成形体に関する。
本発明のポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子は、寸法収縮率が小さく、表面美麗性の優れた型内発泡成形体を低い加熱成形蒸気圧で製造することができる。
本発明の型内発泡成形体は、寸法精度、表面外観が良好であるため、緩衝包装材、通函、自動車用部材等に好適に使用することができる。
本発明のポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子は、メルトフローレート(以下、MFRと表記する場合がある)が4g/10min以上20g/10min以下、融点が145℃以下、曲げ弾性率が600MPa以上であり、融点と曲げ弾性率が下記式(1)を満たすポリプロピレン系樹脂を基材樹脂としたものである。
〔曲げ弾性率(MPa)〕≧31.19×〔融点(℃)〕−3500 (1)
本発明のポリプロピレン系樹脂は、モノマーとしてプロピレンを主体とした樹脂でありプロピレン単独であっても、他の共重合成分を含んでいても良い。共重合成分としては、エチレン、1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3,4−ジメチル−1−ブテン、1−ヘプテン、3−メチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセンなどの炭素数2または4〜12のα−オレフィン、シクロペンテン、ノルボルネン、テトラシクロ[6,2,11,8,13,6]−4−ドデセンなどの環状オレフィン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、メチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエンなどのジエン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、無水マレイン酸、スチレン、メチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼンなどのビニル単量体などが挙げられる。これらのうち、エチレン、1−ブテンを使用することが耐寒脆性向上、安価等という点で好ましい。
本発明の基材樹脂として用いるポリプロピレン系樹脂は、共重合成分として1−ブテンを1重量%以上含むことが好ましく、2重量%以上がさらに好ましく、3重量%以上が最も好ましい。共重合成分として1−ブテンを含むと、樹脂融点に対する結晶性が高く、曲げ弾性率の高いポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体が得られやすい。
さらに、本発明の基材樹脂として用いるポリプロピレン系樹脂は、エチレン−プロピレン−ブテンランダム共重合体であることが好ましく、この場合、エチレンの含有量は0.5重量%以上が好ましく、1.0重量%以上がより好ましく、1.5重量%以上がさらに好ましい。コモノマーとしてエチレンを含むことにより比較的安価に基材樹脂の融点を下げることができる傾向にある。
これらのポリプロピレン系樹脂は無架橋の状態が好ましいが、パーオキサイドや放射線により架橋させても良い。またポリプロピレン系樹脂と混合使用可能な他の熱可塑性樹脂、例えば低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリスチレン、ポリブテン、アイオノマー等をポリプロプレン系樹脂の特性が失われない範囲で混合使用しても良い。
本発明のポリプロピレン系樹脂はMFRが4g/10min以上20g/10min以下であり、好ましくは5g/10min以上15g/10min以下である。本発明においてMFRの測定は、JIS K 7210記載のMFR測定器を用い、オリフィス2.0959±0.005mmφ、オリフィス長さ8.000±0.025mm、荷重2160g、230±0.2℃の条件下で測定したときの値である。MFRが上記範囲にあると比較的大きな発泡倍率のポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子が得られやすく、それを型内発泡成形すると、型内発泡成形体の表面美麗性が優れ、寸法収縮率が小さい型内発泡成形体が得られる。
また、本発明のポリプロピレン系樹脂は融点が145℃以下であり、好ましくは142℃以下である。ここで言う融点は、示差走査熱量計を用いて、試料5〜6mgを10℃/minの昇温速度で40℃から220℃まで昇温する事により樹脂粒子を融解し、その後10℃/minで220℃から40℃まで降温することにより結晶化させた後に、さらに10℃/minで40℃から220℃まで昇温したときに、2回目の昇温時に得られるDSC曲線における融解ピーク温度である。融点が145℃より高い場合は大幅に低い蒸気圧で成形できない。
また、本発明のポリプロピレン系樹脂の曲げ弾性率は600MPa以上であり、好ましくは650MPa以上であり、より好ましくは700MPaである。曲げ弾性率が600MPa未満では型内発泡成形体の寸法収縮率が大きくなる。なお、本発明において曲げ弾性率は、ASTM D790に従って測定する。
さらには、本発明のポリプロピレン系樹脂は、曲げ弾性率と融点の間に下記式(1)を満たす。
〔曲げ弾性率(MPa)〕≧31.19×〔融点(℃)〕−3500 (1)
ポリプロピレン系樹脂が前記式(1)の範囲である場合、融点に対して比較的曲げ弾性率が高く、得られる型内発泡成形体の剛性が高くなり寸法収縮率が少ない、また、融点が比較的低いため低い加熱蒸気圧での成形も可能である。
上記のポリプロピレン系樹脂は、通常、予備発泡に利用されやすいようにあらかじめ押出機、ニーダー、バンバリミキサー、ロール等を用いて溶融し、円柱状、楕円状、球状、立方体状、直方体状等のような所望の粒子形状で、その粒子の平均粒径が好ましくは0.1〜5mm、更に好ましくは0.5〜3mmになるようなポリプロピレン系樹脂粒子に成形加工される。
本発明において、ポリプロピレン系樹脂の他に、帯電防止剤、顔料、難燃性改良材、導電性改良材等を必要により加えてもよく、その場合は、これらは、通常、樹脂粒子の製造過程において溶融した樹脂中に添加することが好ましい。
本発明のポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子は、ポリプロピレン系樹脂粒子、発泡剤、水、分散剤、分散助剤を含んでなる分散液を耐圧容器に入れて、所定温度まで加熱し、加圧下のもと、容器内混合物を、好ましくはポリプロピレン系樹脂粒子の融点−20℃以上+10℃以下の範囲の温度に加熱するとともに発泡剤を含浸させ、容器内の温度、圧力を一定に保持しながら、加圧下で、ポリプロピレン系樹脂粒子と水との混合物を容器内よりも低圧雰囲気下に放出することによりポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子を製造することができる。
本発明に使用されるポリプロピレン系樹脂粒子に含浸させる発泡剤としては、例えばプロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類;シクロペンタン、シクロブタン等の脂環式炭化水素類;空気、窒素、炭酸ガス等の無機ガス類;水、等が上げられる。これらの発泡剤は単独で用いてもよく、また、2種類以上併用してもよい。好ましくは、炭酸ガス、水や、より高倍率での発泡を可能とするイソブタンである。
またその使用量に限定はなく、ポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子の所望の発泡倍率に応じて適宣使用すれば良く、通常発泡剤の使用量はポリプロピレン系樹脂粒子100重量部に対して3重量部以上60重量部以下であることが好ましい。
ポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子製造時に使用する耐圧容器には特に制限はなく、ポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子製造時における容器内圧力、容器内温度に耐えられるものであればよく、例えばオートクレーブ型の耐圧容器があげられる。
本発明で使用することが出来る分散剤としては、例えば、第三リン酸カルシウム、第三リン酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、塩基性炭酸亜鉛、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化チタン、アルミノ珪酸塩、硫酸バリウム等の無機系分散剤が挙げられる。
本発明で使用することが出来る分散助剤としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ、n−パラフィンスルホン酸ソーダ、α−オレフィンスルホン酸ソーダ等が挙げられる。これらの中でも、分散剤と分散助剤の組み合わせとしては、第三リン酸カルシウムとドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの組み合わせが好ましい。
分散剤や分散助剤の使用量は、その種類や、用いるポリプロピレン系樹脂の種類と使用量によって異なるが、通常、水100重量部に対して分散剤0.2重量部以上3重量部以下、分散助剤0.001重量部以上0.1重量部以下であることが好ましい。また、ポリプロピレン系樹脂粒子は、水中での分散性を良好なものにするために、通常、水100重量部に対して20重量部以上100重量部以下使用するのが好ましい。
本発明のポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子を製造するためには、基材樹脂にセル造核剤を添加することがこのましい。セル造核剤としてはプロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン等の炭化水素系発泡剤を使用する場合は、タルク、シリカ、炭酸カルシウムのような無機造核剤をポリプロピレン系樹脂100重量部に対して0.005重量部以上0.5重量部以下添加することが好ましい。また、空気、窒素、炭酸ガス、水等の無機発泡剤を使用する場合は、前記無機造核剤および/または吸水物質を使用することが好ましい。水を分散媒として使用する場合、ポリプロピレン系樹脂中に水が含浸し、含浸した水は他の発泡剤と共にあるいは単独で発泡剤として作用する。吸水物質は含浸水分量を多くするように作用する。
吸水物質の具体例として、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硼砂、硼酸亜鉛等の水溶性無機物、メラミン、イソシアヌル酸、メラミン・イソシアヌル酸縮合物等の吸水性有機物、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド等のポリエーテル、ポリエーテルのポリプロピレン等への付加物やこれらのアロイ、エチレン(メタ)アクリル酸共重合体のアルカリ金属塩、ブタジエン(メタ)アクリル酸共重合体のアルカリ金属塩、カルボキシル化ニトリルゴムのアルカリ金属塩、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体のアルカリ金属塩及びポリ(メタ)アクリル酸のアルカリ金属塩等の親水性ポリマーが挙げられる。
吸水物質の添加量は、目的とする発泡倍率、使用する発泡剤、使用する吸水物質の種類によって異なるが、水溶性無機物を使用する場合、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、0.01重量部以上1重量部以下であることが好ましく、親水性ポリマーを使用する場合、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、0.1重量部以上5重量部以下であることが好ましい。また、これら、水溶性無機物や親水性ポリマーを2種以上併用してもよい。無機造核剤や吸水物質の種類や量を調整することによりポリプロピレン系樹脂発泡粒子の平均気泡径を調整することができる。
本発明のポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子は、ポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子表面に付着した無機分散剤量は1000ppm以下であることが好ましく、より好ましくは800ppm以下であり、最も好ましくは600ppm以下である。当該範囲内であれば、型内発泡成形の際にポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子同士の融着性が阻害されないため好ましい。
以上の製造方法により得られるポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子表面に付着した無機分散剤量が1000ppmより多い場合は、予備発泡粒子の洗浄等によって付着無機分散剤量を減らすことができる。例えば、分散剤として第三リン酸カルシウムや第三リン酸マグネシウムを用いた場合には予備発泡粒子を塩酸水溶液やヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液などで洗浄する方法が挙げられる。
付着無機分散剤量については各種分光分析や、或いはポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子を燃焼したときの灰分量から定量できる。例えば分散剤として、リン酸塩を使用する場合、乾燥させた予備発泡粒子をメタバナジン酸アンモニウム0.022重量%、モリブデン酸アンモニウム0.54重量%および硝酸3重量%を含む水溶液(比色液)50.0mLとW(g)の予備発泡粒子をコニカルビーカーに採り、1分間撹拌したのち10分間放置した。得られた液相を光路長1.0cmの石英セルに採り、分光光度計により410nmでの吸光度A(−)を測定し、標準のリン酸塩溶液の吸光度から求めることが出来る。
本発明のポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子の平均気泡径は100μm以上が好ましく、120μm以上がさらに好ましい。平均気泡径が100μm未満では型内発泡成形体の収縮率が大きくなったり、表面美麗性が低下する場合がある。
本発明のポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子は図1に示すように、示差走査熱量計法による測定で、40℃から200℃まで10℃/分の速度で昇温した時に得られるDSC曲線において2つの融解ピークを有することが好ましく、該融解ピークのうち低温側のピーク温度が140℃以下であることが好ましい。より好ましくは137℃以下であり、135℃以下がさらに好ましい。低温側のピーク温度が140℃より高い場合は大幅に低い蒸気圧で成形できない場合がある。
さらに、上記DSC曲線の低温側ピークと、低温側ピークと高温側ピークの間の極大点からの融解開始ベースラインへの接線で囲まれる熱量である低温側の融解ピーク熱量(Ql)と、DSC曲線の高温側ピークと、低温側ピークと高温側ピークの間の極大点からの融解終了ベースラインへの接線で囲まれる熱量である高温側融解ピーク熱量(Qh)から算出した、高温側の融解ピークの比率(Qh/(Ql+Qh)×100(以下、DSC比と略す))が10%以上50%以下であることが好ましく、より好ましくは15%以上40%以下の範囲である。DSC比が当該範囲であると、表面美麗性の高い型内発泡成形体が得られやすい。
本発明のポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子の発泡倍率は、好ましくは5倍以上50倍以下であり、さらに好ましくは7倍以上45倍以下である。また、上述の方法(一段発泡と称する場合がある)で5倍以上35倍以下のポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子(一段発泡粒子と称する場合がある)を製造し、該一段発泡粒子を耐圧密閉容器内に入れて窒素、空気などを0.1〜0.6MPa加圧含浸させる加圧処理により一段発泡粒子内の圧力を常圧よりも高くした後、該発泡粒子をスチーム等で加熱して更に発泡させることにより、一段発泡粒子以上の発泡倍率のポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子(以下、二段発泡粒子と称する場合がある)を得ても良い。
ここで予備発泡粒子の発泡倍率は、ポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子の重量w(g)およびエタノール水没体積v(cm3)を求め、発泡前のポリプロピレン系樹脂粒子の密度d(g/cm3)から次式により求めたものである。
発泡倍率=d×v/w
本発明のポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子は、型内発泡成形を行って型内発泡成形体とする。型内発泡成形に用いる場合には、イ)そのまま用いる方法、ロ)あらかじめ予備発泡粒子中に空気等の無機ガスを圧入し、発泡能を付与する方法、ハ)予備発泡粒子を圧縮状態で金型内に充填し成形する方法、など従来既知の方法が使用しうる。
本発明のポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子から型内発泡成形体を成形する方法としては、たとえばあらかじめ予備発泡粒子を耐圧容器内で空気加圧し、粒子中に空気を圧入することにより発泡能を付与し、これを閉鎖しうるが密閉し得ない成形型内に充填し、水蒸気などを加熱媒体として0.1〜0.4MPa(ゲージ圧)程度の加熱水蒸気圧で3〜30秒程度の加熱時間で成形しポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子同士を融着させ、このあと成形金型を水冷により型内発泡成形体取り出し後の型内発泡成形体の変形を抑制できる程度まで冷却した後、金型を開き、型内発泡成形体を得る方法などが挙げられる。
また、ポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子の内圧は、例えば耐圧容器内で、1〜48時間、室温〜80℃の温度条件下、空気、窒素等の無機ガスによって0.1〜1.0MPa(ゲージ圧)加圧することによって調整できる。
上述の予備発泡粒子を用いて得られる型内発泡成形体の密度は10kg/m3以上300kg/m3以下であることが好ましく、より好ましくは15kg/m3以上250kg/m3以下である。
以下、本発明を実施例によって詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例、比較例で用いたプロピレン系樹脂を表1および図2に示す。
Figure 0005365901
〔融点の測定〕
セイコーインスツルメンツ(株)製のDSC6200型示差走査熱量計を用いて、ポリプロピレン系樹脂粒子5〜6mgを10℃/minの昇温速度で40℃から220℃まで昇温する事により樹脂粒子を融解し、その後10℃/minで220℃から40℃まで降温することにより結晶化させた後に、さらに10℃/minで40℃から220℃まで昇温したときに得られるDSC曲線から、2回目の昇温時の融解ピーク温度を融点として求めた。
〔ポリプロピレン系樹脂の曲げ弾性率〕
ポリプロピレン系樹脂を80℃にて6時間乾燥させた後、35t射出成形機を用い、シリンダー温度200℃、金型温度30℃にて厚み6.4mmバー(幅12mm、長さ127mm)を作製して、一週間以内にASTM D790に従い曲げ試験を行い、曲げ弾性率を求めた。
〔予備発泡粒子の発泡倍率〕
嵩体積約50cm3のポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子の重量w(g)およびエタノール水没体積v(cm3)を求め、発泡前の樹脂粒子の密度d(g/cm3)から次式により求めた。
発泡倍率=d×v/w
〔融着性評価〕
得られたポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体を、カッターナイフで発泡成形体の厚み方向に約3mmの切り込みを入れた後、手で切り込み部から発泡成形体を破断し、破断面を観察して、破断面を構成する発泡粒子数に対する破壊された発泡粒子の割合を求めて以下の判定とした。
60%以上・・・○
60%未満・・・×
〔表面性評価〕
得られたポリプロピレン系樹脂発泡成形体の表面を観察し、10cm2当たりの粒子間の1mm2以上の陥没や間隙の平均個数を求めて以下の判定とした。
100箇所未満・・・○
100箇所以上・・・×
〔寸法収縮率〕
得られたポリプロピレン系樹脂発泡成形体の長手寸法を測定し、金型寸法(400mm)に対する収縮率を算出して以下の判定とした。
5%未満・・・○
5%以上・・・×
〔付着分散剤量の測定(分散剤がリン酸マグネシウムの場合)〕
乾燥させた予備発泡粒子をメタバナジン酸アンモニウム0.022重量%、モリブデン酸アンモニウム0.54重量%および硝酸3重量%を含む水溶液(比色液)50.0mLとW(g)の予備発泡粒子をコニカルビーカーに採り、1分間撹拌したのち10分間放置した。得られた液相を光路長1.0cmの石英セルに採り、分光光度計により410nmでの吸光度A(−)を測定した。
同一の比色液について、予め測定しておいた第三リン酸マグネシウムの410nmでの吸光度係数ε(g/L・cm)を用いて、第三リン酸マグネシウムの付着量C(ppm)=4.7×104・ε・A/Wを求めた。
(実施例1)
ポリプロピレン系樹脂として、融点140.8℃、曲げ弾性率953MPaのエチレン−プロピレン−ブテンランダム共重合体(A−1)100重量部を用い、セル造核剤としポリエチレングリコール(ライオン(株)製PEG#300)0.5重量部およびタルク(林化成製PKS)0.1重量部をブレンドした後、50mm単軸押出機(大阪精機工作(株)製20VSE−50−28型)内で溶融混練した。得られた溶融混練樹脂を円形ダイよりストランド状に押出し、水冷後、ペレタイザーで切断し、一粒の重量が1.2mg/粒のポリプロピレン系樹脂粒子を得た。
得られたポリプロピレン系樹脂粒子100重量部、水200重量部、分散剤として第3リン酸マグネシウム1.0重量部、分散助剤としてアルキルスルホン酸ナトリウム0.05重量部を容量10Lの耐圧オートクレーブ中に仕込み、攪拌下、発泡剤として炭酸ガスを6.25重量部添加した。オートクレーブ内容物を昇温し、146.4℃の発泡温度まで加熱した後、さらに炭酸ガスを追加してオートクレーブ内圧を3.0MPa(ゲージ圧)とした。その後、30分間保持した後、オートクレーブ下部のバルブを開き、4.0mmφの開口オリフィスを通して、オートクレーブ内容物を大気圧下に放出して一段発泡粒子を得た。得られた一段発泡粒子の発泡倍率は17倍、融点ピークのDSC比は20%であった。得られた一段発泡粒子内に空気含浸により0.32MPaの内圧を付与し、0.11MPa(ゲージ圧)の蒸気により加熱し、発泡倍率約30倍の発泡粒子を得た。結果を表2に示す。
得られたポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子を、pH=1の塩酸水溶液で洗浄した後、75℃で乾燥し、ダイセン株式会社製ポリオレフィン発泡成形機KD−345を用い、縦300mm×横400mm×厚み21mmの金型に、あらかじめ予備発泡粒子内部の空気圧力が0.20MPaになるように調整したポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子を充填し、0.20および0.25MPa(ゲージ圧)の水蒸気で厚み方向に5%圧縮して加熱成形させることにより、ポリプロピレン系樹脂発泡成形体を得た。得られた発泡成形体は1時間室温で放置した後、75℃の恒温室内で3時間養生乾燥を行い、再び室温に取出してから室温で1時間放置した後の粒子間の融着性と型内発泡成形体の表面状態および寸法収縮率を評価した。結果を表2に示す。
Figure 0005365901
(実施例2)
実施例1において、基材樹脂として融点138.5℃、曲げ弾性率873MPaのエチレン−プロピレン−ブテンランダム共重合体(A−2)とし、表2記載の条件とした以外は、実施例1と同様にして、ポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子を得、型内発泡成形体を得た。結果を表2に示す。
(実施例3)
実施例1において、基材樹脂として融点143.0℃、曲げ弾性率1025MPaのエチレン−プロピレン−ブテンランダム共重合体(A−3)とし、表2記載の条件とした以外は、実施例1と同様にして、ポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子を得、型内発泡成形体を得た。結果を表2に示す。
(実施例4)
実施例1において、基材樹脂として融点139.7℃、曲げ弾性率911MPaのエチレン−プロピレン−ブテンランダム共重合体(A−4)とし、表2記載の条件とした以外は、実施例1と同様にして、ポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子を得、型内発泡成形体を得た。結果を表2に示す。
(実施例5)
実施例1において、基材樹脂として融点141.6℃、曲げ弾性率987MPaのエチレン−プロピレン−ブテンランダム共重合体(A−5)とし、表2記載の条件とした以外は、実施例1と同様にして、ポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子を得、型内発泡成形体を得た。結果を表2に示す。
(実施例6)
実施例1において、基材樹脂として融点132.0℃、曲げ弾性率684MPaのエチレン−プロピレン−ブテンランダム共重合体(A−6)とし、表2記載の条件とした以外は、実施例1と同様にして、ポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子を得、型内発泡成形体を得た。結果を表2に示す。
(比較例1)
実施例1において、基材樹脂として融点145.1℃、曲げ弾性率1128MPaのエチレン−プロピレン−ブテンランダム共重合体(A−7)とし、表2記載の条件とした以外は、実施例1と同様にして、ポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子を得、型内発泡成形体を得た。結果を表3に示す。
Figure 0005365901
(比較例2)
実施例1において、基材樹脂として融点136.1℃、曲げ弾性率679MPaのエチレン−プロピレンランダム共重合体(A−8)とし、表2記載の条件とした以外は、実施例1と同様にして、ポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子を得、型内発泡成形体を得た。結果を表3に示す。
(比較例3)
実施例1において、基材樹脂として融点142.0℃、曲げ弾性率860MPaのエチレン−プロピレンランダム共重合体(A−9)とし、表2記載の条件とした以外は、実施例1と同様にして、ポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子を得、型内発泡成形体を得た。結果を表3に示す。
実施例では、いずれも0.20MPa(ゲージ圧)の低い成型蒸気圧の成型で、融着性、表面性、寸法収縮率に優れた成形体が得られている。比較例1、2、および3ではポリプロピレン系樹脂が本発明の範囲外にあり、0.25MPa(ゲージ圧)での成形も困難であったり、成形できた場合も寸法収縮率が大きいものであった。
示差走査熱量計を用い、本発明記載のポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子を測定した際に得られるDSC曲線の一例である。横軸は温度、縦軸は吸熱量である。 評価した実施例、ならびに比較例について、横軸に樹脂融点、縦軸に曲げ弾性率を取り、グラフ化したものである。2本の直線より囲まれた左上の部分が本発明の基材樹脂の融点、曲げ弾性率量の範囲である。実施例は全てこの範囲の中にある。比較例はこの範囲を外れている。

Claims (5)

  1. メルトフローレートが4g/10min以上20g/10min以下、融点が132.0〜143.0℃、曲げ弾性率が684〜1025MPaであり、融点と曲げ弾性率が下記式(1)を満たし、共重合成分として1−ブテンを1重量%以上含むエチレン−プロピレン−ブテンランダム共重合体(但し、融点が135℃以下の重合体を除く。)を基材樹脂とすることを特徴とするポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子。
    〔曲げ弾性率(MPa)〕≧31.19×〔融点(℃)〕−3500 (1)
  2. 基材樹脂として用いるエチレン−プロピレン−ブテンランダム共重合体が、共重合成分として1−ブテンを3重量%以上含むことを特徴とする請求項1記載のポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子。
  3. 示差走査熱量計法による測定で、40℃から200℃まで10℃/分の速度で昇温した時に得られるDSC曲線において2つの融解ピークを有し、該融解ピークのうち低温側のピーク温度が140℃以下であり、且つ、低温側の融解ピーク熱量(Ql)と、高温側の融解ピーク熱量(Qh)から算出した、高温側の融解ピークの比率(Qh/(Ql+Qh)×100)が10%以上50%以下であることを特徴とする、請求項1又は2の何れか一項記載のポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子。
  4. ポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子表面に付着した無機分散剤量が1000ppm以下であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項記載のポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子。
  5. 請求項1〜4の何れか一項記載のポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子を用いて得られる、密度が10kg/m3以上300kg/m3以下の型内発泡成形体。
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