JP5365625B2 - 重合性組成物、樹脂成形体、及び架橋樹脂成形体 - Google Patents

重合性組成物、樹脂成形体、及び架橋樹脂成形体 Download PDF

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Description

本発明は、重合性組成物、樹脂成形体、及び架橋樹脂成形体に関する。より詳細には、電気回路基板に使用する電気材料等として好適な架橋樹脂成形体、又は架橋樹脂複合体を得ることができ、経時の粘度上昇抑制と高い重合転化率とを両立させた重合性組成物、該重合性組成物を用いて得られる樹脂成形体、及び該重合性組成物又は該樹脂成形体を用いて得られる電気絶縁性、密着性、機械的強度、耐熱性、及び誘電特性などに優れた架橋樹脂成形体に関する。
これまで、ルテニウムカルベン錯体などのメタセシス重合触媒を用いてシクロオレフィンモノマーを塊状重合させることにより、機械的又は電気的に優れた性質を示す重合体が得られることが知られている。
例えば、特許文献1には、ノルボルネン系モノマー、ルテニウムカルベン錯体触媒、連鎖移動剤及び架橋剤を含む重合性組成物をメタセシス塊状重合して架橋性の熱可塑性樹脂を得、この架橋性熱可塑性樹脂を基板等に積層し、架橋して、複合材料を得ることが開示されている。
特開2004−244609号公報
しかしながら、通常電気回路基板の絶縁材料として用いられるエポキシ樹脂の重合等と比べて、一般にルテニウムカルベン錯体触媒によるメタセシス重合は、活性が高く、重合速度が極めて大きくなる。そのため、重合性組成物を繊維強化材に含浸させるなどしてフィルム状に成形する場合に、成形前に該重合性組成物の分子量、及び粘度が高くなることから、時間の経過とともに重合性組成物の繊維強化材への含浸が困難になったり、得られる架橋性の熱可塑性樹脂の性質が安定しなくなるという問題があった。
そこで、特許文献2、及び特許文献3には、キレート化カルベン配位子を有したルテニウムカルベン錯体が開示されており、該構造の錯体をメタセシス重合触媒として使用することにより、反応の進行を遅延させられることが示唆されている。特に、特許文献3では、キレート化カルベン配位子を有したルテニウムカルベン錯体の2種類の異性体を併用することにより、2種類の異性体間での重合活性の差を利用して重合の潜伏期間を制御できることが開示されている。
特表2002−506455号公報 特表2007−530706号公報
しかしながら、特許文献2又は3に記載のルテニウムカルベン錯体触媒を用いた場合は、反応の進行は抑制できたが、反対にモノマーの重合転化率が著しく低下し、できた重合体にベタツキが生じて作業性が悪くなる、モノマーの臭気により使用環境が悪くなる、電気回路基板に使用する電気材料として使用したとき導体との密着性や耐熱性が低下する等の問題があった。このように重合性組成物の時間の経過による粘度の上昇と、高い重合転化率は相反する特性であり、これらを同時に制御することは非常に困難であった。また、2種類のルテニウムカルベン錯体触媒を合成するために、合成された1種類目のルテニウムカルベン錯体触媒を更に加熱して異性化し、単離する工程が必要になり、1種類のルテニウムカルベン錯体触媒を使用する場合に比べて生産性が悪くなるという問題もあった。
一方、特許文献4では、アルキルアセチレンを用いたルテニウムカルベン錯体触媒の製造方法が開示されており、触媒合成の生産性が高くなることが示唆されている。しかしながら、特許文献4には、合成したルテニウムカルベン錯体触媒を用いたモノマー重合後の特性に対する記載はなく、本発明者の検討では、開示されているルテニウムカルベン錯体触媒では、上述のように反応の進行の抑制と、モノマーの重合転化率を同時に制御することはできなかった。
特表2001−503434号公報
また非特許文献1でもキレート化カルベン配位子を有するルテニウムカルベン錯体触媒についての開示がある。しかし、非特許文献1に開示される触媒では、上記重合性組成物の時間の経過による粘度の上昇と、高い重合転化率の両立をすることができなかった。
Organometallics,Vol.21,No.11,2002 p.2153
また、非特許文献1では、ルテニウムカルベン錯体触媒のカルベン置換基がキレート化した化合物が、トリシクロヘキシルホスフィンの存在下で、キレート化していない化合物となる平衡反応が起こることを論じている。しかしながら、本発明者によると、後述の参考例1のように、非特許文献1での方法で、後述の式(A1)及び式(A2)で表される構造を有する化合物間で平衡反応が起こることを確認できなかった。そのため、非特許文献1の方法では、ルテニウムカルベン錯体触媒の組成を制御することができないため、シクロオレフィンモノマーの重合に使用する際に経時の粘度上昇抑制と高い重合転化率とを両立することは困難であった。
本発明の課題は、電気回路基板に使用する電気材料等として好適な樹脂成形体を得ることができ、経時の粘度上昇抑制と高い重合転化率とを両立させた重合性組成物、及びその製造方法を提供することにある。また、該重合性組成物を用いて得られる樹脂成形体、及びその製造方法、並びに電気絶縁性、密着性、機械的強度、耐熱性、誘電特性などに優れた架橋樹脂成形体、及びその製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、重合性組成物の製造に、キレート配位の構造を有するルテニウムカルベン錯体触媒〔後述の式(A1)で表される構造を有するルテニウムカルベン錯体触媒(A1)〕とキレート配位の構造を有しないルテニウムカルベン錯体触媒〔後述の式(A2)で表される構造を有するルテニウムカルベン錯体触媒(A2)〕との混合物を使用することによって、経時による粘度上昇を抑制し、かつ高いモノマーの重合転化率を得るという2つの相反する特性を同時に満足させることができ、これにより重合性組成物を繊維状強化材に均一に含浸させることが可能となり、得られる樹脂成形体により、電気絶縁性、密着性、機械的強度、耐熱性、誘電特性などに優れた架橋樹脂成形体及び架橋樹脂複合体が安定的に製造できることを見出した。
本発明者はさらに、ルテニウムカルベン錯体触媒の前記混合物を一括で調製することにより、前記重合性組成物の生産性に優れる製造方法を見出した。本発明は、これらの知見に基づき、完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は以下の態様を含むものである。
〔1〕式(A1)で表される構造を有するルテニウムカルベン錯体触媒(A1)と、式(A2)で表される構造を有するルテニウムカルベン錯体触媒(A2)との混合物、及びシクロオレフィンモノマーを含有する重合性組成物。
Figure 0005365625
(式(A1)及び式(A2)において、
及びLは、中性電子供与性配位子であり;
及びXは、アニオン性配位子であり;
は、水素原子、炭素原子、ハロゲン原子、又はハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子若しくは珪素原子のいずれかを含む基で置換された炭素数1〜20の炭化水素基であり;
Aは、2価、又は3価の有機基であり;
Zは、電子供与性基である。)
〔2〕ルテニウムカルベン錯体触媒の前記混合物を構成する(A1)及び(A2)が、式(B)で表される構造を有する化合物(B)と、式(C)で表される構造を有する化合物(C)とを反応させて得られるものである前記〔1〕記載の重合性組成物。
Figure 0005365625
(式(B)及び式(C)において、
及びLは、中性電子供与性配位子であり;
及びXは、アニオン性配位子であり;
は、水素原子、炭素原子、ハロゲン原子、又はハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子若しくは珪素原子のいずれかを含む基で置換された炭素数1〜20の炭化水素基であり;
Aは、2価、又は3価の有機基であり;
Zは、電子供与性基である。)
〔3〕前記式(A1)及び前記式(A2)において、Lがヘテロ原子含有カルベン配位子である前記〔1〕又は〔2〕記載の重合性組成物。
〔4〕前記ルテニウムカルベン錯体触媒(A1)と、前記ルテニウムカルベン錯体触媒(A2)とのモル比が、(A1):(A2)=90:10〜50:50の範囲である前記〔1〕〜〔3〕いずれか記載の重合性組成物。
〔5〕架橋剤を更に含んでなる前記〔1〕〜〔4〕いずれか記載の重合性組成物。
〔6〕前記〔5〕に記載の重合性組成物をメタセシス塊状重合する工程を含む、樹脂成形体の製造方法。
〔7〕前記〔6〕に記載の製造方法で得られる樹脂成形体を架橋する工程を含む、架橋樹脂成形体の製造方法。
〔8〕前記〔2〕に規定される、化合物(B)と化合物(C)とを反応させて、前記〔1〕に規定される、ルテニウムカルベン錯体触媒(A1)とルテニウムカルベン錯体触媒(A2)との混合物を得る工程、及びルテニウムカルベン錯体触媒の前記混合物とシクロオレフィンモノマーとを混合する工程を含む重合性組成物の製造方法。
〔9〕前記〔6〕に記載の製造方法により得られうる樹脂成形体。
〔10〕前記〔7〕に記載の製造方法で得られうる架橋樹脂成形体。
本発明の重合性組成物は、経時による粘度上昇を抑え、かつモノマーの重合転化率を高くするという2つの相反する特性を同時に満足することができ、繊維状強化材への均一な含浸が可能である。
本発明の重合性組成物を塊状重合し次いで架橋させると、電気絶縁性、密着性、機械的強度、耐熱性、誘電特性などの特性に優れた架橋樹脂成形体が安定的に生産できる。
本発明の製造方法により一括で調製したルテニウムカルベン錯体触媒の混合物を用いて重合性組成物とすると、上記特性を持ち、かつ該重合性組成物を生産性良く製造することができる。
本発明の重合性組成物を用いて得られた架橋樹脂成形体、及び架橋樹脂複合体は、電気回路基板に使用する電気材料等として好適である。
(重合性組成物)
本発明の重合性組成物は、ルテニウムカルベン錯体触媒の混合物、及びシクロオレフィンモノマーを含有するものである。
(1)シクロオレフィンモノマー
本発明の重合性組成物を構成するシクロオレフィンモノマーは、炭素原子で形成される環構造を有し、該環中に炭素−炭素二重結合を有する化合物である。前記炭素−炭素二重結合はメタセシス反応によって開環し、重合体を生成しうる結合である。シクロオレフィンモノマーとしては、例えば、ノルボルネン系モノマーが挙げられる。ノルボルネン系モノマーは、ノルボルネン環を含むシクロオレフィンモノマーである。具体的には、ノルボルネン類、ジシクロペンタジエン類、及びテトラシクロドデセン類などが挙げられる。ノルボルネン系モノマーは、アルキル基、アルケニル基、アルキリデン基、及びアリール基などの、炭素数1〜20の炭化水素基や、カルボキシル基又は酸無水物基などの極性基を、置換基として有していてもよい。また、ノルボルネン環の二重結合以外に、さらに二重結合を有していてもよい。これらの中でも、極性基を含まない、すなわち炭素原子と水素原子のみで構成されるノルボルネン系モノマーが好ましい。ノルボルネン系モノマーを構成する環の数は、3〜6であるものが好ましく、3又は4であるものがより好ましく、4であるものが特に好ましい。シクロオレフィンモノマー中のノルボルネン系モノマーの含有量としては、特に制限されるものではないが、好ましくは60重量%以上、より好ましくは80重量%以上である。また、シクロオレフィンモノマーの全量がノルボルネン系モノマーであってもよい。
極性基を含まないノルボルネン系モノマーとしては、2−ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、5−ブチル−2−ノルボルネン、5−ヘキシル−2−ノルボルネン、5−デシル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−プロペニル−2−ノルボルネン、などの環の数が2であるノルボルネン類;
5−シクロヘキシル−2−ノルボルネン、5−シクロペンチル−2−ノルボルネン、5−シクロヘキセニル−2−ノルボルネン、5−シクロペンテニル−2−ノルボルネン、5−フェニル−2−ノルボルネンなどの環の数が3であるノルボルネン類;ジシクロペンタジエン、メチルジシクロペンタジエン、ジヒドロジシクロペンタジエン(トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エンとも言う。)などの環の数が3であるジシクロペンタジエン類;
テトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロ−9H−フルオレンとも言う。)、テトラシクロ[10.2.1.02,11.04,9]ペンタデカ−4,6,8,13−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,9,9a,10−ヘキサヒドロアントラセンとも言う。)などの環の数が4であるノルボルネン類;
テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−エチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メチレンテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−エチリデンテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−ビニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−プロペニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、などの環の数が4であるテトラシクロドデセン類;
9−シクロヘキシルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−シクロペンチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−シクロヘキセニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−シクロペンテニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−フェニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エンなどの環の数が5であるテトラシクロドデセン類;
ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカ−4,10−ジエン、ペンタシクロ[9.2.1.14,7.02,10.03,8]ペンタデカ−5,12−ジエン、ヘキサシクロ[6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]ヘプタデカ−4−エンなどの環の数が5以上であるその他のノルボルネン系モノマー;などが挙げられる。
極性基を含むノルボルネン系モノマーとしては、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸メチル、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−メタノール、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4,5−ジカルボン酸、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4,5−ジカルボン酸無水物、5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチル、2−メチル−5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチル、酢酸5−ノルボルネン−2−イル、5−ノルボルネン−2−メタノール、5−ノルボルネン−2−オール、5−ノルボルネン−2−カルボニトリル、2−アセチル−5−ノルボルネン、7−オキサ−2−ノルボルネンなどが挙げられる。
また、本発明においては、シクロブテン、シクロペンテン、シクロオクテン、シクロドデセン、1,5−シクロオクタジエンなどの単環シクロオレフィン、及び置換基を有するそれらの誘導体を上記ノルボルネン系モノマーに添加して重合に供することができる。
以上のシクロオレフィンモノマーは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。2種以上のモノマーを併用し、その量比を変化させることで、得られる樹脂成形体のガラス転移温度や溶融温度を制御することが可能である。なお、前記単環シクロオレフィン類、及びそれらの誘導体の添加量は、シクロオレフィンモノマーの全量に対して、通常、40重量%以下、好ましくは20重量%以下である。添加量が40重量%を超えると、塊状重合により得られる重合体の耐熱性が不十分となる傾向がある。
(2)ルテニウムカルベン錯体触媒の混合物
ルテニウムカルベン錯体触媒は、ルテニウム原子を中心にして、イオン、原子、多原子イオン、及び/又は化合物が複数結合してなる錯体であって、ルテニウム原子にカルベン炭素が二重結合した構造(Ru=C)を有するものである。
本発明の重合性組成物を構成するルテニウムカルベン錯体触媒の混合物は、以下の式(A1)で表される構造を有する、キレート配位の環構造を持つルテニウムカルベン錯体触媒(A1)と、以下の式(A2)で表される構造を有する、キレート配位の環構造を持たないルテニウムカルベン錯体触媒(A2)との混合物である。ルテニウムカルベン錯体触媒(A1)においては、ZがRuに対しキレート配位、すなわち、Zが配位子として非共有電子対を介してRuに配位結合しており、C、A、Z及びRuにより、キレート配位の環構造が形成されている。
Figure 0005365625
前記式(A1)及び前記式(A2)において、Rは、水素原子、炭素原子、ハロゲン原子、又はハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子若しくは珪素原子のいずれかを含む基で置換された炭素数1〜20の炭化水素基を表す。X及びXは、それぞれ独立に、任意のアニオン性配位子を表す。L及びLは、それぞれ独立に、中性電子供与性配位子を表す。Aは、2価、又は3価の有機基を表す。有機基は、炭素原子を含む原子団である。有機基は、格別な限定はないが、主鎖が1〜5の原子よりなる構造である時、式(A1)に示される、キレート配位による環構造の形成が容易になり、好ましい。Zは、電子供与性基である。電子供与性基は、非共有電子対を持つ、少なくとも1つの原子からなる原子団である。電子供与性基としては、例えば、OR、O、PR、又はNRで表される構造を有する原子団が挙げられる。なお、R〜Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜20の炭化水素基を表す。Zは、Ruに対しキレート配位する場合、式(A1)に示されるように、Lに代わってルテニウム原子の配位子として結合してもよい。
アニオン性配位子は、中心金属から引き離された時に負の電荷を持つ配位子である。アニオン性配位子としては、例えば、F、Cl、Br、及びIなどのハロゲン原子などを挙げることができる。これらの中でも、Cl(塩素原子)が好ましい。
中性電子供与性配位子は、中心金属から引き離された時に中性の電荷を持つ配位子である。中性電子供与性配位子としては、格別の限定はなく、例えば、カルベン化合物、カルボニル、アミン類、ピリジン類、エーテル類、ニトリル類、エステル類、ホスフィン類、チオエーテル類、芳香族化合物、オレフィン類、イソシアニド類、チオシアネート類などが挙げられる。これらの中でも、カルベン化合物、ホスフィン類、エーテル類、及びピリジン類が好ましく、カルベン化合物がより好ましく、ヘテロ原子含有カルベン化合物が特に好ましい。
前記ヘテロ原子含有カルベン化合物中のヘテロ原子とは、周期律表(長周期型周期律表による。以下、同じ。)第15族及び第16族の原子を意味し、具体的には、N、O、P、S、As、及びSeなどを挙げることができる。これらの中でも、安定なカルベン化合物が得られる観点から、N、O、P、及びSが好ましく、N(窒素原子)がより好ましい。
ヘテロ原子含有カルベン化合物としては、カルベン炭素原子の両側にヘテロ原子が隣接して結合している構造を有するものが好ましく、さらにカルベン炭素原子とその両側のヘテロ原子を含んでなるヘテロ環が構成されているものがより好ましい。また、カルベン炭素原子に隣接するヘテロ原子は嵩高い置換基を有していることが好ましい。
ヘテロ原子含有カルベン化合物としては、以下の式(D)又は式(E)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005365625
式(D)及び式(E)において、R〜R10はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、又はハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子若しくは珪素原子を含んでもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表す。また、R〜R10は任意の組合せで互いに結合して環を形成していてもよい。
前記式(A1)及び前記式(A2)においてAで表される、2価、又は3価の有機基としては、例えば、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子若しくは珪素原子を含んでもよい、2価、又は3価の、炭素数1〜20の炭化水素基が挙げられる。本発明において「炭化水素基」は、鎖式炭化水素基であっても、環式炭化水素基であってもよい。重合転化率を高める観点から、Aの好適例としては、窒素原子を1つ含む環式炭化水素基であって、該窒素原子のところで、ルテニウム原子に結合したカルベン炭素に結合する環式炭化水素基が挙げられる。かかる環式炭化水素基の具体例としては、以下の構造を有する基が挙げられる。
Figure 0005365625
本発明の重合性組成物を構成するルテニウムカルベン錯体触媒の混合物において、ルテニウムカルベン錯体触媒(A1)とルテニウムカルベン錯体触媒(A2)との組合せとしては、例えば、(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(2−ピロリドン−1−イルメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリドと、(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(2−ピロリドン−1−イルメチレン)ルテニウムジクロリド;(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(2−フタルイミド−1−イルメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリドと、(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(2−フタルイミド−1−イルメチレン)ルテニウムジクロリド;(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(2−ε−カプロラクタム−1−イルメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリドと、(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(2−ε−カプロラクタム−1−イルメチレン)ルテニウムジクロリド;等が挙げられる。
前記混合物中、ルテニウムカルベン錯体触媒(A1)とルテニウムカルベン錯体触媒(A2)との量比は、モル比で、通常、(A1):(A2)=90:10〜50:50、好ましくは80:20〜60:40の範囲である。ルテニウムカルベン錯体触媒(A1)と(A2)の量比がこの範囲にあるとき、経時による粘度上昇を抑え、かつモノマーの重合転化率を高くするという2つの相反する特性を同時によりいっそう満足することができ、好ましい。
本発明の重合性組成物の、前記混合物としてのルテニウムカルベン錯体触媒の使用量は、(ルテニウム原子:シクロオレフィンモノマー)のモル比で、通常1:2,000〜1:2,000,000、好ましくは1:5,000〜1:1,000,000、より好ましくは1:10,000〜1:500,000の範囲である。
ルテニウムカルベン錯体触媒は所望により、少量の不活性溶剤に溶解、又は懸濁して使用することができる。かかる溶媒としては、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、流動パラフィン、ミネラルスピリットなどの鎖状脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジエチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、ジシクロヘプタン、トリシクロデカン、ヘキサヒドロインデン、シクロオクタンなどの脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、インデンなどの芳香族炭化水素;ニトロメタン、ニトロベンゼン、アセトニトリルなどの含窒素炭化水素;ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどの含酸素炭化水素;などが挙げられる。これらの中では、工業的に汎用な芳香族炭化水素や鎖状脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素の使用が好ましい。また、メタセシス重合触媒としての活性を低下させないものであれば、公知の、液状の老化防止剤、可塑剤やエラストマーを溶剤として用いてもよい。さらに、所望により、本発明の重合性組成物には、後述のその他の添加剤が配合されていてもよい。
(3)重合性組成物の製造方法
本発明の重合性組成物に含まれる、混合物としてのルテニウムカルベン錯体触媒は、以下のスキームに示す反応(a)より製造されることが好ましい。
反応(a):
Figure 0005365625
前記式(B)及び(C)において、L、L、X、X、R、A、及びZは、前記式(A1)及び(A2)においての説明と同様である。
反応(a)は、以下のようにして行われる。式(B)で表される構造を有する化合物(B)、及び式(C)で表される構造を有する化合物(C)を、溶媒に溶解させる。
化合物(C)の添加量は、化合物(B)に対して、通常、2〜30等量、好ましくは5〜25等量、より好ましくは10〜20等量の範囲である。溶媒は、ルテニウムカルベン錯体触媒(A1)と(A2)、及び化合物(B)と(C)を溶解できるものであり、ルテニウムカルベン錯体触媒に対して不活性であることが好ましい。溶媒としては、具体的には、トルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、及びクロロホルムなどが挙げられる。この中でもテトラヒドロフランとベンゼンが好ましく、テトラヒドロフランがより好ましい。溶媒の量は、ルテニウムカルベン錯体触媒(A1)と(A2)、及び化合物(B)と(C)が溶解すれば格別の限定はないが、化合物(B)100重量部に対し、通常、50〜300重量部、好ましくは80〜200重量部の範囲である。溶媒の量が、この範囲にあるとき化合物(B)と(C)が十分溶解し、後述する溶媒の乾燥の効率に優れ、好ましい。
反応系内は、化合物(B)が分解しないように、不活性のガスで充填するのが好ましい。不活性のガスとして具体的には、通常、窒素、又はアルゴンガスが選択される。
化合物(B)と(C)の溶解では、溶解の効率を上げるために所望により、撹拌及び/又は超音波処理がなされる。溶解温度は、通常、−60〜+20℃、好ましくは−50〜0℃、より好ましくは−40〜−10℃の範囲である。溶解温度がこの範囲にある時、化合物(B)が分解せず、作業性に優れて好ましい。
上記のようにして得られる化合物(B)と(C)の溶液に、CHCNなどの反応(a)の反応促進剤と、CH≡CR11で表される構造を有する化合物とを加えて、容器内の温度を上昇させることにより、ルテニウムカルベン錯体触媒の混合物を製造する反応を開始するのが好適である。R11としては特に限定されず、例えば、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、エーテル結合含有基、アミノ基、ニトリル基、チオール基、カルボニル基、アルデヒド基、ケトン基、カルボキシル基、エステル結合含有基、及びアミド基などが挙げられる。好ましくは、カルボキシル基である。
反応温度は、通常−20〜+50℃であり、好ましくは0〜40℃の範囲である。反応温度がこの範囲にあるとき、化合物(B)が分解せず、かつ反応が遅滞なく進行して好ましい。本発明の製造方法では、反応温度を調整することにより、混合物中のルテニウムカルベン錯体触媒(A1)と(A2)の量比を所望の値に制御でき、一回の反応で効率よく、ルテニウムカルベン錯体触媒の混合物を製造することができる。この範囲の中で、特に反応温度が高い時、製造する、ルテニウムカルベン錯体触媒(A1)と(A2)の混合物中で、ルテニウムカルベン錯体触媒(A1)の比率を多くすることができ、反応温度が低い時、ルテニウムカルベン錯体触媒(A2)の比率を多くすることができる。反応時間は、目的により適宜選択されるが、通常、20分間〜3時間、好ましくは1時間〜2時間の範囲である。
、X、L、及びLについては、通常、重合活性を上げるための置換を行い、ルテニウムカルベン錯体触媒の構造をより好ましい態様に変更することができる。例えば、X、及びXを、HF、HCl、HBr、又はHIとの反応により、所望のハロゲン原子に置換することができる。また、L、及びLを、カリウム−t−ブトキシド等の存在下でヘテロ原子含有カルベン等に置換することもできる。
反応(a)を含む、上記一連の反応により、ルテニウムカルベン錯体触媒を所望の構造に置換して、より好適な、ルテニウムカルベン錯体触媒(A1)と(A2)の混合物を製造することができる。
製造した、ルテニウムカルベン錯体触媒(A1)と(A2)の混合物は、通常の方法に従って、反応系内の他の化合物から単離される。単離する方法としては、反応時に使用した溶媒を減圧乾燥した後、通常、シリカを含んだカラムを通すことによる不純物の吸着、再結晶化、及び貧溶媒による析出などの方法が挙げられる。これらの中でも、貧溶媒による析出が作業性に優れ、好ましい。
貧溶媒としては、ルテニウムカルベン錯体触媒を溶解しない溶媒であれば格別な制限はないが、例えば、メタノール、エタノール、n−ペンタン、n―ヘキサンなどが挙げられる。
貧溶媒によりルテニウムカルベン錯体触媒を析出させる際の温度は、低い方が好ましい。
得られた析出物を減圧乾燥することにより、貧溶媒が除去され、ルテニウムカルベン錯体触媒(A1)と(A2)の混合物を得ることができる。
好ましくは、かかる混合物を、適当な溶媒に溶解、又は分散させて触媒液を調製し、シクロオレフィンモノマーの重合に使用する。後述の参考例1に示す通り、触媒液に溶解、又は分散させるルテニウムカルベン錯体触媒として、ルテニウムカルベン錯体触媒(A1)又は(A2)を使用しても、これらの触媒の量比が変わる平衡反応は起こらない。そのため、本発明においては、得られた混合物でのルテニウムカルベン錯体触媒(A1)と(A2)の量比を維持して、シクロオレフィンモノマーの重合を行うことができる。
以上により得られた、ルテニウムカルベン錯体触媒(A1)と(A2)の混合物そのものを、又は触媒液の形態で、シクロオレフィンモノマー、又はシクロオレフィンモノマーを含むモノマー液と、公知の方法に従って混合することにより、本発明の重合性組成物が得られる。前記混合物とシクロオレフィンモノマーとの混合割合は、前記ルテニウムカルベン錯体触媒の使用量を考慮して、適宜決定すればよい。
本発明の、ルテニウムカルベン錯体触媒(A1)と(A2)の混合物を含む重合性組成物の製造方法は、該混合物を一括して製造する工程を含むため、高い生産性を持つ。なお、本発明の重合性組成物は、例えば、ルテニウムカルベン錯体触媒の公知の製法、及び後述の実施例3に記載の方法を参照して、ルテニウムカルベン錯体触媒(A1)と(A2)とを別々に調製し、それらを混合してルテニウムカルベン錯体触媒の混合物を得、それをシクロオレフィンモノマーと混合することにより調製することもできる。
(4)その他の添加剤
本発明の重合性組成物には、各種の添加剤、例えば、重合反応遅延剤、連鎖移動剤、架橋剤、ラジカル架橋遅延剤、改質剤、酸化防止剤、難燃剤、充填剤、着色剤、光安定剤などを含有させることができる。これらは、本発明の重合性組成物を製造する際、例えば、モノマー液、又は触媒液に予め溶解、又は分散させて用いることができる。
重合反応遅延剤としては、例えば、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィンなどのホスフィン類;アニリン、ピリジンなどのルイス塩基;が挙げられる。中でも、本発明の重合性組成物の可使時間を効率よく制御でき、重合反応の阻害が少ないので、ホスフィン類が好ましい。
また、シクロオレフィンモノマーのうち、分子内に1,5−ジエン構造や1,3,5−トリエン構造を有するモノマーは重合反応遅延剤としても機能する。このような化合物としては、1,5−シクロオクタジエン、5−ビニル−2−ノルボルネンなどが挙げられる。
連鎖移動剤としては、通常、置換基を有していてもよい鎖状のオレフィン類を用いることができる。
具体的には、1−ヘキセン、2−ヘキセンなどの脂肪族オレフィン類;スチレン、ジビニルベンゼン、スチルベンなどの芳香族基を有するオレフィン類;ビニルシクロヘキサンなどの脂環式炭化水素基を有するオレフィン類;エチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;メチルビニルケトン、1,5−ヘキサジエン−3−オン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン−3−オンなどのビニルケトン類;アクリル酸スチリル、エチレングリコールジアクリレート;アリルトリビニルシラン、アリルメチルジビニルシラン、アリルジメチルビニルシラン;アクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル;アリルアミン、2−(ジエチルアミノ)エタノールビニルエーテル、2−(ジエチルアミノ)エチルアクリレート、4−ビニルアニリン;などが挙げられる。
これらの連鎖移動剤の中でも、式(F):CH=CH−Y−OCO−CR12=CHで表される化合物が好ましい。式(F)中のYはアルキレン基、R12は水素原子又はメチル基である。アルキレン基の炭素数は特に制限されないが、通常1〜20、好ましくは4〜12である。この構造の連鎖移動剤を用いることで、より強度の高い架橋体を得ることが可能になる。
式(F)で表される化合物としては、メタクリル酸アリル、メタクリル酸3−ブテン−1−イル、アクリル酸アリル、アクリル酸3−ブテン−1−イル、メタクリル酸ウンデセニル、メタクリル酸ヘキセニルなどが挙げられる。中でも、メタクリル酸ウンデセニル及びメタクリル酸ヘキセニルが特に好ましい。
連鎖移動剤の添加量は、シクロオレフィンモノマーの全量に対して、通常、0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%である。連鎖移動剤の添加量がこの範囲であるときに、メタセシス重合の反応率が高く、しかも架橋剤により架橋可能な樹脂成形体を効率よく得ることができる。
重合性組成物は、塊状重合後に架橋可能な樹脂成形体とするために、さらに架橋剤を含有することが好ましい。架橋剤は樹脂成形体において架橋反応を誘起し得る化合物である。架橋剤としては、例えば、ラジカル発生剤、エポキシ化合物、イソシアネート基含有化合物、カルボキシル基含有化合物、酸無水物基含有化合物、アミノ基含有化合物、ルイス酸などが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、ラジカル発生剤、エポキシ化合物、イソシアネート基含有化合物、カルボキシル基含有化合物、及び酸無水物基含有化合物の使用が好ましく、ラジカル発生剤、エポキシ化合物、及びイソシアネート基含有化合物の使用がより好ましく、ラジカル発生剤の使用が特に好ましい。
ラジカル発生剤としては、有機過酸化物、ジアゾ化合物、非極性ラジカル発生剤などが挙げられる。
有機過酸化物としては、例えば、t−ブチルヒドロペルオキシド、p−メンタンヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシドなどのヒドロペルオキシド類;ジクミルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルペルオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3−ヘキシン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサンなどのジアルキルペルオキシド類;ジプロピオニルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシドなどのジアシルペルオキシド類;2,2−ジ(t−ブチルペルオキシ)ブタン、1,1−ジ(t−ヘキシルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサンなどのペルオキシケタール類;t−ブチルペルオキシアセテート、t−ブチルペルオキシベンゾエートなどのペルオキシエステル類;t−ブチルペルオキシイソプロピルカルボナート、ジ(イソプロピルペルオキシ)ジカルボナートなどのペルオキシカルボナート;t−ブチルトリメチルシリルペルオキシドなどのアルキルシリルペルオキシド類;などが挙げられる。中でも、メタセシス重合反応に対する障害が少ない点で、ジアルキルペルオキシド類及びペルオキシケタール類が好ましい。
ジアゾ化合物としては、例えば、4,4’−ビスアジドベンザル(4−メチル)シクロヘキサノン、4,4’−ジアジドカルコン、2,6−ビス(4’−アジドベンザル)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4’−アジドベンザル)−4−メチルシクロヘキサノン、4,4’−ジアジドジフェニルスルホン、4,4’−ジアジドジフェニルメタン、2,2’−ジアジドスチルベンなどが挙げられる。
本発明に用いられる非極性ラジカル発生剤としては、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン、2,3−ジフェニルブタン、1,4−ジフェニルブタン、3,4−ジメチル−3,4−ジフェニルヘキサン、1,1,2,2−テトラフェニルエタン、2,2,3,3−テトラフェニルブタン、3,3,4,4−テトラフェニルヘキサン、1,1,2−トリフェニルプロパン、1,1,2−トリフェニルエタン、トリフェニルメタン、1,1,1−トリフェニルエタン、1,1,1−トリフェニルプロパン、1,1,1−トリフェニルブタン、1,1,1−トリフェニルペンタン、1,1,1−トリフェニル−2−プロペン、1,1,1−トリフェニル−4−ペンテン、1,1,1−トリフェニル−2−フェニルエタンなどが挙げられる。
これらのラジカル発生剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上のラジカル発生剤を併用し、その量比を変化させることで、得られる樹脂成形体及び架橋樹脂成形体のガラス転移温度や溶融状態を制御することが可能である。
架橋剤の量は、シクロオレフィンモノマー100重量部に対して、通常、0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部である。架橋剤の量があまりに少ないと架橋が不十分となり、高い架橋密度の架橋体が得られなくなるおそれがある。架橋剤の量が多すぎる場合には、架橋効果が飽和する一方で、所望の物性を有する樹脂成形体及び架橋樹脂成形体が得られなくなるおそれがある。
また本発明においては、架橋剤としてラジカル発生剤を用いた場合、その架橋反応を促進させるために、架橋助剤を使用することができる。架橋助剤としては、ジイソプロペニルベンゼンなどのイソプロペニル基を2以上有する炭化水素化合物;ラウリルメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクレートなどのメタクリレート化合物;トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレートなどのシアヌル酸化合物;マレイミドなどのイミド化合物;などが挙げられる。架橋助剤の量は特に制限されないが、シクロオレフィンモノマー100重量部に対して、通常0〜100重量部、好ましくは0〜50重量部である。
ラジカル架橋遅延剤としては、アルコキシフェノール類、カテコール類、ベンゾキノン類が挙げられ、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソールなどのアルコキシフェノール類が好ましい。
難燃剤としては、リン系難燃剤、窒素系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、水酸化アルミニウムなどの金属水酸化物系難燃剤、三酸化アンチモンなどのアンチモン化合物、などが挙げられる。難燃剤は単独で用いてもよいが、2種以上を組合せて用いてもよい。
充填剤は、シクロオレフィンモノマー、及び所望により使用される溶媒に不溶であれば、有機、無機を問わず種々の材料を使用可能である。充填剤は、得られる樹脂成形体、及び架橋樹脂成形体の用途に応じて適宜選択される。また、形状の制限もなく、球状、不定形状、樹枝状、針状、棒状、扁平状等いかなる形状であってもよい。平均粒子径も特に限定されないが、レーザー散乱回折式粒度分布計で測定した全充填剤の50体積%が含まれるメディアン径で、通常、0.001〜70μm、好ましくは0.01〜50μm、より好ましくは0.05〜15μmである。
無機充填剤としては、ガラス、セラミック、シリカなどが挙げられる。有機充填剤としては、ポリオレフィン、各種エラストマー、廃プラスチック等が挙げられる。
また、上記の他にチョップストランド、ミルドファイバー等の短繊維状の充填剤を用いることもできる。繊維の種類としては、ガラス繊維、カーボン繊維、金属繊維等の無機繊維、又はアラミド繊維、ナイロン繊維、ジュート繊維、ケナフ繊維、竹繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維等の有機繊維が挙げられる。
これら充填剤は、単独で、又は2種類以上を組合せて用いてもよい。充填剤としては、シランカップリング剤等で表面処理したものを用いることもできる。充填剤の量は、シクロオレフィンモノマー100重量部に対し、通常、0〜600重量部、好ましくは50〜500重量部、より好ましくは50〜300重量部である。
着色剤としては、染料、顔料などが用いられる。染料の種類は多様であり、公知のものを適宜選択して使用できる。
本発明の重合性組成物は、ルテニウムカルベン錯体触媒を適当な溶媒に溶解、又は分散させた液(触媒液)を調製し、別にシクロオレフィンモノマーに、その他の添加剤を所望により配合した液(モノマー液)を調製し、該モノマー液に触媒液を添加し、攪拌することによって調製するのが好適である。ルテニウムカルベン錯体触媒の添加は次に述べる塊状重合を行う直前に行うことが好ましい。また、連鎖移動剤、ラジカル発生剤、ラジカル架橋遅延剤などは、モノマー液と触媒液を混合する前にモノマー液及び/又は触媒液に予め添加しておいてもよいし、モノマー液と触媒液とを、混合するのと同時に、又は混合した後、に添加してもよい。
(樹脂成形体の製造方法)
本発明の樹脂成形体は、上記重合性組成物を、実質的に溶剤を用いずに塊状重合することにより得られる。本発明の重合性組成物を塊状重合して樹脂成形体を得る方法に限定はないが、例えば、(a)重合性組成物を支持体上に塗布し、次いで塊状重合する方法、(b)重合性組成物を成形型の空間部に注入し、次いで塊状重合する方法、(c)重合性組成物を繊維状強化材に含浸させ、次いで塊状重合する方法などが挙げられる。
本発明の重合性組成物は粘度が低いので、(a)の方法における塗布は円滑に実施でき、(b)の方法における注入は複雑形状の空間部であっても迅速に泡かみを起こさずに行き渡らせることが可能であり、(c)の方法においては繊維状強化材に対して速やかに満遍なく含浸させることができる。
(a)の方法によれば、フィルム状、板状等の樹脂成形体が得られる。該成形体の厚みは、通常、15mm以下、好ましくは5mm以下、より好ましくは0.5mm以下、最も好ましくは0.1mm以下である。支持体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、及びナイロンなどの樹脂からなるフィルムや板;鉄、ステンレス、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム、金、及び銀などの金属材料からなるフィルムや板;などが挙げられる。なかでも、金属箔又は樹脂フィルムの使用が好ましい。これらの金属箔又は樹脂フィルムの厚みは、作業性などの観点から、通常、1〜150μm、好ましくは2〜100μm、より好ましくは3〜75μmである。
支持体上に本発明の重合性組成物を塗布する方法としては、スプレーコート法、ディップコート法、ロールコート法、カーテンコート法、ダイコート法、及びスリットコート法などの公知の塗布方法が挙げられる。
支持体上に塗布された重合性組成物を所望により乾燥させ、次いで塊状重合する。塊状重合するために重合性組成物を加熱する。加熱方法としては、加熱プレート上に支持体に塗布された重合性組成物を載せて加熱する方法、プレス機を用いて加圧しながら加熱(熱プレス)する方法、熱したローラーを押圧する方法、加熱炉を用いる方法などが挙げられる。
(b)の方法によって得られる樹脂成形体の形状は、成形型により任意に設定できる。例えば、フィルム状、柱状、その他の任意の立体形状などが挙げられる。成形型の形状、材質、大きさなどは特に制限されない。かかる成形型としては、従来公知の成形型、例えば、割型構造、すなわちコア型とキャビティー型を有する成形型;2枚の板の間にスペーサーを設けた成形型;などを用いることができる。
成形型の空間部(キャビティー)に本発明の重合性組成物を注入する圧力(射出圧)は、通常、0.01〜10MPa、好ましくは0.02〜5MPaである。注入圧力が低すぎると、充填が不十分になり、キャビティー内面に形成された転写面の転写が良好に行われないおそれがあり、注入圧力が高すぎると、成形型は剛性が高いものが必要となり経済的ではない。型締圧力は、通常、0.01〜10MPaの範囲内である。
空間部に充填された重合性組成物を加熱することによって塊状重合させることができる。重合性組成物の加熱方法としては、成形型に配設された電熱器、スチームなどの加熱手段を利用する方法、成形型を電気炉内で加熱する方法などが挙げられる。
(c)の方法によって得られる樹脂成形体としては、例えば、塊状重合体が繊維状強化材のすき間に充填されて成るプリプレグなどが挙げられる。繊維状強化材としては、無機系及び/又は有機系の繊維が使用でき、例えば、ガラス繊維、金属繊維、セラミック繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、アミド繊維、及びポリアリレートなどの液晶繊維などの公知のものが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。繊維状強化材の形状としては、例えば、マット、クロス、不織布などが挙げられる。
繊維状強化材に本発明の重合性組成物を含浸させるには、例えば、該重合性組成物の所定量を、繊維状強化材製のクロス、マット等の上に注ぎ、所望によりその上に保護フィルムを重ね、上方からローラーなどで押圧することにより行うことができる。繊維状強化材に該重合性組成物を含浸させた後に、所定温度に加熱して、得られた含浸物を塊状重合させることにより樹脂の含浸したプリプレグを得ることができる。加熱方法としては、例えば、含浸物を支持体上に設置して前記(a)の方法のようにして加熱する方法、予め型内に繊維状強化材をセットしておき、重合性組成物を含浸させてから前記(b)の方法のようにして加熱する方法などが用いられる。
上記(a)、(b)及び(c)のいずれの方法においても、重合性組成物を塊状重合させるための加熱温度((b)の方法においては金型温度)は、通常、30〜250℃、好ましくは50〜200℃である。重合時間は適宜選択すればよいが、通常、1秒間〜20分間、好ましくは10秒間〜5分間以内である。
重合性組成物を所定温度に加熱することにより塊状重合反応が開始する。塊状重合反応が開始すると、重合性組成物の温度は反応熱により急激に上昇し、短時間(例えば、10秒〜5分程度)でピーク温度に到達する。さらに塊状重合反応は進むが、重合反応は次第に収まり、温度が低下していく。ピーク温度を、この重合反応により得られる樹脂成形体を構成する重合体のガラス転移温度以上になるように制御すると、完全に重合が進行するので好ましい。ピーク温度は加熱温度により制御できる。また、連鎖移動剤を配合した重合性組成物から得られる樹脂成形体の場合、重合体の重合反応率は、通常、80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上である。なお、重合体の重合反応率は、例えば、重合体を溶剤に溶解して得られた溶液をガスクロマトグラフィーにより分析することで求めることができる。塊状重合がほぼ完全に進行している重合体は、残留モノマーが少なく、臭気の発生が実質的にない。
重合性組成物が架橋剤を含有する場合には、塊状重合反応時のピ−ク温度が高くなりすぎると、塊状重合反応のみならず、一挙に架橋反応も進行してしまうおそれがある。したがって、塊状重合反応のみを完全に進行させ、架橋反応が進行しないようにするためには、塊状重合における重合性組成物のピーク温度を、通常、200℃未満に制御することが好ましい。ただし、生産性等の観点から、塊状重合反応と架橋反応とを同時に進行させてもよい。架橋剤としてラジカル発生剤を含有する重合性組成物を用いる場合、塊状重合でのピーク温度をラジカル発生剤の1分間半減期温度以下とすることが好ましい。
(架橋樹脂成形体の製造方法)
本発明の架橋樹脂成形体は、架橋剤を含有する重合性組成物を用いて得られた本発明の樹脂成形体を加熱して架橋させることにより得られるものである。樹脂成形体を加熱して架橋させるときの温度は、通常、170〜250℃、好ましくは180〜220℃である。この温度は、前記塊状重合でのピーク温度より高いことが好ましく、20℃以上高いことがより好ましい。また、加熱して架橋させる時間は特に制約されないが、通常、1分間〜10時間である。
樹脂成形体を加熱して架橋させる方法は特に制約されない。樹脂成形体がフィルム状である場合は、所望によりそれを複数枚積層し、熱プレスにより加熱と同時に圧力を加える方法が好ましい。熱プレスする時の圧力は、通常、0.5〜20MPa、好ましくは3〜10MPaである。
なお、上述したように、生産性等の観点から、塊状重合反応と架橋反応とを同時に進行させて、重合性組成物から直接架橋樹脂成形体を得ても良い。重合性組成物を加熱し、重合、架橋する方法は特に制約されない。たとえば、重合性組成物を型枠内に注入し、熱プレスにより加熱と同時に圧力を加える方法が好ましい。熱プレスする時の圧力は、通常、0.5〜20MPa、好ましくは3〜10MPaである。
上記樹脂成形体又は架橋樹脂成形体は、積層体として用いても良い。積層体は、上記樹脂成形体又は架橋樹脂成形体からなる構成層を有し、より具体的には、少なくとも二以上の層を有し、その少なくとも一の層が上記の樹脂成形体又は架橋樹脂成形体で形成されている。このような積層体のさらに具体的な例としては、銅箔などの基体材料と、本発明の樹脂成形体又は架橋樹脂成形体から形成される構成層を含む積層体が挙げられる。また、積層体は、多層積層基板のように、銅箔などの基体材料と、樹脂成形体又は架橋樹脂成形体からなる樹脂層とが交互に積層されてなる複合材料であってもよい。ここで、樹脂成形体又は架橋樹脂成形体からなる樹脂層が複数含まれている場合には、それぞれの樹脂層の組成は同一であっても異なっていてもよい。
上記基体材料としては、銅箔、アルミ箔、ニッケル箔、クロム箔、金箔、及び銀箔などの金属箔;プリント配線板製造用基板;ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)性フィルムや導電性ポリマーフィルム等の樹脂フィルム;ノイズ抑制シート、電波吸収体などが挙げられる。また、基体材料の表面はシラン系カップリング剤、チオール系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、及び各種接着剤などで処理されていてもよい。
積層体を得る方法に格別な制限はなく、本発明の樹脂成形体を構成層に含む積層体を得る場合には、たとえば本発明の重合性組成物を用いて得られた樹脂成形体を適当な基体材料に重ね合わせて積層体を得てもよく、また樹脂成形体同士を重ね合わせて積層体を得てもよい。さらに重合性組成物を適当な基体材料又は樹脂成形体上に塗工し、該重合性組成物を重合して積層体を得ることもできる。
また、本発明の架橋樹脂成形体からなる構成層を含む積層体を得る場合には、例えば(1)架橋剤を含有する重合性組成物を用いて得られた樹脂成形体を、基体材料に重ね合わせ、次いで加熱して架橋させる、(2)重合性組成物を基体材料上に積層し、塊状重合及び架橋反応を進行させる、(3)架橋剤を含有する重合性組成物を用いて得られた樹脂成形体を、2枚以上重ね合わせ、次いで加熱して架橋させる、という方法が挙げられる。
前記(1)の方法により積層体を得るには、例えば、樹脂成形体と、基体材料としての金属箔とを重ね合わせて熱プレスなどによって加熱することにより架橋させて、金属箔と強固に密着した金属箔張積層板を得ることができる。得られる金属箔張積層板の金属箔の引き剥がし強さは、金属箔として銅箔を用いた場合、JIS C6481に基づいて測定した値で、厚さ12μmの表面処理F0銅箔を用いて、0.2kN/mを超える、好ましくは0.4kN/mを超える、より好ましくは0.6kN/mを超える。
前記(2)の方法により積層体を得るためには、重合性組成物の塊状重合温度を高く設定して架橋反応も起きる温度で加熱する。しかし、前記(1)の方法のように、一旦樹脂成形体の段階を経る方が界面の引き剥がし強さが大きくなる。
かかる積層体を、さらに複数積層してもよい。例えば、金属箔、架橋樹脂成形体及び樹脂成形体がこの順に積層されてなる積層体を用いると、多層回路基板を容易に得ることができる。その具体的な方法としては、先ず該積層体の金属箔の層をパターニングして導体回路を形成する。金属箔をパターニングする方法は、特に制限されず、フォトリソグラフィー法や、レーザー加工法などが挙げられる。
次に架橋体の層及び樹脂成形体の層を貫通させると共に底面に上記導体回路が露出するビアホールを形成する。そして、上記ビアホールに導体を付与して導体回路から樹脂成形体層側に電気的に導通された配線を設けて、多層回路基板用片面回路基板を得る。ビアホールの形成方法は特に制限されず、レーザー穿孔法、ペースト印刷法などが挙げられる。ビアホール形成後、レーザー穿孔法で発生するレーザースミアを除去するために、過マンガン酸デスミア法を行うことができる。
また、ビアホールに導体を付与する方法は、特に制限されず、スクリーン印刷法によりビアホールに導電性ペーストを充填する方法が挙げられる。スクリーン印刷法で用いた保護フィルムを取り除くと導電性ペーストが樹脂成形体層の表面から突き出した、導電性バンプを形成できる。導電性バンプの高さは、通常、5〜100μmである。また、導電性ペーストの充填に代えて、ビアホールにめっきにより導体を付与してもよい。
前記多層回路基板用片面回路基板を、2枚以上重ね合わせるか又は他の回路基板と重ね合わせ、熱プレスして積層することで、内層配線と表面配線を有する多層回路基板が得られる。熱プレスによって、樹脂成形体層が溶融し、回路基板の凹凸に応じて変形する。樹脂成形体層では、さらに加熱すると架橋反応が進行し、密着性が向上する。
本発明の樹脂成形体及び架橋樹脂成形体は、塊状重合により製造可能であり、従来のキャスト法のような大量の溶剤を揮散させる工程などが不要なので極めて簡便に製造できる利点を有する。
本発明の重合性組成物は、高い重合転化率での重合が可能であるため、製造される樹脂成形体にはベタツキがなく作業性に優れ、モノマーに由来する臭気がなく使用環境にも優れる。
本発明の重合性組成物は、経時の粘度上昇が非常に少なく、繊維状強化材への均一な含浸が行えるなど、常に安定した性状の樹脂成形体を製造することができる。
本発明の重合性組成物は、特定の構造を有する、2種類のルテニウムカルベン錯体触媒の混合物を一括して製造することにより、複数のルテニウムカルベン錯体触媒を使用しながら、高い生産性で製造することができる。
本発明の樹脂成形体、及び架橋樹脂成形体は、低誘電正接などの優れた電気特性を有する上、従来の樹脂成形体等に比べて線膨張率が低く、また機械的強度が高く、金属箔等の他の支持体への接着性も高い。
このような特徴を有する本発明の樹脂成形体及び架橋樹脂成形体は、プリプレグ;樹脂付き銅箔;プリント配線板、絶縁シート、層間絶縁膜、オーバーコート、アンテナ基板、電磁波吸収体、電磁波シールドなどの電子部品材料として好適である。
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例及び比較例における部及び%は、特に断りのない限り重量基準である。実施例及び比較例における各特性は、以下の方法に従い測定した。
(粘度上昇率)
調製直後の重合性組成物1.5mLについて、E型粘度計を用いて、20℃、回転数10rpmで粘度を測定した。該重合性組成物を20℃に保持した恒温槽内で保管し、60分後の粘度を同様に測定し、以下の式:
粘度上昇率(%)=〔(60分後の粘度/調製直後の粘度)−1〕×100
により粘度の上昇率を求め、以下の評価基準で評価した。
(評価基準)
A:粘度上昇率が20%未満
B:20%以上、100%未満
C:100%以上
(繊維強化材への含浸性)
プリプレグを任意に3箇所で切断して生じた断面を目視により観察し、重合性組成物のガラスクロスへの含浸性を以下の評価基準で評価した。
(評価基準)
A:プリプレグに空隙が見られなかった。
B:プリプレグに空隙が見られた。
C:ガラスクロスへ含浸出来ず、プリプレグを作製出来なかった。
(重合転化率)
プリプレグの中央部分を一部切り取り、トルエンに溶解後、溶解成分を抽出し、ガスクロマトグラフィーで残留モノマー量を測定した。測定した残留モノマー量から重合転化率を算出し、以下の評価基準で評価した。
(評価基準)
A:重合転化率が98%以上
B:95%以上、98%未満
C:90%以上、95%未満
D:90%未満
(ルテニウムカルベン錯体触媒混合物の量比)
ルテニウムカルベン錯体触媒混合物(粉末)をCDClに溶解し、H−NMRを用いて、ルテニウムカルベン錯体触媒(A1)、及びルテニウムカルベン錯体触媒(A2)のカルベン部分の水素ピークの面積比から算出した。
[参考例1]
ルテニウムカルベン錯体触媒(A2)である(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(2−ピロリドン−1−イルメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド〔(A1/A2)=(0/100)(モル/モル)〕を、0.05モル/リットルとなるように、インデン中に溶解させた。得られた溶解液を2つに分け、一方を40℃で24時間保存し、もう一方を80℃で10分間保存した後、インデンを乾燥、除去し、得られた粉末におけるルテニウムカルベン錯体触媒(A1)と(A2)の量比をH−NMRにて測定、算出したところ、両方の条件で量比が(A1/A2)=(0/100)(モル/モル)で、保存前との変化がなく、非特許文献1で論じられるような平衡反応は起こらなかった。
[実施例1]
内部を窒素雰囲気としたガラス製フラスコ内に、(ビストリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリドヒドリド錯体粉末2.3部を加え、これにテトラヒドロフラン200部をシリンジにて、注入した。恒温槽を用いて、ガラス製フラスコ内の温度を0℃に調整し、アセトニトリル0.3部、プロピオル酸0.2部、1規定塩化水素/エタノール溶液3.3部及びN−ビニルピロリドン3.7部を順次添加した。これを3時間攪拌し、反応させた。その後、カリウム−t−ブトキシド0.2部、1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)イミダゾリウムクロリド0.5部を添加し、3時間攪拌した後、減圧乾燥を行った。ガラス製フラスコ内の温度を−80℃に保持し、n−ペンタンを添加し、錯体混合物を析出させ、大気下で濾取し、ルテニウムカルベン錯体触媒(A1)である(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(2−ピロリドン−1−イルメチレン)ルテニウムジクロリドと、ルテニウムカルベン錯体触媒(A2)である(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(2−ピロリドン−1−イルメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリドとの混合物を得た。その量比は(A1/A2)=(20/80)(モル/モル)であった。
ルテニウムカルベン錯体触媒の混合物を、テトラヒドロフランに窒素中で溶解させて、ルテニウム濃度が0.05モル/リットルの触媒液を調製した。
ガラス瓶に、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン 100部、充填剤としてシリカ(SO−E2;アドマテックス社製)100部、難燃剤として三酸化アンチモン(PATOX−M;日本精鉱社製)27部、及びエタン−1,2−ビス(ペンタブロモフェニル)(SAYTEX8010;ALBEMARLE社製)13部を入れ、均一に混合した。これに、連鎖移動剤としてメタクリル酸ウンデセニル(エコノマーML;新中村化学社製)2.8部、及びラジカル発生剤としてジ−t−ブチルパーオキサイド(カヤブチルD;化薬アクゾ社製)1部を攪拌しながら加え、モノマー液を得た。このモノマー液に、前記触媒液0.3部を加えて、触媒液が均一に分散するように攪拌し、重合性組成物を調製した。
調製から60分経過後に、前記重合性組成物70部を、ポリエチレンナフタレートフィルム(タイプQ51;厚さ75μm;帝人デュポンフィルム社製)の上に流延し、その上にガラスクロス(2116−シランカップリング剤処理品;厚さ75μm)を敷き、さらにその上に上記重合性組成物70部を流延した。その上からさらにポリエチレンナフタレートフィルムをかぶせて、ローラーを用いて重合性組成物をガラスクロス全体に含浸させた。140℃に熱した加熱炉中で、2分間加熱し、重合性組成物を塊状重合させた。ポリエチレンナフタレートフィルムを剥して、樹脂成形体を得た。60分経過後の重合性組成物の粘度上昇率、ガラスクロスへの含浸性、及びプリプレグの作製に使用したモノマーの重合転化率の評価結果を表1に示す。
[実施例2]
ルテニウムカルベン錯体触媒混合物作製時の反応温度を0℃から40℃に変更する以外は、実施例1と同様にして、ルテニウムカルベン錯体触媒(A1)である(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(2−ピロリドン−1−イルメチレン)ルテニウムジクロリドと、ルテニウムカルベン錯体触媒(A2)である(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(2−ピロリドン−1−イルメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリドとの混合物を得た。その量比は(A1/A2)=(40/60)(モル/モル)であった。
ルテニウムカルベン錯体触媒の混合物を、テトラヒドロフランに窒素中で溶解させて、ルテニウム濃度が0.05モル/リットルの触媒液を調製した。その後は、実施例1と同様に重合性組成物を作製し、プリプレグを得た。評価結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例1で得たルテニウムカルベン錯体触媒の混合物10部と、CuCl 2部とを、塩化メチレン200部に溶解し、室温で2時間撹拌した。ルテニウムカルベン錯体触媒(A2)中で、ルテニウムに配位するホスフィンとCuClが反応して固形の生成物が沈殿した。これを濾過し、減圧乾燥、及び貧溶媒であるメタノールによる単離を行い、ルテニウムカルベン錯体触媒(A1)である(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(2−ピロリドン−1−イルメチレン)ルテニウムジクロリドを得た。
ベンジリデン−ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド(Grubbs Catalyst 1st Generation;Sigma Aldrich)2.3部、1,3−ジメシチルイミダゾリジンクロリド 3部、及びカリウム−t−ブトキシド 0.2部を、テトラヒドロフラン中に溶解し、室温で2時間撹拌した。次いで、N−ビニルピロリドン 3.7部を溶解し、40℃で3時間撹拌した後、減圧乾燥を行った。温度を−80℃とし、n−ペンタンを添加し、錯体を析出させ、大気下で濾取し、ルテニウムカルベン錯体触媒(A2)であるルテニウムカルベン錯体触媒(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(2−ピロリドン−1−イルメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド を得た。
得られた2種類のルテニウムカルベン錯体触媒を、量比が(A1/A2)=(20/80)(モル/モル)となるように混合し、これを窒素中でテトラヒドロフランに溶解させて、ルテニウム濃度が0.05モル/リットルの触媒液を調製した。
上記以外は、実施例1と同様に重合性組成物を作製し、プリプレグを得た。評価結果を表1に示す。
Figure 0005365625
表1より、実施例1〜3の重合性組成物はいずれも、経時の粘度上昇抑制と高い重合転化率を示しており、良好な樹脂成形体が得られることが分かる。実施例1〜3で得られたプリプレグシートのそれぞれを6枚ずつ重ね、さらに12μmF2銅箔(シランカップリング剤処理電解銅箔、粗度Rz=1,600nm、古河サーキットホイル社製)で、積層したプリプレグシートを挟み、205℃で20分間、3MPaにて加熱プレスを行い積層体を得れば、かかる積層体はいずれも、電気回路基板に使用する電気材料として、優れた、電気絶縁性、密着性、機械的強度、耐熱性、及び誘電特性を示す。
[比較例1]
ベンジリデン−ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド(Grubbs Catalyst 1st Generation;Sigma Aldrich)2.3部、1,3−ジメシチルイミダゾリジンクロリド 3部、及びカリウム−t−ブトキシド 0.2部を、テトラヒドロフラン中に溶解し、室温で2時間撹拌した。次いで、N−ビニルピロリドン 3.7部を溶解し、40℃で3時間撹拌した後、減圧乾燥を行った。温度を−80℃とし、n−ペンタンを添加し、錯体を析出させ、大気下で濾取し、ルテニウムカルベン錯体触媒(A2)である(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(2−ピロリドン−1−イルメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリドを得た。
得られたルテニウムカルベン錯体触媒を、テトラヒドロフランに窒素中で溶解させて、ルテニウム濃度が0.05モル/リットルの触媒液を調製した。
ルテニウムカルベン錯体触媒の触媒液に上記のものを使用した以外は、実施例1と同様にして重合性組成物を調製した。しかし、該重合性組成物は、調製から60分後には粘度が高くなりすぎてガラスクロスへの含浸が出来ず、プリプレグを作製することが出来なかった。そのため、重合転化率を測定できなかった。評価結果を表2に示す。
[比較例2]
触媒液 0.3部に、トリフェニルホスフィン 0.05部(ルテニウム:ホスフィンのモル比=1:5)をさらに加えた以外は、比較例1と同様にして重合性組成物を調製した。該重合性組成物は、粘度が高くなりすぎてガラスクロスへの含浸が出来ず、プリプレグを作製することが出来なかった。そのため、重合転化率を測定できなかった。評価結果を表2に示す。
[比較例3]
トリフェニルホスフィンの量を1部(ルテニウム:ホスフィンのモル比=1:100)とした以外は、比較例2と同様にして重合性組成物を調製した。しかし、加熱後も重合が進行せず、未反応のモノマーに由来する異臭がした。評価結果を表2に示す。
[比較例4]
実施例1で得たルテニウムカルベン錯体触媒の混合物10部と、CuCl 2部とを、塩化メチレン200部に溶解し、室温で2時間撹拌した。ルテニウムカルベン錯体触媒(A2)中で、ルテニウムに配位するホスフィンとCuClが反応して固形の生成物が沈殿した。これを濾過し、減圧乾燥、及び貧溶媒であるメタノールによる単離を行い、ルテニウムカルベン錯体触媒(A1)である(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(2−ピロリドン−1−イルメチレン)ルテニウムジクロリドを得た。
得られたルテニウムカルベン錯体触媒を、テトラヒドロフランに窒素中で溶解させて、ルテニウム濃度が0.05モル/リットルの触媒液を調製した。
ルテニウムカルベン錯体触媒の触媒液として上記のものを使用すること以外は、実施例1と同様にして重合性組成物を調製した。しかし、加熱後も重合が進行せず、プリプレグを作製することができなかった。また、未反応のモノマーに由来する異臭がした。評価結果を表2に示す。
Figure 0005365625

Claims (10)

  1. 式(A1)で表される構造を有するルテニウムカルベン錯体触媒(A1)と、式(A2)で表される構造を有するルテニウムカルベン錯体触媒(A2)との混合物、及びシクロオレフィンモノマーを含有する重合性組成物。
    Figure 0005365625
    (式(A1)及び式(A2)において、
    及びLは、中性電子供与性配位子であり;
    及びXは、アニオン性配位子であり;
    は、水素原子、炭素原子、ハロゲン原子、又はハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子若しくは珪素原子のいずれかを含む基で置換された炭素数1〜20の炭化水素基であり;
    Aは、2価、又は3価の有機基であり;
    Zは、電子供与性基である。)
  2. ルテニウムカルベン錯体触媒の前記混合物を構成する(A1)及び(A2)が、式(B)で表される構造を有する化合物(B)と、式(C)で表される構造を有する化合物(C)とを反応させて得られるものである請求項1記載の重合性組成物。
    Figure 0005365625
    (式(B)及び式(C)において、
    及びLは、中性電子供与性配位子であり;
    及びXは、アニオン性配位子であり;
    は、水素原子、炭素原子、ハロゲン原子、又はハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子若しくは珪素原子のいずれかを含む基で置換された炭素数1〜20の炭化水素基であり;
    Aは、2価、又は3価の有機基であり;
    Zは、電子供与性基である。)
  3. 前記式(A1)及び前記式(A2)において、Lがヘテロ原子含有カルベン配位子である請求項1又は2記載の重合性組成物。
  4. 前記ルテニウムカルベン錯体触媒(A1)と、前記ルテニウムカルベン錯体触媒(A2)とのモル比が、(A1):(A2)=90:10〜50:50の範囲である請求項1〜3いずれか記載の重合性組成物。
  5. 架橋剤を更に含んでなる請求項1〜4いずれか記載の重合性組成物。
  6. 請求項5に記載の重合性組成物をメタセシス塊状重合する工程を含む、樹脂成形体の製造方法。
  7. 請求項6に記載の製造方法で得られる樹脂成形体を架橋する工程を含む、架橋樹脂成形体の製造方法。
  8. 請求項2に規定される、化合物(B)と化合物(C)とを反応させて、請求項1に規定される、ルテニウムカルベン錯体触媒(A1)とルテニウムカルベン錯体触媒(A2)との混合物を得る工程、及びルテニウムカルベン錯体触媒の前記混合物とシクロオレフィンモノマーとを混合する工程を含む重合性組成物の製造方法。
  9. 請求項6に記載の製造方法により得られうる樹脂成形体。
  10. 請求項7に記載の製造方法で得られうる架橋樹脂成形体。
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