JP5363148B2 - 炭化水素濃度測定装置および炭化水素濃度測定方法 - Google Patents

炭化水素濃度測定装置および炭化水素濃度測定方法 Download PDF

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本発明は、炭化水素のうち、(a)アルカンおよびアルケンからなるグループ、(b)芳香族炭化水素からなるグループ、(c)アルキンからなるグループ、がそれぞれ異なる波長帯の光を吸収する性質を利用し、各グループに対応する波長帯の光の吸収量に基づいて測定対象ガスに含まれる各グループに属する炭化水素濃度の和を測定する炭化水素濃度測定装置に関する。
従来、自動車等の排気ガスに含まれる炭化水素の濃度を測定する技術を測定原理で分類すると、代表的なものとしては水素炎イオン化法(Flame Ionization Detector;FID)を用いるもの、非分散形赤外線分析法(Non−Dispersive Infrared Analyzer)を用いるものが知られている。非分散形赤外線分析法を用いる技術としては特許文献1に記載の技術が知られている。
しかし、水素炎イオン化法を用いる技術は、実質的には測定の対象となるガスに含まれる炭素原子の個数をカウントするものであり、その測定精度自体は高いが測定の対象となるガスに含まれる炭化水素の化学種毎の組成を測定することはできないこと、リアルタイムでの計測に不向きであること、という問題を有する。
また、非分散形赤外線分析法を用いる技術は、原理的には応答遅れの無いリアルタイムな炭化水素の非接触濃度計測が可能であるが、炭化水素はその種類毎に固有の吸収波長帯(吸収量が多い波長帯)を持っているので、測定対象となるガス中に含まれる炭化水素の種類毎に対応する波長帯の光を発生する光源および受光素子を用意する必要が生じる。
特に、自動車等の排気ガスに含まれる炭化水素の種類は場合によっては200種類を超えるため、全ての種類の炭化水素に対応する光源および受光素子を用意した場合には装置が非常に大型化し、かつ装置の製造コストが膨大なものとなるという問題を有する。
上記問題を解消する技術として、出願人らは、「単数または複数の化学種からなる炭化水素を含むガス(測定対象ガス)に前記単数または複数の化学種に共通の吸収領域を含む波長帯の光を照射する照射部と、前記照射部により前記ガスに照射された光を検出する検出部と、前記検出部により検出された光に基づいて前記共通の吸収領域の吸光度を算出し、当該吸光度に基づいて前記共通の吸収領域の波長帯の光を吸収する化学種の濃度の和を算出する解析部と、を具備する炭化水素濃度測定装置」を提案している(特願2007−289766号参照)。
この技術は、例えば炭化水素のうち、(a)アルカンおよびアルケンからなるグループ、(b)芳香族炭化水素からなるグループ、(c)アルキンからなるグループ、がそれぞれ異なる波長帯の光を吸収する性質を利用し、各グループに対応する波長帯の光の吸収量を検出することにより各グループに属する炭化水素の濃度(の和)を検出可能とし、装置に必要な光源および受光素子の数を減らし、装置の小型化を可能とする。
上記出願人らが提案する炭化水素濃度測定装置は、例えば測定対象ガスを収容する金属製の筒状のガス容器に石英あるいはサファイアガラスからなる一対の窓を設け、照射部からの光を当該一対の窓の一方からガス容器の内部に導き、ガス容器内の測定対象ガスを透過した光を他方の窓から容器の外部に導き、当該外部に導かれた光を検出部が検出することにより上記(a)〜(c)の各グループに属する炭化水素の濃度を算出する。
上記出願人らが提案する炭化水素濃度測定装置は、上記(a)〜(c)の各グループに属する炭化水素の濃度を算出する際に、以下の数3に示すランベルト・ベールの法則(Lambert−Beer law)に基づく計算式に従って、上記(a)〜(c)の各グループに属する炭化水素に吸収される波長帯の吸光度を算出する。
Figure 0005363148
数3において、Anは吸光度(光の吸収量)を指し、Inは測定対象ガスに光を照射したときの対象となる吸収波長帯を透過してくる光の強度を指し、(In)0は基準ガスに光を照射したときの対象となる吸収波長帯を透過してくる光の強度を指す。
(In)0の値は通常、測定開始前あるいは一定期間毎の校正作業により設定される。
しかし、上記出願人らが提案する炭化水素濃度測定装置は、(1)上記出願人らが提案する炭化水素濃度測定装置の照射部(光源)あるいは検出部が劣化する、(2)炭化水素濃度測定装置の光学系(レンズ等)あるいはガス容器に設けられた窓が汚れる、(3)ガス容器が測定対象ガスからの熱伝導により温度上昇してガス容器を構成する材料(金属等)から赤外光が放射される、といった外乱要因により検出部が検出する光の強度が変化し、上記(a)〜(c)の各グループに属する炭化水素に吸収される波長帯の吸光度の算出結果の信頼性、ひいては上記出願人らが提案する炭化水素濃度測定装置の測定精度が低下するという問題を有する。
特に、測定対象ガスが自動車の排気ガスである場合には、上記(2)および(3)の外乱要因の程度(測定精度に与える影響の大きさ)が測定中に時々刻々と変動し得るため、測定開始前の校正だけでは十分な測定精度を確保することが困難である。
特開平4−225142号公報
本発明は以上の如き状況に鑑み、時々刻々と変化する外乱要因の影響を排除することにより炭化水素の濃度を精度良く測定することが可能な炭化水素濃度測定装置および炭化水素濃度測定方法を提供する。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
即ち、請求項1においては、
光を発生させる光源と、
前記光源により発生した光を周期的に波長変動させる分光器と、
前記分光器により波長変動された光の強度を検出する受光器と、
前記光源、前記分光器および前記受光器により形成される光路において前記分光器および前記受光器により挟まれる位置または前記光源および前記分光器により挟まれる位置に配置され、測定対象ガスを収容可能かつ前記光を透過可能なガス容器と、
前記測定対象ガスに含まれる炭化水素のうちアルカンおよびアルケンからなるグループ、芳香族炭化水素からなるグループ、アルキンからなるグループ、のそれぞれが吸収する波長帯を含むリファレンススペクトルから当該リファレンススペクトルにおける最短波長点の光強度および最長波長点の光強度のうち小さい方の光強度を引くことにより算出される第一補正リファレンススペクトルに定数を加えた第二補正リファレンススペクトルを予め記憶し、前記受光器により検出された光の強度に基づいて前記測定対象ガスの吸収スペクトルを算出し、前記吸収スペクトルから当該吸収スペクトルにおける最短波長点の光強度および最長波長点の光強度のうち小さい方の光強度を引くことにより第一補正吸収スペクトルを算出し、前記第一補正リファレンススペクトルにおける最短波長点の光強度および最長波長点の光強度のうち大きい方の光強度を前記第一補正吸収スペクトルにおける最短波長点の光強度および最長波長点の光強度のうち大きい方の光強度で割った値を前記第一補正吸収スペクトルに乗ずることにより第二補正吸収スペクトルを算出し、前記第二補正吸収スペクトルに前記定数を加えることにより第三補正吸収スペクトルを算出し、前記第二補正リファレンススペクトル、前記第三補正吸収スペクトルおよび以下の数1に基づいて前記測定対象ガスに含まれる炭化水素のうちアルカンおよびアルケンからなるグループ、芳香族炭化水素からなるグループ、アルキンからなるグループ、のそれぞれが吸収する波長帯の光の吸収量を算出し、算出された各グループに対応する光の吸収量に基づいて各グループに属する炭化水素の濃度を算出する濃度算出装置と、
を具備するものである。
Figure 0005363148
請求項2においては、
前記定数はゼロまたは正の値である。
請求項3においては、
光を発生させる光源と、
前記光源により発生した光を周期的に波長変動させる分光器と、
前記分光器により波長変動された光の強度を検出する受光器と、
前記光源、前記分光器および前記受光器により形成される光路において前記分光器および前記受光器により挟まれる位置または前記光源および前記分光器により挟まれる位置に配置され、測定対象ガスを収容可能かつ前記光を透過可能なガス容器と、
前記測定対象ガスに含まれる炭化水素のうちアルカンおよびアルケンからなるグループ、芳香族炭化水素からなるグループ、アルキンからなるグループ、のそれぞれが吸収する波長帯を含むリファレンススペクトルのうち非吸収波長以下の波長帯からなる短波長側リファレンススペクトルおよび非吸収波長以上の波長帯からなる長波長側リファレンススペクトルに二分割し、前記短波長側リファレンススペクトルから前記短波長側リファレンススペクトルにおける最短波長点の光強度を引くことにより算出される短波長側第一補正リファレンススペクトルおよび前記長波長側リファレンススペクトルから前記長波長側リファレンススペクトルにおける最長波長点の光強度を引くことにより算出される長波長側第一補正リファレンススペクトルを予め記憶し、前記リファレンススペクトルから前記リファレンススペクトルにおける最短波長点の光強度および最長波長点の光強度のうち小さい方の光強度を引くとともに定数を加えることにより算出される第二補正リファレンススペクトルを予め記憶し、前記受光器により検出された光の強度に基づいて前記測定対象ガスの吸収スペクトルを算出し、前記吸収スペクトルを前記非吸収波長以下の波長帯からなる短波長側吸収スペクトルおよび前記非吸収波長以上の波長帯からなる長波長側吸収スペクトルに二分割し、前記短波長側吸収スペクトルから前記短波長側吸収スペクトルにおける最短波長点の光強度を引くことにより短波長側第一補正吸収スペクトルを算出し、前記長波長側吸収スペクトルから前記長波長側吸収スペクトルにおける最長波長点の光強度を引くことにより長波長側第一補正吸収スペクトルを算出し、前記短波長側第一補正リファレンススペクトルの最長波長点の光強度を前記短波長側第一補正吸収スペクトルの最長波長点の光強度で割った値を前記短波長側第一補正吸収スペクトルに乗ずることにより短波長側第二補正吸収スペクトルを算出し、前記長波長側第一補正リファレンススペクトルの最短波長点の光強度を前記長波長側第一補正吸収スペクトルの最短波長点の光強度で割った値を前記長波長側第一補正吸収スペクトルに乗ずることにより長波長側第二補正吸収スペクトルを算出し、前記短波長側吸収スペクトルにおける最短波長点の光強度が前記長波長側吸収スペクトルにおける最長波長点の光強度よりも小さい場合には前記短波長側第二補正吸収スペクトルに定数を加えることにより短波長側第三補正吸収スペクトルを算出するとともに前記長波長側第二補正吸収スペクトルに前記短波長側吸収スペクトルにおける最短波長点の光強度と前記長波長側吸収スペクトルにおける最長波長点の光強度との差分の絶対値および前記定数を加えることにより長波長側第三補正吸収スペクトルを算出し、前記短波長側吸収スペクトルにおける最短波長点の光強度が前記長波長側吸収スペクトルにおける最長波長点の光強度よりも大きい場合には前記短波長側第二補正吸収スペクトルに前記短波長側吸収スペクトルにおける最短波長点の光強度と前記長波長側吸収スペクトルにおける最長波長点の光強度との差分の絶対値および前記定数を加えることにより短波長側第三補正吸収スペクトルを算出するとともに前記長波長側第二補正吸収スペクトルに前記定数を加えることにより長波長側第三補正吸収スペクトルを算出し、前記短波長側第三補正吸収スペクトルの最長波長点を前記長波長側第三補正吸収スペクトルの最短波長点に繋ぎ合わせることにより第三補正吸収スペクトルを生成し、前記第二補正リファレンススペクトル、前記第三補正吸収スペクトルおよび以下の数1に基づいて前記測定対象ガスに含まれる炭化水素のうちアルカンおよびアルケンからなるグループ、芳香族炭化水素からなるグループ、アルキンからなるグループ、のそれぞれが吸収する波長帯の光の吸収量を算出し、算出された各グループに対応する光の吸収量に基づいて各グループに属する炭化水素の濃度を算出する濃度算出装置と、
を具備するものである。
Figure 0005363148
請求項4においては、
前記定数はゼロまたは正の値である。
請求項5においては、
光を発生させる光源と、
前記光源により発生した光を周期的に波長変動させる分光器と、
前記分光器により波長変動された光の強度を検出する受光器と、
前記光源、前記分光器および前記受光器により形成される光路において前記分光器および前記受光器により挟まれる位置または前記光源および前記分光器により挟まれる位置に配置され、測定対象ガスを収容可能かつ前記光を透過可能なガス容器と、
前記測定対象ガスに含まれる炭化水素のうちアルカンおよびアルケンからなるグループ、芳香族炭化水素からなるグループ、アルキンからなるグループ、のそれぞれが吸収する波長帯を含むリファレンススペクトルから当該リファレンススペクトルにおける最短波長点の光強度および最長波長点の光強度のうち小さい方の光強度を引くことにより算出される第一補正リファレンススペクトルに定数を加えた第二補正リファレンススペクトルを予め記憶するとともに、前記受光器により検出された光の強度に基づいて前記測定対象ガスに含まれる炭化水素の濃度を算出する濃度算出装置と、
を具備する炭化水素濃度測定装置を用いて前記測定対象ガスに含まれる炭化水素の濃度を測定する炭化水素濃度測定方法であって、
前記受光器が、前記光源により発生して前記ガス容器に収容された前記測定対象ガスを透過した光の強度を検出する検出工程と、
前記濃度算出装置が、前記受光器により検出された光の強度に基づいて前記測定対象ガスの吸収スペクトルを算出する吸収スペクトル算出工程と、
前記濃度算出装置が、前記吸収スペクトルから当該吸収スペクトルにおける最短波長点の光強度および最長波長点の光強度のうち小さい方の光強度を引くことにより第一補正吸収スペクトルを算出する第一補正吸収スペクトル算出工程と、
前記濃度算出装置が、前記第一補正リファレンススペクトルにおける最短波長点の光強度および最長波長点の光強度のうち大きい方の光強度を前記第一補正吸収スペクトルにおける最短波長点の光強度および最長波長点の光強度のうち大きい方の光強度で割った値を前記第一補正吸収スペクトルに乗ずることにより第二補正吸収スペクトルを算出する第二補正吸収スペクトル算出工程と、
前記濃度算出装置が、前記第二補正吸収スペクトルに前記定数を加えることにより第三補正吸収スペクトルを算出する第三補正吸収スペクトル算出工程と、
前記濃度算出装置が、前記第二補正リファレンススペクトル、前記第三補正吸収スペクトルおよび以下の数1に基づいて前記測定対象ガスに含まれる炭化水素のうちアルカンおよびアルケンからなるグループ、芳香族炭化水素からなるグループ、アルキンからなるグループ、のそれぞれが吸収する波長帯の光の吸収量を算出する光吸収量算出工程と、
前記濃度算出装置が、前記アルカンおよびアルケンからなるグループ、芳香族炭化水素からなるグループ、アルキンからなるグループ、のそれぞれが吸収する光の吸収量に基づいて各グループに属する炭化水素の濃度を算出する濃度算出工程と、
を具備するものである。
Figure 0005363148
請求項6においては、
前記定数はゼロまたは正の値である。
請求項7においては、
光を発生させる光源と、
前記光源により発生した光を周期的に波長変動させる分光器と、
前記分光器により波長変動された光の強度を検出する受光器と、前記光源、前記分光器および前記受光器により形成される光路において前記分光器および前記受光器により挟まれる位置または前記光源および前記分光器により挟まれる位置に配置され、測定対象ガスを収容可能かつ前記光を透過可能なガス容器と、
前記測定対象ガスに含まれる炭化水素のうちアルカンおよびアルケンからなるグループ、芳香族炭化水素からなるグループ、アルキンからなるグループ、のそれぞれが吸収する波長帯を含むリファレンススペクトルのうち非吸収波長以下の波長帯からなる短波長側リファレンススペクトルおよび非吸収波長以上の波長帯からなる長波長側リファレンススペクトルに二分割し、前記短波長側リファレンススペクトルから前記短波長側リファレンススペクトルにおける最短波長点の光強度を引くことにより算出される短波長側第一補正リファレンススペクトルおよび前記長波長側リファレンススペクトルから前記長波長側リファレンススペクトルにおける最長波長点の光強度を引くことにより算出される長波長側第一補正リファレンススペクトルを予め記憶し、前記リファレンススペクトルから前記リファレンススペクトルにおける最短波長点の光強度および最長波長点の光強度のうち小さい方の光強度を引くとともに定数を加えることにより算出される第二補正リファレンススペクトルを予め記憶するとともに、前記受光器により検出された光の強度に基づいて前記測定対象ガスに含まれる炭化水素の濃度を算出する濃度算出装置と、
を具備する炭化水素濃度測定装置を用いて前記測定対象ガスに含まれる炭化水素の濃度を測定する炭化水素濃度測定方法であって、
前記受光器が、前記光源により発生して前記ガス容器に収容された前記測定対象ガスを透過した光の強度を検出する検出工程と、
前記濃度算出装置が、前記受光器により検出された光の強度に基づいて前記測定対象ガスの吸収スペクトルを算出する吸収スペクトル算出工程と、
前記濃度算出装置が、前記吸収スペクトルを前記非吸収波長以下の波長帯からなる短波長側吸収スペクトルおよび前記非吸収波長以上の波長帯からなる長波長側吸収スペクトルに二分割し、前記短波長側吸収スペクトルから前記短波長側吸収スペクトルにおける最短波長点の光強度を引くことにより短波長側第一補正吸収スペクトルを算出するとともに前記長波長側吸収スペクトルから前記長波長側吸収スペクトルにおける最長波長点の光強度を引くことにより長波長側第一補正吸収スペクトルを算出する第一補正吸収スペクトル算出工程と、
前記濃度算出装置が、前記短波長側第一補正リファレンススペクトルの最長波長点の光強度を前記短波長側第一補正吸収スペクトルの最長波長点の光強度で割った値を前記短波長側第一補正吸収スペクトルに乗ずることにより短波長側第二補正吸収スペクトルを算出するとともに前記長波長側第一補正リファレンススペクトルの最短波長点の光強度を前記長波長側第一補正吸収スペクトルの最短波長点の光強度で割った値を前記長波長側第一補正吸収スペクトルに乗ずることにより長波長側第二補正吸収スペクトルを算出する第二補正吸収スペクトル算出工程と、
前記濃度算出装置が、前記短波長側吸収スペクトルにおける最短波長点の光強度が前記長波長側吸収スペクトルにおける最長波長点の光強度よりも小さい場合には前記短波長側第二補正吸収スペクトルに定数を加えることにより短波長側第三補正吸収スペクトルを算出するとともに前記長波長側第二補正吸収スペクトルに前記短波長側吸収スペクトルにおける最短波長点の光強度と前記長波長側吸収スペクトルにおける最長波長点の光強度との差分の絶対値および前記定数を加えることにより長波長側第三補正吸収スペクトルを算出して前記短波長側第三補正吸収スペクトルの最長波長点を前記長波長側第三補正吸収スペクトルの最短波長点に繋ぎ合わせることにより第三補正吸収スペクトルを生成し、前記短波長側吸収スペクトルにおける最短波長点の光強度が前記長波長側吸収スペクトルにおける最長波長点の光強度よりも大きい場合には前記短波長側第二補正吸収スペクトルに前記短波長側吸収スペクトルにおける最短波長点の光強度と前記長波長側吸収スペクトルにおける最長波長点の光強度との差分の絶対値および前記定数を加えることにより短波長側第三補正吸収スペクトルを算出するとともに前記長波長側第二補正吸収スペクトルに前記定数を加えることにより長波長側第三補正吸収スペクトルを算出して前記短波長側第三補正吸収スペクトルの最長波長点を前記長波長側第三補正吸収スペクトルの最短波長点に繋ぎ合わせることにより第三補正吸収スペクトルを生成する第三補正吸収スペクトル算出工程と、
前記濃度算出装置が、前記第二補正リファレンススペクトル、前記第三補正吸収スペクトルおよび以下の数1に基づいて前記測定対象ガスに含まれる炭化水素のうちアルカンおよびアルケンからなるグループ、芳香族炭化水素からなるグループ、アルキンからなるグループ、のそれぞれが吸収する波長帯の光の吸収量を算出する光吸収量算出工程と、
前記濃度算出装置が、前記アルカンおよびアルケンからなるグループ、芳香族炭化水素からなるグループ、アルキンからなるグループ、のそれぞれが吸収する光の吸収量に基づいて各グループに属する炭化水素の濃度を算出する濃度算出工程と、
を具備するものである。
Figure 0005363148
請求項8においては、
前記定数はゼロまたは正の値である。
本発明は、時々刻々と変化する外乱要因の影響を排除することにより炭化水素の濃度を精度良く測定することが可能である、という効果を奏する。
本発明に係る炭化水素濃度測定装置の第一実施形態、第二実施形態および第三実施形態を示す図。 本発明に係る炭化水素濃度測定装置の第一実施形態、第二実施形態および第三実施形態の光学系を示す図。 本発明に係る炭化水素濃度測定装置の第一実施形態におけるリファレンススペクトルを示す図。 本発明に係る炭化水素濃度測定装置の第一実施形態における第一補正リファレンススペクトルを示す図。 本発明に係る炭化水素濃度測定装置の第一実施形態における第二補正リファレンススペクトルを示す図。 本発明に係る炭化水素濃度測定装置の第一実施形態における吸収スペクトルを示す図。 本発明に係る炭化水素濃度測定装置の第一実施形態における第一補正吸収スペクトルを示す図。 本発明に係る炭化水素濃度測定装置の第一実施形態における第二補正吸収スペクトルを示す図。 本発明に係る炭化水素濃度測定装置の第一実施形態における第三補正吸収スペクトルを示す図。 本発明に係る炭化水素濃度測定方法の第一実施形態を示すフロー図。 本発明に係る炭化水素濃度測定装置の第二実施形態における短波長側リファレンススペクトル、長波長側リファレンススペクトルおよびリファレンススペクトルを示す図。 本発明に係る炭化水素濃度測定装置の第二実施形態における短波長側第一補正リファレンススペクトルおよび長波長側第一補正リファレンススペクトルを示す図。 本発明に係る炭化水素濃度測定装置の第二実施形態における短波長側第二補正リファレンススペクトル、長波長側第二補正リファレンススペクトルおよび第二補正リファレンススペクトルを示す図。 本発明に係る炭化水素濃度測定装置の第二実施形態における短波長側吸収スペクトル、長波長側吸収スペクトルおよび吸収スペクトルを示す図。 本発明に係る炭化水素濃度測定装置の第二実施形態における短波長側第一補正吸収スペクトルおよび長波長側第一補正吸収スペクトルを示す図。 本発明に係る炭化水素濃度測定装置の第二実施形態における短波長側第二補正吸収スペクトルおよび長波長側第二補正吸収スペクトルを示す図。 本発明に係る炭化水素濃度測定装置の第二実施形態における短波長側第三補正吸収スペクトル、長波長側第三補正吸収スペクトルおよび第三補正吸収スペクトルを示す図。 本発明に係る炭化水素濃度測定方法の第二実施形態を示すフロー図。 本発明に係る炭化水素濃度測定装置の第三実施形態におけるリファレンススペクトルを示す図。 本発明に係る炭化水素濃度測定装置の第三実施形態における吸収スペクトルを示す図。 本発明に係る炭化水素濃度測定装置の第三実施形態における補正吸収スペクトルを示す図。 本発明に係る炭化水素濃度測定方法の第三実施形態を示すフロー図。
以下では、図1から図9を用いて本発明に係る炭化水素濃度測定装置の実施の第一実施形態であるTHC測定装置100について説明する。
図1に示すTHC測定装置100は、測定対象ガス1に含まれる炭化水素の濃度和(Total Hydrocarbon)を測定する装置である。
「測定対象ガス」は、少なくともその一部に炭化水素を含む気体を広く指す。「測定対象ガス」の具体例としては、自動車の排気ガス等が挙げられる。
測定対象ガスに含まれる炭化水素は必ずしも常温(25℃)かつ常圧(1気圧)において気化している必要はなく、例えば加熱することにより気化するものであっても良い。
「炭化水素」は、炭素と水素とからなる化合物である化学種を単数または複数種類含む。
炭化水素に含まれる化学種は、その構造からアルカン、アルケン、アルキン、芳香族炭化水素等に分類される。
「アルカン」は、一般式Cn2n+2(n;1以上の整数)で表される鎖状飽和炭化水素を指す。なお、本発明においてはシクロアルカンはアルカンに含まれるものとする。
「シクロアルカン」は、一般式Cn2n(n;3以上の整数)で表される環状飽和炭化水素を指す。
「アルケン」は、一般式Cn2n(n;2以上の整数)で表される鎖状不飽和炭化水素を指す。
「アルキン」は、一般式Cn2n-2(n;2以上の整数)で表される鎖状不飽和炭化水素を指す。
「芳香族炭化水素」は、単環または複数の環(縮合環)構造を有する炭化水素である。
本実施形態のTHC測定装置100は、測定対象ガス1に含まれる炭化水素のうち、(a)アルカンおよびアルケンからなるグループ、(b)芳香族炭化水素からなるグループ、並びに、(c)アルキンからなるグループ、に属する炭化水素がそれぞれ異なる波長帯の光を吸収する性質を利用し、各グループに対応する波長帯の光の吸収量を検出することにより、各グループに属する炭化水素の濃度和を測定する。
なお、「アルカンおよびアルケンからなるグループに属する炭化水素が吸収する波長帯」は波数に換算して2800cm-1以上3000cm-1以下の波長帯の範囲内に設定され、「芳香族炭化水素からなるグループに属する炭化水素が吸収する波長帯」は波数に換算して3000cm-1以上3200cm-1以下の波長帯の範囲内に設定され、「アルキンからなるグループに属する炭化水素が吸収する波長帯」は波数に換算して3200cm-1以上3400cm-1以下の波長帯の範囲内に設定される。
THC測定装置100は、フレーム110、光源側光学系ユニット120、ガス容器40、フォトダイオード30、チョッパ・分光器制御装置70、ロックインアンプ80およびデータ処理装置190を具備する。
フレーム110はTHC測定装置100の他の部材、特に光学系を構成する部材の相対的な位置を保持するための構造体である。
フレーム110はベース部材111、ユニット支持部材112、容器支持部材113およびフォトダイオード支持部材114を具備する。
ベース部材111はフレーム110の主たる構造体を成す部材である。フレーム110を構成する他の部材はベース部材111に固定される。
ユニット支持部材112は光源側光学系ユニット120をベース部材111に固定する部材である。ユニット支持部材112の下端部はベース部材111に固定され、ユニット支持部材112の上端部は光源側光学系ユニット120に固定される。
容器支持部材113はガス容器40をベース部材111に固定する部材である。容器支持部材113の下端部はベース部材111に固定され、容器支持部材113の上端部はガス容器40に固定される。
フォトダイオード支持部材114はフォトダイオード30をベース部材111に固定する部材である。フォトダイオード支持部材114の下端部はベース部材111に固定され、フォトダイオード支持部材114の上端部はフォトダイオード30に固定される。
光源側光学系ユニット120はTHC測定装置100の光学系のうち、ガス容器40よりも赤外ランプ10寄りに配置される部材をまとめたものである。
光源側光学系ユニット120はケース121、赤外ランプ10、第一集光レンズ61、光チョッパ50、コリメートレンズ62、分光器20および第二集光レンズ63を具備する。
ケース121は箱状の部材であり、光源側光学系ユニット120を構成する他の部材を収容するとともに当該他の部材の相対的な位置関係を保持する。
ケース121はユニット支持部材112を介してベース部材111に固定される。
光源側光学系ユニット120に収容される各部材(THC測定装置100の光学系を成す部材)の詳細については後述する。
ガス容器40は本発明に係るガス容器の実施の一形態であり、測定対象ガス1を収容する容器である。
本実施形態のガス容器40は胴体部材41、入口側窓部材42および出口側窓部材43を具備する。
胴体部材41はガス容器40の主たる構造体を成す円筒形状の部材である。
胴体部材41は測定対象ガス1が通過する配管の中途部に接続され、胴体部材41の内部を測定対象ガス1が通過する。胴体部材41は容器支持部材113を介してベース部材111に固定される。
入口側窓部材42および出口側窓部材43は胴体部材41に形成された二つの開口部に嵌設されたガラスまたは石英からなる部材である。
フォトダイオード30はフォトダイオード支持部材114を介してベース部材111に固定される。フォトダイオード30の詳細については後述する。
以下では、THC測定装置100の光学系について説明する。
図2に示す如く、THC測定装置100の光学系は、赤外ランプ10、分光器20、フォトダイオード30、第一集光レンズ61、コリメートレンズ62、第二集光レンズ63および光チョッパ50により構成される。
赤外ランプ10は本発明に係る光源の実施の一形態であり、THC測定装置100の光学系の最上流部を成す部材である。
図1に示す如く、赤外ランプ10はケース121の内部の所定の位置に固定される。
本実施形態の赤外ランプ10は赤外光を発生させるものであり、赤外ランプ10により発生する赤外光の波長帯は、「(a)アルカンおよびアルケンからなるグループに属する炭化水素が吸収する波長帯」、「(b)芳香族炭化水素からなるグループに属する炭化水素が吸収する波長帯」、および「(c)アルキンからなるグループに属する炭化水素が吸収する波長帯」を全て含む(図3および図6参照)。
本実施形態の赤外ランプ10は赤外光を発生するが、本発明に係る光源はこれに限定されない。これは、本発明に係る光源が発生する光(の波長)は測定対象ガスが吸収する波長帯に応じて適宜選択されるものであることによる。
すなわち、本発明に係る光源により発生する光は赤外光だけでなく、可視光、および紫外光でも良い。
分光器20は本発明に係る分光器の実施の一形態であり、赤外ランプ10により発生した光を周期的に波長変動させるものである。
図2に示す如く、分光器20はグレーティング21およびMEMSミラー26を具備する。
グレーティング21は赤外ランプ10により発生した光を回折させることにより波長毎に分光するものである。
本実施形態のグレーティング21は溝が多数(1mmに数百から数千本程度)形成された回折格子である。グレーティング21に入射された光は回折されて波長毎に分光され、分光された光は波長に応じて異なる反射角度(回折角度)で反射される。
図1に示す如く、グレーティング21はケース121の内部の所定の位置に固定される。
MEMSミラー26はグレーティング21により反射された光を所定の方向に反射するものである。MEMSミラー26はいわゆるMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術により製造される。
図1に示す如く、MEMSミラー26はケース121の内部の所定の位置に固定される。
図2に示す如く、MEMSミラー26は基部26aおよび回動部26bを有する。
基部26aは平板状の部材であり、その中央部には開口部26cが形成される。
回動部26bは平板状の部材であり、開口部26cに収容される位置に配置され、基部26aに対して回動可能に連結され、支持される。回動部26bは、基部26aとの連結部分が弾性的に捻れることにより基部26aに対して回動する。
図2に示す如く、回動部26bに力が作用していない状態では回動部26bと基部26aとの連結部分が弾性的に捻れておらず、回動部26bは基部26aの一対の板面と回動部26bの板面とが平行となる姿勢(基準姿勢)で保持される。
回動部26bの一方の板面には金、アルミニウム等の薄膜が形成され、当該薄膜がMEMSミラー26の反射面を成す。
本実施形態のMEMSミラー26はいわゆる電磁力式のミラーである。
基部26aには開口部26c、ひいては回動部26bを挟む形で一対の永久磁石が埋め込まれる。従って、回動部26bは当該一対の永久磁石により形成される磁界の中に配置されることとなる。
また、回動部26bには外部から電圧を印加可能な配線が形成される。
回動部26bに形成された配線に電圧を印加すると、一対の永久磁石により形成される磁界の中に配置された回動部26bにローレンツ力が作用する。その結果、回動部26bが基部26aに対して回動し、回動部26bに形成された反射面の角度が変更される。
回動部26bに作用するローレンツ力の大きさは、回動部26bに形成された配線に印可される電圧値、ひいては電流値に対応した大きさを有する。
従って、回動部26bに形成された配線に印可される電圧値(電流値)を調整することにより、回動部26bの回動角度、ひいてはMEMSミラー26の反射角度を調整することが可能である。
MEMSミラー26の反射角度が変化すると、MEMSミラー26により所定の方向(本実施形態では、フォトダイオード30に向かう方向)に反射される光がグレーティング21から入射される角度が変化する。
従って、MEMSミラー26の反射角度を調整することにより、MEMSミラー26により所定の方向に反射される光の波長を調整することが可能である。
また、回動部26bに形成された配線への電圧の印加を停止すると、回動部26bは基部26aとの連結部分の弾性的な捻れ変形を解消するべく回動し、基準姿勢に戻る。
従って、回動部26bに形成された配線に所定の周波数で電圧を印加することにより、回動部26bは当該所定の周波数で揺動し、MEMSミラー26により所定の方向に反射される光が周期的に波長変動する(光の波長が周期的に変動する)。
以下、MEMSミラー26の回動部26bが揺動する周期を「分光器20の分光周期」という。
本実施形態のMEMSミラー26はいわゆる電磁力式のミラーであるが、本発明に係るMEMSミラーはこれに限定されず、他の駆動形式(例えば、静電式、圧電式、熱歪式)で基部に対して回動部を回動させても良い。
本発明に係るMEMSミラーは市販のMEMSミラーにより達成することが可能である。
フォトダイオード30は本発明に係る受光器の実施の一形態であり、分光器20により波長変動された光の強度を検出するものである。
本実施形態のフォトダイオード30は受光した光の強度を検出する半導体素子からなり、受光した光の強度に応じた電気信号を出力(送信)する。
図1および図2において二点鎖線で示す如く、THC測定装置100の光学系は、赤外ランプ10から分光器20、ガス容器40を経てフォトダイオード30に至る光路Zを形成する。
図1に示す如く、ガス容器40は光路Zにおいて分光器20およびフォトダイオード30により挟まれる位置に配置される。
赤外ランプ10により発生した光は、分光器20により周期的に波長変動された状態で入口側窓部材42を透過して胴体部材41の内部に進入する。胴体部材41の内部に進入した光は胴体部材41の内部に収容されている測定対象物を透過し、次いで出口側窓部材43を透過して胴体部材41の外部(ガス容器40の外部)に導かれ、フォトダイオード30により受光される。
第一集光レンズ61は赤外ランプ10により発生する光を集光(収束)する光学素子である。
図1に示す如く、第一集光レンズ61はケース121の内部の所定の位置に固定される。
図2に示す如く、第一集光レンズ61は光路Zにおいて赤外ランプ10および分光器20により挟まれる位置に配置される。
コリメートレンズ62は第一集光レンズ61により集光された光を平行光とし、分光器20(より詳細には、グレーティング21)に照射する光学素子である。
図1に示す如く、コリメートレンズ62はケース121の内部の所定の位置に固定される。
図2に示す如く、コリメートレンズ62は光路Zにおいて赤外ランプ10および分光器20により挟まれ、かつ第一集光レンズ61よりも下流側となる位置に配置される。
また、コリメートレンズ62は第一集光レンズ61により集光された光の焦点Y(図2中の白丸)よりも光路Zにおいて下流側となる位置に配置される。
第二集光レンズ63は分光器20により波長変動された光を集光(収束)してフォトダイオード30に照射する(受光させる)光学素子である。
図2に示す如く、第二集光レンズ63はケース121においてガス容器40の入口側窓部材42に対向する位置に形成された開口部に嵌設され、光源側光学系ユニット120の内部から外部に光を照射する窓としての機能を兼ねる。
光チョッパ50はMEMSチョッパ部材51およびスリット部材56を具備する。
図1に示す如く、光チョッパ50はケース121の内部の所定の位置に固定される。
図2に示す如く、光チョッパ50は光路Zにおいて赤外ランプ10および分光器20により挟まれる位置、より詳細には第一集光レンズ61およびコリメートレンズ62により挟まれる位置に配置される。
MEMSチョッパ部材51はいわゆるMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術により製造される。
図2に示す如く、MEMSチョッパ部材51は基部51aおよび回動部51bを有する。
基部51aは一対の板面を有する平板状の部材であり、基部51aの中央部には基部51aの一対の板面を貫通する開口部51cが形成される。
回動部51bは平板状の部材であり、開口部51cに収容される位置に配置され、基部51aに対して回動可能に連結され、支持される。回動部51bは、基部51aとの連結部分が弾性的に捻れることにより基部51aに対して回動する。
図2に示す如く、回動部51bに力が作用していない状態では回動部51bと基部51aとの連結部分が弾性的に捻れておらず、回動部51bは基部51aの一対の板面と回動部51bの板面とが平行となる姿勢(基準姿勢)で保持される。その結果、開口部51cは回動部51bにより閉塞された(閉じられた)状態となる。
本実施形態のMEMSチョッパ部材51はいわゆる電磁力式のアクチュエータである。
基部51aには開口部51c、ひいては回動部51bを挟む形で一対の永久磁石が埋め込まれる。従って、回動部51bは当該一対の永久磁石により形成される磁界の中に配置されることとなる。
また、回動部51bには外部から電圧を印加可能な配線が形成される。
回動部51bは、電圧の印加状態に対応して基部51aに対して回動する。
すなわち、回動部51bに形成された配線に電圧を印加すると、一対の永久磁石により形成される磁界の中に配置された回動部51bにはローレンツ力が作用する。その結果、回動部51bが基部51aに対して回動し、開口部51c(厳密には、開口部51cの一部)が開いた状態となる。
また、回動部51bに形成された配線への電圧の印加を停止すると、回動部51bは基部51aとの連結部分の弾性的な捻れ変形を解消するべく回動し、基準姿勢に戻る。
従って、回動部51bに形成された配線に所定の周波数で電圧を印加することにより、回動部51bは当該所定の周波数で揺動し、開口部51cを開閉する。
図2において実線で示す如く、回動部51bが基準姿勢をとっているとき、第一集光レンズ61により集光された光は回動部51bにより遮断され、フォトダイオード30に到達しない。回動部51bが基準姿勢をとることにより、光が光チョッパ50により遮断される状態を「遮断状態」という。
図2において点線で示す如く、回動部51bが基部51aに対して回動した姿勢をとっているとき、第一集光レンズ61により集光された光は回動部51bに遮断されずに開口部51cを通過し、フォトダイオード30に到達する。回動部51bが基部51aに対して回動した姿勢をとることにより、光が光チョッパ50を通過する状態を「通過状態」という。
このように、MEMSチョッパ部材51の回動部51bは、回動することにより「通過状態」および「遮断状態」のいずれかの状態に切り替えることが可能である。
以下、MEMSチョッパ部材51の回動部51bが回動(揺動)する周期、より厳密には通過状態の開始から遮断状態への移行を経て再び通過状態に移行するまでの周期を「光チョッパ50のチョッピング周期」という。
本実施形態のMEMSチョッパ部材51はいわゆる電磁力式のアクチュエータであるが、本発明に係るMEMSチョッパ部材はこれに限定されず、他の駆動形式(例えば、静電式、圧電式、熱歪式)で基部に対して回動部を回動させても良い。
また、市販のMEMSミラーその他のMEMSアクチュエータを本発明に係るMEMSチョッパ部材として流用することが可能である。
「光チョッパ50のチョッピング周期」は、「分光器20の分光周期」よりも短くなるように設定される(光チョッパ50のチョッピング周波数は、分光器20の分光周波数よりも大きくなるように設定される)。
既存のMEMSミラーを流用してMEMSチョッパ部材51を構成した場合、光チョッパ50のチョッピング周期を10μsec〜100μsec程度に設定することが可能である(光チョッパ50のチョッピング周波数を10kHz〜100kHz程度に設定することが可能である)。
従って、光チョッパ50のチョッピング周期よりも短くならない範囲で「分光器20の分光周期」を短くすることが可能であり、THC測定装置100の高速応答性(リアルタイム性)の向上に寄与する。ここでいう高速応答性とは、ごく短時間における測定対象ガスの組成変動(本実施形態では、炭化水素濃度の変動)を精度良く検出可能であることを指す。
図2に示す如く、本実施形態では、MEMSチョッパ部材51の開口部51cは焦点Yに対応する位置(焦点Yの近傍となる位置)に配置される。
このように構成することにより、赤外ランプ10により発生した光が細く収束された状態で開口部51cを通過することとなり、回動部51bが基準姿勢から大きく回動しなくても「通過状態」と「遮断状態」との切り替えを行うことが可能であり、光チョッパ50のチョッピング周期をより短くすることが可能である。
このチョッピングにより受光強度が強くなり(周波数領域にもよるが、受光素子は高周波数になるほど感度が大きい)、ひいてはS/N比を大きくすることが可能である。さらに、ロックインアンプを組み合わせた場合には、ノイズ成分の除去を効果的に行うことが可能であり、ひいてはS/N比をさらに大きくすることが可能である
本実施形態では回動部51bが基準姿勢となるときには回動部51bにより開口部51cが閉塞されるが、ここでいう「閉塞される」とは、開口部51cが回動部51bにより完全に密閉される(開口部51cの端面と回動部51bとの間に隙間が無い)ことを指すのではなく、光が開口部51cを通過出来ない程度に覆われることを指す。
スリット部材56は赤外ランプ10により発生した光を絞る(外乱光を光路Zから排除することによりTHC測定装置100の波長分解能を向上させる)ものである。
スリット部材56は一対の板面を有する板状の部材であり、スリット部材56にはスリット部材56の一対の板面を貫通する溝であるスリット56aが形成される。
スリット部材56はMEMSチョッパ部材51に隣接する位置に配置される。本実施形態では、スリット部材56はMEMSチョッパ部材51の後側の板面(MEMSチョッパ部材51の基部51aの一対の板面のうち、光路Zの下流側となる板面)に貼り合わされる形で固定される。
従って、MEMSチョッパ部材51は光の光路Zにおいてスリット部材56よりも上流側に配置される(スリット部材56は光の光路ZにおいてMEMSチョッパ部材51よりも下流側に配置される)こととなる。
このように構成することは、以下の利点を有する。すなわち、仮にMEMSチョッパ部材を光の光路においてスリット部材よりも下流側に配置した場合には、MEMSチョッパ部材の回動部により遮断(反射)された光の一部がスリット部材により更に反射されて外
乱光となり、MEMSチョッパ部材の基部の開口部を通過して分光器、ひいては受光器に到達し、受光器による光の強度の検出精度を低下させる場合がある。
そのため、MEMSチョッパ部材を光の光路においてスリット部材よりも下流側に配置する場合には、このような外乱光の影響を排除するためにスリット部材の形状、表面の色、配置等を別途工夫する必要があるが、本実施形態の如くスリット部材56を光の光路ZにおいてMEMSチョッパ部材51よりも下流側に配置した場合には回動部51bにより遮断(反射)された光がスリット部材56により再度反射されることが無いので、容易に外乱光の影響を排除することが可能であり、ひいてはTHC測定装置100の波長分解能を向上させることが可能である。
MEMSチョッパ部材51に固定されたスリット部材56のスリット56aは、焦点Yに対応する位置(焦点Yの近傍となる位置)に配置される。
このように構成することにより、赤外ランプ10により発生した光が細く収束された状態でスリット56aを通過することとなり、スリット56aを通過する光の光量を確保しつつスリット56aを極力細くして外乱光の影響を排除することが可能であり、THC測定装置100のS/N比の向上と波長分解能の向上とを両立することが可能である。
既存のMEMSミラーを流用してMEMSチョッパ部材51を構成した場合、MEMSチョッパ部材51を例えば縦20mm×横30mm×厚さ5mm程度の大きさに抑えることが可能である。また、スリット部材56の厚さも数mm程度に抑えることが可能である。
従って、MEMSチョッパ部材51およびスリット部材56を合わせたサイズ、すなわち光チョッパ50を全体としてコンパクトにすることが可能であり、光チョッパ50を小型化することが可能である。
また、光チョッパ50を小型化することにより、THC測定装置100の光学系全体を小型化することが可能である。THC測定装置100を小型化することは、THC測定装置100を自動車に取り付けて走行中の自動車の排気ガスの分析を行う場合に特に有効である。
以下では、THC測定装置100の制御系について説明する。
図1に示す如く、THC測定装置100の制御系は、チョッパ・分光器制御装置70、ロックインアンプ80およびデータ処理装置190により構成される。
チョッパ・分光器制御装置70は光チョッパ50および分光器20のMEMSミラー26の動作を制御する装置である。
チョッパ・分光器制御装置70は光チョッパ50、より厳密にはMEMSチョッパ部材51に接続され、MEMSチョッパ部材51の回動部51bに形成された配線に所定の周期(チョッピング周期に対応する周期)の電圧を印加することが可能である。
チョッパ・分光器制御装置70はMEMSミラー26に接続され、MEMSミラー26の回動部26bに形成された配線に所定の周期(分光周期に対応する周期)の電圧を印加することが可能である。
チョッパ・分光器制御装置70はMEMSミラー駆動制御用の発振回路であり、周波数設定が可能なものであれば、汎用的なもので達成することが可能である。
ロックインアンプ80はフォトダイオード30により受光された光の強度に応じた電気信号(測定信号)からノイズ成分を除去するものである。
ロックインアンプ80はフォトダイオード30に接続され、フォトダイオード30から測定信号を受信することが可能である。
ロックインアンプ80はチョッパ・分光器制御装置70に接続され、チョッパ・分光器制御装置70がMEMSチョッパ部材51の回動部51bに形成された配線に印可する電圧のタイミングを示す信号(参照信号)、およびMEMSミラー26の回動部26bに形成された配線に印加される電圧のタイミングを示す信号(分光周期信号)をチョッパ・分光器制御装置70から受信することが可能である。
ロックインアンプ80は測定信号および参照信号に基づいてノイズ成分が除去された測定信号(補正測定信号)を生成する。
ロックインアンプ80は既知のロックインアンプまたはこれと等価な機能を発現する回路等により達成される。
データ処理装置190は本発明に係る濃度算出装置の実施の一形態である。
データ処理装置190はフォトダイオード30により受光された光の強度に基づいて、測定対象ガス1に含まれる炭化水素のうち、(a)アルカンおよびアルケンからなるグループ、(b)芳香族炭化水素からなるグループ、並びに、(c)アルキンからなるグループ、に属する炭化水素の濃度和をグループ毎に算出する。
データ処理装置190は処理部191、入力部192および表示部193を具備する。
処理部191は種々のプログラム等を格納し、これらのプログラム等を展開し、これらのプログラム等に従って所定の演算を行い、当該演算結果等を記憶することができる。
処理部191は、実体的には、CPU、ROM、RAM、HDD等がバスで接続される構成であっても良く、あるいはワンチップのLSI等からなる構成であっても良い。
本実施例の処理部191は専用品であるが、市販のパーソナルコンピュータやワークステーション等に上記プログラム等を格納したもので達成することも可能である。
処理部191はロックインアンプ80に接続され、ロックインアンプ80から補正測定信号および分光周期信号を取得(受信)することが可能である。
処理部191は処理部191において行われる種々の演算等に用いられる情報、演算結果等を記憶することが可能である。
処理部191は、基準となるガス(以下、基準ガス)のスペクトル、すなわち図3に示すリファレンススペクトルA0(λ)を予め記憶している。
「基準ガス」は、測定対象ガスに含まれる炭化水素の三つの吸収波長帯の光を吸収しないことが予め分かっているガスである。基準ガスの具体例としては、窒素ガスが挙げられる。
「リファレンススペクトル」は基準ガスに光を照射したときの波長と光の強度との関係を示すものであり、波長の関数として表される。以下の説明では、波長と光の強度との関係を示す場合には横軸を波長、縦軸を光強度として表すものとする。
本実施形態では、リファレンススペクトルA0(λ)のスペクトルの波長帯は波数に換算して2000cm-1以上4000cm-1以下の範囲に設定される。
従って、リファレンススペクトルA0(λ)の最短波長λminは波数に換算して4000cm-1となる波長であり、リファレンススペクトルA0(λ)の最長波長λmaxは波数に換算して2000cm-1となる波長である。
図3に示す如く、本実施形態のリファレンススペクトルA0(λ)は、(a)アルカンおよびアルケンからなるグループに属する炭化水素が吸収する波長帯、(b)芳香族炭化水素からなるグループに属する炭化水素が吸収する波長帯、および(c)アルキンからなるグループに属する炭化水素が吸収する波長帯、を全て含む。
なお、図3において(d)で示される波長帯は、上記(a)〜(c)のいずれにも該当しない波長帯、すなわちアルカンおよびアルケンからなるグループに属する炭化水素、芳香族炭化水素からなるグループに属する炭化水素、並びにアルキンからなるグループに属する炭化水素のいずれも吸収しない波長帯である。以下、(d)で示される波長帯を「測定対象ガス1の非吸収波長帯」という。
処理部191は図4に示す第一補正リファレンススペクトルA1(λ)を予め算出し、記憶している。
「第一補正リファレンススペクトル」はリファレンススペクトルから当該リファレンススペクトルにおける最短波長点の光強度および最長波長点の光強度のうち小さい方の光強度を引くことにより算出され、波長の関数として表される。なお、リファレンススペクトルにおける最短波長点の光強度および最長波長点の光強度が同じである場合には、リファレンススペクトルから当該リファレンススペクトルにおける最短波長点の光強度および最長波長点の光強度のどちらを引いても良い。
本実施形態では、図3に示すリファレンススペクトルA0(λ)の最長波長点A02(図3中の白四角)の光強度A0(λmax)は最短波長点A01(図3中の黒四角)の光強度A0(λmin)よりも小さいので、リファレンススペクトルA0(λ)から光強度A0(λmax)を引くことにより、図4に示す第一補正リファレンススペクトルA1(λ)が算出される(A1(λ)=A0(λ)−A0(λmax))。
図4に示す如く、第一補正リファレンススペクトルA1(λ)における最長波長点A12(図4中の白四角)の縦軸の座標A1(λmax)の値はゼロであり(A1(λmax)=0)、最長波長点A12は横軸上に位置する。
処理部191は図5に示す第二補正リファレンススペクトルA2(λ)を予め算出し、記憶している。
「第二補正リファレンススペクトル」は第一補正リファレンススペクトルに定数を加えることにより算出され、波長の関数として表される。
本実施形態では、第一補正リファレンススペクトルA1(λ)に定数Cを加えることにより、第二補正リファレンススペクトルA2(λ)が算出される(A2(λ)=A1(λ)+C)。
図5に示す如く、第二補正リファレンススペクトルA2(λ)における最長波長点A22(図5中の白四角)の縦軸の座標A2(λmax)の値はCである(A2(λmax)
=C)。
定数Cは、後述する数1に基づく計算に含まれる対数演算が不能となる場合を回避するために便宜的に加えられるものである。従って、定数Cの値は通常、正の値となる。ただし、定数Cを加えなくても対数演算が不能とならない場合には第一補正リファレンススペクトルに定数Cを加えて第二補正リファレンススペクトルを算出する演算を省略する、あるいは、定数Cの値をゼロとすることも可能である。
処理部191は、ロックインアンプ80から取得された補正測定信号および分光周期信号に基づいて、図6に示す「測定対象ガス1の吸収スペクトルB0(λ)」を算出する。
「測定対象ガスの吸収スペクトル」は、測定対象ガスに光を照射したときの波長と光の強度との関係を示すものであり、波長の関数として表される。
より詳細には、処理部191は、補正測定信号および分光周期信号を照合し、取得された補正測定信号がどの波長帯の光の強度を示すものかを特定する作業を順次行うことにより、測定対象ガス1の吸収スペクトルB0(λ)を算出する。
図6に示す吸収スペクトルB0(λ)の最短波長および最長波長は、それぞれ図3に示すリファレンススペクトルA0(λ)の最短波長および最長波長に一致する。
図6において太い実線で示される測定対象ガス1の吸収スペクトルB0(λ)は、図3において太い実線で示されるとともに図6において二点鎖線で示されるリファレンススペクトルA0(λ)に比べて全体的に光強度が小さい。
これは、THC測定装置100の光学系(例えば、第一集光レンズ61、コリメートレンズ62、第二集光レンズ63)、ガス容器40に設けられた入口側窓部材42および出口側窓部材43等が汚れるといった外乱要因による。
また、ガス容器40が測定対象ガス1からの熱伝導により温度上昇してガス容器40から赤外光が放射されることにより、測定対象ガス1の吸収スペクトルにはさらに外乱要因が重なることとなる。
従って、通常は、吸収スペクトルB0(λ)の最短波長点B01とリファレンススペクトルA0(λ)の最短波長点A01とは重ならず(縦軸の座標が一致せず)、吸収スペクトルB0(λ)の最長波長点B02とリファレンススペクトルA0(λ)の最長波長点A02とは重ならない(縦軸の座標が一致しない)。
図6に示す如く、測定対象ガス1の吸収スペクトルB0(λ)は、(a)アルカンおよびアルケンからなるグループに属する炭化水素が吸収する波長帯、(b)芳香族炭化水素からなるグループに属する炭化水素が吸収する波長帯、および(c)アルキンからなるグループに属する炭化水素が吸収する波長帯において、その光強度が低下している(対応する波長帯の部分が下に凸となっている)。
これは、赤外ランプ10により発生した光が測定対象ガス1を透過したときに、当該光のうち、(a)アルカンおよびアルケンからなるグループに属する炭化水素が吸収する波長帯、(b)芳香族炭化水素からなるグループに属する炭化水素が吸収する波長帯、および(c)アルキンからなるグループに属する炭化水素が吸収する波長帯、にそれぞれ対応する成分が、測定対象ガス1に含まれる炭化水素に吸収されることによる。
処理部191は、測定対象ガス1の吸収スペクトルB0(λ)に基づいて、図7に示す「測定対象ガス1の第一補正吸収スペクトルB1(λ)」を算出する。
「測定対象ガスの第一補正吸収スペクトル」は、測定対象ガスの吸収スペクトルから当該吸収スペクトルにおける最短波長点の光強度および最長波長点の光強度のうち小さい方の光強度を引くことにより算出され、波長の関数として表される。なお、吸収スペクトルにおける最短波長点の光強度および最長波長点の光強度が同じである場合には、測定対象ガスの吸収スペクトルから当該吸収スペクトルにおける最短波長点の光強度および最長波長点の光強度のどちらを引いても良い。
本実施形態では、図6に示す測定対象ガス1の吸収スペクトルB0(λ)の最長波長点B02(図6中の白丸)の光強度B0(λmax)は最短波長点B01(図6中の黒丸)の光強度B0(λmin)よりも小さいので、測定対象ガス1の吸収スペクトルB0(λ)から光強度B0(λmax)を引くことにより図7に示す第一補正吸収スペクトルB1(λ)が算出される(B1(λ)=B0(λ)−B0(λmax))。
図7に示す如く、第一補正吸収スペクトルB1(λ)における最長波長点B12(図7中の白丸)の縦軸の座標B1(λmax)の値はゼロであり(B1(λmax)=0)、最長波長点B12は横軸上に位置する。
また、第一補正吸収スペクトルB1(λ)における最長波長点B12(図7中の白丸)および第一補正リファレンススペクトルA1(λ)における最長波長点A12(図4および図7中の白四角)は重なる(縦軸の座標が一致する)。
処理部191は、第一補正リファレンススペクトルA1(λ)および第一補正吸収スペクトルB1(λ)に基づいて、図8に示す第二補正吸収スペクトルB2(λ)を算出する。
「第二補正吸収スペクトル」は、「第一補正リファレンススペクトルにおける最短波長点の光強度および最長波長点の光強度のうち大きい方の光強度(α)を第一補正吸収スペクトルにおける最短波長点の光強度および最長波長点の光強度のうち大きい方の光強度(β)で割った値(=α/β)」を第一補正吸収スペクトルに乗ずることにより算出され、波長の関数として表される。
なお、第一補正リファレンススペクトルにおける最短波長点の光強度および最長波長点の光強度が同じである場合、または、第一補正吸収スペクトルにおける最短波長点の光強度および最長波長点の光強度が同じである場合には、上記(α/β)の値を1として第一補正吸収スペクトルに乗ずる(実質的には、第一補正吸収スペクトルをそのまま第二補正吸収スペクトルとする)。
本実施形態では、図4および図7に示す測定対象ガス1の第一補正リファレンススペクトルA1(λ)の最短波長点A11(図4および図7中の黒四角)の光強度A1(λmin)は最長波長点A12(図4および図7中の白四角)の光強度A1(λmax)よりも大きく、かつ図7に示す測定対象ガス1の第一補正吸収スペクトルB1(λ)の最短波長点B11(図7中の黒丸)の光強度B1(λmin)は最長波長点B12(図7中の白丸)の光強度B1(λmax)よりも大きいので、光強度A1(λmin)を光強度B1(λmin)で割った値を第一補正吸収スペクトルB1(λ)に乗ずることにより、図8に示す第二補正吸収スペクトルB2(λ)が算出される(B2(λ)={A1(λmin)/B1(λmin)}×B1(λ))。
図8に示す如く、第二補正吸収スペクトルB2(λ)における最長波長点B22(図8中の白丸)の縦軸の座標B2(λmax)の値はゼロであり(B2(λmax)=0)、最長波長点B22は横軸上に位置する。
また、第二補正吸収スペクトルB2(λ)における最長波長点B22(図8中の白丸)および第一補正リファレンススペクトルA1(λ)における最長波長点A12(図4および図8中の白四角)は重なる(縦軸の座標が一致する)とともに、第二補正吸収スペクトルB2(λ)における最短波長点B21(図8中の黒丸)および第一補正リファレンススペクトルA1(λ)における最短波長点A11(図4および図8中の黒四角)は重なる(縦軸の座標が一致する)。
処理部191は、第二補正吸収スペクトルB2(λ)に基づいて、図9に示す第三補正吸収スペクトルB3(λ)を算出する。
「第三補正吸収スペクトル」は第二補正吸収スペクトルに定数を加えたものであり、波長の関数として表される。ここで、第二補正吸収スペクトルに加えられる定数の値は、第二補正リファレンススペクトルを算出するときに第一補正リファレンススペクトルに加えられる定数の値と同じである。
本実施形態では、第二補正吸収スペクトルB2(λ)に定数Cを加えることにより、第三補正吸収スペクトルB3(λ)が算出される(B3(λ)=B2(λ)+C)。
定数Cは、後述する数1に基づく計算に含まれる対数演算が不能となる場合を回避するために便宜的に加えられるものである。従って、定数Cの値は通常、正の値となる。
ただし、定数Cを加えなくても対数演算が不能とならない場合には第二補正吸収スペクトルに定数Cを加えて第三補正吸収スペクトルを算出する演算を省略する、あるいは、定数Cの値をゼロとすることも可能である。
図9に示す如く、第三補正吸収スペクトルB3(λ)における最長波長点B32(図9中の白丸)の縦軸の座標B3(λmax)の値はCである(B3(λmax)=C)。
また、第三補正吸収スペクトルB3(λ)における最長波長点B32(図9中の白丸)および第二補正リファレンススペクトルA2(λ)における最長波長点A22(図5および図9中の白四角)は重なる(縦軸の座標が一致する)とともに、第三補正吸収スペクトルB3(λ)における最短波長点B31(図9中の黒丸)および第二補正リファレンススペクトルA2(λ)における最短波長点A21(図5および図9中の黒四角)は重なる(縦軸の座標が一致する)。
このように、処理部191がリファレンススペクトルA0(λ)および吸収スペクトルB0(λ)に対して行う一連の処理(演算)は、実質的にはリファレンススペクトルA0(λ)の最短波長点A01と吸収スペクトルB0(λ)の最短波長点B01とが重なり、かつ、リファレンススペクトルA0(λ)の最長波長点A02と吸収スペクトルB0(λ)の最長波長点B02とが重なるように補正を施すことに相当する。
図9に示す如く、第二補正リファレンススペクトルA2(λ)および第三補正吸収スペクトルB3(λ)を比較すると、「(a)アルカンおよびアルケンからなるグループに属する炭化水素が吸収する波長帯、(b)芳香族炭化水素からなるグループに属する炭化水素が吸収する波長帯、および(c)アルキンからなるグループに属する炭化水素が吸収する波長帯を除く波長帯」、すなわち、「(c)の波長帯よりも波長が短い波長帯、(a)の波長帯より波長が長い波長帯および(d)の波長帯」における光強度が良く一致し、外乱要因が排除された状態となる。
処理部191は、第二補正リファレンススペクトルA2(λ)、第三補正吸収スペクトルB3(λ)および以下の数1に基づいて、測定対象ガス1に含まれる炭化水素のうち(a)アルカンおよびアルケンからなるグループ、(b)芳香族炭化水素からなるグループ、(c)アルキンからなるグループ、のそれぞれが吸収する波長帯の光の吸収量を算出する。
Figure 0005363148
数1はランベルト・ベールの法則に基づく計算式である。
数1において、n=1は「アルカンおよびアルケンからなるグループ」、n=2は「芳香族炭化水素からなるグループ」、n=3は「アルキンからなるグループ」を指す。
数1において、X1は「アルカンおよびアルケンからなるグループに属する炭化水素の吸光度(光の吸収量)」、X2は「芳香族炭化水素からなるグループに属する炭化水素の吸光度(光の吸収量)」、X3は「アルキンからなるグループに属する炭化水素の吸光度(光の吸収量)」を指す。
数1において、「I1」は第三補正吸収スペクトルにおける「アルカンおよびアルケンからなるグループに属する炭化水素の吸収波長帯」の光強度、「I2」は第三補正吸収スペクトルにおける「芳香族炭化水素からなるグループに属する炭化水素の吸収波長帯」の光強度、「I3」は第三補正吸収スペクトルにおける「アルキンからなるグループに属する炭化水素の吸収波長帯」の光強度を指す。
数1において、「(I10」は第二補正リファレンススペクトルにおける「アルカンおよびアルケンからなるグループに属する炭化水素の吸収波長帯」の光強度、「(I20」は第二補正リファレンススペクトルにおける「芳香族炭化水素からなるグループに属する炭化水素の吸収波長帯」の光強度、「(I30」は第二補正リファレンススペクトルにおける「アルキンからなるグループに属する炭化水素の吸収波長帯」の光強度を指す。
処理部191は、数1に基づいて算出された「アルカンおよびアルケンからなるグループに属する炭化水素の吸収波長帯における吸光度」に基づいて「アルカンおよびアルケンからなるグループに属する炭化水素の濃度の和」を算出し、「芳香族炭化水素からなるグループに属する炭化水素の吸収波長帯における吸光度」に基づいて「芳香族炭化水素からなるグループに属する炭化水素の濃度の和」を算出し、「アルキンからなるグループに属する炭化水素の吸収波長帯における吸光度」に基づいて「アルキンからなるグループに属する炭化水素の濃度の和」を算出する。
具体的には、処理部191は、処理部191に予め記憶された係数K1と「アルカンおよびアルケンからなるグループに属する炭化水素の吸収波長帯における吸光度」との積として、測定対象ガス1に含まれる「アルカンおよびアルケンからなるグループに属する炭化水素の濃度の和」を算出する。
同様に、処理部191は、処理部191に予め記憶された係数K2と「芳香族炭化水素からなるグループに属する炭化水素の吸収波長帯における吸光度」との積として、測定対象ガス1に含まれる「芳香族炭化水素からなるグループに属する炭化水素の濃度の和」を算出する。
同様に、処理部191は、処理部191に予め記憶された係数K3と「アルキンからなるグループに属する炭化水素の吸収波長帯における吸光度」との積として、測定対象ガス1に含まれる「アルキンからなるグループに属する炭化水素の濃度の和」を算出する。
処理部191は、上記算出された「アルカンおよびアルケンからなるグループに属する炭化水素の濃度の和」、「芳香族炭化水素からなるグループに属する炭化水素の濃度の和」、および「アルキンからなるグループに属する炭化水素の濃度の和」の和として、「測定対象ガス1の全炭化水素濃度」を算出する。
処理部191は、算出された「アルカンおよびアルケンからなるグループに属する炭化水素の濃度の和」、「芳香族炭化水素からなるグループに属する炭化水素の濃度の和」、「アルキンからなるグループに属する炭化水素の濃度の和」、および「測定対象ガス1の全炭化水素濃度」を適宜記憶する。
なお、上記係数K1、係数K2および係数K3の初期値は、FID−GC等により予め炭化水素の組成が分かっているガスをTHC測定装置100により測定して得られた「アルカンおよびアルケンからなるグループに属する炭化水素の吸収波長帯における吸光度」の算出結果、「芳香族炭化水素からなるグループに属する炭化水素の吸収波長帯における吸光度」の算出結果、および「アルキンからなるグループに属する炭化水素の吸収波長帯における吸光度」の算出結果に基づいて実験的に定められる。
また、本実施形態の場合、処理部191により算出される各グループに属する炭化水素の濃度の和および全炭化水素濃度はメタン換算濃度値(ppmC)の形で算出されるが、本発明はこれに限定されず、体積比等の形で算出しても良い。
入力部192は処理部191に接続され、THC測定装置100による炭化水素濃度の測定に係る種々の情報・指示等を処理部191に入力するものである。
本実施形態の処理部191は専用品であるが、市販のキーボード、マウス、ポインティングデバイス、ボタン、スイッチ等を用いても同様の効果を達成することが可能である。
表示部193は入力部192から処理部191への入力内容や処理部191による算出結果(炭化水素濃度の測定結果)等を表示するものである。
本実施形態の表示部193は専用品であるが、市販のモニターや液晶ディスプレイ等を用いても同様の効果を達成することが可能である。
本実施形態では赤外ランプ10、分光器20およびフォトダイオード30により形成される光路Zにおいて分光器20およびフォトダイオード30により挟まれる位置にガス容器40を配置するが、本発明に係る炭化水素濃度測定装置はこれに限定されない。
本発明に係る炭化水素濃度測定装置の他の実施形態としては、光源および分光器により挟まれる位置にガス容器を配置する構成が挙げられる。
以上の如く、THC測定装置100は、
光を発生させる赤外ランプ10と、
赤外ランプ10により発生した光を周期的に波長変動させる分光器20と、
分光器20により波長変動された光の強度を検出するフォトダイオード30と、
赤外ランプ10、分光器20およびフォトダイオード30により形成される光路Zにおいて分光器20およびフォトダイオード30により挟まれる位置に配置され、測定対象ガス1を収容可能かつ光を透過可能なガス容器40と、
測定対象ガス1に含まれる炭化水素のうち(a)アルカンおよびアルケンからなるグループ、(b)芳香族炭化水素からなるグループ、(c)アルキンからなるグループ、のそれぞれが吸収する波長帯を含むリファレンススペクトルA0(λ)からリファレンススペクトルA0(λ)における最短波長点A01の光強度A0(λmin)および最長波長点A02の光強度A0(λmax)のうち小さい方の光強度(本実施形態では、A0(λmax))を引くことにより算出される第一補正リファレンススペクトルA1(λ)に定数Cを加えた第二補正リファレンススペクトルA2(λ)を予め記憶し、フォトダイオード30により検出された光の強度に基づいて測定対象ガス1の吸収スペクトルB0(λ)を算出し、吸収スペクトルB0(λ)から吸収スペクトルB0(λ)における最短波長点B01の光強度B0(λmin)および最長波長点B02の光強度B0(λmax)のうち小さい方の光強度(本実施形態では、B0(λmax))を引くことにより第一補正吸収スペクトルB1(λ)を算出し、第一補正リファレンススペクトルA1(λ)における最短波長点A11の光強度A1(λmin)および最長波長点A12の光強度A1(λmax)のうち大きい方の光強度(本実施形態では、A1(λmin))を第一補正吸収スペクトルB1(λ)における最短波長点B11の光強度B1(λmin)および最長波長点B12の光強度B1(λmax)のうち大きい方の光強度(本実施形態では、B1(λmin))で割った値を第一補正吸収スペクトルB1(λ)に乗ずることにより第二補正吸収スペクトルB2(λ)を算出し、第二補正吸収スペクトルB2(λ)に定数Cを加えることにより第三補正吸収スペクトルB3(λ)を算出し、第二補正リファレンススペクトルA2(λ)、第三補正吸収スペクトルB3(λ)および数1に基づいて測定対象ガス1に含まれる炭化水素のうち(a)アルカンおよびアルケンからなるグループ、(b)芳香族炭化水素からなるグループ、(c)アルキンからなるグループ、のそれぞれが吸収する波長帯の光の吸収量(X1、X2およびX3)を算出し、算出された各グループに対応する光の吸収量に基づいて各グループに属する炭化水素の濃度を算出するデータ処理装置190(より厳密には、処理部191)と、
を具備する。
このように構成することにより、THC測定装置100は、時々刻々と変動する外乱要因(例えば、THC測定装置100の光学系(レンズ等)あるいはガス容器40に設けられた入口側窓部材42および出口側窓部材43が汚れる、ガス容器40が測定対象ガス1からの熱伝導により温度上昇してガス容器40を構成する材料(金属等)から赤外光が放射される等)が吸収スペクトルB0(λ)に与える影響を排除することが可能であり、ひいては測定対象ガス1に含まれる炭化水素の濃度を精度良く測定することが可能である。
以下では、図10を用いて本発明に係る炭化水素濃度測定方法の第一実施形態について説明する。
本発明に係る炭化水素濃度測定方法の第一実施形態はTHC測定装置100を用いて測定対象ガス1に含まれる炭化水素の濃度和を測定する方法である。
図10に示す如く、本発明に係る炭化水素濃度測定方法の第一実施形態は検出工程S1100、吸収スペクトル算出工程S1200、第一補正吸収スペクトル算出工程S1300、第二補正吸収スペクトル算出工程S1400、第三補正吸収スペクトル算出工程S1500、光吸収量算出工程S1600および濃度算出工程S1700を具備する。
検出工程S1100は、フォトダイオード30が、赤外ランプ10により発生してガス容器40に収容された測定対象ガス1を透過した光の強度を検出する工程である。
本実施形態では、検出工程S1100は所定の周期(分光器20の分光周期)で繰り返し行われる。
吸収スペクトル算出工程S1200は、データ処理装置190(より厳密には、処理部191)が、フォトダイオード30により検出された光の強度に基づいて測定対象ガス1の吸収スペクトルB0(λ)を算出する工程である。
吸収スペクトル算出工程S1200が終了したら、第一補正吸収スペクトル算出工程S1300に移行する。
第一補正吸収スペクトル算出工程S1300は、データ処理装置190(より厳密には、処理部191)が、吸収スペクトルB0(λ)から吸収スペクトルB0(λ)における最短波長点B01の光強度B0(λmin)および最長波長点B02の光強度B0(λmax)のうち小さい方の光強度(本実施形態では、B0(λmax))を引くことにより第一補正吸収スペクトルB1(λ)を算出する工程である。
第一補正吸収スペクトル算出工程S1300が終了したら、第二補正吸収スペクトル算出工程S1400に移行する。
第二補正吸収スペクトル算出工程S1400は、データ処理装置190(より厳密には、処理部191)が、第一補正リファレンススペクトルA1(λ)における最短波長点A11の光強度A1(λmin)および最長波長点A12の光強度A1(λmax)のうち大きい方の光強度(本実施形態では、A1(λmin))を第一補正吸収スペクトルB1(λ)における最短波長点B11の光強度B1(λmin)および最長波長点B12の光強度B1(λmax)のうち大きい方の光強度(本実施形態では、B1(λmin))で割った値を第一補正吸収スペクトルB1(λ)に乗ずることにより第二補正吸収スペクトルB2(λ)を算出する工程である。
第二補正吸収スペクトル算出工程S1400が終了したら、第三補正吸収スペクトル算出工程S1500に移行する。
第三補正吸収スペクトル算出工程S1500は、データ処理装置190(より厳密には、処理部191)が、第二補正吸収スペクトルB2(λ)に定数Cを加えることにより第三補正吸収スペクトルB3(λ)を算出する工程である。
第三補正吸収スペクトル算出工程S1500が終了したら、光吸収量算出工程S1600に移行する。
光吸収量算出工程S1600は、データ処理装置190(より厳密には、処理部191)が、第二補正リファレンススペクトルA2(λ)、第三補正吸収スペクトルB3(λ)および数1に基づいて測定対象ガス1に含まれる炭化水素のうち(a)アルカンおよびアルケンからなるグループ、(b)芳香族炭化水素からなるグループ、(c)アルキンからなるグループ、のそれぞれが吸収する波長帯の光の吸収量(本実施形態では、X1、X2およびX3)を算出する工程である。
光吸収量算出工程S1600が終了したら、濃度算出工程S1700に移行する。
濃度算出工程S1700は、データ処理装置190(より厳密には、処理部191)が、(a)アルカンおよびアルケンからなるグループ、(b)芳香族炭化水素からなるグループ、(c)アルキンからなるグループ、のそれぞれが吸収する光の吸収量(本実施形態では、X1、X2およびX3)に基づいて各グループに属する炭化水素の濃度を算出する工程である。
以上の如く、本発明に係る炭化水素濃度測定方法の第一実施形態は、
光を発生させる赤外ランプ10と、
赤外ランプ10により発生した光を周期的に波長変動させる分光器20と、
分光器20により波長変動された光の強度を検出するフォトダイオード30と、
赤外ランプ10、分光器20およびフォトダイオード30により形成される光路Zにおいて分光器20およびフォトダイオード30により挟まれる位置に配置され、測定対象ガス1を収容可能かつ光を透過可能なガス容器40と、
測定対象ガス1に含まれる炭化水素のうち(a)アルカンおよびアルケンからなるグループ、(b)芳香族炭化水素からなるグループ、(c)アルキンからなるグループ、のそれぞれが吸収する波長帯を含むリファレンススペクトルA0(λ)からリファレンススペクトルA0(λ)における最短波長点A01の光強度A0(λmin)および最長波長点A02の光強度A0(λmax)のうち小さい方の光強度(本実施形態では、A0(λmax))を引くことにより算出される第一補正リファレンススペクトルA1(λ)に定数Cを加えた第二補正リファレンススペクトルA2(λ)を予め記憶するとともに、フォトダイオード30により検出された光の強度に基づいて測定対象ガス1に含まれる炭化水素の濃度を算出するデータ処理装置190と、
を具備するTHC測定装置100を用いて測定対象ガス1に含まれる炭化水素の濃度を測定する方法であって、
検出工程S1100と、
吸収スペクトル算出工程S1200と、
第一補正吸収スペクトル算出工程S1300と、
第二補正吸収スペクトル算出工程S1400と、
第三補正吸収スペクトル算出工程S1500と、
光吸収量算出工程S1600と、
濃度算出工程S1700と、
を具備する。
このように構成することにより、時々刻々と変動する外乱要因(例えば、THC測定装置100の光学系(レンズ等)あるいはガス容器40に設けられた入口側窓部材42および出口側窓部材43が汚れる、ガス容器40が測定対象ガス1からの熱伝導により温度上昇してガス容器40を構成する材料(金属等)から赤外光が放射される等)が吸収スペクトルB0(λ)に与える影響を排除することが可能であり、ひいては測定対象ガス1に含まれる炭化水素の濃度を精度良く測定することが可能である。
以下では、図1、および、図11から図17を用いて本発明に係る炭化水素濃度測定装置の実施の第二実施形態であるTHC測定装置200について説明する。
図1に示すTHC測定装置200は、測定対象ガス1に含まれる炭化水素の濃度和を測定する装置である。
THC測定装置200は、フレーム110、光源側光学系ユニット120、ガス容器40、フォトダイオード30、チョッパ・分光器制御装置70、ロックインアンプ80およびデータ処理装置290を具備する。
THC測定装置200を構成する部材のうち、フレーム110、光源側光学系ユニット120、ガス容器40、フォトダイオード30、チョッパ・分光器制御装置70、ロックインアンプ80についてはTHC測定装置100を構成する部材と略同じであることから説明を省略する。
データ処理装置290は本発明に係る濃度算出装置の実施の一形態である。
データ処理装置290はフォトダイオード30により受光された光の強度に基づいて、測定対象ガス1に含まれる炭化水素のうち、(a)アルカンおよびアルケンからなるグループ、(b)芳香族炭化水素からなるグループ、並びに、(c)アルキンからなるグループ、に属する炭化水素の濃度和をグループ毎に算出する。
データ処理装置290は処理部291、入力部292および表示部293を具備する。
データ処理装置290の処理部291、入力部292および表示部293のハードウェアとしての構成は、それぞれTHC測定装置100のデータ処理装置190の処理部191、入力部192および表示部193のハードウェアとしての構成と略同じであることから説明を省略する。
処理部291は、図11に示すリファレンススペクトルA0(λ)を予め記憶している。
図11に示す如く、リファレンススペクトルA0(λ)は、非吸収波長λa以下の波長帯からなる短波長側リファレンススペクトルAS0(λ)および非吸収波長λa以上の波長帯からなる長波長側リファレンススペクトルAL0(λ)に二分割される。
「非吸収波長」は「非吸収波長帯(図3および図11中の(d)参照)」の範囲内で設定される波長である。本実施形態では、非吸収波長λaを2.950μm以上3.550μm以下の範囲内で設定することが望ましく、非吸収波長λaを3.100μm以上3.200μm以下の範囲内で設定することがより望ましい。
処理部291は、短波長側リファレンススペクトルAS0(λ)および長波長側リファレンススペクトルAL0(λ)を予め記憶している。
処理部291は図12に示す短波長側第一補正リファレンススペクトルAS1(λ)および長波長側第一補正リファレンススペクトルAL1(λ)を予め算出し、記憶している。
「短波長側第一補正リファレンススペクトル」は短波長側リファレンススペクトルから当該短波長側リファレンススペクトルにおける最短波長点の光強度を引くことにより算出され、波長の関数として表される。
本実施形態では、短波長側リファレンススペクトルAS0(λ)から短波長側リファレンススペクトルAS0(λ)における最短波長点A01(図11中の黒四角)の光強度AS0(λmin)を引くことにより、図12に示す短波長側第一補正リファレンススペクトルAS1(λ)が算出される(AS1(λ)=AS0(λ)−AS0(λmin))。
図12に示す如く、短波長側第一補正リファレンススペクトルAS1(λ)における最短波長点A11(図12中の黒四角)の縦軸の座標AS1(λmin)の値はゼロであり(AS1(λmin)=0)、最短波長点A11は横軸上に位置する。
「長波長側第一補正リファレンススペクトル」は長波長側リファレンススペクトルから当該長波長側リファレンススペクトルにおける最長波長点の光強度を引くことにより算出され、波長の関数として表される。
本実施形態では、長波長側リファレンススペクトルAL0(λ)から長波長側リファレンススペクトルAL0(λ)における最長波長点A02(図11中の白四角)の光強度AL0(λmax)を引くことにより、図12に示す長波長側第一補正リファレンススペクトルAL1(λ)が算出される(AL1(λ)=AL0(λ)−AL0(λmax))。
図12に示す如く、長波長側第一補正リファレンススペクトルAL1(λ)における最長波長点A12(図12中の白四角)の縦軸の座標AL1(λmax)の値はゼロであり(AL1(λmax)=0)、最長波長点A12は横軸上に位置する。
処理部291は図13に示す第二補正リファレンススペクトルA2(λ)を予め算出し、記憶している。
「第二補正リファレンススペクトル」はリファレンススペクトルから当該リファレンススペクトルにおける最短波長点の光強度および最長波長点の光強度のうち小さい方の光強度を引くとともに定数を加えることにより算出され、波長の関数として表される。
本実施形態では、リファレンススペクトルA0(λ)からリファレンススペクトルA0(λ)における最長波長点A02の光強度AL0(λmax)を引くとともに定数Cを加えることにより、図13に示す第二補正リファレンススペクトルA2(λ)が算出される(A2(λ)=A0(λ)−AL0(λmax)+C)。
図13に示す如く、第二補正リファレンススペクトルA2(λ)における最長波長点A22(図13中の白四角)の縦軸の座標AL2(λmax)の値はCである(AL2(λmax)=C)。
定数Cは、数1に基づく計算に含まれる対数演算が不能となる場合を回避するために便宜的に加えられるものである。従って、定数Cの値は通常、正の値となる。ただし、定数Cを加えなくても対数演算が不能とならない場合には定数Cの値をゼロとすることも可能である。
処理部291は、ロックインアンプ80から取得された補正測定信号および分光周期信号に基づいて、図14に示す「測定対象ガス1の吸収スペクトルB0(λ)」を算出する。
より詳細には、処理部291は、補正測定信号および分光周期信号を照合し、取得された補正測定信号がどの波長帯の光の強度を示すものかを特定する作業を順次行うことにより、測定対象ガス1の吸収スペクトルB0(λ)を算出する。
図14に示す吸収スペクトルB0(λ)の最短波長および最長波長は、それぞれ図11に示すリファレンススペクトルA0(λ)の最短波長および最長波長に一致する。
図14に示す如く、処理部291は、吸収スペクトルB0(λ)を非吸収波長λa以下の波長帯からなる短波長側吸収スペクトルBS0(λ)および非吸収波長λa以上の波長帯からなる長波長側吸収スペクトルBL0(λ)に二分割する。
処理部291は、測定対象ガス1の短波長側吸収スペクトルBS0(λ)に基づいて、図15に示す測定対象ガス1の短波長側第一補正吸収スペクトルBS1(λ)を算出する。
「測定対象ガスの短波長側第一補正吸収スペクトル」は、測定対象ガスの短波長側吸収スペクトルから当該短波長側吸収スペクトルにおける最短波長点の光強度を引くことにより算出され、波長の関数として表される。
本実施形態では、短波長側吸収スペクトルBS0(λ)から短波長側吸収スペクトルBS0(λ)における最短波長点B01(図14中の黒丸)の光強度BS0(λmin)を引くことにより、図15に示す短波長側第一補正吸収スペクトルBS1(λ)が算出される(BS1(λ)=BS0(λ)−BS0(λmin))。
図15に示す如く、短波長側第一補正吸収スペクトルBS1(λ)における最短波長点B11(図15中の黒丸)の縦軸の座標BS1(λmin)の値はゼロであり(BS1(λmin)=0)、最短波長点B11は横軸上に位置する。
また、短波長側第一補正吸収スペクトルBS1(λ)における最短波長点B11(図15中の黒丸)および短波長側第一補正リファレンススペクトルAS1(λ)における最短波長点A11(図12および図15中の黒四角)は重なる(縦軸の座標が一致する)。
処理部291は、測定対象ガス1の長波長側吸収スペクトルBL0(λ)に基づいて、図15に示す測定対象ガス1の長波長側第一補正吸収スペクトルBL1(λ)を算出する。
「測定対象ガスの長波長側第一補正吸収スペクトル」は、測定対象ガスの長波長側吸収スペクトルから当該長波長側吸収スペクトルにおける最長波長点の光強度を引くことにより算出され、波長の関数として表される。
本実施形態では、長波長側吸収スペクトルBL0(λ)から長波長側吸収スペクトルBL0(λ)における最長波長点B02(図14中の白丸)の光強度BL0(λmax)を引くことにより図15に示す長波長側第一補正吸収スペクトルBL1(λ)が算出される(BL1(λ)=BL0(λ)−BL0(λmax))。
図15に示す如く、長波長側第一補正吸収スペクトルBL1(λ)における最長波長点B12(図15中の白丸)の縦軸の座標BL1(λmax)の値はゼロであり(BL1(λmax)=0)、最長波長点B12は横軸上に位置する。
また、長波長側第一補正吸収スペクトルBL1(λ)における最長波長点B12(図15中の白丸)および長波長側第一補正リファレンススペクトルAL1(λ)における最長波長点A12(図12および図15中の白四角)は重なる(縦軸の座標が一致する)。
処理部291は、短波長側第一補正リファレンススペクトルAS1(λ)および短波長側第一補正吸収スペクトルBS1(λ)に基づいて、図16に示す短波長側第二補正吸収スペクトルBS2(λ)を算出する。
「短波長側第二補正吸収スペクトル」は、「短波長側第一補正リファレンススペクトルにおける最長波長点の光強度を短波長側第一補正吸収スペクトルにおける最長波長点の光強度で割った値」を短波長側第一補正吸収スペクトルに乗ずることにより算出され、波長の関数として表される。
本実施形態では、短波長側第一補正リファレンススペクトルAS1(λ)における最長波長点A13の光強度AS1(λa)を短波長側第一補正吸収スペクトルBS1(λ)における最長波長点B13の光強度BS1(λa)で割った値を短波長側第一補正吸収スペクトルBS1(λ)に乗ずることにより、図16に示す短波長側第二補正吸収スペクトルBS2(λ)が算出される(BS2(λ)={AS1(λa)/BS1(λa)}×BS1(λ))。
図16に示す如く、短波長側第二補正吸収スペクトルBS2(λ)における最短波長点B21(図16中の黒丸)の縦軸の座標BS2(λmin)の値はゼロであり(BS2(λmin)=0)、最短波長点B21は横軸上に位置する。
また、短波長側第二補正吸収スペクトルBS2(λ)における最短波長点B21(図16中の黒丸)および短波長側第一補正リファレンススペクトルAS1(λ)における最短波長点A11(図12および図16中の黒四角)は重なる(縦軸の座標が一致する)。
さらに、短波長側第二補正吸収スペクトルBS2(λ)における最長波長点B23(図16中の横線が内部に引かれた白丸)および短波長側第一補正リファレンススペクトルAS1(λ)における最長波長点A13(図12および図16中の横線が内部に引かれた白四角)は重なる(縦軸の座標が一致する)。
処理部291は、長波長側第一補正リファレンススペクトルAL1(λ)および長波長側第一補正吸収スペクトルBL1(λ)に基づいて、図16に示す長波長側第二補正吸収スペクトルBL2(λ)を算出する。
「長波長側第二補正吸収スペクトル」は、「長波長側第一補正リファレンススペクトルにおける最短波長点の光強度を長波長側第一補正吸収スペクトルにおける最短波長点の光強度で割った値」を長波長側第一補正吸収スペクトルに乗ずることにより算出され、波長の関数として表される。
本実施形態では、長波長側第一補正リファレンススペクトルAL1(λ)における最短波長点A14の光強度AL1(λa)を長波長側第一補正吸収スペクトルBL1(λ)における最短波長点B14の光強度BL1(λa)で割った値を長波長側第一補正吸収スペクトルBL1(λ)に乗ずることにより、図16に示す長波長側第二補正吸収スペクトルBL2(λ)が算出される(BL2(λ)={AL1(λa)/BL1(λa)}×BL1(λ))。
図16に示す如く、長波長側第二補正吸収スペクトルBL2(λ)における最長波長点B22(図16中の白丸)の縦軸の座標BL2(λmax)の値はゼロであり(BL2(λmax)=0)、最長波長点B22は横軸上に位置する。
また、長波長側第二補正吸収スペクトルBL2(λ)における最長波長点B22(図16中の白丸)および長波長側第一補正リファレンススペクトルAL1(λ)における最長波長点A12(図12および図16中の白四角)は重なる(縦軸の座標が一致する)。
さらに、長波長側第二補正吸収スペクトルBL2(λ)における最短波長点B24(図16中の縦線が内部に引かれた白丸)および長波長側第一補正リファレンススペクトルAL1(λ)における最短波長点A14(図12および図16中の縦線が内部に引かれた白四角)は重なる(縦軸の座標が一致する)。
処理部291は、短波長側第二補正吸収スペクトルBS2(λ)および長波長側第二補正吸収スペクトルBL2(λ)に基づいて、図17に示す第三補正吸収スペクトルB3(λ)を算出(生成)する。
第三補正吸収スペクトルが算出(生成)される手順は、短波長側吸収スペクトルにおける最短波長点の光強度および長波長側吸収スペクトルにおける最長波長点の光強度の大小により変わる。
(i)短波長側吸収スペクトルにおける最短波長点の光強度が長波長側吸収スペクトルにおける最長波長点の光強度よりも小さい場合には、以下の(i−1)、(i−2)および(i−3)の手順に従って第三補正吸収スペクトルを算出(生成)する。
(i−1)短波長側第二補正吸収スペクトルに「定数」を加えることにより短波長側第三補正吸収スペクトルを算出する。
(i−2)長波長側第二補正吸収スペクトルに「短波長側吸収スペクトルにおける最短波長点の光強度と前記長波長側吸収スペクトルにおける最長波長点の光強度との差分の絶対値」および「定数」を加えることにより長波長側第三補正吸収スペクトルを算出する。
(i−3)短波長側第三補正吸収スペクトルの最長波長点を長波長側第三補正吸収スペクトルの最短波長点に繋ぎ合わせることにより、第三補正吸収スペクトルを生成する。
(ii)短波長側吸収スペクトルにおける最短波長点の光強度が長波長側吸収スペクトルにおける最長波長点の光強度よりも大きい場合には、以下の(ii−1)、(ii−2)および(ii−3)の手順に従って第三補正吸収スペクトルを算出(生成)する。
(ii−1)短波長側第二補正吸収スペクトルに「短波長側吸収スペクトルにおける最短波長点の光強度と前記長波長側吸収スペクトルにおける最長波長点の光強度との差分の絶対値」および「定数」を加えることにより短波長側第三補正吸収スペクトルを算出する。
(ii−2)長波長側第二補正吸収スペクトルに「定数」を加えることにより長波長側第三補正吸収スペクトルを算出する。
(ii−3)短波長側第三補正吸収スペクトルの最長波長点を長波長側第三補正吸収スペクトルの最短波長点に繋ぎ合わせることにより、第三補正吸収スペクトルを生成する。
(iii)短波長側吸収スペクトルにおける最短波長点の光強度が長波長側吸収スペクトルにおける最長波長点の光強度と同じである場合には、以下の(iii−1)、(iii−2)および(iii−3)の手順に従って第三補正吸収スペクトルを算出(生成)する。
(iii−1)短波長側第二補正吸収スペクトルに「定数」を加えることにより短波長側第三補正吸収スペクトルを算出する。
(iii−2)長波長側第二補正吸収スペクトルに「定数」を加えることにより長波長側第三補正吸収スペクトルを算出する。
(iii−3)短波長側第三補正吸収スペクトルの最長波長点を長波長側第三補正吸収スペクトルの最短波長点に繋ぎ合わせることにより、第三補正吸収スペクトルを生成する。
図14に示す如く、本実施形態では短波長側吸収スペクトルBS0(λ)の最短波長点B01の光強度BS0(λmin)が長波長側吸収スペクトルBL0(λ)の最長波長点B02の光強度BL0(λmax)よりも大きい(BS0(λmin)>BL0(λmax))ので、上記(ii)に該当する。
従って、処理部291は、短波長側第二補正吸収スペクトルBS2(λ)に「短波長側吸収スペクトルBS0(λ)の最短波長点B01の光強度BS0(λmin)と長波長側吸収スペクトルBL0(λ)の最長波長点B02の光強度BL0(λmax)との差分の絶対値」および「定数C」を加えることにより、図17に示す短波長側第三補正吸収スペクトルBS3(λ)を算出する(BS3(λ)=BS2(λ)+{BS0(λmin)−BL0(λmax)}+C)。
また、処理部291は、長波長側第二補正吸収スペクトルBL2(λ)に「定数C」を加えることにより、図17に示す長波長側第三補正吸収スペクトルBL3(λ)を算出する(BL3(λ)=BL2(λ)+C)。
また、処理部291は、図17に示す如く、短波長側第三補正吸収スペクトルBS3(λ)の最長波長点を長波長側第三補正吸収スペクトルBL3(λ)の最短波長点に繋ぎ合わせることにより、第三補正吸収スペクトルB3(λ)を生成する。ここで、短波長側第三補正吸収スペクトルBS3(λ)の最長波長点と長波長側第三補正吸収スペクトルBL3(λ)の最短波長点とは、短波長側第三補正吸収スペクトルBS3(λ)を長波長側第三補正吸収スペクトルBL3(λ)に繋ぎ合わせる前の時点から横軸および縦軸の座標が同じである。
なお、短波長側第二補正吸収スペクトルおよび長波長側第二補正吸収スペクトルに加えられる定数の値は、第二補正リファレンススペクトルを算出するときに第一補正リファレンススペクトルに加えられる定数の値と同じである。
定数Cは、数1に基づく計算に含まれる対数演算が不能となる場合を回避するために便宜的に加えられるものである。従って、定数Cの値は通常、正の値となる。
ただし、定数Cを加えなくても対数演算が不能とならない場合には定数Cの値をゼロとすることも可能である。
図17に示す如く、第三補正吸収スペクトルB3(λ)における最長波長点B32(図17中の白丸)および第二補正リファレンススペクトルA2(λ)における最長波長点A22(図13および図17中の白四角)は重なる(縦軸の座標が一致する)。
また、第三補正吸収スペクトルB3(λ)における最短波長点B31(図17中の黒丸)および第二補正リファレンススペクトルA2(λ)における最短波長点A21(図13および図17中の黒四角)は重なる(縦軸の座標が一致する)。
さらに、短波長側第三補正吸収スペクトルBS3(λ)と長波長側第三補正吸収スペクトルBL3(λ)とが繋ぎ合わされる点、すなわち第三補正吸収スペクトルB3(λ)における非吸収波長の点B3a(図17中の内部に十字が付された白丸)および第二補正リファレンススペクトルA2(λ)における非吸収波長の点A2a(図13および図17中の内部に十字が付された白四角)は重なる(縦軸の座標が一致する)。
このように、処理部291がリファレンススペクトルA0(λ)および吸収スペクトルB0(λ)に対して行う一連の処理(演算)は、実質的にはリファレンススペクトルA0(λ)の最短波長点A01と吸収スペクトルB0(λ)の最短波長点B01とが重なり、リファレンススペクトルA0(λ)の最長波長点A02と吸収スペクトルB0(λ)の最長波長点B02とが重なり、かつ、リファレンススペクトルA0(λ)における非吸収波長の点A0aと吸収スペクトルB0(λ)における非吸収波長の点B0aとが重なるように補正を施すことに相当する。
また、処理部291がリファレンススペクトルA0(λ)および吸収スペクトルB0(λ)に対して行う一連の処理(演算)は、実質的には、リファレンススペクトルにおける非吸収波長の点と吸収スペクトルにおける非吸収波長の点とが重なるように吸収スペクトルを縦軸方向に平行移動させ、その後、リファレンススペクトルにおける非吸収波長の点と吸収スペクトルにおける非吸収波長の点とが重なる状態を保持しつつ吸収スペクトルにおいて非吸収波長以下となる部分を縦軸方向に拡大または縮小することによりリファレンススペクトルの最短波長点と吸収スペクトルの最短波長点とを重ねるとともに吸収スペクトルにおいて非吸収波長以上となる部分を縦軸方向に拡大または縮小することによりリファレンススペクトルの最長波長点と吸収スペクトルの最長波長点とを重ねる補正を施すことに相当する。
図17に示す如く、第二補正リファレンススペクトルA2(λ)および第三補正吸収スペクトルB3(λ)を比較すると、「(a)アルカンおよびアルケンからなるグループに属する炭化水素が吸収する波長帯、(b)芳香族炭化水素からなるグループに属する炭化水素が吸収する波長帯、および(c)アルキンからなるグループに属する炭化水素が吸収する波長帯を除く波長帯」、すなわち、「(c)の波長帯よりも波長が短い波長帯、(a)の波長帯より波長が長い波長帯および(d)の波長帯」における光強度が良く一致し、外乱要因が排除された状態となる。
処理部291は、第二補正リファレンススペクトルA2(λ)、第三補正吸収スペクトルB3(λ)および数1に基づいて、測定対象ガス1に含まれる炭化水素のうち(a)アルカンおよびアルケンからなるグループ、(b)芳香族炭化水素からなるグループ、(c)アルキンからなるグループ、のそれぞれが吸収する波長帯の光の吸収量を算出する。
処理部291は、数1に基づいて算出された「アルカンおよびアルケンからなるグループに属する炭化水素の吸収波長帯における吸光度」に基づいて「アルカンおよびアルケンからなるグループに属する炭化水素の濃度の和」を算出し、「芳香族炭化水素からなるグループに属する炭化水素の吸収波長帯における吸光度」に基づいて「芳香族炭化水素からなるグループに属する炭化水素の濃度の和」を算出し、「アルキンからなるグループに属する炭化水素の吸収波長帯における吸光度」に基づいて「アルキンからなるグループに属する炭化水素の濃度の和」を算出する。
具体的には、処理部291は、処理部291に予め記憶された係数K1と「アルカンおよびアルケンからなるグループに属する炭化水素の吸収波長帯における吸光度」との積として、測定対象ガス1に含まれる「アルカンおよびアルケンからなるグループに属する炭化水素の濃度の和」を算出する。
同様に、処理部291は、処理部291に予め記憶された係数K2と「芳香族炭化水素からなるグループに属する炭化水素の吸収波長帯における吸光度」との積として、測定対象ガス1に含まれる「芳香族炭化水素からなるグループに属する炭化水素の濃度の和」を算出する。
同様に、処理部291は、処理部291に予め記憶された係数K3と「アルキンからなるグループに属する炭化水素の吸収波長帯における吸光度」との積として、測定対象ガス1に含まれる「アルキンからなるグループに属する炭化水素の濃度の和」を算出する。
処理部291は、上記算出された「アルカンおよびアルケンからなるグループに属する炭化水素の濃度の和」、「芳香族炭化水素からなるグループに属する炭化水素の濃度の和」、および「アルキンからなるグループに属する炭化水素の濃度の和」の和として、「測定対象ガス1の全炭化水素濃度」を算出する。
処理部291は、算出された「アルカンおよびアルケンからなるグループに属する炭化水素の濃度の和」、「芳香族炭化水素からなるグループに属する炭化水素の濃度の和」、「アルキンからなるグループに属する炭化水素の濃度の和」、および「測定対象ガス1の全炭化水素濃度」を適宜記憶する。
以上の如く、THC測定装置200は、
光を発生させる赤外ランプ10と、
赤外ランプ10により発生した光を周期的に波長変動させる分光器20と、
分光器20により波長変動された光の強度を検出するフォトダイオード30と、
赤外ランプ10、分光器20およびフォトダイオード30により形成される光路Zにおいて分光器20およびフォトダイオード30により挟まれる位置に配置され、測定対象ガス1を収容可能かつ光を透過可能なガス容器40と、
測定対象ガス1に含まれる炭化水素のうち(a)アルカンおよびアルケンからなるグループ、(b)芳香族炭化水素からなるグループ、(c)アルキンからなるグループ、のそれぞれが吸収する波長帯を含むリファレンススペクトルA0(λ)のうち非吸収波長λa以下の波長帯からなる短波長側リファレンススペクトルAS0(λ)および非吸収波長λa以上の波長帯からなる長波長側リファレンススペクトルAL0(λ)に二分割し、短波長側リファレンススペクトルAS0(λ)から短波長側リファレンススペクトルAS0(λ)における最短波長点A01の光強度AS0(λmin)を引くことにより算出される短波長側第一補正リファレンススペクトルAS1(λ)および長波長側リファレンススペクトルAL0(λ)から長波長側リファレンススペクトルAL0(λ)における最長波長点A02の光強度AL0(λmax)を引くことにより算出される長波長側第一補正リファレンススペクトルAL1(λ)を予め記憶し、リファレンススペクトルA0(λ)からリファレンススペクトルA0(λ)における最長波長点A02の光強度AL0(λmax)を引くとともに定数Cを加えることにより算出される第二補正リファレンススペクトルA2(λ)を予め記憶し、フォトダイオード30により検出された光の強度に基づいて測定対象ガス1の吸収スペクトルB0(λ)を算出し、吸収スペクトルB0(λ)を非吸収波長λa以下の波長帯からなる短波長側吸収スペクトルBS0(λ)および非吸収波長λa以上の波長帯からなる長波長側吸収スペクトルBL0(λ)に二分割し、短波長側吸収スペクトルBS0(λ)から短波長側吸収スペクトルBS0(λ)の最短波長点B01の光強度BS0(λmin)を引くことにより短波長側第一補正吸収スペクトルBS1(λ)を算出し、長波長側吸収スペクトルBL0(λ)から長波長側吸収スペクトルBL0(λ)の最長波長点B02の光強度BL0(λmax)を引くことにより長波長側第一補正吸収スペクトルBL1(λ)を算出し、短波長側第一補正リファレンススペクトルAS1(λ)における最長波長点A13の光強度AS1(λa)を短波長側第一補正吸収スペクトルBS1(λ)における最長波長点B13の光強度BS1(λa)で割った値を短波長側第一補正吸収スペクトルBS1(λ)に乗ずることにより短波長側第二補正吸収スペクトルBS2(λ)を算出し、長波長側第一補正リファレンススペクトルAL1(λ)における最短波長点A14の光強度AL1(λa)を長波長側第一補正吸収スペクトルBL1(λ)における最短波長点B14の光強度BL1(λa)で割った値を長波長側第一補正吸収スペクトルBL1(λ)に乗ずることにより長波長側第二補正吸収スペクトルBL2(λ)を算出し、短波長側第二補正吸収スペクトルBS2(λ)に短波長側吸収スペクトルBS0(λ)の最短波長点B01の光強度BS0(λmin)と長波長側吸収スペクトルBL0(λ)の最長波長点B02の光強度BL0(λmax)との差分の絶対値および定数Cを加えることにより短波長側第三補正吸収スペクトルBS3(λ)を算出するとともに長波長側第二補正吸収スペクトルBL2(λ)に定数Cを加えることにより長波長側第三補正吸収スペクトルBL3(λ)を算出し、短波長側第三補正吸収スペクトルBS3(λ)の最長波長点を長波長側第三補正吸収スペクトルBL3(λ)に繋ぎ合わせることにより第三補正吸収スペクトルB3(λ)を生成し、第二補正リファレンススペクトルA2(λ)、第三補正吸収スペクトルB3(λ)および数1に基づいて測定対象ガス1に含まれる炭化水素のうち(a)アルカンおよびアルケンからなるグループ、(b)芳香族炭化水素からなるグループ、(c)アルキンからなるグループ、のそれぞれが吸収する波長帯の光の吸収量(本実施形態では、X1、X2およびX3)を算出し、算出された各グループに対応する光の吸収量に基づいて各グループに属する炭化水素の濃度を算出するデータ処理装置290(より厳密には、処理部291)と、
を具備する。
このように構成することにより、THC測定装置200は、時々刻々と変動する外乱要因(例えば、THC測定装置200の光学系(レンズ等)あるいはガス容器40に設けられた入口側窓部材42および出口側窓部材43が汚れる、ガス容器40が測定対象ガス1からの熱伝導により温度上昇してガス容器40を構成する材料(金属等)から赤外光が放射される等)が吸収スペクトルB0(λ)に与える影響を排除することが可能であり、ひいては測定対象ガス1に含まれる炭化水素の濃度を精度良く測定することが可能である。
以下では、図18を用いて本発明に係る炭化水素濃度測定方法の第二実施形態について説明する。
本発明に係る炭化水素濃度測定方法の第二実施形態はTHC測定装置200を用いて測定対象ガス1に含まれる炭化水素の濃度和を測定する方法である。
図18に示す如く、本発明に係る炭化水素濃度測定方法の第二実施形態は検出工程S2100、吸収スペクトル算出工程S2200、第一補正吸収スペクトル算出工程S2300、第二補正吸収スペクトル算出工程S2400、第三補正吸収スペクトル算出工程S2500、光吸収量算出工程S2600および濃度算出工程S2700を具備する。
検出工程S2100は、フォトダイオード30が、赤外ランプ10により発生してガス容器40に収容された測定対象ガス1を透過した光の強度を検出する工程である。
本実施形態では、検出工程S2100は所定の周期(分光器20の分光周期)で繰り返し行われる。
吸収スペクトル算出工程S2200は、データ処理装置290(より厳密には、処理部291)が、フォトダイオード30により検出された光の強度に基づいて測定対象ガス1の吸収スペクトルB0(λ)を算出する工程である。
吸収スペクトル算出工程S2200が終了したら、第一補正吸収スペクトル算出工程S2300に移行する。
第一補正吸収スペクトル算出工程S2300は、データ処理装置290(より厳密には、処理部291)が、吸収スペクトルB0(λ)を非吸収波長λa以下の波長帯からなる短波長側吸収スペクトルBS0(λ)および非吸収波長λa以上の波長帯からなる長波長側吸収スペクトルBL0(λ)に二分割し、短波長側吸収スペクトルBS0(λ)から短波長側吸収スペクトルBS0(λ)における最短波長点B01の光強度B0(λmin)を引くことにより短波長側第一補正吸収スペクトルBS1(λ)を算出するとともに長波長側吸収スペクトルBL0(λ)から長波長側吸収スペクトルBL0(λ)における最長波長点B02の光強度B0(λmax)を引くことにより長波長側第一補正吸収スペクトルBL1(λ)を算出する工程である。
第一補正吸収スペクトル算出工程S2300が終了したら、第二補正吸収スペクトル算出工程S2400に移行する。
第二補正吸収スペクトル算出工程S2400は、データ処理装置290(より厳密には、処理部291)が、短波長側第一補正リファレンススペクトルAS1(λ)における最長波長点A13の光強度AS1(λa)を短波長側第一補正吸収スペクトルBS1(λ)の最長波長点B13の光強度BS1(λa)で割った値を短波長側第一補正吸収スペクトルBS1(λ)に乗ずることにより短波長側第二補正吸収スペクトルBS2(λ)を算出するとともに長波長側第一補正リファレンススペクトルAL1(λ)における最短波長点A14の光強度AL1(λa)を長波長側第一補正吸収スペクトルBL1(λ)における最短波長点B14の光強度BL1(λa)で割った値を長波長側第一補正吸収スペクトルBL1(λ)に乗ずることにより長波長側第二補正吸収スペクトルBL2(λ)を算出する工程である。
第二補正吸収スペクトル算出工程S2400が終了したら、第三補正吸収スペクトル算出工程S2500に移行する。
第三補正吸収スペクトル算出工程S2500は、データ処理装置290(より厳密には、処理部291)が、短波長側第二補正吸収スペクトルBS2(λ)に短波長側吸収スペクトルBS0(λ)の最短波長点B01の光強度BS0(λmin)と長波長側吸収スペクトルBL0(λ)の最長波長点B02の光強度BL0(λmax)との差分の絶対値および定数Cを加えることにより短波長側第三補正吸収スペクトルBS3(λ)を算出するとともに長波長側第二補正吸収スペクトルBL2(λ)に定数Cを加えることにより長波長側第三補正吸収スペクトルBL3(λ)を算出して短波長側第三補正吸収スペクトルBS3(λ)の最長波長点を長波長側第三補正吸収スペクトルBL3(λ)の最短波長点に繋ぎ合わせることにより第三補正吸収スペクトルB3(λ)を生成する工程である。
第三補正吸収スペクトル算出工程S2500が終了したら、光吸収量算出工程S2600に移行する。
光吸収量算出工程S2600は、データ処理装置290(より厳密には、処理部291)が、第二補正リファレンススペクトルA2(λ)、第三補正吸収スペクトルB3(λ)および数1に基づいて測定対象ガス1に含まれる炭化水素のうち(a)アルカンおよびアルケンからなるグループ、(b)芳香族炭化水素からなるグループ、(c)アルキンからなるグループ、のそれぞれが吸収する波長帯の光の吸収量(本実施形態では、X1、X2およびX3)を算出する工程である。
光吸収量算出工程S2600が終了したら、濃度算出工程S2700に移行する。
濃度算出工程S2700は、データ処理装置290(より厳密には、処理部291)が、(a)アルカンおよびアルケンからなるグループ、(b)芳香族炭化水素からなるグループ、(c)アルキンからなるグループ、のそれぞれが吸収する光の吸収量(本実施形態では、X1、X2およびX3)に基づいて各グループに属する炭化水素の濃度を算出する工程である。
以上の如く、本発明に係る炭化水素濃度測定方法の第二実施形態は、
光を発生させる赤外ランプ10と、
赤外ランプ10により発生した光を周期的に波長変動させる分光器20と、
分光器20により波長変動された光の強度を検出するフォトダイオード30と、
赤外ランプ10、分光器20およびフォトダイオード30により形成される光路Zにおいて分光器20およびフォトダイオード30により挟まれる位置に配置され、測定対象ガス1を収容可能かつ光を透過可能なガス容器40と、
測定対象ガス1に含まれる炭化水素のうち(a)アルカンおよびアルケンからなるグループ、(b)芳香族炭化水素からなるグループ、(c)アルキンからなるグループ、のそれぞれが吸収する波長帯を含むリファレンススペクトルA0(λ)のうち非吸収波長λa以下の波長帯からなる短波長側リファレンススペクトルAS0(λ)および非吸収波長λa以上の波長帯からなる長波長側リファレンススペクトルAL0(λ)に二分割し、短波長側リファレンススペクトルAS0(λ)から短波長側リファレンススペクトルAS0(λ)における最短波長点A01の光強度AS0(λmin)を引くことにより算出される短波長側第一補正リファレンススペクトルAS1(λ)および長波長側リファレンススペクトルAL0(λ)から長波長側リファレンススペクトルAL0(λ)における最長波長点A02の光強度AL0(λmax)を引くことにより算出される長波長側第一補正リファレンススペクトルAL1(λ)を予め記憶し、リファレンススペクトルA0(λ)からリファレンススペクトルA0(λ)における最長波長点A02の光強度AL0(λmax)を引くとともに定数Cを加えることにより算出される第二補正リファレンススペクトルA2(λ)を予め記憶するとともに、フォトダイオード30により検出された光の強度に基づいて測定対象ガス1に含まれる炭化水素の濃度を算出するデータ処理装置290と、
を具備するTHC測定装置200を用いて測定対象ガス1に含まれる炭化水素の濃度を測定する方法であって、
検出工程S2100と、
吸収スペクトル算出工程S2200と、
第一補正吸収スペクトル算出工程S2300と、
第二補正吸収スペクトル算出工程S2400と、
第三補正吸収スペクトル算出工程S2500と、
光吸収量算出工程S2600と、
濃度算出工程S2700と、
を具備する。
このように構成することにより、時々刻々と変動する外乱要因(例えば、THC測定装置200の光学系(レンズ等)あるいはガス容器40に設けられた入口側窓部材42および出口側窓部材43が汚れる、ガス容器40が測定対象ガス1からの熱伝導により温度上昇してガス容器40を構成する材料(金属等)から赤外光が放射される等)が吸収スペクトルB0(λ)に与える影響を排除することが可能であり、ひいては測定対象ガス1に含まれる炭化水素の濃度を精度良く測定することが可能である。
以下では、図1、および、図19から図21を用いて本発明に係る炭化水素濃度測定装置の実施の第三実施形態であるTHC測定装置300について説明する。
図1に示すTHC測定装置300は、測定対象ガス1に含まれる炭化水素の濃度和を測定する装置である。
THC測定装置300は、フレーム110、光源側光学系ユニット120、ガス容器40、フォトダイオード30、チョッパ・分光器制御装置70、ロックインアンプ80およびデータ処理装置390を具備する。
THC測定装置300を構成する部材のうち、フレーム110、光源側光学系ユニット120、ガス容器40、フォトダイオード30、チョッパ・分光器制御装置70、ロックインアンプ80についてはTHC測定装置100を構成する部材と略同じであることから説明を省略する。
データ処理装置390は本発明に係る濃度算出装置の実施の一形態である。
データ処理装置390はフォトダイオード30により受光された光の強度に基づいて、測定対象ガス1に含まれる炭化水素のうち、(a)アルカンおよびアルケンからなるグループ、(b)芳香族炭化水素からなるグループ、並びに、(c)アルキンからなるグループ、に属する炭化水素の濃度和をグループ毎に算出する。
データ処理装置390は処理部391、入力部392および表示部393を具備する。
データ処理装置390の処理部391、入力部392および表示部393のハードウェアとしての構成は、それぞれTHC測定装置100のデータ処理装置190の処理部191、入力部192および表示部193のハードウェアとしての構成と略同じであることから説明を省略する。
処理部391は基準ガスのスペクトル、すなわち図19に示すリファレンススペクトルA0(λ)を予め記憶している。
図19に示す如く、本実施形態のリファレンススペクトルA0(λ)は、(a)アルカンおよびアルケンからなるグループに属する炭化水素が吸収する波長帯、(b)芳香族炭化水素からなるグループに属する炭化水素が吸収する波長帯、および(c)アルキンからなるグループに属する炭化水素が吸収する波長帯、を全て含む。
また、(b)芳香族炭化水素からなるグループに属する炭化水素が吸収する波長帯と(c)アルキンからなるグループに属する炭化水素が吸収する波長帯に挟まれる位置には、(d)非吸収波長帯が存在する。
(d)非吸収波長帯は、上記(a)〜(c)のいずれにも該当しない波長帯、すなわちアルカンおよびアルケンからなるグループに属する炭化水素、芳香族炭化水素からなるグループに属する炭化水素、並びにアルキンからなるグループに属する炭化水素のいずれも吸収しない波長帯である。
本実施形態では、非吸収波長帯を2.950μm以上3.550μm以下の範囲内で設定することが望ましく、非吸収波長帯を3.100μm以上3.200μm以下の範囲内で設定することがより望ましい。
処理部391は、リファレンススペクトルA0(λ)の(d)非吸収波長帯における光強度の平均値D1を予め算出し、記憶している。
本実施形態では、平均値D1はリファレンススペクトルA0(λ)における(d)非吸収波長帯の最短波長λbから最長波長λcまでの積分値S1(図19中の斜線を施した部分の面積)を最長波長λcと最短波長λbとの差分で割った値で表される(D1={S1/(λc−λb)})。
なお、本発明に係る「リファレンススペクトルの非吸収波長帯における光強度の平均値」は本実施形態の平均値D1に限定されず、他の計算方法により算出される値でも良い。
リファレンススペクトルの非吸収波長帯における光強度の平均値の他の計算方法としては、リファレンススペクトル上かつ波長が非吸収波長帯に含まれる複数の点の光強度の和を当該点の数で割った値を平均値とする方法等が挙げられる。
処理部391は、ロックインアンプ80から取得された補正測定信号および分光周期信号に基づいて、図20に示す「測定対象ガス1の吸収スペクトルB0(λ)」を算出する。
より詳細には、処理部391は、補正測定信号および分光周期信号を照合し、取得された補正測定信号がどの波長帯の光の強度を示すものかを特定する作業を順次行うことにより、測定対象ガス1の吸収スペクトルB0(λ)を算出する。
図20に示す吸収スペクトルB0(λ)の最短波長および最長波長は、それぞれ図19に示すリファレンススペクトルA0(λ)の最短波長および最長波長に一致する。
処理部391は、測定対象ガス1の吸収スペクトルB0(λ)に基づいて、図21に示す「測定対象ガス1の補正吸収スペクトルB1(λ)」を算出する。
処理部391は、測定対象ガス1の吸収スペクトルB0(λ)の(d)非吸収波長帯における光強度の平均値D2を算出する。
本実施形態では、平均値D2は吸収スペクトルB0(λ)における(d)非吸収波長帯の最短波長λbから最長波長λcまでの積分値S2(図20中の斜線を施した部分の面積)を最長波長λcと最短波長λbとの差分で割った値で表される(D2={S2/(λc
−λb)})。
なお、本発明に係る「吸収スペクトルの非吸収波長帯における光強度の平均値」は本実施形態の平均値D2に限定されず、他の計算方法により算出される値でも良い。
吸収スペクトルの非吸収波長帯における光強度の平均値の他の計算方法としては、吸収スペクトル上かつ波長が非吸収波長帯に含まれる複数の点の光強度の和を当該点の数で割った値を平均値とする方法等が挙げられる。
処理部391は、平均値D1を平均値D2で割った値を吸収スペクトルB0(λ)に乗ずることにより、補正吸収スペクトルB1(λ)を算出する(B1(λ)=(D1/D2)×B0(λ))。
このように、処理部291が吸収スペクトルB0(λ)に対して行う一連の処理(演算)は、リファレンススペクトルA0(λ)および吸収スペクトルB0(λ)における「(a)アルカンおよびアルケンからなるグループに属する炭化水素が吸収する波長帯、(b)芳香族炭化水素からなるグループに属する炭化水素が吸収する波長帯、および(c)アルキンからなるグループに属する炭化水素が吸収する波長帯を除く波長帯」、すなわち、「(c)の波長帯よりも波長が短い波長帯、(a)の波長帯より波長が長い波長帯および(d)の波長帯」における光強度を良く一致させるものである。従って、補正吸収スペクトルB1(λ)からは外乱要因が排除された状態となる。
処理部391は、リファレンススペクトルA0(λ)、補正吸収スペクトルB1(λ)および以下の数2に基づいて、測定対象ガス1に含まれる炭化水素のうち(a)アルカンおよびアルケンからなるグループ、(b)芳香族炭化水素からなるグループ、(c)アルキンからなるグループ、のそれぞれが吸収する波長帯の光の吸収量を算出する。
Figure 0005363148
数2はランベルト・ベールの法則の近似式に基づく計算式である。
数2において、n=1は「アルカンおよびアルケンからなるグループ」、n=2は「芳香族炭化水素からなるグループ」、n=3は「アルキンからなるグループ」を指す。
数2において、X1は「アルカンおよびアルケンからなるグループに属する炭化水素の吸光度(光の吸収量)」、X2は「芳香族炭化水素からなるグループに属する炭化水素の吸光度(光の吸収量)」、X3は「アルキンからなるグループに属する炭化水素の吸光度(光の吸収量)」を指す。
数2において、「I1」は補正吸収スペクトルにおける「アルカンおよびアルケンからなるグループに属する炭化水素の吸収波長帯」の光強度、「I2」は補正吸収スペクトルにおける「芳香族炭化水素からなるグループに属する炭化水素の吸収波長帯」の光強度、「I3」は補正吸収スペクトルにおける「アルキンからなるグループに属する炭化水素の吸収波長帯」の光強度を指す。
数2において、「(I10」はリファレンススペクトルにおける「アルカンおよびアルケンからなるグループに属する炭化水素の吸収波長帯」の光強度、「(I20」はリファレンススペクトルにおける「芳香族炭化水素からなるグループに属する炭化水素の吸収波長帯」の光強度、「(I30」はリファレンススペクトルにおける「アルキンからなるグループに属する炭化水素の吸収波長帯」の光強度を指す。
数2は、十分な光量が確保されている測定条件下では、{In/(In)0}≒1が成立すること、{In/(In)0}≒1が成立するときにはLoge{In/(In)0}≒[{In/(In)0}−1]≒−[{(In)0/In}−1]が成立すること、を前提とするものである。
本実施形態ではXn={(In)0−In}/(In)を用いて光の吸収量を算出したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、分母のInを省略した計算式(Xn={(In)0−In})を用いて光の吸収量を算出しても良い。
THC測定装置300(処理部391)における光の吸収量の算出は対数演算を必要としないので、THC測定装置100(処理部191)における光の吸収量の算出およびTHC測定装置200(処理部291)における光の吸収量の算出に比べて演算の負荷が小さい点において優れている。演算の負荷を小さくすることにより、演算の高速化(ひいては、炭化水素濃度測定の高速応答性の向上)および演算に係る装置コストの低減に寄与する。
また、THC測定装置100およびTHC測定装置200は、ガス容器40が測定対象ガス1からの熱伝導により温度上昇して赤外光を放射した場合に当該赤外光が吸収スペクトルの長波長成分の外乱要因となるため、通常はロックインアンプ80にHPF(ハイパスフィルタ)を組み合わせる等の処置を施すことによりガス容器40が放射する赤外光に起因する外乱要因を排除する。
しかし、このような処置を施すと対数演算を行う際の入力値が負の値となる場合があるため、THC測定装置100およびTHC測定装置200では対数演算を確実に行うために便宜上定数Cを加える演算を行っている。
THC測定装置300は対数演算を行わないため、上記定数Cを加える演算を必要とせず、その分だけTHC測定装置100およびTHC測定装置200よりも演算の負荷が小さい。
処理部391は、数2に基づいて算出された「アルカンおよびアルケンからなるグループに属する炭化水素の吸収波長帯における吸光度」に基づいて「アルカンおよびアルケンからなるグループに属する炭化水素の濃度の和」を算出し、「芳香族炭化水素からなるグループに属する炭化水素の吸収波長帯における吸光度」に基づいて「芳香族炭化水素からなるグループに属する炭化水素の濃度の和」を算出し、「アルキンからなるグループに属する炭化水素の吸収波長帯における吸光度」に基づいて「アルキンからなるグループに属する炭化水素の濃度の和」を算出する。
具体的には、処理部391は、処理部391に予め記憶された係数K1と「アルカンおよびアルケンからなるグループに属する炭化水素の吸収波長帯における吸光度」との積として、測定対象ガス1に含まれる「アルカンおよびアルケンからなるグループに属する炭化水素の濃度の和」を算出する。
同様に、処理部391は、処理部391に予め記憶された係数K2と「芳香族炭化水素からなるグループに属する炭化水素の吸収波長帯における吸光度」との積として、測定対象ガス1に含まれる「芳香族炭化水素からなるグループに属する炭化水素の濃度の和」を算出する。
同様に、処理部391は、処理部391に予め記憶された係数K3と「アルキンからなるグループに属する炭化水素の吸収波長帯における吸光度」との積として、測定対象ガス1に含まれる「アルキンからなるグループに属する炭化水素の濃度の和」を算出する。
処理部391は、上記算出された「アルカンおよびアルケンからなるグループに属する炭化水素の濃度の和」、「芳香族炭化水素からなるグループに属する炭化水素の濃度の和」、および「アルキンからなるグループに属する炭化水素の濃度の和」の和として、「測定対象ガス1の全炭化水素濃度」を算出する。
処理部391は、算出された「アルカンおよびアルケンからなるグループに属する炭化水素の濃度の和」、「芳香族炭化水素からなるグループに属する炭化水素の濃度の和」、「アルキンからなるグループに属する炭化水素の濃度の和」、および「測定対象ガス1の全炭化水素濃度」を適宜記憶する。
なお、上記係数K1、係数K2および係数K3の初期値は、FID−GC等により予め炭化水素の組成が分かっているガスをTHC測定装置100により測定して得られた「アルカンおよびアルケンからなるグループに属する炭化水素の吸収波長帯における吸光度」の算出結果、「芳香族炭化水素からなるグループに属する炭化水素の吸収波長帯における吸光度」の算出結果、および「アルキンからなるグループに属する炭化水素の吸収波長帯における吸光度」の算出結果に基づいて実験的に定められる。
また、本実施形態の場合、処理部391により算出される各グループに属する炭化水素の濃度の和および全炭化水素濃度はメタン換算濃度値(ppmC)の形で算出されるが、本発明はこれに限定されず、体積比等の形で算出しても良い。
以上の如く、THC測定装置300は、
光を発生させる赤外ランプ10と、
赤外ランプ10により発生した光を周期的に波長変動させる分光器20と、
分光器20により波長変動された光の強度を検出するフォトダイオード30と、
赤外ランプ10、分光器20およびフォトダイオード30により形成される光路Zにおいて分光器20およびフォトダイオード30により挟まれる位置に配置され、測定対象ガス1を収容可能かつ光を透過可能なガス容器40と、
測定対象ガス1に含まれる炭化水素のうち(a)アルカンおよびアルケンからなるグループ、(b)芳香族炭化水素からなるグループ、(c)アルキンからなるグループ、のそれぞれが吸収する波長帯を含むリファレンススペクトルA0(λ)およびリファレンススペクトルA0(λ)における非吸収波長帯の光強度の平均値D1を予め記憶し、フォトダイオード30により検出された光の強度に基づいて測定対象ガス1の吸収スペクトルB0(λ)を算出し、吸収スペクトルB0(λ)における非吸収波長帯の光強度の平均値D2を算出し、平均値D1を平均値D2で割った値を吸収スペクトルB0(λ)に乗ずることにより補正吸収スペクトルB1(λ)を算出し、リファレンススペクトルA0(λ)と補正吸収スペクトルB1(λ)との差分(より厳密には、光強度の差分)に基づいて測定対象ガス1に含まれる炭化水素のうち(a)アルカンおよびアルケンからなるグループ、(b)芳香族炭化水素からなるグループ、(c)アルキンからなるグループ、のそれぞれが吸収する波長帯の光の吸収量(本実施形態では、X1、X2およびX3)を算出し、算出された各グループに対応する光の吸収量に基づいて各グループに属する炭化水素の濃度を算出するデータ処理装置390(より厳密には、処理部391)と、
を具備する。
このように構成することにより、THC測定装置300は、時々刻々と変動する外乱要因(例えば、THC測定装置300の光学系(レンズ等)あるいはガス容器40に設けられた入口側窓部材42および出口側窓部材43が汚れる、ガス容器40が測定対象ガス1からの熱伝導により温度上昇してガス容器40を構成する材料(金属等)から赤外光が放射される等)が吸収スペクトルB0(λ)に与える影響を排除することが可能であり、ひいては測定対象ガス1に含まれる炭化水素の濃度を精度良く測定することが可能である。
以下では、図22を用いて本発明に係る炭化水素濃度測定方法の第三実施形態について説明する。
本発明に係る炭化水素濃度測定方法の第三実施形態はTHC測定装置300を用いて測定対象ガス1に含まれる炭化水素の濃度和を測定する方法である。
図22に示す如く、本発明に係る炭化水素濃度測定方法の第三実施形態は検出工程S3100、吸収スペクトル算出工程S3200、平均値算出工程S3300、補正吸収スペクトル算出工程S3400、光吸収量算出工程S3500および濃度算出工程S3600を具備する。
検出工程S3100は、フォトダイオード30が、赤外ランプ10により発生してガス容器40に収容された測定対象ガス1を透過した光の強度を検出する工程である。
本実施形態では、検出工程S3100は所定の周期(分光器20の分光周期)で繰り返し行われる。
吸収スペクトル算出工程S3200は、データ処理装置390(より厳密には、処理部391)が、フォトダイオード30により検出された光の強度に基づいて測定対象ガス1の吸収スペクトルB0(λ)を算出する工程である。
吸収スペクトル算出工程S3200が終了したら、平均値算出工程S3300に移行する。
平均値算出工程S3300は、データ処理装置390(より厳密には、処理部391)が、吸収スペクトルB0(λ)における非吸収波長帯の光強度の平均値D2を算出する工程である。
平均値算出工程S3300が終了したら、補正吸収スペクトル算出工程S3400に移行する。
補正吸収スペクトル算出工程S3400は、データ処理装置390(より厳密には、処理部391)が、リファレンススペクトルA0(λ)における非吸収波長帯の光強度の平均値D1を吸収スペクトルB0(λ)における非吸収波長帯の光強度の平均値D2で割った値を吸収スペクトルB0(λ)に乗ずることにより補正吸収スペクトルB1(λ)を算出する工程である。
補正吸収スペクトル算出工程S3400が終了したら、光吸収量算出工程S3500に移行する。
光吸収量算出工程S3500は、データ処理装置390(より厳密には、処理部391)が、リファレンススペクトルA0(λ)と補正吸収スペクトルB1(λ)との差分に基づいて(本実施形態では、これらのスペクトルおよび数2に基づいて)測定対象ガス1に含まれる炭化水素のうち(a)アルカンおよびアルケンからなるグループ、(b)芳香族炭化水素からなるグループ、(c)アルキンからなるグループ、のそれぞれが吸収する波長帯の光の吸収量(本実施形態では、X1、X2およびX3)を算出する工程である。
光吸収量算出工程S3500が終了したら、濃度算出工程S3600に移行する。
濃度算出工程S3600は、データ処理装置390(より厳密には、処理部391)が、(a)アルカンおよびアルケンからなるグループ、(b)芳香族炭化水素からなるグループ、(c)アルキンからなるグループ、のそれぞれが吸収する光の吸収量に基づいて各グループに属する炭化水素の濃度を算出する工程である。
以上の如く、本発明に係る炭化水素濃度測定方法の第三実施形態は、
光を発生させる赤外ランプ10と、
赤外ランプ10により発生した光を周期的に波長変動させる分光器20と、
分光器20により波長変動された光の強度を検出するフォトダイオード30と、
赤外ランプ10、分光器20およびフォトダイオード30により形成される光路Zにおいて分光器20およびフォトダイオード30により挟まれる位置に配置され、測定対象ガス1を収容可能かつ光を透過可能なガス容器40と、
測定対象ガス1に含まれる炭化水素のうち(a)アルカンおよびアルケンからなるグループ、(b)芳香族炭化水素からなるグループ、(c)アルキンからなるグループ、のそれぞれが吸収する波長帯を含むリファレンススペクトルA0(λ)およびリファレンススペクトルA0(λ)における非吸収波長帯の光強度の平均値D1を予め記憶するとともに、フォトダイオード30により検出された光の強度に基づいて測定対象ガス1に含まれる炭化水素の濃度を算出するデータ処理装置390(より厳密には、処理部391)と、
を具備するTHC測定装置300を用いて測定対象ガス1に含まれる炭化水素の濃度を測定する方法であって、
検出工程S3100と、
吸収スペクトル算出工程S3200と、
平均値算出工程S3300と、
補正吸収スペクトル算出工程S3400と、
光吸収量算出工程S3500と、
濃度算出工程S3600と、
を具備する。
このように構成することにより、時々刻々と変動する外乱要因(例えば、THC測定装置300の光学系(レンズ等)あるいはガス容器40に設けられた入口側窓部材42および出口側窓部材43が汚れる、ガス容器40が測定対象ガス1からの熱伝導により温度上昇してガス容器40を構成する材料(金属等)から赤外光が放射される等)が吸収スペクトルB0(λ)に与える影響を排除することが可能であり、ひいては測定対象ガス1に含まれる炭化水素の濃度を精度良く測定することが可能である。
1 測定対象ガス
10 赤外ランプ(光源)
20 分光器
30 フォトダイオード(受光器)
40 ガス容器
100 THC測定装置(炭化水素濃度測定装置)
190 データ処理装置(濃度算出装置)

Claims (8)

  1. 光を発生させる光源と、
    前記光源により発生した光を周期的に波長変動させる分光器と、
    前記分光器により波長変動された光の強度を検出する受光器と、
    前記光源、前記分光器および前記受光器により形成される光路において前記分光器および前記受光器により挟まれる位置または前記光源および前記分光器により挟まれる位置に配置され、測定対象ガスを収容可能かつ前記光を透過可能なガス容器と、
    前記測定対象ガスに含まれる炭化水素のうちアルカンおよびアルケンからなるグループ、芳香族炭化水素からなるグループ、アルキンからなるグループ、のそれぞれが吸収する波長帯を含むリファレンススペクトルから当該リファレンススペクトルにおける最短波長点の光強度および最長波長点の光強度のうち小さい方の光強度を引くことにより算出される第一補正リファレンススペクトルに定数を加えた第二補正リファレンススペクトルを予め記憶し、前記受光器により検出された光の強度に基づいて前記測定対象ガスの吸収スペクトルを算出し、前記吸収スペクトルから当該吸収スペクトルにおける最短波長点の光強度および最長波長点の光強度のうち小さい方の光強度を引くことにより第一補正吸収スペクトルを算出し、前記第一補正リファレンススペクトルにおける最短波長点の光強度および最長波長点の光強度のうち大きい方の光強度を前記第一補正吸収スペクトルにおける最短波長点の光強度および最長波長点の光強度のうち大きい方の光強度で割った値を前記第一補正吸収スペクトルに乗ずることにより第二補正吸収スペクトルを算出し、前記第二補正吸収スペクトルに前記定数を加えることにより第三補正吸収スペクトルを算出し、前記第二補正リファレンススペクトル、前記第三補正吸収スペクトルおよび以下の数1に基づいて前記測定対象ガスに含まれる炭化水素のうちアルカンおよびアルケンからなるグループ、芳香族炭化水素からなるグループ、アルキンからなるグループ、のそれぞれが吸収する波長帯の光の吸収量を算出し、算出された各グループに対応する光の吸収量に基づいて各グループに属する炭化水素の濃度を算出する濃度算出装置と、
    を具備する炭化水素濃度測定装置。
    Figure 0005363148
  2. 前記定数はゼロまたは正の値である請求項1に記載の炭化水素濃度測定装置。
  3. 光を発生させる光源と、
    前記光源により発生した光を周期的に波長変動させる分光器と、
    前記分光器により波長変動された光の強度を検出する受光器と、
    前記光源、前記分光器および前記受光器により形成される光路において前記分光器および前記受光器により挟まれる位置または前記光源および前記分光器により挟まれる位置に配置され、測定対象ガスを収容可能かつ前記光を透過可能なガス容器と、
    前記測定対象ガスに含まれる炭化水素のうちアルカンおよびアルケンからなるグループ、芳香族炭化水素からなるグループ、アルキンからなるグループ、のそれぞれが吸収する波長帯を含むリファレンススペクトルのうち非吸収波長以下の波長帯からなる短波長側リファレンススペクトルおよび非吸収波長以上の波長帯からなる長波長側リファレンススペクトルに二分割し、前記短波長側リファレンススペクトルから前記短波長側リファレンススペクトルにおける最短波長点の光強度を引くことにより算出される短波長側第一補正リファレンススペクトルおよび前記長波長側リファレンススペクトルから前記長波長側リファレンススペクトルにおける最長波長点の光強度を引くことにより算出される長波長側第一補正リファレンススペクトルを予め記憶し、前記リファレンススペクトルから前記リファレンススペクトルにおける最短波長点の光強度および最長波長点の光強度のうち小さい方の光強度を引くとともに定数を加えることにより算出される第二補正リファレンススペクトルを予め記憶し、前記受光器により検出された光の強度に基づいて前記測定対象ガスの吸収スペクトルを算出し、前記吸収スペクトルを前記非吸収波長以下の波長帯からなる短波長側吸収スペクトルおよび前記非吸収波長以上の波長帯からなる長波長側吸収スペクトルに二分割し、前記短波長側吸収スペクトルから前記短波長側吸収スペクトルにおける最短波長点の光強度を引くことにより短波長側第一補正吸収スペクトルを算出し、前記長波長側吸収スペクトルから前記長波長側吸収スペクトルにおける最長波長点の光強度を引くことにより長波長側第一補正吸収スペクトルを算出し、前記短波長側第一補正リファレンススペクトルの最長波長点の光強度を前記短波長側第一補正吸収スペクトルの最長波長点の光強度で割った値を前記短波長側第一補正吸収スペクトルに乗ずることにより短波長側第二補正吸収スペクトルを算出し、前記長波長側第一補正リファレンススペクトルの最短波長点の光強度を前記長波長側第一補正吸収スペクトルの最短波長点の光強度で割った値を前記長波長側第一補正吸収スペクトルに乗ずることにより長波長側第二補正吸収スペクトルを算出し、前記短波長側吸収スペクトルにおける最短波長点の光強度が前記長波長側吸収スペクトルにおける最長波長点の光強度よりも小さい場合には前記短波長側第二補正吸収スペクトルに定数を加えることにより短波長側第三補正吸収スペクトルを算出するとともに前記長波長側第二補正吸収スペクトルに前記短波長側吸収スペクトルにおける最短波長点の光強度と前記長波長側吸収スペクトルにおける最長波長点の光強度との差分の絶対値および前記定数を加えることにより長波長側第三補正吸収スペクトルを算出し、前記短波長側吸収スペクトルにおける最短波長点の光強度が前記長波長側吸収スペクトルにおける最長波長点の光強度よりも大きい場合には前記短波長側第二補正吸収スペクトルに前記短波長側吸収スペクトルにおける最短波長点の光強度と前記長波長側吸収スペクトルにおける最長波長点の光強度との差分の絶対値および前記定数を加えることにより短波長側第三補正吸収スペクトルを算出するとともに前記長波長側第二補正吸収スペクトルに前記定数を加えることにより長波長側第三補正吸収スペクトルを算出し、前記短波長側第三補正吸収スペクトルの最長波長点を前記長波長側第三補正吸収スペクトルの最短波長点に繋ぎ合わせることにより第三補正吸収スペクトルを生成し、前記第二補正リファレンススペクトル、前記第三補正吸収スペクトルおよび以下の数1に基づいて前記測定対象ガスに含まれる炭化水素のうちアルカンおよびアルケンからなるグループ、芳香族炭化水素からなるグループ、アルキンからなるグループ、のそれぞれが吸収する波長帯の光の吸収量を算出し、算出された各グループに対応する光の吸収量に基づいて各グループに属する炭化水素の濃度を算出する濃度算出装置と、
    を具備する炭化水素濃度測定装置。
    Figure 0005363148
  4. 前記定数はゼロまたは正の値である請求項3に記載の炭化水素濃度測定装置。
  5. 光を発生させる光源と、
    前記光源により発生した光を周期的に波長変動させる分光器と、
    前記分光器により波長変動された光の強度を検出する受光器と、
    前記光源、前記分光器および前記受光器により形成される光路において前記分光器および前記受光器により挟まれる位置または前記光源および前記分光器により挟まれる位置に配置され、測定対象ガスを収容可能かつ前記光を透過可能なガス容器と、
    前記測定対象ガスに含まれる炭化水素のうちアルカンおよびアルケンからなるグループ、芳香族炭化水素からなるグループ、アルキンからなるグループ、のそれぞれが吸収する波長帯を含むリファレンススペクトルから当該リファレンススペクトルにおける最短波長点の光強度および最長波長点の光強度のうち小さい方の光強度を引くことにより算出される第一補正リファレンススペクトルに定数を加えた第二補正リファレンススペクトルを予め記憶するとともに、前記受光器により検出された光の強度に基づいて前記測定対象ガスに含まれる炭化水素の濃度を算出する濃度算出装置と、
    を具備する炭化水素濃度測定装置を用いて前記測定対象ガスに含まれる炭化水素の濃度を測定する炭化水素濃度測定方法であって、
    前記受光器が、前記光源により発生して前記ガス容器に収容された前記測定対象ガスを透過した光の強度を検出する検出工程と、
    前記濃度算出装置が、前記受光器により検出された光の強度に基づいて前記測定対象ガスの吸収スペクトルを算出する吸収スペクトル算出工程と、
    前記濃度算出装置が、前記吸収スペクトルから当該吸収スペクトルにおける最短波長点の光強度および最長波長点の光強度のうち小さい方の光強度を引くことにより第一補正吸収スペクトルを算出する第一補正吸収スペクトル算出工程と、
    前記濃度算出装置が、前記第一補正リファレンススペクトルにおける最短波長点の光強度および最長波長点の光強度のうち大きい方の光強度を前記第一補正吸収スペクトルにおける最短波長点の光強度および最長波長点の光強度のうち大きい方の光強度で割った値を前記第一補正吸収スペクトルに乗ずることにより第二補正吸収スペクトルを算出する第二補正吸収スペクトル算出工程と、
    前記濃度算出装置が、前記第二補正吸収スペクトルに前記定数を加えることにより第三補正吸収スペクトルを算出する第三補正吸収スペクトル算出工程と、
    前記濃度算出装置が、前記第二補正リファレンススペクトル、前記第三補正吸収スペクトルおよび以下の数1に基づいて前記測定対象ガスに含まれる炭化水素のうちアルカンおよびアルケンからなるグループ、芳香族炭化水素からなるグループ、アルキンからなるグループ、のそれぞれが吸収する波長帯の光の吸収量を算出する光吸収量算出工程と、
    前記濃度算出装置が、前記アルカンおよびアルケンからなるグループ、芳香族炭化水素からなるグループ、アルキンからなるグループ、のそれぞれが吸収する光の吸収量に基づいて各グループに属する炭化水素の濃度を算出する濃度算出工程と、
    を具備する炭化水素濃度測定方法。
    Figure 0005363148
  6. 前記定数はゼロまたは正の値である請求項5に記載の炭化水素濃度測定方法。
  7. 光を発生させる光源と、
    前記光源により発生した光を周期的に波長変動させる分光器と、
    前記分光器により波長変動された光の強度を検出する受光器と、
    前記光源、前記分光器および前記受光器により形成される光路において前記分光器および前記受光器により挟まれる位置または前記光源および前記分光器により挟まれる位置に配置され、測定対象ガスを収容可能かつ前記光を透過可能なガス容器と、
    前記測定対象ガスに含まれる炭化水素のうちアルカンおよびアルケンからなるグループ、芳香族炭化水素からなるグループ、アルキンからなるグループ、のそれぞれが吸収する波長帯を含むリファレンススペクトルのうち非吸収波長以下の波長帯からなる短波長側リファレンススペクトルおよび非吸収波長以上の波長帯からなる長波長側リファレンススペクトルに二分割し、前記短波長側リファレンススペクトルから前記短波長側リファレンススペクトルにおける最短波長点の光強度を引くことにより算出される短波長側第一補正リファレンススペクトルおよび前記長波長側リファレンススペクトルから前記長波長側リファレンススペクトルにおける最長波長点の光強度を引くことにより算出される長波長側第一補正リファレンススペクトルを予め記憶し、前記リファレンススペクトルから前記リファレンススペクトルにおける最短波長点の光強度および最長波長点の光強度のうち小さい方の光強度を引くとともに定数を加えることにより算出される第二補正リファレンススペクトルを予め記憶するとともに、前記受光器により検出された光の強度に基づいて前記測定対象ガスに含まれる炭化水素の濃度を算出する濃度算出装置と、
    を具備する炭化水素濃度測定装置を用いて前記測定対象ガスに含まれる炭化水素の濃度を測定する炭化水素濃度測定方法であって、
    前記受光器が、前記光源により発生して前記ガス容器に収容された前記測定対象ガスを透過した光の強度を検出する検出工程と、
    前記濃度算出装置が、前記受光器により検出された光の強度に基づいて前記測定対象ガスの吸収スペクトルを算出する吸収スペクトル算出工程と、
    前記濃度算出装置が、前記吸収スペクトルを前記非吸収波長以下の波長帯からなる短波長側吸収スペクトルおよび前記非吸収波長以上の波長帯からなる長波長側吸収スペクトルに二分割し、前記短波長側吸収スペクトルから前記短波長側吸収スペクトルにおける最短波長点の光強度を引くことにより短波長側第一補正吸収スペクトルを算出するとともに前記長波長側吸収スペクトルから前記長波長側吸収スペクトルにおける最長波長点の光強度を引くことにより長波長側第一補正吸収スペクトルを算出する第一補正吸収スペクトル算出工程と、
    前記濃度算出装置が、前記短波長側第一補正リファレンススペクトルの最長波長点の光強度を前記短波長側第一補正吸収スペクトルの最長波長点の光強度で割った値を前記短波長側第一補正吸収スペクトルに乗ずることにより短波長側第二補正吸収スペクトルを算出するとともに前記長波長側第一補正リファレンススペクトルの最短波長点の光強度を前記長波長側第一補正吸収スペクトルの最短波長点の光強度で割った値を前記長波長側第一補正吸収スペクトルに乗ずることにより長波長側第二補正吸収スペクトルを算出する第二補正吸収スペクトル算出工程と、
    前記濃度算出装置が、前記短波長側吸収スペクトルにおける最短波長点の光強度が前記長波長側吸収スペクトルにおける最長波長点の光強度よりも小さい場合には前記短波長側第二補正吸収スペクトルに定数を加えることにより短波長側第三補正吸収スペクトルを算出するとともに前記長波長側第二補正吸収スペクトルに前記短波長側吸収スペクトルにおける最短波長点の光強度と前記長波長側吸収スペクトルにおける最長波長点の光強度との差分の絶対値および前記定数を加えることにより長波長側第三補正吸収スペクトルを算出して前記短波長側第三補正吸収スペクトルの最長波長点を前記長波長側第三補正吸収スペクトルの最短波長点に繋ぎ合わせることにより第三補正吸収スペクトルを生成し、前記短波長側吸収スペクトルにおける最短波長点の光強度が前記長波長側吸収スペクトルにおける最長波長点の光強度よりも大きい場合には前記短波長側第二補正吸収スペクトルに前記短波長側吸収スペクトルにおける最短波長点の光強度と前記長波長側吸収スペクトルにおける最長波長点の光強度との差分の絶対値および前記定数を加えることにより短波長側第三補正吸収スペクトルを算出するとともに前記長波長側第二補正吸収スペクトルに前記定数を加えることにより長波長側第三補正吸収スペクトルを算出して前記短波長側第三補正吸収スペクトルの最長波長点を前記長波長側第三補正吸収スペクトルの最短波長点に繋ぎ合わせることにより第三補正吸収スペクトルを生成する第三補正吸収スペクトル算出工程と、
    前記濃度算出装置が、前記第二補正リファレンススペクトル、前記第三補正吸収スペクトルおよび以下の数1に基づいて前記測定対象ガスに含まれる炭化水素のうちアルカンおよびアルケンからなるグループ、芳香族炭化水素からなるグループ、アルキンからなるグループ、のそれぞれが吸収する波長帯の光の吸収量を算出する光吸収量算出工程と、
    前記濃度算出装置が、前記アルカンおよびアルケンからなるグループ、芳香族炭化水素からなるグループ、アルキンからなるグループ、のそれぞれが吸収する光の吸収量に基づいて各グループに属する炭化水素の濃度を算出する濃度算出工程と、
    を具備する炭化水素濃度測定方法。
    Figure 0005363148
  8. 前記定数はゼロまたは正の値である請求項7に記載の炭化水素濃度測定方法。
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