JP5358975B2 - 溶銑の精錬方法 - Google Patents

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本発明は、溶銑鍋や混銑車などのフリーボードの小さい容器に収容された溶銑に、上吹きランスから気体酸素源及び固体酸素源を供給して行う溶銑の精錬方法に関し、詳しくは、上吹きランスから供給する気体酸素源と固体酸素源とを別の供給系統で供給するとともに、気体酸素源の供給速度と固体酸素源の供給速度との比を最適な範囲に制御し、これにより、スラグの噴出を抑制して処理時間を短縮し、効率良く溶銑の脱珪処理または脱燐処理を行う精錬方法に関するものである。
近年、溶銑段階で予め脱珪処理或いは脱燐処理(「溶銑予備処理」という)を実施し、溶銑中の珪素や燐を或る程度除去した後、この溶銑を転炉に装入して転炉で脱炭精錬を実施する製鋼方法が発展してきた。この脱珪処理や脱燐処理は、酸素ガス及び固体の酸化鉄などの酸素源とCaO系媒溶剤とを溶銑に添加し、酸素源で珪素や燐を酸化させて、適正な組成に制御したスラグ中へ珪素酸化物や燐酸化物を取り込むという方法で行われている。尚、酸素ガスや空気などの酸素を含有する気体の酸素源を気体酸素源と呼び、鉄鉱石やスケールなどの酸化鉄を含有する固体の酸素源を固体酸素源と呼んでいる。
これらの脱珪処理や脱燐処理は、転炉、溶銑鍋(「高炉鍋」ともいう)、混銑車(「トーピードカー」ともいう)において行われるのが一般的である。このうち転炉を用いる方法は、フリーボードが大きく、酸素ガスを高流量で溶銑に吹き付けることが可能なことから、短時間で処理を終えることができるという長所を有している。しかし、近年の鋼材需要の高まりを受けて、各製鉄所とも既設の転炉能力に余裕のないのが実態であり、また、溶銑予備処理を行うべく転炉を増設するには高額の設備投資が必要となる。一方、溶銑鍋や混銑車を用いる方法は、既存の溶銑搬送容器を活用したプロセスであるために設備費が安く、転炉能力に余裕がなくとも、溶銑予備処理のメリットを享受できるという長所を有している。
但し、溶銑鍋や混銑車を用いる方法では、フリーボードが小さいために、生成したスラグが容器から噴出しやすく、そのために、酸素源供給速度(「送酸速度」という)を高めることが困難であり、生産性が低いという問題がある。そこで、溶銑鍋や混銑車のようなフリーボードが小さい容器においても高速で処理を行える精錬方法が幾つか提案されている。
例えば特許文献1及び特許文献2には、溶銑中に気体酸素源及び固体酸素源を吹き込んで溶銑を精錬する際に、吹き込まれたガスの浴面上昇範囲を囲む大きさの筒状体を、その下端が浴面に接する或いは溶銑中に浸漬するように配置し、該筒状体によってフォーミング(泡立ち)したスラグの噴出を防止することが提案されている。
このような、フリーボードを確保するための筒状体を容器内に配置することにより、スラグの噴出を留意することなく処理することが可能となるが、筒状体を設置するため耐火物コストが上昇することや、筒状体内部に地金やスラグが付着・堆積した場合には、それらを除去する或いは筒状体自体を交換する作業が発生するために、生産工程を阻害してしまうという問題点がある。
特開昭58−213812号公報 特開昭61−104014号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、溶銑鍋や混銑車などのフリーボードの小さい容器を用いて溶銑の脱珪処理或いは脱燐処理を行うにあたり、フリーボードを確保するための筒状体などを配置しなくても、スラグの噴出を抑制して処理時間を短縮し、生産性を向上させることの可能な、溶銑の精錬方法を提供することである。
上記課題を解決するための第1の発明に係る溶銑の精錬方法は、溶銑鍋または混銑車に収容された溶銑に酸素源及びCaO系媒溶剤を添加して溶銑に対して脱珪処理または脱燐処理を施すにあたり、上吹きランスに設けた1つの供給系統から気体酸素源を溶銑浴面に向けて上吹き供給するとともに、前記上吹きランスに設けた他の供給系統から、少なくとも一部の固体酸素源を、前記気体酸素源が供給されている場所と同一場所またはその近傍の溶銑浴面に搬送用ガスを用いて上吹き供給し、且つ、前記気体酸素源の供給速度FO2(Nm3/min・t)と前記固体酸素源の供給速度V(kg/min・t)との比V/FO2(kg/Nm3)が0.60〜6.0の範囲内になるように、それぞれの供給量を制御することを特徴とするものである。
第2の発明に係る溶銑の精錬方法は、第1の発明において、前記固体酸素源は、粒度が1mm以下の焼結鉱、ミルスケール、ダスト、鉄鉱石のうちの何れか1種または2種以上であることを特徴とするものである。
第3の発明に係る溶銑の脱燐処理方法は、第1または第2の発明において、前記固体酸素源を上吹きランスの中心孔から溶銑に供給し、前記気体酸素源を上吹きランスの周孔から溶銑に供給することを特徴とするものである。
本発明によれば、溶銑鍋や混銑車などのフリーボードの小さい容器を用い、該容器に収容された溶銑に気体酸素源及び固体酸素源を上吹きして溶銑の脱珪処理或いは脱燐処理を行うにあたり、気体酸素源が供給される場所と同一場所またはその近傍の溶銑浴面に、搬送用ガスとともに固体酸素源を気体酸素源の添加速度に対して適正な添加速度の範囲内で吹き付けるので、生成されるスラグにガスの抜け道が形成され、FeOと反応して生成するCOガスはこの抜け道を通って系外に排出し、それにより、スラグのフォーミングが低減してスラグの噴出が抑制される。その結果、送酸速度を向上させることが可能となり、精錬時間の短縮並びに生産性の向上を図ることができる。また、火点及び火点近傍の温度を下げることができるため、溶銑の脱燐処理を行うにあたっては有利な条件となる。
以下、本発明を具体的に説明する。
溶銑鍋や混銑車などのフリーボードの比較的小さい溶銑搬送容器を反応容器として用いた溶銑の酸化精錬処理、つまり、溶銑の脱珪処理及び脱燐処理は、一般的には酸素ガスなどの気体酸素源及び鉄鉱石などの固体酸素源によって除去したい元素を酸化させ、生成した酸化物をCaO系媒溶剤などから形成されるスラグに取り込み除去するという方法で行われている。この時、熱余裕の観点からは気体酸素源を供給することが望ましいが、気体酸素源の供給が多いほど、スラグのフォーミングが発生しやすくなるという問題がある。スラグのフォーミングにより、スラグが反応容器外に噴出して搬送台車の線路に付着すると、台車を動かすことが不可能となり、生産阻害が発生する恐れがあるため、従来、気体酸素源の供給速度の低下を余儀なくされていた。尚、気体酸素源及び固体酸素源は、まとめて酸素源と呼ばれる。
本発明者らは、種々の条件下で溶銑の脱珪処理及び脱燐処理について、調査・検討を行った結果、気体酸素源が供給される場所と同一場所またはその近傍の溶銑浴面に、搬送用ガスとともに固体酸素源を供給することで、スラグのフォーミングが抑制されるという事実を見出した。
以下、本現象を原理的に説明する。酸素源と溶銑中の炭素とが反応して生成したCOガスがフォーミング発生の要因である。COガスは、当然、気体酸素源を吹き付けている火点及び火点近傍で多量に発生すると考えられる。火点及び火点近傍にて発生したCOガスがスラグ内に蓄積して系外に排出できない場合に、スラグが膨れ上がりフォーミングが起こると考えられる。
上吹きランスから気体酸素源のみを供給する場合は、火点及び火点近傍のスラグは高温になることが予想される。高温となったスラグは比較的均一に溶融するため、ガスの抜け道がなくなり、発生したCOガスがスラグ内に蓄積され、フォーミング現象を引き起こす。一方、気体酸素源の供給場所と同一またはその近傍に固体酸素源を供給した場合には、固体酸素源は分解吸熱が大きいために冷却剤として機能し、火点及び火点近傍のスラグの温度を低下させる。このスラグの温度低下により、スラグは均一な液相とはならず、一部に固相が析出するため、ガスの抜け道が形成される。火点及び火点近傍で多量に発生したCOガスはその抜け道から系外に出ることができるため、ガスがスラグ内に蓄積せず、スラグのフォーミングが抑制される。更には、火点及び火点近傍の反応温度を低下させることにもなるので、脱燐処理を行う際には、熱力学上有利な条件を作り出すことにもなる。
上記現象を把握した上で、本発明者らは更なる検討・調査を行った。その結果、スラグのフォーミングを抑制すると同時に、円滑な精錬反応を得るためには、上吹き酸素ガスの供給速度FO2(Nm3/min・t)と、気体酸素源の供給場所と同一或いはその近傍に供給される固体酸素源の供給速度V(kg/min・t)との比V/FO2(kg/Nm3)に最適な範囲が存在することを見出した。
即ち、比V/FO2(kg/Nm3)が0.60より小さい場合には、気体酸素源の供給速度に対して固体酸素源の供給速度が小さ過ぎるために、火点及び火点近傍のスラグ冷却効果を十分に得ることができず、スラグフォーミングを抑制できないことが分かった。この場合、送酸速度を高めることができず、処理時間を短縮することができない。一方、比V/FO2(kg/Nm3)が6.0より大きい場合は、気体酸素源の供給速度に対して固体酸素源の供給速度が大きすぎるため、火点及び火点近傍のスラグを冷却しすぎてスラグ液相率が低くなり、精錬不良が発生することが分かった。従って、上吹き酸素の供給速度FO2(Nm3/min・t)と、気体酸素源の供給場所と同一またはその近傍に供給される固体酸素源の供給速度V(kg/min・t)との比V/FO2(kg/Nm3)は0.60〜6.0の範囲が最適であることが分かった。
本発明はこれらの知見に基づきなされたものであり、溶銑鍋または混銑車に収容された溶銑に酸素源及びCaO系媒溶剤を添加して溶銑に対して脱珪処理または脱燐処理を施すにあたり、上吹きランスに設けた1つの供給系統から気体酸素源を溶銑浴面に向けて上吹き供給するとともに、前記上吹きランスに設けた他の供給系統から、少なくとも一部の固体酸素源を、前記気体酸素源が供給されている場所と同一場所またはその近傍の溶銑浴面に搬送用ガスを用いて上吹き供給し、且つ、前記気体酸素源の供給速度FO2(Nm3/min・t)と前記固体酸素源の供給速度V(kg/min・t)との比V/FO2(kg/Nm3)が0.60〜6.0の範囲内になるように、それぞれの供給量を制御することを特徴とする。尚、本発明でいう、「気体酸素源が供給されている場所の近傍の溶銑浴面」とは、火点の近傍であり、溶銑全体の平均温度よりも温度の高い部分という意味である。
溶銑の脱珪処理及び脱燐処理の際には、通常、CaO系媒溶剤を溶銑に添加する。特に、脱燐処理の際には、CaO系媒溶剤が溶融して形成されるスラグが、溶銑中の燐と供給される酸素源との反応によって形成される燐酸化物をスラグ中に捕り込むことで脱燐反応が進行することから、CaO系媒溶剤の添加は必須となる。脱珪処理の際には、脱珪反応によって生成されるスラグの塩基度(CaO/SiO2)を調整する役割を担う。
本発明において、CaO系媒溶剤の添加方法は特に規定する必要はなく、インジェクションランスや吹込みノズルを用いて搬送用ガスとともに溶銑中に添加してもよく、シュートなどから溶銑浴面に上置き添加してもよく、上吹きランスから搬送用ガスとともに溶銑浴面に吹き付け添加してもよい。また更に、一部分をインジェクションランスで添加し、残りを上置き添加或いは上吹き添加するなどしても構わない。但し、CaO系媒溶剤を、インジェクションランスを通して搬送用ガスとともに溶銑中に吹き込み添加する場合には、溶銑中に吹き込まれることによってCaO系媒溶剤は加熱されて、滓化が促進され、脱燐反応が促進されるという効果がある。また、この場合には、火点及びその近傍にはCaO系媒溶剤が直接添加されないので、火点及びその近傍のスラグ厚みが薄くなり、搬送用ガスとともに添加される固体酸素源により、スラグにガスの抜け道が形成されやすくなるので、生成するCOガスはこの抜け道を通って系外に排出され、これによりスラグのフォーミングがより一層低減し、スラグ噴出が更に抑制されるという効果も発生する。
本発明で使用する気体酸素源としては、酸素ガス(工業用純酸素を含む)、空気、酸素富化空気、酸素ガスと不活性ガスとの混合ガスなどを使用することができる。通常は、他のガスを使用した場合と比べて反応速度が速いことから、酸素ガスを使用することが好ましい。混合ガスを使用する場合は、反応速度を確保するために、酸素濃度を空気よりも高くすることが好ましい。
本発明で使用するCaO系媒溶剤は、CaOを含有し、本件の意図する精錬処理ができるものであれば、特にCaOの含有量に制約はない。通常は、CaO単独からなるものや、またはCaOを50mass%以上含有し、必要に応じてその他の成分を含有するものである。その他の成分としては一般に滓化促進剤が挙げられる。滓化促進剤としては、特にCaOの融点を下げて滓化を促進させる作用のある酸化チタンや酸化アルミニウムを含有する物質が挙げられ、これらを使用することが好ましい。また、ホタル石などのフッ素含有物質も滓化促進剤として使用可能である。但し、スラグを廃棄処分などにする際に、スラグからのフッ素の溶出量を抑えて環境を保護する観点から、フッ素含有物質は滓化促進剤として使用しないことが好ましい。フッ素が不純物として不可避的に混入した物質については使用しても構わない。CaO系媒溶剤の具体例としては、安価であることから生石灰または石灰石を使用することが好ましい。また、軽焼ドロマイト、或いは転炉で脱炭精錬した際に発生する転炉スラグ(「脱炭滓」ともいう)をCaO系媒溶剤として使用することもできる。
また、本発明で使用する固体酸素源としては、鉄鉱石の焼結鉱、ミルスケール、ダスト(集塵ダスト)、砂鉄、鉄鉱石などを使用することができる。集塵ダストとは、高炉、転炉、焼結などの工程において排気ガスから回収される鉄分を含むダストである。固体酸素源の反応界面積を増やしてスラグ冷却効率を高めることやハンドリングの観点からも、固体酸素源は粒径1mm以下の微粉体であることが好ましい。粒径が1mmを超えるものは、酸化鉄の分解反応によるスラグの冷却効果が得られないばかりでなく、搬送配管内での目詰まりを引き起こす恐れがある。ここで、粒径が1mm以下とは、目開き寸法が1mmの篩分器を通過するという意味であり、目開き寸法が1mmの篩分器を通過する限り、長径が1mmを越える紡錘型であっても構わない。尚、粒径が細かすぎると集塵排気系に吸われて歩留まりが低下する恐れがあるため、粒径は1μm以上が好ましい。
本発明の好ましい態様として、固体酸素源の搬送用ガスとしては、空気、非酸化性ガス、希ガス、還元性ガス、非酸化性ガスに近い弱酸化性ガスである炭酸ガスのうちの何れか1種または2種以上の気体を用いる。ここで、還元性ガスとは、プロパンガスなどの炭化水素系ガス及びCOガスであり、非酸化性ガスとは窒素ガスなどの酸化能力のないガスであり、希ガスとはArガスやHeガスなどの不活性ガスである。
本発明においては、固体酸素源の搬送用ガスが、たとえば空気などのように、或る程度の酸素を含有するガスであっても効果を得ることができる。しかし、固体酸素源には微量の金属鉄を含むものがあり、純酸素気流中では燃焼して設備に損害を与える恐れがある。固体酸素源を空気よりも酸素濃度の低い搬送用ガスで搬送することは、事故回避という工業的な観点からも好ましい。
本発明においては、固体酸素源を、気体酸素源が供給されている場所と同一場所またはその近傍の溶銑浴面に供給する必要があり、また、付帯設備の煩雑さを回避するという観点からも、気体酸素源の供給系統及び固体酸素源の供給系統を、それぞれ別々ではあるが、同一の上吹きランス内に設ける。これは、例えば、上吹きランスを少なくとも二重管構造とし、一方を気体酸素源の流路、他方を固体酸素源及び搬送用ガスの流路とすることで可能となる。このとき、ランス中心軸を中心とする同心円上に配置された複数のノズル孔(「周孔」という)から気体酸素源を供給し、ランス中心軸上に配置されたノズル孔(「中心孔」という)から固体酸素源を供給する方法をとれば、気体酸素源の内部を搬送用ガス及び固体酸素源が通過して溶銑に吹き付けられることになるので、固体酸素源の歩留まり向上という観点からも、また確実に気体酸素源の供給場所に固体酸素源が到達できるという観点からも好ましい。
本発明において、供給すべき固体酸素源の全てを、気体酸素源が供給されている場所と同一場所またはその近傍の溶銑浴面に供給する必要はなく、固体酸素源の一部のみを気体酸素源が供給されている場所と同一場所またはその近傍の溶銑浴面に供給しても構わない。気体酸素源が供給されている場所と同一場所またはその近傍の溶銑浴面以外の場所に供給する固体酸素源は、上置き添加、吹き込み添加など適宜の方法で供給すればよい。この場合に固体酸素源は、排気系統に吸引されないようにするため、数mm〜数十mmの粒状または塊状のものを使用することが好ましい。
尚、気体酸素源を使用した場合には、酸化反応熱によって溶銑温度は上昇し、一方、固体酸素源を使用した場合には、固体酸素源自体の顕熱、潜熱及び分解熱が酸化反応熱よりも大きいために溶銑温度は降下する。従って、気体酸素源と固体酸素源との使用比率は、溶銑の処理前後の温度に応じて設定する。つまり、処理前の溶銑温度と処理後の目標溶銑温度とから、設定すればよい。また、精錬反応を効率的に行うためには溶銑を攪拌することが好ましく、従って、インジェクションランスや底吹きノズルを配置し、攪拌用ガスを溶銑に吹き込むことが好ましい。
このようにして溶銑の精錬処理を行うことにより、スラグのフォーミングが低減し、スラグの容器からの噴出を抑制することが達成される。スラグ噴出が抑制されることで、気体酸素源の供給速度を下げる必要がないばかりか、送酸速度を高めることが可能となり、その結果、処理時間が短縮され、生産性が大幅に向上する。
図1に示す脱燐処理設備において、種々の操業条件下で溶銑の脱燐処理を実施した。
図1において、溶銑2を収容した溶銑鍋5が、台車6に搭載されて脱燐処理設備1に搬入されている。脱燐処理設備1には、溶銑鍋5の内部を上下移動可能な上吹きランス7及びインジェクションランス8が設置されており、上吹きランス7からは、酸素ガス、及び貯蔵タンク10に収容された固体酸素源4が溶銑2に吹き付けられ、また、インジェクションランス8からは、貯蔵タンク9に収容されたCaO系媒溶剤3が溶銑2に吹き込まれる構成となっている。
上吹きランス7の先端部分を図2に示す。上吹きランス7は、図2に示すように、円筒状のランス本体7aと、このランス本体7aの下端に溶接などにより接続されたランスチップ7bとで構成されており、ランス本体7aは、外管17、中管18、内管19、最内管20からなる同心円状の4種の鋼管、即ち四重管で構成され、先端部の銅製のランスチップ7bには、ランス中心軸を中心とする同心円上に配置された、鉛直斜め下向き方向を向いた複数個の周孔16と、ランス中心軸上に配置された中心孔15とが設置されている。周孔16とランス中心軸との傾きθを傾角と呼んでいる。
外管17と中管18との間隙、及び、中管18と内管19との間隙は、上吹きランス7を冷却するための冷却水の流路となっており、内管19と最内管20との間隙は、周孔16への酸素ガスの供給流路となっており、また、最内管20の内部は、中心孔15への固体酸素源4及び搬送用ガス(ここでは窒素ガス)の供給流路となっている。即ち、酸素ガスの供給系統と、固体酸素源4の供給系統とが独立して設置されている。
脱燐処理設備1には、更に、ホッパー11と、原料搬送装置12と、シュート13とからなる原料供給設備が設置されており、この原料供給装置を用いて、ホッパー11に収容された固体酸素源4を溶銑鍋5の内部に上置き添加することもできるようになっている。
用いた酸素ガスは工業用純酸素であり、CaO系媒溶剤3としては生石灰、固体酸素源4としては焼結工程における集塵ダストを使用し、また、CaO系媒溶剤3及び固体酸素源4の搬送用ガスとしては窒素ガスを使用した。図中、符号14は、CaO系媒溶剤3などから形成される脱燐精錬用スラグである。
高炉から出銑された約150トンの溶銑2を収容した溶銑鍋5を、上記構成の脱燐処理設備1に搬送し、上吹きランス7を通して酸素ガス及び固体酸素源4を溶銑浴面に吹き付けるとともに、インジェクションランス8を介してCaO系媒溶剤3を溶銑中に吹き込み、更に、ホッパー11に収容された固体酸素源4を上置き添加しながら、脱燐処理を実施した。
その際に、上吹きランス7からの酸素ガスの供給速度FO2(Nm3/min・t)と、上吹きランス7からの固体酸素源4の供給速度V(kg/min・t)との比V/FO2(kg/Nm3)を種々変更した。また、比較のために、上吹きランス7からは酸素ガスのみを供給し、固体酸素源4は全てホッパー11からの上置き添加した脱燐処理方法も実施した。この場合の比V/FO2(kg/Nm3)はゼロとしてデータ処理した。
図3に、比V/FO2(kg/Nm3)と脱燐処理時間(min)との関係を示す。比V/FO2(kg/Nm3)が0.60未満では処理時間が長くなり、これに対して、比V/FO2(kg/Nm3)が0.60以上の本発明例において、処理時間が短くなることが確認できた。
図4に、比V/FO2(kg/Nm3)と脱燐処理後の溶銑中燐濃度(mass%)との関係を示す。比V/FO2(kg/Nm3)が6.0を超えると処理後の溶銑中燐濃度が高くなり、脱燐反応が悪化することが確認できた。比V/FO2(kg/Nm3)が6.0以下であれば、脱燐反応は阻害されないことが分かった。
上記の図3及び図4の結果から、比V/FO2(kg/Nm3)は0.60〜6.0の範囲であることが必要であることが分かった。
図5に、酸素ガスの供給速度と脱燐処理時間との関係を示す。図5からも明らかなように、本発明例においては、酸素ガスの供給速度を高く維持することができ、脱燐処理時間が短くなることが分かる。このように、本発明を適用することでスラグ噴出を抑制し、送酸速度を高めることが可能であり、その結果、処理時間を短くすることができた。
尚、上記説明は、溶銑の脱燐処理について行ったが、図1とほぼ同様の設備を用いて溶銑の脱珪処理を実施すれば、上記と同様の効果を得ることができる。
本発明を実施した脱燐処理設備の概略図である。 図1に示す上吹きランスの拡大図である。 脱燐処理時間と比V/FO2との関係を示す図である。 脱燐処理後の溶銑中燐濃度と比V/FO2との関係を示す図である。 脱燐処理時間を本発明例と比較例とで比較して示す図である。
符号の説明
1 脱燐処理設備
2 溶銑
3 CaO系媒溶剤
4 固体酸素源
5 溶銑鍋
6 台車
7 上吹きランス
7a ランス本体
7b ランスチップ
8 インジェクションランス
9 貯蔵タンク
10 貯蔵タンク
11 ホッパー
12 原料搬送装置
13 シュート
14 脱燐精錬用スラグ
15 中心孔
16 周孔
17 外管
18 中管
19 内管
20 最内管

Claims (1)

  1. 溶銑鍋または混銑車に収容された溶銑に気体酸素源、固体酸素源及びCaO系媒溶剤を添加して溶銑に対して脱珪処理または脱燐処理を施すにあたり、前記固体酸素源として、粒度が1mm以下の鉄鉱石の焼結鉱、ミルスケール、ダスト、砂鉄、鉄鉱石のうちの何れか1種または2種以上を使用し、上吹きランスの周孔から前記気体酸素源を溶銑浴面に向けて上吹き供給するとともに、前記上吹きランスの中心孔から、少なくとも一部の前記固体酸素源を、前記気体酸素源が供給されている場所と同一場所またはその近傍の溶銑浴面に搬送用ガスを用いて上吹き供給し、且つ、前記気体酸素源の供給速度FO2(Nm3/min・t)と前記固体酸素源の供給速度V(kg/min・t)との比V/FO2(kg/Nm3)が0.60〜6.0(但し、2以下を除く)の範囲内になるように、それぞれの供給量を制御し、前記CaO系媒溶剤の一部を、インジェクションランスを介して搬送用ガスとともに溶銑中に吹き込むことを特徴とする、溶銑の精錬方法。
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